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続折々の記 2022 ④
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【 07 】05/18
     製鉄所、ウクライナ撤退命令
     マリウポリ、ロシア完全制圧へ 兵士260人、親ロ派地域移送
        負傷兵退避「戦闘任務を終了」マリウポリでの抵抗、意義強調
     天声人語 鉄の街よ
     バイデンの「台湾防衛発言」  2022/05/27 06:23
     朝日1面の記事   第三次世界大戦  05/30
        
 2022/05/18
製鉄所、ウクライナ撤退命令
マリウポリ、ロシア完全制圧へ 兵士260人、親ロ派地域移送

【写真・図版】① 製鉄所「アゾフスターリ」を出た後、車の中で担架に横たわり、移送を待つウクライナ軍の兵士。ロシア国防省が17日に映像を公開した=AFP時事
② ロシア軍の進軍エリア(5月16日時点)

 ロシア軍が2カ月半にわたって包囲するウクライナ南東部マリウポリ市の製鉄所「アゾフスターリ」で16日、ウクライナ兵の退避が始まり、260人以上が親ロシア派支配地域に移送された。ウクライナ軍側は任務の完了を報告し、兵士に撤退を命じた。ロシアが占領するクリミア半島とウクライナ東部をつなぐ要衝を、ロシアが近く完全制圧する可能性が高くなった。▼7面=「戦闘任務を終了」

 「多くの困難があったが、マリウポリの部隊は任務を完了した」。製鉄所を拠点に抵抗を続けてきたウクライナ内務省軍の「アゾフ連隊」のプロコペンコ指揮官は16日夜、SNSで兵士の退避を報告した。「軍の再編や兵士の訓練、海外からの武器の調達を可能にした」と成果を強調。ゼレンスキー大統領は16日夜のビデオ演説で「ウクライナは英雄たちの生還を必要としている」と語った。

 ウクライナ国防省のマリャル次官は17日未明、SNSで、製鉄所の重傷兵53人が東に約40キロ離れたノボアゾフスクの病院に搬送されたと報告。211人がドネツク州中心部に近いオレニフカに移送されたとした。ロシア兵の捕虜と交換されるという。

 ロシアは4月21日にマリウポリの掌握を宣言。国防省は今月17日、製鉄所から重傷者51人を含む265人が「投降した」と発表した。ロイター通信は同日、ロシアのペスコフ大統領報道官の発言として、プーチン大統領が兵士を「国際基準に基づいて」扱うことを保証したと伝えた。

 アゾフ連隊によると、製鉄所内には12日時点で1千人超のウクライナ側の兵士と、約500人の負傷兵が取り残されていた。あと何人の兵士が残っているかは不明だが、ロイター通信は17日も兵士を乗せた複数のバスが製鉄所を出たと伝えた。(坂本進=リビウ、根本晃)

 ■停戦協議は中断

 ロシア外務省は17日、ウクライナ政府との停戦協議が止まっていると主張。ウクライナのポドリャク大統領府長官顧問も交渉の中断を認めた。

▼7面=「戦闘任務を終了」
(ウクライナ侵攻)
負傷兵退避「戦闘任務を終了」マリウポリでの抵抗、意義強調

【写真・図版】ウクライナ東部の親ロシア派地域で16日、南東部マリウポリの製鉄所「アゾフスターリ」から到着したバスから運び出される負傷したウクライナ兵=ロイター

 ロシア軍の激しい攻撃が続いていたウクライナ南東部マリウポリ市の製鉄所「アゾフスターリ」から、負傷兵らの退避が始まった。ウクライナ軍は17日、マリウポリでの「戦闘任務を終了した」と発表。近く市全域がロシアの制圧下に入る可能性があるが、ウクライナ側は、製鉄所での抗戦がロシア軍の転戦を阻んだと意義を強調している。▼1面参照

 ロイター通信は16日、血がにじむ包帯を頭部に巻いたウクライナ兵が親ロ派支配地域のノボアゾフスクに到着し、退避に用いたバスから担架で運び出されていく写真を配信。車内を撮影した写真には、ウクライナ兵らが上下3段に重ねられた担架のそれぞれに横たわる姿が収められていた。

 ロシア国防省も17日、ウクライナ兵らが避難先に到着し、ロシア兵らから身体検査や応急処置を受ける様子を収めた動画を投稿した。人道的な姿勢をアピールする狙いとみられる。

 港湾都市マリウポリがロシア軍に包囲されたのは、侵攻から約1週間後の3月初めごろ。ロシア軍が徐々に包囲網を狭めるなか、ウクライナ軍が最後までとどまり抗戦したのが、アゾフスターリだった。

 東京ドーム235個分の敷地を誇り、爆撃や核攻撃にも備えて建設されたという「難攻不落の要塞(ようさい)」を拠点に抵抗を続けたことは、ロシア軍に苦戦を強いる大きな要因となっていた。ウクライナ軍参謀本部は17日未明のSNS投稿で「アゾフスターリの陣地を守ることで、敵が2万人規模の兵士を他の地域に転戦させることを許さなかった」と戦闘の意義を強調した。

