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折々の記 2013 ⑤

【心に浮かぶよしなしごと】

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【 06 】10/08

  10 08 最近のニュースから  

 10 08 (火) 最近のニュースから

   ① 巨大地震「隙間の水で岩盤滑りやすく」
   ② 体操 白井“4回ひねり”の秘密
   ③ 中国で大気汚染 日本での対策は
   ④ 大地震でも“見えない”活断層
   ⑤ リニア新幹線建設へ
   ⑥ 恐ろしいファシズムが復活しているこの国 「お国」のために国民は見捨てられる
   ⑦ 極めて危険 安倍変身の裏側 すべてを決めているこの男の本当の正体
   ⑧ 阿修羅 政治アクセスランキング(24時間)
   ⑨ あってはならぬ最高裁の法律違反(Electronic Journal)-4件-


① 2013/10/08
  巨大地震「隙間の水で岩盤滑りやすく」
    http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131008/k10015108021000.html

おととしの巨大地震で地震を引き起こした東北沖を掘削調査した結果、プレート境界の岩盤が水を通しにくい性質だったことが分かりました。
研究チームは、岩盤の隙間にある水が地震でずれ動いて発生した摩擦熱で膨脹して滑りやすくなり、津波が大きくなったと分析しています。

おととし3月の巨大地震のメカニズムを調べるため、日本やアメリカ、ヨーロッパなど10か国の専門家による共同研究チームは、去年三陸沖に探査船を出して地震で大きくずれ動いた日本海溝付近を掘削調査し岩盤の性質を詳しく調べました。
掘削調査を行ったのはプレート境界の海底に近い比較的浅い部分で、おととしの巨大地震ではこの浅い部分が大きくずれ動いて津波が大きくなったとされています。
調査の結果プレートの境界に当たる海底から820メートル付近の岩盤は粘土鉱物がおよそ70%含まれていて周辺に比べて100倍から1000倍、水を通しにくいことが分かりました。
また、岩盤の温度を計測したところ周辺に比べて0.2度から0.3度ほど高くなっていることが分かりました。
おととしの巨大地震のあとずれ動いた場所の温度を計測したのは初めてで、地震が発生したときにさかのぼって温度を計算すると、岩盤がずれ動いて発生した摩擦熱が数百度に及んでいたと推定されました。
研究チームは、プレート境界の海底に近い比較的浅い部分では、摩擦熱で岩盤の隙間にある水が膨脹して滑りやすくなり、大きくずれ動いて津波が大きくなったと分析しています。
分析を担当した独立行政法人海洋研究開発機構の谷川亘さんは「地震や津波が発生するメカニズムを解明するため南海トラフについても調査をする必要がある」と話しています。



② WEB特集 2013/10/04
  体操 白井“4回ひねり”の秘密
    http://www3.nhk.or.jp/news/web_tokushu/2013_1004.html

体操の世界選手権、男子のゆかの予選で17歳の高校生、白井健三選手が世界大会で初めて4回ひねりの大技を決め、技に「シライ」の名前が付けられることになりました。
インターネットで白井選手の演技を紹介した動画サイトには世界中から10万件を超えるアクセスが殺到するなど、17歳の快挙に世界から驚きの声が上がっています。
体操界の新星が誕生した背景に、何があるのか。 スポーツニュース部の井上謙一郎記者が解説します。

内村選手との共通点

まずは、練習で見せた4回ひねりの映像をご覧ください。

動画を再生する  動画:9月17日 おはよう日本より

白井選手は神奈川県出身の17歳です。
その素質は、世界チャンピオンの内村航平選手と共通する環境で育まれました。
白井選手は両親ともに体操の指導者という体操一家で生まれ、2人の兄と一緒に3歳から体操を始めました。
長崎県出身の内村選手も両親が体操クラブを運営し、3歳から体操を始めています。
そして、内村選手と同じように幼い頃からトランポリンで練習した白井選手は、ひねりに必要な空中で動く感覚が養われました。

両親に見守られて遊びの延長線上で体操に親しみながら、ひねりの技術を身に付けてきたのです。

内村選手超えるひねり

白井選手が内村選手を超える4回ひねりを成功させた秘けつは何なのか。
それは、ひねり技を行う宙返りの高さにあります。
白井選手は天性の足のばねがあるうえ、ふだんから宙返りに入る前に行うバック転を繰り返し練習してきました。
バック転を速く、正確に行うことで高さのある宙返りをものにしました。

さらに肩幅の細いスリムな体格で体を回転させるのに適していたことも、4回ひねりを生み出した大きな要因です。
ミュンヘンオリンピックなど3大会のオリンピックで活躍し「月面宙返り」と呼ばれる革新的な技を開発した塚原光男さんは、白井選手の4回ひねりについて「世界の体操界で3回ひねりが主流のなか、さらに1回ひねりを加えたことはすばらしいし、技に『シライ』の名前が付くことに値すると思う」と高く評価しています。
そして、4回ひねりが生み出されたポイントとして「宙返りに高さがあり、まっすぐな姿勢でひねり技に入っているのが白井選手の特徴です。幼い頃から指導を受け、基本技術をしっかり身に付けている」と指摘しています。

開花した才能

白井選手の才能が開花したのはおととしです。
中学3年生で初めて出場した全日本種目別選手権で3回半ひねりからの宙返りの連続技を決め、世界トップレベルの大技で注目を集めました。
さらに、ことし6月の全日本種目別選手権で、世界大会で誰も決めていない4回ひねりの新技を成功させて、15.900の高得点で種目別のゆかで初優勝を飾りました。
そして日本の男子では史上最年少で出場した今回の世界選手権で、白井選手は4回ひねりを決め、新しい技に「シライ」の名が付けられることになりました。

幼い頃から培ってきたひねりの技術が一気に花開いたと言えます。
7年後に東京で開かれる2020年のオリンピックでは、中心選手として期待されます。

さらなる飛躍へ課題も

その白井選手にも課題があります。
それを象徴するのが、ことし8月の全日本ジュニア選手権です。
この大会で、白井選手は3位にとどまりました。
ゆかと跳馬では世界トップレベルの白井選手ですが、それ以外のあん馬、つり輪、平行棒、鉄棒の4種目は高校生レベルでも負けてしまうのです。
白井選手は足の力が求められるゆかと跳馬では圧倒的な強さを持つ一方、上半身の力が必要なつり輪や平行棒を苦手としています。
スリムな体格のため、上半身の力が弱いのが大きな原因です。
今後、世界で戦っていくためにはゆかと跳馬以外の種目の強化が求められます。

東京五輪に向けて…

将来、白井選手がどんな選手に育っていくのか。
白井選手の育成には今後のオリンピックに向けた日本代表の強化方針が大きく関わってきます。
オリンピックの体操男子団体は5人が出場し、種目ごとに3人の選手が演技しますが、各国の戦略によって、オールラウンドの選手とスペシャリストの選手の人数構成は違います。
これまで日本は伝統的に個人総合を重視して、内村選手のように6種目のすべてを高いレベルで演技できるオールラウンドの選手を中心に選抜してきました。
これに対し、中国などの海外勢は近年、種目別の強化を目指し、スペシャリストを多くそろえて日本に対抗しています。
3年後に迫ったリオデジャネイロオリンピック、そして7年後の東京オリンピックに向けて、白井選手をオールラウンドの選手として育てていくのか、それとも、ゆかや跳馬のスペシャリストとして育てるのか、日本代表の強化方針が注目されます。

【下平:感想】

多くの素敵な運動選手を見てきました。 いずれも、小さい時から運動能力向上を目指して繰り返しを重視しています。 ここに能力開発の秘密があることがわかります。

知的能力も同じ能力開発の秘密があるのです。 のんびりとして、ほおっておく手はありません。

人格形成の道徳性や倫理観、東洋的な品性にしても同じ開発の原則があるのです。

これを知り、これを行なうのに、躊躇すべきではありません。



③ WEB特集 2013/10/01
  中国で大気汚染 日本での対策は
    http://www3.nhk.or.jp/news/web_tokushu/2013_1001.html

中国では大気汚染がここ数日、再び深刻化していて、視界不良のため高速道路が各地で通行止めになるなど、「国慶節」と呼ばれる大型連休を迎え影響が広がっています。
日本でも冬に向けて大気汚染物質PM2.5の濃度が上昇するおそれがあるとして、環境省が対策を急いでいます。
中国総局・小田真記者と社会部・横井悠記者の報告です。

