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【 08 】02/24
田中宇の情報 その一 金融はいつまでもつのか
田中宇の情報 その二 欧米をますます不利にするバイデンのウクライナ訪問
朝日の情報 侵攻1年、見えぬ出口ウクライナ民間犠牲8000人超
欧州総局長・杉山正 G7以外も巻き込み抑止を ウクライナ侵攻1年
2023/02/19
https://www.teamlab.art/jp/w/life/
生命の力 D something great
https://karada-naosu.com/category6/entry20.html
自分力(生命力)の正体を理解する
⑦ 乳酸菌のサプリメントが効かない理由
腸内細菌ビジネスが横行している 世間では、「腸まで届く乳酸菌」「人には人の乳酸菌」など数多くの乳酸菌やビフィズス菌の必要性を謳った広告を目にします。その理由は、日本人は便秘をはじめとする腸に不安を抱えている人が多いからです。
2023/02/24
ウクライナの行方 なぜ、こんなことになっているのか?
① 田中宇の情報 その一 2023年2月20日
https://tanakanews.com/230220dollar.php
金融はいつまでもつのか
世界の金融システムの中心は米国だ。巨大な社債市場がある米国が資金量も圧倒的に多い。米国が金融崩壊すると世界が金融崩壊する。マスコミは米国について、インフレが一段落したので米連銀(FRB)の利上げも一段落し、金利上昇が止まるので資金調達がやりやすくなって米経済の景気が好転する、金融危機にはならない、と予測している。 (Shrinking Money Supply Undercuts "Soft Landing" Narrative) (Powell Post-Mortem: "Volcker Has Left The Building" And "We're Not In Wyoming Anymore")
これと対照的にオルトメディアは、インフレの小康状態は一時的であり、近いうちにインフレが再燃し、米連銀は利上げを継続せざるを得ず、連銀はQTも続けているので金融システム内の資金の総量が減って金利曲線を歪曲的に逆転させておくことが困難になり、長期金利が高騰して金融危機になり、非米諸国がドルを見捨てるのでドルの基軸性喪失が加速し、債券やドルに対する信用が失墜して金地金ぐらいしか頼るものがなくなり、金相場が高騰する、と予測している。 (No Matter How You Turn It, The Global System Is Already Doomed: Got Gold?) (Inflation Is Going To Get Much Worse)
私から見ると、オルトメディアの方が正しい。マスコミは近年、ウクライナ戦争から新型コロナまでの多くの分野で根本的な歪曲・大間違いを意図的に報じ続けているが、金融に関しても、大幅な歪曲・間違いを固定して報道し続けている。 (The Federal Reserve Is Nowhere Near Victory) (The Core Of The Economy - The Middle Class - Is Crumbling)
インフレについて、米国の当局や金融界は、CPIなどの物価や石油価格などの上昇を抑止したいと考えており、統計や相場の歪曲など、いろんな方法で見かけ上の価格を抑制している。CPIは最初の発表時に低めに出した後、何か月か経ってから情報修正する手口がとられている。また昨秋から米欧の景気が悪くなって消費が減退したこともあり、米国のCPIが昨年6月の前年同月比9.1%増をピークに、今年1月の6.4%増へと上昇幅・インフレ率が下がっているのだと考えられる。昨年12月から米経済は不況入りしたと考えられている。これから米国の景気が回復する見通しはない。好景気報道はウソである。米景気はさらに悪化していく。 (Huge CPI Revisions - Prices Rose Much Faster Than Originally Reported, for Months)
