折々の記へ
折々の記 2012 C
【心に浮かぶよしなしごと】
【 01 】03/26〜 【 02 】04/03〜 【 03 】04/11〜
【 04 】05/02〜 【 05 】05/23〜 【 06 】05/24〜
【 07 】05/28〜 【 08 】06/02〜 【 09 】06/07〜
【 05 】05/23
05 23 金環日食・「天声人語」朝刊
05 24 孝経(身体髪膚)(その一)・(その二)
05 23 (水) 金環日食・「天声人語」朝刊
●「金環日食」=5月21日、長野県飯田市の飯田市美術博物館(早坂洋祐撮影)
●「天声人語」朝刊(2012年5月23日)
▼幸田露伴の「五重塔」は、名人気質の頑固な大工が五重塔を独力で建てる物語。心魂を傾けた塔は落成式を前に大暴風雨に見舞われるが、嵐が去ると「一寸一分(いちぶ)歪(ゆが)みもせず」に見事に立っていた。工事中に東日本大震災に耐えた東京スカイツリーと、どこか重なり合う。
▼地震の1週間後には高さが634メートルに届いた。日本中が騒然、暗然となるなかで、ともしびのような話題だった。聞けば耐震性を高める設計は、伝統建築の五重塔の知恵を生かしているのだという。
▼「心柱(しんばしら)」と呼ばれる柱が、五重塔の中心を貫いている。似た構造をツリーも持つ。地震だけでなく、瞬間風速が毎秒110メートルという超暴風も想定しているそうだ。ツリーの地元で長く暮らした露伴翁は、天上でご満悦なことだろう。
▼着工から完成へ、淡々かつ黙々と空へ伸びていった。爪の垢(あか)を煎じて政治家に飲ませたくなるようなプロの仕事師ぶりだ。基礎工事をはじめ照明や塗装、アンテナなどまで、総身が日本の最新技術の結晶という。ものづくりの底力を思うと、じんとくる。
▼設計に際しては「威圧感を持たせないようにした」そうだ。巨大建築は往々に国威や権勢を誇り、象徴する。それをすらりと脱ぎ捨てた「雅(みやび)」と「粋(いき)」は江戸の下町によく似合う。
▼きのうの開業初日。前の日の天体ショーに晴れ間を譲ったのか、東京は雨になった。だが樹下から仰ぐと、上半分を雲が流れてなかなか幻想的だった。雨のち晴れの日本の明日を、ツリーとともに歩みたい。
05 24 (木) 孝経(身体髪膚)(その一)・(その二)
孝経(その一)
http://nozawa22.cocolog-nifty.com/nozawa22/2009/10/nozawa22-5.html
孝経 身体髪膚 毀傷せざるは、孝の始め
掛け軸が、西木村の佐藤さん宅の床の間に掛けてあった。「この文章の意味は?」と、つい聞いてしまったら、誰も意味を知らない。ちょっといやみだったかと思い、調べてみた。すると、論語と並んで、儒教において規範として尊ばれる先秦典籍。儒家経典の五経、十三経などの一つ。私が論語だと勘違いしている文章が、書いてある。
身體髪膚、受之父母、不敢毀傷、孝之始也(身体髪膚之れを父母に受く。敢えて毀傷せざるは、孝の始めなり。)東洋思想の基本が書かれている。今、さんまが「オレ肩に笑と(刺青タトゥー)入れようか、それとも耳にピアスを空けようか、悩んどる」としゃべっていたが、彼がそんなこと言い出すほど、体にキズつけてもなんとも思わないほど、儒教の思想が衰退している。
孝は『孝経』において、道徳の根源、宇宙の原理として形而上化され、絶対服従と父子相隠は法律にも明文化された。儒教において規範として尊ばれる先秦典籍は、儒家経典の五経、十三経などがある。
君臣間の徳目である「忠」と常に齟齬を来すことになるが、中国や朝鮮では多くの場合、「忠」よりも「孝」が大切だと考えられた。ただし、日本においては朱子学伝来以後、逆に「孝」よりも「忠」が大切だと考えられて、江戸幕府体制下では公的な見解として採られる様になっていった。Wikipedia引用
『子曰く、吾十有五にして学に志し、 三十にして立ち、四十にして惑わず、五十にして天命を 知る。六十にして耳順(したご)う。 七十にして心の欲する所に従いて矩(のり)を踰(こ)えず。』
「孔子は言った、 十五歳のとき、私は学ぶことにまじめに興味を抱き始めた。(志学) 三十歳で私は私の性格を形成した。(而立) 四十歳で私はいかなる困惑をももたなくなった。(不惑) 五十歳で私は「天」の意志を知るにいたった。(知命) 六十歳で私の耳にするどんな言葉も、私を掻き乱すことがなくなった。(耳順) 七十歳で、私は道徳律を脱逸しないで、 私の思いを自由に遊ばせることが出来るようになった。(従心)」【論語/為政篇】
