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続折々の記 2022 ⑨
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【 09】09/07
     ポタージュとは?スープとの違い知っていますか?
     野菜には万病の元「活性酸素」を消す力があり
     がん予防には野菜スープが一番!

       熊本大学名誉教授 前田 浩

 2022/09/07
ポタージュとは?スープとの違い知っていますか?   

とろとろの食感がおいしいポタージュ。じゃがいもから作るヴィシソワーズや、鮮やかな黄色が目にも美しいかぼちゃのポタージュなど、野菜を楽しむことができる料理です。しかし、ポタージュとスープ、シチューの違いについて説明することができますか。 こちらの記事ではポタージュの特徴や、スープ、シチューとの違いについて解説します。

目次
ポタージュとは?
ポタージュと「スープ」、「シチュー」との違いは?
ポタージュのDELISH KITCHENレシピ
さまざまな野菜で作って楽しめるポタージュ

ポタージュとは?

「ポタージュ(potage)」とは、フランス語でブイヨンスープ全般を指します。
フランス語の「pot」には「鍋」という意味があり、「収集する」という意味の「-age」と組み合わせてpotageとなるのです。語源は鍋で食材を煮込んでブイヨンを作ったことに由来します。そのため、フランスではコンソメやヴィシソワーズ、ブイヤベース、ポトフなどはすべてポタージュに分類されます。
特にとろみの強いものは「ポタージュ・リエ(potage lié)」、澄んだものは「ポタージュ・クレール(potage clair)」と呼ばれています。「リエ(lié)には「つなぐ」という意味があり、ブイヨンのベースに米や小麦粉、卵黄などをつなぎとして加えた濃厚なポタージュです。一方、澄んだスープのコンソメはポタージュ・クレールの一種となります。

一般的に、日本では食材をミキサーにかけたとろみのあるスープのことを「ポタージュスープ」と呼びますが、フランス語では「スープスープ」となり間違った使い方となるようです。日本でいうところのポタージュは、玉ねぎをベースにさまざまな野菜を加えて煮込み、ミキサーにかけてとろとろのスープに仕上げます。

ポタージュスープの定番といえば、じゃがいもを使ったヴィシソワーズではないでしょうか。冷製スープのヴィシソワーズですが、寒い季節には温めて食べるのもおいしい人気の料理です。
ヴィシソワーズの作り方は、まずバターを熱した鍋で玉ねぎ、じゃがいもを炒め水を加えて煮込みます。じゃがいもがやわらかくなったらミキサーで撹拌し、さらに牛乳を加えて塩で味を調えたら完成です。
また、かぼちゃのポタージュやにんじんのポタージュなど、素材を変えさまざまなアレンジをして楽しむことができます。

ポタージュと「スープ」、「シチュー」との違いは?

ここでは、ポタージュとよく似ているスープやシチューとの違いについて見ていきましょう。

日本ではスープの中の一種がポタージュとされ、特に具材をミキサーなどで撹拌した濃度の高いものを指します。
フランス料理においては汁物全般のことをポタージュと呼びます。
イギリスでは「スープ(soup)」とポタージュの明確な区別がありません。英語では鍋のことを「ポット(pot)」と呼ぶことから、イギリスでは15世紀頃から鍋で複数の食材を煮ただしのことをポタージュと呼ぶようになったといいます。ちなみに、スープとはもともと煮込み料理やワイン、果実酒などにパンを浸しふやかして食べる料理のことを指していました。

一方、「シチュー(stew)」とは、肉や魚介類、野菜などをソースやだしで煮込んだ料理です。
ポタージュとシチューの違いは曖昧ですが、シチューは大きく分類するとスープの一種とされています。中でも食材を大きめにカットして煮込み、具として楽しむものをシチューとするようです。シチューは英語ですが、その語源となったのはフランス語の「エテュベ(éstuver)」だといわれています。これは「煮込む」「蒸し焼きにする」という意味の言葉で、シチューにはルウでとろみをつけているのも特徴です。

ポタージュのDELISH KITCHENレシピ

甘くておいしい♪ 玉ねぎのポタージュ
甘くて美味しい♪ かぼちゃのポタージュスープ
とろりと美味しい♪ 小松菜とじゃがいものポタージュ
優しい甘さが◎ さつまいもポタージュ

