リーマン・ブラザーズとAIGが破綻
それが一般人の生活に今後どのように影響するのか?
今回のリーマン・ブラザーズとA.I.G.の破綻によって、何が過去数日間の間に起きたのか、なぜそれが起きたのか、そして、日常を暮らすほかの人々にとってこの破綻が何を意味するのか?エコノミストであるSteven D. Levitt氏が、同僚のDoug Diamond氏とAnil Kashyap氏とともに議論し、その様子をネット上で公開しました。
洞察力と示唆に富んだこれらの記事をベースにしてさまざまな情報を整理し、今回の破綻によってどのような影響があるのか、その内容を知っておきましょう。
詳細は以下から。
〜目次〜
■そもそも何が起きたのか?
■なぜこのようなことが起きたのか?
★ファニーメイとフレディマックが発端であり、震源地
★そして借り続けることができなくなったリーマンの終焉へ
★570億ドルの保険契約を書いてしまったAIG
■なぜ財務省と連邦準備局はリーマンを破産させたのに、ファニーメイ、フレディマック、A.I.G.を救済したのか?
■私はリーマンやA.I.G.で働いていませんし、債券を所有しているわけではないのですが、何に気をつければいいですか?
以下の話の前に、「サブプライムローン」についての理解が必要となるので、「サブプライムローンって何?」という人はまず以下の記事を読んでください。
急速な円高や全世界同時株安の原因、「サブプライム問題」とは? - GIGAZINE
http://gigazine.net/news/20070817_subprime/
2007年08月17日 01時27分00秒
急速な円高や全世界同時株安の原因、「サブプライム問題」とは?
一時的に円が113円とかいうすさまじい円高になり、しかも全世界同時株安の様相を呈しているわけですが、原因の一つは「サブプライム問題」というやつです。
テレビで散々言われているものの、いまいちどういうものかという説明があまりされていないので、株式とかそういうのがわからない人でもある程度わかるようにまとめてみました。
さて、まずは大原則。お金が余っている側は、すでに信用力があってお金をきちんと返済してくれる人には喜んでお金を貸します。なぜなら、貸した金額はちゃんと戻ってくるし、利子もちゃんと支払われるためです。リスクが低いので利子が低くても問題ないのです。このような信用力のある層は「プライム」と呼ばれます。これに対して「サブプライム」の「サブ」とは「次の」という意味で使われており、要するにこういう優良な相手よりも一段階信用度が落ちている相手、という意味です。
要するに本来ならお金を借りることができない人にお金を貸すというのがサブプライム。いわゆる高利貸しに近い形。どんな人が借りているのかというのは以下の用語説明を読むと非常にイメージしやすい。
サブプライムとは - はてなダイアリー
・ 過去12ヶ月間に30日間以内のローン返済延滞が2件以上、または過去24ヶ月間以内に60日以内の延滞が1件以上ある
・ 過去24ヶ月間に法定判決、抵当物件の差押え、担保回収、ローンの不払いがある
・ 過去5年間に自己破産がある
・ 信用調査機関のリスクスコアが所定の値を下回る。
貸す条件もすごい。ほとんど無条件です。
サブプライムローン問題、「予想・防止共に可能だった」米紙論評:Garbagenews.com
サブプライムローンの設定においては、借り手に対して収入の証明を必要としない(つまり収入について考慮しない)ことをうたい文句とし、さらに仕事に従事しているか・資産を持っているかなどを問われずに、住宅ローンを設定してしまったという。要は借り手に元々担保も将来性の確約もないのに、借り入れたローンで購入できる住宅自身を担保にし、お金を貸し出すという按配である
なぜこんな信用の低い層、すなわち、貸しても返済が完遂できない貸し倒れの確率が非常に高い層に対してお金を貸すのでしょう?
FujiSankei Business i. なるほど講座/サブプライムローン
サブプライムローンは、所得や信用力の低い人向けの消費者金融の一種で、自動車や住宅などを担保に年率20〜30%の高金利で貸し出すものです。米国では総世帯の約4割が年収2万5000ドル以下で、サブプライムの対象になるといわれ、市場が非常に大きいのは確かです。
つまり、信用が低いけれども人口が多いので成立してしまうわけです。テレビや新聞などで「サブプライム問題」と言っている場合はこの住宅向けローンを意味していることが一般的です。
で、サブプライム層にお金を貸す場合、もちろん金利は高くなります。なぜなら、サブプライム層は既に破綻したことがあったり、返済遅延とか、そういうお金の経歴を見るとキズがあるためです。つまり、信用力が低い。しかしそれでもなおこのサブプライム層にお金を貸していた理由は単純で、その貸したお金で買った家自体が担保に入っているためです。ローンの借り換え(ローンを組み直すリファイナンス)などをしてもなお返済できなくなったとしても、最終的にはその家を売れば貸し付けたお金は回収できる、と。なぜなら、米国の住宅市場はこれまでずっと値上がり傾向にあったため。結果として、安心して住宅向けサブプライムローンを展開できたわけです。むしろ住宅の価格がドンドン値上がりして不動産価格が上昇している以上、高金利で貸すことのできるサブプライム層の信用が「上がる」わけです。妙な話ですが、理屈としては「お金を返済できなくても家を売らせればいい」ということです……。当然ながら家がなくなるわけですが、貸す側はお金さえ儲けられれば関係ありません。しかもこの理屈だと必ず儲かる、要するにリスクが低い。しかも、先ほども書いたようにサブプライム層は人口が多いので、次々と金を貸していくことができる。サブプライム層に対してローンをさせてさせてさせまくって儲けられるときにガンガン儲けよう、ということになるのも当然の流れです。
景気がよいので不動産価格がどんどん上昇している
↓
サブプライムローンで返済ができなくなっても担保に入っている家を売却すれば利益が出る
↓
そのお金をさらにサブプライムローンとしてサブプライム層に貸し付ける
↓
サブプライム層に貸せば貸すほど儲かるので、基準はどんどん緩くなる
(より低階層の信用が低いサブプライム層に貸していくことになる)
↓
金余り発生。以下、無限ループ。
構造的には、土地や家を持つことなどできないようなレベルの人に金余りを起こしている側がむりやり貸し付けて利益を得ようというのが根本的な構造です。一種の貧困層ビジネスみたいな雰囲気もするのですが、ずっと悪質です。なぜなら、富めるものはますます富み、貧しくなる者はますます貧しくなる仕組みだからです。これは経済自体を萎縮させてしまうということにつながるので、必ず悪影響が出ます。今がまさにその影響が露呈し始めた時期だ、と解釈していればまず間違いありません。
ここからが本題。なぜこれが米国市場の株安、そして全世界株安につながり、そして円高につながるのか?
