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続折々の記 2023 ③
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【 01 】02/14
  中国から迷い込んだ気球で茶番劇  田中 宇
  ウクライナでゆるやかに敗けていく米欧  田中 宇

 2023/02/14
中国から迷い込んだ気球で茶番劇     田中 宇

2023年2月12日  田中 宇
中国が、米国の軍事施設を偵察するために太平洋を越えて軍事用のスパイ気球を飛ばしてきたと米政府が発表し、新たな米中対立になっている。中国政府は、軍事用でなく民間企業の気象観測用の気球が統制不能になって米国まで流されたのであり、意図的でもないしスパイ目的でもないと反論し、米国側が気球をスパイ用だと無根拠に決めつけて撃ち落としたことを怒っている。米国側の政府やマスコミは、中国の釈明をウソだと一蹴している。ブリンケン国務長官は予定されていた訪中を無期延期し、5年ぶりに米中が高官会談して仲直りする好機が消えた。米政府は、中国がロシアと結託していくのを食い止めたかったが、それはできなくなった。 (China Rejects "Shoot First, Talk Later" Attitude)

今回の気球は、中国まで飛ばせる大陸間弾道弾(ICBM)が格納してあるモンタナ州のマルムストローム空軍基地の近くを通っており、米軍基地をスパイするのが目的だったのでないか、などと言われている。だが実際には、米国のある地点を目的地として定めて、何千キロも離れた中国から気球を飛ばしてうまく到達させることは不可能だ。気球の移動は風まかせの部分が大きく、プロペラがついていて推進力があるといっても、強い風が吹いていると逆らって進めない。気球は高度を変えられるので、強い風が吹いてきたら風の弱い高度に移動すれば良いという考えもありうるが、他の高度でどういう風が吹いているかは、その高度に移動しないと正確なことがわからない。気球を遠隔操作するには電波による通信が必要だが、米軍は通信を妨害する機能を持っており、怪しい気球が米国に近づいてきたら妨害電波を出して統制不能に陥らせることができる。これらのことから、気球は風に流されているうちにたまたま米軍基地の近くを通っただけだと言える。 (US Surrounds China With War Machinery While Freaking Out About Balloons)

米軍は1月28日に気球がアラスカの米国領空内に入った時点で気球の飛来に気づいたが、軍事的な脅威でないとみなして放置した。中国方面から統制不能になった気球が風に流されて飛来することは珍しくないからだ。気球はそのままカナダから北極海に抜けて米本土に近づかないと、その時点で予測されていた。だが当時カナダ上空には、北米大陸に大寒波をもたらした「極渦」と言われる強い低気圧が存在しており、気球は低気圧の反時計周りの渦に巻き込まれる形で南に放り出され、米本土のアイダホ州やモンタナ州まで南下して米国を横断するルートに入った。アラスカの米軍当局は、気球が極渦に巻き込まれて米本土まで南下することを予測していなかった。 (From China to Big Sky: The Balloon That Unnerved the White House)

地元の米軍が気球のコースを予測できなかったのに、遠くの中国当局が何日も前から気球のコースを正しく予想して飛ばした、などということはありえない。低気圧の状況と、それが気球にもたらす影響を正確に予測するのは不可能だ。気球を何千キロも飛ばして目標の場所に行かせることなどできないことが、この例からもわかる。第二次大戦で日本が米国に向かって飛ばした風船爆弾も、ほとんどうまくいかなかった。米国の爆撃機が日本各地の諸施設を正確に破壊し続けて日本を降伏させたのと対照的だった。 (The Biden Administration is Lying About the Chinese Balloon)

米軍にとって脅威でなかった気球が「中国が米軍基地をスパイするために送り込んだ軍事用気球」に変わったのは、気球が米本土の上空を何日も移動し、各地で目撃されて存在が報じられ、一体何の気球なのか米政府が発表せねばならなくなってからのことだ。最初のアラスカ飛来時に米軍が気球を脅威でないとみなして放置した判断が間違いだったかのような話になった。しかし、すでに書いたように、中国の気球がモンタナ州に飛来したのは低気圧に巻き込まれたことによる偶然の結果であり、中国のスパイ気球の意図的な飛来ではない。 (An Overblown Balloon Headline Inflates False Narrative on China)

敵国スパイ用として気球は軍事衛星より安上がりだろうが、気球の効率は衛星よりはるかに悪い。しかも気球は、今回のようにすぐに見つかってしまう。中国が米軍をスパイするために気球を使うことはない。「スパイ気球」の喧伝は、米国側マスコミが「上」から命じられてやっている(下手くそな)中国敵視策としての意図的な誤報である。 (China balloon: Could it have been blown off course as Beijing claims?)

気球には監視カメラが取り付けられ、カメラや送信機の電源として大きな太陽光パネルもついていた。通信傍受機能もあったという。やっぱりスパイ気球じゃないか、という話になる。しかし、これも違う。気球のカメラや送信機がうまく機能して撮影した映像データを電波に乗せて中国に送信しても、米軍に妨害電波を出されて阻止されてしまう。中国もそれはわかっているはずだから、そもそも気球を米国に送り込むという馬鹿なことをしないはずだ。

気球が中国のものであることは、中国政府も認めている。だが中国政府は「気象観測用の気球」だと言っている。気象観測用なら、気温や風速などの測定器だけで良いので装置や電源が軽量化でき、気球自体が今回のものよりも小さい。今回の気球は多分、気象観測用でない。中国政府はその点でウソを言っており、だから中国政府は気球の詳細も発表せず、国内用の気象観測気球が風に流されて米国まで行ってしまったという中国側の弁明を立証できず歯切れが悪い。 (US to ‘Explore’ Retaliation for Balloon Flyover as White House Alleges Vast Chinese Spy Operation)

気象観測用でないなら、何の気球だったのか。私の見立ては、今回の気球が、中国国内で警察など治安当局が、上空からの交通の監視や電波通信傍受用に飛ばしていた国内監視・治安維持用の気球だったのでないかというものだ。中国国内のどこかの上空で住民監視用に運航されていた気球が、気候の急変や装置の故障によって流されて統制不能になり、気流に乗って米国方面に飛んで行ったのでないか。軍事と並び、国内治安維持や国民監視の分野も、システムを国家秘密にしておかねばならない。だから中国政府は、気球の正体を正確に発表できず、民間の気象観測気球だとウソを発表せざるを得なかった、とか。考察していくと他の見立てもありそうだが、全体として、カメラや通信傍受機能がついていたからといって「中国が軍事スパイ気球を意図的にモンタナ州の米軍基地上空まで飛ばしてきた」という米国側の主張が立証されるわけではない。無人の気球を遠くの目的地に正確に飛ばすことが不可能な以上、米国側の主張はインチキくさい。 (FBI Says Possible 'Criminal Charges' Over Chinese Balloon Components)