中国で大気汚染深刻化

中国の首都、北京では、例年この時期、澄み切った青空が広がり、「北京の秋」と形容されるほどですが、先月27日以降、街全体に、もやが立ちこめたような状態が続きました。

大気汚染物質PM2.5の1日当たりの平均濃度は先月29日に、WHO=世界保健機関の指針の10倍の1立方メートル当たり250マイクログラムに達し、大気汚染の度合いを示す基準は、6段階のレベルで最悪の「厳重汚染」を記録しました。
1日は午前中、雨が降ったため久々に青空が広がり、PM2.5の濃度は大幅に下がりましたが、河北省や山東省の一部地域では依然として深刻な大気汚染が続いています。
中国では1日から「国慶節」と呼ばれる1週間の大型連休が始まり、大勢の人々が行楽地などに繰り出していますが、視界不良のため、各地で高速道路が通行止めになっていて、交通網に影響が出ています。
中国の国内メディアによりますと、河南省では先月30日、一部地域で視界が50メートル以下となり、多数の車が巻き込まれる追突事故が相次いで起き、合わせて9人が死亡したということです。
また中国駐在の日本人の間にも、不安が広がっています。 運動会が行われた北京の日系の幼稚園では、多くの保護者が健康への影響を心配して子どもたちの参加を見合わせました。

なぜこの時期に

中国の大気汚染は、暖房用の石炭の使用が増える冬場にピークを迎えるとされ、実際、ことし1月から2月にかけて、観測史上最悪とされる汚染を記録しました。

その後、石炭の使用が減るとともに、春から夏にかけてはいったん収まっていましたが、ことしの秋は例年よりも早く汚染が深刻化する事態となっています。
北京では先月、汚染物質を含んだもやに覆われた日数が16日間で、例年の4倍以上でした。
その理由について中国気象局は、例年よりも風が弱く湿度が高いといった気象条件が重なり、大気中の汚染物質が拡散されにくくなったためだと説明しています。
さらに気象条件に加えて、経済成長に伴うエネルギー需要の拡大や自動車の保有量の増加も影響しているとの指摘もあります。
中国政府は先月12日、北京や上海などの大都市で自動車の保有量を制限したり、汚染源となっている工場を閉鎖したりすることで、大気汚染物質の濃度を2017年までに現在よりも10%以上、引き下げるとした行動計画を発表しました。

しかし、経済成長が続くなか、石炭をはじめとしたエネルギーの消費や自動車の保有量はまだまだ増える見通しで、根本的な解決は極めて難しいのが現状です。

日本への影響は?

深刻化する中国の大気汚染。
環境省によりますと、先月29日に中国で観測された最悪レベルの大気汚染については、これまでのところ日本への影響はほとんど見られていないということです。
ただ、今後、冬型の気圧配置に変わると大陸から日本に向かう風が吹くようになるため、特に冬ごろから国内への影響が懸念されるということです。

予測方法に課題も

課題になるのが、PM2.5の濃度の上昇を事前に予測して自治体が適切に住民に注意を呼びかけられるかです。
環境省はことし2月、一定の濃度を超えると予測された場合に、都道府県などが住民に注意を呼びかけるとした暫定的な指針をまとめました。
指針では、PM2.5の1日の平均濃度が1立方メートル当たり70マイクログラムを超えると、健康に影響を与えるおそれがあるとしています。
濃度を早朝の3時間、計測し、1時間当たりの平均濃度が1立方メートル当たり85マイクログラムを超えた場合は、1日の平均濃度が指針の数値を上回る可能性が高くなるという予測方法を示していました。
しかし、環境省がことし3月から5月までの3か月間に各自治体が行った指針の運用結果をまとめたところ、実際には、1日の平均濃度が70マイクログラムを上回ったにもかかわらず、早朝の1時間当たりの平均濃度が85マイクログラムを超えていなかったため、住民に注意を呼びかけられなかった日が5日あったということです。
環境省は「予測方法は知見が十分でないなかでまとめた暫定的なもので、限界はある」としていますが、今回の運用結果を受けて、専門家の会議を今月中旬に開き、予測方法を見直すかどうか検討することにしています。

求められる対策強化

環境省は先月30日に都道府県や政令指定都市などの担当者を集めた会議を開き、全国で1300か所まで増やすことを目標にしていたPM2.5の観測機器の数が今年度末の時点で800か所余りにとどまる見通しだとして、改めて自治体に設置への協力を呼びかけました。

さらに、中国の大気汚染を巡って、ことし5月に日本、中国、韓国の環境行政のトップによる会合で、解決に向けて3か国の政策対話の場を設けることで合意していることから、環境省は会議の中で、実現に向けた働きかけを続けることも報告しました。
会議のあと井上環境副大臣は、「PM2.5の1日の平均濃度は今後、数値が高くなることが予測される。自治体と協力して国内の対策を進めていくとともに、国際的にも中国や韓国と協力して、お互いの空をきれいにしていくために取り組んでいきたい」と述べました。

PM2.5は、粒が極めて小さいため肺の奥深くまで入りやすく、ぜんそくや循環器系の病気を引き起こすおそれがあると指摘されています。
特に子どもやお年寄りなどは影響を受けやすいとされているだけに、環境省にはより精度の高い予測方法の検討が求められます。
政府には国内の大気汚染を克服してきた経験や環境技術を生かして、中国の大気汚染の解決にも一層力を入れてほしいと思います。

<関連リンク>
→ NHK NEWS WEB「PM2.5 大気汚染粒子拡散予測」



④ WEB特集 2013/10/07
  大地震でも“見えない”活断層
    http://www3.nhk.or.jp/news/web_tokushu/2013_1007.html

島川英介記者

都市の真下で起きると甚大な被害を及ぼす活断層の地震。
原子力発電所を巡る議論でも活断層の存在に注目が集まっています。
その議論に一石を投じる分析結果がまとまりました。
国内の活断層で起きた大地震の80%余りが地表では長大な段差などの大きな変化を伴わずに発生していたというのです。
社会部災害担当の島川英介記者が解説します。

「結果」から「原因」を探る活断層の研究

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「活断層」と聞くと、平成7年の阪神・淡路大震災(兵庫県南部地震M7.3)の際、地表に現れた大きな段差を思い浮かべる方もいるかも知れません。
実は、この段差が地震を引き起こすわけではありません。
活断層がずれ動くのは5キロから20キロ程度の地下深くです。
大地震の場合、地下深くの断層が大きくずれ動くため、地表にも段差や崖などが現れることがあります。
長年、活断層の専門家は、航空写真の判読や掘削調査などを行って地震の「結果」として生じる段差や崖などの痕跡を調べ、「原因」となった活断層の存在を探ってきました。

活断層8割余り“現れず”

日本の国土や周辺海域には分かっているだけで2000を超える活断層があります。
活断層は地震のたびに繰り返しずれ動く断層で、あらかじめ活断層の存在を把握しておくことは防災対策を進めるうえで重要です。
しかし、近年、大きな被害が出た地震は、活断層の存在が分かっていなかった地域で起きています。
▽平成16年の新潟県中越地震は活断層が確認されていない地域で発生し、▽平成20年の岩手・宮城内陸地震などは、地震が起きてから活断層の存在が明らかになりました。

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活断層や地震のメカニズムに詳しい東北大学の遠田晋次教授は、観測記録がある過去90年間に国内の陸地の活断層で起きたマグニチュード6.5以上の合わせて33回の地震で、断層の動きによる段差などの変化が地表にどの程度現れていたか分析しました。

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その結果です。
黄色の印で示した兵庫県南部地震など6つの地震では、地震の規模や活断層に相当する長さの段差などが地表で確認されました。

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一方、オレンジ色で示した全体の80%余りの地震では、地震のあと、段差などの変化が一部にとどまったか、全く確認されませんでした。
仮に、地震が起きたあと地表だけを調べたとすると、僅か18%しか、活断層や地震の規模を正しく評価できないという結果になります。

難しい活断層の調査

活断層で起きる地震で地表に現れる変化は非常に複雑で、大きな変化が現れないことが多いのです。
岩手・宮城内陸地震では、震源地周辺のところどころで数十センチ程度の小さな段差が見つかりましたが、いずれも連続していませんでした。
ところが、小さな段差の下を掘削して調査したところ、地下では地層が上下に2メートルほど食い違っていました。
過去の地震でも繰り返しずれ動いていた活断層が見つかったのです。

