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続折々の記 2022 ⑨
【心に浮かぶよしなしごと】
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【 06】09/03

     最近の様子を記録   
     日本経済は何故低迷を続けるのか   異例の円安、半年で25円下落
     国際通貨基金(論評)  インフレが加速する中、戦争が世界経済の見通しを曇らせる
        
        

 2022/09/03
最近の様子を記録   

1 友美と洸介の結婚披露 09/01
    場所 駒ケ根高原リゾートリンクス
    列席 省略
    全身、心から嬉しかった

2 ・ニフティニュース(@niftyニュース)
     朝日でもニュース一覧が表示できる 08/31
  ・日本と中国のGDP、現在はどこまで差が拡大したのか=中国メデア
  ・日中の国内総生産(GDP)推移・・世界銀行のデータから
    範囲 1972(日中国交正常化)~2020(RCEP合意)
    内容 14件すべて検索可能

3 朝日ニュース ゴルバチョフ・ソ連元大統領が死去
  タス通信などが伝える 08/31

4 朝日新聞デジタル、ニュースサイト 09/01
  「サハリン2」の三井物産と三菱商事の権益、ロシア政府が承認
  ゴルバチョフ氏の歴史的な訪日 共同声明、それでも残った領土問題
  旧統一教会に関する最新ニュースはこちらから

5 トイレ掃除におすすめの洗剤 (やっぱり竹酢がいい) 09/02

6 ステンレス汚れの落とし方ならこの5つ! 重曹は効果的?
  (やっぱり竹酢がいい) 09/02

7 竹酢液の効能と使い方 09/02

 2022/09/03  朝日新聞デジタル記事
私の課題 日本経済は何故低迷を続けるのか
異例の円安、半年で25円下落
   https://digital.asahi.com/articles/DA3S15405503.html?ref=pcviewer
   1ドル140円台、24年ぶり

写真・図版 【対ドル円相場の推移】24年ぶりに140円台をつけたドル円相場=2日午後9時47分、東京都港区

 対ドルの円相場が1日、24年ぶりの円安水準となる1ドル=140円台まで下落した。わずか半年で25円も円安が進むという異例の事態だ。輸入品の価格がさらに上がり、家計の負担はいっそう重くなりそうだ。歴史的な円安は、日本経済の長期に及ぶ低迷を反映しているとの指摘もある。▼7面=家計も企業も悲鳴

   http://park6.wakwak.com/~y_shimo/momo.1401.html の中の
   「加盟すぐ、頭をもたげた脅威論 「緊密な連帯」築けなかった信頼」も参照

 1日のニューヨーク外国為替市場で、1998年8月以来となる1ドル=140円台をつけ、2日には一時、140円70銭台とさらに円安が進んだ。

 大手証券会社や銀行が破綻(はたん)して金融危機が拡大し、日本売りによる円安が進んだ98年に、半年で約25円下落した例などがあるが、異例のスピードだ。鈴木俊一財務相は2日、「最近の為替相場の変動はやや大きくなっている。各国通貨当局と緊密な意思疎通を図りつつ、必要な場合には適切な対応をとる」と市場の動きを牽制(けんせい)した。

  ※こんな発言で何を国民に伝えようとしたのか? 自分の意見を言えない人です。

 急速に円安が進んだ背景には世界の物価高(インフレ)がある。欧米でコロナ禍から消費が急激に回復したことに加え、2月にロシアがウクライナに侵攻したことで原油や穀物などの価格が高騰した。

※出所:「2020年基準消費者物価指数 全国2022年(令和4年)5月分」(総務省)

世界の状況

以下は、国際通貨基金(IMF)が発表している主要国の消費者物価指数の推移です。

イメージ

※出所:IMF - World Economic Outlook Databases
※2010年を起点(100)として指数化、2022年は予測値

  ※以下は、国際通貨基金(IMF)が発表している主要国の消費者物価指数の推移です。
イメージ   ※出所:IMF - World Economic Outlook Databases
  ※2010年を起点(100)として指数化、2022年は予測値

 物価高を抑え込むため、米国では中央銀行である米連邦準備制度理事会(FRB)が3月から7月に計4回、利上げした。景気を支えるとして金融緩和を続け、金利が低く抑え込まれている日本との間で金利差が広がり、円を売って金利の高いドルを買う動きが進んだ。最近もFRBのパウエル議長が利上げを続ける考えを示したことなどから、さらに円安が加速した。

