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折々の記 2010 F

【心に浮かぶよしなしごと】

【 01 】10/01〜     【 02 】10/05〜     【 03 】10/11〜
【 04 】10/22〜     【 05 】11/09〜     【 06 】11/17〜
【 07 】11/30〜     【 08 】12/08〜     【 09 】12/10〜

【 02 】10/05

  10 05 政治主導、これでもいいのか
  10 06 政治主導、これでもいいのか(その二) <大局的なものの見方と考え方>
  10 06 政治主導、これでもいいのか(その三) <特捜部の小沢起訴疑惑>
  10 07 人の初冬
  10 09 軌道修正‘歴史の見方’

 10 05 (火) 政治主導、これでもいいのか

次の記事はきのうの朝日新聞代一面に載ったものである。 


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  高速3社からの天下り125人 子会社役員の4割 2010年10月4日3時0分

 2005年に旧日本道路公団を民営化して設立された東日本、中日本、西日本の高速道路3社が、退職者125人を子会社・関連会社の役員に「天下り」させていることが、朝日新聞の調べでわかった。天下りへの厳しい批判で05年度の旧公団出身のファミリー企業役員はいったん107人まで減ったが、民営化後、子会社・関連会社では増えていた。

 朝日新聞の調べでは、高速3社はこの5年間で子会社・関連会社に計339の役員ポストを用意。今年7月時点では、その4割近い125人を旧公団と高速3社の退職者が占め、3社からの現役出向は157人。役員総数の8割が旧公団と高速3社の出身者で、子会社・関連会社出身の役員は57人にとどまる。

 旧公団は、道路管理などの業務をファミリー企業74社に随意契約で競争なしに受注させてきた。こうした中で旧公団からファミリー企業への天下りは頻繁に行われ、例えば01年度は324人を数えた。

 政府は旧公団にファミリー企業への天下り自粛を要請し、民営化の前後で減少した。一方、高速3社はこの5年でファミリー企業の統廃合を進めて新たに子会社・関連会社を計58社設立。05年度で107人まで減っていた旧公団退職者の役員は、再び増加に転じた。

 こうした状況について、高速3社は「民間のグループ経営では、親会社の退職者が子会社役員になるのは一般的なこと。個人の知識や経験などを考慮した上で、今後も登用していく」としている。

 高速3社の株は今も政府が100%保有し、「休日上限1千円」値下げや一部区間の無料化には多額の税金が投入されている。本来は料金値下げに振り向けられるはずの高速料金収入が、今も退職者の天下りの給与に使われていることになる。

 旧公団をめぐっては、ファミリー企業がため込んだ約1千億円に及ぶ剰余金も問題視され、民営化当時の自公政権下で、退職金支払い分などを除いた約200億円を高速3社が回収して利用者に還元することになった。しかし、現時点の回収額は150億円で、利用者に還元された実績は34億円にとどまる。

 高速3社などでつくる「高速道路関連社会貢献協議会」によると、一部のファミリー企業からの回収が滞っているという。利用者への還元方法についても、トイレ整備などは高速3社の本来の事業と重なって難航している。大学への研究助成やAED(自動体外式除細動器)設置なども手がけてはいるが、総額で毎年4億〜16億円規模にとどまっているという。(歌野清一郎)

     ◇

 〈旧日本道路公団の民営化とファミリー企業問題〉 ファミリー企業は旧公団の有力OBらが設立にかかわった。公団との資本関係はないのに、道路の維持管理や料金徴収、パトロールといった業務を独占的に請け負い、見返りに旧公団から天下りを受け入れた。公団本体が巨額の借金を抱えて国際的にも割高な料金負担を利用者に求める一方、ファミリー企業は利益を上げ、世論の強い批判が民営化の引き金になった。


これは4億円などとは桁が違う問題なのです。 行政の監督はどうなっているのだろうか? そしてまた、高等検察はどうなっているのだろうか?