 専門家からは、3月半ばには「マリウポリはいつ陥落してもおかしくない」との分析も示されたが、その後2カ月間、ロシア軍の猛攻に耐えた。早期に陥落させて兵士を別の戦線に送るロシア軍の思惑は外れ、将官も死亡するなどロシア軍にも大きな犠牲が出た。

 結局、ロシア軍がマリウポリを包囲する軍勢を転戦させたのは5月に入ってから。米国防総省によれば、ロシア軍は約2千人の部隊をマリウポリに残し、大半の兵士を東部ドンバス地方の戦闘に向かわせた。だが、すでに欧米からの軍事支援を得たウクライナ軍を前に、戦況を大きく変える力にはなっていない。

 一方、ロシア軍がマリウポリを制圧すれば、南部ヘルソンにかけての沿岸部一帯でロシア側の支配が確立する。米戦争研究所は16日、ロシアがマリウポリの港を再開し、ロシアからの航路を確保しようとしていると指摘した。

 アゾフスターリでの抵抗戦が続く間も、ロシア側はマリウポリの実効支配を進めてきた。同市があるドネツク州を拠点とする親ロシア勢力「ドネツク人民共和国」トップのプシリン氏は9日、市内で開かれた対独戦勝記念日のパレードに参加したとSNSに投稿。ロシア国営タス通信などによると、住民らに対し、「ロシアは永遠にここにある。あなた方はついに故郷に戻った」と語り、侵攻を正当化した。さらに製鉄所は「環境に悪い」とし、同市をリゾート地化して、雇用や収入増につなげるとの計画を披露したという。

 ウクライナのウニアン通信がマリウポリのボイチェンコ市長のテレビ番組での発言として伝えたところによると、ロシア軍はマリウポリから退避した住民に対して、破壊された自宅を補償すると伝え、帰還を促しているという。ボイチェンコ氏は、ロシア軍が破壊した住宅の補償を進めるとすれば膨大な金額が必要になると説明。戻ってきた市民を、その後にウクライナ側との交渉材料に使うための「罠(わな)だ」と非難した。

 マリウポリでは、ロシア軍の攻撃で2万人以上が犠牲になったとされ、民間人への残虐行為や遺体の隠蔽(いんぺい)なども指摘されている。市内全域がロシアの支配下に入れば、被害の実態解明が困難になる可能性もある。(高野遼=ワシントン、根本晃)
     ◇
 ロシア軍の攻撃は16~17日もウクライナ各地で続いた。東部ルハンスク州のハイダイ知事によると、同州の主要都市セベロドネツクで、砲撃により少なくとも住民10人が死亡。ドネツク州のキリレンコ知事によると、同州内でも攻撃があり、住民9人が亡くなった。北部チェルニヒウ州でもミサイル攻撃により8人が犠牲になったと報じられている。