論語に書かれている言葉は、中学生、高校生になれば、大抵は知っていた。だから、15歳で志を立て、勉強始めるという励まし方をした。
今の天皇陛下であられたと思うが、40歳の記者会見で、「不惑の歳」という言葉を踏まえて「まだ迷ってばかりです」と答えておられた。而立=30歳、知命=50歳、耳従=60歳。みんな、これらの言葉を踏まえて、自分の人生を語っていた。最終段階は、70歳で「心の欲する所に従いて矩(のり)を踰(こ)えず」自分のしたいことをしても、法を犯さず、自在の自分が存在する、と考えられた。
なかなか、この通りにはいかないが、一つの道筋だ。私の好きな言葉は「倉廩満ちて礼節を知り、衣食足りて栄辱を知る 」倉庫(今は貯蓄かな)がいっぱいになって礼儀と節度を知り、着る物と食べるものが充分あってはじめて名誉と恥を知る。
なかなか、昔の人は人生の真髄をついている。現代人は、改めて古代の人が人生の全てを知り尽くしているなだから、それを「温故知新」っていって、学習しなおしですね。
これらは、みな中国から知恵を輸入したもので、東洋の知恵、これこそが東アジア共同体のコンセプトにしたらどうだろう。タトゥーを体に刻みこむ文化より、いいように思うが、どうなんだろう。
若い世代の人とは、文化のギャップがあるから、共感を持たれない。だからから、こういうことは異世代間で理解しあうチャンスがほしいものだ。
孝経本文と読み方
【本文】
孔子謂曾子曰、身體髪膚受之父母。不敢毀傷、孝之始也。身體、言其大。髪膚、言其細。聖人論孝之始、以愛身爲先。立身行道、揚名於後世、以顯父母、孝之終也。國人稱願幸哉有子如此。所謂孝也。夫孝始於事親、中於事君、終於立身。愛親者不敢惡於人、敬親者不敢慢於人。愛敬盡於事親而コヘ加于百姓、刑于四海。此天子之孝也。惡慢於人、則人亦惡慢之。如此辱將及親。在上不驕、高而不危、制節謹度、滿而不溢。然後能保其社稷而和其民人。此諸侯之孝也。高而危者以驕也。滿而溢者以奢也。制節、制財用之節。謹度、不越法度。非先王之法服不敢服、非先王之法言不敢道、非先王之コ行不敢行。然後能保其宗廟。此卿大夫之孝也。以孝事君則忠、以敬事長則順。忠順不失以事其上。然後能守其祭祀。此士之孝也。用天之道、因地之利、謹身節用以養父母。此庶人之孝也。春耕、秋穫、高宜黍稷、下宜稻麥。謹身則無過不犯兵刑、節用則不乏以共甘旨。能此二者養道盡矣。故自天子至於庶人、孝無終始、而患不及者、未之有也。
【読み】
孔子、曾子に謂いて曰く、身體髪膚之を父母に受く。敢て毀傷せざるは孝の始なり。身體は其の大を言う。髪膚は其の細を言う。聖人孝の始を論じ、身を愛するを以て先と爲す。身を立て道を行い、名を後世に揚げて、以て父母を顯わすは、孝の終りなり。國人、幸なるかな子有りて此の如しと稱願す。孝と謂う所なり。夫れ孝は親に事うるに始まり、君に事うるに中ばし、身を立つるに終る。親を愛する者は敢て人を惡まず、親を敬う者は敢て人を慢らず。愛敬親に事うるに盡してコヘ百姓に加わり、四海に刑(のっと)る。此れ天子の孝なり。人を惡み慢れば、則ち人も亦之を惡み慢る。此の如くなれば、辱しめ將に親に及ばんとす。上に在りて驕らざれば、高くして危からず、節を制し度を謹めば、滿ちて溢れず。然して後に能く其の社稷を保ちて其の民人を和す。此れ諸侯の孝なり。高くして危き者は驕るを以てなり。滿ちて溢れる者は奢るを以てなり。節を制するは、財用の節を制するなり。度を謹むは、法度を越えざるなり。先王の法服に非ざれば敢て服せず、先王の法言に非ざれば敢て道わず、先王のコ行に非ざれば敢て行わず。然して後に能く其の宗廟を保つ。此れ卿大夫の孝なり。孝を以て君に事うれば則ち忠、敬を以て長に事うれば則ち順。忠順失わずして以て其の上に事う。然して後に能く其の祭祀を守る。此れ士の孝なり。天の道を用い、地の利に因り、身を謹み用を節して以て父母を養う。此れ庶人の孝なり。春は耕し、秋は穫り、高きは黍稷に宜しく、下きは稻麥に宜し。身を謹めば則ち過無くして兵刑を犯さず、用を節すれば則ち乏しからずして以て甘旨を共う。此の二の者を能くして養道盡く。故に天子より庶人に至るまで、孝に終始無くして、患及ばざる者は、未だ之れ有らざるなり。
