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折々の記 2011 B

【心に浮かぶよしなしごと】

【 01 】04/03〜     【 02 】04/05〜     【 03 】04/15〜
【 04 】04/20〜     【 05 】04/25〜     【 06 】05/02〜
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【 03 】04/15

  04 15 こども論語塾 その二
  04 16 孫たちの門出 会食

 04 15 (金) こども論語塾 その二

‘親子で楽しむ「こども論語塾」’




著者 安岡 定子

1960 年生まれ。二松学舎大学文学部中国文学科卒業。

東京都文京区 「文フミの京ミヤコ こども論語塾」
宮城県釜石市 「一森山 こども論語塾」
東京都中央区 「素心・不器会 銀座・寺子屋 こども論語塾」
等の論語教室で講師をつとめる。

著書に、「素顔の安岡正篤」(PHP研究所) 
「こども論語塾」 「こども論語塾 その2」(明治書院) 
「絵でみる論語」(日本能率協会マネジメントセンター)
がある。

陽明学者・安岡正篤の次男正泰の長女。



親子で楽しむ
こども論語塾
その二
明治書院

『論語』は、美しい言葉と知恵の宝庫です。

日本人は昔から、素読といって、先生が声高らかに読まれる通りに、こどもも声を出して読み上げました。 意味はまだよくわからない点があったとしても、くり返し読んでいくうちに、だんだんと、その言葉のすばらしさに、引きつけられていったものです。

この本では、『論語』全体で約五百章ある中から、短くわかりやすい言葉二十章を選び出しました。 『論語』の入り口に立つ入門の書に過ぎませんが、そのどれをとってみても、だれの心にもひびく内容が融かしこまれています。

できましたら、お子さんと一緒に、声に出して読んでみてください。 そして気に入ったものがありましたら、その中のいくつかを、暗証してみてください。 そこには、父母、祖父母、兄弟、姉妹たちとの至福の場が生まれるかも知れません。

「子曰(シノタマ)わく」という読み方は、昔から日本人が、孔子先生への最高の敬意をこめた表現です。 ですから、孔子先生以外の人の言葉は、すべて「○○曰(イ)わく」と読まされてきました。

人類の古典の中の古典とされる『論語』は、そのように古めかしく見えるものですが、その内容は、明るく、おおらかで、美しい世界なのだと、すぐお気付きになれるはずです。


も  く  じ

 T 行 おこない : 毎日の行いの中で目標にしたいこと

   親孝行って、何だろう?
     孟武伯、問孝。子曰、父母唯其疾之憂。 (為政二-E)

   心豊かな人になるために
     子曰、興於詩、立於礼、成於楽。 (泰伯八-G)

   実行することが第一
     子貢、問君子。子曰、先行、其言而後従之。  (為政二-L)

   素敵な人の条件
     子曰、知者不惑、仁者不憂、勇者不懼。 (子罕九-○30)

   本当の姿がわかる時
     子曰、歳寒、然後知松柏之後彫也。 (子罕九-○29)

 U 友 とも  お友だちと楽しく過ごすために

   一緒にがんばる仲間を大切にする
     曾子曰、君子以文会友、以友輔仁。 (顔淵十二-○24)

   自分より相手のことを考える
     子曰、放於利而行、多怨。 (里仁四-K)BR>
   自分の責任で行動する
     子曰、君子求諸己。小人求諸人。 (衛霊公十五-○21)

   誰とでも仲良くする
     子曰、君子周而不比、小人比而不周。 (為政二-M)

   ずっと仲良しでいるために
     子曰、晏平仲、善与人交。久而敬之。 (公冶長五-P)

 V 学 まなぶ  自分から進んで学ぶ気持ちが大切です

   知ったかぶりはしない
     子曰、由、誨女知之乎。知之為知之、不知為不知。是知也。
                                                (為政二-P)

   生まれた時は、みんな同じ
     子曰、有教無類。 (衛霊公十五-○39)

   あきらめずに続けよう
     子曰、学如不及、猶恐失之。 (泰伯八-P)

   まわりの人をお手本にしよう
     子曰、三人行、必有我師焉。
    択其善者而従之、其不善者而改之。
 (述而七-○21)

