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【 02 】02/14
  子どもの育ちの現状と背景  文部科学省
  子ども・子育て支援  厚生労働省

 2023/02/14
子どもの育ちの現状と背景     文部科学省

次世代を担う保育園や幼稚園については、国家で予算を計上してその教育を考えています。 ところがそれ以前の妊娠から始まる保護者と生まれて保育園及び幼稚園までの胎児、乳幼児、幼児の養育・指導については、ほとんど実施計画と実践については行なっていません。

それは次の通りでした。

文科省の対策を見ると、「子どもの育ちの現状と背景」の考えはわかりますが、その対策についての方針には触れていません。

文科省はこのようですが、厚労省はどうなのかも調べました。 それも文科省と似たり寄ったりの内容で、養育者への月額補助や再就職への考えには、両省とも何も触れていません。

教育に対しての国の対策の大きな欠落は、乳幼児幼児対策の実現と保護者への補助金及び再就職への安心感の考慮などについての配慮がないことだと私は痛感しております。

なぜかと言うと、生物の生長はすべてまねて成長するように遺伝子に仕組まれているからです。 ことに人は胎内にいるときから遺伝子の働きによってまねて成長を始めているからなのです。 子どもの育ち支援は3~5才までだけでは意味をなしません。 基本的には真似の能力は、才能逓減の法則に示されるように、早ければ早いほど真似の能力は強く、遅ければ遅いほど真似の能力は弱くなることが基本であることを理解しなければならないのです。


文部科学省

トップ > 政策・審議会 > 審議会情報 > 中央教育審議会 > 初等中等教育分科会 > 資料2 子どもを取り巻く環境の変化を踏まえた今後の幼児教育の在り方について(中間報告)(案) > 第4節 子どもの育ちの現状と背景

  第1章 子どもを取り巻く環境の変化を踏まえた今後の幼児教育の方向性
  第1節 幼児期における教育の重要性
  第2節 幼児教育の意義及び役割
  第3節 幼児教育の振興に係るこれまでの取組
  第4節 子どもの育ちの現状と背景
  第5節 今後の幼児教育の取組の方向性
第1章 子どもを取り巻く環境の変化を踏まえた今後の幼児教育の方向性

第1節 幼児期における教育の重要性

人の一生における幼児期の重要性

人の一生において,幼児期は,心情,意欲,態度,基本的生活習慣など,生涯にわたる人間形成の基礎が培われる極めて重要な時期である。幼児は,生活や遊びといった直接的・具体的な体験を通して,情緒的・知的な発達,あるいは社会性を涵養し,人間として,社会の一員として,より良く生きるための基礎を獲得していく。

幼児期における教育の重要性

また,幼児期は,知的・感情的な面でも,また人間関係の面でも,日々急速に成長する時期でもあるため,この時期に経験しておかなければならないことを十分に行わせることは,将来,人間として充実した生活を送る上で不可欠である。
 したがって,我々大人は,幼児期における教育が,その後の人間としての生き方を大きく左右する重要なものであることを認識し,子どもの育ちについて常に関心を払うことが必要である。

第2節 幼児教育の意義及び役割

幼児教育の範囲

・幼児とは,小学校就学前の者を意味する。
 幼児教育とは,幼児に対する教育を意味し,幼児が生活するすべての場において行われる教育を総称したものである。具体的には,幼稚園における教育,保育所等における教育,家庭における教育,地域社会における教育を含み得る,広がりを持った概念としてとらえられる。

家庭・地域社会・幼稚園等施設

・この家庭・地域社会・幼稚園等施設(幼児に対する教育機能を担う幼稚園や保育所等の施設を言う。以下同じ。)における教育は,それぞれの有する教育機能を互いに発揮し,バランスを保ちながら,幼児の自立に向けて,幼児の健やかな成長を支える大切な役割を果たしている。
 具体的には,家庭は,愛情やしつけなどを通して幼児の成長の最も基礎となる心身の基盤を形成する場である。
 また,地域社会は,様々な人々との交流や身近な自然との触れ合いを通して豊かな体験が得られる場である。
 そして,幼稚園等施設は,幼児が家庭での成長を受け,集団活動を通して,家庭では体験できない社会・文化・自然などに触れ,教員等に支えられながら,幼児期なりの豊かさに出会う場である。
 この家庭・地域社会・幼稚園等施設の間で,幼児の生活は連続的に営まれており,この三者で連携が取られ,幼児への教育が全体として豊かなものになって初めて,幼児の健やかな成長が保障される。

