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折々の記 2013 ④

【心に浮かぶよしなしごと】

【 01 】06/15~     【 02 】06/17~     【 03 】06/22~
【 04 】07/17~     【 05 】07/24~     【 06 】08/02~
【 07 】08/05~     【 08 】08/07~     【 09 】08/17~

【 03 】06/22

  06 22 いじめ防止法案が成立  教育への政治介入
  06 28 カタカナ言葉への憂鬱 and 議論なき原発回帰  朝日新聞より
  07 14 (憲法はいま 世界から:上)敗戦国が守るもの イタリア・ドイツ
       (憲法はいま 世界から:中)護憲競う、右も左も 米国、厳しい改正要件
       (憲法はいま 世界から:下)国づくり映す鏡 冷戦後、独自条項次々 混乱の元凶にも  
  07 14 臨時Web 私製本「0歳教育」  

 06 22 (土) いじめ防止法案が成立  教育への政治介入

朝日新聞デジタル  2013年06月21日11時23分
 いじめ防止法案が成立 防止策や迅速調査、学校の義務に
    http://digital.asahi.com/articles/TKY201306210042.html

 【岡雄一郎】いじめ防止対策推進法案が21日、参院本会議で可決、成立した。いじめ対策が法制化されるのは初めてで、今秋にも施行される。いじめの早期発見や防止のための組織設置などが学校に義務づけられる。一方、加害側への出席停止措置などについて、「防止につながらない」などの指摘もある。
 法案は、自民、民主など6党が共同提出。「教育現場の意見が十分に反映されていない」などとして共産、社民両党は反対した。
 条文では、いじめを「一定の人的関係にある他の子による心理的・物理的な影響を与える行為」とし、さらに「対象の子が心身の苦痛を感じているもの」と定義した。インターネットでの行為も含まれる。 …

【以下、家庭教育 検索結果】

    2012年06月22日 ~ 2013年06月22日

【いじめ許さぬ学校に 対策法成立、遺族ら「一歩前進」】
家庭教育に法律が口をはさむべきでなく、保護者に努力義務を課した点に不満は残る。だが、議員が動き、今国会で成立させたことは評価したい。現場の負担を考えると、教員の人的補強が必要だ。私たちには、この法律がどう運用されるのかを見守り、法を育てていく責任がある。 ■道徳の押しつけ 明治大の内藤朝雄准教授(社会学)の話 いじめは、学校という閉鎖空間で、密着した人間関係を強制され、一人ひとりが強く同調を求められる …
2013年06月22日 URLhttp://digital.asahi.com/articles/TKY201306210812.html

【いじめ防止法案が成立 防止策や迅速調査、学校の義務に 】
子どもへの規範意識の指導を保護者の努力義務とした点については「家庭教育の自主性は尊重する」とした。 国会審議では付帯決議がつき、「いじめの対処について第三者の参加などで公平性・中立性を確保」「調査結果などを保護者と適切に情報共有」などに努めるよう、配慮が求められた。 ◇■いじめ防止対策推進法の骨子・「いじめ」とは、「一定の人的関係にある他の子が行う心理的・物理的な影響を与える行為」であり、…
2013年06月21日 URLhttp://digital.asahi.com/articles/TKY201306210042.html

【いじめ対策法案を一本化 与野党が折衷案、共同提案へ 】
野党側が「家庭教育への介入だ」などと反発したため、努力義務規定に抑えられた。いじめ防止の組織設置を学校に義務づけるという3党案も加えられた。 一方、野党が難色を示していた加害側に対する懲戒や出席停止の「適切な運用」に関しては、「厳罰を科す目的ではない」とする与党の案が通った。ひどいいじめへの対応も「学校などが組織を設けて調査する」とした与党案で合意し、専門家が入る組織設置も認めた3党案より緩やかな …
2013年06月12日 URLhttp://digital.asahi.com/articles/TKY201306110722.html

【いじめ対策法案、暗雲 与野党、折衷案の協議難航 家庭の責任などで隔たり 】
これに対し、野党側は「家庭教育にまで国が責務を課すのはおかしい」「いじめた子への厳罰化に偏りすぎだ」などと批判する。 一方、与党側が野党案について指摘するのは、制度設計の細かさだ。教委や学校ごとに教師、保護者、有識者らによる対策委員会の設置を義務づける点について、「現場の負担が増す」などと主張している。 出席者によると、これまで5回の協議で大筋合意できたのは「いじめの定義」などわずか。家庭への関与や …
2013年06月06日 URLhttp://digital.asahi.com/articles/TKY201306050761.html

【地域の大人が学習支える 各地に「現代版寺子屋」 】
はしで大豆を移すゲーム。大人に言われなくても、子どもたちは正座になってはしを持つ=釧路市 ■家庭教育補う役割 「てらこや」は昨年4月上旬にスタート。きっかけは、設立メンバーがPTAメンバーとして小学校の補習授業を見学に行った際、児童が二けたの足し算に苦労している様子を目の当たりにしたことだった。市教委関係者に聞くと「学校だけでは、手が回らない」。経済的な理由から、家庭で子どもの学習支援にあてる時間が減っていることが背景にあるとみられており、「地域で何とかしようという思い」から、…
2013年04月08日 URLhttp://digital.asahi.com/articles/HOK201304080002.html

