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折々の記 2013 ⑥
【心に浮かぶよしなしごと】

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【 02 】10/25

  10 25 アベノミクスで日本の富580兆円消失  
  10 26 みのもんた、次男不祥事により報道番組自粛  
  10 26 時論公論「NSC設置法案と特定秘密保護法案」  
  10 26 EU、米の盗聴解明へ合意 英紙は新たな疑惑報道  
  10 26 米の盗聴疑惑止まらず、独メルケル首相の携帯も 「友人監視」強い批判  
  10 26 (社説)米盗聴疑惑 同盟の信義にかかわる  
  10 26 (社説)米の情報監視―自由の原則を見失うな  
  10 26 「米は真実を隠し通せない」 内部告発のスノーデン氏  

 10 25 (金) アベノミクスで日本の富580兆円消失

★阿修羅♪ > 経世済民83 > 388.html
  アベノミクスで日本の富580兆円消失 クレディ・スイスが衝撃リポート (日刊ゲンダイ)
      http://www.asyura2.com/13/hasan83/msg/388.html
     投稿者 赤かぶ 日時 2013 年 10 月 23 日

     アベノミクスで日本の富580兆円消失 クレディ・スイスが衝撃リポート
        http://ch.nicovideo.jp/nk-gendai/blomaga/ar373124
        「日刊ゲンダイ」チャンネル

        http://asumaken.blog41.fc2.com/blog-entry-10097.html
        2013/10/22 日刊ゲンダイ

 アベノミクスで日本の富の20%が消えた――!? こんな衝撃的なリポートが話題を呼んでいる。クレディ・スイスが毎年発表している世界の富に関する報告書「グローバル・ウェルス・レポート」の2013年度版だ。

 この報告書によれば、日本の富裕層はアベノミクスで激減。12年6月から今年6月までの1年間で、100万ドル(約1億円)の純資産を持つミリオネアの数は130万人も減ったというのだ。日本に次いで富裕層が減ったのはブラジルだが、減少数は約1万2000人だから、日本の減り方は異常と言える。

   この報告書によれば、日本の富裕層はアベノミクスで激減。12年6月から今年6月までの1年間で、100万ドル(約1億円)の純資産を持つミリオネアの数は130万人も減ったというのだ。日本に次いで富裕層が減ったのはブラジルだが、減少数は約1万2000人だから、日本の減り方は異常と言える。

 日本全体の資産で見ると、なんと5・8兆ドル(約580兆円!)が失われたと書かれている。これは日本の富のおよそ20%にあたる。

 ショッキングな数字にはカラクリがあって、アベノミクスで大幅な円安に振れたためだ。日本人は資産を円で預金している人がほとんどだが、同じ1000万円でも、円の国際価値が下がれば、世界的に見た財産は目減りしてしまう。それで、富裕層の数も激減したのだ。

 経済アナリストの菊池英博氏が言う。

「今年上半期の貿易収支を見ると、約5兆円の赤字でした。過去最大の赤字幅ですが、これも円安の影響で、エネルギーなどの輸入コストが高騰しているせいです。極端な円安によって、フローで見れば所得の移転、ストックで見れば評価損が起こっている。円安で輸出企業が儲かったといっても、為替のおかげで輸出額が増えただけで、数量ベースでは増えていない。アベノミクスの異次元緩和と円安誘導によって、国民の富がどんどん海外に流出しているのです。円安は国力を失わせ、国民の富をいや応なく奪っていく。国民生活にとって何もいいことはありません」

 安倍首相が盛んにアピールするGDP成長率も、ドル換算すれば大幅マイナスだ。国力を失わせるだけのアベノミクスなんて、何の意味もない。



2013年10月21日 個人金融ナビ 世界経済動向から個人金融サービスを読み解く資産運用ナビブログ
  「2013年度 グローバル・ウェルス・レポート」からみる日本の富に起きた変化
      http://blog.livedoor.jp/kinyunavi/archives/33293463.html

世界の富に関する報告書である2013年度の「グローバル・ウェルス・レポート」がクレディ・スイスによってまとめられています。

富や富裕層の定義には、レポートの発行元により違いがありますが、グローバル・ウェルス・レポートでは、富裕層の定義を100万ドル以上の富を持つ個人とし、富の定義を自宅などの不動産を含めた全資産から、負債を除いた純資産としています。

The 2013 Credit Suisse Global Wealth Report

2013年の「グローバル・ウェルス・レポート」では、日本の富に関する劇的な変化が報告され注目を集めています。
それはどのようなものなのでしょうか?