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では、「小さな段差はそれぞれ活断層と見なすべき」なのかというと、そう簡単ではありません。
東北沖の巨大地震の1か月後、おととし4月に福島県で起きたマグニチュード7.0の地震では、小規模な2本の活断層に沿って地面が上下に最大2メートルもずれ動く、大きな変化が現れました。
その周囲には数センチ程度の段差が10本程度現れましたが、こうした小さな変化は地震の揺れや地盤の動きによっても生じることがあるのです。

研究や評価の見直し

政府の地震調査委員会は、阪神・淡路大震災をきっかけに、防災対策を促すため、主な110の活断層を対象に調査や分析を進め、地震が起きる確率や規模などの評価結果を公表してきました。
しかし、近年の地震から、個別の活断層に注目するだけでは不十分であることが分かってきました。
地震調査委員会は評価方法を見直し、比較的短い活断層も対象に加えていくとともに、地震の発生確率などは複数の活断層を含む地域ごとに算出するようになりました。
ことし2月には九州の活断層で地震が起きる確率を公表し、今後は関東など、全国各地域の新たな評価を公表していく予定です。

調査技術の向上も

専門家の間では、活断層を探し出すための調査の手法も見直されつつあります。
最近注目されているのが航空機とレーザーを使った精密な測量技術です。

ニュース画像

写真は岩手・宮城内陸地震の震源地周辺です。
左のように、樹木に覆われた地域でも、レーザーを使うと右の○で囲ったところに断層の線が浮かび上がっています。
活断層を知る手がかりが得られやすくなり、現地調査などと組み合わせることで一定の成果が期待できます。

潜む活断層を念頭に備えを

ただ、さまざまな技術を駆使しても、すべての活断層を見つけるのは依然として困難です。
また、活断層の地震は発生間隔が長いため、活断層の位置や確率の数字などを示されても危険性を正しく受け止めるのは難しいと感じます。
かつて岩手・宮城内陸地震の被災地を取材したとき、地元の方が「岩手県の大地震は沿岸で起きると思っていた。まさか内陸で起きるとは思ってもみなかった」と話していましたが、私自身も同じ思いでした。
遠田教授は、「活断層が確認されていない、地図に活断層の線が引かれていない地域でも、安心はできない。活断層は至る所に潜んでいる可能性があり、大地震はどこでも起きるという意識で耐震補強などの対策を進めてほしい」と話しています。

ニュース画像

今回の分析結果は、活断層研究の難しさと同時に、地震への備えの大切さを改めて示していると言えます。



⑤ くらし☆解説 解説委員・中村 幸司 2013/10/01
  「リニア新幹線建設へ」
   http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/700/169092.html

Q:東京の品川と名古屋の間を40分で結ぶリニア中央新幹線が、建設にむけて動き始めています。今回は、このリニア新幹線についてお伝えします。

【画像】画像を見るには、URLを開いてください。

リニア新幹線の特徴といいますと、スピードですね。

A:営業運転で、時速500キロで走行します。これは世界最速です。品川と名古屋の間は、リニア新幹線ですと40分に。東海道新幹線で1時間半かかりますから、およそ50分短縮されます。

【画像】

2013年9月、JR東海は、リニア中央新幹線の詳しいルートや駅の場所などの最終案を示しました。途中に4つの駅を設置します。2014年度に着工し、2027年の開業を目指します。
建設費は5兆4000億円です。

Q:ところで、リニア新幹線は、これまでの新幹線とどう違うのでしょうか。

A:いろいろありますが、例えば、駅です。
品川駅では、東海道新幹線のホームは、地上にありますが、リニア新幹線のホームは、地下およそ40メートルのところにつくられます。

【画像】

Q:どうしてそんなに深くにつくるのですか。

A:地下40メートルより深いところは、「大深度地下」と呼ばれています。大深度地下は土地の買収をしないでも公共的な事業に利用できるという制度があります。都市部は用地買収が難しいですから、この制度を利用して建設されます。このため、駅も深くなるのです。

Q:地下40メートルの品川駅を出発した後は、現在の新幹線のように地上の高架の上を走るのでしょうか。

A:それが、そうではないのです。

【画像】

この図の太くなっている部分がトンネル部分です。

Q:ほとんどがトンネルで、地下鉄みたいですね。

A:そうなんです。全長の86%がトンネルです。都市部では大深度地下を利用し、山岳の部分では、なるべく良い地盤を直線的な最短のルートにしようと山を貫くと、トンネルが多くなるのです。
さらに地上部分も、多くは図にあるようなフードで覆われることになるとみられています。

Q:そうなると外の景色は、あまり楽しめないのでしょうか。せっかくの地上部分なのに、なぜフードで覆ってしまうのですか。

A:理由として大きいのは、騒音対策です。リニア新幹線は、いまの新幹線と同じ環境基準を満たす必要があります。浮いた状態で走るので、例えば同じ時速250キロであれば、いまの新幹線より静かですが、時速500キロで走ると騒音は大きくなってしまうということです。そこで近くに住宅があるケースなどでは、フードをつけて騒音を抑えるのです。
他にも、風、雪の影響を抑えるとか、軌道に動物が入ってくるのを防ぐといった効果も期待できるそうです。

Q:車内はどのようになっているのでしょうか。

A:車内はこちらの写真のようになっています。

【画像】

Q:いまの新幹線より狭いように感じますね。

A:リニア新幹線では、空気抵抗を減らすため、車体の幅を狭くしています。いまの新幹線とリニア新幹線の広さを車体の断面で比較した図を見てみましょう。

【画像】

いまの新幹線が通路をはさんで左右に計5席あるのに対して、リニア新幹線では計4席です。
車内の広さは、在来線の特急くらいのイメージです。
開業後は、全席が指定、16編成で、およそ1000人を運びます。
1時間に上り下り、それぞれ5本程度、運行されるということです。

Q:ところでリニアモーターカーは、どのようにして、走るのですか。

A:磁石の引きつけ合ったり、反発して離れようとしたりする力を利用しています。車両の前や、車両と車両の連結部分などの側面に超電導磁石という非常に強力な磁石があります。

【画像】

また、車両の両側には壁があって、この壁にコイル、つまりグルグル巻きの電線が取り付けてあります。コイルに電気が流れると磁石になります。この磁石と超電導磁石の間で働く力を使って進んだり、車体が浮いたりするのです。

Q:車体を浮かせるほどの強い磁石で、人の体に影響はないのでしょうか。

A:磁石の力の影響を抑える対策がとられています。
車体を上から見た図で、赤い線は「磁気シールド」です。磁気シールドは、鉄やアルミの板でできています。客室を囲むように設置され、乗客が受ける磁石の影響を抑えるようにしています。

【画像】

磁石の人体への影響についてはWHO・世界保健機関が推奨しているガイドラインがあります。
超電導磁石の影響は、車内では、そのガイドラインの400分の1以下に抑えられています。リニア新幹線がすれ違う時、反対側の車両の超電導磁石の影響を受けますが、これもガイドライン以下、沿線住民への影響もガイドライン以下に抑えられるということです。

Q:パソコンや、腕時計を持って乗っても大丈夫なのでしょうか。

A:大丈夫です。心臓ペースメーカーが正常に機能するための基準も満たしているということです。

Q:車体の図を見ると、先頭に窓がありませんが、運転士はどうやって運転しているのでしょうか。

A:実はリニア新幹線に運転士は乗っていません。運行を管理する「指令所」から遠隔操作されます。もちろん、乗務員は乗っていますけど。

Q:40分というと、名古屋も首都圏の通勤圏かと思うくらいですが、これだけ速いと運賃は高いのでしょうか。

A:JR東海では、東海道新幹線の「のぞみ」に比べて、700円増しくらいを想定しているということです。

Q:品川から新大阪に行く時は、名古屋で東海道新幹線に乗り換えることになりますね。

A:そうですね。ただ、乗り換えに時間がかかると、リニア新幹線の効果が薄れてしまいます。乗り換えには3分から9分くらいかかるので、列車の待ち時間も考えると、品川・新大阪間の時間短縮は、ダイヤにもよりますが30~40分くらいになるということです。

【画像】

リニア新幹線を新大阪まで伸ばした場合、品川・新大阪間は1時間7分です。
東海道新幹線より1時間10分ほど短縮されます。名古屋と新大阪の間の開業は、2045年というのが現在の計画です。
新大阪まで伸ばした方がリニア新幹線の特性は、より発揮されます。ただ、便利な一方で、日本の人口が少なくなる中で、どこまで需要があるのか、将来的な展望、予測を適切にしないと採算がとれなくなってしまいます。