 円安は輸入品の価格高騰に拍車をかけ、今春以降、食料品などの値上げが相次ぎ、家計を直撃している。

 みずほリサーチ&テクノロジーズの酒井才介氏の試算によると、この半年の円安の影響に加え、9月以降も平均1ドル=140円が続く場合、価格上昇による2022年度の世帯(2人以上)の負担は、政府の物価高対策の効果を考慮しても、前年度から平均で約7万8千円増える。内訳は食料品が約3万6千円、エネルギー約3万4千円、家具・家電約8千円だ。

 その負担は低所得者層ほど重い。収入に対する負担増の割合は、年収900万円台の世帯では1・0%だが、300万円台の世帯では2・0%と2倍になる。

 ■日本経済の長期低迷も反映

 円安は輸出に追い風で、22年3月期決算では上場企業全体の純利益は過去最高を更新した。ただ、海外への製造拠点の移転が進んだ結果、雇用増など円安による恩恵はかつてより小さくなっているとみられる。

 円の競争力が落ちているとする調査もある。東短リサーチが、通貨の総合的な購買力を示す「実質実効為替レート」の7月までの20年間の動きを、60カ国・地域の通貨で比べたところ、円の下落率は最大の46・3%で、経済の混乱が続くアルゼンチンのペソやトルコのリラを大きく上回った。

 明治安田総合研究所の小玉祐一氏は「内需が厚みを欠き、外需主導の成長を余儀なくされたため、政府・日本銀行が円安を志向する政策を長く続けた結果が、今の円相場の一因だ」と指摘。「1人あたりのGDP(国内総生産)は世界20位台まで下がり、賃金も伸びていない。日本経済の長期にわたる低迷が、円安に反映されている」とみる。(小出大貴、友田雄大、細見るい)

▼7面=家計も企業も悲鳴
円安、家計も企業も悲鳴
「想定外の水準」さらなる値上げも

 円が、24年ぶりの安値水準となる1ドル=140円台まで下落した。すでに資源高による輸入コストの増加に苦しむ企業からは、悲鳴があがる。食料品などへの値上げの動きは広がる見込みで、家計の負担も重くなりそうだ。円安はどこまで進むのか。▼1面参照

 ■購買力悪化、負の側面強く

 「1ドル=140円台は今年初めには想定していなかった」

 輸入の原材料を使う食品メーカーの関係者は、こう嘆いた。事業の中心は国内で、円安はマイナスの影響のほうが大きいという。燃料高で物流コストなども上昇し、今年に入ってすでに商品の値上げに踏み切ったが、「さらなる値上げがない、とは言い切れない」。

 急速に進む円安に、企業は身構える。

 東京商工リサーチが5907社から回答を得た調査(8月1~9日)によると、円安相場(7月中旬時点、1ドル=137円前後)が、経営にマイナスと答えた企業は、48・7%と約半数を占めた。プラスと評価する企業は3・2%にとどまった。マイナスと答えた企業の多くは、円安の恩恵を受けにくい内需系産業で、原材料の輸入コストが増えている影響が大きいとみられる。

 一方、輸出や観光にとっては、円安はプラスだ。日本からの輸出品の価格が下がり、海外事業の収益も円建て換算で膨らむ。SMBC日興証券の集計によると、円安が要因となり、旧東証1部の上場企業(金融を除く)の2022年3月期決算は純利益が過去最高になった。

 ただ、プラス効果は企業の生産拠点の海外移転が進んだ今、かつてほどではなくなりつつある。帝国データバンクは「円安による輸出拡大はかつてほど効果がみられない。むしろ輸入物価を押し上げ、日本の実質購買力を悪化させるマイナス側面が強く出るようになってきた」としている。(松本真弥、山下裕志、山本恭介)

 ■140円台、なぜ? 24年前は平成不況、いまは日米金利差

 日本円はほぼ四半世紀を経て対ドルで同じ安値水準になった。当時の日本経済はどんな状況だったのか。

 前回140円台をつけた1998年、日本はバブル崩壊後の「平成不況」のまっただ中だった。97年にアジア通貨危機が起き、不良債権の処理問題などを発端に4大証券の一角の山一証券が自主廃業。98年には日本長期信用銀行(現新生銀行)と日本債券信用銀行(現あおぞら銀行)が破綻(はたん)するなど、金融危機を迎えていた。

