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高齢者の尊厳と人権を踏みにじる麻生首相発言 http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2009/07/post-e117.html 麻生首相が7月25日に、横浜で開かれた日本青年会議所の講演で次のように述べた。時事通信が伝える高齢者に関する発言の要旨を以下に転載する。 「どう考えても日本は高齢者、いわゆる65歳以上の人たちが元気だ。全人口の約20%が65歳以上、その65歳以上の人たちは元気に働ける。いわゆる介護を必要としない人たちは実に8割を超えている。8割は元気なんだ。 その元気な高齢者をいかに使うか。この人たちは皆さんと違って、働くことしか才能がないと思ってください。働くということに絶対の能力はある。80(歳)過ぎて遊びを覚えても遅い。遊びを覚えるなら「青年会議所の間」くらいだ。そのころから訓練しておかないと、60過ぎて80過ぎて手習いなんて遅い。 だから、働ける才能をもっと使って、その人たちが働けるようになれば納税者になる。税金を受け取る方ではない、納税者になる。日本の社会保障はまったく変わったものになる。どうしてそういう発想にならないのか。暗く貧しい高齢化社会は違う。明るい高齢化社会、活力ある高齢化社会、これが日本の目指す方向だ。もし、高齢化社会の創造に日本が成功したら、世界中、日本を見習う。」 平均寿命が延びて、元気な高齢者が増えている。働く意欲を持ち、高齢者が生きがいをもって働く場が創設されることは望ましい。平均寿命の変化に合わせて、生産年齢を柔軟に見直すことも必要だろう。 大切なことは、高齢者が生きがいをもって、生き生きと暮らせる社会を構築することだ。この文脈上で、高齢者の労働の在り方についての見直しを考えることは有益である。 麻生首相発言が問題とされる理由は別の点にある。問題は麻生首相にとって国民がどのような存在として位置付けられているかにある。 「いかに使うか」の言葉が自然に出てくる思考回路が問題なのである。 「この人たちは皆さんと違って、働くことしか才能がないと思ってください。」 「働くということに絶対の能力はある。80(歳)過ぎて遊びを覚えても遅い。」 麻生首相の言葉は、麻生首相がこの基本を踏まえていないことを示している。麻生首相の言葉は政府が国民とは離れた高いところに位置しており、国民は政府の事情を満たすために「利用する」存在であることを示している。 麻生首相の発言は、社会保障財政、政府財政が厳しい状況に直面している現状を改善するには、元気でいるのに働いていない高齢者を働かせて、社会保障の受給者ではなく、納税者にしてしまえばよいのだという意味である。 麻生首相の言葉には、高齢者の立場に立って、高齢者が幸福になるために何をどう変えるかという発想がない。政府の財政事情を改善させることが第一の目的であり、この目的を達成するために高齢者をどう扱うのかを考察するとの思考回路が働いているのである。 これは「国民のための政府」ではない。「政府のために国民が存在する」との発想が原点にある。 さらに、「働くことしか能がない」とはどういうことか。 戦後の日本経済復興に汗水たらして働いてきた国民に対する言葉か。 戦後復興に尽力した人々の多くはたしかに、わき目も振らずに黙々と仕事にいそしんできただろう。その結果、日本は奇跡の復興と呼ばれる経済成長を実現した。勤勉に仕事をしてきたから、遊びを覚える時間はなかったかも知れない。 それを「働くことしか能がない」とは、あまりにも「人間の尊厳」に対する認識が不足している。 長い時間、勤勉に働いてきた高齢者が、高齢者になって、初めて自分のために時間を使うことを知り、それぞれの生活を潤いのあるものにしようとしている。これを、「60過ぎて80過ぎて手習いなんて遅い」と麻生首相は切り捨ててしまう。 麻生首相の発言は「失言」ではない。麻生首相の考え方を率直に示したものである。 これまでの自公政権は、国民のための政治を実行してこなかったのだ。 官僚、大資本、外国資本、御用メディアと政治が癒着し、「政官業外電の利権複合体の利益」を満たす政治を実行してきた。 この利権政治を維持するには、選挙で多数の議席を確保しなければならない。したがって、選挙の時だけ、国民の投票を誘導する施策を打ち出す。選挙を離れれば、国民は、利権政治を維持するための道具に過ぎない。だから、「高齢者をどう使うか」の言葉が出てくる。 頭を働かす首相なら選挙戦に入ってこのような発言を控えるだろう。そこまで考えが及ばないところに麻生首相の真骨頂が示されているが、最大の問題は、麻生首相にとっての国民の位置付けにある。 日本の政治を国民の元に引き寄せなければならない。
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07 27(月) いかりや爆氏の毒独日記 |
最近の世相、政治経済について「あれっ?と思うこと」を庶民の目線から述べていきたい。 |
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