さまざまな野菜で作って楽しめるポタージュ
普段何気なく口にしていたポタージュに、さまざまな種類があることを知らなかった人は意外と多いのではないでしょうか。国によって定義や語源が異なるのですね。野菜をたっぷりと食べられるポタージュスープを家庭でも作って、季節ごとの野菜を楽しんでみてはいかがでしょうか。

医師が考案!病気を防ぐ【最強の野菜スープ】超簡単作り方&活用レシピ
   <https://yuhobika.net/yuhobikaweb/saikyo_no_yasaijuice/>
解説
前田浩
熊本大学名誉教授 熊本大学名誉教授、大阪大学大学院医学系招聘教授、東北大学特任教授、バイオダイナミックス研究所理事長。2016年には、「がん治療における高分子薬物の血管透過性・滞留性亢進効果の発見」で、トムソン・ロイター引用栄誉賞を受賞し、世界のトップ5に選ばれ、ノーベル化学賞候補に挙がる。

解説
古澤靖子 料理研究家

超簡単! さっぱりして超美味!「最強の野菜スープ」の基本の作り方&食べ方
野菜を水で煮るだけの、超シンプルな野菜スープです。煮てそのまま食べてもいいですし、ポタージュにしてもかまいません。我が家では、口当たりがいいのでポタージュにしています。夏は冷やしておき、軽く運動したあとに飲む朝食時の冷製野菜スープは最高です。(前田浩)

◆材料:出来上がり コップ約3~4杯分(約800~900㎖)
タマネギ、ニンジン、キャベツ、カボチャ…合せて100g
トマト…1個
水…900ml
※
野菜は4~6種類を組み合わせる。多種類合わせることで、異なる抗酸化成分をバランスよく摂取でき、効果が高まる。定番はニンジン、タマネギ、キャベツ、カボチャ。
※野菜と水の分量は1対3が目安。好みで調整。
◆作り方
①野菜はよく洗っておく。タマネギは皮をむきひと口大に切る。ニンジン、カボチャは皮つきのままひと口大に切る(カボチャの種は除く)。キャベツはざく切りにする。トマトはヘタを取り除き、皮ごとざく切りにする。
②鍋に①の野菜と水を入れる。
③ふたをして火にかける。
④沸騰する直前に火を弱め約30分、野菜が柔らかくなるまで煮る。
⑤出来上がり~味つけは基本的にしない。物足りない場合や食欲がないときには、好みで調味料を加える。

ポタージュの作り方
上の④のスープが冷めてから、ポタージュにしてもおいしい。その場合は、ハンドブレンダー、またはミキサーで撹拌する。
ハンドブレンダー
ミキサー
出来上がり

〈基本の食べ方〉
野菜スープは1日に1~2回食べる。1回に食べる量の目安は250~300㎖。夏は冷やして飲んでもおいしい。
〈味つけ〉
味つけは基本的にしない。野菜のうまみ成分でおいしく食べられる。物足りない場合や味に変化をつけたい場合には、隠し味程度に調味料(塩、しょうゆ、みそ、ブイヨンなど)やスパイスを少量加えてもよい。
〈保存〉
野菜スープはまとめて作り、保存しておくと便利。夏は傷みやすいので、出来上がった野菜スープは、冷めたらすぐに、冷蔵庫や冷凍庫で保存する。

冷蔵での保存
冷凍での保存
夏に飲む野菜スープ
夏野菜を使ったスープです。ポタージュにして冷やしておくと、口当たりがよく、ごくごく飲めます。
トマトたっぷり野菜スープ(ラタトゥイユ風)
◆材料:出来上がり コップ約3~4杯分(約800~900㎖)
トマト…中1個(200g)
タマネギ、ズッキーニ、ナス、パプリカ…合わせて100g
水…900㎖ オリーブオイル…少々
◆作り方
❶野菜はよく洗っておく
❷トマトはヘタを取り除き、皮ごとざく切りにする。タマネギは皮をむきひと口大に切る。ズッキーニ、ナスはひと口大に切る。パプリカはへたと種を取り除き、ひと口大に切る。
❸鍋にオリーブオイルと②の野菜を入れ、弱火で焦げないようにめる。野菜がしんなりしたら水を入れ、火にかける。沸騰の直前に火を弱め約30分、野菜が柔らかくなるまで煮る。
❹③のスープが冷めてから、ミキサーかハンドブレンダーでする。