ここまでだとまだ問題は単純ですが、さらに流動性を高めるために、このサブプライムローンを「債券化」したのです。これがクセモノだった。
多くのファンドに潜り込んでいる「サブプライム」:
破綻目前、サブプライムの猶予は3カ月 / SAFETY JAPAN [大前 研一氏] / 日経BP社
こうした人々の顔が見えている間はよいが、ローンを何千、何万と束ねて、そこから
REITのような小口債券化した商品を作る。いわゆるABS(アセット・バックト・セキュリ
ティ:資産担保証券)の一種である。例えばローンの借り手が12%の利息で支払う
場合、貸し倒れや回収・事務処理費に利益を上乗せして4%の余裕を見て8%の
利回りの商品としてこれを売りに出す。この時点で、回収する人々とこの債券を買う
人々が完全に切り離される。いわゆるファンドなどが運用難からこうした商品に飛び
ついて知らず知らずの間に組み込んでしまうのだ。
この小口債券が一体どこへ行ったのかが問題で、最終的にはヘッジファンドが扱うようになっていきました。なぜなら、不動産価格が上昇しつづけるというバブルな状態であれば、全力でこのサブプライムローン債権などを証券化したCDO(債務担保証券)に対して投資すれば、非常に高い利回りでガンガン儲けることができるからですね。
そして、サブプライム問題が持ち上がります。つまり、投資の失敗です。
そもそも右肩上がりの価格上昇を前提としているのが間違っている。永遠に不動産価格が上昇することはあり得ない。これは日本の土地バブルの時を見れば明らかです。それだけでなく、貸してはいけないサブプライム層にむりやりお金を貸したので、返済が滞って破綻するのは当然。結果として一体どれぐらい焦げ付いたのか?金額を見れば一目瞭然です。
猶予は3カ月しかない:破綻目前、サブプライムの猶予は3カ月 /
SAFETY JAPAN [大前 研一氏] / 日経BP社
サブプライム問題はどれくらい深刻なのだろうか。この後、世界市場にどの位の影
響を及ぼすのだろうか。また、貸してはいけない人々に、どれくらいのお金を貸して
しまっているのだろうか。
サブプライムローンの総額は日本円にして170兆〜180兆円、そのうち返済が滞っ
ているのは30兆円といわれている。実に16パーセントあまりが焦げ付いている計算
だ。
焦げ付き始めると本来出す予定だった利益が出なくなります。なぜなら、これだけ大量に焦げ付くと、担保として取り上げられた住宅が大量に出回ることになります。そうなれば市場ではたたき売りされることになります。供給過多になったわけです。そうなると、完全に行き詰まります。
サブプライムローンの返済ができなくなるサブプライム層が大量出現
↓
担保として取り上げた住宅が市場に一気に増える
↓
住宅供給過多となり、住宅の価格が下がる
↓
ローンの返済が完遂していなくても住宅を売れば儲かるはずだったのに、儲からなくなった
さて……このサブプライムローンは「債券化」されています。つまり、銀行ではなくヘッジファンドなどが投資目的で持っているわけです。持っているだけではもう利益は出ません。売らなくてはいけないのですが、利益のでない債権に価値はないので誰も買いません。サブプライムローン債権はこの誰も買わない状態が極端なまでに顕著だったのです。一旦問題が明らかになったものを一体、誰が好き好んでわざわざ買うのでしょう?誰も買いませんね。手元流動性の枯渇と損失の表面化という問題が発生するわけです。
そしてここからが最悪の連鎖の始まりです。ヘッジファンドはその運転資金を銀行や投資家などから借りており、これの返済が必要ですし、ファンドを運営しているのであれば余計に資金の確保は必須です。銀行はリスクを低くするためにあわてて資金回収をします。そのため、ヘッジファンドは短期的な利益を確保して資金を銀行に返済する必要が出てくるため、持ち株などを次々と売って当面の利益を得ようとします。それでも穴を埋めることができないヘッジファンドが次々に出現、清算したり廃業に追い込まれたりするケースも登場。こういうことが露見して報道されると市場はますます警戒しますので、資金流動性が余計に低下します。信用が低下し、みんなが警戒するため、お金がなかなか動かなくなるわけですね。しかもみんな利益を確定させようと、あるいは損を最小限にするためになんとかしようと躍起になる、これがサブプライム問題です。
サブプライムローン債権で儲かりまくりだった
↓
住宅の価格が供給過多で下落、さらに景気も停滞し始めた
↓
サブプライムローン債権に頼ってファンド運用していたヘッジファンドが破綻
↓
銀行や投資家があわてて資金回収し始める
↓
ヘッジファンドはサブプライムローン債権の穴埋めのためにほかの方法で利益を上げようと必死になる
↓
穴埋めできないヘッジファンドは崩壊、清算、廃業
↓
サブプライムローン債権を含んでいるかもしれないファンド運用に対して信頼性が急速に悪化
