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折々の記 2013 ④

【心に浮かぶよしなしごと】

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  07 24 昨今の朝日新聞の記事 安定政権への条件 天声人語 社説 低投票率  
  07 24 昨今の朝日新聞の記事 憲法はいま 世界から(上中下)  

 07 24 (水) 昨今の朝日新聞の記事  

  安定政権への条件


(安定政権への条件:1)  特別編集委員・星浩
 痛み求める胆力あるか
  2013年7月23日

 「選挙運動は詩で、統治は散文でやる」。英国のブレア元首相が、回想録でこんな名言を紹介している。 参院選で圧勝し、念願の衆参ねじれ解消を果たした安倍首相にとっても、未来を語る「詩」の日々は終わった。予算や法律を与党と調整してまとめて成立させる。地道な作業を「散文でやる」統治の難しさを痛感する毎日が始まる。

 安倍政権が成果を出し、安定軌道に乗れるか。キーワードは優先順位とV字回復だろう。

 1997年に首相に就いたブレア氏は「最優先課題は三つ。教育、教育、教育だ」と述べ、重点政策を明確にしていた。政権は10年間続いた。菅義偉官房長官はブレア発言をまねて、参院選後の課題は「経済、経済、経済だ」と話す。

     ■■

 アベノミクスの成長戦略を実のあるものにする。構造改革と財政再建を進めて経済を復活させる。政権のパワーを集中的に経済問題に注入する。首相は22日の会見で、デフレ脱却のための経済対策を最優先に取り組む考えを示したが、その方針を貫けるかどうか。大きなポイントである。

 一方で首相は、持論の憲法改正の旗を降ろすことはないだろう。経済も憲法もなのか。憲法は中長期の課題とするのか。

 一昔前に比べ、自民党の人材は細り、政策立案の力は衰えているように私には見える。半面、政策課題は一層、難しくなっている。限りある政権のエネルギーを、どの課題にどれだけ振り向けるか。首相の決断が日本の針路を左右する。

 V字回復に関連して、首相周辺からこんな発言を聞いた。「衆院を解散しなければ、今後3年間は国政選挙がない。2年で厳しいことをやって支持率が下がっても、3年目に回復すればよい。大局観が必要だ」

     ■■

 支持率には悪い低下と良い低下がある。悪いのは、思い切った政策が打てず、ズルズルと人気が落ちるケース。良いのはこうだ。農業や雇用など難しい改革を進める。歳出削減も断行。反発が相次ぐが、株価は高水準を維持する。財政の余裕ができたら独自政策に予算をつける。やがて支持率はV字回復する。

 政権の目標を経済再生に絞り、消費税率の引き上げや痛みを伴う改革に批判が出ても、国民を粘り強く説得する。そんな「胆力」を備えているかどうか。首相が試されるのは、まさにその点だ。首相が妥当な改革の方向を打ち出し、忍耐を求めた時、国民、メディアはどう反応するか。それもまた問われる場面が来る。

 「1強」に対し「多弱」となった野党に言っておきたい。惨敗した民主党は、ひ弱さをさらけ出した。政権を担っていた3年余、永田町の政争にかまけて足元で地力をつける作業を怠っていた。地域の人々と対話を重ねて政策づくりに生かす。基本から出直さなければならない。

 日本維新の会には風が吹かなかった。自民党との連携や再編を妄想するのではなく、得意としてきた自治体の行財政改革などで成果をあげるべきだ。この参院選で有権者は、政党の日頃の活動を見抜いていた。



(安定政権への条件:2)  編集委員・有田哲文
 経済の地力、高める策を
  2013年7月24日

 経済が動き出したようだ。ひょっとしたらいい方向に。参院選で自民党に勝利をもたらしたのは、そんな気分だろう。

 福岡市の中心部。マンションの価格が発表されるとすぐに売れてしまう「瞬間蒸発」が目立ち始めた。不動産会社・福岡地所の石井歓社長は「もう待っていても仕方がない、という感じが出てきた」と話す。そこから電車で1時間の直方市の工業団地。社員18人の歯車メーカーを営む木田文武さんは言う。「国内メーカーに納める部品の値上げはまだない。でも、うちが直接輸出する分では、利益が積み上がり始めた」

 全国の都市部や工業地帯を中心に、前向きな動きがじわりと出ている。すべての地域、すべての人に広がっているとはいえないが、予感だけは先行する。2008年のリーマン・ショックから続いた円高が是正されてきた。何より、このまま景気がよくなってくれればという願望がある。