Q:新しい技術を集約して実現する高速鉄道だけに、安全性もより高いものが求められますね。

A:トンネル部分が多いですから、火災などの緊急時の対応が重要になります。
トンネルには4~5キロ間隔で地上に出られる非常口が設けられます。1000人もの乗客を煙の充満しやすいトンネルで、どうやって素早く避難させるのか。避難や誘導の方法について検討し、乗務員に対する訓練も必要となります。
また、時速500キロの超高速で走行するだけに、保守点検も重要になります。軌道に異常が起きていることを見逃すと、大きな事故につながりかねません。品川・名古屋間の全長は286キロ。
保守点検をどのように行うと効果的なのか、そうした実務的な検証も求められます。



⑥ 日刊ゲンダイ 2013/09/27 from『日々坦々』の資料保存用ブログ
  恐ろしいファシズムが復活しているこの国 「お国」のために国民は見捨てられる
    http://asumaken.blog41.fc2.com/blog-entry-9925.html

安倍晋三という政治家の危険性が改めて浮き彫りになったのが、今度の訪米だ。
国連総会やニューヨーク証券取引所、保守系シンクタンクのハドソン研究所で講演したが、その中身には世界が唖然としたのではないか。

「もし、皆さまが私のことを右翼の軍国主義者とお呼びになりたいのであれば、どうぞ、お呼びいただきたい」
「私に与えられた歴史的使命は日本人に積極的平和主義の旗の誇らしい担い手になるよう促すことだ」
「(集団的自衛権を行使できない)問題にいかに処すべきか。いま真剣に検討している」
「米国が主たる役割を務める安全保障の枠組みにおいて、日本が弱い輪であってはならない」

いやはや、そのまんま、日本軍国主義宣言である。それを安倍は自分の「歴史的使命だ」と言った。
さて、日本人の誰がそんなことを安倍に頼んだのか。そもそも、積極的平和主義ってなんだ? すべては安倍の独り善がりの思い込みなのだが、大マスコミは安倍の妄言を無批判で垂れ流し、安倍の右傾化路線を後押ししている。

それが世界から異端視されているにもかかわらず、だ。軍事評論家の前田哲男氏はこう言った。
「積極的平和主義なんて言葉は初めて聞きました。おそらく、安倍首相は、国防費を増大させ、自衛隊を世界中に派遣し、米国と一緒に戦争できる体制にすることが抑止力となって、平和主義につながると言いたいのでしょうが、時代錯誤も甚だしい。米国が世界の警察として機能していたのは湾岸戦争までなんです。

米国が軍事力で紛争を抑え込もうとしても、シリアを見れば分かるように、無理なんですよ。それに安倍首相は気づいていないのですが、恐ろしいのは安倍首相の独善的な暴走を誰も止められないことです。周囲に自分と同じ考え方の取り巻き、学者グループを配置し、あたかも民意であるかのように装って集団的自衛権の解釈変更などを着々と進めているのがいい例です。民主主義国家なのに、こんなことが許されるのか。議会制民主主義の原則を無視した独裁的政治手法だと思います」

◆独裁者がひとりで右傾化にまっしぐら

軍事ジャーナリストの田岡俊次氏も「安全保障と防衛は根本的に違う」と言う。
防衛は仮想敵国の攻撃からいかにして身を守るかで、軍備が必要になる。「一方、安全保障は『いかに敵を少なくするか』なのであって、外交努力になる」と言うのである。
それを安倍は混同している。日米軍事同盟をかざして、「積極的平和」なんて、冷戦時代のような発想だ。

もちろん、米国だって、そんなもんを望んじゃいない。米中関係こそが大事なわけで、安倍の超タカ派東アジア外交をハラハラしながら見ている。
それに日本が集団的自衛権を行使するようになれば、日米軍事同盟は対等関係になり、日米地位協定の見直しにつながる。米国にしてみりゃ、一文のトクにもならないのだ。

それなのに安倍だけがコーフンし、「米国と一緒になって積極平和」なんてホザいている。そのために日本版NSCを設立し、秘密保護法を成立させ、個人の権利を制限しようとシャカリキだ。

勘違いの無能首相の暴走ほど怖いものはないが、まさしく、日本の置かれた状況がコレなのだ。

◆世紀のデタラメ減税も安倍が決める恐ろしさ

安倍の危ない独裁的手法は何も安全保障の問題にとどまらない。消費増税や、それに伴う経済対策の決め方もムチャクチャだ。

8兆円を増税し、5兆円を経済対策にバラまくデタラメもさることながら、この5兆円の目玉は大企業だけが恩恵を受ける法人減税なのである。それも東日本大震災の復興のために3年間だけ課していた法人税増税を前倒しして撤廃する。

庶民をいじめ、復興を切り捨て、大企業を優遇するなんて、果たして、まともな政治家がやることなのか。それを安倍は独断で決めたのである。
「あまりにも筋が悪い話で驚いています。法人減税はこれまでもやってきました。その結果、企業は巨額の内部留保を貯めたのです。つまり、いくら減税しても賃金アップにはつながらない。内部留保に回るだけ。それはハッキリしているのです。それじゃあ、なぜ、こんなことをやるのか。大企業にいい顔をしたいからですよ。増税と減税を組み合わせることで、財務省の言いなりじゃないことを誇示したいからですよ。景気対策なんて、バカも休み休み、と言いたくなります」(経済アナリスト・菊池英博氏)

企業再生が専門の弁護士、高井伸夫氏も「企業はいくら安倍首相が賃上げや雇用をお願いしても応じません」とこう言っている。
「いまだに企業は倒産に怯えているからです。賃上げか雇用か、と迫られれば、非正規社員を増やすと思う。それならいつでも切れるからです」

景気対策どころか、逆効果なのだが、経済オンチ首相の“見え”で、世紀のデタラメ減税が事実上、決まってしまった。税制には所得再分配や公平性という「哲学」や「見識」が必要なのに、浅薄な独裁者が何も考えずに決めてしまう恐ろしさ。そんな税制改正がこれまた、形骸化した国会審議を経て、自動成立してしまうのだから、ひどすぎる。

◆安部サマに奉仕が義務づけられる国になる

こんな調子で、安倍独裁首相は公約破りのTPPにも参加表明、いや、米国で安倍は「年内妥結に向けて日米がリードしていく」などと言っていた。

TPPなんて、日本の国益をそのまま米国に差し出すようなものなのに、その相手と一緒になって、「交渉を頑張ります!」というのである。

もう狂乱、錯乱首相というしかないが、そんな安倍がいまや、独裁者と化して、ますます、危険な暴政をエスカレートさせている。長期政権を見越して党内は沈黙、野党は無力、メディアは権力のポチ同然だから、本当にヤバイ状況だ。
「安倍首相の性格はひるまない、たじろがない、ぶれないところを見せたがるのです。思い込みで間違った方向に突き進んでも、絶対に修正しない。それがニューヨークでの『右翼の軍国主義者と思うのならどうぞ』という発言につながっているのだと思います。その方向性に深い思慮が伴っていればまだしも、論理的裏付けや思想信条があるわけではない。そこが怖くなりますね」(政治評論家・野上忠興氏)

神戸女学院大名誉教授の内田樹氏は「安倍首相はおそらく、日本を北朝鮮のようにしたいのだろう。金がある北朝鮮だ」と語っていた。

お国のため、将軍様のために、国民は自由を取り上げられ、奉仕を義務付けられる。そういう国だ。戦前の日本そのままである。
「まさか」と思うだろうが、デタラメ消費増税や秘密保護法なんて、まさしくそうだ。

しかし、大メディアはそれを警告しない。国民はポカンと口を開け、オリンピックに浮かれていると、この先、とんでもないことになるのを知るべきである。



⑦ 日刊ゲンダイ 2013/10/05 from『日々坦々』の資料保存用ブログ
  極めて危険 安倍変身の裏側 すべてを決めているこの男の本当の正体
    http://asumaken.blog41.fc2.com/blog-entry-9981.html

