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宿業
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2022/02/09
田中宇の国際ニュース解説
ロシアは正義のためにウクライナに侵攻するかも
ロシアは正義のためにウクライナに侵攻するかも
2022年1月24日 田中 宇
米英の諜報界(軍産複合体)が、ロシアを挑発してウクライナ東部に侵攻させようとしている。ウクライナは、ウクライナ語を母語とするウクライナ系住民が多い西部地域と、ロシア語を母語とするロシア系住民が多い東部地域(ドンバス)から成り立ち、2014年までは、おおむね両者をバランスする指導者が政権をとっていた。だが米英諜報界は、2014年にウクライナ系の右派勢力を扇動して反政府運動(マイダン革命)を起こして支援し、政権転覆してロシア敵視の右派政権とすげ替えた。米英諜報界に操られて成立したウクライナ右派政権は、東部地域の自治を剥奪したので政府軍と東部の民兵団の間で内戦になり、現在まで内戦が続いている。 (The Three Types of US-Led Regime Change) (ウクライナ軍の敗北)
この地域のロシア系住民は、ウクライナとロシアにまたがって住んでいるが、ウクライナもロシアも1991年のソ連崩壊までソ連の一部であり、ウクライナ側のロシア系住民も、ロシア側のロシア人と同じ民族で、同胞だった。ウクライナ側も、国内に2民族がいても何の問題もなかった。ソ連が崩壊しウクライナが独立してウクライナ系のナショナリズムが強まった後も、ウクライナ政府は東部のロシア系住民に自治を認めて融和していた。だが米英諜報界は、2014年から意図的にこの融和を破壊し、ウクライナ系のナショナリズムに取り憑かれた右派政権の政府軍と民兵団に武器支援して、彼らが東部のロシア系住民を攻撃するよう仕向け、ウクライナを内戦に陥れている。ロシアの政府や人々は、自分たちの同胞であるウクライナのロシア系住民が米英の扇動で殺されていくのを見て、当然ながら激怒した。(米英諜報界は昔から、ロシア封じ込め策の一環としてウクライナのナショナリズムを扇動してきた) (US Must Take Russia’s Security Concerns Seriously) (False Flags Suddenly No Longer A Crazy Conspiracy Theory)
ソ連崩壊などの歴史的な経緯からウクライナ側のドンバスに住んでいる同胞を助けることは、ロシアの政府や人々にとって完全な「正義」である。ウクライナ政府が米英諜報界の傀儡になり下がり、ウクライナ政府軍がロシアの同胞であるロシア系住民を殺している。ロシアの人々や政治家は正義の感情として、ロシア政府軍をドンバスに差し向けて同胞を助け、ウクライナ政府軍を壊滅させるべきだと考えた。 (The United States Needs a New Approach to Russia) (プーチンを強め、米国を弱めるウクライナ騒動)
だが、2014年のロシアはまだ今より弱く、欧米との政治経済の関係を重視せざるを得なかった。もしロシア軍がウクライナ東部に進軍したら、米英諜報界はここぞとばかりにロシア敵視を扇動する。欧米諸国はロシアに極悪のレッテルを貼って経済制裁を強化する。欧米の政界やマスコミには米英諜報界の傀儡が多く、ほとんど誰もロシアの事情を理解しようとしない。少し考えれば、ロシアにとってウクライナ東部の同胞を助けることが大きな正義・義務であることがわかるのに、それは無視され「無実のウクライナに露軍が侵攻する極悪・人道犯罪が行われた」と歪曲的な話が喧伝され、欧米日の間抜けな人々がそれを軽信してロシアが悪いんだと思い込む。(日本でまともなのは一水会ぐらいだ) (Expansion: Blinken and Stoltenberg Lie Intentionally and the Media Applauds) (敵視と譲歩を繰り返しロシアを優勢にする米国)