 こうした経済不安が「日本売り」、すなわち円売りにつながった。円は97年末に1ドル=130円台まで下落し、98年4月に一時135円台に。大蔵省(現財務省)が97年12月に1兆円超、98年4月と6月に計3兆円超の円買いドル売りの為替介入に動いた。しかし、円はその後も売られ、8月には147円台まで落ち込んだ。

 いまの円安の主因は日米の金利差で、24年前の経済不安によるものではない。ただ、日米の物価水準を踏まえると米国は当時より物価高が進んでいて、円の価値は為替レート以上に割安になっている。(稲垣千駿)

 ■為替介入も利上げもできず

 急速な円安に対し、政府や日本銀行は有効な対策を打てずにいる。動かないというより、動けないというのが実情だ。円安が物価高に拍車をかけているが、政府の対策の効果は限定的だ。

 円安を食い止めるのに効果があるとみられるのが、政府が市場で大量のドルを売って円を買う為替介入だが、実際に行うには、米国当局の同意が欠かせないとされる。米国では日本以上に急激な物価高が進む中、米当局がドル安を容認すれば、物価高に拍車がかかる恐れがある。このため市場では「米国が為替介入を了解することはなく、介入の可能性はほぼない」(大手証券アナリスト)との見方が支配的だ。

 円安を阻止するもう一つの手段と目されるのが、日銀による利上げだ。だが日銀は、コロナ禍からの景気回復を後押しするとして、大規模な金融緩和を続ける方針を繰り返し強調している。(徳島慎也)

 ■米の物価で147円も ニッセイ基礎研究所・上野剛志氏

 円安は輸出企業の収益にプラスに働く面がある一方、家計にとっては輸入品の物価上昇の加速につながる。今後さらに家計の負担感が増し、消費への影響が懸念される。

 先行きは米国の物価次第だ。現時点では年終盤から来年にかけ、物価上昇が緩やかに鈍化し、景気停滞感が強まることで米国の利上げ幅が縮小。円安ドル高が収まっていくとみている。ただ、物価上昇が鈍化しなければ、米国の利上げ姿勢がさらに強まって、1ドル=145円が視野に入り、1998年につけた147円に近づく可能性もある。

 円安の是正には日銀が利上げをする手があるが、コロナ禍から回復が遅れる景気に冷や水となり、考えにくい。政府による為替介入も物価抑制を目指す米国との関係が悪くなるリスクがある。効果が出なければ、「日本の当局は怖くない」と投機筋の円売り攻勢を強める恐れもある。(聞き手・稲垣千駿)

 ■円高に戻る可能性 第一生命経済研究所・藤代宏一氏

 円安で大企業製造業の利益がかさ上げされるのは間違いないが、電力やガス、生活必需品の価格は高騰し、その痛みは日本全体で分かち合うことになる。

 世界全体でみればドル高が進み、ユーロやポンドといった通貨も売られている。円安は日本固有の要因が背景ではないと言える。

 当面、米国の金利が一段と上がり、円安が進むというのが市場の大方の見方だ。日銀も財務省も金融政策や為替介入で円安をどうにかできるとは思っていないだろう。今後1年では、円高に戻る力が強くなるのではないか。米国の利上げの見通しが数カ月で落ち着き、米金利も下がることが見込まれるからだ。(聞き手・高橋諒子)


International Monetary Fund 国際通貨基金(見解書・論評)
インフレが加速する中、戦争が世界経済の見通しを曇らせる
   ピエール・オリヴィエ・グランシャ著 2022年4月19日

世界経済の見通しは、ロシアによるウクライナ侵攻を主な理由として、大幅に押し下げられた。

今回の危機は、世界経済がパンデミックからまだ完全に回復していない中で展開している。戦争前から、需給の不均衡とパンデミック下の政策支援が原因となって多くの国でインフレが進行し、金融政策の引き締めを促していた。中国における最近のロックダウンは、グローバル・サプライチェーンに新たなボトルネックを発生させる可能性がある。

こうした中で、今回の戦争は直接的かつ悲劇的な人道上の影響をもたらすだけでなく、経済成長を減速させ、インフレ率を加速させることになる。全体として経済的リスクが急激に高まっており、政策トレードオフはより一層困難になっている。