まず昨年、2012年の「グローバル・ウェルス・レポート」では日本の富や富裕層に関しどのように報告されていたかというと、

日本の富     前年比1.3%増(28.1兆ドル、約2,190兆円)となり、米国に次ぐ第2位。
日本の富裕層   前年比で8万3千人増加し、360万人で世界第2位。
            また、2017年までの5年間でもさらに25%拡大と予想。

このように、2012年のレポートでは安定的な成長を見込む内容が報告されています。
では、2012年6月から今年6月までの1年で日本にどのような変化が起こったのでしょうか?

それが以下のグラフに表されています。

日本の富裕層

このグラフでおわかりだと思いますが、日本に起きたのは昨年のレポートが報じた日本の富裕層見通しとは全く異なる富裕層の激減でした。その数にして130万人もの富裕層が減少したということであり、これは世界的にも類を見ない減少幅です。

レポートによると、日本のつぎに多く富裕層を失ったブラジルでさえもその100分の1程度の12,000人であり日本に起こった変化の大きさがわかります。

では、なぜ富裕層の激減という状況となったのか?

今回のリポートの調査期間は2012年6月から今年6月までです。この期間には政権交代による安倍政権の誕生。景気対策に軸をおいた政策運営の議論がされ、アベノミクスによりにわかに景気回復の芽が出たかのように思われた日本において何が起こったでしょうか?

それは、急激な株価の回復と円安の進行です。

緑:USD交換レートピンク:住宅価格青:株式時価総額
ドルレート


上記のグラフにあるように、アベノミクスの影響を受け22%も進行した円安の結果、日本国民の富はドルベースで5.8兆ドル分も減少したことになります。
なんとこれは、国の富の20%にあたります。
2013年上半期でのGDPの成長率は、日本円ベースでは前年同期比2%増でしたが、米ドルベースでは21%減となってしまうとのこと。

この円安の進行による日本国民の富の減少が、富裕層の激減となってレポートの数値に表れたのです。

では、上記グラフにおける急激な株価の回復は日本国民の富の増加に寄与しなかったのは何故なのでしょうか?
その答えは、日本人が資産を何で保有しているかにかかわってくると思われます。

家計の金融資産推移
(出典:「資金循環統計(2013年第2四半期速報):参考図表」より抜粋、一部BTP加工)

つまり、日本人は円資産を中心に、株式資産以外で資産を保有しているということです。よって、アベノミクスによる急激な株価の回復と円安の進行は日本国民の「富」という意味ではマイナスに働いたということです。

クレディ・スイスの「グローバル・ウェルス・レポート」ではアベノミクスを「Shock therapy」、要は「ショック療法」とあらわしています。

そしてそれは、上記のような円安による資産価値下落のみならず、相続などにおける税制の変化や、雇用制度などの変化、といったかたちで資産や生活への変化を与えます。

今後は上記レポートが示すように、純資産を持つ富裕層も、何もしなければ「富」の減少を想定しなければなりません。



 10 26 (土) みのもんた、次男不祥事により報道番組自粛

朝日新聞デジタル 2013年10月26日
  「父親としての責任があります」みのもんたさん会見詳報

――冒頭、みのもんたさんから

 まず、私のことで大変世間をお騒がせしまして、誠に申し訳ございません。私の次男が窃盗未遂ということで警察の取り調べを受け、色々な分野の方から取材を申し込まれました。ことがことだけに、最終的な結論が出てからお話をした方がいいのではないかという私個人の思いで、あらゆる取材にお断りを入れて参りました。その間、約2カ月、ことが刑事事件ということで、報道番組への出演を自粛という形をとらせていただいておりました。私の気持ちの中で、何でこんなことが起きたのか、なかなか整理がつきませんでした。30過ぎた、家庭を持った、仕事を持った、社会人であるわが子。何でという気持ちが大変強うございました。しかし2週間、3週間、4週間経つうちに、私の気持ちの中に少しずつではありますが、思いの変化が出て参りました。