米国の上層部(諜報界)は今回、傘下のマスコミも動員して、迷い込んできた中国の気球を軍事スパイ用だと誇張して騒動をでっち上げ、気球を撃墜して中国との対立を扇動した。こうした一連の動きが米国の国益に貢献するなら納得できるが、実際は正反対だ。米国が中国を脅威と思うなら、中国が米国にとってもう一つの脅威であるロシアと結託していかないよう、表向き中国と友好な関係を醸成して中国を米国の味方につけておく必要があった。だが米国は、今回の件に象徴される浅薄な中国敵視の騒動を繰り返し、中国とロシアが米国を共通の敵として結束することをむしろ誘発し続けている。ブリンケン訪中が中止され、米中関係は友好から遠ざかる一方だ。気球事件は中露結束を誘発する隠れ多極主義的な動きになっている。 (China Refused US Request For Phone Call After Spy Balloon Shot Down) (Overreaction to Balloon ‘Snafu’ Shows US Incapable of Dialogue With China, Ex-Diplomat Says)

数年前までなら、米国側(米欧日)のマスコミでも、気球の軍事利用には無理がある(だから今回のはスパイ気球でない)という適切な分析が出てきて歪曲報道を修正し、中国敵視を希釈・抑止していただろう。だがコロナ危機開始以降、米国側のマスコミは諜報界の言いなりで、歪曲報道のプロパガンダだらけになった。今回の気球事件でも、スパイ気球でなさそうだと正しく指摘する報道はほとんど(もしくは全く)なかった。日本を含む米国側のマスコミは完全に麻痺して機能不全に陥っている。この状態は今後ずっと続く。 (NYT Plants False Claims Over China's Balloon Communication)

各種用途の気球は、一定の割合で風に流されて統制不能になる。中国だけでなく、世界各地で毎年たくさんの気球が流され、迷走している。それらが他国の領空に入り込むことも多いが、各国とも、他国から迷走してきた気球を見つけると、注視しつつ(もしくは注視すらせずに)迷走の継続を黙認している。中国など他の諸国の気球が米国や日本に迷い込むことはこれまで何度もあったが、黙認・無視されてきた。それで問題なかった。それが今回の歪曲されたインチキな気球騒動の渦中で「これまで黙認・無視してきた政府はけしからん」とか「次に中国の気球が入ってきたらどう撃墜するのか」みたいな非常識・頓珍漢な主張が乱発されている。けしからんのは米日の政府でなく、(意図的に)頓珍漢で間抜けなマスコミや「専門家」(とその軽信者)たちの方である。 (After Ordering Shootdown, Biden Casually Says China Spy Balloon "Not A Major Breach")

 2023/02/14
ウクライナでゆるやかに敗けていく米欧     田中 宇

2023年2月13日   田中 宇
間もなく開戦から1年がすぎるウクライナ戦争で、軍事的に最も重要なことは、昨年2月末の開戦日以来、ウクライナ全土の上空の制空権をロシアが握っていることだ。ロシア軍は開戦日の数時間でウクライナの空軍や防空施設の大半を破壊して制空権を奪取した。ロシア政府はその日のうちにウクライナ上空を飛行禁止区域に設定してICAOに通告した。それ以来、外国の民間機はウクライナ上空を飛んでいない。欧米の政府高官らがキエフなどウクライナを訪問する際は、すべて列車を使っている。露軍はウクライナ国内の列車運行を認めており、列車が最も安全な移動手段になっている。ゼレンスキーも昨年末の訪米時、列車でポーランドに出国し、そこで飛行機に乗り換えた。 (The Fog Of War Descends, Don't Expect This To Be Resolved Any Time Soon) (バイデンがプーチンをウクライナ侵攻に導いた)

露軍は緒戦の大規模な地上軍侵攻でウクライナの残余の防空施設を調べて破壊した。その後、米欧がウクライナに短距離のミサイル類を送り込んだが状況は変わらず、ウクライナはずっと制空権をロシアに奪われたままだ。露軍は、自国に併合したウクライナ東部とクリミアという露系住民地域では軍用機を飛ばしているが、ゼレンスキー政権が管轄しているそれ以外のウクライナ(西部地域)には露軍機をできるだけ飛ばさないようにしている。米欧がウクライナにあげた地対空ミサイルで迎撃される危険があるからだ。露軍は、西部地域で制空権を侵害する動きがあった場合、ロシア国内から精密誘導ミサイルを飛ばして破壊する。 (Size Matters - On A U.S. Ground Intervention In Ukraine) (優勢になるロシア)

NATO軍など米国側は、ウクライナ上空の制空権をロシアから奪回しようとする試みをやっていない。それをやると、ロシアとNATOとの戦争になってしまうからだ。開戦直後、ゼレンスキーは米国に制空権の奪還(米NATOとしてウクライナ上空に飛行禁止区域を設定すること)を頼み込んだが、米政府も米議会も断っている。誰もロシアと直接戦争したくない。ウクライナ当局は、自国内でヘリコプターなどを低空飛行して使っているが、露軍に攻撃されやすく高リスクだ。 (NATO Rejects Ukraine No-Fly Zone That Could Spark 'Full-Fledged War in Europe')

そんなわけでウクライナの制空権はロシアが握っているが、日本など米国側のマスコミはずっと「ロシアはウクライナの制空権を握れていない」と報じている。「露空軍はウクライナよりはるかに多くの戦力を持っているが、戦法が悪く士気も低いのでウクイナの制空権を握れていないのだ」などという、軍事専門家のコメントが堂々と載っている。こんな(笑)な事態になっているのは、米当局がそのように言っているからだ。マスコミや専門家は近年、米当局から教わった話を鵜呑みにすることを事実上義務付けられている。コロナ危機以降、大事な分野の報道の多くが歪曲されている。ウクライナ開戦直後は、昔からの情勢を知っている日本人の記者が書いた現実的な記事も見たが、間もなく米国発の歪曲情報が席巻して現実報道は消失した。米国側のマスコミは華々しい大誤報を続けてきた。 (America Sleepwalks Into War With Russia) (NYT On Ukraine - Real Reporting, Propaganda For Balance, Ominous Warning)

ウクライナが自国の制空権を西半分だけでも握っているのなら、EUの高官やゼレンスキー自身が列車で移動する必要などない。最近は米欧の高官がキエフを訪問する際にどんな交通手段を使ったのか報じられなくなっている。ロシアに制空権を握られていることを隠したいので、時間のかかる列車で移動していることを報じたくないのだろう。だが、先日キエフを訪問したEU高官(ミシェル欧州理事会議長)が列車の個室から動画を配信したので、今も列車移動を強いられていることが垣間見えた。 (Charles Michel says on his way to Kyiv)

ロシア政府は、米国側の歪曲報道を放置している。露側は、ウクライナの制空権を握っているのはロシアだと繰り返し表明したりしない。RTなど露側のマスコミも黙っている。露政府は、ウクライナ戦争での自国の優勢を隠し、この戦争が地上軍だけでゆっくり進み、一進一退っぽく延々と続くように仕向けている。米欧が強い兵器を出してきたら、露軍が上空から空爆して間引き的に破壊し、露軍の隠然優勢下で一進一退を演出し続ける。この戦争が長引くほど、米国側とくに欧州がロシアからの石油ガスなど資源類の輸入を断って経済的に自滅していき、いずれ米欧の結束が崩れてNATOや米覇権体制が瓦解して多極化が進み、ロシアにとってうれしい世界体制に転換していくからだ。この戦争の決着は、ウクライナの戦場で軍事的に決まるのでなく、世界的な政治経済の大状況として地政学的に決まる。私はこれを「プーチンの偽悪戦略」と呼んでいるが、多くの人が「そんなわけない。ロシアは本当に負けているだけだ。だってロシアだぜ」といまだに思っている。 (Elon Musk: "Most Are Oblivious" To The Danger Of World War 3) (プーチンの偽悪戦略に乗せられた人類)