【「遊びきる子ども」を 幼児教育プログラム改訂 鳥取 】
また、親の育成でも、施設が家庭教育学級を開き、保護者同士の交流の場を設けることなどを打ち出す。 「遊びきる子ども」を 幼児教育プログラム改訂 鳥取
2013年03月07日 URLhttp://digital.asahi.com/articles/OSK201303060068.html

【公民館を子育て・若者支援の拠点に 文科省モデル事業 】
ただ、講座の種類は「趣味・教養」が52%を占め、「家庭教育・家庭生活」は21%、「職業知識・技術の向上」は1%未満という。 同省は、こうした教室としての利用にとどまらず、地域住民やNPO、専門家らが話し合い、協力して地域の様々な課題を解決できる拠点にする考え。モデル事業では(1)引きこもりの若者の自立に向けた学習や就職支援(2)避難所として使うための防災拠点化(3)いじめや不登校、児童虐待などの …
2013年03月05日 URLhttp://digital.asahi.com/articles/TKY201303040037.html

【(声)道徳の教科化は要らない 】
家庭教育の役割である。 私は高校教員として長年、倫理社会を教えたが、生徒から授業で生きる糧を得たと言われ、うれしかったことがある。ただ、意図的に特定の狙いをもって教え、思想統制につながるような教育には全く賛成できない。 (声)道徳の教科化は要らない …
2013年03月05日 URLhttp://digital.asahi.com/articles/TKY201303040407.html

【琉球王朝料理、親子で学ぶ 食を通じ、健康作りを 沖縄 】
父母や学校栄養士と、琉球料理作りに挑戦する子どもたち=北谷町立浜川小学校 町PTA連合会家庭教育委員会が共催。町立学校給食センターの学校栄養教諭、石嶺せいかさんは「普段は給食を通して食育を進めているが、地域や家庭との連携が不可欠。講座で食に関心を持ってもらい、生涯にわたる健康づくりの意識付けができるようにしたい」と説明する。 3回コースの同講座は昨年7月にスタート。初回は給食センターを見学し、だしの取り方などを学んだ。同10月には学校給食の献立を調理実習した。 最終回の …
2013年01月17日 URLhttp://digital.asahi.com/articles/TKY201301160374.html

【教育・子育て――高校無償化に所得制限 】
伝統文化の尊重、家庭教育の支援、近隣諸国条項の見直し……教育関係の公約には保守色がにじむ。これらをまとめた下村博文氏を文部科学相に起用した。 「バラマキ」と批判してきた高校無償化には、所得制限を設ける方針だ。党はこれまで「世帯年収700万円以下に絞っても高校生の5割をカバーできる」と説明。法改正が必要で、実施は2014年度以降になるとみられる。子ども手当は、自公政権時代の児童手当に名称が戻り、…
2012年12月27日 URLhttp://digital.asahi.com/articles/TKY201212261070.html

【〈10代 私の声聞いて〉待機児童ゼロ やってや 】
高校の定時制3年生小林優華さん。長男空聖君の名前には「大きく、きよらかに」という思いを込めた=大阪府茨木市、中里友紀撮影 幼児教育の無償化【維新】新規参入規制撤廃や保育バウチャー制度の導入など保育の成長産業化【共産】就学前の子どもの医療費の窓口負担を国の制度として無料に【みんな】子ども(児童)手当を抜本的に見直す【社民】保育・教育施設の職員配置や面積基準などの引き上げ【大地】学校・家庭教育の改善強化によりいじめをなくす【国民新】意欲があれば誰もが大学などへ就学できる奨学金制度を創設【新党日本】老保一元化の宅幼老所と …
2012年12月14日 URLhttp://digital.asahi.com/articles/TKY201212130704.html

【しんどい、でも学ばせたい〈課題の現場で〉 】
教育格差どうする ◇■主な政党が公約に掲げた教育政策民主党 いじめ防止措置の法制化自由民主党 全国一斉の学力テストに戻す日本未来の党 高校授業料無償化の堅持公明党 児童支援専任教諭らの常時配置日本維新の会 生徒・保護者の学校選択の保障日本共産党 全国一斉学力テストの廃止みんなの党 教育委員会の設置は地域で判断社会民主党 公平な学習機会を保障する法改正新党大地 学校教育、家庭教育の改善強化国民新党 奨学金制度の拡充新党日本 …
2012年12月08日 URLhttp://digital.asahi.com/articles/OSK201212070157.html