 自宅に引きこもりのような状態の中で、色々考えたり、時間の許すままに書斎の整理をしてみたり、本棚の整理をしてみたり、無為な時間を過ごす日々でございました。そんな中で、何であのバカ息子がという気持ちが、一体俺はどうしたらいいのかという迷いも生じてきました。捜査の一定の結末が出るまで、という思いで過ごして参りましたが、女房と懸命に育ててきて社会に送り出したはずなのに、何かが狂っていたのか、どこかがおかしかったのか、そんな思いが強くなりました。確かに、あの子は私の子です。しかし、成人して大人になって社会人になったはずなのに、家庭を持ったはずなのに、こんなことをしでかす。どこかが、子育ての中で間違っていたんじゃないのかな、不完全な形で世の中に送り出してしまったのか。だとしたら、父親としての責任があるなと思い至りました。親子の縁は切れない。間違いなくわが子だ。どこかが狂って社会に送り出したのか。その責任は父親である私にあります。申し訳ございません。

 10 26 (土) 時論公論 「NSC設置法案と特定秘密保護法案」


時論公論「NSC設置法案と特定秘密保護法案」
正延知行・解説委員 2013年10月23日 (水)


こんばんは。時論公論です。今夜のテーマは安倍総理大臣が21日の衆議院予算委員会で必要性を強く訴えたNSC・国家安全保障会議設置法案と特定秘密保護法案です。名称だけを聞けば、何ともいかめしい印象を受けますが、今夜は、近く国会で審議が始まる見通しの、この2つの法案の目的や課題について考えます。

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【2つの法案の狙い】
日本を取り巻く安全保障環境が変化する中、安倍政権は、集団的自衛権の行使や武器輸出3原則の見直しに向けて有識者の議論を始めるなど、次々と安全保障政策の再検討を進めています。この2つの法案もその一環と見ていいでしょう。外交・安全保障政策の司令塔となるNSC・国家安全保障会議の設置法案は、外交や安全保障に関わる課題について、日ごろから議論し、事態が発生すれば、政治のリーダーシップのもと、迅速に対応する環境を整えるためというのが理由です。この組織を円滑に動かすためには、外国政府との情報のやり取りが欠かせないことから、政府は、情報漏えいを防止するため、特定秘密保護法案の成立が必要だとしています。この2つの法案は密接なかかわりがあると言えます。

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【NSCとは】
まずNSC・国家安全保障会議ですが、これは、アメリカの国家安全保障会議を参考に、政府が設置を目指している組織で、総理大臣や官房長官、外務大臣、防衛大臣の4人が定期的に集まり、総理大臣官邸を中心として、テロなどの緊急事態に備えるだけでなく、アメリカとの同盟関係の他、中国や北朝鮮などに対する、中長期的な外交・安全保障戦略を策定するものです。

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必要に応じて9大臣会合や緊急事態大臣会合が開かれます。今でも安全保障会議という、同様の会議はありますが、参加する大臣の数が多くて機動性に乏しかったり、会議を支える態勢が脆弱だったりして、十分な役割が果たせていないと指摘されています。このため、事務局態勢を充実させ、アメリカやイギリスなど、同様の機能を持つ組織と情報のやりとりをして、総合的な外交・安全保障政策を立案する組織にしようとしています。

【特定秘密保護法案の必要性】
NSCは、日ごろから国の内外の情報を収集し、整理して、政策を検討することになります。このため、どうしても各省庁が囲い込んでしまいがちな情報を日常的に、しかもスムーズに集められるかが課題となります。また、日本には本格的な対外諜報機関がないことから、外国の政府や情報機関からも情報提供を受けます。そしてその情報は当然、機密性の高いものが含まれています。テロ組織に関することや、特定の国の軍の動きなど、極秘に集めた情報もやり取りされることになるため、情報漏れを防ぐことが課題となります。 このため政府は、情報を漏えいした公務員などに厳しい罰則を設けた、特定秘密保護法案を成立させたいとしているのです。裏を返せば、より重要な情報をより多く提供を受けるためにもこの法案を必要としていると言えます。

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外務官僚に取材すると、アメリカからもスムーズな情報提供を行うためには、罰則の厳しい規定が必要だと求められていると話しています。今月初めに行われた日米の外務・防衛の担当閣僚による会議・2プラス2の後に発表された合意文書でも、それを裏付けるかのように「情報保全が同盟関係の協力に死活的に重要な役割を果たす」と明記しています。