不況になると商品が人々に買われなくなって値下がりし、インフレの沈静化やデフレの傾向になるというのが教科書的な経済理論だ。しかし、それはもともとのインフレが好景気によって引き起こされている場合の話だ。今起きているインフレの原因は好景気でない。(1)コロナ危機以来の、米国内と太平洋航路などの流通網の詰まり、(2)ウクライナ戦争で世界が米国側と非米側に決定的に二分され、石油ガス食糧など資源類の多くが非米側のものになったため、米国側が買う資源類が高騰した、という2つことが今のインフレの主因だ。米国は中露敵視を激化しているので(2)は今後ますます高騰する。(1)も、米国側と非米側との分断の固定化という新要因が加わって長期化する。米国は最近、中国との対立を激化しているので、今後は米中の経済断絶がひどくなり、(1)(2)に起因するインフレが再燃する。米国側のインフレは今後もずっと続き、沈静化どころか逆に悪化する傾向だ。 (White House Considers Restricting China’s Access to Dollars, Media Reports) (El-Erian Says Fed Needs To Raise 2% Inflation Target Or It Will "Crush The Economy")
インフレが再燃したら、米連銀は利上げを続けざるを得ない。インフレが沈静化して金利が下がるという権威筋の予測は間違っている。現在4.6%前後に設定されている米連銀の政策短期金利(FF金利)は、今後数か月以内にインフレが再燃して5%台に上がると予測されている。ふつうは、短期金利が上がると連動して長期金利も上がり、米政府が払うべき長期米国債の利払い額が増えて政府財政が圧迫される。米連銀は、QEの資金を使って長期の米国債や社債を買い支えて長期金利の上昇を抑止し、長期金利が短期金利よりも低い金利逆転状態を作り出し、政府の利払い額が増えないようにしてきた。 ( Gold To Seek Comfort From Duration As Fed Hikes)
しかし連銀は昨年初めから、QEをやめて逆に債券を手放して資金を市場から吸い上げるQTを続けている。QTは現在、平均すると毎月1000億ドル分ぐらいの資金を市場から吸い上げている。QTは今後も2年ぐらい続く予定だ。QTと、インフレ再燃による短期金利の上昇という二重の要因が加速し、今後しだいに金利逆転状態を維持するのが難しくなり、長期金利が上昇する。米政府の利払い額が増えて財政破綻に近づくとともに、債券金融がシステム的に崩壊していく。 (The Fed - Factors Affecting Reserve Balances) (Credit Beginning To Look Like One Of Most Mispriced Asset)
米国では政府の財政赤字額が2月前半に再び法定上限に達し、米政府はへそくり的なつなぎ資金で運営されて、財政破綻・国債の債務不履行を何とか回避している。米政府の財政赤字はこれまで何度も上限に達してきたが、そのたびに米議会が紛糾しつつ土壇場で赤字上限の引き上げを決議し、破綻を先送りしてきた。だが今回は状況が厳しい。議会は今年から、財政赤字の拡大に反対する傾向が強い共和党が下院の多数派を握っており、赤字上限の引き上げに最後まで反対する可能性がある。その場合、米政府は、早ければ7月にへそくりが底をつき、米国債の元利払いができなくなって債務不履行・財政破綻になる。土壇場で破綻が回避される可能性もある。 (CBO Estimates US Treasury Default As Early As July)
債券金融システムは、1960年代のドル過剰発行の末に1971年のニクソンショック(金ドル交換停止)で金本位制を放棄して失墜したドルの信用と価値を再上昇するため、1980年代に米英金融界が創設したもので、国債からジャンク債までの各種債券を発行して作った資金の一部で弱い債券を買い支えて自作自演でシステムを強化し、30年にわたる債券の価値上昇=金利低下傾向=債券バブル膨張を作り出した。米国の債券金融システムの中にいれば儲かるので、世界中が米国の傘下に入りたがり、米覇権が再興し、ソ連は崩壊した。債券金融システムは、金利を低く抑え続ける(=債券の価値を高く維持し続ける)ことが必須だった。 (Bonds Die, CPI's Lie, & Gold Flies) (債券金融システムの終わり)
このシステムは2008年のリーマン危機によってバブル崩壊したが、その後の対策として米連銀がQEを開始して債券を買い支え、システムの蘇生を演出した。マスコミ権威筋は、金融システム(債券に対する市場原理に基づく民間の旺盛な需要)がリーマンショックを乗り越えて蘇生したと喧伝した。だが実際は、債券の民需が再増加せず、米日欧の中銀群がQEで造幣した資金で債券を買い支えて見かけ上の蘇生を演出しているだけのインチキ策だった。それが14年も続いてきた。 (High US inflation could last a decade – investment expert)