幼児期の発達の特性に応じた幼稚園教育

・幼児教育の中でも,幼稚園教育は,従来から,幼児教育の中核としての役割を果たしてきた。このため,幼児教育と幼稚園教育とが,ほぼ同義の意味で使われることも多い。
 幼稚園は,3歳以上の幼児を対象として,「幼児を保育し,適当な環境を与えて,その心身の発達を助長すること」を目的とし(学校教育法第77条),小学校以降の生活や学習の基盤を培う学校教育の始まりとしての役割を担っているものである。
・幼稚園教育は,幼児期の発達の特性に照らして,幼児の自発的な活動としての「遊び」を重要な学習として位置付け,幼稚園教育要領に従って教育課程が編成され,適切な施設設備の下に,教育の専門家である教員による組織的・計画的な指導を「環境を通して」行っているものである。
・幼児は,遊びの中で主体的に対象にかかわり,自己を表出する。そこから,外の世界に対する好奇心が育まれ,探索し,知識を蓄えるための基礎が形成される。また,ものや人とのかかわりにおける自己表出を通して,幼児の発達にとって最も重要な自我が芽生えるとともに,人とかかわる力や他人の存在に気付くなど,自己を取り巻く社会への感覚を養っている。
 このような幼児期の発達の特性に照らして,幼稚園では,幼児が自由に遊ぶのに任せるのではなく,教員が計画的に幼児の遊びを十分に確保しながら,生涯にわたる人間形成の基礎を培う教育を行っている。

幼児教育の意義及び役割

・この幼児期の発達の特性に照らした教育とは,受験などを念頭に置き,専ら知識のみを獲得することを先取りするような,いわゆる早期教育とは本質的に異なる。
 幼児教育は,目先の結果のみを期待しているのではなく,生涯にわたる学習の基礎を作ること,「後伸(あとの)びする力」を培うことを重視している。
 幼児は,身体感覚を伴う多様な活動を経験することによって,豊かな感性を養うとともに,生涯にわたる学習意欲や学習態度の基礎となる好奇心や探究心を培い,また,小学校以降における教科の内容等について実感を伴って深く理解できることにつながる「学習の芽生え」を育んでいる。
 このような特質を有する幼児教育は,幼児の内面に働き掛け,一人一人の持つ良さや可能性を見いだし,その芽を伸ばすことをねらいとするため,小学校以降の教育と比較して「見えない教育」と言われることもある。
 だからこそ,幼児教育にかかわるに当たり,家庭や地域社会では,幼児の持つ良さや幼児の可能性の芽を伸ばす努力が求められる。また,幼稚園等施設における教員等には,幼児一人一人の内面にひそむ芽生えを理解し,その芽を引き出し伸ばすために,幼児の主体的な活動を促す適当な環境を計画的に設定することができる専門的な能力が求められる。
・このように,幼児教育は,次代を担う子どもたちが人間として心豊かにたくましく生きる力を身に付けられるよう,生涯にわたる人間形成の基礎を培う普遍的かつ重要な役割を担っている。  また,学校教育の始まりとして幼児教育をとらえれば,幼児教育は,知識や技能に加え,思考力・判断力・表現力などの「確かな学力」や「豊かな人間性」,たくましく生きるための「健康・体力」から成る,「生きる力」の基礎を育成する役割を担っている。

第3節 幼児教育の振興に係るこれまでの取組

幼児教育の振興に係る取組の実施

 幼児期における教育は,子どもの心身の発達を助長し,健やかな成長を促す上で大切なものである。このため,文部科学省では,幼児教育の振興に係る取組について,これまで幼稚園の量的拡大に係る取組から始まり,幼児教育の質的向上に係る取組へと展開させてきた。
特に,中央教育審議会「少子化と教育について(報告)」(平成12年4月17日)では,「幼児教育の全体についての施策を総合的に展開することが,少子化への対応の観点からも効果的である」とされ,幼児教育の専門施設である幼稚園を中核に,家庭・地域社会における幼児の教育をも視野に入れた総合的な施策の展開を図ることが求められた。