     ■■

 安倍政権の経済政策の1本目の矢は金融緩和だが、実はこれ、米国の模倣といえる。長めの国債や住宅ローン証券を買いあさる米連邦準備制度理事会(FRB)の量的金融緩和が、それなりに効果が出ているように見えたのが、政策転換の背景にある。

 しかし、ちょっと待ってほしい。米国経済の回復は、金融緩和だけが理由ではない。

 まず、人口が増えている。大阪市と同じくらいの規模が毎年プラスになる。成長する新企業が常に現れる。おまけにシェールガスまで掘り出され、エネルギー価格が下がった。あんなにものづくりの空洞化が言われた米国で「製造業の国内回帰」が起きている。

 経済政策の成功は、当たり前のことだが、需要と生産の両面で、地力を高められるかにかかっている。

     ■■

 「移民の受け入れは、できるかどうかという問題ではない」。米投資ファンド幹部のデービッド・ヘロ氏は、日本の経済成長のためには移民を受け入れるしかないと言う。現状を知らない暴論ととらえるべきではない。働く世代の人口減少という根本問題にどう取り組むつもりなのか、厳しく迫っているのだ。

 働く人を増やそうと、成長戦略で女性の活躍推進を掲げた安倍政権の方向性は正しい。ショック療法として、一定規模以上の企業に3~4割の女性役員を義務づける制度なども真剣に検討すべきだ。

 そして何より企業が新たな技術、新たなビジネスに取り組みやすい環境が求められる。規制の見直し、起業への支援が重要だ。

 量的緩和にはうまくいっていない例もある。現在の英国である。インフレ率は高いのに景気は悪く、生活水準が下がった。日本が英国化しない保証はない。

 短期的に景気を刺激しつつ、少し長い目でみて財政規律を保つのは、どの国にとっても困難な道である。消費増税の判断が、参院選後の最初の挑戦になる。

 久しぶりの安定政権が3年かけて取り組むべきは、何をおいても経済である。いちかばちかで始まった実験、失敗は許されない。



(安定政権への条件:3)  編集委員・加藤洋一
 中韓との関係改善、必須
  2013年7月24日

「米中両国に二重依存するジレンマ」

 日本が抱える外交・安全保障上の構造的問題を、一言で言い表せばこうなる。

 最大の貿易相手国は中国で経済面での相互依存はすでに深い。一方、尖閣諸島問題を含めた安全保障面では米国の抑止力、軍事力に頼っている。米中間には根深い相互不信があるが、日本としてはどちらか一方を選べと言われても困る。

 二つの「依存」をどう両立させるか――。豪州、韓国、東南アジア諸国などアジア太平洋地域の多くの国々も頭を悩ませる問題だ。

 今月中旬、シンガポールで開かれた英王立国際問題研究所主催の地域安保会議。問いかけられたのは「米国がこれまでのように地域に関与しなくなったら、どうするか」だった。

     ■■

 安倍政権は今夏から来年にかけて、集団的自衛権の行使をはじめ、防衛計画の大綱の策定、日米防衛協力のための指針(ガイドライン)の見直しなど、安全保障関連の大きな課題に次々と取り組む。一貫しているのは公約にも掲げた「日米同盟の強化」だ。日本がより大きな役割を果たすことで、米国の「アジア回帰」を支える意味合いがある。

 しかし「同盟強化」はそれだけでは「二重依存のジレンマ」を解消できないばかりか、逆に深めかねない。実際、中国は最近、日本批判を強めている。

 「日本にファシズム復活の危険がないというなら、1930年代の欧州で何が起きたかを思い起こすべきだ」「軍国主義の復活も心配だ」

 6月、マレーシアで開かれた地域安保に関する国際会議。中国の出席者から激しい日本批判が相次ぎ、会場の空気は緊迫した。

 ある米政府関係者は「目新しいことではない」と指摘する。米国との会議でも必ず持ち出される言説だという。マレーシアでの会議の直後に行われた米中首脳会談でも、習近平(シーチンピン)国家主席が日本批判を展開し、オバマ大統領が遮る場面のあったことが明らかになった。

 「ファシズム」まで持ち出す批判は「日本の実態の歪曲(わいきょく)」(日本側の出席者)以外の何ものでもない。しかし、安倍晋三首相の歴史認識や従軍慰安婦問題、靖国参拝などに対する姿勢が、中国や他の地域諸国に懸念のタネと批判の口実を与えていることも事実だ。

     ■■

 4月に首相が国会で「侵略の定義は定まっていない」と答弁した際には、米国内にも衝撃が走った。集団的自衛権をはじめとする一連の同盟強化策が中国や韓国などから「右傾化政策」とみなされてしまい、後押しできなくなるとの懸念が聞かれた。