しかし、2021年からのインフレ激化を受けて金利が上昇し始め、インフレ対策としてQEをやめてQTに転じろという米政界から連銀への圧力も強まり、債券金融システムが自滅させられる流れになった。QTは2024年末まで続けられ、インフレはそのころも続いているだろうから2025年以降も金融緩和は行われず、高金利の状態がずっと続く。低金利が必須の債券金融システムは崩壊し続け、米国の覇権と、ドルや米国債の信用と価値も失われていく。欧州も自滅し、日韓は隠然と中国側に寄っていき、米覇権下の米国側全体が解体していく。反比例的に、中国ロシアBRICSサウジイランなどの非米側は、世界の資源類の大半を握って結束し、米国側と断絶した状態で隠然と繁栄していく(米国側のマスコミ権威筋は非米側の繁栄を無視・否定するので、非米側は隠然繁栄になる。私などが指摘しても陰謀論扱いされて終わる)。 (Gold's Imminent Return As Money)
従来の世界の貿易決済や資産備蓄の体制はほとんどドル一択だったが、米国側から断絶・制裁された非米側は、ドルと無関係な決済・備蓄の体制を作っている。それは人民元など非米側の主要な諸通貨と、金地金、石油など資源類の価値を連携した「金資源本位制」である。米金融界は、ドルが過剰発行の末に金本位制を維持できなくなった過去を払拭するため、1980年代に債券金融システムを導入した後、その資金の一部を使って信用取引で金相場を引き下げた。金融界による金相場の上昇抑止は現在まで続いている。 (資源の非米側が金融の米国側に勝つ) (Credit Suisse: US Dollar Hegemony May Be Replaced by 'More Multipolar Monetary System')
だが、金本位制を意識した通貨体制を形成しつつある非米側の諸国の中銀群は金地金を買い増しており、最近は米国側が信用取引で金相場を引き下げても、非米側が実需で相場を反騰させ、全体として金相場が上がっていく傾向になっている。今後、米国側(米金融界)が金相場の抑圧に再び本腰を入れて相場を急落させる可能性もあるが、そのための資金源はQTによって枯渇しつつある。米金融界は、債券金融システムのバブル維持(米国の金利曲線の逆転維持)など、インチキな金融覇権維持策の他の分野にも資金を必要としており、金相場の抑圧はしだいに難しくなっている。 (Billionaire John Paulson: You Need Gold, Not Dollars) (ロシアを皮切りに世界が金本位制に戻る)
これからインフレ再燃で米短期金利が5%台の後半まで上がると、金利曲線の逆転維持に必要な資金が増加して維持困難になり、長期金利の上昇が加速し、それを受けて金相場も高騰し、相場の抑止が最終的に終わる可能性がある。1オンス2000-2500ドルを越えると、相場の抑止力が失われ、5000ドルとか1万ドルとか3万ドルに向けて急騰すると、米国の地金おたく(ゴールドバグ)の人々が言っている。今の世界の金融総資産を金本位制に置き換えると、金地金は1オンス3万ドルになる必要があるのでそこまで上がる、と言う人もいる。非米側は純粋にガチな金本位制を目指しているわけでなく、金本位制のイメージを借りて自分たちの通貨を安定させたいと考えているだけなので、3万ドルは疑問だ。しかし、5千ドルぐらいにはなるかもしれない。最近の記事で紹介したゾルタン・ポズサーも、金地金の価格が今の2.5倍になるかも的なことを言っている。 (ドル崩壊への準備をするBRICS) ("The War Is Going To Pick Up... And Gold's Going To $30k")
資産としての金地金をめぐる懸念の一つは換金性だ。今のところ米国側の多くの地域で、金地金は通貨でなく商品(コモディティ)とみなされ、現金と交換する場合に売買差益に累進的な所得税が課され、売上税(消費税)も課税される。米国のいくつかの州やロシアは、金地金を通貨とみなして課税していないようだが、日本などではそうでない。ドルが崩壊したら、世界的に金地金を通貨とみなす法改定が行われるのかどうか。金利が高騰して債券システムが崩壊しても、米国側の諸政府はそれをドル崩壊とみなさず、金地金は非米側でのみ通貨とみなされ、米国側では引き続き商品扱いが続くかもしれない。 (Central Bank Gold Reserves Chart Second-Highest Increase Since 1950 In 2022)