   知りたい気持ちが理解を深める
     子曰、不曰如之何、如之何者、吾末如之何也已矣。(里仁四-O)

 W 仁 じん  あなたのまわりにいる人を大切にしましょう

   言葉よりも心が大切
     子曰、剛毅木訥、近仁。 (里仁四-O)

   どんな時にも心に仁を
     子曰、苟志於仁矣、無悪也。 (里仁四-C)

   仁はどこにある?
     子夏曰、博学而篤志、切問而近思。仁在其中矣。(子張十九-E)

   仁がなければ何も伝わらない
     子曰、人而不仁、如礼何。人而不仁、如楽何。 (八?三-B)

   仁を大切にできる人になる
     子曰、里仁為美。択不処仁、焉得知。 (里仁四-@)

   あ と が き


 マメ知識 1 孔子と論語

         孔子(前551〜前479)は、中国の春秋時代の大思想家・学者・教育者です。
         理想の政治を実現するために、自分の生き方・考え方などについて説いて回
         りました。 また弟子の教育にも大いに力を尽くしました。
         「論語」は孔子の言行や、弟子たちとの問答などを記録した書物です。 二
         十編約五百章から成り、孔子の人柄や思想を知る上で最も重要な書物です。

         仁

         仁とは、思いやりの気持をもとにした広く優しい心や、強く正しい生き方をい
         います。 孔子先生が一番大切にしていた言葉です。

         君子と小人

         『論語』の中には、「君子」と「小人」という言葉が何度も出てきます。
         君子とは、思いやりの気持ちがあり、正しい行いのできる人のことです。
         理想の生き方を求め、それを実行している立派な人です。
         それに対して小人は、君子とは反対の、よくない行いをしてしまう人のことです。

 T 行 おこない  毎日の行いの中で目標にしたいこと

 ●親孝行って、何だろう?

   お父様・お母様は、こどもたちのことをいつも一番に考えています。 そのような深い愛情を忘れず
   に、今の自分を大切にすることが、親孝行なのです。

   ・ 孟武伯は、魯の国の大臣の長男です。 魯の国とは、孔子先生の生まれた中国・春秋時代の
     国の名前です。

   孟武伯、問孝。子曰、父母唯其疾之憂。 (為政二-E)

   もうぶはく、こうをとう。しのたまわく、ふぼはただそのやまいをこれうれう。

   孟武伯が、親孝行について(孔子先生に)質問した。 すると孔子先生はおっしゃった。
   「父母は、何よりも、ただ子どもの病気のことばかり心配するものだ。 (だから親孝行とは、健康第一
   に心がけて病気をしないことなのだ)」

 ●心豊かな人になるために

   素敵な詩や物語を読むと心が動かされますね。 きまりやお約束が守れるとみんなと仲良くできます
   ね。 美しい音楽を聴くと、幸せで嬉しい気分になりませんか。 詩と礼と楽とは、心豊かな人になる
   ためにぜひとも必要なものです。

   子曰、興於詩、立於礼、成於楽。 (泰伯八-G)

   しのたまわく、しにおこり、れいにたち、がくになる。

   孔子先生がおっしゃった。
   「(人は)詩によってふるい立ち、礼(人の守るべき礼儀やきまり)によって行動し、音楽によって(人格を)
   完成する」

 ●実行することが第一

   まず先に、正しい行いができることが大切です。 説明はそのあとです。 言葉より先に実行のできる
   人こそ、立派な人なのです。

   ・ 子貢は、孔子先生のすぐれた弟子の一人です。

   子貢、問君子。子曰、先行、其言而後従之。          (為政二-L)

   しこう、くんしをとう。しのたまわく、まずおこなう、其のげんはしかるのちにこれにしたがう。

   子貢が、君子について質問した。 すると孔子先生はおっしゃった。
   「まず実行すること(が第一)だ。 言葉で言うことは其の後でよい」

 ●素敵な人の条件

   知者は、いろいろなことをよく知っているので、迷うことはありません。 仁者は、優しい広い心を持っ
   ているので、おだやかな気持で過ごせます。 勇者は、何もおそれずに、正しいことを実行します。
   この知・仁・勇の三つを持てたら最高ですね。

   子曰、知者不惑、仁者不憂、勇者不懼。 (子罕九-○30)