老生は唖然としています。 喬木村の午後五時の村内放送 その後半で「地域の皆さん見守りをお願いします」 の  が修正されていないのとは、雲泥の違いがあるのです。

ちなみに、村内放送については、「文章の‘ねじれ’」を調べてください。
 「AはBをお願いします」では述部「お願いする」の主語は誰なのかといえば「A」と理解するのが通常なのです。
結論としては、「地域の皆さん、見守りをお願いします」(「地域の皆さん、」は挿入の呼びかけの句と理解できます) または 「地域の皆さんには、見守りをお願いします」(「地域の皆さんには、」は文法上、普通主格ではなく与格の働きと理解できるのです) とすべきでしょう。

天下り問題は、‘文章のねじれそのまま’の放送とは雲泥の違いがあるのです。

 10 06 (水) 政治主導、これでもいいのか(その二) <大局的なものの見方と考え方>

「田中宇の国際ニュース解説」を開いてみたら、このような記事が載っています。 だいじな記事だから、ふだん転載しないのだが、特別転載します。


田中宇の国際ニュース解説
日中対立の再燃 (2)
2010年10月1日  田中 宇
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この記事は「日中対立の再燃」の続きです

 9月29日、ロシアのメドベージェフ大統領が、極東地域を訪問中に、北方領土を訪問するつもりだと表明した。本来は、その日に北方領土を訪問する予定だった。悪天候のため飛行機を飛ばせず、やむを得ず延期したが、近いうちに必ず訪問すると発言した。メドベージェフが北方領土を訪問したら、ロシアの大統領として初めてとなる。(Medvedev's Kuril Islands Visit Threatens to Exacerbate Dispute With Japan)

 この日、ロシア極東が悪天候だったのは事実だ。樺太周辺に強い低気圧があった。だが、メドベージェフが本気で北方領土を訪問するつもりだったかどうかはわからない。メドベージェフの今回の極東訪問の主目的は、北京など中国を訪問し、ロシアの石油ガスを中国に送るパイプラインや精油所の竣工など、中露間の経済関係を強化することだった。中国との関係を使って、沈滞しているロシア極東経済に新風を吹き込むのが、近年のロシアの国策だ。メドベージェフが北方領土を訪問すると発言したのは、尖閣諸島問題で日本との対立を強めた中国を応援する目的で、日本を牽制してみせた感じだ。(2010年9月28日の天気図)(中国の内外(3)中国に学ぶロシア)

 メドベージェフは今回の訪中で旅順(大連市)も訪れ、日露戦争の激戦で戦死したロシア兵をまつる墓に献花するとともに「中露関係の結束は固い」と演説した。これらの言動も、日本に対する牽制という感じがする。(China-Russia Ties 'Sealed by Blood': Medvedev)

 メドベージェフの訪中に合わせて、中露は9月29日、第二次大戦の戦勝65周年を記念する共同声明を発表した。声明は、日本の過去の中国進出(侵略)を批判するとともに、戦争の歴史を歪曲する動きが今もあることを非難した。その部分は日本を名指ししていないが、間接的な日本批判である。中露が声明を出すことを決めたのは9月21日で、当時はまだ、尖閣諸島で捕まった中国漁船の船長が日本で勾留されていた。この声明も、ロシアが中国との関係を強化する目的で、共通の敵だった日本を標的にした観がある。(Sino-Russian statement to mark 65th WW2 anniversary)

 中露は声明で「ともに日本の中国侵略と戦った」ことを強調したが、実際には、ソ連は戦後、中国東北地方で、鉄道レールや発電機、大型機械類など、中国のインフラ資産をごっそりと自国に持ち逃げする火事場泥棒を働いており、中国人は今もそれを根に持っている。歴史を自分たちに都合の良いように解釈するのは、日本も中露も英米も同じである。

 日本の前原外相は、駐日ロシア大使を呼びつけ、メドベージェフが北方領土を訪問したら日露関係は大きく悪化するので訪問しないよう求めたが、ロシア側は前原の傲慢さを非難しつつ拒否している。ロシアは1990年代、極東開発に日本の資本や技術を入れたがっていたが、今では日本の代わりに中国が資本や技術を入れてくれる。ロシアの石油ガスも、日本ではなく中国に売ることで、すでに話がついている。半面、日露間の経済関係は全く進展していない。(Tokyo to Medvedev: Don't visit disputed isles)