↓
お金の動き、つまり流動性が低下。全世界に波及。
すると当然、株式市場では株が大きく動きまくるので、結果的に株安が進行しますし、このサブプライムローン債券を持っていたのはアメリカのファンドだけではありませんので、全世界の同じようなファンドがすべて影響を被ります。こうなると米国のドルに対して動きが大きくなりますので、必然的に円高が進行することになります。それも急激に。そうしないとどんどん穴が大きくなるので世界中のヘッジファンドが今、必死になっているというわけ。それがここ数日の値動きの原因です。
これがさらに加速して深刻化していくと予想されている原因は、この焦げ付きが会社・企業・法人間の貸し借りや融資ではなく、「個人」であるという点。既に解説したように、サブプライム問題のローンは住宅ローンで、借りているのは「個人」です。返済するのも「個人」です。これが返済不能になるケースが上記引用の通り、既に16%が焦げ付いているということは、早い話が「アメリカ自体の経済が根本的なところでぐちゃぐちゃになりつつある」予兆である、というわけです。こうなると予想されるリスクを低減するためになりふりかまわずいろいろなことが起きてきます。日本の銀行にも影響は飛び火してきており、それが以下の結果につながって国内の株価下落要因となっています。
FujiSankei Business i. 総合/サブプライム危機 世界同時株安
カネ余り、忘れたリスク
日本でも、あおぞら銀行が10日に、サブプライム関連で07年4〜6月期に44億8000
万円の評価損が発生したと発表。すでに野村ホールディングスが同1〜6月期に約
720億円、新生銀行も同期に34億円の損失が発生するなど、影響が徐々に広がり
始めている。
こうなると信用萎縮状態が発生し、本来であれば資金が向かうべき場所に資金が向かわなくなります。住宅であれば既に貸し出し基準が米国では厳格化されつつあり、結果として、それまで問題なく借りることのできた層が借りられなくなりつつあります。つまり、サブプライム問題というのはヘッジファンドの問題だけにとどまらなくなっているわけです。株ばかりしている人はどうしてもヘッジファンドとかその当たりばかりに目を向けがちで「サブプライムローンは証券化しているので世界中にリスクが分散されており、影響は少ない」という見解を出しがちですが、実際には「なぜこんな事になったのか?何が起きつつあるのか?」という根本的な問題を見落としてはならない、ということです。
既に個人消費の減速は米国の先月の住宅着工数が10年ぶりに減少していることなどで徐々に明らかになりつつあります。現時点では全体像がまだ把握できていないため、ちょっとした市場のパニック状態、つまり市場の不安心理が広がるという状況で済んでいるだけだと考えた方が無難でしょう。現在の米国の実体経済が明らかになったとき、一体何が起きるのかという点には今後も注意が必要です。
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上記内容を理解したら、いよいよ今回の本筋です。
■そもそも何が起きたのか?
これら一連の騒動のスタートは9月8日にアメリカ財務省がファニーメイとフレディマックを国有化した時から始まります。
米政府、ファニーメイとフレディマックを政府管理下に | Reuters
これら2社の総資産は実に5兆ドル(約529兆円)以上で、これらの会社はアメリカ国内におけるほとんどの抵当(担保・住宅ローン・抵当権)を保証すること(債券化すること)を支援していました。
財務省はこの2社を監視して監督することに決め、これによって「アメリカの抵当市場およびその機関が壊れている」とアメリカ政府が認識していることが明らかになりました。実にやばい状況であることがはっきりと露呈したわけです。
そして9月15日、米国史上最大の破産申立がリーマン・ブラザーズによって行われました。リーマンの資産は6000億ドル(約63兆5997億円)以上で、2万5000人の従業員がいました。これ以前に行われた大きな破産申立はワールドコム社によるもので1000億ドル(約10兆5999億円)だったので、どれだけ大規模な破産かがわかります。
翌日の9月16日(日本では9月17日)、連邦準備制度理事会は世界最大の保険会社であるA.I.G.に対してブリッジ・ローン(Bridge Loan、短期のつなぎ融資)を行いました。A.I.G.はマンチェスター・ユナイテッド・サッカー・クラブのシャツ・スポンサーとしてよく知られており、1兆ドル(約105兆9995億円)以上の資産および100,000人以上の従業員を世界的に持っています。連邦準備局には、A.I.G.の株の80パーセント以内を購入するオプションがあり、次の2年にわたってその資産を売却することにより、次第にA.I.G.は縮小されることになっています。
■なぜこのようなことが起きたのか?
