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続折々の記 2021①
【心に浮かぶよしなしごと】
【 01 】01/01~     【 02 】01/05~     【 03 】01/13~
【 04 】01/28~     【 05 】02/03~     【 06 】02/05~
【 07 】03/03~     【 08 】03/13~     【 09 】04/03~

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【 06 】02/05
        健康保持
                思いつくままに
        時の流れ
                

 02 05 (金) 健康保持     思いつくままに

歩き方が遅くなった。 無理はできないから、次の本に書いてある方法を参考にしてできれば朝夕に腰を中心とした筋膜伸長により好転したい。

① 脊柱管狭窄症(自分で治せる・1分療法)  文響社

② 脊柱管狭窄症(腰の名医20人が教える最高の治し方大全)  文響社

続いて向かいから伝わる腸内の清掃竹炭粉利用法(TVで紹介)機能性活性炭

① 森永仁丹

② ネイチャーズ・ウエイ

内容量:100 コ ¥853 内容量:360 コ ¥2,842
体内の不要なものを結合
ゆっくりと燃焼するココナッツの殻が、吸収を助ける多孔質構造を作ります。Nature'sWay®(ネイチャーズウェイ)は、世界で高品質の活性炭の調達に取り組んでおり、環境にやさしい炭の供給源を優先するパートナーを探しています。

③ (飲料水濾過材として)

④ (活性炭を作る方法)

竹炭には吸着効果があります。 昔から炭を食べることが民間療法とされていたように、炭の吸着効果は、腸にたまった老廃物を吸収しそのまま体外へ排出してくれます。 そのため竹炭には腸内環境を整え、便秘改善やデトックス効果が期待できると言われているのです。

デトックス(detox)は、生理学的・医学的に生物の体内に溜まった有害な毒物を排出させることである。この呼び名はdetoxification(解毒、げどく)の短縮形である。

腸をリセットして働きがよくなると、体内の古い物や悪い物をどんどん排出。 肌がキレイになり、むくみも解消、慢性的な肩こりや冷え症も改善します。
※ このURLを開いてコピーし、配布

3番目にゲップを止める方法

病気によるゲップ ➡ 逆流性食道炎・食道裂孔ヘルニア・その他

日常生活上の原因と対処法 ➡ 早食い・腹部を締め付ける服装・猫背 ➡ 
https://news.livedoor.com/article/detail/14287693/を開いて見る

 02 15 (月) 時の流れ      世界の渦巻き

田中宇の国際ニュース解説を読んでいると、私たちは世界の大きな渦巻きを理解せずに目先のコロナウイルスにあたふたしているように思う。 国会の議論を視聴していても世界の渦の動きを指摘する議論を何も聞くことはない。

日本の国内の動きには関係なく世界の動きは、大事な要素を引きずって渦を巻いているように思えるのです。

それは田中宇を読むとわかる。 米中の対立は新聞には出ていても、世界の動きについては日本のジャーナリズムは国際ニュースの感覚がないのか警鐘として大きく扱わない。

すべてを取り上げれないから、最近の三つほどの記事をここで取り上げます。


その一 中国主導の多極型世界を示したダボス会議

2021年2月5日   田中 宇

1月25-29日に完全オンラインで開催されたダボス会議で主導的な基調演説をしたのは中国の習近平主席だった。このバーチャル会議で、習近平の次に注目されたのはロシアのプーチン大統領だった。そしてその次に、インドのモディ首相や、EUの独メルケル・仏マクロン・EU委員長フォンデアライエンのトリオ。その次のレベルで演説が注目されたのが、南アフリカのラマポーザ大統領、イスラエルのネタニヤフ首相、日本の菅首相、韓国の文在寅、シンガポールのリシェンロン首相だった。その他、イタリアやスペイン、ギリシャといった欧州諸国、ガーナやアルゼンチンなど中南米アフリカ諸国などの首脳もバーチャル演説を配信した。これが、今回のバーチャルダボス会議での国家指導者群の序列である。 (Xi Jinping Wows Them at Davos) (These are the global figures taking part in digital Davos)

ダボス会議は、今の国際社会を代表する会議である。世界中の財界人や政治家、固い業界の有名人たちが参加を切望してきた。ダボス会議での序列は、世界の政治的な序列でもある。今回から、中国が世界のトップになった。そして、それに続くのがロシアやインド、南アというBRICS諸国。その横にEUがいる。米国から中国の傘下に移りつつある東アジアの日韓やシンガポも呼ばれた。これはまさに、08年のリーマン危機後に示された多極型世界の構図だ。 (Chinese Communist Party Leads at Davos, Pushes 'The Great Reset')