   しのたまわく、ちしゃはまどわず、じんしゃはうれえず、ゆうしゃはおそれず。

   孔子先生がおっしゃった。
   「知者は(判断力があるので)迷うことがなく、仁者は(広く、ゆとりのある心があるので)心配することが
   なく、勇者は(強い心があるから)恐れることがない」

 ●本当の姿がわかる時

   苦しいことやつらいことに出会った時に、はじめてその人の本当の強さがわかります。 どんな時に
   もくじ゛けない強い心を養いましょう。

   子曰、歳寒、然後知松柏之後彫也。 (子罕九-○29)

   しのたまわく、としさむくして、しかるのちにしょうはくのしぼむにおくるるをしる。

   孔子先生がおっしゃった。
   「一年中で一番寒い時になって、そこではじめて、松や柏(ひのきの一種)が落葉しない常緑樹であ
   ることがはっきりとわかる。 (苦しいことを乗り越えてこそ、人の本当の価値は現われる)」

 マメ知識 2 孔子先生ってこんな人

   孔子先生は、自分の一生を振り返って、『論語』の為政編で次のように言っています。
   「私は十五歳で学問に志し、三十歳で自立した。 四十歳で心の迷いがなくなり、五十歳で天が与
   えてくれた自分の使命・運命について自覚し、六十歳でどんなことでもよく理解して聞き取り、七十
   歳には自分の思いのままに行動しても、人の道にはずれることが無くなった」と。
   これは世界一短い、見事な自叙伝といわれています。
   孔子先生は、このように学び続け、進歩し続けた大聖人です。
   なお、ここから、年齢を表わす次の言葉が生まれました。

     十五歳 ・・・ 「学志」   三十歳 ・・・ 「而立」   四十歳 ・・・ 「不惑」
     五十歳 ・・・ 「知命」   六十歳 ・・・ 「耳順」   七十歳 ・・・ 「従心」

 U 友 とも  お友だちと楽しく過ごすために

 ●一緒にがんばる仲間を大切にする

   いろいろなことを真剣に学んでいると、同じようにがんばっているお友だちに出会うことができます。
   そんな仲間と一緒に理想の人になれたらいいですね。

   ・ 曾子は、孔子先生のすぐれた弟子の一人です。

   曾子曰、君子以文会友、以友輔仁。 (顔淵十二-○24)

   そうしいわく、くんしはぶんをもってともをかいし、ともをもってじんをたすく。

   曾子が言った。
   「君子は、文(詩書礼楽などの古典)の学習のために友達を集め、その友達のおかげで、仁の徳を
   磨くことができたのだ」

 ●自分より相手のことを考える

   自分が得をすることばかり考えていてはいけません。それでは心の通じ合う、本当の友達はできま
   せんね、

   子曰、放於利而行、多怨。 (里仁四-K)BR>
   しのたまわく、りによりておこなえば、うらみおおし。

   孔子先生がおっしゃった。
   「利益利益と、利益ばかり求め過ぎると、人の怨みを買うことが多い」

 ●自分の責任で行動する

   君子は自分で考えて行ないます。もし失敗したら、反省して、やり直します。小人は、その反対のこ
   とをしてしまいます。失敗をお友だちのせいにしてはいけませんね。

   子曰、君子求諸己。小人求諸人。 (衛霊公十五-○21)

   しのたまわく、くんしはこれをおのれにもとむ。しょうじんはこれをひとにもとむ。

   孔子先生がおっしゃった。
   「君子は何事も自分の責任であると考えるが、小人は(その反対に全ての責任を)他人に押しつけて
   しまう」

 ●誰とでも仲良くする

   君子は、誰に対しても公平で優しいので、心が通じ合います。小人はこれと反対に、気に入った人
   とばかりつき合います。いろいろな人とお友だちになれたらいいですね。

   子曰、君子周而不比、小人比而不周。 (為政二-M)

   しのたまわく、くんしはしゅうしてひせず、しょうじんはひしてしゅうせず。

   孔子先生がおっしゃった。
   「君子は、誰とでも広く公平につき合って、偏ったつき合い方をしない。 (ところが)小人は、それと反
   対に、一部の人とばかりつき合って、広く人とつき合うことをしない」