 以前なら、日本が経済利権をちらつかせることで、北方領土に対するロシアの強硬策をいくらか抑止できたが、もう今はそうではない。今のロシアで話題になっていることは、中国の対外貿易の2%しか占めていない中露貿易を、どうやって増やすかである。ロシアから見ると、日本は衰退していく国である。米国の覇権が弱まる中で、中露が結束して南北から日本を領土問題で威嚇する構図が出来上がっている。最初に喧嘩を売ったのは、領土権主張を日中双方で棚上げしたトウ小平との約束を破棄し、国内法で中国漁船員を逮捕した日本の方だから、自業自得の観がある。(Needed: A breakthrough with China)

ロシアと関係改善してから中国と敵対すべきだった

 日本が中国と対立するなら、その前にロシアと関係を改善しておかねばならないというのは、何年も前から警告されていた。自民党の安倍晋三が首相だったときの外交顧問だった元外務省の岡崎久彦氏(対米従属派)は、安倍政権時代の07年の時点で「(08年の)北京五輪後に中国の脅威が強まるだろう。日本は、その前に北方領土問題を片付けて、外交上縛られている両手(中露)のうちの片方を自由にする必要に迫られるかもしれない」と書いている。しかし、岡崎の忠告は生かされなかった。日本はロシアと和解せず、中国の台頭に対して脆弱なままだった。(Entente to balance China, By HISAHIKO OKAZAKI)

 安倍の次の麻生太郎首相も、一時は北方領土問題を解決しようとしたが、北方領土問題で一歩も譲歩してはならないという国内プロパガンダに阻まれ、何もできなかった。ナショナリズムのプロパガンダマシンは、動かすのが簡単だが、止めるのが困難だ。しかも米国のタカ派は、隠れ多極主義者に入り込まれていて、日本がロシアと和解しようとする動きを妨害するとともに、上海協力機構などでの中露結束を誘発した。自民党は、中露が結束して日本に敵対してくる現状を、民主党政権のせいにしているが、歴史的に見ると、ロシアに対して無策で終わった自民党の責任の方が大きい(米国タカ派の傀儡でしかない前原外相も、かなり浅薄だが)。

 日本は、準備不足で脆弱なまま、台頭する敵に喧嘩を売ってしまい「飛んで火に入る夏の虫」になっている。それは、中国と対峙して希土類(レアアース)の輸出を制限されてしまったことでも起きている。世界の希土類供給の97%を占める中国が、希土類の輸出を抑制し始めたのは昨年末のことで、日本が中国と敵対したら、中国が希土類の輸出制限で反撃してくることは、事前に見えていた。(Concern as China clamps down on rare earth exports)

 とはいえ、日本の製造業界は2年前から希土類を備蓄しており、日本国内には1年分の備蓄があるといわれている。中国が希土類の対日輸出を止めても、すぐに大騒ぎする必要はなかった。米国の軍備の主要部品の中には、希土類を中国に100%依存しているものがあり、中国から輸入できない分を、日本の民間備蓄に頼っているという。この点は、日本より米国の方が脆弱だ。(Tokyo to Medvedev: Don't visit disputed isles)

 今回の日中関係の希土類をめぐる大騒ぎを見ると、日本の民主党内や官界で、日本をもっと中国と敵対させて米国の対中包囲網に協力したい反中勢力(外務省など)と、中国との敵対を抑止して関係改善したい親中勢力(財界など)の影響力が交錯し、プロパガンダマシン(マスコミ)の操作をめぐって暗闘状態になっていることが感じられる。希土類で大騒ぎするのは、親中派による過剰宣伝ではないか。

 中国の税関当局は、輸出品に関する検査を選択的にやっているが、従来は上海などから日本に輸出される物資のうち、検査の対象は10%程度だったのが、尖閣騒動後、40%前後に上がったという。これも隠然とした対日制裁であるが、奇妙なのは、日本がこの分野でやられっぱなしであることだ。日本が本気で中国と対峙するつもりなら、日本から中国に輸出する製品の税関検査を隠然と厳しくして対抗すべきだが、日本は何もしていない。(China-Japan Feud Takes a New Turn)