金地金をめぐるもう一つの懸念は、米国側もしくは全世界的に、民間の金地金保有を禁止し、金地金の保有者を中央銀行など政府機関だけに限定する措置がとられる可能性だ。ドルを延命したい米国側は、窮余の一策としてドルのライバルである金地金の民間保有を禁じるのでないか。しかし、そうなるとしても一時的な措置になる。ドルが崩壊したら、ライバルの金地金を封印しておく意味もなくなる。また非米側では、インドや中近東などで金地金が昔から民間の資産備蓄手段であり、地金の民間所有を禁じたら反乱になる。 (Chinese Gold Imports Hit Highest Level Since 2018)
中国は毛沢東の時代に地金の民間保有を禁じていたが、今後の中国がその策を復活することは多分ない。非米側は共通の基軸通貨制度を持ちたいと考えている上、意思決定が多極化しており、中国がインドや中近東の反対を押し切って独裁・覇権国的に非米側全体の金地金の民間保有を禁じることはない。ドルや米覇権が崩壊して多極化が非米側から全世界に拡大すると、世界全体で金地金が通貨の一つとみなされるようになる。それまで5-25年ぐらいかかるかもしれない。 (Buy Gold To Fund Bottom-Fishing)
オルトメディア界の分析の一つに「ドル崩壊は、ドルの代わりに新しいデジタル通貨(CBDC)を導入するために意図的に引き起こされている」というのがある。米国も中国も、人々に対する管理や支配を強化するため、紙幣の通貨を廃止し、人々の決済を政府が簡単に監視できるデジタル通貨に置き換えていきたい。そのためにまずドルを崩壊させているのだという見方だ。私はこの見方に懐疑的だ。 (A Dollar Collapse Is Now In Motion, Saudi Arabia Signals The End Of 'Petro' Status)
中国ではデジタル通貨の使用実験が行われているが、政府が通貨に有効期限を設けたりできるので「金の亡者」たちである中国の人々に不人気で、中央銀行の元幹部がデジタル通貨は失敗したと言っている。中国はもうデジタル通貨を本格導入しないのでないか。欧州でも通貨デジタル化の一歩である現金廃止策が不人気で、人々は紙幣による資産備蓄にこだわっている。通貨デジタル化を奨励するダボス会議(WEF)自体が最近、世界的に人々から嫌悪されている。デジタル通貨が強要されたら、人々はどこの国でも、駆け込み的に金地金を退蔵・隠匿しようとするだろう。人々の経済的自由を奪うほど、経済は繁栄しにくくなる。WEFの大リセットは、人々を怒らせて押し倒されるために推進されている。 (Former Chinese Central Banker Admits Results Of Digital Yuan Experiment "Not Ideal") (Open Madness In Global Bond Markets: Got Gold?)
結局のところ、米国の金融はいつまでもつのか。上記でいろいろ考察したことを総合すると、早ければ今年6-9月ぐらいに金融の崩壊が加速する感じが想像される。米連銀や金融界がまだ出していない奥の手を持っていて、危機が加速する前にその手札を切ってくると、もう少し延命し、2024年まで金融がもつことになるかもしれない。 (来年までにドル崩壊)
① 田中宇の情報 その二 2023年2月23日
https://tanakanews.com/230223ukrain.htm
欧米をますます不利にするバイデンのウクライナ訪問
2月20日、ポーランドを訪問中の米バイデン大統領が、公式日程になかったウクライナのキエフ(キーウ)訪問を電撃的に行った。同行した米記者団は、バイデンがキエフに行くかもしれないと予測していたものの、列車で行くとは思っていなかったらしい(ウソっぽいが)。バイデンはポーランド国境から10時間の列車の旅をしてキエフを訪問し、キエフに5時間滞在した後、再び10時間かけてポーランドに戻った。米国側マスコミの中には、バイデンが飛行機を使うこともできたのに、象徴的な意味を込めて列車の旅を選んだかのように報じているものもあるが、大間違いである。バイデンは列車で行くしかなかった。ウクライナ全土の上空は開戦直後からずっとロシアが制空権を握って飛行禁止区域に設定している。バイデンが飛行機で行ったらロシアのミサイルに撃ち落とされて死んでいた可能性がある。 (Biden Visits Embattled Ukraine as Air-Raid Siren Sounds) (US informed Russia of Joe Biden’s Kyiv visit hours before departure)