【維新討論会の主なやりとり4 】
議論が散漫になるのを避けるために一言で言うと、ある意味では家庭教育、地域教育の力が落ちているという現状の中で、八策の中にもあるように、教員が教育そのものに時間を振り分けられない状況がある。これは、幼児教育の段階においてきちっと礼儀とか、けじめとかということについて、それなりに修めてくる必要がある。人間教育も含めて学校に求めるのは無理なんだと思う。私は就学前に、幼稚園あるいは保育園における、いわば …
2012年09月10日 URLhttp://digital.asahi.com/articles/OSK201209090061.html

【公明・木庭氏「騒動に辟易」焦点採録・参院本会議11日 】
参院本会議で質問に立つ民主党の西村正美氏=11日午前、仙波理撮影 民主党は「子どもは社会で育てる」という方針を掲げていたが、家庭教育の役割は何だと考えるか。子どもが親を尊敬する気持ちはどのように育てるのか。 首相 家庭教育はすべての教育の出発点であり、基本的な生活習慣の習得、自立心の育成、心身の調和のとれた発達などに、重要な役割を担っていると考える。子が親を尊敬する気持ちも、こうした中で親自身の人生への向き合い方や人間としての生き方を示すことを通じて育まれていく。…
2012年07月12日 URLhttp://digital.asahi.com/articles/TKY201207110890.html

【障害は個性 偏見の壁崩そう 】
先頃、大阪維新の会の大阪市議団が提案を目指した家庭教育支援条例案は、保護者の抗議が殺到し白紙撤回された。「発達障害は親の愛情不足が原因」などと断じた表現は、まさに知識の欠如に他ならない。私たち学生はもちろん、社会人もいま一度、障害者とのコミュニケーションのあり方を学び直しても良いのではないか。 「愛の反対は憎悪ではなく無関心」。故マザー・テレサの言葉だ。健常者と障害者という言葉によって偏見の壁を …
2012年06月30日 URLhttp://digital.asahi.com/articles/OSK201206290076.html

【「発達障害、伝統的子育てで防げる」 議員勉強会に批判 】
議連は今春、親への適切な育児情報を提供する「家庭教育支援法」の制定を目指し発足。事務局長の下村博文衆院議員が、勉強会の内容をブログで紹介すると抗議が相次いだ。議員は今月2日、ブログ上で「誤ったメッセージになった。深くおわびする」と謝罪したが、要望書については「講演内容への要望なので、講演者が対応すべきだ」と話した。(帯金真弓、田中陽子) 「発達障害、伝統的子育てで防げる」 議員勉強会に批判 …
2012年06月29日 URLhttp://digital.asahi.com/articles/TKY201206280731.html

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いじめ防止法案が成立 防止策や迅速調査、学校の義務に 2013年06月21日11時23分

 【岡雄一郎】いじめ防止対策推進法案が21日、参院本会議で可決、成立した。いじめ対策が法制化されるのは初めてで、今秋にも施行される。いじめの早期発見や防止のための組織設置などが学校に義務づけられる。一方、加害側への出席停止措置などについて、「防止につながらない」などの指摘もある。

 法案は、自民、民主など6党が共同提出。「教育現場の意見が十分に反映されていない」などとして共産、社民両党は反対した。

 条文では、いじめを「一定の人的関係にある他の子による心理的・物理的な影響を与える行為」とし、さらに「対象の子が心身の苦痛を感じているもの」と定義した。インターネットでの行為も含まれる。

 小中学校や高校などは、複数の教職員やスクールカウンセラーらによる組織を置き、いじめ対策などを検討することが定められる。校内での相談窓口の設置やいじめに関する定期調査、道徳教育の充実なども決められた。

 いじめがあった場合、学校は、速やかな事実確認▽被害側への支援▽加害側への指導・助言――を実施。犯罪のような行為は、警察への通報義務も定めた。子どもの生命が危ぶまれるような事例では、アンケートなどで迅速に調査し、結果を被害者側へ適切に提供する必要もある。

 国会審議では、いじめた子に出席停止などの適用を規定した点をめぐり、「厳罰化ではいじめを防げない」とも指摘された。法案の提出議員は「学校の秩序維持と被害者の保護が目的で、厳罰ではない」と説明。子どもへの規範意識の指導を保護者の努力義務とした点については「家庭教育の自主性は尊重する」とした。

 国会審議では付帯決議がつき、「いじめの対処について第三者の参加などで公平性・中立性を確保」「調査結果などを保護者と適切に情報共有」などに努めるよう、配慮が求められた。

    ◇

■いじめ防止対策推進法の骨子

 ・「いじめ」とは、「一定の人的関係にある他の子が行う心理的・物理的な影響を与える行為」であり、「対象の子が心身の苦痛を感じているもの」。
 ・保護者は、子どもへの規範意識の指導や学校などの取り組みへの協力に努める。家庭教育の自主性は尊重する。
 ・学校とその設置者は、道徳教育や体験学習の充実▽早期発見の措置▽相談態勢の整備――を図る。
 ・行政は、いじめ防止のための教員研修や人材確保などの措置をとる。
 ・複数の教職員やカウンセラーらによるいじめ防止対策の組織を学校に常設。
 ・いじめがあった場合、学校は、速やかな事実確認▽被害側への支援▽加害側への指導・助言▽重大な犯罪行為は警察への通報――などの措置をとる。
 ・いじめた子には懲戒や出席停止措置を適切にする。