幼児教育振興プログラムの推進

 これを受けて,文部科学省では,「幼児教育振興プログラム」(平成13年3月29日)を策定し,幼稚園の教育活動及び教育環境の充実,幼稚園における子育て支援の充実,幼稚園と小学校の連携の推進,幼稚園と保育所の連携の推進といった幼稚園教育の条件整備を中心としつつも,併せて,家庭教育や地域社会における子育て支援の施策の充実を図る方向性を示した。
 これらの取組も踏まえながら,各地域においては,創意工夫し,地域の実情に応じた様々な幼児教育の振興に関する取組が行われている。

幼児教育の今日的な課題

 このように,これまでの幼児教育の振興に係る取組を通じて,幼稚園教育の機会が地域的に偏在している(現在,1,000近い市町村において幼稚園が設置されていない)などという個別の課題は残しながらも,総じて,幼児教育の普及・充実が図られてきたものと言える。
 一方で,現状は,従来に比べて子どもの育ちが何かおかしいのではないか,子どもを取り巻く環境が悪化しているのではないかなど,子どもの成長に関する懸念が多く聞かれるようになっている。
 このような子どもの成長に関する懸念に対して,幼児教育を担う家庭・地域社会・幼稚園等施設は,その責任と役割を十分に果たしてきたかどうか,それぞれが当事者意識を持って考えることが必要である。
 具体的には,1.幼児の発達や生活には,家庭・地域社会・幼稚園等施設の中での連続性があるにもかかわらず,幼児教育において三者の連携や補完が必ずしも十分ではなかったのではないか,2.幼稚園等施設の中には,社会の変化等に対応していこうとする意識が必ずしも十分になく,家庭・地域社会あるいは小学校等との連携や支援に取り組まなかったものもあったのではないか,といったことについて考えていく必要がある。
 これらの問題意識を踏まえ,幼児教育の原点に立ち返って,子どもの育ちの現状と背景を検証し,幼児の健やかな成長を保障するために必要となる対応策を講ずることが,今日の幼児教育に与えられた課題である。

第4節 子どもの育ちの現状と背景

子どもの育ちの現状

・近年の幼児の育ちについては,基本的な生活習慣や態度が身についていない,他者とのかかわりが苦手,自制心や耐性,規範意識が十分に育っていない,運動能力が低下しているなどの課題が指摘されている。
 また,小学校1年生などのクラスにおいて,学習に集中できない,教員の話が聞けずに授業が成立しないなど学級がうまく機能しない状況が見られる。
 加えて,近年の子どもたちは,多くの情報に囲まれた環境にいるため,世の中についての知識は増えているものの,その知識は断片的で受け身的なものが多く,学びに対する意欲や関心が低いとの指摘がある。

子どもの育ちの変化の社会的背景

・少子化,核家族化,都市化,情報化,国際化など我が国経済社会の急激な変化を受けて,人々の価値観や生活様式が多様化している一方で,社会の傾向としては,人間関係の希薄化,地域社会のコミュニティー意識の衰退,過度に経済性や効率性を重視する傾向,大人優先の社会風潮などの状況が見られるとの指摘がある。
・このような社会状況が,地域社会などにおける子どもの育ちを巡る環境や家庭における親の子育て環境を変化させている。さらには,このような変化に伴い,後述するとおり,幼稚園等施設の教員等にも新たな課題が生じている。
 そして,これらのことが複合的に絡み合って,子どもの育ちに影響を及ぼしている要因になっているものと考えられる。