今回のダボス会議のもうひとつの画期的な特徴は、誰が欠席したか、である。最大の欠席者は、米国と英国の首脳だった。米英だけでなく、アングロサクソン諸国として米英の親戚筋であるオーストラリア、ニュージーランド、カナダの首脳も欠席した。戦後の世界を率いてきたファイブアイズのアングロサクソン5か国の首脳は、全て出てこなかった。欠席の理由は語られていない。米国はバイデン政権ができたばかりで出席する余裕がなかった、という考えは間違いだ。今回の会議は完全オンラインなので、首脳が執務室や官邸の部屋で、空き時間に、側近が作った原稿を読んで録画したものを会議主催者のWEFに送信すれば良いだけだ。とても簡単。ユーチューバーなら一人でやれることだ。それなのに、戦後の世界を率いてきたアングロサクソン5か国の首脳は誰も出てこなかった。米国からは、温暖化対策担当のジョン・ケリーが温暖化対策について演説した。だが、ケリーはバイデンの代わりでない。あくまで温暖化担当として話をした。 (Remarks at World Economic Forum, Davos 2021)

今回のダボス会議では中国が主役で、ロシア、インド、南アのBRICS諸国が準主役だ。BRICSの5か国うち、ブラジルはボルソナロ大統領がトランプびいきで、BRICSや中国と距離を置いているので不参加だった。だが他の4か国は、ふだん中国と仲が悪いインドも含め、今回のダボス会議に出てきて、協調的な世界を作ることについて演説した。BRICSは、米英覇権を代替する多極型世界を構築する方向性の5つの非米大国の集まりだ。今のブラジルのように消極的な国もあるし、インドと中国は対立しているが、それでも米英覇権がドル崩壊などで崩れたとすると、その後の世界を構成できる5か国だ。ここにEUと、単独覇権でない北米が入ると、多極型世界になる。今回のダボス会議に、米英などアングロサクソン諸国が欠席し、その代わりに、非米大国群であるBRICSが中国を筆頭に主役を演じたことは、世界が米国覇権体制から多極型体制に転換したことを物語っている。 (「大リセット=新常態=新しい生活様式」のからくり)

ダボス会議には国家の指導者たちのほかに、世界の大企業経営者群、国連など国際機関の指導者群、欧米などのNGO活動家群も参加する。そのため、国家でなく企業やNGOも重要でないかという反論がありうる。「今の世界を支配しているのは米国や中国といった国家(政府)でなく、グーグルやアマゾン、マイクロソフトといった米国製のネット大企業群だよ。国家しか見ていないあんたは頭が古いね」と、したり顔でいってくる人々もいる。ネット大企業群は、米諜報界(=軍産複合体、深奥国家)の主要部分を握る勢力になっているのは事実だ。だが、中国やロシアは、米諜報界に入り込まれていない勢力として台頭している。ネット大企業群は、既存の米国覇権の世界体制を牛耳っているが、今回のダボス会議は戦後の米国覇権を体現してきたアングロサクソン諸国が全員不参加だ。ネット大企業群の経営者たちは今回のダボス会議に参加して演説もしているが、米国覇権勢力は全体として今回のダボス会議で舞台の袖の方に追いやられ、主役を中国主導のBRICSに奪われている。日韓も、米国傘下の国としてでなく中国傘下の国としての出場だ。ネット大企業は、米国覇権の後ろ盾がないと、政治的な強さを失い、ただの企業群になってしまう。 (トランプ排除やコロナは米欧覇権とエスタブ支配を破壊する)

米欧や日本など「自由主義諸国」では、企業が国家から完全に独立している。だが、中国や、その他の中国型の権威主義の新興諸国では、国家が企業を支配している。最近の中国はとくにそれが強く、習近平独裁の中共が、党や政府をしのぐ力を持ちかねない「中国製ネット大企業」のアリババに独禁法違反の罪(濡れ衣?)をかぶせて解体し弱体化している。今後の中国では事実上、中共が唯一最大の「企業」であるといえる。中国の主要企業にはすべて共産党の細胞があり、党が経営を監督する「党営企業」だ。中国ではNGOも党営だ。香港などに、そうでないNGOがあったが、国家反逆勢力として潰されつつある。学者や言論人も党の傘下で、そうでない人々は反逆者として潰される。ダボス会議や国連のような国際社会の場で、中共(やその他の社会主義、全体主義、権威主義諸国の政権党)は、政府にも企業にもNGOにも化けられるゾンビだ。政府と企業NGOが、往々にして利害の相反する勢力として国際社会に登場する欧米日の自由主義諸国と対照的だ。 (近づく世界の大リセット)

中共は、アマゾンやグーグルなどの米ネット大企業群の機能を代替できるものを、すでに国内に持っている(対照的に、日本や欧州などは米ネット企業群の支配から離脱できない)。中共は、アリババの解体に象徴されるように、国内ネット機能を自分の権力下に押し込めている。トランプの米中経済分離策などのおかげで、中共は、米覇権領域の経済システムから独立した「非米経済圏」を世界に確保している。ドルの代わりに人民元で国際決済できる。中国とその傘下の国々は、経済面でも米国覇権に依存する必要がない。軍事的にも、中露が力を合わせれば米国に負けない。米国から経済制裁や米中分離、冷戦を起こされても、中国は非米経済圏を率いて一帯一路に象徴される「もうひとつの世界経済システム」を運営して世界的に繁栄していける。コロナの閉鎖状態のおかげで、米英の諜報機関が中国に入り込んで政権転覆を画策することもできなくなった。 (Great Reset is corporate communism, and it's coming to America)