 ■製鉄所「アゾフスターリ」をめぐる経緯

<3月初めごろ> ロシア軍がマリウポリの包囲を開始

<4月16日> ロシア国防省が「マリウポリ市街地からウクライナ軍を完全に排除した」とし、製鉄所で抵抗を続けるウクライナ兵に対し、翌17日に投降をよびかけ

<17日> ウクライナ側「最後まで戦う」

<19日> 市当局が子どもを含む市民1千人以上が避難とSNSで訴え

<21日> ロシアがマリウポリ掌握を宣言

<5月1日> ウクライナのゼレンスキー大統領や国連、赤十字国際委員会が、市民約100人が製鉄所を脱出し、ウクライナ政府の支配地域へ移動していると明らかに

<2日> ロシア軍が製鉄所を再び激しく攻撃。市民の退避中断

<7日> ゼレンスキー氏が、取り残されたほぼすべての市民が救出されたと発表。ウクライナ内務省軍の部隊「アゾフ連隊」の兵士が残り、抵抗を続けているとする

<10日> マリウポリ市長顧問が「100人以上の市民が残っている」とSNSに投稿

<16日> 製鉄所からウクライナ兵の退避が始まる

(天声人語)
鉄の街よ

 黒海の北にあるアゾフ海は、世界一浅い海として知られる。最深部でも14メートルしかなく、チョウザメなどの漁が盛んだ。18世紀、その北岸に美しい街が築かれ、ロシアの女帝は「マリアの街(詳しい解説がある)」と名付けた
▼マリウポリである。ウクライナ有数の工業都市を支えてきたのは、「アゾフの鉄」を意味する巨大製鉄所「アゾフスターリ」だ。冷戦下、ソ連は核攻撃に備えてシェルターを整備。地下深くを迷路のようなトンネルで結び、数万人を収容できる要塞(ようさい)都市が出現した
▼この2月まで名を口にしたことすらなかったその街を、いま世界が注視する。ロシア軍は避難住民ごと製鉄所を包囲。「太陽が見たい」「生き残りたい」。薄暗い地下室で暮らす子どもたちの言葉にこちらまで不安に包まれた
▼製鉄所が黒煙に覆われ、花火のように焼夷(しょうい)弾が降り注ぐ。戦果を誇示するロシア側の公開映像は、テレビゲームのようで現実感がない。兵士であれ民間人であれ、その下に身を潜める人たちの絶望を思わざるをえなかった
▼「アゾフスターリを救って、いますぐ」。欧州を熱狂させる国別対抗歌謡祭ユーロビジョンで先週末、ウクライナ代表の6人組が呼びかけた。優勝を決めた歓喜の舞台での悲痛な叫びだった
▼願いもむなしくアゾフの鉄は包囲軍の手に落ちたか。歌謡祭の慣例では翌年は優勝国での開催が原則と聞く。ウクライナのどこかの街で、1年後に欧州各国語の歌声が響くさまを頭に描こうと努めた。どうにも焦点を結ばなかった。

2022/05/27 06:23(下平)
バイデン大統領が日米豪印の四首脳で中国の台湾問題で発言したのは、「ウクライナの二の舞」と私はにらんだ。 ところが、それは間違いなくアメリカ国内でもヤキモキしていたというニュースが現代ビジネスで発信していた。

(現代ビジネス)バイデンの「台湾防衛発言」で判明、もうアメリカは中国と「直接対決」する気がなさそうだ
   長谷川 幸洋 2022/05/27 06:00

大統領が「軍事介入」を明言
米国のジョー・バイデン大統領が台湾有事に対して、軍事介入する方針を明言した。だが、これが直ちに「米軍派遣」を意味するとは限らない。あくまで、中国をけん制するのが狙いだろう。そうだとすれば、中国が台湾に侵攻したとき、米国はどう動くのか。

日米首脳会談やオーストラリア、インドとの4カ国戦略枠組み「QUAD(クアッド)」首脳会議のために来日した大統領は5月23日、岸田文雄首相とともに臨んだ会見で、記者の質問に、こう答えた。

記者:あなたは、明らかな理由でウクライナの紛争に軍事的な介入は望まなかった。あなたは、もしそれが起きたら、台湾を守るために、軍事的に介入しますか。

大統領:はい。

記者:本当に?

大統領:それが、我々の公約だ。

大統領が答えると、同席していたラーム・エマニュエル駐日米国大使は当惑したように、隣のアントニー・ブリンケン国務長官と、ひそひそ話を始めた。そのシーンを、CNNのカメラがとらえている。大使には、予想外だったのかもしれない。

岸田文雄首相と会見に臨むバイデン大統領[Photo by gettyimages]© 現代ビジネス 岸田文雄首相と会見に臨むバイデン大統領[Photo by gettyimages]
続いて、大統領は手元のメモを見ながら、こう語った。

〈それ(台湾)を武力で奪取できるという考えは、単に不適切であるだけではない。それは地域全体を混乱させ、ウクライナで起きたのと同じような行動になる。そして、それはもっと重い負担になるのだ〉
言葉通りに受け止めれば、大統領は米軍を派遣する可能性も含めて、軍事介入する方針を示したことになる。すると、ホワイトハウスの事務方は直ちに修正に動いた。

ニューヨーク・タイムズなどによれば、ホワイトハウスは「我々の政策は変わっていない。大統領は『1つの中国政策』と、台湾海峡の平和と安定を目指す我々の公約と、台湾に軍事手段を提供する台湾関係法の下での公約を繰り返しただけだ」と記者団に説明した。

ロイド・オースチン国防長官も会見で「政策は変わっていない、という事実を大統領は明確にしたのだ、と思う」と語り、ホワイトハウスと足並みをそろえた。

ロイド・オースチン国防長官[Photo by gettyimages]© 現代ビジネス ロイド・オースチン国防長官[Photo by gettyimages]
過去の発言と比べてみると…
これを、どう受け止めるか。

私は、バイデン政権が台湾有事に介入するかどうかを明言しない「曖昧戦略」を微修正して、軍事介入へ一歩踏み込む「曖昧戦略2」にバージョンアップした、とみる。ただし、肝心の「米軍派遣」については明言せず、従来のままだ。

過去の大統領発言と比べると、それは明確になる。バイデン氏は台湾有事での介入問題について、これまで3回発言している。

1回目は昨年8月19日だった。大統領はABCのインタビューでこう語った。

〈我々は(相互防衛義務を定めた北大西洋条約の)第5条の神聖な約束をした。もしも、誰かがNATOの同盟国に侵攻したら、我々は対応する。日本も韓国も、それから台湾も同じだ〉 日本と韓国について、米国は条約上の防衛義務を負っているが、台湾とは条約がなく、防衛義務はない。したがって、発言は明らかに勇み足で、国務省は直ちに「台湾についての政策に変わりはない」と修正した。