孝経(その二)
http://kanbun.info/keibu/kokyo01.html
<Web漢文大系 > 孝経 >>
孝経 開宗明義章第一
仲尼居、曾子侍。仲尼居し、曾子侍す。
- 仲尼 … 孔子のこと。
- 居 … 古文では「間居」に作る。
- 曾子 … 孔子の弟子で、姓は曾、名は参、字は子輿のこと。
- 侍 … 古文では「侍坐」に作る。
子曰、先王有至徳要道、以順天下、子曰く、先王、至徳要道あって、もって天下を順にす。
- 至徳 … 無上の徳、孝徳を指す。
- 要道 … 肝心な道、大事な道、孝道を指す。
- 順 … 古文では「訓」に作る。
民用和睦、上下無怨、汝知之乎。民用て和睦し、上下怨みなし。汝これを知るか、と。
- 上下 … 「上」は君父、「下」は臣子、身分の高い者も低い者もの意。
- 無 … 古文では「亡」に作る。
- 汝 … 今文は「汝」、古文は「女」、ただし四部叢刊本では「女」に作る。
曾子避席曰、參不敏、何足以知之。曾子席を避けて曰く、参不敏なり。何ぞ以て之を知るに足らん。
- 不敏 … 賢くないこと。転じて自己の謙称。
- 不 … 古文では「弗」に作る。
- 古文では「何足以知之」のあとに「乎」の字あり。
子曰、夫孝、徳之本也、教之所由生也。子曰く、それ孝は徳の本なり。教のよって生ずるところなり。
- 由 … 古文では「?」に作る。
復坐、吾語汝。坐に復れ。われ、汝に語らん。
- 汝 … 今文は「汝」、古文は「女」、ただし四部叢刊本では「女」に作る。
身體髮膚、受之父母、不敢毀傷、孝至始也。身体髪膚、之を父母に受く。敢て毀傷せざるは、孝の始めなり。
- 之… 古文では「于」に作る。
- 不 … 古文では「弗」に作る。
立身行道、揚名於後世、以顯父母、孝之終也。身を立て道を行い、名を後世に揚げ、もって父母を顕わすは、孝の終りなり。夫孝、始於事親、中於事君、終於立身。夫れ孝は、親に事うるに始まり、君に事うるに中し、身を立つるに終る。大雅曰、無念爾祖、聿脩厥徳。大雅に曰く、爾の祖を念うことなからんや。その徳を聿べ修む、と。
- 大雅… 『詩経』大雅・文王の章。
- 脩… 古文では「修」に作る。
- 厥 … 古文では「其」に作る。
孝経 天子章第二
子曰、愛親者不敢惡於人、子曰く、親を愛する者は、敢えて人を悪 まず。敬親者不敢慢於人。親を敬する者は、敢えて人を慢らず。愛敬盡於事親、而徳教加於百姓、刑于四海、愛敬親に事うるに尽して、徳教百姓 に加わり、四海に刑 る。
- 而… 古文では「然後」に作る。
- 百姓… 庶民。
- 于 … 古文では「於」に作る。
蓋天子之孝也。蓋し天子の孝なり。甫刑云、一人有慶、兆民頼之。甫刑に云く、一人慶あれば、兆民これを頼る、と。
- 甫刑… 古文では「呂刑」に作る。『書経』の呂刑篇。
- 兆民… 多くの民。
孝経 諸侯章第三
在上不驕、高而不危。上にありて驕らざれば、高くして危うからず。
- 在… 古文では「居」に作る。
- 古文では「子曰、居上不驕……」で始まる。
制節謹度、滿而不溢。節を制し度を謹めば、満ちて溢れず。高而不危、所以長守貴也。高くして危うからざるは、長く貴きを守るゆえんなり。
- 貴 … この場合、お金持ちのこと。
滿而不溢、所以長守富也。満ちて溢れざるは、長く富を守るゆえんなり。
- 富 … この場合、福と同義。
富貴不離其身、然後能保其社稷、而和其民人、蓋諸侯之孝也。富貴はその身を離れず、しかる後よくその社稷を保って、その民人を和す。けだし諸侯の孝なり。
- 社稷 … 国家のこと。
詩云、戰戰兢兢、如臨深淵、如履薄冰。詩に云く、「戰戰兢兢として、深淵に臨むが如く、薄氷を履むが如し」と。
- 詩 … 『詩経』小雅・小旻の章。
孝経 卿大夫章第四
非先王之法服、不敢服。先王の法服にあらざれば、敢て服せず。
- 古文では「子曰、非先王之法服……」で始まる。
- 不 … 古文では「弗」に作る。
非先王之法言、不敢道。先王の法言にあらざれば、敢て道わず。
- 不 … 古文では「弗」に作る。
非先王之徳行、不敢行。先王の徳行にあらざれば、敢て行わず。
- 不 … 古文では「弗」に作る。
是故非法不言、非道不行。この故に法にあらざれば言わず、道にあらざれば行わず。
- 不 … 古文では「弗」に作る。
口無擇言、身無擇行、口に択言なく、身に択行なし。
