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折々の記 2014 ①
【心に浮かぶよしなしごと】

【 01 】01/01~     【 02 】01/02~     【 03 】01/03~
【 04 】01/04~     【 05 】01/07~     【 06 】01/09~
【 07 】01/20~     【 08 】01/21~     【 09 】01/25~

【 05 】01/07

  01 07 春の七草  
  01 07 糠漬け  
  01 07 ニセ「丸八布団」にご注意  
  01 08 温暖化で数億人移住必要  関連記事枠組み①~⑦


 01 07 (火) 春の七草  

時の流れはたえまなく、「春の七草」も80数回もくるかえし食べてきました。 食習慣というものは立派なしきたりとして長いこと続いてきました。

Google で検索してみると『食楽レシピ』にはこんな紹介がしてありました。


  http://www.shokurepe.com/vf/sp/nanakusa.html

「春の七草」が話題になると、お正月気分もそろそろ終わりにしなくては・・・という気持ちになりますね。日本では、1月7日に七草粥(ななくさがゆ)を食べる風習があります。お正月のごちそうで疲れ気味の胃を休める・・・という意味があり、平安時代から始まったと言われています。

  せり なずな ごぎょう はこべら ほとけのざ すずな すずしろ これぞ七草

古くから詠われてきた春の七草の句です。この七草を入れて作るのが「七草粥」ということになります。では、七草の呼び名を現代のものに言い換えてみましょう。

【1】せり=セリ  日本原産の野菜で、特有の強い香りと歯ざわり、鮮やかな色が特徴です。清水の湧き出るところに競り合って生えることから「セリ」と名付けられたという説も。

【2】なずな=ナズナ  畑や道端、土手、荒れ地など日当たりの良いところに生える二年草で「ぺんぺん草」とも呼ばれています。

【3】ごぎょう=ハハコグサ  草全体が白い毛におおわれており、厚ぼったく、茎は根元から株のようになっています。春黄色の小さな花を茎の先にたくさんつけます。

【4】はこべら=ハコベ  先に小さな白色の花をつける二年草で、別名「ヒヨコ草」とも言います。

【5】ほとけのざ=田平子(たびらこ)  高さ10cmほどで、冬、水田などの土にへばりつくように葉を広げています。

【6】すずな=カブ  根に多いアミラーゼは、消化吸収を促す作用があります。また、葉はカロテン、ビタミンC、カルシウムなど、多くの栄養成分を含んでいます。

【7】すずしろ=ダイコン  カブ同様、消化に良いジアスターゼを含んでいるなじみの野菜。葉にはカロテン、ビタミンCやE、カルシウムなどが豊富に含まれています。

このように七草粥は、それぞれの成分やビタミン類など、まさに日本人の知恵が生んだ薬膳料理の代表と言っても良いでしょう。 ナズナやごぎょう、はこべらなどは、見かけることが少なくなっていますが、最近ではスーパーでも「七草セット」が売られていますから大変便利です。手に入らない場合は、七草すべてそろわなくてもダイコン、カブ、セリなど、いつでも手に入る野菜たちでもかまわないでしょう。大切なのは、家族の体を労わった先人の知恵を家庭で生かし伝えることだと思うのです。

横文字 イノベーション【innovation】

1 新機軸。革新。
2 新製品の開発、新生産方式の導入、新市場の開拓、新原料・新資源の開発、新組織の形成などによって、
  経済発展や景気循環がもたらされるとする概念。シュンペーターの用語。
  また、狭義には技術革新の意に用いる。



 01 07 (火) 糠漬け  

ぬか漬け

朝ドラ「ごちそうさん」でヒロインめ以子を見守る「ぬか床」。
おいしそうなぬか漬けを見て「ああ、ぬか漬け食べたいな」と思った方も多いのではないでしょうか。
実は今、ぬか漬けは、次々と新たな健康効果が明らかになっている食材の一つとしても注目を集めています。その鍵を握るのが乳酸菌です。
しかし、体にいいと分かっていても、面倒でなかなか自分で漬けるのがおっくうなのがぬか漬け。
というわけで、今回は、毎日混ぜなくても簡単に、おいしく、しかも乳酸菌たっぷりのぬか漬けを作る方法を紹介したり、酸っぱいぬか床をどうにかしたい、ぬか床の変なにおいをなくすのは、どうすればいいの?など 視聴者の様々な悩みを改善するスゴ技を紹介しました。