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【法案の内容】

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さて、その法案の内容ですが、日本の安全保障に関する、こちらの4つの事項(外交・防衛・スパイ活動などを示す特定有害活動の防止・テロ防止)こうした4つの事項に関する情報のうち特に秘密にすることが必要な情報を特定秘密とし、行政機関の長、つまり各省の大臣や警察庁長官などが指定します。また特定秘密を扱う公務員などを限定し、もしその人が秘密を漏らした場合は、最高で10年の懲役を科すというものです。

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今の国家公務員法の守秘義務違反は、最高で懲役1年ですから、罰則はかなり重くなります。例えば、アメリカから提供された最新鋭戦闘機に関する特定秘密を防衛省の職員が外部に漏らしたり、戦闘機を委託生産する防衛産業の社員が漏らしたとわかれば、罰せられることになります。

【成立を目指す背景】
この法案の成立を目指す背景には、過去に起きた情報漏えい問題が影を落としています。

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内閣情報調査室によりますと、2007年に発覚した海上自衛隊の幹部によるイージス艦情報の漏えい事件や、2008年、航空自衛隊の幹部が中国の潜水艦の動向に関する情報を漏えいさせた問題、それに2010年の警視庁のテロ捜査資料が流出した問題などを例に挙げています。こうした情報はいずれも特に秘匿性が高く、外部への流出があってはならないことだと話しています。外国政府から見れば、重要な情報が漏れるようなことが度々起きるようでは、とても自分の国が集めた貴重な情報を提供するわけにはいかないということでしょうし、反対に日本政府が情報提供を受けるためには、情報漏えいを防ぐことが極めて重要だということでしょう。

【懸念・課題】
この法案については、すでにいくつもの懸念が示されています。大きく分けて2つ提示したいと思います。ひとつは、取材・報道の自由が制限され、ひいては国民の知る権利が侵害されるのではないかというものです。これについては、政府と公明党の協議で、取材・報道の自由や知る権利に配慮することが法案に盛り込まれましたが、罰則が強化されることによって、公務員が取材記者への情報提供に必要以上にしり込みするのではないかという懸念はぬぐえません。 次に特定秘密の取り扱いに関する懸念です。特定秘密の指定にあたっては有識者の意見を聞いて基準を定める事が法案に盛り込まれていますが、有識者は、ひとつひとつの内容まで見るわけではありません。行政機関が都合の悪い情報を隠すために、本来は機密ではないものまで特定秘密に指定する可能性があるという指摘もあります。今月20日放送されたNHKの日曜討論では、野党側から「特定秘密の範囲が不明確で、国民の知る権利が侵される恐れがある」という意見が相次ぎました。

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また今の法案では、特定秘密の有効期間を5年として、さらに延長できる上、30年を超える場合は内閣の承認を得れば、また更に延長できることになっています。ですから、国民の目に触れることなく、いつまでも秘密にし続ける可能性が排除できません。このため、特定秘密の妥当性を裁判官など第3者が判断する仕組みをつくるべきだという意見もあります。また、今の情報公開制度を更に拡充する検討も必要だと思います。こうした点も今後国会で議論されるでしょう。

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【まとめ】
この法案は、来週から衆議院の特別委員会で本格的な審議が始まる見通しです。外交や防衛の現場で、情報は極めて貴重なものです。機密性の高い情報を扱う場合、どうしても公にできないものがあるのは理解できます。その一方で、国民の知る権利は十分に尊重されるべきです。 今や「由らしむべし、知らしむべからず」という時代でないことは、誰もが当然と考えています。国益を守るために必要な情報保全と、一方で、国民の知る権利の侵害を防ぐという、一見すれば相反する2つ課題にどうバランス良く対応していくか、国会の審議では、こうした観点から十分な議論を尽くしてもらいたいと思います。

 10 26 (土) EU、米の盗聴解明へ合意 英紙は新たな疑惑報道

朝日新聞デジタル 2013年10月25日

【ブリュッセル=野島淳、ロンドン=伊東和貴】欧州連合(EU)は24日の首脳会議で、米国家安全保障局(NSA)による盗聴疑惑を討議。ドイツとフランスが主導し、米国とともに盗聴の実態や再発防止を話し合う枠組みをつくることで合意した。年末をめどに、米側に信頼回復に向けた対応を求める。

