囲碁憲法草案
(安永一草案)
1932(昭和7)年作成


第1条 棋盤、縦横各々19の平行線を記せる平面。

第2条 棋石、盤上に自己の着手を記すもの通常黒白二様の石を持つ。

第3条 二人にて行い各人は一色の石を持つ。

第4条 各人は交互に着手する権利を有す。

第5条 他方の石の最後の活路に打着せる場合には其の他方の石は盤面より取り除かれる。

第6条 他を盤面より取り除く場合以外には自己の最後の活路に打着し得ず。
活路、一子の活路とは其の点より沿うての四つの隣点、二子以上も之に準ず。

第7条 交互着手の権利を放棄せざる場合には同型反復を禁止す。

第8条 終局、交互着手の権利を連続3回放棄せる場合。

第9条 終局に於いて次の方法により勝敗を定む。

生 一. 盤面より取り除かれる事なく或は取り除かれる事を防ぎ得る石を生と言う。

一. 生に非ざる石は終局に於いて盤面より取り除かる。

地 一. 独立して生き得る石にて囲み得る盤面の部分を地と言う。此の場合一点を一目の地となす。

囲む 一. 一点を囲むとは其の線に沿うて四つの隣点(活路)に一方の石のある時を言う。
二点以上も之に準ず。

一. 盤面より取り除かれたる石は其の石の方の目数より差引く。

一. 斯くして得たる地の大小を以て其の差だけ勝とす。


囲碁憲法草案−安永草案