3つのケースすべてに共通するのは「資金調達する能力をなくしてしまった」ということです。しかし理由はそれぞれのケースにおいて異なっています。
★ファニーメイとフレディマックが発端であり、震源地
この2社は極めて独特な立場にあり、住宅市場を支援するためには必要な措置だったというのがポイント。どういう会社だったのかというのは以下の記事を読むと理解しやすいです。
米国版住専のファニーメイ・フレディマック
- [All About マネー]All About
というのも銀行が住宅ローンの証券化を行い、フレディマックとファニーメイに売却し、
さらにフレディマックとファニーメイはそれを元本として新たな金融派生商品や社債
を発行して、世界中の金融機関にばらまいていたのです。その全容は非常に複雑
で、実体が解明しにくい状況にあると言えます。
この両社は保証抵当(それらがある標準を満たしたと規定する)を支援し、自分の負債を出すことによってこれらの保証に資金を提供することができました。これは「暗黙の政府保証」とされていたため、フレディマックとファニーメイは通常の企業よりも多くの負債を持つことが可能だったわけです。ただ、実際には政府保証はないのがポイントです。そうであるにもかかわらず、どれぐらいの信用力だったかというのは以下を読めばわかります。まずはファニーメイから。
Fannie Mae(FNMA=Federal National Mortgage Association)[ファニーメイ]
- 野村證券
1938年に米国の法律に基づいて設立された政府系金融機関である。1968年に民
営化され、1970年に株式がニューヨーク証券取引所に上場した。
ジニーメイのように、米国連邦政府の公的保証は受けていないが、政府機関債として
米国国債に次ぐ、信用力を保持している。
主に民間金融機関から直接住宅ローン債権を買い取って証券化していたため、もろにあのサブプライムローン関連の影響を被ったというわけ。次にフレディマックを見てみましょう。
Freddie Mac(FHLMC=Federal Home Loan Mortgage Corporation)[フレディマック]
- 野村證券
政府出資は受けておらず、株式がニューヨーク証券取引所とパシフィック証券取引
所に上場されている民間会社である。
ジニーメイのように、米国連邦政府の公的保証は受けていないが、政府機関債として
米国国債に次ぐ、信用力を保持している。
これも「米国国債に次ぐ、信用力を保持している」のが特徴で、民間金融機関から直接住宅ローン債権を買い取って証券化していました。
要するに、フレディマックとファニーメイは「米政府が暗黙の保証をしている金融機関」と思われていたため、強力な信用力を持ち、この両社の発行する証券の信用度を疑う者は当時、どこにもいなかった……というわけです。
で、この両社は本来であれば、住宅所有者の住宅ローン費用を減少させるため、政府保証を使用することに原則としてはなっているにもかかわらず、そうせずに、民間金融機関による抵当市場から資金を搾り取って利益を上げる方法を使用したわけです。
多くの会社および外国の政府がフレディマックとファニーメイの負債(債券)を米国債証券の代わりと見なし、それを熱心に先を争ってつかみました。これによってフレディマックとファニーメイは本来のコア業務から大きく乖離し始め、交付された調達資金を使って、通常であれば基準を満たさない抵当のモーゲージ担保証券(不動産担保証券)を買い始めました。
不動産担保証券 - Wikipedia
アメリカではジニー・メイ(連邦政府抵当金庫)、ファニー・メイ(連邦住宅抵当公庫)、
フレディマック(連邦住宅金融抵当金庫)といった政府系機関の発行残高が大きな
シェアを占める。政府による全額出資により設立され、完全な政府保証のあるジニー
メイに対し、民間上場企業であるファニーメイ、フレディマックには明示された政府保
証はないが、住宅政策支援機関として優遇措置がとられていることが暗黙の政府保
証とされ、これらの機関により発行される不動産担保証券は国債に次ぐ信用力を持つ。
これが「サブプライム」あるいは「サブプライムローン」と呼ばれるものになっていったわけです。この際のモーゲージ担保証券については、以下の解説を読むとわかりやすいです。
モーゲージ担保証券を、平たく教えてください。 - Yahoo!知恵袋
そして昨年、この両社の自己資金が想定された以上に実は少ないことが発覚、これらの二級品の抵当上の損失を補填するのには十分ではなかったことが明らかになりました。もしこれらの証券がデフォルト、つまり「債務不履行」に陥ってしまった場合、大量に広がってあちこちの金融機関などに抱えられている負債が一気に崩壊し、とんでもないことになってしまう可能性が出てきたわけです。
そのため、アメリカの財務省は明示的にこれらの負債に対する保証を政府が行うことを発表した……という次第です。このことは以下の回答文中の説明が非常に簡潔でわかりやすいです。
サブプライム、日経平均株価 -OKWave
これまで、GSEは米政府が暗黙の保証をしている金融機関と思われていたのです
が、その地位がはっきりしない事が数年前から問題視されていた事も事実です。で
すから、今回、ファニー、フレディ両社の株価が急落した事により、実は暗黙の保
証は本当の保証ではないかもしれないとの不安につながった訳なのですが、結局、
米財務省とFRBが、GSEは絶対に破綻させないとのある意味「明示的な保証」を与
えた形となり、これにより、何とか米国株価の下落を押しとどめている状態です。
だがしかし、問題はここで止まりはしなかったわけです。理由はこの両社が行った「証券化」というビジネス。
質問なるほドリ:サブプライムの影響はなぜ大きい?=回答・坂井隆之
- 毎日jp(毎日新聞)
Q 米国以外の金融機関がサブプライム問題の影響を受けているのはどうして?