 ●ずっと仲良しでいるために

   お互いを大切に思い、尊敬し合えるお友だちを持ちたいですね。そのためには自分もそのような人
   になる努力が必要です。一生つき合える、よいお友だちを持ちましょう。

   子曰、晏平仲、善与人交。久而敬之。 (公冶長五-P)

   しのたまわく、あんぺいちゅうは、よくひととまじわる。ひさしくしてこれをけいす。

   孔子先生がおっしゃった。
   「(斉の国の首相)晏平仲は、誰とでもよくつき合った。 (そして)長くつき合えばつき合うほど、友人
   が(晏平仲を)尊敬するようになった」

 マメ知識 3 孔子先生は、コワーイばかりの先生ではありません。

   葉(ショウ)という国の君主が、「孔子先生はどんな人ですか?」と弟子の子路に質問しました。 慎重
   に構えて、それに答えなかった子路に向かって、先生は朗らかにこう言いました。
   「お前はどうしてこう答えなかったのか? 『怒りだしたら食事も忘れ、楽しいことがあれば心配事など
   すっかり忘れて楽しみにふけり、自分が老人になろうとしていることにも気がつかない ……… それ
   が私の先生、孔子である』 と」
   先生と弟子との、何という和やかな会話でしょうか。 その温かでユーモラスな雰囲気が、二千数百
   年の時間を超えて、そのまま伝わってくるようです。

 V 学 まなぶ  自分から進んで学ぶ気持ちが大切です

 ●知ったかぶりはしない

   知るということはどういうことなのでしょう。 知っていることと知らないこととをはっきりさせる。 それが
   本当に知っているということなのです。 知らないことは、これから学べばいいのです。

   ・ 「由」は、孔子先生の弟子である子路の別名です。 子路は、『論語』に一番多く現われる面白い
     人です。

   子曰、由、誨女知之乎。知之為知之、不知為不知。是知也。
                                                      (為政二-P)

   しのたまわく、ゆう、なんじにこれをしるをおしえんか。 これをしるをこれをしるとなし、しらざるをしら
   ずとなす。これしるなり。

   孔子先生がおっしゃった。
   「由(子路)よ、お前に知るということについて教えよう。 わかっていることはわかっている、わからない
   ことはわからないと、はっきりとさせること、それが知るということなのだ。」

 ●生まれた時は、みんな同じ

   人は学ぶことによって差が生まれます。 よい先生やお友だちに出会い、たくさんのことを学べたら誰
   でもきっと素晴らしい人になれるでしょう。

   子曰、有教無類。 (衛霊公十五-○39)

   しのたまわく、おしえありてるいなし。

   孔子先生がおっしゃった。
   「(この世には)教育による違いは生じるが、(生まれつきの)人間の(上中下の)種類などというものはな
   い。(人は全て平等であり、よい教育を受ければ誰でも立派になれる)」

 ●あきらめずに続けよう

   学ぶということは、長く遠い道を進んでいくようなものです。 なかなかゴールが見えてこないときには
   途中であきらめたくなります。 でもそんな時でも、がんばってみましょう。 学び続けることが何より大
   切です。

   子曰、学如不及、猶恐失之。 (泰伯八-P)

   しのたまわく、がくはおよばざるがごとくするも、なおこれをうしなわんことをおそる。

   孔子先生がおっしゃった。
   「学問は、〈いくら追いつこうとしても追いつけない〉というような気持で励むことだ。 それでもなお、
   (目標を)見失うことを心配し続けるというような心がけが必要だ」

 ●まわりの人をお手本にしよう

   みなさんのまわりにはいろいろな人がいます。 お手本となる人を見つけたら、見習ってみましょう。
   反対に、よくないことをしている人をみたら、自分も同じことをしていないか、よく考えてみましょう。 
   もしよくない所があったら直しましょう。

   子曰、三人行、必有我師焉。択其善者而従之、其不善者而改之。
                                                     (述而七-○21)

   焉   字音    エン
       字訓    いずくんぞ・ここに
       同訓異字 いずくんぞ・ここに・なんぞ
       @とりのな
       Aこの鳥の羽を揚げて、卜い問うことに用いたらしく、「いずくんぞ」「いずこ」のように疑問詞と
         する。
       Bここに。また終助詞に用いる。