 06 28 (金) カタカナ言葉への憂鬱 and (座標軸)見過ごせぬ、議論なき原発回帰  論説主幹・大野博人

(天声人語)
  カタカナ言葉への憂鬱

夏目漱石の「坊っちゃん」に出てくる教頭の赤シャツは、いやな男として描かれる。大学卒で、時々「帝国文学」という雑誌を学校へ持ってきてありがたそうに読んでいる。坊っちゃんは気に入らない▼「赤シャツの片仮名はみんなあの雑誌から出るんだそうだ。帝国文学も罪な雑誌だ」。赤シャツが並べた片仮名は人名だったが、坊っちゃんが今の世を見たらカタカナの氾濫(はんらん)に驚くだろうな――などと、本紙名古屋本社版などの記事を読んで思った▼岐阜県の男性(77)が、NHKのテレビ放送に外国語が多すぎると裁判を起こした。分かりづらくて精神的苦痛を受けたとして慰謝料141万円を求めた。コンテンツやコミュニティーデザインなどを例に挙げて、日本語を軽視するような姿勢は疑問だと訴えている▼訴訟への賛否はあっても、思いに共感する人は多かろう。NHKだけではない。新聞、雑誌、民放も、政府も企業もカタカナ語だらけ。こっそり申せば小欄も、時おり読者のお叱りを頂戴(ちょうだい)する▼明治の初め、知識人はなだれ込む外国語と格闘して、片っ端から日本語の服を着せた。哲学、個人、理性をはじめ喜劇、悲劇、社会、意識……。一語一語が国民の財産になってきた▼「外来語、カタカナ語を乱用するのは怠けである」と英文学者の外山滋比古さんがマスコミに苦言を述べていたのを思い出す。赤シャツよろしく気取って使うなどもってのほか。外来語に虫食いにされぬ美しい日本語のために、省みることが多い。



朝日新聞デジタル  2013年6月28日
(座標軸)見過ごせぬ、議論なき原発回帰
  論説主幹・大野博人

    http://digital.asahi.com/articles/TKY201306270743.html?ref=comkiji_txt_end

 経済の先行きや外交の緊張に目が向きがちだが、参議院選挙では、安倍政権の原発政策を問わないわけにはいかない。

 昨年末の総選挙の公約で自民党は「原子力に依存しなくてもよい経済・社会構造の確立をめざす」としていた。「脱」ではないが、原発を相対化する姿勢は見せていた。ところがここに来て、それさえうやむやにしつつある。

 原発の再稼働に傾斜する、核燃料サイクルという考え方にこだわる、インド、トルコ、中欧などに立て続けに原発の売り込みをかける――。

 参院選の公約からは「脱依存」が消え、かわりに再稼働に向けて地元理解を得るための「最大限の努力」を掲げる。「原発に依存する経済・社会構造」の復活を目指しているように見える。

 見過ごせないのは、依存への傾斜を真正面から問わず、なし崩しに強めつつある点だ。たとえばエネルギー白書から原発ゼロをめぐる記述が抜けた。議論もせずに依存へと回帰するのは民主的ではない。場合によっては今後3年は国政選挙がない。参院選ではっきりと国民に説明するべきだ。

 ■事故原発抱える現実

 もし仮に、日本がすべての原発をすみやかになくすと決めても、廃炉作業に手をつけることさえ容易ではない原発がある。福島第一だ。

 炉内でどうなっているか依然としてわからない燃料の冷却が続く。その冷却水の処理にも四苦八苦だ。除染も出口は見えない。避難した人々の将来の展望も開けていない。

 現場や周辺地域、行政、避難先で多くの人が今もなお苦闘している。それは今後数十年たっても完全には終わらないだろう。その間、不測の事態が発生するリスクも排除できない。

 2011年の3月11日から、日本は違う時代に入った。それ以前とは異なり、危険な事故原発を抱える国になった。もう一つ重大な事故が起きる事態に耐える余裕はないだろう。ならば規制基準を厳しくし、事故対策を整えながら、原発をなるべく早く減らしていくしかないではないか。

 それが今日の日本の身もふたもない現実だ。

 ■こっそりと逆行

 にもかかわらず、安倍政権が進める政策は、その現実から出発しているようには見えない。自民党の高市早苗政調会長の発言や原発再稼働を求める議員連盟の発足を見ればなおさらである。

 結局、この政権はエネルギー政策を福島の事故前の軌道に、ほぼそのまま戻したいようだ。できれば事故を、わたしたちの現代史の文脈の中でカッコでくくり、読み飛ばしても許される過去としたいのかもしれない。