米国は昨秋の大統領選以降、国内政治対立が激化し、政治社会的な不安定が増している。この状態はずっと続く。コロナ大恐慌への経済対策で財政赤字が増え続け、QEが行き詰まってドルが崩壊することがいずれ不可避だ。米国は弱体化しつつある。対照的に、中国は習近平の独裁で安定している。中国は世界の諸大国の中で唯一、経済成長している。コロナは米欧経済に大打撃を与える半面、中国と、その傘下の日本など東アジア諸国にはあまり打撃を与えない。コロナの愚策な都市閉鎖は、米欧だけを自滅させ、相対的に中国の台頭を加速させる。「中国はいずれ経済破綻する」という日本人が好む予測は、出来の悪い妄想だ。国際社会では今後ずっと中国が台頭し、米国が衰退する状況が続く。今回のダボス会議は、こういった米中逆転的な覇権の状態を踏まえて、中国に主導役をやらせた感じだ。ダボス会議は今後もずっと、中国が主導役をやるだろう。国連も同様だ。 (大リセットで欧米人の怒りを扇動しポピュリズムを勃興、覇権を壊す)

覇権放棄屋のトランプから(不正に?)政権を奪ったバイデンは、米国の覇権体制を蘇生したいと考えている。その目標のためには、バイデンがダボス会議の主役として基調演説し、会議の主催者WEFが立案した「大リセット」のシナリオに沿った話を展開すべきだった。大リセットのシナリオは(表向き)「人類が仲良くしてコロナ危機を乗り越え、温暖化対策など地球環境に配慮した、格差や差別のない協調的な世界を作っていくこと」を語っており、バイデン政権が掲げた(表向きの)目標や戦略と齟齬がない。習近平でなく、バイデンがダボス会議の主役として基調演説をしていたら、トランプからバイデンに代わった米国が覇権国の座に戻ったことの象徴として世界に認めてもらえたはずだ。だが実際にWEFが立案した大リセットのシナリオに沿ってダボス会議の基調演説を行ったのは、中共の習近平だった。これは中国が世界の頂点に立ったことの象徴だった。習近平は中国語で演説し、中国では全人民がそれを見るよう奨励された。 (米大都市の廃墟化・インフレ激化・銀行やドルの崩壊)

習近平は演説の中で、人類が仲良くできないのは米国がバイデン政権になっても中国を敵視し、単独覇権をふりかざして(イランやロシアなど)非米諸国を経済制裁し続けているからだ、という趣旨を展開した。バイデンが習近平を押しのけて主役になって基調演説していたら「(中露イランなど)問題がある国も含め、世界が協調してコロナを乗り越えて事態を改善していこう」とか、米国=善・中露=悪の構図を喧伝できたのに、米国が欠席して習近平が主役をやるのを黙認したために、正反対の、米国=悪・中露=善の構図が喧伝されてしまった。 (You know we are screwed when Xi Jinping is giving an opening speech at Davos 2021)

バイデンはなぜダボス会議に出なかったのか。それは多分、会議主催者のWEFが、主役として基調演説するのは習近平だと決めたことをくつがえして主役をバイデンに替えることを拒否したからだ。バイデンが出ると言ったら、ダボス会議の事務局は、米中が仲良く共同主催する構図にするつもりだったかもしれない。だがバイデン政権は、米単独覇権体制を蘇生したい。ブリンケン国務長官が、そのような趣旨のことを言っている。バイデンの米国は、中国が米国と肩を並べている、もしくは中国が米国より上段にいる状態の国際会議に出席するわけにいかない。 (トランプの自滅的な中国敵視を継承したバイデン)

ドイツやEU上層部も、今回のダボス会議の開催前、バイデンに対して参加を要請していたようだ。ドイツのメルケル首相は、ダボス会議での演説の中で「米国は(中露などを敵視せず)協調姿勢に戻ってほしい」という趣旨を述べている。メルケルは対米従属で軍産傀儡の人だが、米国の覇権衰退と中国の台頭を見て、米国が中国を押しのけて単独覇権国であり続けるのは無理だと思っているのだろう。米国が覇権を蘇生するには、まず中国と和解し、ある程度多極型の覇権構造を容認するしかない。メルケルなどEUは、ダボス会議事務局とともにそう考えて、バイデンになった米国がダボス会議に参加して、中国の台頭と多極化を容認しつつ、米国覇権の蘇生を演出してほしかった。だが、米国はそのシナリオを拒否した。英国や豪州などアングロサクソン全体が米国の欠席に追随した。 (Xi Warns Biden & Globe Against 'New Cold War' In Davos Opener As Pundits Tout "Great Reset")