ロシアはウクライナに軍を侵攻させず、代わりに露軍の要員が私服でウクライナ東部に入ってロシア系住民の民兵団を強化する戦略立案を行い、東部民兵団がウクライナ軍と互角に戦えるところまで持っていった。ロシアはウクライナ東部に武器を支援した可能性もあるが、露ウクライナ国境を監視していた欧州のOSCEは大規模な武器の越境を確認していない。ロシアはウクライナ東部のうち、ロシア軍の最重要な基地があるクリミア半島だけは、地元のロシア系の自治政府による分離独立宣言を支持し、クリミアをロシアに併合した(クリミアは、ウクライナ系だったフルシチョフによって1954年にウクライナに編入されるまでロシア領だった)。ロシアは欧米に配慮し、その他のウクライナ東部をウクライナ側に残したまま、東部の同胞を目立たないように支援してきた。しかし、米英主導のロシア敵視はひどくなるばかりで、ロシアに対する米欧の経済制裁は強化される一方だ。 (茶番な好戦策で欧露を結束させる米国) (NATO Seeks to 'Contain' Russia, There's 'No Room for Common Positive Agenda,' Top Diplomat Says)
米国は昨年、バイデン政権が外交や経済や国内行政やコロナ対策で失敗を続け、覇権の低下が加速した。昨年8月の米軍アフガン撤退などを機に、ロシア以南の中央アジアや中東で米国の覇権崩壊が起こり、先日は中央アジアのカザフスタンでクーデター的な暴動によってロシアの影響力が強化され、米英トルコの影響力が排除された。中東では米国の覇権低下と反比例して、イランやシリア、サウジアラビアUAE、エジプトなどがロシアの影響を強く受けるようになった。最近は、イランの大統領が訪露し、ロシアが米国を譲歩させてイラン核協定を再稼働する流れだ。露イランの影響圏になったシリアは、アラブ諸国と和解している。イランと仲良くしたいので米国からいじめられているUAEは、主力の戦闘機を米国のF35から、ロシアのSu75に替えることにした。米国の覇権が自滅し、ロシアの覇権が拡大している。 (Blinken: Iran nuclear talks reach 'decisive moment') (Booster Shot For Russia! Will UAE Co-Develop SU-75 Checkmate With Moscow After Suspending US F-35 Fighter Deal? ) (カザフスタン暴動の深層)
近年のロシアにとって最大の強みは、中国との経済関係がどんどん強化されていることだ。昨年の中露の貿易総額は前年比35%の増加だった。ロシアは以前、石油ガスを欧州に売って国富としてきたが、近年は中国がロシアの石油ガスを全量買いたがるようになり、中国との関係だけで露経済を回していけるようになっている。今のロシアはウクライナ内戦が始まった2014年ごろと異なり、中国との関係があるので欧米に経済制裁されてもかまわない状態になった。ロシアにとって欧米は、中国一辺倒だと中露関係においてロシアが不利になるので欧米との経済関係も維持したい、といった程度の存在になっている。このように最近のロシアは、安保と経済の両面で、とても余裕ができている。 (Trade turnover between Russia and China gained 35.8% in 2021) (Even Without War, Russia Has Defeated Europe Already)
そんなロシアの変化を全く無視して、米英諜報界はロシア敵視をガンガン続けている。米政界ではウクライナをNATOに入れる構想が出され続け、NATOに入ったウクライナの右派政権がロシアに戦争を仕掛け、NATOの5条に沿って米国をロシアと(核)戦争させる流れが作られている。米英は武器を大量にウクライナに輸出し、ウクライナ政府による東部のロシア系住民の殺傷を煽っている。欧米に対する自国の優位を感じているロシアの議会では、ウクライナ東部のロシア系住民の自治政府が住民投票などによってウクライナからの分離独立を宣言したら、ロシアがそれを支持する決議案が検討され始めている。クリミアのロシア併合時と同様、分離独立したウクライナ東部(ドンバス)の政府がロシアへの併合を望み、ロシアがそれを受け入れることでロシアがドンバスを併合する展開が今後あり得る。 ("War May Be Necessary": Russian Lawmakers Push For Donbass Independence Recognition) (米欧がロシア敵視をやめない理由)