続いて同年10月21日、大統領はCNNのタウンホール集会で「米国は台湾を守るのか」と問われて「そのとおりだ。我々は(台湾を守る)約束をしている」と答えた。このときも、ホワイトハウス報道官が「政策変更を表明したわけでも、変更を決定したわけでもない」と修正した。

今回は「軍事的に介入するか(get involved militarily)」と問われ「そうだ。それが我々の公約だ」と答えているのだから、2回目よりも踏み込んだのは、明らかだ。ウクライナと同じように、武器弾薬などを提供するのは確実だろう。

ウクライナ侵攻との密接な関わり
大統領はなぜ、このタイミングで台湾防衛に踏み込んだのか。

もちろん、中国を強くけん制するためだ。ロシアのウクライナ侵攻について、大統領は昨年12月にいち早く米軍を派遣しない方針を明言し、内外で「侵攻を促す一因になった」という批判を浴びた。その反省もあったに違いない。

ただし、繰り返すが、この発言が米軍派遣を意味するかと言えば、そうとは言えない。軍事物資の提供にとどめても「軍事介入」に変わりはないからだ。逆に米軍を派遣しても、発言と矛盾しない。結局、玉虫色の曖昧さは維持している。

では、実際にどうなるのか。

私は、これまでも書いてきたように、米軍派遣に悲観的だ。米軍を派遣して、台湾に侵攻した中国と正面衝突すれば、それこそ核戦争に発展しかねない。それでは、米国が負うリスクが大きすぎる。

米軍の現場も慎重だ。マーク・ミリー統合参謀本部議長は4月5日、上院軍事委員会で「台湾防衛の最善策は(米国の支援を受けて)台湾人自身の手で実行される」と証言した。

ウクライナ侵攻についても「米軍が派遣されていなければ、プーチン氏の侵攻を抑止できたとは思えない」「だが、派遣されれば、ロシアと軍事衝突するリスクが高まる。私は、とても『派遣すべきだ』とは助言しなかっただろう」と述べた。

マーク・ミリー統合参謀本部議長[Photo by gettyimages]© 現代ビジネス マーク・ミリー統合参謀本部議長[Photo by gettyimages]
台湾への米軍派遣問題は、ウクライナ戦争の行方と密接に関わってくる。

もしも、ウクライナが西側各国の支援を得て、ロシア軍を追い出すのに成功すれば、核の脅しにもかかわらず、ウクライナと西側は通常兵器で、しかも米軍や北大西洋条約機構(NATO)軍の派遣なしで、ロシアに勝利する形になる。

そうなったら、米国は「台湾でも米軍なしで中国に勝てる」と考えるかもしれない。もっと言えば、これが米国の「新しい戦争のかたち」になる可能性がある。つまり「米軍は後方支援だけで、戦うのは現地軍」にするのだ。

米国は昨年8月、史上最長の戦争を戦ったアフガニスタンから撤退したばかりで、国民は「戦争疲れ」している。ウクライナに米軍を派遣しないのは、核を持つロシアとの直接対決を恐れたからだ。そうであれば、核を持つ中国との直接対決を避けても、おかしくない。

尖閣を守ってはくれない
米国が台湾有事で米軍を派遣しないなら、日本の尖閣諸島有事では、なおさらだ。尖閣諸島を防衛するのは、あくまで自衛隊であり、米軍は後方支援するだけになる。もしも、中国が核の使用をちらつかせたら、どうなるか。米国は核で反撃する構えをみせるのか。

とても考えられない。誰も住まない日本の無人島を守るのに、米国がニューヨークやワシントンが核で攻撃されるリスクを冒すわけがないのは、誰でも分かるだろう。米国が日本に提供する「核の拡大抑止」とは、いつでもどこでも、必ず適用される話ではない。

ウクライナの戦争は事実上、中国を巻き込んで、これまで闇の世界に封印されていた「日米同盟の真実」をも暴露しつつある。いまや、日本は核をタブー視している場合ではない。日米は核抑止を含めて、閣僚協議の開始で一致した。一歩前進である。
以上終り。

 2022/05/30
朝日1面の記事      

第三次世界大戦は、将に経済戦略を中心とするものである。それも、資本主義と社会主義の対立で米:ロを軸とし内実は米:ロ中であり、具体的にはアメリカの周到な準備に始まり、ロシアがウクライナへ侵略する仕掛けを作ったことに始まる。

昨日の新聞の1面下欄に、

 プロパガンダゲーム  根本総一郎

 「君たちには、この戦争を正しいと思わせてほしい」
  巨大広告代理店の就職試験は、
  世論を戦争に導く宣伝ゲームだった――
  これからの世界と民主主義を考えるために必読の小説。
  【双葉文庫】定価723円(税込)

   その戦争報道、素直に信じていませんか?
   作家・ジャーナリスト
   佐々木俊尚氏 絶賛!!