ダボス会議は、EUが中国を呼んで世界の主役に据え、中国主導のBRICSとEUが仲良くし、そこに日韓など中国傘下に移った国々も入るという「非米同盟」の会合になった。この新たな隠然同盟体は国連を牛耳っており「新たな連合国」と呼べる。対照的に、ダボス会議を欠席した米英アングロサクソン諸国は負け組であり、「新たな枢軸国」である。世界は第2次大戦の状況から、75年後の今、見事に逆転した。 (ユーラシアの非米化)

今回のダボス会議は完全バーチャルだったが、今年8月には対面式のダボス会議をシンガポールで開く予定だ(コロナで再延期される可能性が大だが)。会議事務局は、シンガポール会議でバイデンと習近平が会談して米国と中国が和解するシナリオを構想し、発表している。だが今回、単独覇権体制の再建に固執して中国と同格で肩を並べることを拒否し、ダボス会議を欠席したバイデンが、6か月後の8月に、中国と和解しつつ多極化したダボス会議に参加する可能性があるのか??。バイデンの米国が、単独覇権国でなく多極型世界の「極」の一つに成り下がることでかまわないなら、今回のダボス会議に出てきていたはずだ。

これからの6か月で、中国はさらに国際台頭を進めるだろう。米国は、国内の政治対立やコロナ対策に追われ、国際的な覇権蘇生の根回しがほとんどできないと予測される。下手をしたら金融危機が再燃する(米国の金融市場は最近、おかしな動きが加速している)。米国は、覇権が低下するほど、多極型の新たな覇権体制内での優位が得られなくなり、多極型に参加するより孤立を許容して様子見した方が良いと考える傾向を強める。もしくは「中国はいずれ崩壊する」とか「中国を制裁して崩壊させる」といった妄想を軽信し続け、単独覇権に固執し続け、しだいに世界から相手にされなくなっていく。バイデンが習近平との和解に踏み出す可能性は、今のところとても低い。米中和解がない以上、中国の台頭と世界の非米化が進行する。

ダボス会議では「大リセット」が語られているが、大リセットは表向きの意味と裏の意味が全く違う。今回のダボス会議では表向きの話(市民社会の融和や差別の解消、コロナの乗り越え方)だけが論じられ、話の内容は建前論ばかりでほとんど無意味なものだった。何が話されたかでなく、誰が主役で誰が欠席したかが重要で、それが大リセットの裏の意味(米国覇権の崩壊と多極化、中国の台頭)を示すものだった。


その二
覇権国に戻らない米国

2021年2月7日   田中 宇

バイデン米大統領が2月4日、外交政策について就任後初の演説を行い、ロシアを「米国と世界にとっての民主主義の敵」、中国を「世界運営(グローバル・ガバナンス)の敵」であると規定した。ロシアに対しては従来通りだが、中国に対して覇権運営上のライバルであると規定し、中国がすでに覇権運営・世界運営を行なっていることを米国が正式に認めたのはたぶん史上初めてだ。 (Remarks by President Biden on America's Place in the World | The White House) (Biden Vows to Confront Russia, Enemy of Democracy, and China, Enemy of ‘Global Governance’)

この件は、前回の記事で書いた、先日のバーチャルなダボス会議で中国の習近平が主導役になった半面、バイデンが欠席したことと関連しているだろう。バイデンが発表した中国に関する規定は、私の前回の記事の分析が正しかったことを示している(私自身の中で半信半疑なところがあったが払拭された)。中国はダボス会議以外の、国連やその他の国際機関などでも、日常的に主導権を発揮する場面が多くなり、覇権運営上の米国のライバルになっている。バイデンは中国に対し、人権や著作権や経済(貿易戦争)の面でも米国の脅威だと述べたが、これらは従来と同じだ。中国は、すでに得ている世界運営権(覇権)を手放さないだろうし、米国は中国を潰せないから、米国が唯一の覇権国である状態に世界が戻ることは二度とない。世界は不可逆的に多極化した。 (中国主導の多極型世界を示したダボス会議) ("American Exceptionalism Is Back", Except...)

米単独覇権体制の崩壊と多極化は通貨の面でも進んでいる。米国の投資会社ダブルラインは、1月に発表した報告書で、ドルを世界の単独基軸通貨とする通貨の米国覇権体制が崩壊し、多極型の基軸通貨体制に移行しつつあると指摘した。報告書は「米国が、中国やロシアなど非米諸国に対してドルの使用を禁止・制限する経済制裁を多用しすぎるため、制裁された非米諸国だけでなく、中国などと貿易や投資の関係を持たざるを得ない米同盟諸国も、増え続ける非米諸国との経済関係においてドルを使うことを控え、世界的にドルの使用や備蓄が減っている。対照的に、人民元や円、ユーロなど、他の主要通貨の使用や備蓄が増え、基軸通貨の多極化が進んでいる」という趣旨だ。 (Taking Aim at the U.S. Dollar, the World Builds a Multipolar Trade-and-Payments Order) (DoubleLine Warns Events Are In Motion To Remove Dollar As Reserve Currency)