そうなった場合ウクライナ政府は、自国の東部がロシアにもぎ取られることを強く拒否し、ウクライナ軍が全力で東部の民兵団(ドンバス軍)を攻撃する。ロシアから見るとドンバスは自国領になっているので、ロシア軍をドンバスに進軍させて攻めてきたウクライナ軍を攻撃し壊滅させることは合法、というか正義・義務だ。しかし、欧米はドンバスのロシア併合を認めず、ウクライナ領であるドンバスに露軍が侵攻したという話になる。欧米日の軽信者たちはこの見方を洗脳され、ロシアによる極悪のウクライナ侵攻だと思い込む。もしロシアがドンバスをウクライナから分離独立させて併合するなら、ウクライナがNATOに入る前にやった方が良い。ウクライナがNATOに入ってしまうと、露軍のドンバス進出・侵攻時に5条が発動されて米露核戦争になりかねない。 (Diplomat blasts West’s ‘Russian invasion of Ukraine’ rumors as cover-up for its own gambit) (Russian Soldiers Need a Map)
米英諜報界はウクライナへの軍事支援を加速するともに、間もなくNATOがウクライナ加盟を決めるかのような流れを作り、ロシアをドンバス併合、露軍侵攻へといざなっている。露軍が侵攻して、欧米からさらに強い経済制裁を受けても、ロシアには中国がいるのでかまわない。困るのはロシアから石油ガスを買えなくなるドイツなど欧州の方だ。米諜報界は最近、バイデン大統領に「ロシアがちょっとウクライナ東部に侵攻するぐらいなら、米軍を動かさずに見逃してやる」といった趣旨のことを言わせてすぐ撤回させ、隠然とプーチンに対し「ウクライナがNATO加盟前ならドンバスに侵攻しても大丈夫だよ。早くやっちゃいなよ」とけしかけている。NATO加盟前のウクライナから東部を分離・ロシア併合して露軍が侵攻しても、おそらく米軍は出ていかず、その後のウクライナがNATO加盟するのは欧米にとって危険すぎるので、NATO加盟の道も閉ざされる。 (Biden Clarifies Ukraine Stance After ‘Minor Incursion’ Comment Sparks Backlash) (Russia, at an Impasse With the West, Warns It Is Ready to Abandon Diplomacy)
このように見ていくと、ロシアがウクライナ東部を分離・併合し、露軍が侵攻してウクライナ軍を敗走させる展開がありうると感じられる。米英諜報界はマスコミに「露軍がウクライナ侵攻しそうだ」とプロパガンタ的に報じさせ、マスコミのプロパガンダに敏感なオルトメディアは「露軍がウクライナ侵攻しそうだという話はマスコミのプロパガンダだ」と言っている。たしかに、その手のマスコミの報道はプロパガンダ臭がぷんぷんする。しかし私には、このプロパガンダ臭を含めて米諜報界の策略でないかと感じる。ロシアによるドンバスの併合と、露軍のウクライナ侵攻の可能性は十分にある。 (Godot Likely To Arrive Before Russia Invades Ukraine) (Six Things the Media Won’t Tell You About Ukraine)
ロシア政府は以前から「(ドンバスに自治を再付与してウクライナ内戦を終わりにする)ミンスク合意を、ウクライナや欧米が履行しないなら、ロシアは、現実の状況として合意が履行された状態を実現する」と言っている。これが意味するところは、ドンバスを分離・ロシア併合し、露軍が侵攻してウクライナ軍を蹴散らすことで、ミンスク合意が履行された状態(ドンバスの人々がロシア同胞として生活できる状態)を実現する」ということだ。それを挙行するかどうかはプーチンが決める。挙行するかどうか、まだわからない。 (Whatever Russia Does in Ukraine, China Will Be Watching) ("Drumbeat Of War Sounding Loud" US Says After Russia Declares Talks At "Dead End")