  <あさイチ流NEOぬか漬け>
  ・最新研究! 驚きの健康パワー
  ・ひと工夫で 健康パワー倍増!
  ・ちょい足しで 酸っぱさを劇的改善
  ・達人直伝 におわない!極上ぬか床

驚きの健康効果

  ぬか漬けの中に含まれる栄養の中で、特に注目するべきなのが“乳酸菌”
  そこで番組では、最新の研究で分かってきた、乳酸菌に期待できる健康効果をまとめました。

VTRで紹介した乳酸菌に関する健康効果の論文

  ●Nature Vol.498,p.99,6June 2013
   (腸内に多くの種類の乳酸菌が含まれている人は糖尿病と肥満になりにくい傾向があることを示した研究結果)
  ●Immunity38,1-11,June27,2013
   (乳酸菌が小腸に入ることで、小腸の免疫細胞を活性化し、インターフェロンβを放出します
   このインターフェロンβが外敵であるウイルスの増殖を抑えることで、免疫力が上がることを示した研究結果)

簡単で栄養たっぷり あさイチ流NEOぬか漬け

  おいしいし、健康にもいいぬか漬け。
  食べたい!けれど、自分で漬けるには毎日のぬか床の手入れがめんどう!
  そんなあなたでも大丈夫。毎日手入れをしなくてもOK。なのに、おいしくて乳酸菌たっぷりな
  あさイチ流NEOぬか漬けの作り方を、料理教室の講師・三笠かく子さんに教えていただきました。

材料・作りやすい分量

  <ぬか床の材料>
  ・米ぬか・・・250グラム
  ・塩・・・大さじ2
  ・水・・・350ミリリットル
  ・昆布・・・5センチ角
  ・たかのつめ・・・1本

  ・密閉袋
  ・ふたつきの密閉容器

作り方
  <漬ける準備編>
  1.水を湧かし塩と昆布を入れ、一煮立ちさせる。
  2.昆布を取り、(1)を冷ましたものを、2,3回に分けて、米ぬかになじませていく。
  3.米ぬかが、みそくらいの堅さになったら、密閉袋に入れる。
  4.先ほど取り出した昆布、たかのつめをぬか床に入れる。
  5.この状態では乳酸菌がいないので、キャベツの外葉やカブの葉などの野菜を4~5日漬ける。
  6.(5)の過程を2、3回繰り返したら(そのつど新しい野菜に変える)ぬか床の完成。
  ※におい漏れを防ぐため、ふた付きの密閉容器に入れて、冷蔵庫で保管します。

作り方
  <本格的に漬ける編>
  1.ぬか床に好きな野菜を入れる。
   ※だいたい、キュウリなら1~2本、カブなら2、3個漬けられる少量のものです。
  2.冷蔵庫に2~3日ほど漬ける。
  (漬かる速度は、漬ける野菜の大きさや、ぬか床の乳酸菌の育ち具合によって変わってきます。)
  3.ぬか床から野菜を取り出すとき、もしくは4、5日にぬか床全体を外側から内側にもみ込む。

ぬか漬けに含まれる乳酸菌の量を増やす方法

 野菜の皮をむいたり、切り込みを入れてから漬けると、乳酸菌がしみこみやすくなります。

ぬか床がすっぱくなってしまった時

 ぬか床1キログラムに対し、卵1個分の殻を入れます。
 その際、薄皮をむくとより、卵の殻の炭酸カルシウムが効果的に働き、酸っぱさを早く中和してくれます。
 また、卵には雑菌がついている場合があるので、必ず殻を煮沸殺菌してからぬか床に入れて下さい。