子どもの育ちを巡る環境の変化 -地域社会の教育力の低下-

・第1に,地域社会などにおいて子どもが育つ環境が変化している。
 子どもが成長し自立する上で,実現や成功などのプラス体験はもとより,葛藤や挫折などのマイナス体験も含め,「心の原風景」となる多様な体験を経験することが不可欠である。
・しかしながら,少子化,核家族化が進行し,子ども同士が集団で遊びに熱中し,時には葛藤しながら,互いに影響しあって活動する機会が減少するなど,様々な体験の機会が失われている。
 また,都市化や情報化の進展によって,子どもの生活空間の中に自然や広場などといった遊び場が少なくなる一方で,テレビゲームやインターネット等の室内の遊びが増えるなど,偏った体験を余儀なくされている。
 さらに,人間関係の希薄化等により,地域社会の大人が地域の子どもの育ちに関心を払わず,積極的にかかわろうとしない,または,かかわりたくてもかかわり方を知らないという傾向が見られる。

親の子育て環境などの変化 -家庭の教育力の低下-

・第2に,幼児教育が行われる一つの場としての家庭における子育てについても,その環境などが変化している。
 言うまでもなく,子育てとは,子どもに限りない愛情を注ぎ,その存在に感謝し,日々成長する子どもの姿に感動して,親も親として成長していくという大きな喜びや生きがいをもたらすものである。実際,子どもの成長が感じられたとき,子どもの笑顔を見たときなどに,特に喜びを感じるなど,自分の子育てに満足している親は半数を超えている。
・このような子育ての喜びや生きがいは,家庭や地域社会の人々との交流や支えあいがあってこそ実感できるものである。
 しかしながら,一方で,核家族化の進行や地域における地縁的なつながりの希薄化などを背景に,本来,我が子を自らの手で育てたいと思っているにもかかわらず,子どもにどのようにかかわっていけばよいかわからず悩み,孤立感を募らせ,情緒が不安定になっている親も増えている。
 こうした状況の中,児童相談所における虐待に関する相談処理件数も増加している。
・また,女性の社会進出が一般的になり,仕事と子育ての両立のための支援が進み,子育ての他にも,仕事やその他の活動を通じた自己実現の道が選択できる社会環境にある中で,子育てに専念することを選択したものの,そのような生き方で良いのか不安を覚え,子育ては「自分の人生にとってハンディキャップではないか」と感じてしまう親がいるとの指摘もある。
・一方で,物質的に豊かで快適な社会環境の中で育ち,合理主義や競争主義などの価値観の中で育った者が多い今の親世代にとって,必ずしも効率的でも,楽でもなく,自らが努力してもなかなか思うようにはならないことが多い子育ては,困難な体験であり,その喜びや生きがいを感じる前に,ストレスばかりを感じてしまいがちであるとの指摘もある。
・また,経済状況や企業経営を取り巻く環境が依然として厳しい中,労働時間の増加や過重な労働などの問題が生ずる傾向にあり,親が子どもと一緒に食事を取るなどの子どもと過ごす時間が十分ではなくなり,これも親の子育て環境に影響を与えている要因であるとの指摘もある。
・このような子育て環境を改善し,家庭や子育てに夢を持てる社会を実現するため,現在,子育て支援の取組が行われている。
 しかしながら,その取組の結果として,親や企業の際限のない保育ニーズをも受け入れ,単なる親の育児の肩代わりになってしまうことがあると懸念する声もある。この場合,特に低年齢児にあっては,人を愛し,人を信じる心など,人との関係性の根幹を形成する上で必要となる信頼できる大人との1対1による絶対的な依存関係を確保することが難しくなり,子どもの健やかな成長にとって何らかの影響があるのではないかと懸念される。
・したがって,「父母その他の保護者が子育てについて第一義的責任を有する」という少子化対策における基本理念を踏まえ,親の育児を単に肩代わりするのではなく,親の子育てに対する不安やストレスを解消し,その喜びや生きがいを取り戻して,子どものより良い育ちを実現する方向となるような子育て支援を進めていくことが必要とされている。
 加えて,親が,子どもを育て,その喜びや生きがいを感じながらも,仕事やボランティア活動等,様々な形で社会とのかかわりを持つことで,子育ての他にも様々な活動を通じて自己実現を果たせる環境を整備することも求められている。