これは、ドイツに対する試練でもある。米英は露軍にウクライナ侵攻させて欧米とロシアを(欧米側が負ける形で)決定的に対立させたいが、ドイツは欧州を引き連れてロシアと和解したいと考えている部分がある。ドイツは最近、米英などがウクライナに武器を送り込んで戦争を扇動しているのを阻止すると言い出している。これまでのドイツは対米従属で、米英のロシア敵視体制に不満を表明しつつ従っていた。しかし、このままロシアのドンバス併合と露軍の侵攻で欧米とロシアの仲が決定的に悪くなると、ロシアからドイツなどへの石油ガスの流れも止まり、ドイツは窮乏するばかりだ。ドイツが米英に「もうやめろ。我が国はEUを引き連れてロシアと和解する」と宣言するように仕向ける(ドイツを対米自立させて多極化を進める)ために、米英諜報界はウクライナ危機を扇動しているのかもしれない。 (Germany Blocks NATO Partners From Supplying Its Weapons To Ukraine) (German navy chief forced to resign after drawing criticism for saying Russia's Putin deserves respect) (Germany Blocks NATO Partners From Supplying Its Weapons To Ukraine)
http://bunbun.boo.jp/okera/w_shouka/s_kokumin/ks2_hagoromo2.htm 羽衣
2022/02/10
宿業の意味は何か ジャパンナレッジで調べる
宿業 仏教語大辞典
1. しゅく‐ごう【宿業】仏教語大辞典
も、つくるつみの宿業にあらずといふことなしとしるべし」 3 転じて、過去世の行為による病気。 三国伝記 八・一一 「生年六十一歳頻中風煩出、一月余平臥西方死。三 ‥‥〔「しゅうごう」「すくごう」とも〕2. すく‐ごう【宿業】仏教語大辞典
1 過去世につくった善悪の行為。現世、または来世に応報を招くもととなった前世の善悪の行為。
*唯信抄 「宿業の善悪は今生のありさまにてあきらかにしりぬべし」
2 現在の善悪を決定する拘束的な強い力。どうすることもできない根源的な拘束力。
*歎異抄 第一三 「卯毛・羊毛のさきにいるちりばかりも、つくるつみの宿業にあらずといふことなしとしるべし」
3 転じて、過去世の行為による病気。
*三国伝記 八・一一 「生年六十一歳にして頻に中風を煩出し、一月余平臥して西方に死す。三日を過て起居軽利して宿業除愈して語て云く」
「 しゅくごう【宿業】 」に同じ。 霊異記 上・八 「宿業所招非但現報」
3. え‐ごう【依業】仏教語大辞典
前世の宿業。また、その宿業にもとづくこと。 正法眼蔵 礼拝得髄 「依業の尊卑によらず」
4. かい‐りき【戒力】仏教語大辞典
持戒によって生じる功徳の力。 伝述一心戒文 中・六 「仏戒尤要、除災招福、戒力最深」 2 前世の宿業による力。業力の意。 義経記 七・判官北国落の事 「北の方は
5. かりていも‐ほう【訶利帝母法】仏教語大辞典
「訶梨帝母法云、若有女人不宜男女、或有胎中堕落、断殺不収、皆由四大不宜、男女不能調適、或被鬼神作諸障難、或是宿業因縁不宜男女。(略)所求一切事皆悉円満」
6. ごう‐つう【業通】仏教語大辞典
宿業によって得られた超人的な能力(神通力)。 大乗対俱舎抄 四 「本有謂死前居生刹那後。同・浄天眼見。業通、疾、具根、無対、不可転」
7. ごう‐びょう【業病】仏教語大辞典
前世の悪業によるとされた治りにくい病気。三病(風・鬼・業)の一つ。 法華直談鈔 四本・一八 「業病者先世宿業也。此病能治法無之」
8. さん‐とく【参得】仏教語大辞典
1 師に参じて坐禅し、悟りを体得すること。 伝光録 上・二〇 「道業日日に増長し、宿業時時に消滅す。然も須く子細に参得修行すべし」 2 転じて、師僧に法を聴く
9. さん‐びょう【三病】仏教語大辞典
1 なおりにくい病気を三種数えたもの。風病(中風)・鬼病(鬼による病)・業病(先世の宿業)の三つ。 法華直談鈔 四本・一八 「去一経中風・鬼・業三病分別也」
10. ししゅ‐おうじょう【四種往生】仏教語大辞典
声の念仏を唱えて往生すること)、(3)無記往生(臨終に心は無記となった者が前世に念仏者であった宿業によって、仏の光明に収めとられて往生すること)、(4)意念往生
11. しゅく‐ごう【夙業】仏教語大辞典
かつて行った行為。過去世の行為。 →宿業 律苑僧宝伝 一五・賢俊永律師 「一日有癩者至。白師曰、我以夙業故羅此病」
12. しょうぐん‐じぞう【勝軍地蔵】仏教語大辞典
つけ、右手に錫杖を、左手に如意宝珠をもち、軍馬にまたがっているもの。これを拝むと、戦いに勝ち、宿業・飢饉などをまぬがれるといい、鎌倉以降、武家に信仰された。 塵