味をよくするちょい足し術

 卵の殻のほかにも、ぬか床にこれらの材料をちょい足しする事で自分好みの味や香りのぬか漬けを作る事ができます。

ぬか床から変なにおいがする  アンケートで多かった、ぬか床から異臭がするというお悩み。

 そこで、日本全国1000人近くのぬか床を診断してきた、下田敏子さんにお聞きしたところ、混ぜ方で、
 ぬか床のにおいを改善することが出来るとのことでした。
 というのも、ぬか床には、シンナーのようなにおいのする、産膜酵母(さんまくこうぼ)と呼ばれる菌と、
 空気の嫌いなアンモニアのようなにおいのする、酪酸菌(らくさんきん)と呼ばれる菌が繁殖してきてしまうため、
 ぬか床の上下を入れ替えることで、互いの菌を殺菌し、嫌なにおいを防ぐことが出来ます。
 ちなみに、混ぜすぎても、せっかく上下に入れ代わった菌が元に戻ってしまうので、注意しましょう。

ぬか漬け・ぬか床のアレンジレシピ   番組では、和洋中のぬか漬け・ぬか床アレンジレシピをご紹介しました。

ぬか漬けサンラータン風 2人分

  <材料>
  ・白菜のぬか漬け・・・100グラム(せん切りにする)
  ・乾燥春雨・・・30グラム(お湯で戻しておく)
  ・ハム・・・2枚(細切り)

  ・水・・・2カップ
  ・中華かりゅうスープの素・・・小さじ3分の2

  ・砂糖・・・小さじ1
  ・塩・・・小さじ3分の1
  ・酢・・・小さじ1
  ・しょうゆ・・・小さじ1

  ・かたくり粉・・・小さじ1
  ・水・・・小さじ1

  ・卵・・・1個
  ・ラー油・・・小さじ1

  <作り方>
  1.鍋に水と中華かりゅうスープの素を加えて強火にかける。
  2.沸騰したら、春雨と白菜のぬか漬け、ハムを加える。
  3.砂糖、塩、酢、しょうゆを加えて、水溶きかたくり粉を入れてとろみをつける。
  4.煮立ったら、溶き卵を加え、ラー油を加えて火を止める。
  ※白菜のぬか漬けの酸っぱさで、酢の量を調節して下さい。

ぬか漬けのケチャップライス 2人分

  <材料>
  ・大根、きゅうりなどのぬか漬け・・・100グラム(あられ切り)
  ・ウィンナーソーセージ・・・4本(5ミリ幅に切る)
  ・ごはん・・・400グラム
  ・卵・・・2個

  ・オリーブ油・・・大さじ3
  ・塩・・・小さじ2分の1
  ・トマトケチャップ・・・大さじ3
  ・こしょう・・・少々
  ・ごま油・・・小さじ1
  ・しょうゆ・・・小さじ1

  ・刻みパセリ・・・少々
  ・糸がきかつお(かつおぶし)・・・適量 

  <作り方>
  1.フライパンにオリーブ油を入れて熱し、先にごはんを炒める。
  2.炒めたごはんを塩・こしょう・トマトケチャップで味つけする。
  3.(1)にぬか漬けとソーセージを加えて炒める。
  4.よく混ざったらフライパンの縁から しょうゆとごま油を回し入れジューッという音が消えたら、溶き卵を入れる。
  5.最後に糸がきかつおをふりかけ、軽く炒めたら器に盛り、刻みパセリを振る。

ぬか炊き <さば2尾分>

  <材料>
  ・さば・・・2尾分
  ・水・・・1と2分の1カップ
  ・しょうゆ・・・1カップ
  ・酒・・・4分の3カップ
  ・ざらめ砂糖・・・370グラム
  ・しょうが(千切り)・・・180グラム
  ・ぬか床・・・180グラム

  <作り方>
  1.鍋に水、しょうゆ、酒、ざらめを入れ、ざらめの粒がなくなるようにひと煮立ちさせる。
  2.ぬか床を入れて溶かし、切り身にしたさばを並べ入れ、落としぶたをして弱火で 2~3時間煮る。