最近の記事にも書いたとおり、ロシアは、戦場になっていないウクライナ西部の鉄道が平常運行されても空爆しないと許可しており、開戦後キエフを訪れたEU諸国など米国側の要人たちは、全員が片道10時間の列車の旅をしている。加えて米政府は、バイデンのウクライナ訪問を事前にロシア政府に通告することで安全度を高めた。プーチンの子分でお茶目なメドベージェフ元露大統領によると、露政府はウクライナ滞在中のバイデンを攻撃しないと米政府に約束したそうだ(本気で敵対してないのがバレると困るので、ロシアの諜報機関はこの話を否定した)。 (ウクライナでゆるやかに敗けていく米欧) (Medvedev says Biden received security guarantees before going to Kiev) (Moscow provided no security guarantees to Biden - FSB)
事前にバイデンの安全を保障してやったかどうかにかかわらず、ロシアがウクライナ滞在中のバイデンを攻撃しなかったことは、この戦争におけるロシアの「余裕」を表している。ロシアは、ウクライナ戦争とそれに伴う欧米による対露制裁が長引くほど、欧米が経済的に自滅して相対的・地政学的にロシアが優勢になるので、この戦争が延々と続くことを望んでいる。バイデンがキエフに来て戦争継続を鼓舞するのは、ロシアにとって望ましいことだった。 (West wages war against Russia on economic front — Putin) (米英覇権を潰す闘いに入ったロシア)
バイデンのキエフ訪問中、ウクライナ当局は空襲警報のサイレンを鳴らし続け、あたかもロシア軍が今にも空爆してきそうな感じを醸成して、その音声や映像が世界に報道されたが、ロシアは全く攻撃してこなかった。空襲警報は「欧米が軍事支援を増やさないとウクライナはロシア軍に空爆されて潰されるぞ」という緊張感を醸し出すためのウクライナ当局の演出だ。昨年来、EUなどの要人がキエフを訪問するたびに、同様の演出的な空襲警報が高らかに鳴らされている。欧州も要人のキエフ訪問を事前に露政府に通告していたのでないか。 (Air Raid Sirens Blared For Dramatic Effect During Biden's Visit To Kiev) (Not a Surprise Visit After All? US Notified Russia About Biden's Trip to Kiev in Advance)
バイデンはキエフで会ったゼレンスキー大統領に対し、ロシアと戦うための巨額の軍事支援の追加を約束した。新型ミサイルも供給され始めている。巨額で大量の新兵器がきたら、戦況が転換してロシアの負けになるのでないか??。マスコミを信じている人々は、そう思うかもしれない。しかし、それも多分間違いだ。これまでも米国側からウクライナに巨額で大量の兵器類が送られてきた。ロシアは不利だ。もうすぐ負ける。間もなくウクライナが勝利する。ずっと、そう報じられてきた。だが、大量の兵器類が来ているのにウクライナは勝ってない。ずっとロシアの優勢が続いている。ロシアはウクライナの制空権を握っているので、欧米が戦場に送り込んできた大量の兵器類をピンポイント攻撃してどんどん破壊していく。 (‘Everyone is Getting Ready for War’: Vucic Says Serbia’s Arms Exports ‘Selling Like Hotcakes’)
ロシアは自軍がこっそり優勢な状態で戦争を長引かせたいので、欧米から送り込まれた兵器類を破壊したことを一部しか発表しない。米国側マスコミの「ロシアは負けそう」という歪曲報道・戦争プロパガンダを、ロシア側は否定せず放置している(だからプーチンはいつも含み笑いをしている、とか)。米国側の全体で、新たに調達・製造する兵器の何倍もの量をウクライナに送り込んでいる。それらの多くは、使う前に露軍の空爆で破壊されていると推測される。米国側の兵器が上手に使われていたら、もっとウクライナが盛り返しても不思議でないが、そうなっていない。ウクライナ高官らが兵器を不正に国外に転売しているという説もあるが、それだと世界のどこかで紛争が激化しそうなのに、今は世界中で戦闘が沈静化する傾向だ。不正転売は一部であり、米国側が送った兵器の大半はウクライナ国内で露軍にピンポイント破壊されているのだろう。 (Western military equipment sent to Ukraine to be ground down, says senior Russian diplomat) (Biden Visits Kiev to Reassure Zelensky While Support for US Proxy War in Ukraine Wanes)