ここ数年、とくにコロナ危機下の昨年来、経済的に米欧が横ばいやマイナスな半面、中国の成長がいちじるしく、世界経済において中国が占める割合が拡大している。世界の諸国、とくに日韓豪など東アジア諸国は、中国との経済関係を拡大していかざるを得ない。だが、米国はバイデン政権になっても中国敵視を続けている。同盟諸国は、中国とドル建てで取引すると米国にばれて問題にされかねないので、中国との取引はドルでなく、人民元や円など相互の通貨で行った方が良い状況になっている。この流れの中で昨年11月に締結されたのが、中国と日韓豪NzアセアンによるRCEPの貿易圏だった。RCEPは多極化の具体例の一つだ。RCEP締結前から、この貿易圏内での決済の非ドル化が進んでいる。昨年末にSWIFT(銀行間の通貨決済用の国際ネットワーク)が発表した世界の資金決済の統計でも、ドルの総額が減っている。 (Will China overthrow US dollar hegemony in East Asia?) (China Shouldn’t Take Global Payment Network SWIFT for Granted)

同盟諸国の多くは、トランプからバイデンになった米国が、非米諸国、とくに中国に対する不合理な敵視政策をやめて、同盟諸国が中国と取引しやすい状況にしてくれるのでないかと期待した。中国の台頭をある程度容認することが、米国覇権を蘇生・延命する良い方法でもあった。だが、バイデン政権はトランプの中国敵視の多くの部分を継承した。同盟諸国は米国に失望し、静かに米国を無視し、目立たないように中国との取引を拡大していく道を選び始めている。それがRCEPであり、前出のダブルラインの報告書となって現れている。ドル覇権のツールのように言われてきたSWIFTも、国際化やデジタル化が進む人民元の中国と本格的に組まざるを得なくなり、中国人民銀行と合弁することになった。 (SWIFT Sets Up Joint Venture With China Central Bank)

トランプは覇権放棄の隠れ多極主義者だったが、軍産はそれが嫌だったので(不正選挙によって)大統領をバイデンにすげ替えた。バイデンは覇権蘇生屋になるはずだった。しかし実際は、中国やその他の非米諸国を不合理に敵視する策を全力で続ける姿勢を見せている。バイデン政権は、トランプと別な形の(オバマやブッシュと似た)隠れ多極主義にとりつかれている。同盟諸国は失望し、多極化が進む。 (Fed Chair Powell: Inflation Can Rise In 2021…So What Happens to Gold?) (U.S. will take on challenges posed by China directly: Biden)

SWIFTの統計によると、ドルだけでなく人民元の国際決済の総額も減っている。統計に出てくるのは、人民元の決済総額のうちの一部だ。中国の政府や企業は、米国などからの批判をかわすため、諸外国との人民元決済をできるだけ非公式に隠然とやっている。米国が中国を敵視するほど、中国は外国勢との人民元決済を統計に載らないようにやり、統計上の元決済の総額が増えないよう努力する。中国の覇権拡大や経済成長の度合いから考えて、実際の人民元の国際決済の総額は増え続けているはずだ。米国が覇権を振り回すほど、みんな本当のことを言わなくなり、統計が信用できなくなる。 (Coming Soon: The Demise of the U.S. Dollar?)

ドルの基軸性喪失や通貨の多極化は12年前のリーマン危機のころから言われていたが、潜在的な流れであり、今のように各所で指摘されるようになったのはトランプの4年間とコロナ危機を経てからだ。私は、03年のイラク戦争直後から多極化を指摘・予測して書いてきたが、ずっと妄想扱いされていた。実は、マスコミ権威筋で描かれてきた米国覇権の永続のイメージの方が集団的な妄想(権威に従いたがる小役人的な脳内状態)だった。イラク戦争が隠れ多極主義的な故意の失策だった可能性は、今考えても高い。当時から潜在的な多極化の流れがあった。 (多極化の本質を考える) (中露の大国化、世界の多極化)

2月1日、ミャンマーの軍部がクーデターを起こし、政権をとっていたアウンサン・スーチーらNLD幹部たちを拘束する事件が起きた。ミャンマー軍部から見ると、スーチーは英国MI6の要員で「英米のスパイ」だ。これまで軍部は、内外で人気があるスーチーといやいやながら組んできたが、米国が昨秋以来の政治混乱で覇権が弱まっているのを見て、中国から黙認的な了解を取り付けた上で、スーチーから政治権力を奪う試みとして、スーチー政権が2期目に入った日にクーデターを挙行した。ミャンマーは、地政学的に米英と中国の綱引きの場である。ミャンマーのクーデターは、米覇権の衰退と中国覇権の台頭を示している。 (Coup Puts Myanmar at the Center of U.S.-China Clash)