 EUはテロ対策の情報収集は必要だとしつつ、「信頼関係がなければ協力はできない」としている。

 米情報機関の情報収集を巡っては、フランスで市民らの通話記録など約7千万件が不正に集められたり、メルケル独首相の携帯電話まで盗聴されたりといった疑惑があかるみに出て、EU首脳会議でも急きょ対応が話し合われた。

 一方、英紙ガーディアン(電子版)は24日、NSAが世界の指導者35人の電話を盗聴していた、と報じた。米中央情報局(CIA)元職員のスノーデン容疑者が提供した内部文書をもとに伝えた。盗聴された指導者の国籍や名前は明かされていない。

 報道によると、ブッシュ政権時代の2006年10月の文書は、「1人の米当局者が、世界の指導者35人の電話番号をNSAに提供した」と記述。またNSAが、ホワイトハウス、国務省、国防総省といった「顧客」省庁の高官に対し、指導的地位にある海外の政治家の連絡先を共有するよう要請していることを明かしている。

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 10 26 (土) 米の盗聴疑惑止まらず、独メルケル首相の携帯も 「友人監視」強い批判

朝日新聞デジタル 2013年10月25日

 米国の情報機関が、ドイツのメルケル首相の携帯電話を盗聴していた疑惑が新たに浮上した。米情報機関はフランスやブラジルなどでも首脳らの盗聴や情報収集をした疑いを持たれており、反発や不満が広がる。米国のオバマ政権は「情報収集活動のあり方を見直す」としつつも、詳細については口を閉ざしたままだ。

 ドイツ政府のザイベルト報道官は23日夜、メルケル首相の携帯電話が米情報機関に盗聴されていた可能性が高いとして、メルケル氏がオバマ米大統領に電話で説明を求めたことを明らかにした。

 「友人を監視する、ということをやってはいけない。私は以前にもオバマ大統領にそう言った」。メルケル首相は24日、欧州連合(EU)首脳会議の開かれるブリュッセルでそう語った。ベルリンではベスターベレ独外相が抗議のために駐独米大使を呼び出した。独政府は米国家安全保障局(NSA)のこれまでの説明を再検証する方針で、米国に対しかつてない厳しい対応を見せている。

 これに対し、米ホワイトハウスは23日、オバマ氏がメルケル氏との電話で「(メルケル氏の電話盗聴は)やっていないし、これからもやらない」と答えたと公表した。だが、過去に盗聴があったかどうかも含め詳細な事実関係は「大統領がメルケル氏に語ったことがすべて」(カーニー報道官)とするにとどめた。

 NSAによる情報収集疑惑では、監視対象にドイツが含まれる可能性も報じられていたが、メルケル政権は個人情報保護に敏感な世論を意識しつつも、消極的な対応をとってきた。同盟国である米国からテロなどの情報提供を受けてきたことも背景にあったとみられる。

 「長年にわたる親しい友人でパートナー」(ザイベルト報道官)の米国が独首相の携帯を盗聴していたとの疑惑は、メルケル政権に大きな衝撃を与えた。

 危機が続く欧州でドイツとメルケル氏の存在感は増しており、米国にとって情報収集の重要性は高まっている。盗聴疑惑発覚のきっかけになったとされる独シュピーゲル誌は「政府は盗聴の疑いが十分に強いと判断している」と伝えた。

 一方で、独政府は「首相の携帯が米情報機関に監視されている可能性があるとの情報を得た」と説明しただけで、情報の詳細は明らかにしていない。

 (ベルリン=松井健、ワシントン=大島隆)

 ■EU会議の議題に

 国家のトップへの米情報機関のスパイ行為は、中南米でも批判の的になっている。

 独シュピーゲル誌(電子版)は20日、NSAが2010年、メキシコのカルデロン前大統領のメールを収集していたと報道。ブラジルのテレビ局グロボは9月、メキシコのペニャニエト現大統領が昨年当選する前に、NSAがメールや電話を収集していた疑惑を報じた。

 ブラジルのルセフ大統領が側近らとやりとりしたメールも収集されていたと報じられており、同大統領は、10月に予定していた訪米を延期。9月の国連総会では、「人権と市民の自由の重大な侵害」と米国を厳しい口調で批判した。