米国側は、制空権をロシアから奪還しない限り露軍の隠然優勢が続き、ウクライナ戦争で勝てない。制空権奪還のためにはロシアと米NATOとの直接交戦が必要だが、その場合核戦争や世界大戦を覚悟せねばならない。好戦的な勢力は「核戦争を覚悟しつつ米NATOがロシアと直接交戦し、ウクライナの制空権を奪還してロシアを打ち負かすべきだ」と主張するのが筋だ。だが、そのような主張はどこからも出てきていない。核戦争しようぜと提案するわけにいかない。ロシアを勝たせるわけにいかないと言っている人は多いが、勝つ方法が示されていない。米NATOは開戦直後に、ウクライナの制空権を奪還しないと宣言している。NATO側がウクライナに戦闘機を送る話は繰り返し出ているが、いつも話だけであり、決して具現化しない。ウクライナは勝利への道を閉ざされている。 (Macron Says Russia Cannot Win Against Ukraine) (すでに負けているウクライナを永久に軍事支援したがる米国)

軍事的に、ウクライナ戦争はこの状態で膠着している。ロシアは膠着を望んでいるから、米国側が戦争を放棄しない限りこの状態がずっと続く。戦争が長引くほど、米国側が資源面から経済的に自滅していく。政治的にも、欧州で厭戦機運が強まって独仏などの政権が、従来の対米従属エリート支配から対米自立・非米的な右派ポピュリスト支配に替わっていく。イタリアはその流れの先進国だ。いずれ欧州はロシア敵視をやめて戦線離脱し、NATOが解体していく。 (So Much for Sanctions on Russia) (Popularity Of Italy's PM Giorgia Meloni Is Rebuke To EU Bureaucrats And European MSM)

米国も、ウクライナ支援に消極的な共和党が今年から議会下院の多数派になった。来年の米大統領選挙でトランプが勝つと、米国はウクライナを支援しなくなる可能性が高い(共和党の予備選は、最近の世論調査でトランプよりデサンティスが優勢だが、3番手に出てきたヘイリーがトランプの副大統領になることでトランプ陣営が勝てる。ヘイリーはデサンティス潰しのために立候補した)。軍事面でなく、政治経済の面で、米国側が敗北、というか戦争放棄していく。 (Rep. Matt Gaetz Leads Resolution Calling to End Support for Ukraine, Pushes for Peace) (ウクライナ戦争をやめたくてもやめられない米国側)

こういう流れを作ったのは、米国の上層部である諜報界だ。諜報界は大統領に報告する情報を歪曲して政策を不正操作してきた。米諜報界は、2014年にウクライナの反政府運動を扇動して親露政権を潰して米傀儡・反露な極右政権に交代させ、ウクライナ極右が国内東部のロシア系住民を殺し続け、ロシアがウクライナの東部やクリミアを併合せざるを得ないように仕向け、ウクライナ戦争を誘発した。開戦後、米国が欧州G7を率いてロシアに対する徹底的な経済制裁をする体制を発案・推進したのも米諜報界だ。ロシアは経済制裁されて国家崩壊していくとか、露軍は士気が低くて負けているなどとマスコミが歪曲報道したのも諜報界の差し金だ。 (Hostilities in Ukraine have been going on since 2014, Russia seeks to end them) (ウソだらけのウクライナ戦争)

本当にロシアが経済制裁されて国家崩壊し、戦場で露軍が敗北していけば、米諜報界の策略は「成功」だったのだが、そうはならなかった。これまで何度か記事にしたように、ロシアは経済制裁の体制を逆利用して中国インドBRICSサウジなど非米諸国を自国の側に引っ張り込み、世界の資源類と経済成長の中心地を非米側に移動させ、米欧の自滅も誘発して、米覇権を崩して覇権体制の多極化を加速することに成功している。プーチンのロシアにこの動きをさせたのは米諜報界だ。米諜報界の主流派は、911事件から四半世紀かけて、多極化を誘発する隠れ多極主義者に乗っ取られている。 (The New York Times Just Admitted That The West's Anti-Russian Sanctions Are A Failure) (Pentagon In Classified Briefing: Ukraine Retaking Crimea 'Unlikely')

米諜報界の主流派はもともと、米国の覇権体制を強化・恒久化したい米覇権主義の勢力だった。彼らは、主流派を隠れ多極主義に乗っ取られた後も諜報界の勢力として残り、大統領や米議会を動かしてウクライナ戦争による米国覇権の崩壊を食い止めようとしている。最近は、米国からバーンズCIA長官がキエフを訪問してゼレンスキーに会い、ウクライナ戦争の今後について話し合っている。この会談で、ロシアが併合を宣言したウクライナ東部2州とクリミアをロシア領としてウクライナが認めることでロシアとウクライナが和解して停戦するという案がバーンズからゼレンスキーに示されたという報道が出ている。また、米議会下院の多数派を握った共和党が、ウクライナへの軍事支援を減らすためにウクライナ政府高官の汚職を問題にしつつあることにどう対処するかという話も出たらしい。ゼレンスキーは最近、側近たちを汚職容疑で次々と更迭しており、対応策がすでに始まっている観がある。 (Report: Biden Pushed Peace Plan that Recognized Russia’s Control Over 20% of Ukraine) (CIA director holds secret meeting with Zelensky on Russia’s next steps)

ロシアによる東部2州とクリミアの併合を米欧ウクライナが認めるという和解案は、本当に提案されたらロシアの同意を得られる(プーチンは、世界の多極化推進よりも自国周辺の平和を優先せざるを得ない)。だが、米国側がこの和平案でまとまる可能性はほぼゼロだ。「極悪なロシアによる併合の悪事を認めることなど決してできない」という、歪曲されて凝り固まった善悪観が各方面からすぐに出され、全面否定されるからだ。米政府内では「米国はこれから中国と対決せねばならないので、もうロシアのことは最重要でない」という「ロシア敵視放棄論」も出ているが、どんな理屈をつけようが、ここまで人々を軽信させて凝り固まった米国側のロシア敵視の体制を崩すのはとても難しい。 (Is the Ukraine War moving toward a ‘Korea solution’?) (A Panicked Empire Tries To Make Russia "An Offer It Can't Refuse")

最近は、権威あるジャーナリストのセイモア・ハーシュが「ロシアからドイツに天然ガスを運んでいたノルドストリーム2のパイプラインを昨秋に爆破したテロリズムの犯人は米政府だった。バイデン自らが爆破を許可していた」という暴露記事を発表した。米政府は「作り話だ」と否定したが、米国犯人説は当初から言われており、やっぱりそうかという感じだ。 (Seymour Hersh : How America Took Out The Nord Stream Pipeline)