13. じょ‐ゆ【除愈】仏教語大辞典
病悩が除かれ、病気が治癒すること。 三国伝記 八・一一 「一月余平臥西方死。三日過蘇生、起居軽利宿業除愈語云」
14. ぜん‐ごう【前業】仏教語大辞典
前世で行った善悪の行為。 →先業 →宿業 とはずがたり 三 「若しは畜類・獣に契るも、みな前業の果すところなり」
15. ぜん‐しょう【前生】仏教語大辞典
前に生をうけていた世。前の世。また、その生。 →先生 太平記 二・三人僧徒関東下向事 「前生の宿業にてをはすらんと思食れければ」 ぜん‐しょう 前生 の酔 前の
16. そう‐ほう【総報・惣報】仏教語大辞典
宿業によって生を享ける人・馬などといった共通の果報をいう。人・馬などの男女・雌雄、美醜などの差別である別報に対する。 雑談集 五・二 「三悪道と三善道とに生ずる
17. つみ【罪】仏教語大辞典
一般に罪に性罪、遮罪の二つを説く。 歎異抄 第一三 「卯毛・羊毛のさきにいるちりばかりも、つくるつみの宿業にあらずといふことなし」 つみ 罪 の根 無明煩悩のこと本来の道理に反し、または戒律の禁制に触れる行為で、それによって苦果を招く悪業をいう。一般に罪に性罪、遮罪の二つを説く。18. みょう‐しゅ【命数】仏教語大辞典
*歎異抄 第一三 「卯毛・羊毛のさきにいるちりばかりも、つくるつみの宿業にあらずといふことなし」
【慣用句・ことわざ】
罪の根ね
無明煩悩のこと。
*三宝絵 序 「罪の根、事葉ことばの林に露の御心もとゞまらじ」
いのちの長さ。寿命。 考信録 四・人相 「もし現世に善悪の所作あるも、また宿業の致すところなりといはゞ、仏門の業は、かの命数定分とは同日の談に非ず」
19. よ‐ごう【余業】仏教語大辞典
もたらす行為のうち、中心的なものに対する付属的なもの。 三国伝記 五・二七 「汝畜生転人身受、其宿業答今生法花経読誦。尚黒牛余業有身色黒」 4 念仏とかかわりの
【下平記】
親鸞の考えの中には、宿業の言葉を通常の言葉遣いとは違う理解の仕方であることがはっきりと分かります。
前世からの云々という考えは、現代の分子生物学の理解の仕方では明らかに不合理であると言わざるを得ない。
何故ならば、目には見えないほどの極めて小さい、あの遺伝子をもつ卵子にしても精子にしても、前世云々は考えられないからです。 この間違いは仏典の漢字理解の仕方によって違ってきたとしか思えないのです。
ですから、お釈迦さまの教えのどういう言葉を宿業という言葉で伝えてきたのかを、誰でも判るように説明しなければ不合理はそのまま続けられることになるのです。
ほんとうのこと、真実を知る、この鉄則は守られなければなりません。
そこで、「ジャパンナレッジ」で業を調べると次のような説明が出てきます。
業 仏教語大辞典
1. ごう【業】仏教語大辞典
一般に身・口・意の三業に分ける。また、身・口の二業に、他に示すことのできる表業と他に示すことのできない無表業の二つを分ける。善心による善業、悪心による悪業、善悪
【業】という語は《梵字 karman の訳》だと仏教語大辞典では解説している。1 身心の活動・行為。一般に身・口・意の三業に分ける。また、身・口の二業に、他に示すことのできる表業と他に示すことのできない無表業の二つを分ける。善心による善業、悪心による悪業、善悪いずれでもない無記業の三業に分けることもある。2. ごう‐いん【業印】仏教語大辞典
*妻鏡 「業は秤りの如し、重き方へ引べし」
*仏法夢物語 「此身の為に無量の業を作り」
2 前世に行った善悪の行為。
*霊異記 中・四一 「従二業因縁一或生二蛇馬牛犬鳥等一」
3 善悪の果をもたらす業因。
*歩船鈔 末 「業といふは善悪の業因なり」
4 前世の善悪の行為によって、現世においてうける応報。
*源氏 手習 「それにとどまらずばごふ尽にけりと思はむ」
5 特に悪業・罪業をいう。
*維摩経義疏 中一・弟子品 「汝計下魔具結業両存、故無中断由上」
6 密教で、金剛界曼荼羅における三十七尊中の十六大菩薩に属する精進門の南方の四親近ししんごん菩薩の名。
*秘蔵記 「三十七尊金剛名号。(略)業〈善巧〉」
7 修めることを課せられた学業、または、その成果。広く学業をもいう。
*続紀 一・文武四・三・己未 「(道照)適遇二玄弉三蔵一、師受レ業焉」
8 運命の意に用いる。
*義経記 五・忠信吉野山の合戦の事 「死ぬる程の業になりては力及ばず」
【慣用句・ことわざ】
業の鏡かがみ
「ごうきょう【業鏡】」に同じ。