A ローンの債権を小口に分けて投資家に売る「証券化」が進み、世界中で販売され
ていたからです。証券会社や投資銀行は、住宅ローンを銀行などから買い集め、
ローンによって得られる金利収入や元本の返済金を原資にして配当する証券を作
り、販売していました。米国の住宅市場が活況だったときは有力な金融商品として
世界各国の金融機関が購入しましたが、米国の住宅価格が下落に転じて以降、
証券の価格が急落したため、保有する金融機関に損失が広がったのです。
ポイントは一番最後の「保有する金融機関に損失が広がった」という一文。その切っ先が、リーマンを直撃していくことになるのです。
★そして借り続けることができなくなったリーマンの終焉へ
リーマンは不動産投資・債券・公債・金融資産について資金調達するため、毎月少なくとも1000億ドル(約10兆5999億円)を転がしていました。それらの投資をモニターするのがコール資金の貸方にとって難しく、借り手であるリーマンが急速にバランス・シートに関するリスクを変更することができるため、貸し主は短期融資を選ぶことになっていきました。これ自体はリーマン、あるいはすべての投資銀行にとっては適切な行いであり、短期金融は事故にはなりませんでした。
ところが、何ヶ月もの間、空売り筋(相場師)たちはリーマンの不動産ロスが、リーマン自身が認めたよりもずっと大きいと確信していました。フレディマックとファニーメイによるロスを含めて、不動産市場に関するより多くの悪材料が出現するとともに、この考え方は市場に広がりました。そのため、リーマンの借用のコストは高くなり、リーマンの株価はどんどん低下しました。そして、リーマンに対する信用格付けがダウングレードされることにより、将来の信用状態がさらにきつくなることが心配され、リーマンの信用格付けはどんどん下げられていきました。信用格付けが下がると余計に資金繰りが悪化し、資金繰りが悪化すると見込まれるとさらに格付けが下がるという悪循環に陥ったわけです。
ここ最近のリーマンの格付けの推移を見てみると、じわじわとリーマンが追いつめられていく様子が手に取るようにわかります。日時とその見出しの内容などを順に見ていきましょう。
2008年03月18日 03:12
米リーマンとジェフリーズの見通しを安定的に引き下げ
=ムーディーズ | マネーニュース | 最新経済ニュース | Reuters
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2008年03月24日 07:17
米ゴールドマンとリーマンの格付け見通しを「ネガティブ」に=S&P | ビジネス | Reuters
↓
2008年04月02日 09:23
米リーマンの格付け見通しを「ネガティブ」に下げ=フィッチ | ビジネス | Reuters
フィッチは「リーマンは2008年を通じて、エクスポージャーを縮小しており、活発な証
券化市場の欠如で、今後のバリュエーションの変化や実現損失により利益が減少する
可能性がある」との懸念を示した。
↓
2008年06月09日 21:25
米リーマンの見通しをネガティブに引き下げ、赤字見通し受け=ムーディーズ
| マネーニュース | 企業業績・格付け | Reuters
↓
2008年06月10日 03:30
米リーマンの長・短期発行体デフォルト格付けを引き下げ=フィッチ
| マネーニュース | 最新経済ニュース | Reuters
リーマンが第2・四半期に巨額の損失を計上する見通しを発表しこたとを受けた動き。
↓
2008年06月14日 08:21
米リーマン・ブラザーズを格下げ方向で見直し=ムーディーズ
| マネーニュース | 最新経済ニュース | Reuters
↓
2008年06月17日 08:17
UPDATE2: 米リーマンの3─5月期は28億ドルの赤字、CEOは今後に自信
| マネーニュース | 企業業績・格付け | Reuters
16日午後のリーマンの株価は1.57ドル高の27.38ドルで、依然として簿価の3
2.95ドルを大幅に下回っている。これは、投資家がさらなる評価損を予想しているこ
とを示している。
同社が抱えるモーゲージや不動産資産、資産担保証券(ABS)は600億ドルを超
え、純資産を大きく上回る。
↓
2008年07月18日 09:59
リーマン・ブラザーズの長期格付けをA1からA2に引き下げ=ムーディーズ
|マネーニュース | 投資信託 | Reuters
長期債務格下げは、リーマンの商業および住宅用モーゲージの評価損が膨らむとの
ムーディーズの予測を反映している。
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2008年07月28日 22:38
米リーマン、第3四半期に評価損25億ドル計上も─メリル=ブルームバーグ
| マネーニュース | 企業業績・格付け | Reuters
メリル・リンチは、米大手投資銀行リーマン・ブラザーズ・ホールディングス(LEH.N:
株価, 企業情報, レポート)の第3・四半期決算が赤字となり、住宅ローン関連で25
億ドルの追加評価損を計上する可能性があるとの見方を明らかにした。
↓
2008年08月05日 08:56
再送:米リーマン、リスク資産売却すれば増資迫られる可能性
| マネーニュース | 企業業績・格付け | Reuters
しかし、約650億ドル相当のモーゲージ関連資産を抱えるリーマンにとって、選択肢
はほとんどない。
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2008年08月26日 07:08
MBS格下げで最大4690億ドル売却の可能性=リーマン | Reuters
リーマンの試算によると、商業銀行が保有するトリプルA格付けの非政府機関MBS
は3800億ドルで、うち1100億ドルにリスクがあるという。また、米国外投資家の保有
額は4130億ドルでうち1180億がリスクにさらされているという。
↓
2008年09月10日 08:07
米リーマンを格下げの可能性、株価の急落受け=S&P
| マネーニュース | 最新経済ニュース | Reuters
この日リーマンの株価は、韓国産業銀行との出資交渉が打ち切られた可能性がある
とのうわさで40%以上下落した。
↓
2008年9月10日 16:30
スタンダード&プアーズ - リーマン・ブラザーズを格下げ方向で
「クレジット・ウォッチ」に指定
スタンダード&プアーズは9日、米リーマン・ブラザーズ・ホールディングスの長期・短
期カウンターパーティ格付けと個別債務格付け(サムライ債を含む)、および同社の
すべての関連会社の格付けを引き下げる方向で「クレジット・ウォッチ」に指定した。
ここ数日の同社の株価急落を受けて、同社が追加資本の調達を行えるのか不確実