以前の米国は、ドイツがロシアと仲良くして天然ガスで全面依存することを了承していたのに、近年の米国はどんどんロシア敵視を強めてウクライナ戦争を誘発し、ドイツにロシアとの完全な縁切りを迫り、挙げ句の果てに見せしめ的にパイプラインを爆破した。米国は、同盟国であるドイツのことなど何も考えてくれない。ドイツでそのような世論が強まっている。しかし、ドイツのマスコミやエリート層は対米従属なので、米国への批判をすべてもみ消してしまう。人々はマスコミやエリート層を信用しなくなり、AfDなど右派ポピュリスト政党への支持が増える。ノルドストリーム2の爆破も、ドイツを非米側に押しやる隠れ多極主義的な策略のにおいがする。 (Hersh: "How America Took Out The Nord Stream Pipeline") (Escobar: The Trials And Tribulations Of The Collective West)


(Hersh: "How America Took Out The Nord Stream Pipeline")
シーモア・ハーシュ:“アメリカがノルドストリームパイプラインをどのように取り出したか”
   ニューヨークタイムズはそれを「謎」と呼んだが、
   米国は秘密にされていた秘密の海上作戦を実行した—今まで

米海軍のダイビングアンドサルベージセンターは、その名前と同じくらいあいまいな場所にあります—アラバマ州との国境の南70マイルにあるフロリダの南西部のパンハンドルにある現在活況を呈しているリゾート都市であるパナマシティの田舎道でした。センターの複合施設は、シカゴの西側にある職業高校のような、第二次世界大戦後の単調なコンクリートの構造である、その場所と同じくらい目立たないものです。コインランドリーとダンススクールは、現在の<>車線道路の向かいにあります。

このセンターは何十年にもわたって高度なスキルを持つ深海ダイバーを訓練しており、かつては世界中の米軍部隊に配属され、C4爆薬を使用して港やビーチの破片や不発弾を取り除くだけでなく、外国の石油掘削装置を爆破したり、海底発電所の吸気バルブを汚したりするなどの悪いことを行う技術的なダイビングを行うことができます。 重要な輸送用運河の水門を破壊する。アメリカで260番目に大きい屋内プールを誇るパナマシティセンターは、昨年の夏にバルト海の水面下<>フィートで許可されたことを成功裏に行ったダイビングスクールの最高の、そして最も無口な卒業生を募集するのに最適な場所でした。

昨年22月、BALTOPS <>として知られる広く公表された真夏のNATO演習のカバーの下で活動している海軍ダイバーは、遠隔トリガーされた爆発物を仕掛け、<>か月後に<>つのノルドストリームパイプラインのうち<>つを破壊しました。

総称してノルドストリーム1として知られていた2つのパイプラインは、1945年以上にわたってドイツと西ヨーロッパの多くに安価なロシアの天然ガスを提供していました。ノルドストリーム<>と呼ばれる<>番目のパイプラインのペアが建設されましたが、まだ稼働していませんでした。現在、ロシア軍がウクライナ国境に集結し、<>年以来ヨーロッパで最も血なまぐさい戦争が迫っているため、ジョセフ・バイデン大統領は、パイプラインをウラジーミル・プーチンが彼の政治的および領土的野心のために天然ガスを兵器化するための手段と見なしていました。

ホワイトハウスのエイドリアン・ワトソン報道官は電子メールでコメントを求め、「これは虚偽で完全なフィクションだ」と述べた。中央情報局(CIA)のスポークスマンであるタミー・ソープも同様に、「この主張は完全にそして完全に誤りです」と書いています。

パイプラインを妨害するというバイデンの決定は、その目標を達成する最善の方法について、ワシントンの国家安全保障コミュニティ内で9か月以上にわたって非常に秘密裏に議論された後のことでした。そのほとんどの時間、問題は任務を遂行するかどうかではなく、誰が責任を負っているかについての明白な手がかりなしにそれをどのように成し遂げるかでした。

パナマシティにあるセンターの筋金入りダイビングスクールの卒業生に頼る重要な官僚的な理由がありました。ダイバーは海軍のみであり、アメリカの特殊作戦司令部のメンバーではなく、その秘密作戦は議会に報告され、上院と下院の指導者、いわゆるギャングオブエイトに事前に説明されなければなりません。バイデン政権は、計画が2021年後半から2022年の最初の数か月に行われたため、リークを回避するために可能な限りのことをしていました。

バイデン大統領と彼の外交政策チーム(国家安全保障補佐官のジェイク・サリバン、国務長官のトニー・ブリンケン、および政策担当国務次官のビクトリア・ヌーランド)は、エストニア国境近くのロシア北東部の750つの異なる港からバルト海の下で<>マイル並んで走った<>つのパイプラインに対する敵意を表明し、一貫していました。 デンマークのボーンホルム島の近くを通過してから、ドイツ北部で終わります。

ウクライナを通過する必要性を迂回する直接ルートは、工場を運営し、家を暖めるのに十分な安価なロシアの天然ガスを豊富に享受し、ドイツの流通業者が余剰ガスを西ヨーロッパ全体で利益を上げて販売することを可能にしたドイツ経済にとって恩恵でした。政権にたどり着く可能性のある行動は、ロシアとの直接の紛争を最小限に抑えるという米国の約束に違反するでしょう。秘密は不可欠でした。

ノルド・ストリーム1は、その初期の頃から、ワシントンとその反ロシアNATOパートナーによって、欧米支配に対する脅威と見なされていた。その背後にある持ち株会社であるNord Stream AGは、プーチンの王位にいることが知られているオリガルヒによって支配されている株主に莫大な利益をもたらす上場ロシア企業であるガスプロムと提携して、2005年にスイスで設立されました。ガスプロムは会社の51%を支配し、49つのヨーロッパのエネルギー会社(フランスに45つ、オランダに<>つ、ドイツに<>つ)が残りの<>%の株式を共有し、ドイツと西ヨーロッパの地元の流通業者への安価な天然ガスの下流販売を管理する権利を持っていました。ガスプロムの利益はロシア政府と共有され、州のガスと石油の収入は ロシアの年間予算の<>パーセントに達すると推定されました。

プーチンは今や追加的で切望されている主要な収入源を持ち、ドイツと西ヨーロッパの他の国々は、ヨーロッパによるアメリカへの依存を減らしながら、ロシアが供給する低コストの天然ガスに夢中になるだろう。実際、それはまさに起こったことです。多くのドイツ人は、ノルドストリーム1を、戦後のドイツが第二次世界大戦で破壊された他のヨーロッパ諸国を、他のイニシアチブの中でもとりわけ、安価なロシアのガスを利用して繁栄した西ヨーロッパ市場と貿易経済に燃料を供給することによって、第二次世界大戦で破壊された他のヨーロッパ諸国をリハビリすることを可能にする、ウィリーブラント元首相の有名な東方政治理論の救出の一部と見なしていました。