*菩提心集 下 「業の鏡といふ物あり。罪人に見すれば、前の世の挙動あきらかに移(写カ)れり」 業の種子しゅうじ
善悪の業によって生ずる種子。この種子によって苦楽の果報(異熟果)を招くから、異熟習気じっけともいう。業種子。
*法相二巻抄 下 「業の種子と申候は、悪を起せば悪の種子を薫ず」
業の尽不尽じんふじん
業報をもたらす業因がなくなることと、なお残ること。
*覚海法語 「此業力所感の故に、業の尽不尽に依て改レ生」
行為の結果。 人となる道 不貪欲 「大抵は業印、印じ来て寸毫もたがへざるなり」
3. ごう‐いん【業因】仏教語大辞典
一・七 「仏因縁を説給けるは、過去に(略)終に母を亡し殺たる業因なり」 2 とくに、前世で積んだ悪業。 義経千本桜 四段目 「か程業因深き身も」
4. ごういん‐かんか【業因感果】仏教語大辞典
善悪の行為が因となってかならず善悪の果を招くということ。 法華直談鈔 一本・一三 「善悪因果歴然業因感果決定也」
5. ごう‐いんねん【業因縁】仏教語大辞典
苦楽の果を招く直接・間接の条件となる善悪の行為。 沙石集 五本・五 「業因縁によりて、相続してあるべき程ありて、つくべき時はつくる也」
6. ごう‐うん【業雲】仏教語大辞典
清浄な心を乱すことから、人の身心の乱れた行為を雲に喩えた語。 興禅護国論 下・七 「持戒清浄、業雲消除、心月朗然」
7. ごう‐えん【業縁】仏教語大辞典
苦楽の報いを招く直接の原因となる業因に対する、間接的な条件となるもの。また一般に、苦楽の報いを招く原因。 往生要集 下・一〇ノ五 「有諸衆生、於業縁中、心軽不信
8. ごう‐か【業果】仏教語大辞典
善悪の行為による報い。業報。 往生要集 下・一〇ノ五 「九部不了教中、為諸不信業果凡夫、密意説言有定報業」
9. ごう‐か【業火】仏教語大辞典
1 罪業を火に喩えた語。 雨月物語 五・青頭巾 「無明の業火の熾なるより鬼と化したるも」 2 地獄の罪人をやく猛火。転じて、はげしい火。 太平記 一五・三井寺
10. ごう‐かい【業海】仏教語大辞典
この世の悪業にみちていることを海に喩えた語。また、生死流転は業の招くところであるから、浮沈に託して海に喩えたもの。 謡抄 舟橋 「宗鏡録云、処異生時、業海浮沈、
11. ごうか‐ほうねん【業果法然】仏教語大辞典
先世の業の招くところ、おのずからにしてその結果は定まっているということ。 太平記 三五・北野通夜物語事 「在様業果法然の理とは云ながら、余りに心憂ぞ覚ける」
12. ごう‐かん【業感】仏教語大辞典
その受け方に、この世ですぐ受けるものを順現業、次の生で受ける順生業、さらに後の生で受ける順後業の三つを分ける。 聖財集 中 「業感三の差別あり、順現・順生・順後
13. ごう‐かん【業関】仏教語大辞典
ただし『十王経』には見えない。 日蓮遺文 十王讃歎鈔 「此(宗帝)王の内裏に詣る道に一の関あり。此を業関と名くる也」
14. ごうかん‐えんぎ【業感縁起】仏教語大辞典
小乗仏教で一切の万象は有情の業因により生じると説く教理。
15. ごうかん‐しょじょう【業感所成】仏教語大辞典
過去の行為によってその結果、つくりだされること。また、そのもの。 地蔵霊験記 上・八 「此の官舎台は有情の業感所成の所なり」
16. ごう‐き【業鬼】仏教語大辞典
悪業が招いて作り出した鬼。また、地獄の罪人が生前に犯した悪業によってつくりだした鬼。 地蔵霊験記 上・八 「仮に業鬼の為に牽れて此の境に来れり」
17. ごう‐きょう【業鏡】仏教語大辞典
浄玻璃の鏡とは別に、閻魔王宮の八方に八つの鏡をかけ、それを業鏡という。すべての人に共通した善悪の行為を映し出す鏡とする。 十王経 「復囲八方、毎方懸業鏡。一切衆
18. ごう‐ぎょう【業行】仏教語大辞典
身・口・意の三業によるはたらき。具体的な行為・行動。 選択集 二行章 「若欲捨専修雑業者、百時希得一二、千時希得五三。何以故。(略)心生軽慢、雖作業行、常与名利
19. ごう‐く【業苦】仏教語大辞典
前世に犯した悪業が招いた苦。また、生前に犯した罪によって死後、受ける苦しみ。 沙石集 一・八 「忽業苦を離て天に生ず」
20. ごう‐け【業戯】仏教語大辞典
(仏の自由な心が生じた)変幻窮まりないはたらき。 即身成仏義 「有諸如来意生作業戯行舞」
karman (クリックすること) 108 件
1. karma, karman伊和中辞典
[名詞][男][無変]《宗教》業(ごう), カルマン.