東京五輪の開催決定を受け、自民党の招致推進本部が3日に党本部で報告会を開いた。
参加議員の意見交換になると、安倍への露骨なヨイショ発言が飛び交っていた。
「安倍総理の本当に犠牲精神あふれる努力が招致実現の大きな力となった」(大西英男衆院議員)、「汚染水をどう扱うか。最終プレゼンでの総理の決断を間近で見て、とても感動した」(若林健太・前外務政務官)といった調子で、臆面もなく安倍をヨイショ。安倍本人は出席していないのに、ひたすら褒めちぎっているのだから、ブキミだった。

最終プレゼンで安倍が世界をだました「原発コントロール」発言が、どうして「犠牲精神」や「感動」に結びつくのか。全く理解に苦しむのだが、それだけ党内は「安倍サマサマ」ムード一色ということだ。

この日、推進本部の事務局長として司会・進行を務めたのは、萩生田光一衆院議員。安倍に自民党総裁補佐という肩書を与えられ、安倍の別荘にも招待される「最側近」のひとりだ。安倍礼賛が側近を通じて、本人の耳に届けば、覚えもめでたくなる。安倍が気を良くすれば、地元に五輪関連の予算をつけてくれるかもしれない。見え透いたヨイショには、そんな魂胆もあるのだろう。

さながら「金正恩マンセー」のような自民党内の光景だったのだが、これでは安倍もツケ上がるわけだ。周囲に「俺のおかげで増えた税収だから、どう使うかは俺が決める」と豪語し、消費増税と大企業優遇の経済対策を官邸の独断で決めてしまう。税収の使い道を議論すべき国会は4カ月近くも開こうとせず、自民党税調内で復興特別税の廃止に異論が出ても、「反対するなら総入れ替えだ」と恫喝して、黙らせてしまう。

民主政治を完全否定したような安倍官邸の暴走なのだが、なるほど、自民党内が「安倍さま、バンザイ」というムードならば、これも当然の帰結かもしれない。

それにしても、不思議なものだ。安倍は6年前に腹痛と下痢に苦しめられ、ほとんど何もできずに政権を放り出した無責任男だ。世間に散々「無能」のレッテルを貼られ、一時は本気で議員辞職を考えるほど落ち込んでいたという。かつての「史上最低の首相」が、今や、すっかり独裁者気分で舞い上がっているのである。安倍のハイテンションは持病を治すためのラドン治療の“副作用”ともいわれているが、それだけでもないだろう。黒幕か誰か裏にいるのか。安倍変身の裏側には一体、何が潜んでいるのか。これを解き明かせば、独裁者気取りの薄っぺらい正体も見えてくるだろう。

◇倍をのさばらせる黒幕の正体

安倍が大手を振ってデカイ顔していられるのは、「向こう3年間、国政選挙がないため」といわれている。衆参の圧倒的な議席数が揺るがなければ、与党内も霞が関も従うしかない。だから、法制局長官の交代のようなデタラメ人事にも皆、沈黙しているのだが、それは表向きの理由である。

安倍がのさばっていられるのには、裏がある。安倍変身の背後にはさまざまな「黒幕」が存在する。特に大きいのは「財界」と「メディア」を味方につけたことだ。

就任以来、安倍がやっていることは、財界を喜ばせることばかりだ。公共工事の大盤振る舞いに始まって、経団連が推進するTPP参加にも前のめり。原発事故はてんで処理できないくせに、財界の要望とあらば、原発再稼働に積極姿勢となり、原発技術を海外にトップセールスで売り込む。産業競争力会議のメンバーに楽天の三木谷社長を加えるなど、新興財界にも目配りする。

揚げ句が、今回の法人税の大減税である。
「安倍首相は、消費税アップで庶民に痛みを押し付けながら、大企業の法人税はまけてやる。復興法人税の廃止で被災地を置き去りにする。増税の大義名分は社会保障の充実だったはずなのに、年金の受給額をカットし、高齢者の医療費を倍増させる。庶民を石ころのように扱っても、財界を味方につければ、政権は安泰。安倍首相の経済政策は、そんな歪んだ考えが透けて見えるかのようです」(筑波大名誉教授・小林弥六氏=経済学)

一方、大メディアは完全に安倍政権のポチと化している。安倍は就任早々から、大手マスコミ幹部と高級レストランで会食・懇談を重ねてきた。フジテレビの日枝会長のように一緒にゴルフを楽しむ経営者もいる。元NHK政治部記者で元椙山女学園大教授の川崎泰資氏はこう言う。

「メディアの経営者が堂々と政権トップと会食するなんて、欧米先進国では考えられないことです。権力の監視こそがメディアの使命で、政権中枢との接触はタブー視されています。それなのに、安倍首相はぶら下がり取材を拒否しながら、メディアをえり好みして幹部を呼び出す。恭順の意を示せば、単独取材に応じるなど便宜を図る。“お近づき”になれないメディアの焦燥感を募らせる狙いもあるのでしょう。こうして御用メディアを通じて、自分の都合の良い時だけ情報発信できる体制を作った。唯々諾々と従っている日本のメディアは本当に情けない限りです」

◇戦後否定派に支えられた病的な〝躁状態〟

もっとも財界やメディアの安倍応援団は表向きで、その裏には日本の「保守勢力」という妖怪がいる、それこそが安倍の本当の黒幕なのだろう。政治評論家の森田実氏はこう言った。

「私は敗戦直後から戦後社会を見続けてきましたが、先の大戦に無反省の勢力は必ず存在し、陰に陽に政界に影響を及ぼしてきた。なぜ、日本だけが戦争犯罪に問われるのか、欧米諸国も同じことをやったではないかという考えから、『押しつけ憲法を潰せ』と、戦後日本を否定してきたのです。しかも日本の保守勢力の主流は、従米右翼だからタチが悪い。特にレーガン政権の頃から共和党系の『ジャパンハンドラー』たちと結託し、勢力を広げ、この国の右傾化を進めたのです」

こうした勢力が「民主党が潰れた今こそチャンス」とばかりに安倍政権を支えている。個人より国家が大事、平和国家より戦争ができる国を目指して、憲法を変えようとしている。

そんな黒幕の期待に応えようと、妙な使命感に高揚しているのが、今の安倍だ。政治評論家の野上忠興氏は「安倍首相の自信は虚勢だ」とこう言う。

「演説ひとつとっても、自信マンマンに見えますが、裏では身ぶり手ぶり、ひと呼吸のタイミングまで練習しているのです。今度は失敗できない。そのトラウマを隠すための虚勢で、つまり、本人も走り続けるしかないと分かっているのでしょう」
だとすると、安倍のハイテンションは歪んだ保守勢力に支えられた病的な“躁状態”と言えるかもしれない。恐らく安倍はさらに右傾化を加速させ、中韓叩きに血道を上げるのだろう。安倍独裁の下で、この国は極めて、グロテスクで危険な道を歩もうとしている。



⑧ 阿修羅 2013/10/09 4:00
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 1 極めて危険 安倍変身の裏側 すべてを決めているこの男の本当の正体
   (日刊ゲンダイ)赤かぶ
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 2 西川失言でばれてしまった安倍自民党政権と万歳全中会長の密約
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 6 特捜部―巨悪があるからでない。政治的反対勢力を潰す政治目的に為に動く、それが又復活ー
   孫崎 享  赤かぶ
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 7 安倍政権のTPP詐欺実態が次々と明るみに出る
   (植草一秀の『知られざる真実』)笑坊
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 10 〈大嘘つき自民党〉TPP、聖域の農業5品目も撤廃対象へ!
 自民のHPには「例外なき関税の撤廃は論外」と書かれているのに・・
    赤かぶ
   906
 11 あってはならぬ最高裁の法律違反
   」(EJ第3646号) (Electronic Journal-3646号)赤かぶ
   872




⑨ あってはならぬ最高裁の法律違反

2013年10月03日
「情報開示請求を順守しない検察審」(EJ第3644号)
   http://electronic-journal.seesaa.net/article/376353412.html

 東京第5検察審査会が小沢一郎氏に出した「起訴相当」議決の日を再現します。
―――――――――――――――――――――――――――――
   ◎第1回「起訴相当」議決/2010年4月27日    ◎第2回「起訴相当」議決/2010年9月14日
―――――――――――――――――――――――――――――
 第2回目の「起訴相当」議決から検証していくことにします。議決は2010年9月14日に出ていますが、その日は民主党代表選挙の日です。検察審査会関係者は「あくまで偶然」を装っていますが、代表選のドロドロした状況を考えると、素直には偶然とは思えないのです。