- 択言 … 言葉を選ぶこと。
- 択行 … 行ないを選ぶこと。
言滿天下無口過、行滿天下無怨惡。言、天下に満ちて口過なく、行い、天下に満ちて怨悪なし。
- 無口過 … 古文では「亡口過」に作る。
- 無怨悪 … 古文では「亡怨悪」に作る。
- 口過 … 失言。
三者備矣。三つの者備わる。然後能守其宗廟。蓋卿大夫之孝也。しかる後よくその宗廟を守る。けだし卿大夫の孝なり。
- 古文では「然後能」のあとに「保其祿位而」の五字あり。
- 宗廟 … 祖先の霊をまつった建物、みたまや。
詩云、夙夜匪懈、以事一人。詩に云く、「夙夜 懈らず、もって一人に事う」と。
- 詩 … 『詩経』大雅・烝民の章。
- 夙夜 … 朝早くから夜遅くまで。
孝経 士章第五
資於事父以事母而愛同。父に事うるに資ってもって母に事う、而して愛同じ。
- 古文では「子曰、資於事父以事母……」で始まる。
- 而 … 古文では「其」に作る。
資於事父以事君而敬同。父に事うるに資ってもって君に事う、而して敬同じ。
- 而 … 古文では「其」に作る。
故母取其愛。而君取其敬。ゆえに母にはその愛を取り、君にはその敬を取る。兼之者父也。故以孝事君則忠。これを兼ぬる者は父なり。ゆえに孝をもって君に事うればすなわち忠なり。以敬事長則順。忠順不失。以事其上。敬をもって長に事うればすなわち順なり。忠順失わず、もってその上に事う。
- 敬 … 古文では「弟」に作る。
然後能保其禄位。而守其祭祀。蓋士之孝也。しかる後よくその禄位を保ち、その祭祀を守る。けだし士の孝なり。
- 禄位 … 古文では「爵禄」に作る。
詩云。夙興夜寐。無忝爾所生。詩に云く、「夙に興き夜に寐ねて、爾の所生を忝しむることなかれ」と。
- 詩 … 『詩経』小雅・小宛の章。
- 無 … 古文では「亡」に作る。
- 所生 … 父母。
孝経 庶人章第六
用天之道、分地之利、謹身節用、以養父母、此庶人之孝也。天の道を用い、地の利を分ち、身を謹み用を節し、以て父母を養う。此れ庶人の孝なり、と。
- 古文では「子曰、因天之時……」で始まる。
- 用天之道 … 「天之道」は春夏秋冬の四時の変化。「用」を古文では「因」に作る。「道」を古文では「時」に作る。
- 分 … 古文では「就」に作る。
- 地之利 … 地質の良し悪し、土地の農作物を生産しうる力。
- 節用 … 財産を節約すること。
故自天子、至於庶人、孝無終始、而患不及者、未之有也。故に天子より庶人に至るまで、孝に終始無くして、患いの及ばざる者は、未だ之れ有らざるなり。
- 古文では「故自天子……」以下を独立させて「孝平章第七」としている。
- 古文では「子曰、故自天子……」で始まる。
- 古文では「故自天子」のあとに「以下」の二字あり。
- 至於庶人 … 古文では「至于庶人」に作る。
- 孝無終始 … 古文では「孝亡終始」に作る。
孝経 三才章第七
曾子曰、甚哉、孝之大也。曽子曰く、甚だしいかな、孝の大なるや。
- 古文では「三才章 第八」に作る。三才とは天・地・人のこと。
子曰、夫孝天之經也。地之義也。民之行也。子曰く、夫れ孝は天の経なり、地の義なり、民の行いなり。
- 経 … 不変の法則。
- 義 … 秩序の原型。古文では「誼」に作る。
天地之經、而民是則之。天地の経にして、民ここにこれに則る。則天之明、因地之利。以順天下。天の明に則り、地の利に因り、もって天下を順にす。
- 順 … 古文では「訓」に作る。
是以其教不肅而成、其政不嚴而治。ここをもってその教え肅ならずして成り、その政厳ならずして治まる。先王見教之可以化民也。是故先之以博愛、而民莫遺其親。先王、教えのもって民を化すべきを見るなり。この故にこれに先んずるに博愛をもってして、民その親を遺るることなし。陳之以徳義、而民興行。これに陳ぶるに徳義をもってして、民興行す。
- 義 … 古文では「誼」に作る。
- 興行 … 奮起して行いに努めること。
先之以敬讓、而民不爭。これに先んずるに敬譲をもってして、民争わず。
- 敬譲 … 恭敬謙譲。
導之以禮樂、而民和睦。これを導くに礼楽をもってして、民和睦す。示之以好惡、而民知禁。これに示すに好悪をもってして、民禁を知る。
- 禁 … 禁令。
詩云、赫赫師尹、民具爾瞻。詩に云く、「赫赫たる師尹。民ともに爾を瞻る」と。
- 詩 … 『詩経』小雅・節南山の章。
- 赫赫 … 光り輝くさま。