  ※同じように、油抜きをした豚バラをぬかで炊いてもおいしい。
  ※ぬか床は、食べておいしいと感じるものを使用する。




 01 08 (水) ソバガキ(中川 美里ソバの会)  

ソバガキの作り方にはいろいろな方法がありますが、ここに紹介するレシピでの出来上がりはあまり硬くなく、お年寄りにも喜ばれるものです。

一度試してみてください。

A) 材料(7~8人前)

  ソバ粉     120g~180g
  白玉粉     1袋(120g)
  木綿豆腐    1丁(約400g)

B) タレの材料

  くるみ     80g
  砂糖      200g
  塩分      適量(塩、醤油、味噌など)
  みりん     適量

作り方

  ① 白玉粉と豆腐をよく混ぜる(白玉粉のダマが残らないように注意して)
  ② ソバ粉を入れ、好みの柔らかさまでよく混ぜる
    (柔らかくするにはソバ粉の量を控えめに、硬めにするにはソバ粉の量を多めに)
  ③ 多めの湯を沸かし、沸騰した湯へ適当な大きさにちぎって入れる
  ④ 浮いてきたら、穴あきお玉ですくい取り、冷水に落として冷やす
  ⑤ 器に盛りタレをかけていただく(タレに混ぜ合わしてもよい)

  ⑥ タレの作り方
    すり鉢でくるみ、砂糖をすり合わせ、それに好みの塩分を混ぜる
    更に適当な柔らかさになるようにみりんで調整する

    (好みで、きな粉、餡子、砂糖醤油、ジャム類や、又は市販のクルミ味噌、
     ゴマ味噌などを、代わりに使ってもおいしい)

                                           以上 望岳荘より




 01 08 (水) ニセ丸八にご注意  

2014/1/7 午後

    羽毛工房
    田中  某?   丸八羽毛布団 10年サービス期間 2003年3月購入 
            0120208210
    不審な電話番号 2014/1/7

ニセ丸八にご注

  横行するニセ丸八営業。疑問を感じたらすぐにお問い合わせください。

  最近、布団の点検・診断、丸八からの委託訪問を装い、法外な請求や盗難を行う
  悪質なニセ丸八営業が横行しているようです。

  被害を未然に回避するためにも、丸八真綿営業社員であるポイントをおさえて頂き、
  電話連絡や訪問者の応対に疑問を感じましたら、お客様相談室へすぐにお問い合わせください。

ニセ丸八にご注意ください。丸八真綿とは一切関係ございません

  ほんとうに丸八?お電話がありましたら、相手を確認し、お断り下さい。

ニセ丸八はこのような手口で言葉巧みに近づいてきます。

  「○○協会です」丸八などのメーカーが加盟している○○協会です。ふとんの調査に伺いたい

  「お宅だけまだです」無料点検が買っていただいた時の金額に含まれています。○○様のお宅だけまだ伺っていません。

  「苦情が出たため」羽根が出たり、ふとんにカビが生える苦情が出ました。点検でお伺いします。

  「無料点検に」「丸八などの製造元工場です」「丸八などのメーカーに羽毛を卸している会社です」
   無料点検や、ふとんの湿気取りの加工に伺います。

  「丸八から委託されて」ご自宅に機械を持ち込み、10分程度で無料クリーニングやふとんの乾燥をします。
   メーカーより委託を受けています。

  「以前の契約はリース」以前の契約はリースです。期限が過ぎているので未払いのリース代を支払ってください。
   もしくは、布団を返却してください。

その結果、このような被害の声が急増しています!