          双葉社
   〒162-8540 東京都新宿区東五軒町3-28
   www.futabasha.co.jp/お求めは書店にて

こんな広告は別として、「プロパガンダ」を検索語として調べると‘あるある !!’、私自身驚いたが、フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)は総体的に詳細な説明をしているのです。 ‘戦争遂行のためのプロパガンダ’などがでてきます。

戦争の因果関係を調べるには、戦争の結果どちらが損をしどちらが得をしたのか調べること。或いは、どちらがほくそ笑んでいたかを調べること。 これは、歴史の因果関係を調べていく大事なキーポイントなのです。 トインビーからも学べます。

歴史事象の変化は、普通の人たちの総合的な感覚とか判断が一番の原点になって現われてくる。 私はそう学び取ってきました。

この感覚で今回のウクライナ紛争を見ていると、この歴史の因果関係は図式的にもはっきり出てきていると言えるのです。

誰が得をしてほくそ笑んでいるかといえば、バイデン大統領率いる米国しかありません。 誰が損をして困っているかといえば、世界中の国の一般の人々しかありません。 原因になっているのはバイデンのプロパガンダの計画であり、結果としてはウクライナの人々及びプーチンが直接惨めになりその経済的な惨めさは悲惨そのものです。

この歴史変化から歴史が動いていく方向は、一つは誰でも心配する更なるプロパガンダによる悲惨な死傷と文化の破壊であり、よい方向として願うのは新たな世界組織を作る方向しかないと思います。

不戦条約の失敗、国際連盟の失敗、そして残った課題は国家による覇権の争いしかありません。 この覇権の内容は金融のドル支配ということ、紛争解決法としての更なる戦争準備の方向ということ、もう一つは新しい世界の金融組織、覇権に変わる相互物々交換による貿易体制、政治上の支配関係としては互恵を基調とする世界法の整備、こうした道筋を読み解くとしていくと、精神的な心の願いを共有する道しかないと私は思います。

今までの世界組織として鳴りを潜めていたユネスコの精神 すなわち

政府の政治的及び経済的取極のみに基く平和は、世界の諸人民の、一致した、 しかも永続する誠実な支持を確保できる平和ではない。よって平和は、失わ れないためには、(世界の一人ひとりの⇔下平の註)人類の知的及び精神的連帯の上に築かなければならない。

そのために

That the great and terrible war which has now ended was a war made possible by the denial of the democratic principles of the dignity, equality and mutual respect of men, and by the propagation, in their place, throughignorance and prejudice , of the doctrine of the inequality of men and races;

ここに終わりを告げた恐るべき大戦争は、人間の尊厳・平等・相互の尊重という民主主 義の原理を否認し、これらの原理の代りに、無知と偏見を通じて人種の不平等という教養を広めることによって可能にされた戦争であった。

この言葉に気をつけて、日本語で言う無知と偏見は、誤解する心配がある
  ignorance = ① 無知,無学
          ② 知らないこと(語源) be in ignorance of… …を知らない
  prejudice = 先入観、偏見
そのために、ことに ignorance は無知ではなく学んでなくて知らないこと、と解釈しなければならないのです。

私たちはみんなで、他国の人たちについて知り 「人間の尊厳・平等・相互の尊重ということ」 を最も大切にしなければならないのです。
以上


それでは記事へ移ります。

2022年5月30日(経済安保 米中のはざまで) 武器化する経済、暮らしに飛び火  ロシアのウクライナ侵攻をめぐって、日米欧とロシアは、軍事力ではなく、経済的手段を「武器化」した経済制裁の応酬を繰り広げている。ただ、経済安全保障の分野では、制裁という「攻め」に伴う「返り血」も浴びかねない。制裁の副作用も見据えた、冷静な戦略が不可欠となる。

 「ロシアは制裁による長期的代償を払わなくてはならない。この制裁が持続できなければ、台湾を力ずくで奪おうとした場合の代償について、中国にどんなシグナルを送るだろうか」

 バイデン米大統領は23日、岸田文雄首相との日米首脳会談後の記者会見で、米主導の対ロ制裁の意義をこう強調した。日米は、ロシアの「武力による現状変更」を欧州で見過ごせば、中国による暴挙をアジアで許しかねないと懸念する。

 ■制裁「両刃の剣」

 ただ、各国の利害が複雑に絡み合う経済の相互依存が進む中では「経済の武器化は両刃の剣で、返り血を浴びる」(外務省幹部)。

 日米首脳会談の約2週間前。萩生田光一経済産業相は10日の会見でロシア産石油の輸入原則禁止を実現させる道筋を記者から問われ、「勇ましいことを言う人がいるが、国民の暮らしや経済も守らないといけない。国際社会との約束、国民生活や経済を守る、こういった難しい方程式を日々検討している」と述べた。