NATOとワシントンの見解では、ノルドストリーム1は十分に危険でしたが、2年2021月に建設が完了したノルドストリーム50は、ドイツの規制当局によって承認されれば、ドイツと西ヨーロッパで利用できる安価なガスの量を<>倍にします。<>番目のパイプラインはまた、ドイツの年間消費量の<>%以上に十分なガスを供給します。バイデン政権の積極的な外交政策に支えられて、ロシアとNATOの間の緊張は絶えず高まっていました。

ノルドストリーム2への反対は、2021年<>月のバイデン就任式の前夜に燃え上がり、テキサス州のテッドクルーズが率いる上院共和党員が、国務長官としてのブリンケンの確認公聴会で安価なロシアの天然ガスの政治的脅威を繰り返し提起しました。その時までに、統一された上院は、クルスがブリンケンに語ったように、「その軌道に乗って[パイプライン]を停止した」法律を首尾よく可決しました。当時アンゲラ・メルケルが率いていたドイツ政府から、<>番目のパイプラインをオンラインにするよう、大きな政治的および経済的圧力がかかるでしょう。

バイデンはドイツ人に立ち向かうでしょうか?ブリンケン国務長官はイエスと答えたが、次期大統領の見解の詳細については議論していないと付け加えた。「私はこれが悪い考えであるという彼の強い信念を知っています、ノルドストリーム2」と彼は言いました。「彼は、ドイツを含む友人やパートナーに、それを前進させないように説得するために必要なあらゆる説得力のあるツールを私たちに使わせるだろうと私は知っています。」

数か月後、2番目のパイプラインの建設が完了に近づいたとき、バイデンはまばたきしました。その5月、驚くべき好転で、政権はノルドストリームAGに対する制裁を放棄し、国務省当局者は、制裁と外交を通じてパイプラインを止めようとすることは「常にロングショットだった」ことを認めた。伝えられるところによると、舞台裏では、政権当局者は、それまでにロシアの侵略の脅威に直面していたウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領に、この動きを批判しないように促した。

すぐに結果がありました。クルーズ氏が率いる上院共和党は、バイデン氏の外交政策候補者全員を即座に封鎖し、秋の奥深くまで数か月間、年次防衛法案の可決を遅らせることを発表しました。ポリティコは後に、2番目のロシアパイプラインでのバイデンの転換を、「バイデンの議題を危険にさらした、おそらくアフガニスタンからの混沌とし た軍事撤退以上の1つの決定」として描写しました。

ドイツのエネルギー規制当局が8番目のノルドストリームパイプラインの承認を停止した<>月中旬に危機の猶予を得たにもかかわらず、政権は挫折していました 。天然ガス価格は、パイプラインの停止とロシアとウクライナの間の戦争の可能性の高まりが非常に望ましくない寒い冬につながるというドイツとヨーロッパでの懸念が高まる中、数日以内に<>%急騰しました。ドイツの新しく任命された首相であるオラフ・ショルツがどこに立っているのかはワシントンには明らかではありませんでした。数ヶ月前、アフガニスタン陥落後、ショルツはプラハでの演説で、フランスのエマニュエル・マクロン大統領のより自律的なヨーロッパ外交政策の呼びかけを公に支持し、ワシントンとその水銀行動への依存度が低いことを明らかに示唆していた。

このすべてを通して、ロシア軍はウクライナの国境に着実かつ不吉に蓄積しており、100月末までに000万人以上の兵士がベラルーシとクリミアから攻撃する立場にありました。ワシントンでは、これらの軍隊の数が「短期間で倍増する」可能性があるというブリンケンの評価を含め、警戒感が高まっていました。

政権の注意は再びノルドストリームに集中した。ヨーロッパが安価な天然ガスのパイプラインに依存し続ける限り、ワシントンは、ドイツのような国々が、ロシアを打ち負かすために必要な資金と武器をウクライナに供給することを躊躇することを恐れていた。

バイデンがジェイク・サリバンに省庁間グループを集めて計画を立てることを許可したのは、この不安定な瞬間でした。

すべてのオプションがテーブルにあることになっていました。しかし、1つだけが出現します。

企画

2021年<>月、最初のロシアの戦車がウクライナに転がり込む<>か月前に、ジェイクサリバンは新しく形成されたタスクフォース(統合参謀本部、CIA、国務省と財務省の男性と女性)の会議を招集し、プーチンの差し迫った侵略にどのように対応するかについての推奨事項を求めました。

これは、大統領の対外情報諮問委員会(PFIAB)の本拠地でもあったホワイトハウスに隣接する旧行政府ビルの最上階にある安全な部屋での一連の極秘会議の最初のものになるでしょう。通常の前後のおしゃべりがあり、最終的には重要な予備的な質問につながりました:グループによって大統領に転送された勧告は、制裁と通貨制限の別の層など、可逆的であるか、または不可逆的、つまり元に戻すことができない動的行動ですか?

プロセスを直接知っている情報筋によると、参加者に明らかになったのは、サリバンがグループに2つのノルドストリームパイプラインの破壊計画を考え出すことを意図していたこと、そして彼が大統領の願望を実現していたことです。

プレイヤー左から右へ:ビクトリアヌーランド、アンソニーブリンケン、ジェイクサリバン。
次の数回の会議で、参加者は攻撃のオプションについて議論しました。海軍は、パイプラインを直接攻撃するために新しく委託された潜水艦を使用することを提案しました。空軍は、遠隔で発射できる遅延ヒューズを備えた爆弾の投下について話し合った。CIAは、何が行われようとも、それは秘密でなければならないと主張した。関係者全員が利害関係を理解していました。「これは子供向けのものではありません」と情報筋は言いました。攻撃が米国に追跡可能である場合、「それは戦争行為です」。

当時、CIAは、オバマ政権で国務副長官を務めた温厚な元駐ロシア大使のウィリアム・バーンズが指揮していた。バーンズは、偶然にもパナマシティの海軍の深海ダイバーの能力に精通している人を含むアドホックメンバーを含むエージェンシーワーキンググループをすぐに承認しました。次の数週間で、CIAのワーキンググループのメンバーは、パイプラインに沿って爆発を引き起こすために深海ダイバーを使用する秘密作戦の計画を作成し始めました。

このようなことは以前に行われていました。1971年、アメリカの諜報機関は、ロシア海軍の<>つの重要な部隊が、ロシア極東海岸のオホーツク海に埋められた海底ケーブルを介して通信していることを、まだ非公開の情報源から知りました。ケーブルは、地域海軍司令部をウラジオストクの本土本部に接続しました。

中央情報局と国家安全保障局の工作員の厳選されたチームがワシントン地域のどこかで、深い秘密の下で集められ、海軍のダイバー、改造された潜水艦、深海潜水艦救助車を使用して計画を立て、多くの試行錯誤の末、ロシアのケーブルを見つけることに成功しました。ダイバーは、ロシアの交通をうまく傍受し、テーピングシステムに記録した洗練されたリスニングデバイスをケーブルに設置しました。