- 師尹 … 太師の尹氏。
- 瞻る … 仰ぎ見ること。
孝経 孝治章第八
子曰、昔者、明王之以孝治天下也、不敢遺小國之臣。而況於公侯伯子男乎。子曰く、昔者、明王の孝をもって天下を治むるや、あえて小国の臣を遺れず。しかるをいわんや公侯伯子男においてをや。
- 古文では「孝治章 第九」に作る。
- 明王 … 賢い王。
故得萬國之懽心、以事其先王。ゆえに万国の懽心を得て、もってその先王に事う。
- 懽 … 古文では「歡」に作る。
治國者不敢侮於鰥寡。而況於士民乎。国を治むる者はあえて鰥寡を侮らず。しかるをいわんや士民においてをや。
- 鰥寡 … 男やもめと後家。
故得百姓之懽心、以事其先君。故に百姓の懽心を得て、もってその先君に事う。
- 百姓 … 国中の人々。
- 懽 … 古文では「歡」に作る。
治家者不敢失於臣妾、而況於妻子乎。家を治むる者はあえて臣妾を失わず、しかるをいわんや妻子においてをや。
- 不 … 古文では「弗」に作る。
- 臣妾 … 下男・下女。
- 古文では「治家者不敢失於臣妾」のあとに「之心」の二字あり。
故得人之懽心、以事其親。ゆえに人の懽心を得てもってその親に事う。
- 懽 … 古文では「歡」に作る。
夫然。故生則親安之、祭則鬼享之。夫れ然り。故に生けるには則ち親之に安んじ、祭には則ち鬼之を享く。
- 鬼 … 死者の霊。
是以天下和平、災害不生、禍亂不作。是を以て天下和平にして、災害生ぜず、禍乱作らず。故明王之以孝治天下也如此。故に明王の孝を以て天下を治むるや此の如し。詩云、有覺徳行、四國順之。詩に云く、「覚たる徳行あり、四国これに順う」と。
- 詩 … 『詩経』大雅抑の章。
- 覚 … 正直高大。
- 四国 … 四方の国々。
孝経 聖治章第九
曾子曰、敢問、聖人之徳、無以加於孝乎。曽子曰く、あえて問う、聖人の徳もって孝に加うることなきかと。
- 古文では「聖治章 第十」に作る。
- 無 … 古文では「亡」に作る。
子曰、天地之性、人為貴。子曰く、天地の性、人を貴しとなす。人之行、莫大於孝。人の行いは、孝より大なるはなし。孝莫大於嚴父。孝は、父を厳にするより大なるはなし。嚴父莫大於配天。父を厳にするは天に配するより大なるはなし。則周公其人也。すなわち周公はその人なり。昔者、周公郊祀后稷以配天、宗祀文王於明堂以配上帝。昔者、周公は后稷を郊祀してもって天に配し、文王を明堂に宗祀してもって上帝に配す。
- 周公 … 周初の政治家。文王の子。姓は姫、名は旦。兄の武王を助けて殷を滅ぼし、その死後、幼少の成王を補佐して周の基礎を固めた。孔子は礼を整備した聖人として尊敬し、後世、先聖とあがめられた。魯の祖。周公旦。
- 后稷 … 「后」は君、「稷」は五穀。周王朝の始祖とされる伝説上の人物。姓は姫、名は棄。舜につかえて人々に農業を教え、功により后稷(農官の長)の位についた。
- 郊祀 … 帝王が国都の郊外に壇を築き天地をまつる儀式。漢代以降は帝王の特権となり、その威厳を誇示する祭祀となった。郊社。郊祭。
- 文王 … 周王朝の始祖武王の父。姓は姫、名は昌。西伯と称する。殷代末期に、太公望など賢士を集め、渭水盆地を平定して周の基礎を築いた。古代の聖王の模範とされる。生没年未詳。
- 明堂 … 天子や王者が政治を行う宮殿。政堂。朝廷。
- 宗祀 … 最も大切なものとしてまつること。
- 上帝 … 天上にあって、万物を支配する神。天帝。
是以四海之内、各以其職來祭。ここをもって四海のうち、おのおのその職をもって来り祭る。
- 四海 … 天下。世の中。また、世界。
夫聖人之徳、又何以加於孝乎。それ聖人の徳、また何をもってか孝に加えんや。故親生之膝下、以養父母日嚴。ゆえに親これを膝下に生じ、もって父母を養い、日に厳にす。
- 故親生之膝下、以養父母日嚴 … 古文では「是故親生毓之、以養父母曰嚴」に作る。
聖人因嚴以教敬、因親以教愛。聖人厳に因りてもって敬を教え、親に因りてもって愛を教う。聖人之教不肅而成、其政不嚴而治。聖人の教えは肅ならずして成り、その政は厳ならずして治まる。其所因者本也。その因るところのものは本なり。父子之道天性也。君臣之義也。父子の道は天性なり。君臣の義なり。
- 「父子之道」以下、古文では「父母生績章 第十一」に作る。
- 古文では「父子之道」に前に「子曰」の二字あり。
- 義 … 古文では「誼」に作る。