 しかし実際は、日本の針路を決定づける歴史的な出来事のはずだ。

 福島を論じない選挙にしてはならない。

  (座標軸)一覧

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  高浜原発、MOX燃料搬入完了
  関電、プルサーマル申請へ
  (天声人語)カタカナ言葉への憂鬱



朝日新聞デジタル  2013年6月28日
高浜原発、MOX燃料搬入完了
  関電、プルサーマル申請へ

    http://digital.asahi.com/articles/OSK201306270180.html?ref=pcviewpage

関西電力は27日、使用済み核燃料を再処理して作られたプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を、フランスから高浜原発(福井県高浜町)に運び込む作業を終えた。記者会見で関電は、今後もプルサーマル発電を続ける考えを改めて強調した。▼7面=プルサーマル存続ありき

 関電によると、搬入されたのは仏工場に製造を依頼した高浜3号機用の燃料集合体20体。27日朝に輸送船が原発敷地内に接岸。搬入作業は午後5時過ぎに終わった。近くの岸壁でプルサーマルに反対する市民グループが抗議の声をあげた。

 関電は7月8日の新規制基準施行後すみやかに、プルサーマル再開を前提に3、4号機の再稼働を国に申請する方針。実際にMOX燃料を入れて運転する時期は未定としている。プルサーマルは国策として進めてきた核燃料サイクルの柱と位置づけられているが、計画通りに進んでおらず、核兵器の原料にもなるプルトニウムが大量にたまっている。(川田俊男、根津弥)

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【7面の記事】
核燃サイクル存続ありき
  使用済み、処理迫られ MOX燃料搬入完了


 「3・11」後初めて、原発の使用済み核燃料を再処理した核燃料が27日、関西電力高浜原発(福井県)に運び込まれた。原発を利用し続けるために、非現実的な核燃料サイクル政策が推し進められ、経済的なメリットが薄いプルサーマル発電が再開されようとしている。

 「資源の乏しいわが国において、プルサーマルの推進は重要だ」

 プルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料の搬入後、高浜原発で記者会見した関電の水田仁・原子力事業本部副事業本部長はプルサーマルの意義を強調した。

 しかし、電力会社がプルサーマルに力を入れざるを得ない背景には、原発内のプールにたまった使用済み核燃料の行き場を確保するためという側面が大きい。

 青森県は、六ケ所村の再処理工場での受け入れ条件として、すべての使用済み核燃料の再処理を挙げている。青森県が受け入れを拒否すれば、行き場がなくなり原発が運転できなくなる。

 日本の各地の原発プールに保管されている使用済み核燃料は計1万4200トン(2011年9月末現在)。全体の容量の約7割を占め、満杯にかなり近づいた原発もある。

 再処理工場のプールにも各原発から運び込まれた約3千トンの使用済み核燃料がすでに入っており、ほぼ満杯。再処理が始まれば、フル稼働で年800トンの使用済み核燃料を使う。その空きスペースに、各地の原発から使用済み核燃料を再び運ぶという「自転車操業」を繰り返すことになる。

 使用済み核燃料は減らせても、今度は核兵器の材料となるプルトニウムがフル稼働で年約8トンできる。すでに再処理した44・3トンがあり、さらに増えれば、海外からますます厳しい目を向けられる。

 東京電力福島第一原発事故で、プルサーマルを計画通りに進めるのは難しい。電力会社は使用済み核燃料の行き先に危機感を覚え、中間貯蔵施設の利用も考えている。関電は26日、施設設置のためのプロジェクトチームを新設した。

 さらに、プルサーマル発電で使い終わった「使用済みMOX燃料」の取り扱いも決まっていない。発熱量が多く取り扱いが難しい使用済みMOX燃料が、原発内のプールにたまる。使用済みMOX燃料をさらに再処理する「第二再処理工場」構想もあるが、海外にも本格的な例がなく、建設場所や時期も未定だ。

 (川田俊男、桜井林太郎)

■費用対効果、隔たり大 事業費19兆円/できる燃料9000億円分

 電力会社にとって、プルサーマルの経済的なメリットはあまりない。原発で使い終えた核燃料をフランスに送って再処理し、MOX燃料として再び輸入するため、コストがかかるからだ。

 財務省の貿易統計(輸出入の統計)によると、2010年に高浜原発に運ばれたMOX燃料は1本あたり8・8億円だった。これは通常使うウラン燃料の7~8倍になるとみられる。

 それでもプルサーマルにこだわるのは、核燃料サイクル政策を守るためだ。

 この政策では、使用済み燃料のすべてを再処理してプルトニウムを取り出し、ウランと混ぜてMOX燃料に加工する。これをプルサーマルで燃やす。

 ところが、日本原燃が計画する再処理工場(青森県六ケ所村)は1997年にできるはずだったのに、試運転が19回も失敗し、完成していない。フランスなどのコスト高のMOX燃料を受け取るしかない。