米欧は軍事費の多くを使ってウクライナに送る兵器を増産しているが、露軍にどんどん壊されるので追いつかない。軍事費が浪費され、米欧の国家財政は疲弊している。米国側の諸国はロシアからの石油ガス輸入を止めたので燃料費が高騰し、国民生活が悪化している。その分の経済支援を政府財政から出したいが、軍事費におされて政府はカネがない。燃料費の高騰で不況がひどくなっている(米経済が好景気だという報道があるが間違いだ。経済統計も歪曲されている)。ウクライナ戦争が長引くほど、米国側の諸国(先進国)は政府財政と国民経済が自滅していく。マスコミがおかしくなっているので、この構図も報道されないままだ。 (U.S. tells Ukraine it cannot provide strategic missiles because American forces simply don’t have enough) (Blinken Warns Attempting to Retake Crimea Is a ‘Red Line’ for Putin)
独仏など欧州では、自滅的なウクライナ戦争の構図を米国の言いなりで維持してきた左右のエリート支配層が人々の支持をしだいに失い、選挙による政権転覆の可能性が増している。欧州のエリート層は、ウクライナ戦争を早く終わらせねばならないと考える傾向を強めている。彼ら欧州勢は、ゼレンスキーに圧力をかけてロシアとの和解交渉の席につかせたいが、米国の傀儡であるゼレンスキーは好戦的な米国に加圧され、和解を拒否して戦争を続けている。欧州の支配層は米国に、早くウクライナ戦争を終わりにしないと自分たちが失権するという警告を強めている。 (Russian economy shrank 2.1% in 2022, much less than expected) (Race Of Logistics: NATO's Military-Industrial Crisis)
米国でも、もうウクライナを支援すべきでないという世論が強まり、その世論を支持する共和党が強くなっている。バイデン政権や民主党は(見かけ上の)方向転換を余儀なくなされている。この流れの中で、バイデンがキエフを訪問した。バイデン訪問に先立って、米上層部が同盟諸国やマスコミに言わせる状況判断が、それまでの「ウクライナの勝利が近い」から「米国側が頑張って軍事支援しないとウクライナが負け、ロシアとの和解交渉が必要になる」に転換した。ウクライナと米国側が、クリミアとドンバスの領有をロシアに認めることで和解交渉するしかない、というウクライナ分割容認の構想が米国で(目くらまし的に)語られるようになった。 (Oversight Committee Demands Account Of All Economic, Military Aid To Ukraine) (ウクライナ戦争をやめたくてもやめられない米国側)
しかしこの構想は、すぐに分割容認に行き着くのでなく、その前に数か月間、米国側がウクライナを全力で軍事支援してウクライナがロシアと戦う「最後の猛攻撃の期間」を作る話になっている。その話をするためにバイデンがキエフを初訪問した。バイデンがキエフからワルシャワに戻るのに合わせ、NATO加盟の東欧諸国9か国の首脳たちがワルシャワに集まり、バイデンと会議した。バイデンは、米国が東欧諸国を守り抜くことを約束し、だからあと数か月ウクライナを軍事支援してくれと頼んだ(ロシア寄りのハンガリーは欠席)。バイデンは、ウクライナと東欧諸国を巻き込んで「最後の数か月の戦い」の開始を宣言することで、独仏伊など欧州で厭戦機運を強める諸国の外堀を埋め、欧州が対米従属を維持してウクライナ戦争を支援し続ける態勢を作った。 (On Ukraine, is Biden signaling that ‘as long as it takes’ may have an end-date?) (Biden Meets With 9 NATO 'Eastern Flank' Leaders, Vows US Defense)