NSAは、通信リンクのセキュリティを確信しているロシア海軍の上級将校が、暗号化せずに仲間とチャットしたことを知りました。録音装置とそのテープは毎月交換する必要があり、プロジェクトはロシア語に堪能なロナルド・ペルトンという1985歳の民間NSA技術者によって危険にさらされるまで、5年間陽気に進みました。ペルトンは000年にロシアの亡命者に裏切られ、懲役刑を宣告されました。彼は、作戦に関する彼の啓示に対してロシア人からわずか 35,000ドルを支払われ、彼が提供した他のロシアの作戦データに対して<>,<>ドルが支払われましたが、公開されることはありませんでした。

コードネームアイビーベルズと呼ばれるその水中での成功は革新的で危険であり、ロシア海軍の意図と計画に関する貴重な情報を生み出しました。

それでも、省庁間グループは当初、秘密の深海攻撃に対するCIAの熱意に懐疑的でした。未回答の質問が多すぎました。バルト海の海域はロシア海軍によって厳重にパトロールされており、ダイビング操作のカバーとして使用できる石油掘削装置はありませんでした。ダイバーは、ミッションの訓練のために、ロシアの天然ガス積み込みドックから国境を越えたエストニアに行かなければならないでしょうか?「それはヤギの性交だろう」とエージェンシーは言われた。

「このすべての陰謀」を通して、情報筋は言った、「CIAと国務省の何人かの労働者は言っていました、 'これをしないでください。それは愚かであり、それが出てきたら政治的な悪夢になるでしょう。」

それにもかかわらず、2022年の初めに、CIAワーキンググループはサリバンの省庁間グループに「パイプラインを爆破する方法があります」と報告しました。

次に来たのは驚くべきことでした。ロシアのウクライナ侵攻が避けられないように見える7週間も経たない2月<>日、バイデンはホワイトハウスのオフィスでドイツのオラフショルツ首相と会いました。その後の記者会見で、バイデンは反抗的に言った、「ロシアが侵略した場合。 。 。ノルドストリーム<>はもうありません。私たちはそれに終止符を打ちます。」

2日前、ヌーランド国務次官は国務省のブリーフィングで本質的に同じメッセージを伝えていましたが、マスコミはほとんど報道されていませんでした。「今日はあなたに非常に明確にしたい」と彼女は質問に答えて言った。「ロシアがウクライナに侵攻した場合、何らかの形でノルドストリーム<>は前進しません。」

パイプラインミッションの計画に関与した人々の何人かは、攻撃への間接的な言及と見なしたものに失望しました。

「それは東京の地面に原子爆弾を置き、私たちがそれを爆発させるつもりであると日本人に言うようなものでした」と情報筋は言いました。「計画は、オプションが侵略後に実行され、公に宣伝されないことでした。バイデンは単にそれを理解しなかったか、それを無視しました。」

バイデンとヌーランドの軽率さは、もしそれがそうであったとしても、計画立案者の一部を苛立たせたかもしれません。しかし、それはまた機会を生み出しました。情報筋によると、CIAの高官の何人かは、パイプラインを爆破することは「大統領が私たちがそれを行う方法を知っていると発表したばかりなので、もはや秘密の選択肢とは見なされない」と判断した。

ノルドストリーム1と2を爆破する計画は、議会に通知することを要求する秘密作戦から、米軍の支援を受けた高度に機密化された諜報作戦と見なされたものに突然格下げされました。法律の下で、情報筋は、「議会に作戦を報告する法的要件はもはやありませんでした。彼らが今しなければならなかったのはただそれをすることだけです—しかしそれはまだ秘密でなければなりませんでした。ロシア人はバルト海を最上級で監視している」

IAEAのワーキンググループのメンバーはホワイトハウスと直接接触しておらず、大統領が彼の言ったことを意味しているかどうか、つまりミッションが今やうまくいっているかどうかを知りたがっていました。情報筋は、「ビル・バーンズが戻ってきて、「やれ」と言った」と回想した。

パイプライン爆撃の直後、アメリカのメディアはそれを未解決の謎のように扱いました。ロシアは、ホワイトハウスからの計算されたリークに拍車をかけられた犯人として繰り返し引用されましたが、単純な報復を超えて、そのような自己破壊行為の明確な動機を確立することはありませんでした。数か月後、ロシア当局がパイプラインの修理費用の見積もりを静かに入手していたことが明らかになったとき、ニューヨークタイムズはこのニュースを攻撃の「誰が背後にいたかについての複雑な理論」と説明しました。アメリカの大手新聞は、バイデンとヌーランド国務次官によるパイプラインに対する以前の脅威を掘り下げていませんでした。

ロシアが自国の儲かるパイプラインを破壊しようとする理由は明らかではありませんでしたが、大統領の行動のより明白な理論的根拠はブリンケン国務長官から来ました。

昨年9月の記者会見で、西ヨーロッパのエネルギー危機の悪化の影響について尋ねられたブリンケン国務長官は、その瞬間を潜在的に良いものとして説明しました。

「ロシアのエネルギーへの依存を完全に取り除き、ウラジーミル・プーチンから彼の帝国設計を進める手段としてのエネルギーの兵器化を取り除く絶好の機会です。これは非常に重要であり、今後数年間にわたって途方もない戦略的機会を提供しますが、その一方で、これらすべての結果が私たちの国、さらに言えば世界中の市民によって負担されないようにするために、できる限りのことをすることを決意しています。」

最近では、ビクトリアヌーランドは最新のパイプラインの終焉に満足を表明しました。2月下旬の上院外交委員会の公聴会で証言した彼女は、テッド・クルーズ上院議員に、「あなたと同じように、私はそうです。ノルドストリーム<>が今や海底の金属の塊になっていることを知って、政権は非常に満足していると思います」と語った。

情報筋は、冬が近づくにつれて1500マイル以上のガスプロムパイプラインを妨害するというバイデンの決定について、はるかにストリートワイズの見方をしていました。「まあ」と彼は大統領について話して言った、「私は男がボールのペアを持っていることを認めなければなりません。彼はそれをするつもりだと言いました、そして彼はそうしました。」

なぜロシア人が応答しなかったと思うのかと尋ねられて、彼は皮肉を込めて言った、「多分彼らは米国がしたのと同じことをする能力を望んでいます。

「それは美しいカバーストーリーでした」と彼は続けました。「その背後には、現場の専門家を配置した秘密作戦と、秘密信号で動作する機器がありました。

「唯一の欠陥は、それを行うという決定でした。」

「ノルウェー海軍は、デンマークのボーンホルム島から数マイル離れた浅瀬で、適切な場所をすばやく見つけました。 。 。」
ノルウェーはミッションの拠点として最適な場所でした。

過去数年間の東西危機で、米軍は、西の国境が北大西洋に沿って1,400マイル走り、北極圏の上空でロシアと合流するノルウェー国内でのプレゼンスを大幅に拡大しました。ペンタゴンは、ノルウェーのアメリカ海軍と空軍の施設をアップグレードおよび拡張するために数億ドルを投資することにより、いくつかの地元の論争の中で、高給の仕事と契約を生み出しました。新しい作品には、最も重要なことに、ロシアの奥深くまで侵入することができ、アメリカの諜報機関が中国国内の一連の長距離リスニングサイトへのアクセスを失ったときにオンラインになった、はるか北にある高度な合成開口レーダーが含まれていました。