 問題はそれだけではない。そもそも核燃料サイクルそのものに巨額のコストがかかるのだ。

 原発を持つ電力10社(日本原子力発電を含む)は、再処理工場が完成した時に再処理の費用などをまかなうため、原子力環境整備促進・資金管理センターに12年3月までに3・6兆円を積み立てている。

 加えて、10社は試運転にかかる費用を支えるため、積み立てのほかに「処理費」を毎年払い、12年3月までの合計は1・9兆円にのぼる。さらに日本原燃の経営を支えるために将来の処理費を前払いまでして、1・1兆円も出した。積み立てや処理費は合わせて6・6兆円にものぼる。

 電気事業連合会の03年の試算では、日本原燃の再処理事業には40年間で19兆円かかる。ところが、これでできるMOX燃料は通常のウラン燃料の9千億円分の量にしかならない。使用済み燃料から取り出せるプルトニウムは重さにして1%ほどに過ぎないからだ。

 巨額のコストは電気料金に回される。立命館大の大島堅一教授(環境経済学)は「核燃料サイクルに経済性はなく、つけを払わされるのは国民だ」と言う。

 (松浦新、藤崎麻里)

 07 14 (日)  (憲法はいま 世界から:上)敗戦国が守るもの イタリア・ドイツ
         (憲法はいま 世界から:中)護憲競う、右も左も 米国、厳しい改正要件
         (憲法はいま 世界から:下)国づくり映す鏡 冷戦後、独自条項次々 混乱の元凶にも
  

2013年6月28日
(憲法はいま 世界から:上)  敗戦国が守るもの イタリア・ドイツ
   http://digital.asahi.com/articles/TKY201306270667.html?ref=comkiji_txt_end_s_kjid_TKY201306270667

 世界の国々は憲法とどう向き合っているのか。第2次大戦時に日本と同盟を結んだイタリアとドイツも、戦後、新たに憲法が制定された。両国とも改正を施した部分はあるが、戦前、戦中の反省から生まれた原則や理念は変えないというスタンスだ。

 ■戦争放棄は議論の対象外 イタリア

 イタリア国営放送で昨年12月17日夜、一風変わった「独演会」が生放送された。特別番組「世界で最も美しいもの」。観客500人の前に出たのはロベルト・ベニーニさん(60)。「ライフ・イズ・ビューティフル」でアカデミー主演男優賞を得た人気俳優だ。

 ベニーニさんは特番に先立つ取材で語った。「私たちの憲法は美しく、生きている。そしてまだ若い」

 1948年施行のイタリア共和国憲法の1~12条は、改正対象にしてはならない「基本原則」と定められている。ベニーニさんは番組で1条からわかりやすく語り起こした。戦争放棄をうたう11条については「ほかの条文は主語が『共和国』だけど、これだけは『イタリア』で始まる。つまりイタリアに住む者なら誰だって、戦争を絶対的に放棄するということだ」

 熱弁は2時間。平均視聴率は43・9%を記録した。

    ■   ■

 そんなイタリアで、憲法をめぐる動きが加速している。今月12日、ローマの政府の庁舎に、35人の法律の専門家が集った。

 レッタ首相は言葉に力を込めた。「イタリアの司法を代表するみなさんに集まっていただいた。二度とない機会だ」。目的は憲法の大幅見直し。憲法で大統領や首相の権限が制限され、それが「弱すぎる政治」をもたらしたと指摘されている。今年2月の総選挙から首相就任まで2カ月も「政治不在」が続いたのも、憲法で同等と定められている上下両院で多数派をつくれる党がなかったからだ。

 今の二院制は妥当なのか、大統領公選制を導入すべきか――。専門家委員会は統治機構のあり方を討議し、10月までに答申をまとめる。国会の与野党でつくる「憲法改正合同委員会」が答申を参考に改正案を練ることになっている。首相は国会での審議を来年10月までと期限を区切り、国民投票に問おうとしている。

 共和国憲法は16回改正された。だが欧州連合(EU)が決めた財政規律の導入など、個別の条文改正に限られる。不安定な政治状況を変えようと、83、92、97年の3回、上下両院議員による「憲法改正委員会」が設けられた。だが与野党の対立で実現しなかった。

 2005年にはベルルスコーニ氏率いる中道右派が改憲案を強行可決。しかし翌年の国民投票で否決された。今回の改憲論議では、改正手続きを定めた138条も検討する見通しだ。3カ月あけて2回必要な両院での可決を各院1回とする案などが出ている。

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 だが決して改憲論議の対象にならない部分がある。

 《共和政体は憲法改正の対象となることはできない》と規定する139条。

 「基本原則」の1~12条は改正対象にならないと憲法裁判所が判断したのは88年。例えば3条は法の下の平等、6条は少数言語民族の保護を規定する。

 11条はまず、《他国民の自由に対する攻撃の手段としての戦争及び国際紛争を解決する手段としての戦争を否認する》と定める。さらに《他国と同等の条件のもとで国家間の平和と正義を保障する体制に必要ならば、主権の制限に同意する。この目的を持つ国際組織を促進し支援する》。