性が増していることに基づく。格付けは最終的に据え置かれる可能性もあるが、現段
階では1ノッチ(段階)を上回る格下げの可能性も否定できない。
↓
2008年09月11日 06:29
米リーマンの長期格付けを引き下げ=DBRS | Reuters.co.jp
↓
2008年09月11日 07:17
米リーマン、格下げ方向での見直し継続=S&P | マネーニュース | 最新経済ニュース | Reuters
↓
2008年09月11日 09:07
米リーマンは格付け維持に過半数株売却や身売りが必要、増資だけでは不十分=ムーディーズ
| マネーニュース | 最新経済ニュース | Reuters
↓
2008年9月11日
米リーマンは格付け維持に過半数株売却や身売りが必要=ムーディーズ
:NBonline(日経ビジネス オンライン)
ムーディーズ・インベスターズ・サービスは10日、米証券大手リーマン・ブラザーズは
本体の過半数株の売却、もしくは身売りなどの取引を行わない限り、債券の格下げは
免れないだろう、と述べた。
そして9月15日、リーマンは破綻したため、破産法を申請した……というわけです。当然ながら直後にリーマンの格付けは一気に低下しています。
米リーマン:ムーディーズが10段階格下げでB3−フィッチもDに
米格付け会社のムーディーズは、米国の投資銀行リーマン・ブラザーズ・ホールディ
ングスの格付け(優先債)を投資適格級のA2から投機的等級のB3へと一気に10段
階、格下げした。
そして、これがAIGへと飛び火するわけです。
★570億ドルの保険契約を書いてしまったAIG
American International Group, Inc. (アメリカンインターナショナルグループ;AIG) は
アメリカ合衆国ニューヨークに本拠を置く保険会社。
2006年末において、130以上の国・地域で事業を展開し、約106,000人の従業員を有している。
こうして、サブプライムローン関連の投資について受けた損失に対してかけられていた570億ドル(約6兆円)もの保険金を支払う必要がAIGに発生、支払金のために資金調達する必要性に迫られることになります。AIGの保険業務のコアは「クレジット・デフォルト・スワップ」(C.D.S.'s)と呼ばれる契約。
金融崩壊:リーマン・ショック/中(その1) AIG処理、「2年で」最後通告
− 毎日jp(毎日新聞)
AIGは企業向け融資や証券化商品が焦げ付いた際損失を肩代わりする「クレジット・
デフォルト・スワップ(CDS)」と呼ばれるデリバティブ(金融派生商品)市場を主導す
る立場にあった。CDSは世界の大手金融機関や投資家の間で取引が急増、総額は
60兆〜80兆ドル(約6000兆〜8000兆円)ともいわれる。
このCDS自体は順調だったのですが、さらに、住宅市場が下がり続けた場合、さらなるロスの可能性が出てきてしまったのです。
そのため、潜在的損失を見る格付け会社はA.I.G.の負債を格下げ。より低い信用格付けにならないようにするため、A.I.G.は保険契約をサービスするためにちゃんと担保を持っていたことを実証することを要求されることになります。推定値は即時の担保中でおよそ150億ドル(約1兆5899億円)を必要とすることを示唆していました。A.I.G.が直面した別の問題は、担保を実証できなければ、CDSがデフォルト(債務不履行)になってしまうということでした。もしCDSがデフォルトされてしまうと、A.I.G.と契約しているその他のパートナー各社は「債券の前払いを主張することができるようになる」という条項を含んでいました。つまり、このままだとA.I.G.は一斉にお金を支払う必要が出てくるため、すべての現金やら何やらを吐き出してしまい、ぶっつぶれてしまう可能性が出てきたわけです。
また、このリーマンの件以外にも3800億ドル(約40兆2627億円)ものほかの保険契約が未解決になっており、世界中で出回っている債券のうち1600億ドル(約16兆9527億円)分を所有していました。これらの債券はファニーメイとフレディマックと同じレベルで世界中に拡散していました。
さらに米債券運用会社パシフィック・インベストメント・ マネジメント・カンパニー(PIMCO)はCDS契約の書かれたA.I.G.の債券を保証していました。
これらの契約のサイズがあまりにも巨大で複雑に絡み合っているため、連邦準備制度理事会は、A.I.G.によるデフォルトが金融制度をむちゃくちゃにし、破産が伝染して、次々と会社がつぶれていってしまうと判断し、契約を保証する担保のためにA.I.G.に850億ドル(約9兆円)を貸し出したというわけ。
これら一連の過程は以下の記事を順に見ていけば、どれだけの規模で信用不安が起きたのかがわかります。
2008年08月26日 08:00
米AIGの第3四半期は大幅赤字の見込み=クレディ・スイス | ビジネス | Reuters
同社の金融商品は時価ベースで65億ドルの赤字と試算。従来は26億ドルの赤字を見込んでいた。
近い将来、格付けが変更される可能性は明らかに高まったとし、ムーディーズとS
&PがともにAIGを1ノッチ格下げした場合、最大133億ドルの追加担保が必要にな
る可能性があると述べた。
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2008年09月06日 00:48
米AIGを「イコールウエート」に引き下げ=モルガン・スタンレー | マネーニュース | 株式市場 | Reuters
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2008年09月10日 08:39
米AIG株が19%超急落、資本調達をめぐる懸念で | Reuters
住宅ローン市場へのエクスポージャーの大きさからあらたな資本調達を迫られるので
はないかとの懸念が再び浮上した。
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2008年09月12日 13:50
米AIG、生保業界で時価総額世界首位から転落 | Reuters
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2008年09月12日
AIG、迅速な資産売却が必要 - NIKKEI NET(日経ネット)
:米DJニュース −米ダウ・ジョーンズのニュース
同氏が行動を起こさなければ、そしてAIGの株価が下落し続ければ、AIGは格下げ
に直面する可能性がある。この場合、同社が引き受けているCDSの追加担保として
少なくとも100億ドルの差し入れを迫られる恐れがある。そうなれば、同社はさらなる
増資を迫られることが考えられる。