 一方、欧州でNSAによる盗聴問題が再燃する口火となったのは、フランスだった。21日付のルモンド紙が、昨年12月10日から約1カ月間で、NSAがフランス市民らの通話内容など約7千万件の記録を、不正に入手していたと特報したからだ。

 仏政府は米政府に、仏国内での盗聴活動の実態を明らかにするよう要請。バローベルカセム仏政府報道官は23日、オランド大統領がオバマ大統領との電話会談で、「テロとの闘い」という目的のため協力して通話記録の分析にあたることで一致したとしている。

 欧州連合(EU)では、個人情報保護への関心が高まっており、24日からの首脳会議(サミット)では、米情報機関による盗聴問題も議題になりそうだ。

 (サンパウロ=岩田誠司、パリ=稲田信司)

 ■安倍首相の携帯、菅氏「問題ない」

 菅義偉官房長官は24日の記者会見で、安倍晋三首相の携帯電話は大丈夫か、との問いに「まったく問題ない」と強調した。米政府に事実確認をする考えはないという。日本政府の情報セキュリティー対策については「これまでもしかるべき情報保全のための対応をとっており、引き続きやっていきたい」と語った。

 NSAは日本を含む38の大使館や代表部の通信を盗聴・傍受していた、と報じられている。菅氏は「米国側に外交ルートを通じ確認を求めている」としたが、返答内容については「事柄上、控える」と述べるにとどめた。

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 10 26 (土) (社説)米盗聴疑惑 同盟の信義にかかわる

朝日新聞 2013年7月8日

 米国の情報機関が、欧州や日本など米国の同盟国に対しても盗聴や監視をしている。そんな疑惑が深まっている。

 英紙に暴露したのは、亡命先をもとめてロシアに滞在している米国家安全保障局(NSA)の元外部契約職員だ。

 ワシントンなどで欧州連合(EU)代表部や各国大使館に盗聴器をしかけ、特別なアンテナもつかい、通信情報を集めているという。「標的」には日本大使館も含まれている。

 この報道後、オバマ米大統領は「我々だけでなく、情報機関のある国はどこもやっている」と述べ、否定しなかった。外交に諜報(ちょうほう)活動はつきものだとしても、同盟相手としては信義則違反といわざるをえない。

 欧州の首脳らは批判を強めている。オランド仏大統領は「到底容認できない」と、ただちに盗聴をやめるよう求めた。

 テロ計画の阻止を目的に掲げたからといって、どんな手段でも許されるわけではない。同盟国に対しては、必要があれば協力を求めるのが筋だろう。

 オバマ氏は「同盟国が求めるすべての情報を提供する」と約束した。そこを信頼回復の一歩にするしかあるまい。

 そもそも諜報はテロ対策だけが目的ではない。冷戦後、共産国を探る任務が薄れた米中央情報局(CIA)は、産業経済のスパイ活動にも力を入れた。

 95年の日米自動車交渉では、日本政府高官の電話がCIAに盗聴された疑惑が浮かんだ。今から日本が加わる環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉でも疑心暗鬼にならざるをえない。

 同盟は必ずしも絶対の信頼関係を保証しない。そんな現実を日本も見据える必要がある。

 隠密の諜報活動には、プライバシー侵害の恐れだけでなく、発覚すれば外交問題の負債となるリスクがつきまとう。

 「中国が米政府のハッキングの標的となっている」。そんな元職員の指摘によって、サイバー攻撃の問題について米国は注文をつけにくい立場に陥った。

 これでは、自由主義のリーダーを自任してきた米国の正当性がゆらぎかねない。

 民主主義社会における政府組織は、世論の理解があって初めて成り立つ。それは国際社会でも同じだ。情報機関の問題が暴露されれば、その国への信頼感がゆらぎ、国益を損なう。

 特に、大国である米国には重い説明責任がある。少なくとも米議会や司法によるチェック機能を強め、同盟国にはできる限り情報を開示して、信頼を裏切らぬよう願いたい。

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 10 26 (土) (社説)米の情報監視―自由の原則を見失うな

朝日新聞 2013年06月13日

 米国は自由を何よりも尊ぶ国だ。イラク戦争などの対テロ戦も、「自由を守る」との御旗の下で世界に結束を求めてきた。

 そんな大国のリーダーシップの正当性が傷つきかねない疑惑が浮上した。テロ対策の名で、米政府当局が日々、世界中を行き交う膨大な個人情報を集め、分析しているというのだ。