 主要7カ国(G7)首脳は今月8日、ロシアへの資金流入を防ぐため、石油の禁輸を含むエネルギー分野での脱ロシア依存を進めると表明した。

 中国を牽制(けんせい)したい日本は、ロシアへの制裁を緩めることはできず、欧米との足並みを重視する。かといって「ロシア憎しの世論に押され、国益を損なっては本末転倒」(経産省幹部)との側面も無視できない。

 ■1.5万社悪影響か

 日本がこれまでにロシアに課した制裁の強度は、「対北朝鮮並み」(政府関係者)だ。外国為替及び外国貿易法(外為法)に基づく半導体などの輸出禁止や、木材の一部やウォッカの輸入禁止、プーチン大統領や側近の資産凍結にも踏み込んだが、その影響は対北朝鮮制裁の比ではない。

 輸出入の規制によって、ロシアと直接・間接的に取引する日本企業約1万5千社に悪影響が出る恐れがある。物品調達価格の上昇は市民生活にも打撃となる。

 経済制裁につきまとう、ジレンマをどう乗り越えるか。欧米と連携して対ロ制裁の効果を最大化しつつ、日本経済への影響をどう最小化するのか――。日本の経済安保戦略がいま、試されている。(編集委員・佐藤武嗣)▼2面=期待と逆効果

▼2面=期待と逆効果 (経済安保 米中のはざまで)
制裁、期待と逆効果 写真・図版 【日本政府によるロシアへの主な経済・金融制裁】

 日本は対ロ制裁で米欧と足並みをそろえるが、その「代償」にも身構える。過去の事例でも、経済制裁や輸出規制で、常に期待した結果が得られるとは限らない。一時の敵対心にかられた制裁は逆効果すら招く。供給網の安定確保など、政府が「守り」と位置づける経済安全保障推進法も今月成立したが、これも目的を見失えば、効果は望めない。▼1面参照

 ■東南アジア「次は…」警戒 日米欧が協調、通貨・金融まで

 「大変厳しい決断だが、G7(主要7カ国)の結束が何よりも重要な時だ。ロシア産石油の原則禁輸という措置をとることにした」

 岸田文雄首相は9日、G7首脳が石油の禁輸を含めたエネルギーのロシア依存脱却を表明したことを受け、記者団にこう語った。

 政府は首相の指示を受け、3月に経済産業省に「戦略物資・エネルギーサプライチェーン対策本部」を設置。ロシア産の天然ガスや石油などエネルギーや希少金属の供給が滞る「制裁の副作用」を懸念し、価格の高騰など国民への影響を最小限にするため、供給網の多角化や国内増産体制強化の議論を始めた。

 一方で政府は、ロシア・サハリンの資源開発事業からは撤退しない方針だ。日本はロシア産の原油と液化天然ガス(LNG)の大半を、政府や日本の商社などが出資する資源開発事業「サハリン1」と「サハリン2」から調達している。萩生田光一経済産業相は理由について「日本が早々に撤退すれば、第三国に権益が移動する」と述べ、権益奪取を狙う中国の存在も示唆。外務省幹部も「制裁合戦は結果的に中ロの連携を促し、欧米と中ロの二極化につながりかねない」と警戒する。

 米欧主導の制裁はロシア経済への打撃では一定の効果を発揮しているが、国際社会から全面的な賛同を得ているわけではない。

 東南アジアの動向に詳しい相澤伸広・九州大准教授は「日米欧が通貨・金融まで踏み込み、協調的に対ロ制裁を重ねたことで、東南アジア各国に警戒感が生まれつつある」と話す。

 東南アジア各国は中国からの報復・制裁措置に苦しみ、供給網を安定させようと日米欧との協調を望んでいる。一方、米国による中国排除や民主主義・人権の価値観の押しつけも嫌う。

 加えて、自国が将来、米国の制裁の標的になるのではとの思いが芽生えていると相澤准教授は指摘する。「日米欧の対ロ制裁が成功するほど、将来的なリスクを回避しようと、東南アジア各国の『ドル離れ』が進みかねず、米国には戦略的ジレンマになりかねない」(佐藤武嗣、若井琢水)

 ■相手の自律促すジレンマ 対韓規制、素材国産化進める

 対ロ制裁以外に、日本が科したり、科されたりした制裁は、どんな結果を招いたのだろうか。

 韓国の文在寅(ムンジェイン)・前大統領は9日の退任会見で「日本の不当な輸出規制による危機を全国民が力を合わせて克服したことは決して忘れられない」と胸を張った。

 「日本の不当な輸出規制」とは、安倍政権が2019年、韓国で日本企業が賠償を命じられた元徴用工訴訟判決への対抗策で、半導体関連素材の3品目(フッ化水素、フッ化ポリイミド、レジスト)の対韓輸出規制を発動したことだ。