米国はミャンマー軍部を非難し、日本やASEAN諸国など、アジアの同盟諸国を通じてミャンマー軍部に圧力をかける策をとると言っている。だが米国と、日本ASEASなど同盟国の間には、ミャンマー軍部に対する姿勢に齟齬がある。ミャンマー軍部に対し、米国は強硬姿勢で非難するが、日本などアジア諸国は非難したがらず、事情をお尋ねする対話を続けつつ、軍部を説得しようとしている。中国も、似たような姿勢だ。日本は、どちらかというとスーチー寄り、中国はどちらかというと軍部寄りで、日本と中国は裏で連絡を取りつつ、それぞれの姿勢でミャンマーを説得し、政情の再安定をめざしている。 (China 'notes' Myanmar coup, hopes for stability)

マスコミ(=軍産)には「日本はミャンマー軍部に甘いので米国に批判されそうだ」などと、いまだに米単独覇権が続いていると妄想する稚拙な「解説記事」もあり、それを真に受ける軽信者も多そうだが、日本はもう米国から批判されても受け流すだけだ。ミャンマーに関して、米国はすでに主たるプレイヤーでなく、後ろの方で軍部を非難して騒いでいるだけだ(だから軍部がクーデターを起こした)。ミャンマーの問題解決は、米国でなく中国の世界運営の領域に取り込まれている。中国は、覇権国に戻りたいバイデン政権に替わった米国がどのぐらい強く出てくるかを見るために、ミャンマー軍部のクーデターを容認したとも思える。東南アジアは以前から中国の覇権下で、近年は東アジア(日韓朝)も中国の覇権下に入る傾向が強まっている。 (Japan seeks dialogue with Myanmar military after coup)

米国の政治的な混乱や不安定化は今後も続く。ネット大企業がトランプや共和党支持者を排除して、民主党政権を牛耳っているのがネット大企業であることを見せつけた。大リセットはネット大企業の独裁強化策であるとも言われている。だが、この独裁がずっと続くかどうか怪しい。先日、ネット大企業の筆頭であるアマゾンのジェフベゾスがCEO(最高経営責任者)から取締役会長に「退いた」。実のところ、ベゾスは退いたのでない。アマゾン社内における権力はすべて保持し、自分の肩書きだけを替えた。 (At last, the regime that enabled Amazon's monopoly power is crumbling)

この動きは多分、これからアマゾンが独占禁止法違反を米政界から問われ、解体を強いられるかもしれないことと関係している。ベゾスはCEOを退くことで、米政界からの攻撃が自分のところに直接来ないようにしたようだ。今はまだ民主党政権内の、ネット大企業と左翼の対立が表面化していないが、いずれ左翼がネット大企業を「大金持ち」として攻撃する傾向が強まる。共和党支持者の過半を占めるトランプ派も、自分たちを追放したことへの復讐としてネット大企業を解体・無力化する政治運動に参加してくる。ネット大企業の独裁は、昨秋来の米選挙騒動で顕在化してしまっただけに、左右から攻撃の対象にされ、長続きできなくなっている。独裁を顕在化させた内部勢力が、ネット大企業群を自滅に導いている。 (Jeff Bezos Exits as CEO, but His Role at Amazon Will Likely Be Little Changed)

バイデン自身も、たぶん不安定な存在だ。バイデンは認知症で、大統領としての署名ができないときに妻のジル・バイデンが代わりに署名しているのでないかという疑いを、筆跡を鑑定した人が指摘している。バイデンの署名の冒頭の「B」の字が、彼自身が以前から書いていた字体(Bの左側の縦棒が離れている)でなく、妻のジルの字体(Bが一筆で書かれている)と同じになっていることに基づく疑惑だ。バイデンは認知症で、ときどき自分が何をしているかわからなくなる時があると、以前から共和党支持者などが指摘してきた。バイデンが認知症だとしたら、コロナで直接人に会わず、演説も調子が良い時に撮っておいた動画を配信すれば良い現状は、認知症がばれないので好都合だ。バイデンが本当に認知症なのかどうか確認できないが、今後も疑惑の指摘が続く可能性が高い。バイデンが認知症なら、軍産系や隠れ多極主義系などの側近たちのやり放題になり、側近どうしの野放図な権力闘争が続き、米政治の不安定化が加速していく。 (This is Odd: Joe Biden’s Signature on Latest Official Documents Is Raising Eyebrows)


その三
東京五輪森喜朗舌禍事件の意味

2021年2月13日   田中 宇

女性蔑視と攻撃される舌禍事件を起こした東京五輪の森喜朗委員長が2月12日に辞任した。私が見るところ、この事件には報じられていない裏の意味・意図がある。米欧が中国(や親中国の非米諸国)を敵視して米中分離の新冷戦のを形成している中で、日本を米欧陣営から引き剥がして中国の側に押しやろうとする「隠れ多極主義」の陰謀があると感じられる。今回、森喜朗を辞任に「追い込んだ」米欧勢力の中心にカナダの五輪関係者たちがいたが、カナダの五輪関係者たちは、来年の冬に北京で開催予定の中国冬季五輪をボイコットしようとする米欧勢力の中心でもある。 (China To "Seriously Sanction" Any Boycotters Of 2022 Beijing Winter Olympics)