 01年の9・11事件後の米社会で人権が侵食されているとの批判にはオバマ大統領も同調していた。真相をできる限り、国内外に説明してもらいたい。

 英米メディアに内部告発したのは、米国家安全保障局(NSA)に、外部契約社員として勤めていた29歳の男性だ。電話、電子メール、インターネット上の情報など、どんな個人や組織のものも収集できたという。

 無制限に近い諜報(ちょうほう)を見過ごせば、個人のプライバシーや通信の秘密が日常的に侵される監視社会となる。彼は「良心が許さなかった」と語っている。

 男性の関与の程度やリークした内容の信頼性は、即断できない。だが、インターネットの技術とインフラをほぼ独占している米国が、どこまで情報通信をめぐる人権を尊重しているかは世界の重大な関心事だ。

 米政府による情報集めはブッシュ前政権下で本格化した。07年、大量の電子情報を瞬時に集め、振り分ける「PRISM」というプログラム技術が開発され、拍車をかけたとされる。

 PRISMには、アップルやグーグルなどIT大手9社も加わった。それを前政権から引き継いだオバマ政権下で協力企業は3倍に膨らんだという。

 オバマ氏は「何の不都合も生まずに、完全な安全と完全なプライバシーを両立させることはできない」と述べ、一定の範囲内での諜報活動はやむを得ないとの考えを示した。

 テロや犯罪組織が国境を超えてネットワーク化される今、個人情報の保護と、安全を守る方策の均衡をどう図るかは確かに悩むべき問題だ。だとしても、「米国の外に住む外国人が対象だ」との弁明には、世界の国々が不安を抱いても仕方ない。

 国際的なサイバー攻撃への対策が急務の時代に、その先頭に立つべき情報大国が利己的な行動に走れば、サイバースペースは国家エゴが横行する「不信の空間」となりかねない。

 米政府は、この告発男性の行方を追うスパイ作戦さながらの展開になっているが、そうした機密漏出事件としての内向きな対応だけで済ませるべき問題ではない。自由主義の原則が問われる疑惑がそこにある。

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 10 26 (土) 「米は真実を隠し通せない」 内部告発のスノーデン氏

朝日新聞 2013年06月

 【ロンドン=前川浩之、スライゴ〈アイルランド北部〉=望月洋嗣】米国家安全保障局(NSA)などの情報収集活動を内部告発した米国人エドワード・スノーデン氏が17日、「私を刑務所に入れたり殺したりしても、米政府は(真実を)隠し通せない。真実(の暴露)は止められない」と訴えた。英紙ガーディアンのブログに投稿された質問に、滞在先の香港から答えた。

 スノーデン氏は香港入りした理由を米国では公正な裁判が受けられないためだと説明。「米政府は、私を裏切り者だと断じ、公正な裁判をする可能性をつぶした。秘密裏の犯罪行為を暴露することが、許されない犯罪だとした。これは正義ではない」と主張した。

 「そんな政府に自ら名乗り出るのはばかげている。(米国の)刑務所の外からの方がより多くの善行ができる」とし、「国家の最高機関が監視から逃れることになれば、政府への信用はなくなる」と述べた。

 政治亡命と引き換えに中国政府に情報提供したとの見方は全面的に否定した。「中国政府とは接触していない。もし私が中国のスパイなら、どうして北京に直接飛ばなかったのか。今頃は宮廷で不死鳥をなでていただろうに」と語った。

 オバマ大統領については、キューバ・グアンタナモの対テロ収容所の閉鎖などの公約に期待したものの、「違法行為への調査の扉を閉めた」と批判。今回の告発で「正気を取り戻し、憲法に基づいた政策や法の支配を回復する機会を与えた」とした。情報機関の活動を監督する特別調査委員会を設置すべきだとも提言した。

 一方、米政府当局者によると、主要国首脳会議(G8サミット)に出席中のオバマ氏は、極秘の情報収集活動について、公表できる情報の範囲拡大を検討するよう、クラッパー国家情報長官に指示した。この活動に対する国民の理解を深めることが狙いという。

 オバマ氏は今後、デジタル時代のプライバシー保護について、安全保障の関係者や人権活動家、情報技術の専門家らと対話していく意向という。極秘情報収集に関する一連の報道を受けて、オバマ大統領の支持率は急落した。

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