IMFは、世界経済の成長率予測を1月時点から下方改定し、2022年、2023年ともに3.6%とした。これは、対ウクライナ戦争と対ロシア制裁の直接的影響を反映しており、両国では経済の急激な収縮が見込まれている。欧州連合(EU)の今年の成長見通しも、戦争の間接的な影響を理由に1.1%ポイント下方改定されており、世界全体の下方改定幅の寄与度が2番目に大きい。

戦争によって、近年世界経済を悩ませてきた一連の供給ショックに拍車がかかる。戦争の影響は、一次産品市場や貿易、金融リンケージを通じて、地震波のように広範囲に伝播していくことになる。ロシアは石油やガス、金属の主要供給国のひとつであり、また、ウクライナとともに小麦やトウモロコシの主要供給国でもある。欧州やコーカサス・中央アジア、中東・北アフリカ、サブサハラアフリカの一次産品輸入国が最も影響を受けている。しかし、食料・燃料価格の高騰は、南北アメリカ大陸やその他のアジアを含む世界各地の低所得世帯に打撃を与えることになる。

東欧と中央アジアは貿易や送金の面でロシアと大きな直接のつながりがあり、痛手を受けると見られている。約500万人のウクライナ国民がポーランドやルーマニア、モルドバ、ハンガリーをはじめとする近隣諸国に非難していることも、当該地域における経済的圧力を高める。

高まる圧力

エネルギー・食料価格の高騰から恩恵を受ける一次産品輸出国を除き、あらゆるグループについて中期見通しが下方改定された。先進国では、総生産がパンデミック前のトレンドを回復するまでにより多くの時間を要することになる。また、2021年に生じた先進国と新興市場国・発展途上国の間の格差が持続すると見られ、パンデミックが永続的な爪跡を残すことを示唆している。

インフレは、多くの国にとって明白かつ目下の危険となっている。戦争勃発前から、一次産品価格の高騰と需給不均衡を受けて、インフレが加速していた。米連邦準備制度など多くの中央銀行は、金融政策の引き締めに向けてすでに動いていた。戦争関連の混乱によって、そうした圧力が高まり、インフレはより長期にわたって高い水準で推移することになると見られる。米国と一部の欧州諸国では、労働市場が逼迫する中、インフレが40年以上ぶりの高水準に達している。

インフレ期待が中央銀行の物価目標から逸脱するリスクが高まっており、政策当局者はより積極的な引き締め対応を促されている。さらに、食料・燃料価格の上昇は、貧困国で社会不安が起こる可能性を大きく高めることにもつながりうる。

侵攻直後に、新興市場国と発展途上国では金融環境のタイト化が見られた。これまでのところ、こうした価格調整(リプライシング)は概して秩序を保っている。しかしながら、いくつかの金融脆弱性リスクが残存しており、国際金融環境の急激なタイト化と資本流出の可能性が高まっている。

財政面では、パンデミックによってすでに多くの国で政策余地が狭まっており、異例の政策支援の引き揚げが進むことが予想されていた。一次産品価格の高騰と世界的な金利上昇によって、石油や食料を輸入する新興市場国・発展途上国を中心に、財政余地がさらに縮小することになる。

戦争の結果、テクノロジー基準と国際決済制度、準備通貨などが互いに異なる地政学的ブロックに世界経済が分断されていくリスクも高まっている。そのような根本的な変化は、長期的な効率性の低下を招き、ボラティリティを増大させ、過去75年にわたって国際関係と経済関係を規定してきたルールに基づく枠組みに重大な課題を突きつけることになるだろう。

政策の優先事項

以上の予測を取り巻く不確実性は非常に大きく、通常の範囲をはるかに超えている。例えば、制裁がロシアのエネルギー輸出にも拡大されれば、成長はさらに減速し、物価上昇率はわれわれの予測を上回る可能性がある。ウイルスの感染拡大が続けば、ワクチンの効かないより致死率の高い変異株が現れ、新たなロックダウンや生産の混乱を引き起こしかねない。

こうした困難な状況においては、国レベルの政策と多国間の取り組みが重要な役割を果たすことになる。中央銀行は、中長期的なインフレ期待の安定を維持できるよう、自らの政策を果断に調整することが必要になる。金融政策見通しに関する明確なコミュニケーションとフォワードガイダンスが破壊的な調整のリスクを最小化する上で不可欠となる。