 安倍政権に対する不安感は今も米政府内にある。「(米国の支援について)安心させても、過信させてはならない」と語られているという。

 同盟強化と、近隣諸国との関係改善。この二つは相互に絡み合っており、一体として取り組まなければ日本外交は前進しない。中国に対して「常に対話のドアは開いている」(首相)という受け身の構えを超えて知恵は出せるのか。地域全体が注視している。



(安定政権への条件:4)  編集委員・前田直人
 丁寧に民意すくいとれ
  2013年7月24日

 安倍政権がすくいきれていない民意がある。

 「脱原発」はその最たるものだ。安倍晋三首相は参院選の公示日の第一声で「安全神話に寄りかかりながら原発政策を推進したことを深刻に反省しなければならない」と語ったが、政権は原発再稼働をめざす姿勢を変えていない。

 しかし、報道各社の世論調査をみると、原発再稼働反対が過半数に及ぶ。

    ■■

 そのギャップは「脱原発」を掲げて無所属で東京選挙区(改選数5)に挑んだ俳優の山本太郎氏(38)を注目候補に押し上げた。山本氏は既成政党もマスメディアも原発についてものが言えなくなったと断じ、こう訴えた。「行動力のあるバカほどやっかいなものはない。日本で一番いやがられる国会議員になりたい。どうか、国会に送り出してください」

 山本氏は約66万7千票を獲得して4位で当選した。緑の党から比例区で立候補した音楽家の三宅洋平氏(35)との共同イベント「選挙フェス」や街頭活動の模様は若者の手によって、インターネット上に拡散。うねりを起こしたのは、放射能汚染への不安を募らせる生活者たちだ。

 民意との開きを置き去りにしたまま、自民党は圧勝した。その最大の要因は野党、とりわけ電力労組への配慮などから脱原発の争点化すら主導できなかった民主党の非力さにある。

 東京選挙区で自民党の2議席目は山本氏の得票を下回り、民主党は議席を失った。民主党東京都連青年委員長の西沢圭太・東京都議(34)は、「『脱原発は民主党に任せていてはダメだ』という雰囲気になった。かわりに山本さんが『脱原発といえば、この人』という感じになった」と振り返る。

     ■■

 安倍首相は演説の多くをアベノミクスにさき、原発論争には深入りしなかった。原発再稼働への反対票がバラバラの野党に分散しても、賛成票が政権側にくれば大勢には影響しない。政権にしてみれば、反対派を刺激しないよう注意すれば勝てる選挙だったのだ。

 嫌悪の対象にさえならなければいい。民意のメカニズムを熟知した安倍首相は慎重なかじとりで、「ねじれ解消」を実現した。

 とはいえ、それはあくまで選挙戦術の話である。安倍政権の方向性と民意のズレは変わらない。最近の世論調査では原発再稼働だけでなく、安倍政権が進めようとする憲法96条改正、判断の時期が迫る消費増税についても、反対が賛成を上回る傾向が続いている。

 昨年の衆院選、この6月の東京都議選、今回の参院選を通じて表れたのは、民主党を嫌う民意である。

 思い返せば、かつては自民党が同じような嫌悪の対象だった。安倍首相も辛酸をなめた。自民党をたたいた次は、民主党もたたく。往復ビンタのような民意の洗礼である。

 問題はこれからだ。「山本太郎現象」を生んだ民意は、安倍政権に答えを求め続けるだろう。往復ビンタは、いつ自民党に戻るかわからない。自民一強におごらず、民意の底を丁寧にすくいとるべきだ。=おわり



(天声人語)


 野党敗北の先は?  2013年7月23日

ある鳥は、1本の木で5匹の虫が捕れたら次の木に移るという作戦に従った。これだと虫が1匹もいない木に入ってしまった場合、永久に出られないことになる▼別の鳥は、1本の木につき虫を5分間探したら次に行くことにした。これだと虫がたくさんいる木に入っても、途中で諦めなければならない。しかも、次の木には1匹も虫がいないかもしれない▼また別の鳥は、一定の時間当たりに捕れる虫が○○匹以下になったら次の木へという戦略にした。これが一番賢いやり方だったので、他の鳥に広まった。例え話ではあるが、生物はこうして与えられた環境に適応した行動を取るようになる(長谷川寿一〈としかず〉ら『進化と人間行動』)▼参院選で与党の圧勝を許した野党勢力の動きを見ていて、この話を思い出した。環境に適応できない生物は生き残りが難しい。勢いに乗る安倍政権。1人区の勝敗が全体の結果に大きく影響する選挙制度。こんな条件のもと、野党がばらばらのままで臨めば敗北は避けられない▼いまの選挙の仕組みは、度合いに違いはあれ衆参両院とも、大きな政党を二つ生み出す力が働くようにできている。現にいったんはそうなったが、民主党の失敗を機に流れは再び振り出しに戻った▼希望は失うまい。自然淘汰(とうた)は何かの目的に向かって進むのではなく、生物の進化は偶然に左右される。だが、人間は目標を持てる。環境の方を変えることすらできる。鳥よりは早く、より賢いやり方にたどり着けるはずだろう。