 後半部分はイタリアの国連加盟と国際社会復帰を念頭に定められたものだが、冷戦下、北大西洋条約機構(NATO)への参加に「拡大解釈」された。11条は、日本の9条と同じく国際政治情勢の変化という荒波に直面してきた。

 ■独裁許さぬ「戦う民主制」 ドイツ

 昨年5月、ドイツ連邦議会(下院)で、憲法にあたるドイツ基本法第93条(連邦憲法裁判所の権限)の改正案が審議された。戦後59回目の憲法改正である。

 ただ、総選挙に政党として参加を認められなかった団体が選挙前に憲法裁に異議を申し立てることができる、という項目を追加する内容。メディアの注目もほとんど集めなかった。

 短い審議の後、改正案は必要な3分の2以上の議員の賛成を得た。16の州政府代表から成る連邦参議院(上院)でも翌月、全州が賛成し、改正は成立した。

 戦後ドイツは日本と同様占領下で新憲法が成立した。違いは、ドイツは頻繁に改正してきたことだが、「改憲」に対する考え方がそもそも違う。

 連邦議会によると1949年~09年に244回もの改正提案があり、うち改正に至ったのは約4分の1の57回。法解釈や運用の変更ではなく、細かい手続き的な内容に至るまで条文を変更・追加しようとするため、改正が多くなるのだ。

 憲法学者の多くが重要な改正に挙げるのは、NATOへの加盟に伴う再軍備や非常事態法制の導入、東西ドイツ統一に伴う改正など数回だ。

 新憲法「基本法」は、戦争で自国と欧州を廃虚にした過去に学び、ヒトラーのような独裁者の再来と人権侵害を二度と起こさないことが最大の目的だった。

 そのための仕掛けの一つが「戦う民主制」という考え方だ。民主的とされた戦前の「ワイマール憲法」がナチスの独裁を許した経験から、「自由で民主的な基本秩序を侵害」する政党の禁止などを盛り込んでいる。また、「人間の尊厳は不可侵である」とうたう第1条の改正や基本権の侵害は認められていない。

 (ローマ=石田博士、ベルリン=松井健)

2013年6月29日
(憲法はいま 世界から:中)  護憲競う、右も左も 米国、厳しい改正要件
   http://digital.asahi.com/articles/TKY201306280834.html?ref=comkiji_redirect&ref=reca

 「我々は大統領就任のために集うたびに、憲法の不朽の強さの証人となる」

 今年1月、2期目の就任演説でオバマ米大統領が真っ先に触れたのは、米国憲法の価値観だった。演説中も「我ら国民は」という前文の冒頭の言葉を何度も引用し、独立宣言の理念を反映した憲法に沿った国の形の大切さを説いた。

 保守運動の「ティーパーティー(茶会)」は、オバマ氏の政権運営に反発を強める。だが茶会が掲げるのも憲法の順守だ。米国憲法は1789年の施行から224年たつが、現在は右も左も「どちらがより護憲的か」で競い合っているともいえる。

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 米国憲法の特徴の一つは改正の難しさだ。議会の両院の3分の2以上の賛成に加え、全50州の4分の3以上の承認が必要だ。ウェストバージニア大のロジャー・コングルトン教授は「世界で最も改正のハードルが高い」と指摘する。連邦制という国家形態を反映し、州の権限を維持するためなどとされる。

 施行からこれまでに成立した修正条項は27項目だけ。最近も改正は困難を極めている。1972年に議会の賛成を得た「男女平等条項」は35州の承認しか得られず廃案となった。連邦議会の最中に議員の給料を引き上げることを禁じた修正第27条は、承認を得るのに200年以上を要した。

 近年は「一票の格差」が約70倍に膨らんでいる上院の構成や、より多くの得票を集めた候補が大統領になるとは限らない選挙人制度の問題も指摘されている。解消するには憲法改正が必要だが、本格的な議論は起きていない。

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 世界の憲法の比較をしているシカゴ大のトム・ギンズバーグ教授らの研究によると、改正されない期間の「平均寿命」は約19年。しかも長く続くためには、時代の要請に合わせて柔軟な改正が可能であることなどが重要とされる。その点、めったに改正されない「頑固な」米国憲法が今も健在であるのは「毎日たばこを吸い、チョコレートばかり食べながら、122歳まで生きた女性」のような存在という。

 ただ、ある程度の年数を過ぎると、憲法が安定し、長寿化する傾向もある。「安定した社会で憲法に対する敬意が生まれると、国の根幹を揺らす大きなショックがない限り、憲法は変わらなくなる。米国のほか、日本もその代表例といえる」と解説する。

 日本国憲法は、他国による占領下で制定された憲法の中で長く続いている点でも特徴的だ。ギンズバーグ教授はその理由として、制定に日本側も関与したことに加え、「何より、戦後日本が安定した社会を築き、憲法も受け入れられてきた」ことを挙げる。