 日本人の多くが中国を嫌いなら、メイドインチャイナと記された中国製品をすべてボイコットする国民運動を起こすべきだが、それも行われていない。中国製品ばかり売っている100円ショップやユニクロを徹底的にボイコットすれば、少なくとも国民的に象徴的な反中国運動となる。日本の物価は上がり、年金生活者や若者が困るが、嫌いな中国と戦うためには仕方がない。日本社会が中国製の安価な製品への依存を強めるほど、日本は中国に対して脆弱になる。

 実際には、この手のボイコットが具現化するとは考えにくい。日本のプロパガンダマシンによる反中国の動きは、中国を打ち負かすことが真の目的ではなく、日本がアジア重視の方に引っ張られないようにするための、対米従属策の一部でしかない。だから、中国に対して日本が脆弱になった方が、中国と本気で対立することなく、日本人の中国嫌いの意識だけ永続でき、むしろ好都合だ。

 そのような視点から見ても、日本が短期間ながら中国と本気で敵対した今回の尖閣騒動は、従来の日本の「本格対立を避けつつ嫌中国の火を日本国内で燃やす」という姿勢と大きく異なる。前原あたりが米国からそそのかされ、突っ走ったと思える由縁だ。(前原は扇動役ではなく、火消し役だったという報道があるが、マスコミはプロパガンダ機構の一部であり、うそのリークを平気で鵜呑みにして報じることを忘れてはならない)

無防備のまま中国に喧嘩を売って負けた日本

 日本では、今回の尖閣紛争を、中国側から仕掛けた事件と見る向きが強いが、これも騙し絵だ。今回の事件は、日本側から起こしたものである。本記事の前編に書いたように、尖閣諸島について日中間に存在する顕在化している合意は、1978年に日中平和友好条約を結んだとき、トウ小平の提案で、日中が尖閣諸島の領土紛争を50年間棚上げすることで合意したという、一点のみである。領土紛争の棚上げとは、日中双方が、相手との紛争になるような領土権の主張をしないことだ。(日中対立の再燃)

 尖閣諸島の領海内で、日本の海保が中国漁船を拿捕し、船員を日本の法律で裁くと日本政府が宣言し、船長を送検した時点で、日本は尖閣に対する領土権を主張したことになる。双方の国内ナショナリズムに駆られた人々が強硬なことを言い、それに流されざるを得なくなって、双方の政府が「尖閣(釣魚台)はわが国固有の領土だ」「領土紛争など存在しない」と言っている分には、78年の合意の範囲内と考えられる。だが、中国人船員を日本の法律で裁くと宣言するのは、合意を破棄したことになる。

 衝突に関してどうみても中国漁船の方が悪い場合でも、日本政府は、日本の法律に基づいて処分すると宣言せず、中国政府に対して外交的に苦情を言い、船員を中国に送還して中国側で処分を行わせれば、日中合意の範囲内だった。日本が「国内法で裁く」と宣言し、尖閣問題の日中合意を破棄する行為をしたので、中国政府は対抗的に、中国にいたフジタの社員を逮捕した後「国内法で裁く」と宣言して見せたのだろう。日本は、自国がやったことと同じことを、悪い冗談的に、中国からやり返されたわけだ。

 これまで日本政府は、尖閣に関する78年の日中合意を守ってきたので、ナショナリズムに駆られる人々から「弱腰」と非難されてきた。この非難は一理ある。日本政府にとって、日中合意を破棄する戦略は、必ずしも悪いものではない。中国に勝つ勝算があるなら、日中合意を破棄して尖閣の領海や経済水域に入ってくる中国船をすべて拿捕・起訴するのも良い。しかし、それをやるなら、対米従属派の岡崎久彦が警告したように、先にロシアと和解して、外交力を高めておくべきだった。日本が今回、何の準備もせず日中合意を破棄してしまったのは、稚拙で自滅的である。

 日本の政府や与党内で、中国との敵対を強める戦略をあらかじめ練った上での行為なら、こんな稚拙な展開になっていなかったはずだ。それで私は、当時国交相として海保の担当だった前原外相が、米国中枢の誰かからそそのかされ、クーデター的に中国船員の逮捕をやったのだろうと推察している。結局、クーデターは完遂できず、船長を起訴する前に、政官財の各所にいる親中派から抑止が入り、菅政権は船長を起訴前に保釈して中国への帰国を許した。