  リフォームすると偽り、品質の悪いふとんと入れ替えられた。
  クリーニングで出したのにリフォームといわれ、何十万円も請求された。
  ふとんが戻ってこない。
  購入を断ると捨て台詞を言われた。

  ※羽毛ふとんなどはとてもデリケートなので、定期的にメンテナンスが必要なのは確かです。
  しかし、クリーニングで何万円もかかるようなことは通常では考えられません。

ワンポイントアドバイス:

  こうした電話をされる方は、自身の名前を名乗らない事が多いです。
  電話を受けた際には、必ず相手の名前と連絡先を伺ってください。
  不審な相手とは「接触しない」「相手にしない」ことが一番です。

丸八グループお客様相談室

  通話料無料(受付時間AM8:00~PM20:30/年中無休)

  0120-4649-08   ヨロシクマルハチ

  Eメールでのお問合せも受け付けております

丸八をご確認ください

  ポイント1 登録証顔写真入の訪問販売員登録証を胸に付けております -images-

  ポイント2 名刺顔写真入の名刺を携帯しております。-images-

  ポイント3 制服当社指定の制服を着ております。-images-

  ポイント4 営業車丸八真綿の社名の入った営業車で伺っています。-images-

  おかしいな?と感じたら、どんなことでも当社お客様相談室へお気軽にご相談下さい。

丸八グループお客様相談室

  通話料無料(受付時間AM8:00~PM20:30/年中無休)

  0120-4649-08   ヨロシクマルハチ

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 01 08 (水) 温暖化で数億人移住必要  

朝日新聞デジタル 2014年1月8日05時00分
温暖化で数億人移住必要 食糧難、貧困拡大も IPCC報告書案

   写真・図版 温暖化に伴う悪影響の例

 地球温暖化による海面上昇などで、今世紀末までにアジアを中心に数億人が移住を余儀なくされると予測する国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の最終報告書案の内容がわかった。農作物の生産量が減って食糧問題が深刻化するなど、人類の社会・経済に大きな影響を及ぼすとも指摘。温室効果ガスの削減だけでなく、被害を軽くする適応策の必要性を強調している。

 報告書は、3月に横浜市で開く会合で承認される。

 判明した最終草稿によると、海面上昇に伴う浸食などによって沿岸の土地が失われ、今世紀末までに移住が必要になる人数を数億と見積もった。昨年9月に公表した報告書で、世界の海の水位は最大で約80センチ上昇する可能性が高いとした予測を受けたものだ。今回は報告書の第2弾で、温暖化の影響についての最新の研究成果をまとめる。

 世界の平均気温は18世紀半ばの産業革命前と比べて、すでに1度ほど上昇。このままだと今世紀末までにさらに最大4・8度上昇すると予測されている。

 気温上昇に伴い高温障害などが発生して農産物の生産量は、温暖化によって毎年大きく変動し、10年単位でみると最大2%減産する。一方で人口増を背景に需要は10年当たり14%増えるため、供給不足や価格高騰を招きやすい。貧困率の高い熱帯の国々では特に深刻な食糧難に陥るおそれがあるという。

 水産物については、温暖化で生息域が変わる。今世紀半ばまでは、中高緯度では種の多様性が豊かになるが、熱帯域では貧しくなる。日本周辺では日本海沿岸や南方の太平洋では最大漁獲量が減少し、東北沖の太平洋では増加する。温暖化がハイペースで進むと、今世紀末には世界的な減少が見込まれるとした。

 また、経済影響では、世界の平均気温が産業革命前と比べて2・5度上昇すると、0・2~2%の所得が失われる可能性があるという。貧困の拡大などによって、紛争のリスクを高めるとも指摘した。

 報告書案は一方で、適応策の重要性を強調。農業では高温に強い品種や栽培技術の開発などに取り組めば、現在の収穫量の15~18%相当の増加をもたらす余地があると分析した。(須藤大輔)

 ◆キーワード

 <IPCC> 気候変動に関する政府間パネル(英語:Intergovernmental Panel on Climate Change、略称:IPCC)
温暖化に関する最新の研究成果を各国が共有するため世界気象機関などによって1988年に設立。190カ国以上が加盟している。2007年以来の第5次報告書の公表を順次始めていて、昨年9月の「科学的根拠」編では、二酸化炭素の排出増が続くと今世紀末には世界の平均気温は最大4・8度上昇するなどと予測。第3弾の「温室効果ガスの削減策」編は4月にドイツで公表される。秋には統合報告書もまとめられる。京都議定書に続く国際枠組み交渉での重要な基礎資料になる。