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 対照的なのは、同様に米国の占領下で憲法が策定されたイラクだ。サダム・フセイン政権が倒された後の2005年、国民投票で承認された憲法には「自由」「平等」「権利」といった言葉が並び、「民主化」を掲げた米国の思想が色濃くにじむ内容となった。米国の憲法に詳しい駒村圭吾・慶応大教授は「米国は軍事力や言語(英語)だけではなく、自国の法的な概念やルールを他国に広めることが大事だと考えている」と指摘する。

 しかし、憲法制定から8年たってもイラク国内は安定せず、内戦に近い状態が続く。ギンズバーグ教授は「日本があまりにも成功したので、米国は占領中に憲法を制定すれば、国家統治ができると考えた節がある。だが、イラクの経験を通じて浮かび上がるのはむしろ、日本人の功績がいかに大きかったか、ということだ」と語る。(中井大助=ニューヨーク、石原孝)

2013年6月30日
(憲法はいま 世界から:下)  国づくり映す鏡 冷戦後、独自条項次々 混乱の元凶にも
   http://digital.asahi.com/articles/TKY201306290488.html?ref=comkiji_redirect&ref=reca

 冷戦終結後だけをみても、独立や旧憲法の廃止などに伴い約90カ国で憲法が制定されている。憲法は国のあり方を映し出す。

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 エクアドルのパティニョ外相は24日、訪問先のハノイで記者会見し、「人権や憲法などを考慮し、結論を出したい」と語った。米政府による極秘の情報収集活動を暴露した米中央情報局(CIA)元職員エドワード・スノーデン容疑者(30)からの亡命申請にどう対処するかの説明だ。

 同国が「反米」と見られるようになったきっかけの一つは、駐留米軍を撤退させたことだ。2006年の大統領選を制したコレア大統領は、《外国の軍事基地や兵士を国内に置くことを認めない》とする条項を盛り込んだ新憲法を提案。08年の国民投票で約7割の賛成を得て承認された。

 新憲法の7章「自然の権利」も目を引いた。《パチャママ(母なる大地)はその存在と維持そして再生を尊重される権利を有する》とする。10年に来日したコレア大統領は「木々はデモ行進などできないが、損害を受ければ、人が代行して権利侵害を訴えられる」と説明し、自然保護に熱心な政府を強調した。11年には、道路建設で出たがれきが川に投棄された事案をめぐり裁判所は「自然の権利を侵害した」として、自治体や施工業者に謝罪を求めた。

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 ボスニア・ヘルツェゴビナの首都サラエボ。6日、市民約3千人が14時間も議会ビルを包囲した。古い法律が無効になったのに議会の対立が続いた結果、代わりの法律が成立せず、赤ん坊に健康保険証など一切の証明書が発行されない事態が4カ月も続いたためだ。

 同国議会はたびたび機能不全に陥る。原因は憲法だ。1990年代前半に民族間の内戦を経験した同国は、米ロなどの国際社会も加わって95年に署名された和平合意文書の一部が憲法となった。紛争終結と防止を最大の目的にし、憲法で主要3民族間の権力均衡を徹底させた。その結果、政党は民族を軸に構成され、民族問題と関係のない法案審議さえ民族間の駆け引きの場となった。

 欧州人権裁判所は09年、3民族以外に上院議員などへの道を閉ざしたのを理由に、ボスニア憲法を欧州人権規約違反とした。以来、憲法改正は同国の国際的義務となったが、論議は進んでいない。

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 英国には成文憲法がない。議会のつくった重要な法律、判例法、権威ある法学者の著作など全てが憲法を形づくる要素とみなされてきた。

 そんな現状に一石を投じたのが、来秋、英国からの独立を問う住民投票を実施するスコットランド。自治政府は「憲法が新国家の土台になる」と、憲法制定の議論を本格化させている。

 自治政府のサモンド首席大臣は1月、記者会見で「成文憲法がないのは、欧米の民主国家として極めて異例。この『民主主義の赤字』を独立国家は繰り返してはならない」と力説した。2月には、域内への核兵器配備の禁止や議会による軍事力行使の抑制を憲法で規定するよう提案した。

 世界188カ国の憲法を比較研究したワシントン大のデービッド・ロー教授らは「独立や政変などに伴い、憲法は今も誕生し続けている」と語る。文化や歴史的背景から固有の条項を設ける国は少なくないが、「表現の自由」や「信教の自由」など各国で均一化した項目も多いという。ロー氏は「崇高な理念を記したところで、実践するためには国民の支持や健全な政治が重要だ」と指摘する。(岩田誠司=キト、喜田尚=ウィーン、伊東和貴=ロンドン、石原孝)



臨時Web

私製本「0歳教育」
   http://park6.wakwak.com/~y_shimo/momo.10000.html

私製本「0歳教育参考資料」
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