- 也 … 古文ではこの字なし。
父母生之、續莫大焉。父母これを生む。続くこと、これより大なるはなし。
- 續 … 古文では「績」に作る。
君親臨之、厚莫重焉。君親としてこれに臨む。厚きことこれより重きはなし。故不愛其親、而愛他人者、謂之悖徳。ゆえにその親を愛せずして他人を愛する者、これを悖徳と謂う。
- 故 … 古文ではこの字なし。
- 「不愛其親」以下、古文では「孝優劣章 第十二」に作る。
- 古文では「不愛其親」に前に「子曰」の二字あり。
不敬其親而敬他人者、謂之悖禮。その親を敬せずして他人を敬する者、これを悖禮と謂う。以順則、逆民無則焉。順をもってすれば則り、逆なれば民則ることなし。
- 順 … 古文では「訓」に作る。
- 逆 … 古文では「昏」に作る。
- 無 … 古文では「亡」に作る。
不在於善、而皆在於凶徳。善にあらずして、みな凶徳にあり。
- 在 … 古文では「宅」に作る。
雖得之、君子不貴也。これを得といえども、君子は貴ばざるなり。
- 之 … 古文では「志」に作る。
- 不貴 … 古文では「弗從」に作る。
君子則不然。君子はすなわち然らず。言思可道、行思可樂。言は道うべきを思い、行は楽しむべきを思う。徳義可尊、作事可法、容止可觀、進退可度。徳義尊ぶべく、作事法るべく、容止観るべく、進退度とすべし。
- 義 … 古文では「誼」に作る。
以臨其民。もってその民に臨む。是以其民畏而愛之、則而象之。ここをもってその民畏れてこれを愛し、則ってこれに象る。故能成其徳教、而行其政令。ゆえによくその徳教を成して、その政令を行う。詩云、淑人君子、其儀不?。詩に云く、「淑人君子、その儀?わず」と。
- 詩 … 『詩経』曹風・?鳩の章。
- 淑人 … 善人。
孝経 紀孝行章第十
子曰、孝子之事親也、居則致其敬、養則致其樂、病則致其憂、喪則致其哀、祭則致其嚴。子曰く、孝子の親に事うるや、居にはすなわちその敬を致し、養にはすなわちその楽を致し、病にはすなわちその憂を致し、喪にはすなわちその哀を致し、祭にはすなわちその厳を致す。
- 古文では「紀孝行章 第十三」に作る。
- 病 … 古文では「疾」に作る。
五者備矣、然後能事親。五つのもの備わりて、しかる後よく親に事う。
- 然後能事親 … 古文では「然後能事其親」に作る。
事親者、居上不驕、爲下不亂、在醜不爭。親に事うる者は上に居て驕らず、下となって乱れず、醜に在って争わず。居上而驕則亡、爲下而亂則刑、在醜而爭則兵。上に居て驕ればすなわち亡び、下となって乱るればすなわち刑せられ、醜に在って争えばすなわち兵せらる。三者不除、雖日用三牲之養、猶爲不孝也。三つのもの除かざれば、日に三牲の養を用いるといえども、猶不孝となすなり。
- 三者不除 … 古文では「此三者不除」に作る。
- 三牲 … 牛・羊・豕(いのこ、ぶた)。
- 猶 … 古文では「?」に作る。
- 不 … 古文では「弗」に作る。
孝経 五刑章第十一
子曰、五刑之屬三千、而罪莫大於不孝。子曰く、五刑の属三千、罪不孝より大なるはなし。
- 古文では「五刑章 第十四」に作る。
- 五刑 … 肉体を傷つける五種類の刑罰。
- 罪 … 古文では「辜」に作る。
要君者無上、非聖人者無法、非孝者無親。君を要する者は上を無し、聖人を非る者は法を無し、孝を非る者は親を無す。
- 無 … ないがしろにすること、無視すること。古文では「亡」に作る。
此大亂之道也。此れ大乱の道なり。孝経 廣要道章第十二
子曰、教民親愛、莫善於孝。子曰く、民に親愛を教うるは孝より善きはなし。
- 古文では「廣要道章 第十五」に作る。
- 於 … 古文では「于」に作る。
教民禮順、莫善於悌。民に礼順を教うるは悌より善きはなし。
- 於 … 古文では「于」に作る。
- 悌 … 古文では「弟」に作る。
移風易俗、莫善於樂。風を移し俗を易うるは、楽より善きはなし。
- 移風易俗 … 民衆の悪い風俗を善い方向へ移し改めること。
- 楽 … 音楽。
安上治民、莫善於禮。禮者敬而已矣。上を安んじ民を治むるは、礼より善きはなし。礼は敬のみ。故敬其父、則子悦、敬其兄、則弟悦、敬其君、則臣悦。故に其の父を敬すれば則ち子悦び、其の兄を敬すれば則ち弟悦び、其の君を敬すれば則ち臣悦ぶ。敬一人而千萬人悦。一人を敬して千万人悦ぶ。所敬者寡、而悦者衆。此之謂要道也。敬する所の者は寡くして、悦ぶ者は衆し。之を此れ要道と謂うなり。