   しのたまわく、さんにんおこなえば、かならずわがしあり。其のぜんなるものをえらびてこれにしたがい
   そのぜんならざるものにしてこれをあらたむ。

   孔子先生がおっしゃった。
   「三人が行動すれば、其の中には必ず私が学ぶべき師がある。 其の中の善い人を選んでそれを見
   習い、善くない人を見ては、(わが身を反省して)改めるからだ」

 ●知りたい気持ちが理解を深める

   困ったことやわからないことがあった時には、どうしたらいいのかなぁ、どうしたらいいのかなぁと、先ず
   自分で一所懸命考えてみましょう。 自分から知りたいと思う気持を持ちましょう。

   子曰、不曰如之何、如之何者、吾末如之何也已矣。 (里仁四-O)

   しのたまわく、これをいかんせん、これをいかんせんといわざるものは、われこれをいかんともすること
   なきのみ。

   孔子先生がおっしゃった。
   「〈どうしたらよかろう、どうしたらよかろう〉と苦しまないような人を、私はどうしても導いてやることなど
   できないのだ」

 マメ知識 4 孔子先生は弟子たちをとてもかわいがりました

   弟子たちの中で、孔子先生が最も高く評価したのは、顔回(顔淵)です。
   孔子先生は、顔回を語るときは、いつでも最高の賛辞を惜しみませんでした。
   魯の哀公という君主が、「お前の弟子の中で、誰が最も学問を好むか」と質問したのに対しても、孔
   子先生は、迷わず顔回の名をあげました。
   しかし孔子先生は、顔回のようなエリートばかりを大切にしたのではありません。 その兄が悪人であ
   ったために、いつも悩んでいた司馬牛(シバギュウ)に対しては、自分さえ悪くなければくよくよするなと、
   強く励ましてもいるのです。

 W 仁 じん  あなたのまわりにいる人を大切にしましょう

 ●言葉よりも心が大切

   たとえ態度や言葉ではうまく表わせなくても、強い心を持って、正しいことをやり通せる。 そんな人こ
   そ素晴らしいですね。

   子曰、剛毅木訥、近仁。 (里仁四-O)

   しのたまわく、ごうきぼくとつ、じんにちかし。

   孔子先生がおっしゃった。
   「心が強くしっかりしていて、口べたで飾り気がない人は、仁者(とまでは言えないが、それ)に近い人
   ということができる」

 ●どんな時にも心に仁を

   いつも思いやりのある正しい心を忘れずにいれば、悪い考えやずるい心は絶対に生まれません。

   子曰、苟志於仁矣、無悪也。 (里仁四-C)

   しのたまわく、いやしくもじんにこころざせば、あしきことなきなり。

   孔子先生がおっしゃった。
   「もしも、世の中の人々が仁を目指して努力さえするならば、世の中の悪いことはなくなるのだ」

 ●仁はどこにある?

   いろいろなことに興味を持って学び、将来こんなふうになりたいという目標を持ちましょう。 もしわか
   らないことがあったら、先生に聞きましょう。 そのように心がけていれば、思いやりの気持のある、素
   晴らしい人にだんだんとなってゆけるでしょう。

   子夏曰、博学而篤志、切問而近思。仁在其中矣。 (子張十九-E)

   しのたまわく、ひろくまなびてあつくこころざし、せつにといてちかくおもう。 じんそのなかにあり。

   子夏が言った。
   「広く学習して、熱心に取り組み、心をこめて問いかけて、それを身近なこととして考えるならば、仁の
   徳は、求めなくても、自然にそこに存在し、獲得できることになる」

 ●仁がなければ何も伝わらない

   たとえきまりやお約束がきちんと守れても、よい音楽を奏でることができても、心がこもっていなければ
   相手に伝わりません。 それほど思いやりの気持、つまり仁の心は大切なのです。

   子曰、人而不仁、如礼何。人而不仁、如楽何。 (八?三-B)

   しのたまわく、ひとにしてじんならずんば、れいをいかんせん。ひとにしてじんならずんば、がくをいか
   んせん。

   孔子先生がおっしゃった。
   「もしも、人間でありながら、〈仁〉の心を失ったとしたら、(あの大切な)〈礼〉をどうするというのか。 人
   間であるのに、〈仁〉の心を失ったら、(あの大切な)〈楽〉をどうするというのか。 (〈仁〉の心が無けれ
   ば、〈礼〉〈楽〉という文化は失われてしまう)」