カナダの五輪関係者やリベラル(左翼)政治家たちは「新疆のウイグル人を『虐殺』する人権侵害をやっている中国には五輪開催の資格がないので、中国から開催権を剥奪し、自国カナダで来年の冬季五輪をやるべきだ」と言っている。今年初め、米国のトランプ前政権が「中共はウイグル人を虐殺している」と宣言し、ウイグル問題に対する認識をそれまでの「弾圧」から「虐殺」に引き上げて中国非難を強め、バイデン新政権がそれを踏襲した。その前後にカナダの五輪関係者や議会が、中国からの五輪剥奪の主張を一気に強めた。そのさなかに森喜朗が(飛んで火に入る夏の虫的に)問題の発言を行った。カナダの五輪関係者(Hayley Wickenheiser)は、森を追い込むと宣言した。この件は「女性を差別して人権侵害する日本に五輪の開催資格があるのか。そういえば日本は南京大虐殺もやったな」的な雰囲気になり、日本と中国を十把一絡げにして人権侵害を非難する感じになった。 (Canada should host 2022 Winter Olympics due to China's persecution of Uighur Muslims: Green leader) (Trudeau government passes decision on participation in Beijing Games to Canada's Olympic Committee)

森喜朗は「追い込まれ」て(原爆投下後みたいに)屈辱の中で辞任し、カナダの左翼たちは「極悪な日本のあいつは辞めて当然だ。ざまあみろ」と戦勝に湧いた。だが、敗戦国の日本と対照的に、中国はカナダを許さず「北京五輪をボイコットしようとする大規模な動きがあった場合、徹底的に報復する」と徹底抗戦を宣言している。

コロナ危機が今後も延々と続くことが(医学的でなく国際政治的に)ほぼ確定しているなか、今夏の東京五輪、来冬の北京五輪の開催が、人権問題だけでなくコロナ危機的にも危ぶまれている。だが、中共は絶対に来冬の北京五輪を開催するという強い姿勢を見せている。コロナ危機を国際管理しているWHOなど国連は、すでに中国の傘下にある。米欧などが、WHOの調査団を武漢に差し向けて「中国がウイルスを武漢P4ラボから漏洩させた」とする説を公式論にしようとしたが、中国はそれを阻止して、WHOに「新型コロナの発生源は(武漢ラボでなく)動物からヒトへの感染だ」という結論を出させた。WHO上層部での米欧と中国の権力闘争は、中国の勝ちになっている(バイデンも武漢ラボ説を採ったので中国に負けている)。米欧でなく中国がWHOの主たる支配者だ。となれば中国は、WHOを操るなど、巨大化した国際政治力を使って、コロナ危機の中でも例外的に来冬の北京五輪の開催を確定させられる。 (WHO Concludes That Coronavirus "Came From Animal," Not Wuhan Lab) (大リセットで欧米人の怒りを扇動しポピュリズムを勃興、覇権を壊す)

国際政治力を増している中国は、コロナ問題だけでなく人権問題でも、カナダなど米欧の反対を乗り越えて北京の冬季五輪を開催するだろう。カナダが中国から開催権を奪い取って自国で五輪をやることにはならない。今の国際政治バランスから考えて、アングロサクソン諸国はカナダを支持するかもしれないが、それ以外のほぼすべての諸国は中国の開催で良いと言うだろう。 (中国主導の多極型世界を示したダボス会議)

来冬の北京五輪は確定したとして、今夏の東京五輪はどうだろう。もし今回の舌禍事件によって、森喜朗の辞任だけでなく、今夏の東京五輪が開催されなくなった場合、東京五輪はやらないけど半年後の北京五輪はやるという、耐えがたいちぐはぐさになる。これは中共にとって認められない。北京五輪を絶対に開催すると考えている中共は、東京五輪も開催してもらいたいはずだ。カナダなど米欧の意見が東京五輪の中止に傾いたとしても、中国だけは、日本に東京五輪をやってもらいたい。カナダなどは森喜朗の日本側をさんざん攻撃し屈辱を与えたが、カナダなどが日本側を攻撃するほど、中共は日本側に対して「応援してますから舌禍事件を何とか乗り越えて東京五輪を開催してください。いっしょに頑張りましょう」と非公式に励ましているはずだ。

自民党など日本の上層部は、何とか東京五輪を開催したいが、舌禍事件でカナダなど米欧から攻撃されて無条件降伏し、屈辱的な昭和20年の状態に引き戻されている。そんな落胆と狼狽の中で、中共が日本の上層部を励まし、こっそり味方になってくれて、東京五輪の開催を応援してくれる。これは自民党などにとって感涙ものだ。御恩は一生忘れません的な気持ちになっている。現時点で、東京五輪は無観客などの方法で予定通り開催する構想が有力だが、このように開催できる状態になっていることの裏に、国際政治力を増した中国の力添えがあると考えられる。米欧の中に東京での開催を渋る動きがあっても、中国がそれに対抗して日本を守ってくれる(日本自身は今回も降伏した敗戦国を再演しており無力だ)。日本は、中国の力添えによって東京五輪を開催する。中国が日本のメンツを立ててくれた。自民党や官僚など日本の上層部は、中共の傘下に入る傾向をさらに強める。日本は、対米従属から対中従属への転向に拍車がかかる。 (安倍から菅への交代の意味)