 韓国政府は「素材・部品・装備の競争力強化委員会」を設け、日本企業への依存度が高い素材や部品などの国産化や調達先の多様化を図る政策を推進した。

 輸出規制から約2年半。韓国産業通商資源省の2月末の発表では、韓国の製造業に欠かせない素材など100品目のうち、日本への依存度は19年の30・9%から21年は24・9%に低下。日本が輸出規制した3品目では、フッ化水素が19年から66%減、レジストの対日依存度は半減し、フッ化ポリイミドはゼロという。

 文氏は演説で「(危機を)部品などの自立を果たす機会に変え、製造業の競争力を高めることにつなげた」と強調した。日本がとった措置が、韓国の重要物資の国産化や日本以外からの供給網の多角化を促したことは間違いない。

 中国による対日輸出規制では、中国が自らの首を絞める結果を招いた。

 中国は10年、尖閣諸島周辺で中国漁船船長が日本側に逮捕されたことへの報復措置として、自動車や家電、戦闘機などハイテク産業に欠かせないレアアースの対日輸出を規制した。

 これに対し、日本の商社は、新たに豪州のレアアース鉱山と契約して供給網の多角化を図った。政府もレアアースを使わない技術を支援する措置をとった。

 日本は12年、欧米とともに、中国のレアアース輸出規制を世界貿易機関(WTO)に提訴し、中国の協定違反が認められた。レアアースの世界に占める中国の生産比率はかつて90%後半だったが、現在は6割台に下落した。

 制裁には一時的に相手に打撃を与えても「中長期的に相手の供給網の多角化や素材の国産化、経済の自律を促してしまうジレンマがある」(政府関係者)。

 経済制裁の成功例として挙げられるのが、オバマ米政権の「イラン核合意」だ。米側はイランが望む経済制裁の解除というゴールを示しながら圧力をかけ、イランから核兵器開発の大幅削減を引き出した。

 経済制裁や輸出規制の目的は相手の行動を抑止し、政策変更を促すことだ。目的の明確化と結果を見極めることがカギを握る。(ソウル=神谷毅)

 ■経済安保法の運用 目的・効果、見極めを

 政府は、外為法などに基づく制裁や輸出規制を「攻め」と位置づける一方、今国会で成立した経済安全保障推進法を、国内の重要物資の安定供給確保など「守り」の措置として、中国依存からの脱却を目指す。

 ただ、政府関係者も「今や中国抜きに日本経済は回らない。中国と経済のデカップリング(切り離し)は難しい」と認める。

 同法の必要性を強調しつつ、「国内産業の育成」を盛り込んだことに、「国産主義が進めば、コストは上がり、企業や消費者に跳ね返る」とし、運用の行き過ぎは逆効果になるとの見方を示す。

 経済界には運用が恣意(しい)的に行われ、国が企業活動に過度に介入することへの警戒もある。

 ある企業幹部は「企業への締め付けが目的化しないよう望む」と話す。

 制裁や輸出規制の目的と効果を中長期的にどう見極め、法をどう運用するのか。政府関係者は「安全保障は結果が全て。経済安保法の先に、日本の国力がどうなるかを見据える必要がある」と語る。(相原亮)

1面記事 ウクライナ側拠点、ロシアが包囲強化 ルハンスク州、犠牲相次ぐ  ウクライナに侵攻したロシア軍が制圧を目指す同国東部で28日から29日にかけ、ルハンスク州でウクライナ側の拠点として残ったセベロドネツク市やその周辺での攻防が激化した。ロシア軍は同市の包囲網を強めて砲撃を繰り返した。市民の犠牲も相次ぎ、ウクライナ軍は厳しい状況に立たされている。▼4面=医療ニーズ複雑に

 州当局やウクライナ軍の発表によると、川を挟んでセベロドネツクと隣接するリシチャンスク市で28日夜、高層集合住宅がロシア軍に砲撃され、20代の女性1人が死亡。4人が負傷した。同市では映画館が入る建物も空爆で破壊された。

 ウクライナ軍はセベロドネツクの外周の3分の2がロシア軍に押さえられたことを認めるが、完全包囲は否定している。

 ルハンスク州は隣接するドネツク州とともにドンバス地方を構成。2014年春から親ロシア派武装勢力が両州の約3分の1を占拠していたが、ロシア軍の侵攻後、ルハンスク州では9割以上の地域に支配を広げた。セベロドネツクや周辺を攻略し、同州の完全制圧を狙っている。

 フランスのマクロン大統領とドイツのショルツ首相は28日、ロシアのプーチン大統領と電話会談し、ウクライナのゼレンスキー大統領との対話を呼びかけた。(根本晃、喜田尚、ブリュッセル=青田秀樹)

▼4面=医療ニーズ複雑に 長期戦、ウクライナ避難民の診察・薬不足  ロシアによる侵攻が続くウクライナには、軍事面だけではなく医療分野でも国際的な支援が寄せられている。戦闘による負傷者を治療するだけではなく、国内各地に散った避難民への対応も求められる。戦いが長期化する中で、一部の医薬品などの不足も起き始めた。人命を救うための最前線で、支援への需要はなお、膨らんでいる。