- 要道 … 大切の道、肝要な道。
孝経 廣至徳章第十三
子曰、君子之教以孝也、非家至而日見之也。子曰く、君子の教うるに孝をもってするや、家ごとに至って日ごとにこれを見るにあらざるなり。
- 古文では「廣至徳章 第十六」に作る。
- 也 … 古文にはこの字なし。
教以孝所以敬天下之爲人父者也。教うるに孝をもってするは、天下の人の父たる者を敬するゆえんなり。教以悌所以敬天下之爲人兄者也。教うるに悌をもってするは、天下の人の兄たる者を敬するゆえんなり。
- 悌 … 古文では「弟」に作る。
教以臣、所以敬天下之爲人君者也。教うるに臣をもってするは、天下の人の君たる者を敬するゆえんなり。詩云、ト悌君子、民之父母。詩に云く、「ト悌の君子は民の父母なり」と。
- 詩 … 『詩経』大雅・?酌の章。
- ト悌 … 易らぎ楽しむこと。
非至徳、其孰能順民如此其大者乎。至徳にあらざれば、それ孰かよく民に順にすること、かくのごとくそれ大なる者あらんや。
- 順 … 古文では「訓」に作る。
孝経 廣揚名章第十四
子曰。君子之事親孝。故忠可移於君。子曰く、君子の親に事うるや孝。ゆえに忠をば君に移すべし。
- 古文では「廣揚名章 第十八」に作る。
- 之 … 古文にはこの字なし。
事兄悌。故順可移於長。兄に事うるや悌。故に順をば長に移す可し。
- 悌 … 古文では「弟」に作る。
居家理。故治可移於官。家に居て理まる、ゆえに治をば官に移すべし。是以行成於内、而名立於後世矣。ここをもって行いは内に成って、名は後世に立つ。
- 内 … 家の中。
孝経 諫爭章第十五
曾子曰、若夫慈愛恭敬、安親揚名、則聞命矣。曽子曰く、夫の慈愛恭敬、親を安んじ名を揚ぐるがごときは、すなわち命を聞けり。
- 古文では「諫諍章 第二十」に作る。
- 恭 … 古文では「?」に作る。
- 則 … 古文では「參」に作る。
敢問、子從父之令、可謂孝乎。あえて問う、子、父の令に従うは、孝と謂うべきか。
- 令 … 古文では「命」に作る。
子曰、是何言與。是何言與。子曰く、これ何の言ぞや。これ何の言ぞや。
- 子曰、是何言與。是何言與。 … 古文では「子曰、參是何言與。是何言與。言之不通耶。」に作る。
昔者、天子有爭臣七人、雖無道、不失其天下。昔者、天子に争臣七人あれば、無道といえどもその天下を失わず。
- 争臣 … 君の過失を痛烈にいさめる家臣のこと。
- 不 … 古文では「弗」に作る。
- 其 … 古文にはこの字なし。
諸侯有爭臣五人、雖無道、不失其國。諸侯に争臣五人あれば、無道といえどもその国を失わず。
- 不 … 古文では「弗」に作る。
大夫有爭臣三人、雖無道、不失其家。大夫に争臣三人あれば、無道といえどもその家を失わず。
- 不 … 古文では「弗」に作る。
士有爭友、則身不離於令名。士に争友あれば、すなわち身、令名を離れず。
- 争友 … 悪い点をどこまでもいさめてくれる友人。
- 不 … 古文では「弗」に作る。
- 令名 … 名声。
父有爭子、則身不陷於不義。父に争子あれば、すなわち身、不義に陥らず。
- 争子 … 過失をいさめる子のこと。
- 不陷 … 古文では「弗陷」に作る。
故當不義、則子不可以不爭於父。ゆえに不義に当っては、すなわち子もって父に争わざるべからず。
- 義 … 古文では「誼」に作る。
- 於 … 古文では「于」に作る。
臣不可以不爭於君。故當不義、則爭之。臣、もって君に争わざるべからず。ゆえに不義に当ってはすなわちこれを争う。
- 義 … 古文では「誼」に作る。
從父之令。又焉得爲孝乎。父の令に従う。また焉んぞ孝と為すを得んや。
- 令 … 古文では「命」に作る。
- 焉 … 古文では「安」に作る。
孝経 應感章第十六
子曰、昔者、明王事父孝、故事天明。子曰く、昔者、明王父に事えて孝、故に天に事えて明なり。
- 古文では「應感章 第十七」に作る。
事母孝、故事地察。母に事えて孝、故に地に事えて察なり。
- 察 … 明らか。
長幼順。故上下治。長幼順なり、故に上下治まる。天地明察、神明彰矣。天地明察なれば神明彰わる。
- 神明 … 古文では「鬼神」に作る。
- 彰 … 古文では「章」に作る。
故雖天子、必有尊也。言有父也、必有先也。言有兄也。故に天子と雖も必ず尊有るなり。父有るを言うなり。必ず先有るなり。兄有るを言うなり。