 猛暑の実感、景気の実感  2013年7月24日

紙面で読む  まことに天は気まぐれだ。きのうは二十四節気(にじゅうしせっき)の一つ、大暑だった。真昼時、都心ではじりじりと気温が上がり、15日以来の猛暑日に。と思ったら突如、雷鳴が高く轟(とどろ)き、景色が真っ白に煙るほどの土砂降りがしばらく続いた▼この40~50年間で、年間の猛暑日の日数が3倍近くに増えた。そんな記事を読んだのは10日ほど前だ。驚きもしたが、実感に照らせばむべなるかな、でもあった。以前は30度もあれば暑いとぼやいた気がするが、今では楽に感じるほどである▼「気温連動」の新しいサービスを打ち出した百貨店がある。新宿高島屋は猛暑日の翌日、特定の商品を値引きしたり増量したりする。たとえば熱中症対策のペットボトル飲料は20%引き。一番暑くて客足も鈍る午後2時から5時までの限定だ▼涼しくて、しかもお得という一石二鳥でお運びいただこうというわけだろう。この夏の間、猛暑日限定のサービスを取りそろえて集客を図る百貨店は他にもある▼巷間(こうかん)「ニッパチ」といって、2月と8月は商いが振るわないとされる。その魔の月を前に、政府の月例経済報告はきのう、景気の「回復」を指摘した。経済財政白書も7年ぶりに前向きな表現を使った。「デフレ反転の兆し」だという▼そういえば05年の郵政総選挙の後もデフレ脱却近しと言われたものだった。タクシーの運転手さんに聞いて回ると、「私らには実感がない」という人がほとんどだった。今も乗るたびに景気の話をする。答えは当時と変わらない。




(社説)


1強下の野党
 与党の2倍働こう
  2013年7月23日

 茫然(ぼうぜん)自失の体である。参院選に敗れ、自民党1強体制下に甘んじた野党の姿だ。

 当選者が改選議席の半分を大きく割り込んだ民主党だが、海江田代表は「改革は道半ばだ」として続投する意向だ。意地悪い言い方をすれば、代表を交代させるエネルギーすら党内に残っていないということだろう。

 それでも、野党がいつまでも「多弱」のままでいいはずはない。自民党にとって代わり得る手ごわい野党がなければ、議会制民主主義は健全に機能しないからだ。

 ここは振り出しに戻ったつもりでやり直すしかない。

 自民党が圧勝した去年の衆院選の投票率は59・32%、おとといの参院選は52・61%だった。前者は戦後最低、後者は戦後3番目に低い。

 つまり、1強体制をつくり上げた選択の機会に、4割から5割近い有権者は参加していないのだ。棄権した人たちの考えは一様でないにせよ、1強ではすくいきれない民意があることは間違いない。

 96年の結党以来、民主党は自民党政治に飽き足りない有権者の支持を集め、政権奪取を果たした。ところが、今回の参院選での出口調査を見ると、無党派層がそっぽを向いてしまったことが分かる。

 政権担当時の失策にノーを突きつけられての下野。その後も参院での首相問責決議をめぐる迷走や、東京選挙区での公認問題をめぐる細野幹事長と菅元首相との確執など不手際を繰り返した。支持が離れるのも無理はない。

 党再生の即効薬はないが、民主党には教訓とすべき3年あまりの政権党の経験がある。

 かつて政権で活躍した落選議員の力も借り、「1強」がすくえない民意を受け止め、政策として練り上げることに全力を挙げるべきだ。

 日本維新の会の橋下徹・大阪市長は「次の衆院選までに野党がまとまらないと、国のためにならない」と語っている。

 野党がバラバラでは与党を利するだけだ。一致できる分野で共同で自民党への対案を打ち出す。政権が暴走したらスクラムを組んで阻止する。その積み上げの中で、有権者の支持を地道に取り戻していくほかはない。