 日本では、中国当局が福建省などの漁民を組織して、尖閣の領海に100隻以上の漁船を送り込み、魚を乱獲するという極悪非道なことをやっていた、と考えられている。それは、あり得ない話ではない。しかし前編の記事に書いたように、尖閣の周辺海域は、日中漁業協定の範囲外で、何の協定も存在しない。領土紛争は棚上げされてきたので、日本側が中国の漁船を拿捕できず、操業を黙認するしかない。日本側も多数の漁船を繰り出して漁をするぐらいしか対抗策はない。

 もし尖閣の海域について日中漁業協定を結ぶとしたら、それは「日中双方の漁船が、相手国に許可をとらずに自由に操業して良い」という「暫定措置水域」になるはずだ。それ以外の日中交渉妥結の方法がないからだ。つまり、協定を結んでも、中国漁船が日本の許可を得ずに漁をしても良い海域にしかならず、海保が中国漁船を拿捕・起訴できる状態にならない。(日中対立の再燃)

振り出しに戻った日本

 海保が拿捕したのは一般の中国漁船ではなく、漁船を装った中国農業省傘下の武装した監視船だったという説も出た。そうだとしたら、そのことが当局の調書に載るはずだし、それを発表すれば日本側は一気に有利になり、中国が悪いという話に持っていけた。そうなっていないということは、海保が拿捕したのが一般の中国漁船だったと考えた方が自然である。一般の漁船なら、海保船より航行速度が遅いだろうから、海保船が漁船を追い詰め、体当たりを誘発して拿捕した可能性が高くなる。

 中国側が強硬なのは、中国軍の強硬派が台頭し、胡錦涛ら文民の指導者もそれに流されているからであり、中国の脅威は強まるばかりだ、という見方がある。たしかに、中国軍は強硬姿勢を強めている。だがそれは、米国が扇動した結果である。

 以前の記事「中国軍を怒らせる米国の戦略」に書いたように、隠れ多極主義の米国は「米国は第2列島線(グアム島)まで撤退するので、中国は第1列島線(黄海、東シナ海、南シナ海)の外縁線まで影響圏を拡大して良い」といったん中国に通告し、中国側をその気にさせた。その後、米国は、黄海に空母を入れると言ったり、南シナ海の南沙群島問題でベトナムを応援したり、前原らをそそのかして東シナ海で日中対立を先鋭化したりした。中国軍は欲求不満を募らせ、共産党中央に「米国に譲歩するな」と圧力をかけるようになった。米国は、中国をアジア覇権国の方向に引っぱり出している。(中国軍を怒らせる米国の戦略)

 今回日本が起こした尖閣騒動は、中国のナショナリズムを扇動してしまい、人民解放軍など中国政界の強硬派を力づけている。台湾を反日の方向に押しやり、台中を結束させてしまった。前原らは、米国の隠れ多極主義者(ネオコン)に、アジア多極化(中国強化)のためのコマとして使われた。米国側は、日本が持つ対米従属の欲求を逆手に取って、日本が嫌がる中国強化・アジア多極化・米国撤退への道を進めた。米国の隠れ多極主義的な面を軽視(無視)してきた日本の対米従属派の自業自得である。

 今回の尖閣騒動は、外務省が日本の対中国外交から外されることにつながるかもしれない。前原は、国交相として尖閣騒動を引き起こし、おそらく米国の推挙(米国から菅首相への圧力)によって外相になった。外務省の人々は、前原を押し立てて中国敵対路線を走ることで対米従属を強化できると喜んだだろう。しかし、これは米国の罠だった。

 日本には、中国と本気で敵対する準備が全くなかった。財界や政界、官界の各所にいる親中派が結束して官邸に強い圧力をかけ、前原らのクーデターは、中国船長の起訴前に頓挫させられ、船長は帰国を許され、菅首相は、前原や外務省を迂回して、細野前幹事長代理を中国に送り込み、関係修復を開始した。尖閣騒動について国民に謝罪せざるを得なくなった菅は今後、少なくとも対中外交において、前原や外務省を使いたくないだろう。例外的に、外務省の中でも「世界は1極から多極の時代に移りつつある」と明確に述べている民間起用の丹羽宇一郎中国大使は、官邸と直結する形で、中国側とのパイプ役として活用されるかもしれない。(「専門家外交」の時代終わった=丹羽宇一郎中国大使インタビュー)