今後の戦いが、本当に数か月で終わるかどうかは疑問だ。ウクライナ分割の容認による停戦和平は、ロシアの勝利と、米国やNATO=米英覇権の敗北を認めることであり、NATOと米国と米英覇権と欧州エリートの信用失墜・権力と覇権の崩壊を引き起こす。欧州と米国の支配層は、自分たちの政治的な死につながる停戦和平を認められない。「最後の数か月」はウソであり、本当は単なる時間稼ぎで、その先のことは今の策略が破綻したらまた考えるという話だと思われる。 (Biden’s visit to Ukraine aimed to encourage Kiev to start offensive soon)
米上層部(諜報界)には、米覇権を維持したい勢力によるその手の時間稼ぎの策略を失敗させようとする人々もいる。彼らはセイモア・ハーシュに「ドイツが作ったノルドストリーム海底ガスパイプラインを昨秋破壊したのは米国で、バイデン自らが破壊を了承した」という情報をリークして特ダネ記事を書かせ、ドイツ人を「やっぱりそうだったのか」と思わせて怒らせ、バイデンの時間稼ぎ策の足を引っ張っている。バイデンのキエフ訪問は以前から計画され、あとはタイミングを決めるだけだったらしいが、訪問の日程が内々に決まったことを受け、対抗的にセイモア・ハーシュへのリークが行われたのだろう。 (Seymour Hersh calls pipeline sabotage ‘dumbest’ US act in years)
ノルド・ストリームの破壊を本当にバイデン自身が了承したのかは疑問だが、米当局が犯人なのは間違いないだろう。米軍や諜報組織の中に、正式な指揮系統と別のところから命じられて破壊工作をやる人々がいる。911事件もその筋による挙行だし、今回の破壊もそれだろう。バイデン政権としては「米当局がやったのは事実だがバイデンの命令でない」と言うわけにもいかず「全体として誤報だ」と否定するしかない。 (US realizes that no one believes in its non-involvement in Nord Stream sabotage)
もう一つ、バイデンのキエフ訪問とタイミングを合わせて進められてきたのは、米国が欧州を巻き込んで中国敵視を強める策だ。中露を米国側の敵として結束させるほど、米覇権は自滅の道をたどる。これについては改めて書くことにする。 (China Says Ready To "Join Forces With Russia" To "Defend National Interests" As Putin Confirms Xi Visit)
② 朝日の情報 2023年2月24日
侵攻1年、見えぬ出口ウクライナ民間犠牲8000人超
プーチン氏、核戦力を誇示
https://digital.asahi.com/articles/DA3S15564709.html?ref=pcviewer
ロシアがウクライナに侵攻してから24日で1年になる。「ウクライナ東部で集団殺害が行われている」とする根拠のない主張でプーチン大統領が始めた戦争は民間施設への無差別攻撃や虐殺を伴い、市民の犠牲が増え続けている。占領地の拡大の意図を隠さないロシアに対し、ウクライナは徹底抗戦する構えだ。戦争が終わる見通しは全く立っていない。
プーチン氏は23日、「祖国防衛者の日」のビデオ演説でウクライナを「我々の歴史的な領土」と呼び、軍備増強を明言。核弾頭を搭載できる新型の大陸間弾道ミサイル(ICBM)「サルマト」の年内の実戦配備をあらためて表明し、核戦力を誇示した。
ロシアは「軍事施設だけを攻撃している」と主張するが、病院や学校への攻撃が続発。国連の21日の発表によると、ウクライナで犠牲になった民間人は確認されただけでも8006人。ウクライナ政府は昨年12月、市民の犠牲者が「2万人をはるかに超えた」とした。
ウクライナは領土の2割近くをロシアの占領下に置かれた状態が続く。プーチン氏は昨年9月、東部・南部4州の併合を一方的に発表したが、ウクライナ軍は反転攻勢を続け、南部ヘルソン州で州都を含むドニプロ川西岸地域を奪還した。以来、戦況は膠着(こうちゃく)状態に陥ったが、ロシアは昨年末から東部で攻勢を強め、ウクライナは今後の大規模攻勢につながると警戒する。
英国防省は、ロシア軍側の死傷者の総計が17万5千~20万人にのぼり、死者は4万~6万人に達したとみる。ウクライナ側は昨年12月、同国軍の戦死者を1万~1万3千人とした。