 ■支援物資のマネキン、負傷者の処置実習

 4月下旬、ポーランド国境に近い西部モスチスカの学校では、白いテントの前に30~40人の住民の列ができていた。イスラエルが設けた臨時病院だ。

 「1日、多くて300人近くが来訪します。3割が避難者、7割は地元の方ですね」。案内してくれたゲナディ・ガイスマン医師(50)が言った。

 「典型的な疾患は、心的外傷後ストレス障害(PTSD)。次に多いのは糖尿病、心臓病、呼吸器疾患など。出産を手がけることもありました」と話す。

 病院は3月下旬から約1カ月間、運営された。スタッフは内科、外科、小児科、産婦人科などの医師や看護師ら約70人。合計で7千人ほどを診療した。大半は軽症だったが、心臓の難病が見つかり、手術のためにイスラエルに送られた女の子もいたという。

 ウクライナ出身でイスラエルで働くガイスマン医師は「地元の医師とも交流できた。持ち込んだ医療器具も残していくので、ウクライナの医療の発展につながれば」と期待する。

 「医療ニーズは地域によって違うので、事前の調査を徹底した。前線に近ければ、違った陣容になっただろう」。支援チームのリーダー、ミハエル・メケル医師(49)はそう言う。「私たちは居続けられない。できることを整理し、地元に引き継ぐ必要がある」

 2月に始まったロシアのウクライナ侵攻だが、医療のニーズは地域や時期によって様々だ。

 リビウ国立医科大学のアンドレイ・バジレビッチ教授が「初期の貴重な支援物資」と紹介するのは、医療実習用のマネキンだ。世界医師会が、日本医師会をはじめ世界中の関係団体から集めた支援金で調達した。

 侵攻直後に明らかになった課題のひとつが、戦闘での負傷者の処置に慣れた医師が限られることだった。身体の一部を失ったような、ふだんの診療ではほぼ見ない負傷者も運ばれてくる。

 負傷者は民間の一般病院にも運ばれ、治療の優先順位をつける「トリアージ」を含め、医師たちが休みなしの対応を続けた。「慣れていない医師では心理的な負担も大きい。判断も手術も難しいケースもあった」

 そこで大学では、医師、軍関係者、医学生、赤十字の医療ボランティアなどを集めて、応急処置の講習会を実施。そこで実習用のマネキンが活躍したという。

 前線やその近くでは、攻撃の対象となった病院もあれば、負傷者の対応で手いっぱいとなった病院もある。それ以外の地域でも、医師不足に悩む地域があるほか、戦いが長引くにつれてインスリンやステロイドといった一部の医薬品の不足なども起き始めている。

 医薬品をめぐっては海外からの支援物資が少なくないものの、説明書を翻訳したり、成分や用量をウクライナでの処方に合うよう確認したりする人材も必要になっているという。

 バジレビッチ教授は「避難者の中には、費用の心配などから医者に行くのを我慢している人も少なくない。残念ながら大変な状況は続いています」と話す。
 (西村宏治)

(天声人語) 広報官いとをかし  〈春はあけぼの〉〈冬はつとめて〉。そう、『枕草子』である。平安期を生きた清少納言の随筆と教わった。ところが近年は、ある皇后をアピールする公的記録と見る説が有力だと聞く
▼「一条天皇の中宮だった定子の栄華を広めるためだったと見ています。ここ20~30年でほぼ通説になりました」。そう話すのは土方洋一(ひじかたよういち)青山学院大教授(67)。近刊『枕草子つづれ織り』で、清少納言が何を書き、何を書かなかったかを分析した
▼定子の聡明(そうめい)さや優雅さには言葉を尽くしながら、彼女を襲った苦難についてはほとんど言及しない。父の死、兄の左遷、自身の宮中での孤立、そして24歳の早すぎる死。どれも省かれている
▼定子は清少納言が仰ぎ見るファッションリーダー兼オピニオンリーダー。その輝きを書き残す任務に没頭した。冒頭で触れた春や冬の章段も清少納言の私的な感懐ではないという。むしろ季節をお題に定子のサロンが開いた言葉遊びのベストアンサー集ではないか。そう見ると全編が矛盾なく説明できると話す
▼言われてみれば、あれほど筆の立つ女性が、定子の急逝とともに事実上筆を折ってしまったのは不可解である。エッセイストなら盛衰余さず書き尽くしたいところ。現代ふうに言うなら、並外れて有能な公務員による広報誌だったということか
▼〈夏は夜〉蛍の多く飛びちがひたる。〈秋は夕暮〉雁(かり)などのつらねたる。いま読んでも、平安時代の美意識が鮮やかに浮かぶ。腕利き広報官の奮闘いとをかし。

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下平評

◆日付  2022/00/00
     

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