幼稚園等施設の教員等の今日的課題

・第3に,現在の幼稚園等施設における教員等には,社会環境の変化等に伴う新たな課題に対応するための能力が必要とされている。一方で,近年の教員等には,幼児教育を実践する上で必要となる資質が十分に備わっていない者も見られるとの指摘がある。
・前述したように,現在の幼稚園等施設の教員等には,子どもの育ちを巡る環境や親の子育て環境などの変化に対応する力,具体的には,幼児の家庭や地域社会における生活や発達・学びの連続性を保ちつつ教育を展開する力,特別な教育的配慮を要する幼児に対応する力,小学校等との連携を推進する力などの総合的な力量が必要とされている。さらに,子育てに関する保護者の多様で複雑な悩みを受けとめ,適切なアドバイスができる力など,深い専門性も求められている。
 このように,今後の幼児教育がより一層,総合的かつ専門的なものになる中で,現在の教員等の資質や専門性では十分に対応できるのか懸念される面もある。
・加えて,近年は,幅広い生活体験や自然体験を十分に積むことなく教員等になっている場合も見られるため,多様な体験を取り入れながら自ら具体的に保育を構想し,実践することがうまくできない者,あるいは教職員同士や保護者との良好な関係を構築することを苦手としている者も少なからずいる。

第5節 今後の幼児教育の取組の方向性

教育改革の優先課題としての幼児教育

 幼児教育は,子どもの基本的な生活習慣や態度を育て,道徳性の芽生えを培い,学習意欲や態度の基礎となる好奇心や探求心を養い,創造性を豊かにするなど,小学校以降における生きる力の基礎や生涯にわたる人間形成の基礎を培う上で重要な役割を担っている。このことは,前節で述べたような近年の幼児期から学齢期にかけての子どもの育ちの課題については,幼児教育がその機能を十分に発揮できれば,その解決に大きな役割を果たすことができることを意味する。
 したがって,今後は,学齢期の子どものみならず,幼児期の子どもの育ちの重要性を意識し,幼児教育を教育改革の優先課題としてとらえ,長期的な視野に立って幼児期からの取組を充実していくとともに,こうした方針に基づいて今日的な課題にも対応していくなど,幼児教育の機能を抜本的に強化する視点を持つことが必要である。

幼児教育の構成

 第2節で述べたように,幼児教育は,家庭における教育,地域社会における教育,幼稚園等施設における教育の三つがバランスを保ちながら,全体として豊かなものになることによって,幼児の健やかな成長を保障している。
 この考え方に基づいて,幼稚園の1日の教育時間は,4時間を標準とし,残りの幼児の生活時間は,家庭や地域社会における活動を行う時間としてとらえている。また,幼稚園に就園する前に,家庭や地域社会において,ある程度の生活習慣の習得等がなされていることを前提に幼稚園における集団生活を通した教育が行われている。同様に保育所等においても,幼稚園とは対象とする年齢や時間等の違いはあるものの,幼児に対する教育については,家庭や地域社会との役割分担が重要である。つまり,幼稚園等施設における教育は,家庭や地域社会における教育力が十分にあることを前提に,はじめてその効果が発揮されるものとして構築されている。
 したがって,この家庭・地域社会・幼稚園等施設の三者の教育がそろって,初めて幼児の日々の生活の連続性及び発達や学びの連続性を確保していけるとともに,そこでの幼児教育の成果を小学校以降の学習や生活にもつなげていけるのである。

家庭や地域社会における教育力の再生・向上

 しかしながら,前節で述べたように,社会環境の急速かつ大きな変化や,人々の意識や価値観の多様化等に伴い,家庭や地域社会における教育力の低下が指摘されている。このような状況は,家庭や地域社会における教育力が十分にあることを前提に構築されている幼稚園等施設における幼児教育についても,その教育効果を低下させる要因になっている。このように,家庭・地域社会・幼稚園等施設を含む我が国社会全体の教育力の低下が,子どもの育ちに変化を及ぼしているものと言える。
 このため,幼児の視点から見ると,幼児の日々の生活の連続性及び発達や学びの連続性を確保することが困難になっている。例えば,家庭や地域社会で幼児が育つ場が不足しがちなために,幼児が日々の生活の中で,幼稚園等施設での生活後,家庭や地域社会での生活に円滑に移ることが困難になっている。また,幼稚園等施設への就園時に,本来なら家庭や地域社会で身に付けているはずの生活習慣が身に付いていないことなどから,幼稚園等施設への発達の連続性を確保することができなくなってきている。さらには,家庭や地域社会の教育力の低下,幼稚園等施設の教員等の資質の問題などから,幼児教育の成果を小学校以降に効果的につなげることなどが難しくなっている。  このため,家庭や地域社会における教育力を再生し,向上させるためには,幼稚園等施設が,これまでに培ってきた幼児教育のノウハウや成果等を,家庭や地域社会の支援のために十分に活用していくことが必要である。併せて,幼稚園等施設についても,教員等の資質や専門性について研修などを通じた一層の向上を図ることが必要である。このように,総合的に幼児教育を充実させていく方向とすることが,以前にも増して求められている。