国連のグテーレス事務総長は22日、国連総会のウクライナに関する緊急特別会合で演説し、ロシアによる侵攻を「国連憲章と国際法の違反」と非難した。(キーウ=喜田尚)
■「夫は戦死」知らせだけ届いた 待ち続ける新婚の妻
「残念です。ご主人は殺されました」
昨年11月27日夜、オクサナ・スタロスビットさん(21)のSNSに、そんなメッセージが届いた。
ウクライナ軍の兵士として前線に立つ夫のセルヒーさん(38)がいたのは、東部ドネツク州の激戦地バフムート一帯。軍の関係者が送ってきたメッセージによれば、夫と同じ部隊の兵士が、ロシア軍の攻撃で殺されるところを見たという。
遺体は見つかっていない。
結婚したのは2021年10月。4カ月後、ロシアの軍事侵攻が始まった。「僕が行かなければ、誰が行くんだい?」。セルヒーさんは軍に入隊した。
離ればなれの新婚生活。「愛している」「食べるものはあるの?」。電話では、そんな言葉が繰り返された。
最後に会ったのは、死亡の知らせが届く3週間ほど前。セルヒーさんの休暇だった。この時に購入した新居は小さいけど、部屋は六つある。将来きっと、子どもに恵まれるはずだから。
その家に今、セルヒーさんの姿はない。
軍からはその後、夫が「行方不明」になっていると聞いた。
「セルヒーの体を目にするまで、私は希望を捨てきれない。彼は、私の人生そのものだから」
ロイター通信によると、「国際行方不明者機関」(ICMP)は昨年11月、ウクライナで少なくとも1万5千人が行方不明になっているとの見方を示した。
死亡の可能性が高くても、愛する人の亡きがらに触れられず、時間を止めたままの人たちがいる。
遺体交換でウクライナ兵を取り戻すために、ロシア兵の遺体を前線などで収容する任務に就くウクライナ軍のオレクサンドル・ルツェンコさん(50)は言う。「死はつらいことだが、このままでは家族は『空虚な希望』を持ち続けなくてはならない。だからこそ、遺体を帰してあげることが、大切なのです」(ウクライナ中部セメニウカ=高野裕介)
③ 欧州総局長・杉山正 2023年2月24日
https://digital.asahi.com/articles/DA3S15564711.html?iref=mor_articlelink02
G7以外も巻き込み抑止を ウクライナ侵攻1年
侵攻はいつまで続き、そしてウクライナはいつまで戦うべきなのか。
私が現地で聞いた答えの多くは「失われた領土を取り戻すまで」だった。前線の将校クリスティーナ・ボイチュクさん(29)はこう話す。「戦いは2014年から続いている」
ロシアがウクライナに攻め込むのは初めてではない。14年3月、クリミア半島を一方的に編入した。当時現地にいた私の前で、ロシア軍に包囲されたウクライナ兵は軍基地から出て投降していった。
ロシアは隙あらば条約もルールも踏みにじり、力の論理を振りかざす。私たちは侵攻の始まりを2・24と思いがちだが、ウクライナの人々の認識は違う。
ロシアが9年前に犯した侵攻への、私たちの微温的な対応と無関心が今回の侵攻につながったのではないか。ウクライナの人びとは重い問いを突きつける。
今回の侵攻後、米欧は軍事支援と経済制裁を重ねるが、戦争の出口は見えないまま傷痕ばかりが広がる。
だが、昨年11月、侵攻するロシアへの損害賠償を求める国連決議に99カ国が賛成を選ばなかった。経済制裁に加わるのも米欧や日本など40カ国ほどで、主要20カ国・地域(G20)の今年の議長国インドは逆に、対ロ貿易を急増させた。
そのインドの外相は昨年、「欧州の問題が世界の問題で、(それ以外の)世界の問題は欧州の問題でないという思考から、欧州は抜け出さなければならない」と述べた。ドイツのショルツ首相が今月、この発言を「一理ある」と述べたのは危機感の表れだろう。
バイデン米政権は、「民主主義対専制主義」という構図を掲げる。だが、米国の視線の先にあるのは「唯一の競争相手」と位置づける中国だ。こうした二元論に、冷めた視線を送る国々がいることを米欧は深く認識すべきだろう。
今年主要7カ国(G7)議長国の日本は身内の結束を誇るだけでは不十分で、G7の外に広がる世界を巻き込む努力が不可欠だ。
侵略戦争が起きたとき、力の論理だけではない抑止をどう働かせるか。中ロと米欧の間にある国々の協力を得なければ、戦争は止められない。1年経っても終わりが見えない侵攻の重い教訓だ。
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◆日付 2023/00/00
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