何年にもわたって建設されていた新しく改装されたアメリカの潜水艦基地が運用可能になり、より多くのアメリカの潜水艦がノルウェーの同僚と緊密に協力して、東に250マイル離れたコラ半島の主要なロシアの核堡塁を監視し、スパイできるようになりました。アメリカはまた、北部のノルウェー空軍基地を大幅に拡張し、ボー艦隊をノルウェー空軍に引き渡し イング製のP8ポセイドン哨戒機の 、ロシアのあらゆるものに対する長距離スパイを強化しました。

その見返りとして、ノルウェー政府は昨年11月に補足防衛協力協定(SDCA)を可決することにより、議会でリベラル派と一部の穏健派を怒らせた。ニューディールの下では、米国の法制度は、基地外での犯罪で告発された特定の「合意された地域米兵、および基地での作業を妨害したとして告発または疑われたノルウェー市民に対して、北米の」を管轄することになります。

ノルウェーは、冷戦初期の1949年にNATO条約の最初の署名者の2014つでした。今日、NATOの最高司令官は、献身的な反共産主義者であるイェンス・ストルテンベルグであり、<>年にアメリカの支援を受けてNATOの高官に移る前に、ノルウェーの首相を<>年間務めました。彼は、ベトナム戦争以来、アメリカの諜報機関と協力してきたプーチンとロシアのすべてのことに対する強硬派でした。それ以来、彼は完全に信頼されています。「彼はアメリカの手に合う手袋です」と情報筋は言いました。

ワシントンに戻ると、計画立案者はノルウェーに行かなければならないことを知っていました。「彼らはロシア人を憎み、ノルウェー海軍は、収益性の高い深海の石油とガスの探査で何世代にもわたる経験を持つ素晴らしい船員とダイバーでいっぱいでした」と情報筋は言いました。彼らはまた、任務を秘密にしておくことを信頼することができました。(ノルウェー人は他の興味も持っていたかもしれません。ノルドストリームの破壊は、アメリカ人がそれをやってのけることができれば、ノルウェーは自国の天然ガスをヨーロッパにはるかに多く販売できるようになるでしょう。

1月のある時点で、チームの数人のメンバーがノルウェーのシークレットサービスと海軍と会うためにノルウェーに飛んだ。重要な質問の2つは、バルト海のどこに爆発物を仕掛けるのに最適な場所かということでした。ノルドストリーム<>と<>は、それぞれ<>セットのパイプラインを備えており、ドイツのはるか北東にあるグライフスヴァルトの港に向かう途中で、<>マイル強離れていました。

ノルウェー海軍は、デンマークのボーンホルム島から数マイル離れたバルト海の浅瀬で、適切な場所をすぐに見つけました。パイプラインは、深さわずか260フィートの海底に沿って4マイル以上離れて走っていました。これは、ノルウェーのアルタ級マインハンターから運航し、タンクから流れる酸素、窒素、ヘリウムの混合物で潜り、コンクリート保護カバー付きの<>つのパイプラインに植物の形をしたC<>チャージを搭載するダイバーの範囲内です。それは退屈で時間がかかり、危険な作業になるでしょう、しかしボーンホルム沖の海域はもう一つの利点を持っていました:大きな潮流がなかったので、ダイビングのタスクははるかに困難になったでしょう。

少し調べた後、アメリカ人は全員参加しました。

この時点で、パナマシティでの海軍のあいまいな深海潜水グループが再び登場しました。訓練生がアイビーベルに参加したパナマシティの深海学校は、通常、シール、戦闘機パイロット、または潜水艦として割り当てられるという栄光を求めているアナポリスの海軍兵学校のエリート卒業生によって、望ましくない背水と見なされています。「ブラックシュー」、つまりあまり望ましくない水上艦司令部のメンバーにならなければならない場合、少なくとも駆逐艦、巡洋艦、または水陸両用艦には常に義務があります。すべての中で最も魅力的ではないのは地雷戦です。そのダイバーはハリウッド映画や人気雑誌の表紙には決して登場しません。

「ディープダイビングの資格を持つ最高のダイバーは緊密なコミュニティであり、最高のダイバーだけが作戦に採用され、ワシントンのCIAに召喚される準備をするように言われます」と情報筋は言いました。

ノルウェー人とアメリカ人は場所と工作員を持っていましたが、別の懸念がありました:ボーンホルム沖の海域での異常な水中活動は、それを報告する可能性のあるスウェーデン海軍またはデンマーク海軍の注意を引く可能性があります。

デンマークはまた、最初のNATO署名国の1つであり、英国との特別な関係で諜報機関で知られていました。スウェーデンはNATOへの加盟を申請し、スウェーデン群島の遠隔海域に時折現れて水面に追いやられるロシアの潜水艦を追跡することに成功した水中音響および磁気センサーシステムの管理においてその優れたスキルを示しました。

ノルウェー人はアメリカ人に加わり、デンマークとスウェーデンの一部の高官は、この地域でのダイビング活動の可能性について一般的な言葉で説明されなければならないと主張しました。このようにして、上位の誰かが介入し、レポートを指揮系統から外し、パイプライン操作を絶縁することができます。「彼らが言われたことと彼らが知っていたことは意図的に異なっていた」と情報筋は私に言った。(この話についてコメントを求められたノルウェー大使館は返答しなかった。

ノルウェー人は他のハードルを解決するための鍵でした。ロシア海軍は、水中の機雷を発見してトリガーできる監視技術を持っていることが知られていました。アメリカの爆発装置は、ロシアのシステムに自然の背景の一部として見えるようにカモフラージュする必要がありました—水の特定の塩分に適応する必要がある何か。ノルウェー人は修正しました。

ノルウェー人はまた、作戦がいつ行われるべきかという重要な問題に対する解決策を持っていました 。毎年21月、過去22年間、ローマ南部のイタリアのガエータに旗艦を置くアメリカ第22艦隊は、地域全体の多数の同盟国の船が参加するバルト海での大規模なNATO演習を後援してきました。<>月に開催される現在の演習は、バルチックオペレーション<>、またはBALTOPS<>として知られています。ノルウェー人は、これが地雷を植えるための理想的なカバーになると提案しました。

アメリカ人は1つの重要な要素を提供しました:彼らはプログラムに研究開発演習を追加するように第6艦隊の計画者を説得しました。海軍によって公表された演習には、海軍の「研究および戦争センター」と協力して第6艦隊が関与しました。海上イベントはボーンホルム島の沖合で開催され、ダイバーのNATOチームが地雷を植え、競合するチームが最新の水中技術を使用して地雷を見つけて破壊します。

それは有用な運動であり、独創的なカバーでもありました。パナマシティの少年たちは自分たちのことをし、C4爆発物はBALTOPS22の終わりまでに48時間のタイマーが取り付けられて配置されます。すべてのアメリカ人とノルウェー人は最初の爆発によって長い間去っていたでしょう。

日はカウントダウンしていました。「時計は刻々と過ぎていて、私たちは任務の達成に近づいていました」と情報筋は言いました。

そして、ワシントンは考え直しました。爆弾はBALTOPSの間も植えられていましたが、ホワイトハウスは、爆発の2日間のウィンドウが演習の終わりに近づきすぎ、アメリカが関与していたことは明らかであると心配しました。