今後の幼児教育の取組の方向性

 ここで幼児教育を取り巻く我が国経済社会全体の趨勢をとらえてみれば,我が国は,農耕社会から工業社会へ,そして現在は,情報社会へと大きな構造変化の渦中にある。このような社会構造の変化に伴い,現在,共働き世帯が就業世帯の半数を超え,両親が家庭にいる時間が少なくなり,また,地域社会の連帯感も希薄になっている。
 このような中で,今,改めて幼児教育を問い直さねばならないのは,従来からの幼稚園等施設における教育はもとより,これまで以上に家庭における教育力,地域社会における教育力の現状に心を砕き,その再生・向上のための取組を講じていかなければ,教育が目的とする「将来にわたる子どもの健やかな成長」を保障することができなくなってしまうのではないかという強い危機感を抱いているからである。
 このように,子どもの育ちをめぐる環境が著しく変化している中で,家庭や地域社会における教育力が十分にあることを前提に構築されている幼稚園等施設における教育も含め,幼児教育全体の在り方を根本から見直すことが必要になっている。
 以上を踏まえ,今後の幼児教育の取組の方向性としては,幼稚園等施設を中心とした幼児教育の機能の拡大や教員等の資質の向上を図るとともに,家庭や地域社会が,自らその教育力を再生・向上し,家庭・地域社会・幼稚園等施設の三者がそれぞれの教育機能を発揮し,総合的に幼児教育を提供することによって,子どもの健やかな成長を支えていくものとすることが必要である。

 具体的には,以下の二つの方向性から取組を進めることを提唱する。

1 家庭・地域社会・幼稚園等施設の三者による総合的な幼児教育の推進

 幼稚園等施設に家庭・地域社会を加えた三者が連携しながら総合的に幼児教育を推進していく方向性である。
 この場合,幼稚園等施設においては,これまでの役割に加え,

 1 家庭や地域社会における教育力を補完する役割(「失われた育ちの機会」
   を補完する役割),
 2 家庭や地域社会が,自らその教育力を再生,向上していく取組を支援する
   役割(「幼児教育の牽(けん)引力」として家庭や地域社会を支援する役割)

 を担うことが求められる。
 また,家庭や地域社会についても,幼稚園等施設による取組に加え,生涯学習振興施策等を通じて,その教育力を向上させていくことが必要である。

2 幼児の生活の連続性及び発達や学びの連続性を踏まえた幼児教育の充実

 家庭・地域社会・幼稚園等施設におけるそれぞれの教育機能が連携することにより,幼児の日々の生活の連続性及び発達や学びの連続性を確保するとともに,その成果を円滑に小学校に引き継ぐ(幼児教育の成果の連続性を確保する)ために,幼児教育の充実を図る方向性である。
 家庭・地域社会・幼稚園等施設の三者の連携は,「子どもの健やかな成長」を保障するという視点に立って,以下の観点から進められることが必要である。

 1 幼児の「日々の生活」という観点からは,幼稚園等施設での生活と家庭や
  地域社会における生活の連続性が確保されていることが必要。
 2 幼児の「発達や学び」という観点からは,幼稚園等施設への就園前における
   家庭や地域社会での生活を通した発達から,幼稚園等施設の教育を通した学
   び,さらには小学校以上の学習へと連続的につながっていくことが必要。