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2008年09月12日 23:57
米AIG株が20%超急落、住宅ローンへのエクスポージャーめぐる懸念で
| マネーニュース | 株式市場 | Reuters
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2008年09月13日 07:33
米AIGを格下げする可能性=S&P | マネーニュース | 株式市場 | Reuters
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2008年09月15日 08:01
AIGが航空機リース事業売却へ 大規模リストラ策
航空機リース事業は900機以上を保有し、500億ドル(約5兆3500億円)以上の資
産価値があるという。
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2008年09月15日 10:46
AIG、事業売却など発表へ NY連銀につなぎ融資を要請 - NIKKEI NET(日経ネット)
:国際ニュース−アメリカ、EU、アジアなど海外ニュースを速報
信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題の深刻化に伴い、AIG
は毀損(きそん)した自己資本を充足する必要に迫られている。
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2008年09月15日 12:31
JCフラワーズ・KKR・TPG、米AIGへの出資見合わせ=NYT | Reuters
NTYは、カウンターパーティーが資本を引き揚げれば、AIGはあと48時間から72時
間しか存続できない可能性がある、と報じている。
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2008年09月15日 15:14
米AIG、リーマン清算で相当な評価損計上も=UBS | マネーニュース | 企業業績・格付け | Reuters
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2008年09月15日 14:46
米AIGが資金不足に直面、PEとの交渉不調でFRBに異例の支援要請 | ビジネス | Reuters
先月の規制当局への報告によると、格下げされた場合145億ドルの追加担保差し入
れが求められるという。
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2008年09月15日 16:09
米AIG、リーマン清算で相当な評価損計上も=UBS | ビジネス | Reuters
UBSは、アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)(AIG.N: 株価, 企業情報,
レポート)について、第3・四半期にスーパーシニア級のクレジット・デフォルト・スワッ
プ(CDS)で100億ドル以上の損失を被り、投資ポートフォリオで50億ドルの実現損
失を計上する可能性があるとの認識を示した。
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2008年09月15日 22:41
米AIGの株価が時間外取引で一時40%近く急落 | マネーニュース | 株式市場 | Reuters
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2008年09月16日 01:39
AIG、グループ内で融通 NY州が許可
AIGが資金繰りのためグループ会社から200億ドル(約2兆1000億円)の融通を受
けることを認める方針を明らかにした。
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2008年09月16日 07:57
米AIG、資本200億ドルの利用可能に=NY州知事 | ビジネス | Reuters
AIGは保険子会社の資金を親会社に移すことが可能となる。
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2008年09月16日 11:43
米AIG、グループ内の200億ドルの資金利用可能に | Reuters
AIGは、住宅ローン関連デリバティブの保証を引き受けていたことで業績が悪化、過
去3四半期で合計180億ドルの赤字を計上している。
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2008年09月16日
AIG:格付け、Aマイナスに引き下げ−−S&P − 毎日jp(毎日新聞)
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2008年09月16日 16:07
米AIGの存続が再び焦点、格下げと世界の株安で | Reuters
AIGは格下げにより、担保の積み増しと保険契約の取り消しを余儀なくされる公算が
大きい。また、これにより存続を脅かすような連鎖反応が引き起こされる可能性がある。
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2008年09月16日 16:09
AIG、深刻な資金繰り悪化に直面 - NIKKEI NET(日経ネット)
:米DJニュース −米ダウ・ジョーンズのニュース
AIGが8月に証券取引委員会(SEC)に提出した書類によると、ムーディーズとS&P
が格下げすれば、AIGは取引相手から追加担保として 145億ドルを差し出すよう要求
される可能性がある。この資金をいつまでに調達する必要があるのかははっきりしな
い。また、格下げを根拠にAIGまたはその取引相手が契約満了前に解約を求める可
能性があり、そうなれば支払額は最大約54億ドルになる見通しだという。
15日夜の時点でAIGにとって明るい要素の1つは、同社のエクスポージャーの大部
分がクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)関連だということだった。CDSは、企業の
債券のデフォルト(債務不履行)に備えた保険のような契約。AIGが引き受けている
CDSの契約相手にはウォール街の各社が含まれる。それらの企業は、より広範な混
乱を引き起こさないためにも、追加担保を直ちに差し出すよう要求することはないと考
えられる。追加担保を差し出す場合は、現金または国債や地方債など流動性の高い
資産を用いるとみられる。
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2008年09月16日 22:27