 対米従属派の前原や外務省が干されることは、その分、小沢一郎の影響力が復活することになりそうだ。日中関係を好転させるには、小沢に頼むのが最も早道だからだ。米国が対米従属派を暴走させて失敗させたおかげで、多極派の小沢が復権するという、どんでん返しが起きている。やはり米国は、すごいことをする国である。(▼小沢一郎の新冊封外交)

 対米従属派は、尖閣騒動を通じて、沖縄の近くで日米と中国の対立関係を強め、普天間など沖縄の米軍基地を維持するつもりだったと考えられるが、対米従属派の策略が失敗したため、沖縄の米軍基地を維持する方向の政治力学が減少した。尖閣騒動の中国船長釈放から4日後の9月28日、沖縄県の仲井真弘多知事は、これまで曖昧にしていた普天間基地に対する自らの方針について「県外移転を求める」と初めて表明した。([知事「県外」明言]これで民意は定まった)(仲井真知事 県外移設要求 知事選へ転換 政府配慮も)

 沖縄では今年11月に県知事選があり、現職で基地容認派だった仲井真知事と、県外移転要求派の伊波洋一市長との戦いになると予測されている。対米従属派の尖閣クーデターが成功し、沖縄近海で日中対立が激しくなっていたら、沖縄県民も「中国の脅威があるので、県内に米軍基地が必要だ」と思う傾向を強め、仲井真が姿勢を曖昧にしたままでも、当選する確率が高まっただろう。しかし、尖閣クーデターが失敗したことで、日中対立扇動の流れは止まり、仲井間は選挙戦を有利にするために「県外移転」を主張せざるを得なくなった。(Okinawa Governor Changes Stance to Demand Marine Air Units Be Moved Off Island)

 昨秋の民主党・鳩山政権の成立から約1年がすぎ、政官界での暗闘の末、日本の対米従属をめぐる状況は、昨秋の振り出しに戻った観がある。暗闘のため国是が定まらず、国民の間に政治不信が湧いているが、不信を抱くのは衆愚である。戦後60年、日本の根幹をなしてきた対米従属策を続けるかどうかの闘いなのだから、簡単に決着がつくわけがない。プロパガンダ(マスコミ)が暗闘に絡んでいるので、状況が国民から見えないのも不思議でない。マスコミの記者たちは、自分たちこそ「事実」の「現場」にいると思っているが、彼らが政官界から見せられている筋書きには、たっぷり騙しが入っている。マスコミ人のほとんどは、そのことに気づく嗅覚がないくせに「現場」にいない人をさげすむ慢心した間抜けである(間抜けにならないと出世できない)。「マスゴミ」と呼ばれて当然だ。見えない中での洞察が不可欠な状況になっている。

 ※ 転載記事中の青字部分は「引用記事」になっています。
    この原文はhttp://tanakanews.com/index.htmlに拠るものです。

この転載記事をみていると、アメリカCIAの用意周到な動きを感じざるを得ない。 そして10月4日の小沢一郎の起訴が、こうした動きによっての、対米従属派によるやり方に違いないと感ずるのは、老生一人の感覚だけであろうか?

転載記事のおわりから四文節に出ている内容は、田中宇の国際ニュース解説がいかに鋭い見方であるかを、実証していると思わざるを得ない。

 10 06 (水) 政治主導、これでもいいのか(その三) <特捜部の小沢起訴>

検察審査会による小沢一郎の起訴、もやもやしている中で嫌な暗いニュースが流れています。

「小沢一郎の起訴」で検索してみると、こんなプログも出ています。

   http://tanakaryusaku.seesaa.net/article/164707466.html 田中龍作ジャーナル

「小沢一郎、強制起訴」の裏で蠢いたのは…

【写真】検察審査会の議決要旨。「小沢一郎こと小澤一郎、別紙犯罪事実につき起訴すべき」とある。(4日、東京地裁前の掲示板。写真:筆者撮影)