この記事に関するニュース

  (社説)温暖化防止 子孫につけを残すまい(1/9) 枠組みにて⑦
  (気候異変)天変地異は地球規模 今年を振り返って(12/30) 枠組みにて⑥
  (ニュースがわからん!)COP19って何を話し合ってるの?(11/14)
  (WEBRONZAから)朱建栄事件の真相は(10/1)
  対策合意へ、2015年が最後の挑戦 朝日地球環境フォーラム2013(10/1) 枠組みにて⑤
  一人ひとりが地球を守る 朝日地球環境フォーラム2013、30日・1日に東京で(9/17) 枠組みにて④
  温暖化 データは語る IPCC第5次評価報告書(10/3) 枠組みにて③
  (声)地球温暖化防止を前に進めよ(9/22) 枠組みにて②
  温暖化とめる道、探る IPCC第5次報告書に向け始動(9/16)
 枠組みにて①



   

2013年9月16日
温暖化とめる道、探る IPCC第5次報告書に向け始動

 国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第5次報告書の公表が、今月末の第1作業部会を皮切りに1年後の統合報告書に向けて動き出す。発足から四半世紀にわたり、温暖化の科学を政治の世界に橋渡ししてきた組織。6年ぶりとなる報告書は、2020年以降の新たな国際的な温暖化対策の枠組みづくりに大きな影響を与える。

 ■科学的評価を政治に提示・圧力受ける弱さ同居 IPCC

 IPCCは、加盟する195カ国の政府が指名する科学者と行政官で構成される「政府間パネル」という組織。世界中から最新の研
究成果を集めて評価し、政策を決める政治家らに提示してきた。

 いわば、国家のコントロール下で科学者が活動する。1988年の発足時、「科学者だけの組織では政治が制御できなくなる」とい
う意見があり、この形になった。

 IPCCの弱さも強さもこの独特の組織から生まれる。科学者が報告書を書いても、各国の政治圧力で表現を変えられてしまうことがある。ただ、全体の合意でいったんできあがると、だれも無視できない政治的強さを持つようになる。

 25年の歴史で、最大の問題は「人間活動による温暖化が起きているのか」だった。近年の気温上昇は「自然変動」なのか、「人間活動で増えたCO2のせい」なのか。

 答えは報告書の要約版「政策決定者向け要約」の書きぶりに表されてきた。要約版の文章は、全体会議で一行ずつ延々と議論して決める。当初、温暖化を認めたくない産油国などが、表現を緩めようと抵抗して混乱する時代が続いた。

 第1次報告書では「人為的な温暖化の程度はよく分からない」と書いたが、第4次報告書では「可能性がかなり高い」となった。

 一方、過去の報告書はそのときどきの交渉を後押しする政治的なメッセージになっている。

 第1次報告書(90年)は、地球が温暖化という大変な危機を抱えていることを世界に知らせた。これで国連が動き、翌91年から国連のもとで「気候変動枠組み条約」をつくる交渉が始まった。

 第2次報告書(95年)は、温暖化対策には条約では不十分で、京都議定書をつくる必要性を訴えるものだった。

 第4次報告書(2007年)は、京都議定書の重要性を訴えたが、日本が議定書の第2期から離脱するなど、国際社会は議定書を発展させることに失敗した。

 そして今回の第5次報告書は2015年につくる「次期枠組み」に向けた国際交渉の後押しを狙う。温暖化にブレーキをかけるには実効性のある枠組みが必要だが、米中など京都議定書で削減義務を持たなかった主要国すべてが参加する制度づくりは難航必至だ。

 それに1990年代は、世界各国はIPCCが示す温暖化の科学を尊重していたが、最近は関心が低い。第5次報告書が、交渉を大きく前進させるだけの衝撃とパワーを持っているかどうか。(竹内敬二)