 こうした「生活」や「発達や学び」の連続性の確保に向けて,幼児教育全体を充実していくことが求められている。

お問合せ先

初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室

続いて厚生労働省の対策をみてみます。


子ども・子育て支援

こどもを生み育てることに喜びを感じられる社会を目指して

次代の社会を担うこども一人ひとりの育ちを社会全体で応援するため、子育てにかかる経済的負担の軽減や安心して子育てができる環境整備のための施策など、総合的な子ども・子育て支援を推進しています。

令和5年度標語 「小さなて みんなではぐくみ 育ててく」

こどもや家庭、こどもの健やかな成長について国民全体で考えることを目的に、毎年5月5日の「こどもの日」から1週間を「児童福祉週間」と定めて、児童福祉の理念の普及・啓発のための各種事業及び行事を行っています。児童福祉の理念を広く啓発する標語を全国募集した中から主催者で選考した結果、上記の作品を令和5年度「児童福祉週間」の標語の最優秀作品と決定いたしました。

① 子ども・子育て支援新制度(内閣府HP)

幼児教育・保育の無償化

10月から幼児教育・保育の無償化がスタート

幼稚園、保育所、認定こども園などを利用する3歳から5歳児クラスの子供たち、 住民税非課税世帯の0歳から2歳児クラスまでの子供たちの利用料が無料になります。
幼稚園、保育所、認定こども園等
○ 幼稚園、保育所、認定こども園等を利用する3歳から5歳までの全ての子供たちの利用料が無料になります。
○ 0歳から2歳までの子供たちについては、住民税非課税世帯を対象として利用料が無料になります。
○ 幼稚園、保育所、認定こども園に加え、地域型保育も同様に無料になります。
(詳しくはコチラ)
企業主導型保育事業
○ 対象となるためには、利用している企業主導型保育施設に対し、必要書類の提出を行う必要があります。
○ 標準的な利用料の金額が無料になります。
(詳しくはコチラ)
幼稚園の預かり保育
○ 対象となるためには、お住いの市町村から「保育の必要性の認定」を受ける必要があります。
○ 幼稚園の利用に加え、利用日数(※)に応じて、月額1.13万円(満3歳になった日から最初の3月31日までの住民税非課税世帯の子供たちは月額1.63万円)までの範囲で預かり保育の利用料が無償となります。
(※)預かり保育の利用日数が1カ月間で25日以内の場合は、その利用日数に450円を乗じた額が月額上限額になります。
(詳しくはコチラ)
認可外保育施設等
○ 対象となるためには、お住いの市町村から「保育の必要性の認定」を受ける必要があります。
○ 3歳から5歳までの子供たちは月額3.7万円まで、0歳から2歳までの住民税非課税世帯の子供たちは月額4.2万円までの利用料が無料になります。
○ 認可外保育施設に加え、一時預かり事業、病児保育事業、ファミリー・サポート・センター事業を対象とします。
(詳しくはコチラ)
就学前の障害児の発達支援
○ 就学前の障害児の発達支援を利用する3歳から5歳までの子供たちの利用料が無料になります。 就学前の障害児の発達支援に関する住民・事業者向け説明資料(PDF形式:24KB)PDFを別ウィンドウで開きます

※ より詳しくは、お住まいの市町村の担当窓口へお問い合わせください。

② こども政策の推進・こども家庭庁の創設等(内閣官房HP)

こども政策の強化に関する関係府省会議

 こども政策については、こども家庭庁創設後、こども基本法(令和4年法律第77号)に基づくこども大綱を令和5年秋頃を目途に閣議決定し政府を挙げて総合的に推進することとしているところ、それに先立ち、令和5年度の「経済財政運営と改革の基本方針」において将来的なこども予算倍増に向けた大枠を示すこととしています。
 このため、「全世代型社会保障の構築に向けた取組について」(令和4年12月16日全世代型社会保障構築本部決定)や「こども政策の推進に係る有識者会議」における議論も踏まえつつ、「未来への投資」であるこども政策の強化に向けて、目指すべき姿と当面加速化して進めるべき事項について集中的に検討するため、こども政策担当大臣の下、関係府省から成る、こども政策の強化に関する関係府省会議(以下「会議」という。)を開催します。