 「小沢氏、起訴相当」の第一報に接したのは4日午後3時半、民主党本部で岡田克也幹事長の定例記者会見を待っていた時だった。新聞・テレビの記者たちは一斉にザワつき始める。携帯電話には社のデスクから指示がひっきりなしに飛び込んでいた。

 岡田幹事長の記者会見が始まると質問は「小沢氏への離党勧告」に集中した。岡田幹事長は「本人が考えを明らかにする前に私からコメントすることはできない」と述べるに留まった。言葉は慎重だが、表情はすっきりとしている。

 反小沢で鳴る牧野聖修議員は「公党としてのけじめをつけるために離党勧告なり除名なりに持っていくべき」と強気だ。

  仙谷官房長官は民主代表選前に「小沢強制起訴」を知っていた

 それにしても釈然としない。検察審査会は起訴相当に至った理由として、「会計責任者(石川知裕、大久保隆規両被告)が小沢氏に報告、相談したとする供述には信用性が認められる」としている。

 厚労省の元局長の無罪が確定した郵便不正事件でも裁判所は供述の信用性を否定しているのである。大阪地検特捜部の前田恒彦検事による証拠隠滅事件で改めて明らかになったのは、供述内容が検事の都合のいいように持って行かれてしまうことだった。

 小沢氏をめぐる事件で石川被告は「供述は誘導されたもの」として公判では否認する方針を固めている。大久保被告の場合、証拠隠滅で逮捕された前田検事が取り調べに当たっていた。前田検事が引き出した供述が果たして信用できるのだろうか。

 さらに首を傾げたくなるのが検察審査会による「起訴相当」の議決が出たのが、9月14日という点だ。この日は民主党の代表選挙の投票日だった。起訴相当を議決する場合は事前に検察に相談しなければならない(※筆者注)。当然、検察庁は法務大臣に報告する。当然、政敵の小沢氏を屠りたい一心の仙谷官房長官まで情報はあがる。

 当初、国会議員票は小沢陣営が優勢だったが、投票日(14日)直前になって民社協会をはじめとする国会議員がなだれを打って菅陣営に寝返った。

 「起訴相当議決にあたって審査会から検察へ事前相談があった。小沢は強制起訴されるよ」・・・第一級の情報が仙谷官房長官周辺から中間派議員に密かに流されたということは考えられないだろうか。

「検察不祥事」報道遅らせた!?朝日新聞

 もうひとつ腑に落ちないことがある。検察の信用を根底から覆した朝日新聞のスクープが出たのは9月21日だった。これがもっと早く出ていれば議決に少なからぬ影響を与えただろう。この報道をめぐっては「朝日はもっと早くからつかんでいたが、掲載する日を遅らせた」との見方がある。

 検察が証拠物件まで改ざんしていたことが、民主党代表選挙以前に明るみに出れば選挙の結果は違ったものとなっていた可能性がある。

 記者クラブ利権を固守したい新聞・テレビは「反小沢」「菅支持」で足並みを揃えていた。朝日新聞は特にその傾向が強かった。

 平均年齢30・9歳という検察審査会の柔らかい頭に「小沢=クロ」のイメージを擦り込んできたのも新聞・テレビだった。記者クラブメディアは「小沢強制起訴」に手を貸した、と言ってよい。


※筆者注
【検察審査会法】第41条の6(起訴議決)の2
検察審査会は、起訴議決をする時は、あらかじめ検察官に対し、検察審査会議に出席して意見を述べる機会を与えなければならない。


 10 07 (木) 人の初冬

予科練最後の16期生、同郷の市瀬伸一さんが亡くなりました。 喬木の同級生、原隆司君も市瀬昇君も体調を崩してきているといいます。

生涯の時の流れからいえば晩秋から初冬にさしかかっています。 春先の草花もやがての冬支度をはじめました。 老年になった先人から寂しいという言葉を耳にしなかったが、お互いに寂しい感覚に襲われたこととおもいます。 釈迦の教えの核心‘照見五蘊皆空’ということばを黙って受容しなければなりません。 多くの先達もみなそうした遍歴をあゆんだこととおもいます。