- 古文では「言有兄」のあとに「必有長」の三字があるが、衍字と思われる。
宗廟致敬、不忘親也。宗廟に敬を致せば親を忘れざるなり。脩身愼行、恐辱先也。身を修め行いを慎むは、先を辱めんことを恐るるなり。宗廟致敬、鬼神著矣。宗廟に敬を致せば鬼神著る。孝悌之至、通於神明、光于四海、無所不通。孝悌の至りは神明に通じ、四海に光ち、通ぜざるところなし。
- 悌 … 古文では「弟」に作る。
- 于 … 古文では「於」に作る。
- 無 … 古文では「亡」に作る。
- 通 … 古文では「曁」に作る。
詩云、自西自東、自南自北、無思不服。詩に云く、「西より東より、南より北より、思うて服せざるなし」と。
- 詩 … 『詩経』大雅・文王有聲の章。
- 自西自東 … 古文では「自東自西」に作る。
- 無 … 古文では「亡」に作る。
孝経 事君章第十七
子曰、君子之事上也、進思盡忠、退思補過。子曰く、君子の上に事うるや、進んでは忠を尽さんことを思い、退いては過ちを補わんことを思う。
- 古文では「事君章 第二十一」に作る。
將順其美、匡救其惡。その美を将順し、その悪を匡救す。
- 将順 … 助け行なう。
- 匡救 … 正して直すこと。
故上下能相親也。故に上下よく相親しむなり。詩云、心乎愛矣。遐不謂矣。中心藏之。何日忘之。詩に云く、「心に愛せば遐ぞ謂げざらん。中心これを蔵せば、何れの日かこれを忘れん」と。
- 詩 … 『詩経』小雅・隰桑の章。
- 中 … 古文では「忠」に作る。
- 藏 … 古文では「臧」に作る。
孝経 喪親章第十八
子曰、孝子之喪親也、哭不?、禮無容、言不文、服美不安、聞樂不樂、食旨不甘。此哀戚之情也。子曰く、孝子の親に喪するや、哭して?せず、礼は容つくるなく、言は文らず、美を服して安からず、楽を聞いて楽しまず、旨きを食らいて甘からず。これ哀戚の情なり。
- 古文では「喪親章 第二十二」に作る。
- 不 … 古文では「弗」に作る。(5箇所すべて)
- ? … 泣き声が長く細く尾をひくこと。古文では「依」に作る。
- 哀? … 哀しみ悼むこと。
三日而食、教民無以死傷生。毀不滅性、此聖人之政也。三日にして食し、民をして死をもって生を傷うことなく、毀して性を滅せざらしむ。これ聖人の政なり。
- 古文では「教民無以死傷生」のあとに「也」の字あり。
- 毀 … 痩せること。
- 政 … 古文では「正」に作る。
喪、不過三年、示民有終也。喪、三年に過ぎざるは、民に終りあるを示すなり。爲之棺椁衣衾而舉之、陳其??、而哀戚之、?踊哭泣、哀以送之、卜其宅兆、而安措之、爲之宗廟、以鬼享之、春秋祭祀、以時思之。これが棺椁衣衾を為ってこれを挙げ、その??を陳ねて、これを哀戚し、?踊哭泣して、哀んでもってこれを送り、その宅兆を卜して、これを安措し、これが宗廟を為って、鬼をもってこれを享し、春秋に祭祀して、時を以てこれを思う。
- 棺椁 … 内棺と外棺。
- 椁 … 古文では「槨」に作る(同字)。
- 衣衾 … しかばねに着せる衣と、しかばねを包む布団。
- 而舉之 … 古文では「以舉之」に作る。
- ?? … 供物用の祭器。
- 哀戚 … 哀しみ悼むこと。
- 戚 … 古文では「?」に作る。
- ?踊 … 葬式のときの悶え泣く儀礼。
- ?踊哭泣 … 古文では「哭泣擘踴」に作る。
- 宅兆 … 墓穴と墓地。
- 卜 … 占うこと。
- 安措 … 安置。
- 鬼 … 死者の魂のこと。
- 享 … 祀ること。
- 春秋 … 春夏秋冬のこと。
- 以時 … 季節の供物を供えて。
生事愛敬、死事哀戚。生けるに事うるには愛敬し、死せるに事うるには哀戚す。
- 戚 … 古文では「?」に作る。
生民之本盡矣。死生之義備矣。孝子之事親終矣。生民の本尽くせり。死生の義備われり。孝子の親に事うること終れり。
- 生民 … 人間。
- 本 … 根本。
- 死生 … 死者と生者。生きている間の父母と死んだあとの父母を指す。
- 義 … 古文では「誼」に作る。
- 親 … 古文にはこの字なし。
孝経 閨門章第十九(古文のみ)
子曰、閨門之内、具禮矣乎。嚴親嚴兄、妻子臣妾、猶百姓徒役也。子曰く、閨門の内、礼を具うるかな。親を厳び兄を厳びて妻子臣妾は猶お百姓徒役のごときなり、と。
- この章今文になし。
- 閨門 … 本来は婦人の室。ここでは、家庭という意。
- 臣妾 … 下男下女。