2. karma, karmanロベール仏和大辞典
[男性名詞](1931) 【宗教】 業(ごう),カルマン:人間が限りなく生まれ変わるように運命づけられている普遍的な法則.
【語源】[サンスクリット(=梵語)karman, -a 行為,業 ←kar- 行う+-ma 行為,結果]
3. karma/karmanポケプロ仏和
[男性名詞]【宗教】カルマ,業.
4. Kár・mán 音声ランダムハウス英和
n. Theodore von,カールマン. ⇒VON KÁRMÁN
6. Kar・ma独和大辞典
[中性名詞] -s/ , Kar・man [kárman] [中性名詞] -s/ 【宗教】 (仏教・ヒンズー教の)業, カルマ;運命,宿命 Mein Karm
7. カルマ【梵 karman】デジタル大辞泉
業(ごう)。
※ 全部では108件のデータですが、関係するものは以上です。
手元の「プロシード英和辞典」では Kar・ma (仏教・ヒンズー教で)
因果応報、業;運命、宿命 としています。
さて次に、宿業の宿をジャパンナレッジの字通では、 音読み シュク 訓読み やど・やどる・やどす、 解字 形声。宀が形を表し、佰(しゅく)が音を示す。佰は夙と同じく、朝早くの意味がある。宀は家で、宿は、家の中に止まることを表す。また、佰は肅と同じく、ひきしまる意味があり、宿は、やねの下でちぢまっていることともいう。一説に、宿の音は、席(せき)と通じるから、宿は、人が夜になって、家の中の席につくことを表すと解する。 など説明していますから、これは普通に宿ヤドしていると受けとめてよいでしょう。 気になるのは宿業の解説に前世のという言葉がよくつかわれています。これも調べてみますとなかなかの曲者で、ことが生まれ変わるという言い方で言う、前世は犬だったとかウサギだったとか、そんな意味ではなかったのです。
前世とは何か ジャパンナレッジ
3. ぜん‐せ【前世】デジタル大辞泉
《古くは「ぜんぜ」》この世に生まれ出る以前の世。さきの世。仏教では三世の一。過去世。ぜんせい。→現世 →来世
7. ぜんせ【前世】プログレッシブ和英
彼は一族の指導者になるように前世から運命づけられていたのだろうか Was he predestined to be the leader of his clan
11. ぜん‐せ【前世】仏教語大辞典
三世の一つ。この世に生まれ出る以前の世。過去世・先世とも。 維摩経義疏 下一・文殊問疾品 「此病皆従前世妄想顚倒諸煩悩生」
15. ぜん-ぜ【前世】全文全訳古語辞典
〔名詞〕《仏教語》「三世」の一つ。(「現世」「後世」に対して)この世に生まれる前の世。先の世。前生。 「たとひ前世の悪業拙しといふとも、仏、慈悲を垂れ給へ」〈今
16. 【前世】ぜんぜ新選漢和辞典Web版
【一】ぜんぜ/ぜんせ[仏教]生まれてくる前の世。前生(ぜんしょう)。⇔現世・後世(ごせ) 【二】ぜんせいむかし。前の時代。
三世の一つ ジャパンナレッジ
在日米軍という存在が、日本政府や自治体の手の届かないところにある。 ◆線引き ◆下平評
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2022/00/00
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