母方系の叔父が少年期に歌っていた<青葉の笛>が脳裏に刻み込まれたのは、人が本来持っている哀調の感覚に強く響いたためであったとおもいます。 日本の独特な曲想のようです。 歌詞と曲想が哀調をかもし出して心を誘うのだとおもいます。 市瀬さんの死はいろいろのことを回想させてくれたのです。

藤村の<惜別の歌>は藤江英輔の作曲によるものですが、この歌や<青葉の笛>(作詞:大和田建樹、作曲:田村虎蔵)の歌は、とともに生涯とか生滅相を貫くものを感じさせるのです。(Home page【懐かしい歌】の〔お気に入りの歌@〜C〕に載せてあります)

やがて後に続くものとして、墓前で歌ってあげたい衝動に駆られます。

 10 09 (土) 軌道修正‘歴史の見方’

田中宇<EUを多極化にいざなう中国>を見ており、世界を駆けめぐる経済動向にアンテナを向けることの多難さを深く思いました。 そして田中宇のスタッフの的確な情報精査に唖然とするのです。

【グラフ】<http://www.dai-ichi.co.jp/gold/compare.asp>1970年代以降の金価格の推移(国内金価格/国際金価格)

※国内金価格は1982年円以降は東京工業品取引所の期近価格。
  1982年以前は小売価格。海外金価格は米国COMEXの先物価格。

ことに以前から警鐘を鳴らしつづけているドル崩壊が、円高(円買い)現象が高熱に襲われた病人のように修正できないままの様子を見ていますと、ドル崩壊の渦中現象の現われとして見えてならない。

中国が金を買い集めているということは暫くまえに情報を受けていた。 検索してみると<百聞は一見にしかず>、信用紙幣はまさに紙くずともなる運命にある。 ドルよりも円に安心感が集中するのは自然のなりゆきであり、円高容認の考え方で経済のゆくすえを模索すべきだろう。

隣国の中国との互恵関係とは、日本が中国にお願いする状況にあることだとは、経済界にあるものなら誰もが承知していることに相違にない。 それなのに、いまでも政治やマスコミは対米従属を基本にすえて物事を進めようとしています。  ………。

世界平和を願うというなら、戦争も平和もすべて経済政策の一分野となっているという考え方をしなくてはならない。 芸術も教育も音楽もスポーツも、人間の文化活動あらゆるものは世界経済の流れに無関係ではない。 歴史の動きの証明には、経済の動きで実証しなければならないということです。 政治の動きの実証にも、経済の動きで実証しなければならないということです。 政治上の政策も、世界経済の動きで実証しなければならないということです。

相互互恵の真意なく守銭奴亡者に染まってしまった経済認識の人が社会のリーダーになったり、議員になったり経営者になったりする場合がある。 すべて愛の真実に即していたかどうかを、経済の動きから実証しなければなりません。 話を金融の動きに戻して、金地金に照らして、紙幣相場を見てみましょう。 第一商品株式会社、8日 15:30現在の金価格では

     金販売価格(1g)       3,720円
     金買取価格(1g)       3,689円
     為替レート 米ドル/円  81.88円

となっている。 1g が10年前には1000円位だったのに、去年から3000円位になっています。

経済活動において、紙幣価値が10年間に三倍にも変動して安定した心情になれる筈がありません。 誰かが操作しているに違いありません。

こうしてみてくると、歴史認識はすべて世界経済の動きで実証しなければならず、老生の世界観も軌道修正しなければなりません。

田中宇さんの解説の一部に、

「今回の記事のように、中国が台頭し日米が不利になる現実を描くことは、今の日本で、しだいにやりにくくなっている。 読者から「あなたは支那のエージェントですか」という感じの中傷メールが来る(日本が不利になったのは小沢一郎のせいだと書いて、小沢批判をしたりするのは歓迎されるだろうが)。 」

と書いてある。

とすれば、中国との連携を重視しようとする意見を掲げるのは、支那のエージェントと目されないとは限らないことになります。 思想的に窮屈なことになっています。