 まずやるべきことは、第2回の「起訴相当」を議決した検察審査会が、いつ審議を行ったのかを知る必要があります。これについては、森ゆうこ参院議員(当時)と、志岐武彦氏や「市民オンブズマンいばらぎ」事務局長の石川克子氏らが、別々に情報入手に挑戦したのです。

 検察審査会の開催状況を事件ごとに把握できる「審査事件票」というものがあります。審査事件票には、審査期間、会議回数、検察官などの出席者の延べ人数、審査補助員の延べ出頭数などが記載されているので、小沢氏に関する事件の審査事件票を入手できれば、少なくとも9月14日までの検察審査会の開催状況がわかるはずです。

 実は、小沢氏に関する審査事件票については、既に日刊ゲンダイ紙が、第5検察審査会に対して、情報公開法に基づく情報開示請求を行ったところ、必要事項がすべて塗りつぶされた審査事件票が届いていたのです。志岐氏らのグループもこれと同じ目に何度もあっています。

 情報公開法は、正式には「行政機関情報公開法」といい、国の行政機関が保有する情報の公開(開示)義務を定めたもので、国民から情報の開示を求められたときは、当該行政機関はそれに応ずる義務があります。

 日刊ゲンダイ紙は、その法律に基づいて情報開示請求をしているのに、すべてを黒塗りの審査事件票を出してくるのでは、情報開示にはならず、本来それは許されることではないのです。

 なぜなら、情報公開法が施行される2001年4月1日の直前の3月29日付で、最高裁判所事務総局刑事局長・白井勇名で、全国の検察審査会事務局長宛に「最高裁刑─第108号」という通達が出されているからです。通達の趣旨は次の通りです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 1.定義
   この通達において「検察審査会行政文書」とは、検察審査会事務局の職員が職務上作成し、
   又は取得した検察審査会行政事務に関する文書であって、検察審査会事務局の職員が組織
   的に用いるものとして、検察審査会が保有しているものをいう。
 2.開示の原則
   検察審査会事務局長は、検察審査会の保有する検察審査会行政文書の開示を求められた場
   合は、何人に対しても、当該検察審査会行政文書を開示するものとする。
             ──「最高裁刑─第108号」より
―――――――――――――――――――――――――――――
 この定義によると、審査事件票は「検察審査会行政事務に関する文書」であり、「検察審査会が保有しているもの」に該当するので情報開示の対象になります。

 森ゆうこ参院議員(当時)は、何とかしてこの黒塗り文書の黒塗りを外させようとしたのです。森氏は与党の国会議員であり、予算委員会の理事をやっていたので、最高裁の事務総局と刑事局のスタッフを事務所に呼んで話を聞いたのです。

 そのさい、審査事件票を提出して欲しいが、個人情報以外のところは黒塗りを外してくれと念を押したのです。ところが何日かたって、検察審査会は「出せない」と断ってきたのです。理由を聞くと、「非公開だから」という返事です。

 そこから森氏は最高裁と大議論を展開します。森氏は最高裁が各検察審査会に通達を出し、種々の報告をさせている事実を掴みこれに基づき、次のように最高裁を追い詰めたのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 森議員:何のために検察審査会に報告をさせているのか。
 最高裁:予算の適正な執行状況確認と統計データの集約のために報告させている。
 森議員:通達というのは命令である。何の権限があって命令しているのか。
 最高裁:予算の計上のために必要である。
 森議員:それなら私の場合も同じではないか。立法府の一員として予算委員会の理事として、
     予算が適正に執行されているかをチェックする必要がある。
 最高裁:部内で検討したが、やはり出せない。
 森議員:検察審査会は独立しており、どこからも命令を受けないはずではないか。
 最高裁:「非公開」と「独立」の原則だけはどうしても守らなければならない。
 森議員:その原則は最高裁も守らなければならない。最高裁が報告を求めている資料は「非
     公開」の原則の対象でないものを報告させていることか。それとも無理やり出させ
     たのか。
 最高裁:違う。そんなことはない。
 森議員:それなら出せるはず。最高裁と同じ目的で私が使うことに何も問題はないはずであ
     る。  ──森ゆうこ著『検察の罠/小沢一郎抹殺計画の真相』/日本文芸社
―――――――――――――――――――――――――――――

≪画像および関連情報≫
●そこまでやるか!法務・検察!!/ゲンダイのみかた
―――――――――――――――――――――――――――――
 森議員といえば、これまで「陸山会事件は冤罪だ」と主張し続け、検察捜査のデタラメを追及してきた議員のひとり。不適格な検事を罷免できる「検察官適格審査会」のメンバーでもある。検察にとっては目の上のタンコブみたいな存在だ。もし、この恫喝発言が事実なら、検察の“特高化”と言うしかない。森議員に詳しい話を聞いた。「小沢元代表が起訴された1月31日、大メディアの司法記者が『検察内部にこんな話があります』とこういうことを言ってきたのです。『ある検察幹部が、私の調査にナーバスになっていて“鉄槌を下してやる”と言っている。私の不祥事を探している』と。検察が事件を捏造(ねつぞう)すれば、議員ひとりを潰すことくらい簡単にできる。この検察幹部は、現場の検事ではなく法務省幹部です。名前はあえて伏せておきますが、私に何かあったら、検察にやられたと思ってください」。検察幹部がナーバスになっている「調査」とは、おそらく、小沢元代表に起訴議決を下した素人集団・検察審査会の実態調査だ。森議員は矛盾、デタラメを暴き、疑惑の核心に迫っていた。そのひとつが審査員11人の“怪しい”選考方法だ。審査員は各自治体の選管から送られた名簿から無作為で選ばれるとされるが、検察審査会事務局が抽選に使用する「くじ引きソフト」を調べてみると呆れるほどインチキくさい代物だった。



2013年10月04日
「苦労の末判明した検察審の審査日」(EJ第3645号)
   http://electronic-journal.seesaa.net/article/376447019.html

 森ゆうこ議員(当時)の論理的な追及に、最高裁(事務総局)は、遂に黒塗りを外した小沢一郎氏に関わる審査事件票を提出してきたのです。

 おかしいのは、なぜそこまでして隠蔽しようとしたかです。情報公開法に基づく行政文書の開示請求ですから、検察審査会は提出する義務があるのです。それでも隠そうとするのは、開示したくない事情があるからです。

 検察審査会第3条によると、検察審査会はあくまで独立した組織ということになっています。これが「独立性の原則」です。さらに検察審査会第26条では、検察審査会議の内容は公開しないことを原則としています。これが「非公開性の原則」です。
―――――――――――――――――――――――――――――
 【検察審査会法第3条】
  ・検察審査会は、独立してその職権を行う → 独立性
 【検察審査会法第26条】
  ・検察審査会議は、これを公開しない   → 非公開
―――――――――――――――――――――――――――――
 しかし、検察審査会の予算と人事権は最高裁事務総局にあります。そのため、予算の執行状況のチェックと統計データの収集のため検察審査会から、必要な書類を提出させており、命令も出しています。したがって、実際上は検察審査会は最高裁事務総局の下部組織なのです。その証拠に、最高裁事務総局刑事局長から検察審査会に通達が出されています。

 それなら、組織上の位置づけをはっきりさせるため、検察審査会を事務総局の下部組織にすればよいのですが、そうしてしまうと、検察審査会の独立性と非公開の原則をアッピールできなくなり、最高裁としては都合が悪いのです。そのため、事実上は下部組織であるが、外へはそうでないように見せている──そういうことになります。こんなことはあってはならないことです。なぜなら、国民に知られずに最高裁は検察審査会をコントロールできるからです。

 森氏はそこを衝いたのです。「最高裁といえども検察審査会の独立性と非公開の原則を守る必要がありますね」と最高裁事務総局にいい、イエスを引き出しています。

 そのうえで、「それなら、予算執行のチェックなどのために検察審査会から提出させている審査事件票などの資料は、あくまで非公開の原則に該当しないものということになりますね」と詰め寄っています。理屈からいえばその通りで、最高裁はこれにもイエスといわざるを得なくなり、審査事件票の黒塗りを外して森氏に提出することになったのです。