才能逓減の法則

才能逓減の法則について
あらゆる早期乳幼児教育理論の中で常識となっているのがこの「才能逓減の法則」です。 これを説明する為にはよく「ジャクソンとスキャモンの発育曲線」と「ベイレイの知能発達曲線」が引き合いに出されます。

図1(発育曲線)
図2(知能発達曲線)
(クリックしてください☚この図はコピーできません)
図1の発育曲線は身体の成長発育を「20歳を100%」として考え、各体組織の発育の特徴を4つのパターンに分けたものです。
この中で「脳・神経系」と、骨・臓器などの「身体系」をピックアップしますと、身体は幼児期に大きく発育した後、学童期に緩やかになり、思春期以降に再びスパートが見られ20歳を迎える頃ほぼ大人のレベルに達します。

これに比べて、脳や神経の発達は3歳でほぼ80%が完成し、そこから緩やかに成長を続け6歳で90%、12歳でほぼ100%の成長を遂げます。 図2の知能の発達曲線と脳・神経系の発育曲線がほぼ同じラインを描いている事からも知能の発達は脳の発育と非常に密接な関係がある事は間違いないでしょう。

言うなれば、「3歳まで」に脳の基本性能は決まってしまうのです!

   才能逓減の法則   作図は自己流で造ったものです。
   __________
   |\       |100% 左図は才能理解の概略です。
   | \       |   胎内6ヶ月頃からの才能能力から生後
   |  \     |   満3才の自立期ころまでは、70~80%
   |   \    |   の曲線であり、その後6才あたりで、
   |    \   |   大脳旧皮質による活動は新皮質の活動
   |     \  |   に移管されていくと考えられていくと
   |      \ |   理解してよいと思います。 これから
   |       \|0%  が自意識による大脳差配となってくる
   0 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄6才   と考えて差し支えありません。

例えるならば3歳までは脳というコンピューターの、メモリ容量や処理速度といった基本スペックそのものを作りあげる時期。
3歳以降の学習は完成したコンピューターにソフトをインストールする作業、と言えるでしょう。

つまり脳のコンピューターそのものの性能に関与出来る時期は「今」しかないのです。
(ただし、大変優れた教師が思考力を格段に育てる特別なカリキュラムを実践すれば6~7歳頃まで脳の基本性能を育てるコトは不可能ではありません)
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かつては公立小中学校で知能検査が実施されていたものですが、今はほとんど行われていません。

幾つかの理由がありますが、その一つに「8歳でIQを調べても14歳でIQを調べても、個人のIQには変化がないから知能検査を実施する必要はない」という事もありました。
それで「IQは生まれつき遺伝で決まっている」という説も有力になりました。

しかしそれは大きな間違いでした。

IQは3歳(広義では6~7歳)までにいかに多彩かつ良質の経験をしてより多くのシナプスを発達させ、脳の回路のネットワークを豊富に育てるか?にかかってくるのです。

  知識の詰め込み・丸暗記だけならば6歳以降でも努力次第で出来ますが、考える力・創造する力・解決する力など本当の意味での「頭の良い子」に育てるには3歳までの環境で80%、6歳までの環境で90%が決まってしまうのです。

3~6歳までに望ましい生育環境になければその子の才能はほぼ凡庸の域に留まる可能性が高いでしょう。
その年齢までにしか習得出来ない能力もあります。
(一定の音域を聞き取る能力などは9歳が臨界期で、絶対音感や英語の正確なヒアリング能力はこの時期を逸すると二度と身につかないと言われます。英語のLとRの発音の母国語レベルでの聞き分けは0歳6ヶ月が臨界期とされています。)

しかし、才能逓減の法則は逆に言えば3歳までの育て方次第で、生まれも遺伝も関係なく「どの子でも驚異的に才能を伸ばせる無限の可能性が開かれている」と言えるのです。

適期教育の与え方次第で、どの子でも大変優秀に育つ事が出来るのです。



 
 
https://www.historyjp.com/allindex/ https://www.hotsuma.jr.jp ◆下平評
◆日付  2023/00/00
  

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