季節の豆たっぷり野菜スープ
◆材料:出来上がり コップ約3~4杯分(約800~900㎖)
生グリンピース(さやつき)、枝豆など…合わせて200~250g(正味100gくらい)
タマネギ、レタス、キャベツ…合わせて200g
水…900㎖ オリーブオイル…少々
◆作り方
❶野菜はよく洗っておく。
❷グリンピースはさやから出しておく。枝豆はさやごと2~3分ゆでてから豆を取り出す。タマネギは皮をむきひと口大に切る。レタス、キャベツはざく切りにする。
❸鍋にオリーブオイルと②の野菜を入れ、弱火で焦げないように炒める。野菜がしんなりしたら水を入れ、火にかける。沸騰の直前に火を弱め約30分、野菜が柔らかくなるまで煮る。
❹③のスープが冷めてから、ミキサーかハンドブレンダーで撹拌する。

トマトたっぷり野菜スープ(ガスパチョ風)
◆材料:出来上がり コップ約3~4杯分(約800~900㎖)
◆作り方
❶野菜はよく洗っておく。
❷トマトはヘタを取り除き、皮ごとざく切りにする。タマネギは皮をむきひと口大に切る。セロリは筋ごとひと口大に切る。インゲンはひと口大に切る。
❸鍋に②の野菜と水を入れ、火にかける。沸騰の直前に火を弱め約30分、野菜が柔らかくなるまで煮る。
❹③のスープが冷めてから、ミキサーかハンドブレンダーで撹拌する。
❺器に盛り、好みで酢、オリーブオイル少々をたらす。

トウモロコシたっぷり野菜スープ
◆材料:出来上がり コップ約3~4杯分(約800~900㎖)
生トウモロコシ…1本(正味130g)
ネギ、パプリカ(黄色)、キャベツ…合わせて170g
水…900㎖
◆作り方
❶野菜はよく洗っておく。
❷トウモロコシは3等分に切ってから身をこそげておく。(芯は一緒に煮るのでとっておく)ネギはひと口大に切る。パプリカはへたと種を取り除き、ひと口大に切る。キャベツはざく切りにする。
❸鍋に②の野菜、トウモロコシの芯、水を入れ、火にかける。沸騰の直前に火を弱め約30分、野菜が柔らかくなるまで煮る。
❹③のスープが冷めてから、トウモロコシの芯を取り出し、ミキサーかハンドブレンダーで撹拌する。

カボチャたっぷり野菜スープ
◆材料:出来上がり コップ約3~4杯分(約800~900㎖)
◆作り方
❶野菜はよく洗っておく。
❷カボチャは種を取り除き(わたは残す)、皮ごとひと口大に切る。トマトはヘタを取り除き、皮ごとざく切りにする。ニンジンは皮ごとひと口大に切る。キャベツはざく切りにする。
❸鍋に②の野菜と水を入れ、火にかける。沸騰の直前に火を弱め約30分、野菜が柔らかくなるまで煮る。
❹③のスープが冷めてから、ミキサーかハンドブレンダーでする。

アボカド入りスープ
◆材料:出来上がり コップ約3~4杯分(約800~900㎖)
アボカド…1/2個(正味60g)
タマネギ、チンゲンサイ、オクラ、ニンジン…合わせて240g
水…900㎖
◆作り方
❶野菜はよく洗っておく。
❷タマネギは皮をむきひと口大に切る。チンゲンサイ、オクラはヘタごと、ニンジンは皮ごとひと口大に切る。アボカドは種を除き、スプーンでひと口大にすくっておく。
❸鍋にアボカド以外の②の野菜と水を入れ、火にかける。沸騰の直前に火を弱め約20分煮る。アボカドを加え、野菜が柔らかくなるまでさらに10分煮る。
❹③のスープが冷めてから、ミキサーかハンドブレンダーで撹拌する。