 政権が直面する難題と、政権交代が起きやすい衆院の選挙制度を考えれば、1強体制は永久に続くわけではない。野党議員には、惨敗に沈んでいる暇はないはずだ。

 与党議員の2倍は働く気概で安倍政権に挑んでほしい。



TPP交渉参加
 情報公開を推進力に
  2013年7月24日

 日本が環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉に加わった。

 米国の主導で協議が本格化してから3年余り。日本の出遅れは否めない。

 まずは入手した情報の分析を急ぎ、20を超える交渉分野ごとに主張を固め、全体の戦略を描く必要がある。

 世界貿易機関(WTO)の多国間交渉が滞るなか、TPPが世界の通商ルールに大きな影響を与えるのは必至だ。

 交渉参加国の中で、日本は米国とともに飛び抜けた大国である。自国の利益を訴えるだけでなく、世界の貿易・投資の自由化をにらみ、先進国と途上国の対立を調整する役回りも意識しなければならない。

 交渉に際し、政府は次の二つのことに努めてほしい。

 できるだけ情報を公開すること、そして交渉への懸念や批判をしっかりと聞くことだ。

 TPPが日々の生活にどんな影響を与えるのか、食の安全や医療分野などを中心に、国民には根強い不安がある。

 一方、日本は通商国家として発展してきただけに、成長著しいアジア・太平洋地域での自由化に乗り遅れては困るという理解も一般的だろう。

 これまでは交渉の実態がよくわからず、さまざまな臆測が飛び交い、不安に拍車をかけてきた。参加国として得た正確な情報をもとに、わが国の利害得失を国民全体で考えてもらう。そうした姿勢が交渉の足元を固めることにつながり、推進力も生むのではないか。

 政府内からは「TPPは秘密保持が厳しく、情報公開は難しい」という声が出ている。

 むろん手の内をすべてさらすわけにはいかないが、工夫はできるはずだ。米国の議会調査局が最近まとめたTPPの報告書では、個別の国との意見対立にも触れている。秘密保持を理由に口をつぐむだけでは、国民の理解も進まない。

 TPPへの懸念や批判に関しては、内外のNGO(非政府組織)との情報交換も重視してほしい。

 国際交渉でNGOが重要なプレーヤーとなって久しい。性急な経済自由化に反対したり、先進国主導になりがちな交渉に途上国の立場から目を光らせたりするのが基本だが、自らの主張を反映させるために各国政府と連携し、独自情報を提供するNGOも少なくない。

 こうしたNGOを敬遠するばかりでは情報網は広がらない。状況に応じて各国のNGOを味方につけるぐらいの構えで交渉に臨んでもらいたい。




低投票率 2013年07月23日


 低投票率

 参院選の投票率は戦後3番目に低い52・61%。ネットにあふれた投票呼びかけの声は届かなかったのか。

 《よりマシな候補に投票しよう》
 《政治に期待していないが大切な権利》

 朝日新聞が意見を募った投稿マップやツイッターでは「投票する」という声が全体の9割以上。その多くは政治に不信を抱きつつも投票を呼びかけていた。

 毎回最も投票率が低い20代。彼らに政治家との対話集会やソーシャルメディアで投票を呼びかけたNPO法人「YouthCreate」代表の原田謙介さん(27)は「政治家に投票率を上げようという意識を感じない」と批判する。ネット選挙は解禁になったが、「棄権層という大票田に働きかけた政治家は少ない。既成政党は、固定層中心に支持を固めればいいと思ってるんじゃないか」。

 《情勢調査で結果が見えるから行く気を失う》
 《どうせ政治は変わらない》
  という書き込みもあった。

 今回が初の国政選挙だった東北大3年の青木春隆さん(20)は《手間をかけて投票に行く納得のいく理由を見つけられない》と書いた。地元で同世代の学生や社会人が目標や社会について語り合うイベントを開いている。「地域を盛り上げるのは自分たちでできる。国政や選挙はテーマが大きすぎて自分に何かできるという実感が持てない」

 一方、《白票を入れる》と書き込んだ東京都のアルバイト佐藤紘昭さん(27)は今回、久しぶりに有効票を投じた。知人が立候補したのだ。これまで選挙は大事で棄権できないと思いつつ、政治家は遠い存在で、選ぶことができなかった。