大手保険AIG格付け、米三大機関が引き下げ
写真6枚 国際ニュース : AFPBB News
急拡大する金融危機の中での三大機関による格下げは、AIGにとって命綱を断たれ
たに等しいと見ることができ、流動性危機への対処に必要な資金調達をいっそう難し
くするとみられる。
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2008年09月17日 00:17
asahi.com(朝日新聞社):AIG本社格下げ 傘下のアリコジャパンなども - ビジネス
米格付け会社大手スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は16日、AIG本社に加
え、日本国内で大きなシェアを占めるアリコジャパンやAIU保険、アメリカンホーム
保険、AIGエジソン生命の格下げを発表した。
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2008年09月17日 07:57
米AIG、破産法適用申請の可能性考慮し法律事務所と契約=NYT
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2008年09月17日 08:09
米AIG、破たんの確率高まっている=クレディスイス | Reuters
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2008年09月17日 08:33
米FRBがAIGに850億ドル融資し株式80%を取得へ=NYT紙 | Reuters
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2008年09月17日 09:43
AIG取締役会、850億ドル規模の政府主導救済策を承認=WSJ | Reuters
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2008年09月17日 10:20
FRB、AIGに9兆円融資 国際ニュース : AFPBB News
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2008年09月17日 12:13
FRB、AIGに9兆円融資=政府80%の株取得権、実質管理下に - 時事ドットコム:指定記事
米連邦準備制度理事会(FRB)は16日、経営不振の米保険最大手アメリカン・イン
ターナショナル・グループ(AIG)に対し、同社資産を担保に最大850億ドル(約9兆
円)を融資すると発表した。見返りに米政府は、同社株式の79.9%の取得権を獲
得し、AIGは実質上、政府管理の下で再建を図る。
■なぜ財務省と連邦準備局はリーマンを破産させたのに、ファニーメイ、フレディマック、A.I.G.を救済したのか?
既に上記までの内容で説明していますが、これまでの内容を簡単にまとめると以下のようになります。
リーマン:明確に格下げとお金が借りられない悪循環ループが始まったのは2008年3月頃であり、破産するまでの時間が比較的長く、他社には対応する時間があったし、リーマン自身も回避するための時間が残されていた。また、リーマン自身が債券を発行していたわけではない。
ファニーメイとフレディマック:この両社の発行した債券が世界中に散らばっているので、破綻すると世界中に影響が波及する。
A.I.G.:世界中のさまざまな保険を請け負っているため、ここが破綻すると世界中の会社に影響が波及する。
何より、ポイントは「破綻する可能性が大きくなるまでの速度」だと言えます。リーマンについても実際はここが破産することによってA.I.G.に影響が出てしまったわけなので、そうなる前にリーマンを救済しておけば良かった……という結果論を指摘することは可能です。ですが、そうならないようにするだけの時間的余裕があったはずなので、救済には値しなかった、というわけ。ただし、それによって引き起こされたA.I.G.の危機はあまりにも急速に進行したため、救済せざるを得なかったという次第です。
■私はリーマンやA.I.G.で働いていませんし、債券を所有しているわけではないのですが、何に気をつければいいですか?
現在さまざまな方面で騒いでいるのは決してリーマン自身の破綻についてではなく、資金を提供してくる金融機関全体が無力化していくことについてです。金融会社は通常の会社および個人に信用を施すことにはるかにより用心深くなります。つまり、信用のコストが跳ね上がるわけです。これによって経済全体の成長がスローダウンしていきます。
わかりやすく言うと、お金をなかなか貸してくれなくなるというわけ。こうなるとあらゆる会社のあらゆる局面において金回りが悪くなっていきます。個人の場合、今まで出ていた予算が出なくなる、何かの予算がカットされて計画が中止させられる、あるいは給料が安くなる、などの影響が考えられます。つまり、海の向こうにある対岸の火事ではない、というわけです。特に今回の破綻は世界中に証券化という形で散らばっているため、世界中のあらゆる金融機関に波及していきます。どのような企業や個人であっても金融機関と一切無関係ということはまずないので、日本においてもその影響は避けられないものになるのは確実です。かつての日本の土地バブルが破綻した際にはこのような証券化はしていなかったので、日本だけの影響に限定され、その副作用が世界に飛び火する形になったわけですが、今回のサブプライムローン問題に端を発する破綻は、世界のあらゆる個所にまで影響していくというわけです。
さらに、世界恐慌以来、金融制度に対してあまりこの種のストレスを見出してきた経験が我々にはありません。したがって、スローダウンの大きさの量を計る際に参考となる最近の歴史がほとんどなく、一体どれだけの影響が今後世界中に波及していくかが正直なところ、さっぱりわからないわけです。
なお、ゴールドマン・サックスの Jan Hatzius氏による最近の経験による推定では、G.D.P.成長が2008年と2009年においてより低く約2パーセントになるだろうということを示唆していますが、彼の説明による推定は言うまでもなく、かなり不確かです。
最後に、一般のニュースなどでは表層的な出来事のみを報じて「次のリーマン、AIGはどこだ!」「なぜリーマンは救済しないのに、AIGは救済したのか!」などという軽薄な論調が多く見られますが、何も理解していないことを大々的に叫んでいるようなモノなので、今回のような大規模な金融関連事件の場合は、過去の事実経緯を順におさらいして、自分なりに整理するほうがより確実です。
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