野菜には万病の元「活性酸素」を消す力がありがん予防には野菜スープが一番!
   熊本大学名誉教授 前田 浩


ファイトケミカルで活性酸素を撃退

 がんを始め病気の発生には、活性酸素が密接にかかわっており、活性酸素を消去することが、病気の予防につながると考えられています。

 活性酸素とは、活性が強く他の物質と反応して結びつきやすい酸素のこと。活性酸素によって物質が変質することを酸化といいます。

 活性酸素は、強い酸化力で遺伝子や細胞を破壊し、病気を引き起こす万病の元です。

 人は生きている限り活性酸素から逃れられません。私たちが呼吸で取り込んだ酸素のうち、2~3%は体内で活性酸素に変わってしまうからです。

 また、紫外線や化学物質、放射能、タバコ、食品添加物、ストレスなど、活性酸素の発生源が身のまわりにあふれています。

 本来、人間の体内には、活性酸素を消去する物質を作る働きが備わっていますが、加齢によりこの働きは低下し、活性酸素を処理しきれなくなります。

 そこで頼りになるのが野菜。野菜は、活性酸素を消去する抗酸化成分であるファイトケミカルを豊富に含んでいるのです。

 ファイトケミカルとは、植物が紫外線や害虫などから自らを守るために作り出す物質のこと。代表的なのはトマトのリコピン、ニンジンやカボチャのカロテノイド、ホウレンソウのルテインなどです。

野菜は煮たほうが、10~100倍も効果的

 ファイトケミカルを効率よく利用するには、サラダより野菜スープがお勧めです。

 ファイトケミカルの多くは、セルロースという頑丈な植物繊維でできた細胞壁に包まれています。

 ファイトケミカルを取り出すには、細胞壁を壊さなくてなりませんが、ヒトの体内ではセルロースは消化されません。

 野菜をかんだり、包丁で刻んだりした程度では細胞壁は壊れず、有効成分を吸収できないのです。

 しかし、野菜をゆでると細胞壁は簡単に壊れ、ファイトケミカルが溶け出します。

 私たちの実験で、野菜の活性酸素を消去する働きは、生野菜をすりつぶしたものより、煮出したゆで汁のほうが、多くの場合10~100倍強くなることが明らかになっています。このようになると腸からもよりよく吸収されるのです。

つまり、がんをはじめ病気予防には、生野菜を食べるより野菜スープにするほうが最善というわけです。 

動脈硬化・糖尿病・がんを招く「慢性炎症」を抑えるにも野菜スープは効果絶大

熊本大学名誉教授 前田 浩
細胞や遺伝子を傷める「慢性炎症」に注目

 最近の研究で、体内のあちこちで生じる「慢性炎症」が、動脈硬化やや糖尿病、がんをはじめとする生活習慣病や、老化を引き起こすことが明らかになりました。

炎症は「急性炎症」と「慢性炎症」に分かれます。急性炎症は一時的に起こるもので、ウイルスや細菌の感染、ケガ、毒物の摂取などさまざまな原因があります。

 たとえば、インフルエンザウイルスに感染すると、白血球(血液細胞の一種)が活性酸素を放出して外敵であるウイルスを殺傷します。

 この闘いでウイルスは駆逐できますが、周囲の組織も破壊され傷ついてしまいます。それで炎症になります。

 炎症が起きると組織を修復するために、さまざまな物質が分泌され、血管が広がり、血流量が増えるなどして腫れや痛み、かゆみ、熱などが生じます。急性炎症は体の防御反応といえます。

 一方の慢性炎症は、体内でだらだら続く弱い炎症です。原因は炎症と同じですが、それが長時間、何カ月も何年も続くことです。

 それによって細胞や遺伝子に傷がつき、重大な病気に至ることになります。これは体の抗酸化力が低下して活性酸素が増えすぎることが原因です。体内の酸化が進み炎症が起こるのです。

 慢性炎症には高血糖もかかわっています。高い血糖値は糖化の原因です。ブドウ糖や果糖が血中に高濃度にあると、血液や血管の細胞と結合する現象が起こります(糖化)。糖化のプロセスにも、活性酸素が密接にかかわっていると考えられます。