 結果は落選だったが爽快感があった。「政治がぐっと近づいた感じがした。もっと応援したくなる候補者がいる選挙が増えてくれたら」

     ◇

 朝日新聞デジタルの「#投票する?」投稿マップには、今月3日から23日午後8時までに、944件のご意見が寄せられました。投稿は締め切りますが、みなさんの投稿は、こちらのページで引き続きお読みいただけます。

  http://t.asahi.com/bk4y


 【下平・記】

 《情勢調査で結果が見えるから行く気を失う》 という記事が出ている。

   マスコミが選挙に関する情報をこれほど流しつつける状況は、落着いてものを考える者にとっては常軌を逸しており異常に感ずるのは当然である。

 さらに選挙が終われば選挙管理委員会の発表集計による総合状況を待たず、マスコミは何の権益があって当選確実なる報道をするのであろうか。

 こうしたことは国民を愚弄するにもほどあるといえよう。 マスコミの責任者は何をもって国民に対するのであろうか。 評論家は国民の意志を最大に尊重すべきであるのに、こうした声にこたえないのはおかしいのではないか。この国に識者はいないと言わざるをえない。

 民主国家と言いながら、国民が《情勢調査で結果が見えるから行く気を失う》 という声に対し、識者の言を求めたい。

 07 24 (水) 昨今の朝日新聞の記事 憲法はいま 世界から(上中下)  

憲法はいま 世界から



 敗戦国が守るもの イタリア・ドイツ

 世界の国々は憲法とどう向き合っているのか。第2次大戦時に日本と同盟を結んだイタリアとドイツも、戦後、新たに憲法が制定された。両国とも改正を施した部分はあるが、戦前、戦中の反省から生まれた原則や理念は変えないというスタンスだ。

 ■戦争放棄は議論の対象外 イタリア

 イタリア国営放送で昨年12月17日夜、一風変わった「独演会」が生放送された。特別番組「世界で最も美しいもの」。観客500人の前に出たのはロベルト・ベニーニさん(60)。「ライフ・イズ・ビューティフル」でアカデミー主演男優賞を得た人気俳優だ。

 ベニーニさんは特番に先立つ取材で語った。「私たちの憲法は美しく、生きている。そしてまだ若い」

 1948年施行のイタリア共和国憲法の1~12条は、改正対象にしてはならない「基本原則」と定められている。ベニーニさんは番組で1条からわかりやすく語り起こした。戦争放棄をうたう11条については「ほかの条文は主語が『共和国』だけど、これだけは『イタリア』で始まる。つまりイタリアに住む者なら誰だって、戦争を絶対的に放棄するということだ」

 熱弁は2時間。平均視聴率は43・9%を記録した。

    ■   ■

 そんなイタリアで、憲法をめぐる動きが加速している。今月12日、ローマの政府の庁舎に、35人の法律の専門家が集った。

 レッタ首相は言葉に力を込めた。「イタリアの司法を代表するみなさんに集まっていただいた。二度とない機会だ」。目的は憲法の大幅見直し。憲法で大統領や首相の権限が制限され、それが「弱すぎる政治」をもたらしたと指摘されている。今年2月の総選挙から首相就任まで2カ月も「政治不在」が続いたのも、憲法で同等と定められている上下両院で多数派をつくれる党がなかったからだ。

 今の二院制は妥当なのか、大統領公選制を導入すべきか――。専門家委員会は統治機構のあり方を討議し、10月までに答申をまとめる。国会の与野党でつくる「憲法改正合同委員会」が答申を参考に改正案を練ることになっている。首相は国会での審議を来年10月までと期限を区切り、国民投票に問おうとしている。

 共和国憲法は16回改正された。だが欧州連合(EU)が決めた財政規律の導入など、個別の条文改正に限られる。不安定な政治状況を変えようと、83、92、97年の3回、上下両院議員による「憲法改正委員会」が設けられた。だが与野党の対立で実現しなかった。

 2005年にはベルルスコーニ氏率いる中道右派が改憲案を強行可決。しかし翌年の国民投票で否決された。今回の改憲論議では、改正手続きを定めた138条も検討する見通しだ。3カ月あけて2回必要な両院での可決を各院1回とする案などが出ている。

    ■   ■

 だが決して改憲論議の対象にならない部分がある。

 《共和政体は憲法改正の対象となることはできない》と規定する139条。

 「基本原則」の1~12条は改正対象にならないと憲法裁判所が判断したのは88年。例えば3条は法の下の平等、6条は少数言語民族の保護を規定する。

 11条はまず、《他国民の自由に対する攻撃の手段としての戦争及び国際紛争を解決する手段としての戦争を否認する》と定める。さらに《他国と同等の条件のもとで国家間の平和と正義を保障する体制に必要ならば、主権の制限に同意する。この目的を持つ国際組織を促進し支援する》。