代わりに、ホワイトハウスは新しい要求をしました:「現場の人たちは、後でコマンドでパイプラインを吹き飛ばす方法を考え出すことができますか?」

計画チームの何人かのメンバーは、大統領の一見優柔不断に怒り、苛立っていました。パナマシティのダイバーは、BALTOPSのときと同じように、パイプラインにC4を植える練習を繰り返していましたが、ノルウェーのチームは、バイデンが望むもの、つまり彼が選択したときに成功した実行命令を発行する能力を与える方法を考え出す必要がありました。

恣意的で土壇場での変更を任されたことは、CIAが管理することに慣れていたものでした。しかし、それはまた、作戦全体の必要性と合法性について一部の人々が共有した懸念を新たにしました。

大統領の秘密の命令はまた、反ベトナム戦争感情の高まりに直面したジョンソン大統領が、反戦指導者をスパイして彼らが共産主義ロシアによって支配されているかどうかを判断することによって、その憲章に違反するようにCIAに命じたとき、ベトナム戦争時代のCIAのジレンマを呼び起こしました。

代理店は最終的に黙認し、1970年代を通じて、どこまで進んでいたかが明らかになりました。ウォーターゲート事件の余波で、アメリカ市民に対するエージェンシーのスパイ、外国指導者の暗殺への関与、サルバドール・アジェンデの社会主義政府の弱体化についてのその後の新聞の暴露がありました。

これらの啓示は、1970年代半ばにアイダホ州のフランク教会が率いる上院での劇的な一連の公聴会につながり、当時の機関長官であるリチャードヘルムズが、たとえそれが法律に違反することを意味するとしても、大統領が望むことをする義務があることを受け入れたことを明らかにしました。

未発表の非公開証言で、ヘルムズは大統領からの秘密の命令の下で「あなたが何かをするとき、あなたはほとんど無原罪の御宿りを持っている」と無礼に説明しました。「あなたがそれを持つべきであることが正しいか間違っているかにかかわらず、[CIA]は政府の他のどの部分とは異なる規則と基本規則の下で働いています。」彼は本質的に上院議員に、CIAの長として、憲法ではなく王冠のために働いていたことを理解していると言っていました。

ノルウェーで働いているアメリカ人は同じダイナミクスの下で活動し、バイデンの命令でC4爆薬を遠隔爆発させる方法という新しい問題に忠実に取り組み始めました。それはワシントンの人々が理解していたよりもはるかに厳しい任務でした。ノルウェーのチームは、大統領がいつボタンを押すかを知る方法はありませんでした。数週間後、数か月後、または半年以上後でしょうか。

パイプラインに取り付けられたC4は、急遽飛行機に投下されたソナーブイによってトリガーされますが、手順には最先端の信号処理技術が含まれていました。<>つのパイプラインのいずれかに取り付けられた遅延タイミングデバイスは、近くと遠くの船、水中掘削、地震イベント、波、さらには海の生き物など、交通量の多いバルト海全体の海洋バックグラウンドノイズの複雑な組み合わせによって誤ってトリガーされる可能性があります。これを回避するために、ソナーブイは、一度設置されると、フルートやピアノが発するような一連の独特の低周波音を発し、タイミングデバイスによって認識され、事前に設定された数時間の遅延の後に爆発物をトリガーします。(「爆発物を爆発させるパルスを誤って送ることが他の信号にならないように、十分に堅牢な信号が必要です」と、MITの科学技術および国家安全保障政策の名誉教授であるセオドア・ポストル博士から言われました。国防総省の海軍作戦部長の科学顧問を務めたポストル氏は、バイデンの遅れのためにノルウェーのグループが直面している問題は偶然の<>つであると述べた:「爆発物が水中にある時間が長いほど、爆弾を発射するランダムな信号のリスクが高くなります。」

26年2022月8日、ノルウェー海軍のP2監視機が一見日常的な飛行を行い、ソナーブイを投下しました。信号は水中で広がり、最初はノルドストリーム1に広がり、次にノルドストリーム4に広がりました。数時間後、強力なC<>爆薬がトリガーされ、<>つのパイプラインのうち<>つが使用不能になりました。数分以内に、閉鎖されたパイプラインに残ったメタンガスのプールが水面に広がるのを見ることができ、世界は不可逆的な何かが起こったことを知りました。

降下

パイプライン爆撃の直後、アメリカのメディアはそれを未解決の謎のように扱いました。ロシアは、ホワイトハウスからの計算されたリークに拍車をかけられた犯人として繰り返し引用されましたが、単純な報復を超えて、そのような自己破壊行為の明確な動機を確立することはありませんでした。数か月後、ロシア当局がパイプラインの修理費用の見積もりを静かに入手していたことが明らかになったとき、ニューヨークタイムズはこのニュースを攻撃の「誰が背後にいたかについての複雑な理論」と説明しました。アメリカの大手新聞は、バイデンとヌーランド国務次官によるパイプラインに対する以前の脅威を掘り下げていませんでした。

ロシアが自国の儲かるパイプラインを破壊しようとする理由は明らかではありませんでしたが、大統領の行動のより明白な理論的根拠はブリンケン国務長官から来ました。

昨年9月の記者会見で、西ヨーロッパのエネルギー危機の悪化の影響について尋ねられたブリンケン国務長官は、その瞬間を潜在的に良いものとして説明しました。

「ロシアのエネルギーへの依存を完全に取り除き、ウラジーミル・プーチンから彼の帝国設計を進める手段としてのエネルギーの兵器化を取り除く絶好の機会です。これは非常に重要であり、今後数年間にわたって途方もない戦略的機会を提供しますが、その一方で、これらすべての結果が私たちの国、さらに言えば世界中の市民によって負担されないようにするために、できる限りのことをすることを決意しています。」

最近では、ビクトリアヌーランドは最新のパイプラインの終焉に満足を表明しました。2月下旬の上院外交委員会の公聴会で証言した彼女は、テッド・クルーズ上院議員に、「あなたと同じように、私はそうです。ノルドストリーム<>が今や海底の金属の塊になっていることを知って、政権は非常に満足していると思います」と語った。

情報筋は、冬が近づくにつれて1500マイル以上のガスプロムパイプラインを妨害するというバイデンの決定について、はるかにストリートワイズの見方をしていました。「まあ」と彼は大統領について話して言った、「私は男がボールのペアを持っていることを認めなければなりません。彼はそれをするつもりだと言いました、そして彼はそうしました。」

なぜロシア人が応答しなかったと思うのかと尋ねられて、彼は皮肉を込めて言った、「多分彼らは米国がしたのと同じことをする能力を望んでいます。

「それは美しいカバーストーリーでした」と彼は続けました。「その背後には、現場の専門家を配置した秘密作戦と、秘密信号で動作する機器がありました。

「唯一の欠陥は、それを行うという決定でした。」



 
 
https://www.historyjp.com/allindex/ https://www.hotsuma.jr.jp ◆下平評
◆日付  2023/00/00
  

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