 ●仁を大切にできる人になる

   どんな時にも思いやりの気持を持っている人って素敵ですね。 そんな素敵な人になれるように心が
   けて毎日を過ごしましょう。

   子曰、里仁為美。択不処仁、焉得知。 (里仁四-@)

   しのたまわく、じんにおるをびとなす。 えらびてじんにおらずんば、いずくんぞちなるをえん。

   孔子先生がおっしゃった。
   「仁の心を大切にするという態度が、美しいのだ。 自分で選んで、仁から離れてしまっては、どうし
   て知恵のある立派な人と言えようか」

 マメ知識 5 孔子先生は一生涯学び続けました

   孔子先生は学び続けた人であるがゆえに、学問の究め難さをよく知る人でもありました。
   【 V 学 】 の三番目の「学は及ばざる如くするも … 」というのもそのためです。 これは真に学問
   に取り組んだ人の名言です。
   孔子先生はまた、元気者の子路にこう教えています。 【 V 学 】 の一番目の「之を知るを之を知
   る為し … 」という言葉です。 これは子路の知ったかぶりを戒めると同時に、学問の真髄を衝いた言
   葉です。
   孔子先生の学問観が、いかに現代にも通用する科学的・合理的なものであったかを明示しています。

 ●あ と が き

   昨年二月に『こども論語塾』を出版(平成21年2月10日初版発行)して以来、たくさんのご感想やお
   便りをお寄せいただきました。

     「毎晩寝る前に、子どもと一緒に一頁ずつ読んでいます」
     「大切な言葉の詰まっている本ですね」
     「昔、学校で習った言葉を、懐かしく思い出しました」
     「『論語』って、いいこと書いてあるんですね。 初めて知りました」

   大人の方々のこのような声とともに、お子さんたちからは、率直な意見が聞かれました。

     「二千五百年前の言葉なのに、ちっとも古い感じがしないね」
     「孔子ってすごいね」

   と、また、

     「入学祝に、おじいちゃんからもらったの」
     「もう全部憶えちゃった」

   こんな可愛らしいお子さんたちとの出会いもありました。 すでに繰り返し読み、小さな手に十分に
   なじんだ『こども論語塾』を見た時には、大変感激しました。

   『こども論語塾 その二』では、新たに二十章を選びました。 前著より長めの文章も取り上げました。
   また、こども用解説の文章中には、ほんの少し難しい言葉遣いもあります。 一緒に読んでくださる
   大人の方が、それぞれのお子さんにわかりやすい表現を交えてお話してあげてください。 お子さ
   んにとって、自分をよくわかってくれている人信頼できる人の言葉は、安心して受けいれられます。
   そうした会話を通して『論語』がより身近に感じられ、理解が深まることを願っています。

   大きな声で元気に素読をすると、漢文独特の美しいリズムが、自然に体の中に入っていきます。 
    そして数々の名言・名文が、いつの間にか心の奥にたまっていきます。 それらは、人生のそれ
   ぞれの場面で、お子さんたちの支えとなり、助けとなるでしょう。 そしてこの本の中から多くの方々
   が一生の宝物となる言葉を見つけてくださったなら、こんなに嬉しいことはありません。

   『こども論語塾 その二』も、深い思いのこもった一冊になりました。 日頃、お教室で一緒に『論語』
   を読んでいる仲間、そして前著『こども論語塾』を通して出会えた全国の方々、皆様の素読を楽し
   む様子や笑顔、寄せていただいた温かいお言葉、これらすべてを心に刻んで、書き上げました。

   前著に引き続き、監修をしていただきました田部井文雄先生に、心より感謝申し上げます。 また、
   明治書院三樹敏社長・西岡亜希子氏にもご尽力いただきました。 ありがとうございました。

                                                        安岡定子


 04 16 (土) 孫たちの門出 会食

「さすが屋」で孫たちの門出を祝って会食をしました。 孫二人、両親、孫の祖父母三人。 孫たちにとって直系尊属は現在五人しかいません。 従姉妹といっても五人だか六人しかいません。

孫たちには悪いような気がするが仕方ありません。