 後半部分はイタリアの国連加盟と国際社会復帰を念頭に定められたものだが、冷戦下、北大西洋条約機構(NATO)への参加に「拡大解釈」された。11条は、日本の9条と同じく国際政治情勢の変化という荒波に直面してきた。

 ■独裁許さぬ「戦う民主制」 ドイツ

 昨年5月、ドイツ連邦議会(下院)で、憲法にあたるドイツ基本法第93条(連邦憲法裁判所の権限)の改正案が審議された。戦後59回目の憲法改正である。

 ただ、総選挙に政党として参加を認められなかった団体が選挙前に憲法裁に異議を申し立てることができる、という項目を追加する内容。メディアの注目もほとんど集めなかった。

 短い審議の後、改正案は必要な3分の2以上の議員の賛成を得た。16の州政府代表から成る連邦参議院(上院)でも翌月、全州が賛成し、改正は成立した。

 戦後ドイツは日本と同様占領下で新憲法が成立した。違いは、ドイツは頻繁に改正してきたことだが、「改憲」に対する考え方がそもそも違う。

 連邦議会によると1949年~09年に244回もの改正提案があり、うち改正に至ったのは約4分の1の57回。法解釈や運用の変更ではなく、細かい手続き的な内容に至るまで条文を変更・追加しようとするため、改正が多くなるのだ。

 憲法学者の多くが重要な改正に挙げるのは、NATOへの加盟に伴う再軍備や非常事態法制の導入、東西ドイツ統一に伴う改正など数回だ。

 新憲法「基本法」は、戦争で自国と欧州を廃虚にした過去に学び、ヒトラーのような独裁者の再来と人権侵害を二度と起こさないことが最大の目的だった。

 そのための仕掛けの一つが「戦う民主制」という考え方だ。民主的とされた戦前の「ワイマール憲法」がナチスの独裁を許した経験から、「自由で民主的な基本秩序を侵害」する政党の禁止などを盛り込んでいる。また、「人間の尊厳は不可侵である」とうたう第1条の改正や基本権の侵害は認められていない。

 (ローマ=石田博士、ベルリン=松井健)




 護憲競う、右も左も 米国、厳しい改正要件

 「我々は大統領就任のために集うたびに、憲法の不朽の強さの証人となる」

 今年1月、2期目の就任演説でオバマ米大統領が真っ先に触れたのは、米国憲法の価値観だった。演説中も「我ら国民は」という前文の冒頭の言葉を何度も引用し、独立宣言の理念を反映した憲法に沿った国の形の大切さを説いた。

 保守運動の「ティーパーティー(茶会)」は、オバマ氏の政権運営に反発を強める。だが茶会が掲げるのも憲法の順守だ。米国憲法は1789年の施行から224年たつが、現在は右も左も「どちらがより護憲的か」で競い合っているともいえる。

    ■   ■

 米国憲法の特徴の一つは改正の難しさだ。議会の両院の3分の2以上の賛成に加え、全50州の4分の3以上の承認が必要だ。ウェストバージニア大のロジャー・コングルトン教授は「世界で最も改正のハードルが高い」と指摘する。連邦制という国家形態を反映し、州の権限を維持するためなどとされる。

 施行からこれまでに成立した修正条項は27項目だけ。最近も改正は困難を極めている。1972年に議会の賛成を得た「男女平等条項」は35州の承認しか得られず廃案となった。連邦議会の最中に議員の給料を引き上げることを禁じた修正第27条は、承認を得るのに200年以上を要した。

 近年は「一票の格差」が約70倍に膨らんでいる上院の構成や、より多くの得票を集めた候補が大統領になるとは限らない選挙人制度の問題も指摘されている。解消するには憲法改正が必要だが、本格的な議論は起きていない。

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 世界の憲法の比較をしているシカゴ大のトム・ギンズバーグ教授らの研究によると、改正されない期間の「平均寿命」は約19年。しかも長く続くためには、時代の要請に合わせて柔軟な改正が可能であることなどが重要とされる。その点、めったに改正されない「頑固な」米国憲法が今も健在であるのは「毎日たばこを吸い、チョコレートばかり食べながら、122歳まで生きた女性」のような存在という。

 ただ、ある程度の年数を過ぎると、憲法が安定し、長寿化する傾向もある。「安定した社会で憲法に対する敬意が生まれると、国の根幹を揺らす大きなショックがない限り、憲法は変わらなくなる。米国のほか、日本もその代表例といえる」と解説する。

 日本国憲法は、他国による占領下で制定された憲法の中で長く続いている点でも特徴的だ。ギンズバーグ教授はその理由として、制定に日本側も関与したことに加え、「何より、戦後日本が安定した社会を築き、憲法も受け入れられてきた」ことを挙げる。