 しかし、これで終わりではなかったのです。資料は33枚提出されたのですが、肝心の2回目の分の審査事件票が含まれていないのです。これについて、森氏は最高裁に対して次のように反論したのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 私は「なぜ2回目の分がないの?もし本当にないのなら、今からでも作るべきだ」と問い詰めた。さらに、予算委貞会の筆頭理事として、もしも審査事件票を出さないなら、予算委貞会で最高裁の予算案を追及するという姿勢をちらつかせた。実際に党の法務部会で問題提起し、「検察審査会の適正な予算執行が確認できなければ、来年度予算案を認めることはできない」と確認した。おそらく「こいつはやると言ったらやるなと思ったのだろう」。
   ──森ゆうこ著『検察の罠/小沢一郎抹殺計画の真相』/日本文芸社
―――――――――――――――――――――――――――――
 ここまでやられれば、最高裁といえども白旗を上げるしかないでしょう。与党の議員はやろうと思えばここまでやれるのです。要はやる気があるかないかの問題です。

 森ゆうこ氏は先の参院選で残念ながら落選しましたが、これで最高裁関係者は胸を撫で下ろしたことでしょう。森ゆうこ氏には次回の選挙にはぜひ頑張ってもらって、検察審査会の問題点を改正して欲しいものです。自民党ではまったく期待できません。

 このようにして、やっと2回目の「起訴相当」議決を出すまでの第5検察審査会の日程が明らかになってきたのです。それは、次の日程です。
―――――――――――――――――――――――――――――
 2010年 7月13日(火)
 2010年 7月27日(火)
 2010年 8月 4日(水)
 2010年 8月10日(火)
 2010年 8月24日(火)
 2010年 8月31日(火)
 2010年 9月 6日(月)
 2010年 9月14日(火) 起訴議決
 2010年10月 4日(月) 議定書作成、署名、掲示
    ──森ゆうこ著の前掲書より
―――――――――――――――――――――――――――――
 この検察審査会開催日が正しいとすると、新聞報道と合わなくなってくるのです。9月8日付、朝日新聞は次のように報道しています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 小沢一郎・前民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」の土地取引事件で、東京第5検察審査会の審査を補助する弁護士が選ばれたことが分かった。2004年、05年分の政治資金収支報告書をめぐる政治資金規正法違反(虚偽記載)容疑について、小沢氏を強制的に起訴するかどうかの審査が本格化するとみられ、10月末までに結論が出る公算が大きい。
    ──2010年9月8日付、朝日新聞より
―――――――――――――――――――――――――――――
    ─── [自民党でいいのか/67]

≪画像および関連情報≫
●森ゆうこ前議員の置き土産/検察審査会法改正案提出
―――――――――――――――――――――――――――――
 生活の党・民主党・社民党の三党にて共同提案致しました。指揮権発動を決意し、更迭された小川敏夫元法務大臣にも提案者に名を連ねて頂いた。検察審査会法改正案を提出した後記者会見を行いました。その後、各会派及び、法務委員長や理事会メンバーに対して、法案審議の実現に向けて協力をお願いに回りました。本日の提出までに、各政党の部会などで法案の説明を繰り返し行ってきました。議員立法が提出・審議・採決まで至るのは稀なケース。幅広く賛同を得られるものでなければ少数会派は提出さえおぼつきません。賛同を得られるように、「非公開の原則」と施行されて間もない「強制起訴制度」は維持しつつ、ブラックボックスの弊害を出来るだけ無くすことを優先しました。検察が「ねつ造捜査報告書」で検察審査会を悪用した事実がある以上、放置すれば全ての国民が人権侵害にあう可能性があります。警察の証拠ねつ造も再び話題になっています。検察審査会法改正は国民の基本的人権を守るために改正を早急に行う必要があります。



2013年10月07日
「あってはならぬ最高裁の法律違反」(EJ第3646号)
   http://electronic-journal.seesaa.net/article/376798549.html

 小沢一郎氏に関わる2回目の東京第5検察審査会の開催回数は次の通りです。
―――――――――――――――――――――――――――――
         7月 ・・・・・ 2回
         8月 ・・・・・ 4回
         9月 ・・・・・ 2回
        10月 ・・・・・ 1回
―――――――――――――――――――――――――――――
 小沢氏に対する2回目の「起訴相当」議決は、2010年9月14日(民主党代表選投票日)に行われ、10月4日に発表されています。しかし、発表後の10月6日付、読売新聞は次のように書いています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 関係者によると、11人の審査員たちは、お盆休みのある8月中は隔週でしか集まれなかったが、9月に入ってからは、平日に頻繁に集まり審査を行った。9月上旬には、「起訴議決」を出す場合に義務付けられている検察官の意見聴取も行った。意見聴取では、東京地検特捜部の斎藤隆博副部長が1時間以上にわたって説明。斎藤副部長は「元秘書らの供述だけでは、小沢氏と元秘書らの共謀の成立を認めるのは難しい。有罪を取るには、慎重に証拠を検討することが必要です」などと、審査員らに訴えたという。
    ──2010年10月6日付、読売新聞
―――――――――――――――――――――――――――――
 森氏が最高裁事務総局に提出させた検察審査会の2回目の審査日が正しいとすると、読売新聞は明らかに事実と異なることを報道しています。

 「お盆休みのある8月中は隔週でしか集まれなかった」というが、毎週1回ずつ4回集まっています。「9日に入ってからは平日に頻繁に集まり審査を行った」というが、9月は2回しか集まっていないのです。2回では「頻繁」とはいわないでしょう。しかも、14日は「起訴相当」議決を出した日なのです。

 それにしても読売新聞社はどうしてこんなに詳しい情報を知っているのでしょうか。検察審査会の審査会議は「非公開」が原則なのです。そのため、森ゆうこ氏は最高裁をあれだけ問い詰めてやっと開催日だけ知ったのに、新聞は審査会議の内容を詳しく報道しています。いったいどんな取材をしたのでしょうか。

 当然最高裁事務局が報道機関に情報をリークしています。これは最高裁自ら「独立性」と「非公開」という2つの原則を破る法律違反を犯しています。最高裁が法律違反!?──絶対にあってはならないことです。

 新聞記事の内容を読むと、国民の代表である審査員が何日もかけて審査会議を開いて真摯に議論し、東京地検特捜部の斎藤隆博副部長の意見も聴取して「起訴相当」議決を出した様子がうかがえる内容になっています。前記の読売新聞記事の後半部分には次のような記述も載っているのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 起訴議決が出たのは、民主党代表選当日の9月14日。第5検察審査会の定例の審査日は毎週火曜日で、この日は偶然、審査日にあたっていた。ただ、この日に議決を出すことが予定されていたわけではなく、議長役を務める審査会長が審査中に「議決を取りますか。それとも先にのばしますか」と提案したところ、審査員から「議論は煮詰まった」との声が上がり、議決を出すことになった。議決の後、「こんな日になっちゃったね」と漏らす審査員もいたという。多数決の結果、起訴議決が出たのは午後3時頃。代表選で開票の結果、小沢氏の落選が決まったのはその約30分後だった。
    ──上記日付、読売新聞より
―――――――――――――――――――――――――――――
 検察審査会は、検察審査員の氏名はもちろんのこと、生年月日さえ個人情報であるとして教えないのです。それなのに新聞社は検察審査員を特定し、インタビューまでしている──そうでないと、書けない記事です。

 2回目の「起訴相当」議決を出した第5検察審査会の開催日の情報は最高裁事務総局から出されています。また、新聞記事のソースも最高裁事務総局からのリークでない限り、新聞社は知るすべはないはずで、これも最高裁が出しているはずです。しかし、両方見るとわかるように、両者は明らかに矛盾しています。どちらがウソか、両方ともウソかです。

 おそらく最高裁事務総局の考えはこうでしょう。9月14日というきわめて疑わしい日に議決をしているのです。したがって、審査会議の非公開の原則を守って、2回目の「起訴相当」議決だけの発表をすれば、この議決を疑う人が多く出てくる可能性があります。そうすれば、審査会議内容の開示を迫る世論が強くなる恐れがあります。

 そこで審議内容や結果を大新聞社やテレビで流してしまえば、その内容に多少矛盾があったり、真実でないことが含まれていたとしても、メディアの情報をそのまま鵜呑みにする日本人はかなり多いので、やがてそれが「真実」になる──そう考えたのではないかと思います。

 読売新聞記事の1日前の10月5日には、朝日新聞社も次のタイトルの記事で、本来知るはずのない審査会議の詳細な記事を載せています。
―――――――――――――――――――――――――――――
     「強制起訴/市民の選択①」
  検察側「慎重な上にも慎重な審査」
    ──2010年10月5日付、朝日新聞
―――――――――――――――――――――――――――――
 最高裁事務総局は「非公開」を盾にして、一貫して知らぬ存ぜぬを主張していれば、メディアを味方にとっているので、尻尾を掴まれることはないと踏んでいます。国民を頭からなめきっているのです。
     ─── [自民党でいいのか/68]