台頭する中国を米欧が脅威と考え、中国包囲網や米中新冷戦の戦略によって中国を封じ込め、無力化しようとするなら、中国沖の不沈空母でもある日本を米欧の側に引きつけておく必要がある。戦後の日本はもともと喜んで米欧の傀儡であり続けていた。だが今回の舌禍事件は、米欧側が日本側を攻撃している間に、中国が日本を取り込んで漁夫の利を得る結果を生んでしまった。森喜朗を辞任に追い込み、保守反動・男尊女卑なオヤジばかりの日本の上層部に国際的な屈辱を与えたのは、人権的に大成功かもしれない。だが、地政学的・覇権的には、米欧側だった日本を中国側に追いやってしまい、大失敗である。すでに経済面では、中国が世界で最も経済成長している大国になった半面、米欧はコロナの都市閉鎖の愚策で経済的に自滅し、日本(や韓国や豪州やASEAN)が経済的に米欧を見限って中国への依存を高める不可逆的な流れを生んでいる。そして今回の舌禍事件は、政治面で日本の中国依存を強めてしまった。米欧の中国包囲網・米中新冷戦の策は失敗している。 (中国覇権下に移る日韓)

カナダなど米欧の上層部にいる左翼リベラルは、地政学的に大失敗になると自覚しつつ、日本側に屈辱を与えたのか。多分そうではない。カナダの左翼リベラルは、米国の民主党の左翼リベラルとつながっているが、米民主党の左翼リベラルは、今回の対日舌禍事件と同様の手口で、トランプら米国の共和党勢力を攻撃し、米国内の対立構造を修復不能に悪化させ、米国が覇権を維持するために必要だった2大政党制(2党独裁制)を不可逆的に破壊し、米国の覇権喪失と世界の多極化を加速している。米国の左翼リベラルは、もっと上にいる黒幕的な隠れ多極主義の勢力にあやつられて無自覚的に覇権喪失につながる動きをやっている。カナダの左翼リベラルも同様だろう。 (米議事堂乱入事件とトランプ弾劾の意味) (Alexandria Ocasio-Cortez wants Congress to stamp out First Amendment to stop “false information” from spreading)

カナダや米国の左翼リベラル政権は、コロナ対策として超愚策な都市閉鎖をやり、自国民の人権をひどく侵害している。日本の自民党政権は、リベラル様たちから見ると時代遅れかもしれないが、コロナ対策の超愚策をできるだけやらないようにして、日本人の生活と人権を守っている。コロナ危機のインチキな構図を間抜けに軽信して人類を不幸にしているのはリベラル様たちの方だ。中露イランなどに対する人権上の攻撃も、多くは地元の事情を軽視して米国の強権的な覇権を維持するための間違った政策なのに、リベラル様たちはそれにも気づかず軍産の一部に成り下がっている。人類にとって害悪なのはリベラル様たちの方であるが、彼らはマスコミや権威筋を牛耳り、中共よりも隠然なだけに悪質な世界的な独裁体制を敷いているため、批判すら許されない。言論の自由を守るといって実は壊しているのもリベラル様たちである。 (民主や人権の模範でなくなる米国の失墜)

【下平】

以上の三つを読むと、USAは金魚の糞まがいに日本を従えて今までは世界の覇権国として振舞っていたが、自国経済の不振興に気づいたトランプが自国第一主義の旗印を掲げて、資本主義経済ではない社会主義経済によって進み始めたアジアの大国・中国に世界の流れのリーダーを譲る姿がはっきりしてきたことがわかる。

こうした変化は単に資本主義と社会主義という今までの概念とは異なる経済全般の変化と理解しなければならない。 この変化は、資本主義を支えてきた自由主義の挫折の様相を意味することであり、所得格差の不合理から崩れ始めた金融システムの崩壊につながっていることを意味していると理解せざるを得ない。

こうした経済すべてにわたる構造的変化の動きや、ジャンヌダルクまがいのグレタさんの国連での 「地球温暖化こそ緊急の世界の課題なんだ」 に始まる警鐘対応問題や、コロナウイルス対人間の生存競争や、将来は生物すべてにかかわる戦争への恐怖や、人間社会の在り方の基本となる課題に私たちは直面しています。

守銭奴と非難されるような金銭欲への欲望の渦を脱却しなければ、人としての本来の課題の方向は見出し得ないと私は思います。 初代のユネスコ事務総長ハックスレーが心配ていた 「恐竜はその強大さゆえに滅び去ったが、人間はその知能の発達によって世界を征服したがその知能ゆえに滅びてはならない」 という憂慮は世界の誰でも共有しなければなりません。

相手に勝とうという価値観を払いのけ、 「最高の価値観は何か?」 という課題をみんなで話し合って求めなければならないのです。

私の考えを修正したい点があったら、それを課題にしていろいろと考えてほしい。