 糖尿病の検査でヘモグロビンA1cがあります。血液中の赤血球に含まれるヘモグロビンの糖化の指標です。この値が高いということは、全身の血管の細胞や血管を構築しているたんぱく質が糖化により傷害を受けていることを示しています。

 その程度が強くなると、脳や心臓、腎臓などが傷害を受け、それぞれ脳梗塞やアルツハイマー、認知症、心筋梗塞、腎不全→透析などの病気になる可能性が高くなります。

 これらの予防の観点からも、抗酸化作用を持つファイトケミカルの豊富な野菜スープの摂取が望ましいのです。糖尿病の患者は、その予備軍を合わせると、日本には2千万人近くいるといわれていることから、野菜スープの重要性は国家的な課題であるともいえます。

野菜スープは優れた高血圧予防食 炎症から発生する病気を防ぐ

 野菜スープには、強力な抗酸化作用や抗炎症作用を発揮するファイトケミカルのほか、糖質の吸収を抑える食物繊維が豊富に含まれています。野菜スープを食べると慢性炎症の進行を抑え、炎症から発生する病気を防ぐことができます。

 台湾におけるB型肝炎ウイルスのキャリア(保菌者)を8~10年間、追跡調査した研究でも、野菜の効果が実証されました(1995年『キャンサーリサーチ』)。

 肝炎ウイルスのキャリアで、野菜の摂取が週平均6回以上の人は、それ以下の人よりも、肝がんの発生率が4・7倍も少なかったのです。この結果は、キャリアの人にとって大きな朗報です。

血圧高めの人には野菜スープが最適!血流をよくし血圧を下げる成分がたっぷり
熊本大学名誉教授 前田 浩
  野菜で血管の若さを保つ 「人は血管から老いる」


 こんな言葉を耳にしたことがあるでしょう。血管の老化とは動脈硬化のことを指します。動脈硬化は血管内に酸化したLDLコレステロール(悪玉)がたまり、血管の壁が厚くなって血管がかたくなったり、血管のが狭くなったりして血液が流れにくくなる状態をいいます(血流不全)。

 コレステロールなどの沈着から動脈硬化になってくると、血流が悪くなり高血圧を招くほか、血栓(血液の塊)ができやすくなり心筋梗塞や脳梗塞、さらに腎不全のリスクが高まります。

 野菜に豊富なファイトケミカルは、強い抗酸化力で、活性酸素を消去してLDLコレステロールの酸化を防ぎ、動脈硬化の予防に役立ちます。

 もう1つ、コマツナやホウレンソウ、ダイコンなどに多く含まれる、硝酸イオンや亜硝酸イオンという物質も、動脈硬化や高血圧の予防に役立ちます。

 これらは腸内細菌によって一酸化窒素(NO)に変換されたり、抗酸化物質として作用したり、体内の脂肪酸と結びついてニトロ化脂肪酸になり、降圧作用を示したりします。血管を広げる薬のニトログリセリンのような効果です。

 一酸化窒素には、血管を広げて血流をスムーズにする働き、活性酸素を消去する働き、血栓を防ぐ働きがあります。これらの働きにより、血管はしなやかでクリーンな状態を保ち、動脈硬化や血圧の過度な上昇を防ぐことができるのです。

野菜料理を食べたら血圧が下がった  亜硝酸イオンは、胃がんを誘発する発がん物質であると、一部の研究者から指摘されていた時期がありました。しかし現在では、胃がんの原因は、ヘリコバクター・ピロリ菌による慢性感染が原因であることが判明しています。

 亜硝酸イオンの抗酸化作用、降圧作用は明らかにされており(2006年の第5回国際一酸化窒素学会)、がん予防や高血圧予防の観点から有用な物質といえます。

 2010年、米国ピッツバーグ大学医学部のブルース・フリーマン教授は、野菜について興味深い研究結果を報告しています。

 日本食を対象とした研究で、野菜料理を食べた人は、食べない人に比べて、亜硝酸イオンの血中濃度が2倍ほど上昇し、血圧が有意に低下したのです。

 薄味の野菜をたっぷり使った日本食は、血管の若さを保つすぐれた高血圧予防食といえるでしょう。