≪画像および関連情報≫
●板垣英憲「マスコミに出ない政治経済の話」/強制起訴
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 小沢一郎元代表が2011年1月31日、東京第5検察審査会の議決に基づき強制起訴された。2010年9月14日の議決から4か月半も経ての起訴である。この意味で、検察審査会というものの機能、性格に様々な疑問、というより疑惑を与えており、これが刑事事件を審査するのに相応しい機関であるかという根本的な疑念を抱かせている不可解な存在である。以下、疑問、疑惑、疑念を思いつくままに列挙しておこう。

 ①小沢一郎元代表を検察庁に告訴、検察審査会に審査申立てした「市民団体」、その代表者は、一体何者か。東京地検特捜部、検察審査会ともに秘密にしているのは、刑事事件の訴訟手続き上、明らかにおかしい。とくに検察審査会の政治的利用という疑義がある。

 ②検察審査会に審査申立てした「市民団体」、その代表者はそもそも申立人となる資格を持っていたのか。国会議員が国民全体の代表である政治家であるからと言って、国民のだれもが審査申立人になれるというのは、利害関係があまりにも抽象的ではないか。「訴えの利益」は、厳密であるべきではないか。そうでなければ、国会議員をだれかれも無制限に人民裁判にかける危険が生まれる。政治的背景を調べ上げる必要がある。

 ③米国流の検察審査会の性格が、一体、検察機関なのか、裁判機関なのか、三権分立制度のなかでの位置づけが、不明であり、その存在形体が曖昧である。

 ④検察官役の弁護士の選任権は、とこに属するのか、これもまた不明である。公務員であるなら、公職選挙で選ばれるべきではなかったのか。



2013年10月08日
「9月14日第5検察審議決の疑惑」(EJ第3647号)
   http://electronic-journal.seesaa.net/article/376805537.html

 10月4日に志岐武彦氏から、審査会議の日程を明らかにさせたのは、森ゆうこ氏ではなく、いばらぎオンブズマンの石川克子氏が、会計検査院と東京地裁に「歳出支出証拠書類」の情報開示請求をし、それを森ゆうこ氏に提供したものであるとの連絡がありましたので、ご紹介させていただきます。

 検察審査会による2回にわたる「起訴相当」議決には、多くの疑問があります。現在は、森ゆうこ氏の本による主張に基づいて書いています。そのあと、志岐武彦氏の主張に基づいて書く予定でいます。そのうえで、この不可解な2回の「起訴相当」議決の真相を読者に推理していただきたいと考えています。

 2010年9月14日に第5検察審査会は、小沢一郎氏に対し2回目の「起訴相当」議決を出し、10月4日にそれを発表しています。ここで、疑問なのは次の2つのことです。
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   1.なぜ、民主党代表選当日に急遽議決をしたのか
   2.なぜ、10月4日までその発表を延期したのか
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 第1の疑問です。「なぜ、民主党代表選当日に急遽議決をしたのか」について考えます。

 もともと東京第5検察審査会は、9月から10月にかけて集中的に審議して10月末に議決を行う予定だったのです。それは、2010年9月8日付の朝日新聞の記事(EJ第3645号を参照)と一致します。ちなみに他紙も同様の記事を伝えているのです。明らかに最高裁事務総局によるリークと思われます。

 この記事によると、第5検査審査会の審査を補助する弁護士である審査補助員が選定され、審査が本格化することを伝えています。それなのに9月14日に議決しているのです。きわめて唐突という感じです。しかも、議決は代表選投票の30分前に行われているのです。そこに何があったのでしょうか。

 民主党代表選の当日に、第5検察審会は候補者の1人である小沢一郎氏に関わる2回目の議決を行い、しかも投票の30分前に「起訴相当」議決を決めています。30分あれば民主党の反小沢陣営にそのことを伝えることは物理的に可能です。とても無関係とは思えないのです。

 なぜそんなことをするのか。それは、民主党の代表選では菅陣営の旗色が悪く、もし負けると、小沢一郎氏が総理大臣になってしまうからです。これだけは、「米・官・業・政・電」利権複合体──それに民主党反小沢派にとっては、絶対に阻止しなければならず、多少の危険があってもやる可能性があります。

 この問題は、改めて追及するとして、第2の疑問の検討に移ります。「なぜ、10月4日までその発表を延期したのか」の疑問です。その答えは森ゆうこ氏が出しています。森氏の推理を基にして述べます。

 森ゆうこ氏は提出された資料を突き合わせて、検察審査会の各開催日にどの審査員が参加したかという「出席簿」を作成しています。審査員の名前は黒塗りされていますが、審査員にはコード番号がつけられているので、誰がいつ審査会に出席したかは特定できるのです。

 既に述べているように、検察審査会は審査員が11人揃わないと開くことはできないのです。そのため、原則として審査員11人と補助員11人が出席することになっています。

 そこで、審査員を1~11、補助員をA~Kとして、9月14日の出席状況を示します。
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  ◎2010年9月14日検察審査会出席者
    ・審査員 ・・・・ 9人(1~9)
    ・補充員 ・・・・ 9人(A~I)
    ・審査員5が早退
  ◎審査員11人の選定(補助員から3人をクジで選定)
    ・審査員 1~9
    ・補充員 C、B、F
     ──森ゆうこ著『検察の罠/小沢一郎抹殺計画の真相』/日本文芸社
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 14日の「起訴相当」議決は、審査員1~4、6~9と補助員からクジで選定されたC、B、Fの11人によって議決されています。当日の審査員と補充員はそれぞれ9人出席しています。

 実はこの日は議決日ではなかったのですが、急遽議決をすることになったようです。2010年10月6日付の読売新聞の再現ですが、「議長役を務める審査会長が、審査中に『議決を取りますか。それとも先にのばしますか』と提案したところ、審査員から『議論は煮詰まった』との声が上がり、議決を出すことになった」とあり、一致します。しかし、その日は議決の予定日ではないので、議決書を用意していなかったのです。そこで、議決書に審査員にサインしてもらうため、もう1日必要になったのです。それが10月4日です。

 ところで、10月4日の出席簿をみると、審査員1~9、補充員A~Iの18人。審査会議を始めるには補充員からクジで2人を選定すればよいのです。しかし、議決に参加した人は、なぜか前回よりも1人多い3人で、補充員は前回と同じC、B、Fになっています。クジで選んで、同じC、B、Fが選ばれるはずがないので、検察審査会法に違反しています。そうした理由について森氏は次のように述べています。
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 なぜ、ルール違反を犯してまで3人の臨時審査員が選出されたのか。理由は明らかだ。前回の議決に参加したメンバーが署名しなければ議決書は無効になる。有効な議決書を作るためには何としても前回と同じメンバーをそろえなければならなかったのだ。
     ──森ゆうこ著の前掲書より
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             ─── [自民党でいいのか/69]

≪画像および関連情報≫ ●『検察の罠 小沢一郎抹殺計画の真相』はなぜ売れた?
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 ――政治関連の本が売れない時代にあって、本書はすでに5万部発行。その要因とはなんでしょうか? 森議員:過激なタイトルがよかったんでしょうか?(笑)西松建設事件や陸山会事件発生後の約3年間、新聞やテレビなどの大手マスメディアでは、「小沢一郎は、政治とカネの問題で真っ黒である」という情報が毎日洪水のように流されてきました。一方、ネット上では一連の小沢先生の問題に関する検察の動きに対して疑問の声が上がっており、私もネットを通して、真実はどこにあるかについて発信してきました。そしてこの4月、小沢先生の裁判は一審で無罪判決を受けました。これらの問題は、本当に複雑でいびつなので、その全体像をわかりやすく知りたいという国民のニーズと本書の内容が合致したのではないでしょうか。私自身、一般にはなじみのない、検察審査会や政治資金規正法の問題を書くにあたって、難しくならないよう気をつけました。それと、まるで推理小説を読むような感じで、「小沢一郎抹殺計画の真相」に近づいていくというスリリングさも出ているのかもしれません。こういうとフィクションのようですが、驚くべきことにノンフィクション。ここに書いていることは、全部事実なのです。








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