いくつかの国は、財政収支を健全化する必要がある。とはいえ、とりわけエネルギー・食料価格が高騰する中で、各国政府による脆弱層向けの的を絞った支援が妨げられてはならない。公的債務の安定化に向けた明確で信頼性のある道筋を示す中期的枠組みにそうした支援策を組み込むことは、必要な支援を実施する余地を生み出す助けとなる。

政策当局者は、戦争とパンデミックによる影響の緩和に注力しつつも、ほかの目標にも注意を払うことが求められる。

最も差し迫った優先事項は、戦争を終結させることである。

気候に関しては、表明された野心と実際の政策措置の間にある隔たりを埋める必要がある。各国の所得水準に応じて差異化された炭素価格の国際的な下限を設定することは、壊滅的な気候事象のリスク低減を目指す各国の取り組みを調整するひとつの方法となるだろう。また、ウイルスを封じ込めるための新型コロナ対策ツール全般に世界が公平にアクセスできるようにするほか、その他の世界的な保健上の優先課題に対処する必要性も同様に重要である。これらの目標を前進させるためには、多国間協調が今後も不可欠となる。

政策当局者は、国際金融セーフティネットが効果的に機能するようにする必要もある。それは、一部の国については、短期的な借り換え難を乗り切れるよう十分な流動性支援を確保することを意味する。しかし、包括的なソブリン債務再編が必要となる国もある。G20の「債務措置に係る共通枠組み」がそのような再編のガイダンスを提供しているが、まだ成果を上げていない。効果的で迅速な枠組みの欠如が国際金融システムの弱点となっている。

何億人もの人々を貧困から救い出してきた多国間の枠組みが決して解体されることがないよう、世界経済秩序の全体的な安定性にも特別の注意を払うべきである。

以上のようなリスクと政策は、さまざまな時間軸で複雑に作用し合っている。金利の上昇と、脆弱な層を食料・エネルギー価格の高騰から保護する必要性によって、財政の持続可能性が維持しずらくなる。その結果、財政余地が狭まれば気候移行への投資が一層困難となるが、気候危機への対処が遅れれば一次産品価格ショックに対する各国経済の脆弱性が高まり、それはインフレと経済の不安定化を助長する。地政学的な分断によりこうしたトレードオフが悪化し、紛争と経済の変動性のリスクが高まるとともに、全体的な効率性が低下する。

パンデミックからの持続的な回復が視野に入ったところで戦争が勃発し、ほんの数週間のうちに、世界はまたしても大きなショックに見舞われた。最近の経済回復が水泡に帰してしまう恐れがある。さらに悪い結果につながることを阻止し、すべての人の経済的展望を改善するために、国レベルおよび多国間レベルで相応かつ協調的な政策対応を取ることでわれわれが直面する数多くの課題に取り組まなければならない。

ピエール・オリヴィエ・グランシャはIMF経済顧問兼調査局長。カリフォルニア大学バークレー校経済学部教授兼同ハース・ビジネススクール教授で、現在休職中。IMFの主要研究誌であるIMF Economic Reviewが創刊された2009年から2016年まで同誌の編集長を務めた。その後、2017年から2019年までJournal of International Economics誌のマネージング・エディターを、2019年から2022年までAmerican Economic Review誌の共同編集者を務めた。全米経済研究所(NBER)では国際金融・マクロ経済プログラムのディレクターを務め、現在休職中。また、ロンドンにある経済政策研究センター(CEPR)のリサーチフェローと計量経済学会のフェローも務める。

主な研究分野は国際マクロ経済学および金融。最近では、国際的な安全資産の希少性とグローバル・インバランスと通貨戦争や、国際通貨制度と米ドルの役割、支配的通貨パラダイム、発展途上国の資本流出入の決定要因、国際ポートフォリオ、世界金融危機、企業倒産に対するコロナ禍の影響を中心に研究。グランシャ教授は2007年にBernàcer Prize (マクロ経済および金融分野における40歳以下の最優秀欧州経済学者賞)を、2008年にPrix du Meilleur Jeune Economiste(40歳以下の最優秀フランス人経済学者賞)を受賞した。2012年から2013年にかけて、フランス首相府経済分析会議(CAE)のメンバーを務めた。

エコール・ポリテクニーク卒業後、1996年にマサチューセッツ工科大学で経済学博士号を取得。スタンフォード大学経営大学院、プリンストン大学を経て、2003年よりカリフォルニア大学バークレー校経済学部に勤務。フランス・モンペリエ出身。