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 対照的なのは、同様に米国の占領下で憲法が策定されたイラクだ。サダム・フセイン政権が倒された後の2005年、国民投票で承認された憲法には「自由」「平等」「権利」といった言葉が並び、「民主化」を掲げた米国の思想が色濃くにじむ内容となった。米国の憲法に詳しい駒村圭吾・慶応大教授は「米国は軍事力や言語(英語)だけではなく、自国の法的な概念やルールを他国に広めることが大事だと考えている」と指摘する。

 しかし、憲法制定から8年たってもイラク国内は安定せず、内戦に近い状態が続く。ギンズバーグ教授は「日本があまりにも成功したので、米国は占領中に憲法を制定すれば、国家統治ができると考えた節がある。だが、イラクの経験を通じて浮かび上がるのはむしろ、日本人の功績がいかに大きかったか、ということだ」と語る。(中井大助=ニューヨーク、石原孝)




 国づくり映す鏡 冷戦後、独自条項次々 混乱の元凶にも

 冷戦終結後だけをみても、独立や旧憲法の廃止などに伴い約90カ国で憲法が制定されている。憲法は国のあり方を映し出す。

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 エクアドルのパティニョ外相は24日、訪問先のハノイで記者会見し、「人権や憲法などを考慮し、結論を出したい」と語った。米政府による極秘の情報収集活動を暴露した米中央情報局(CIA)元職員エドワード・スノーデン容疑者(30)からの亡命申請にどう対処するかの説明だ。

 同国が「反米」と見られるようになったきっかけの一つは、駐留米軍を撤退させたことだ。2006年の大統領選を制したコレア大統領は、《外国の軍事基地や兵士を国内に置くことを認めない》とする条項を盛り込んだ新憲法を提案。08年の国民投票で約7割の賛成を得て承認された。

 新憲法の7章「自然の権利」も目を引いた。《パチャママ(母なる大地)はその存在と維持そして再生を尊重される権利を有する》とする。10年に来日したコレア大統領は「木々はデモ行進などできないが、損害を受ければ、人が代行して権利侵害を訴えられる」と説明し、自然保護に熱心な政府を強調した。11年には、道路建設で出たがれきが川に投棄された事案をめぐり裁判所は「自然の権利を侵害した」として、自治体や施工業者に謝罪を求めた。

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 ボスニア・ヘルツェゴビナの首都サラエボ。6日、市民約3千人が14時間も議会ビルを包囲した。古い法律が無効になったのに議会の対立が続いた結果、代わりの法律が成立せず、赤ん坊に健康保険証など一切の証明書が発行されない事態が4カ月も続いたためだ。

 同国議会はたびたび機能不全に陥る。原因は憲法だ。1990年代前半に民族間の内戦を経験した同国は、米ロなどの国際社会も加わって95年に署名された和平合意文書の一部が憲法となった。紛争終結と防止を最大の目的にし、憲法で主要3民族間の権力均衡を徹底させた。その結果、政党は民族を軸に構成され、民族問題と関係のない法案審議さえ民族間の駆け引きの場となった。

 欧州人権裁判所は09年、3民族以外に上院議員などへの道を閉ざしたのを理由に、ボスニア憲法を欧州人権規約違反とした。以来、憲法改正は同国の国際的義務となったが、論議は進んでいない。

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 英国には成文憲法がない。議会のつくった重要な法律、判例法、権威ある法学者の著作など全てが憲法を形づくる要素とみなされてきた。

 そんな現状に一石を投じたのが、来秋、英国からの独立を問う住民投票を実施するスコットランド。自治政府は「憲法が新国家の土台になる」と、憲法制定の議論を本格化させている。

 自治政府のサモンド首席大臣は1月、記者会見で「成文憲法がないのは、欧米の民主国家として極めて異例。この『民主主義の赤字』を独立国家は繰り返してはならない」と力説した。2月には、域内への核兵器配備の禁止や議会による軍事力行使の抑制を憲法で規定するよう提案した。

 世界188カ国の憲法を比較研究したワシントン大のデービッド・ロー教授らは「独立や政変などに伴い、憲法は今も誕生し続けている」と語る。文化や歴史的背景から固有の条項を設ける国は少なくないが、「表現の自由」や「信教の自由」など各国で均一化した項目も多いという。ロー氏は「崇高な理念を記したところで、実践するためには国民の支持や健全な政治が重要だ」と指摘する。(岩田誠司=キト、喜田尚=ウィーン、伊東和貴=ロンドン、石原孝)




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