 ■事実隠し疑惑も

 第4次報告書公表後、IPCCはスキャンダルに見舞われた。

 2009年11月、気候研究で有名な英イーストアングリア大のコンピューターから大量の電子メールなどが盗み出され、温暖化を否定する事実を隠したかのようなやりとりが暴露された。欧米メディアは、ウォーターゲート事件をもじって「クライメート(気候)ゲート事件」と呼んだ。

 10年1月、「このまま地球温暖化が続くと、35年までにヒマラヤの氷河が消失する可能性は非常に高い」という記述に科学的根拠がないことが判明。ほかにも間違いが見つかり、報告書全体の信頼が揺らいだ。

 これらの問題は、温暖化に懐疑的な人たちを勢いづかせた。英国議会、オランダ政府、イーストアングリア大などは、別々に独立した委員会をつくって調査した。その結果、メール事件の対象になった科学者の行動に問題はなく、第4次報告書の根幹も揺るがないと結論づけた。

       ◇

 ■CO2、過去80万年で最高

 東日本大震災による津波で大きな被害を受けた岩手県大船渡市の中心部から東に約10キロ。気象庁の大気環境観測所は、太平洋に突き出た同市三陸町綾里の小高い丘の上に立つ。

 1987年に二酸化炭素(CO2)の観測を始めた。5人の所員が、刻々と変化するメタンやフロンなどの温室効果ガス、浮遊粒子物質のエーロゾルの状態も測定している。

 世界気象機関(WMO)による全球大気監視(GAW)計画の地域観測所として、同庁の南鳥島(東京都小笠原村)や与那国島(沖縄県与那国町)の2地点とともに地球温暖化研究にデータを提供している。

 綾里でCO2濃度の月平均が初めて400ppm(0・04%)を超えたのは、昨年3月だった。永井康之技術専門官は「濃度は季節変動を繰り返しながら年々増加している」と言う。

 太平洋の真ん中にある米ハワイ・マウナロア観測所では今年5月9日、日平均のCO2濃度が400ppmを超えた。観測を始めた1958年は約315ppmだった。人類が石炭を使い始め、大量のCO2を出し始めた産業革命より前(1750年ごろ)の約280ppmから4割も上がった。過去80万年で最も高い。

 IPCCは、世界の平均気温が産業革命前と比べて2℃を超えて上がると、地球規模で環境が激変する可能性を指摘する。

 だが、数年後には地球全体が400ppm時代に突入するとみられている。温暖化の影響を避ける「2℃シナリオ」の実現は、困難さを増している。(編集委員・石井徹)






   

2013年09月22日
(声)地球温暖化防止を前に進めよ
 無職 松江逡博(福岡県 86)

 世界中で頻発する極端な異常気象が、人間の暮らしに影響を及ぼし生命まで脅かしています。人間はその経済活動と表裏一体で二酸化炭素を大量に排出し、結果として地球温暖化を招き異常気象が発生しています。豪雨、台風、竜巻、漁業不振などの発生は直接、間接に我々人間の生活を脅かしています。

 特に今、世界各国で巨大竜巻が猛威をふるっています。専門家によると、日本でも温暖化による海水温の上昇などの条件が整えば、米国並みの巨大竜巻が発生する可能性があるそうです。

 日増しに大きく迫ってくる異常気象。しかし1992年に気候変動枠組み条約の署名が始まり、97年には京都議定書ができましたが、温室効果ガスの2大排出国である米中が削減義務からはずれ、日本も今年から義務を負わなくなるなど、簡単に前には進みそうにありません。

 日本の政治家は東京五輪もさることながら、外国の要人と接触される際はぜひ、温暖化防止を話題にして頂きたい。今の異常気象が私には、地球の感情表現に思えます。豪雨は号泣、台風は怒り、竜巻は怒り心頭……。地球環境を元に戻すことは、地球人としての義務だと思います。






   

2013年10月03日
温暖化 データは語る IPCC第5次評価報告書

 国連の「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)による第5次評価報告書の公表が、6年ぶりに始まった。9月27日に公表された第1弾の「科学的根拠」では、加速する気温や海面水位の上昇などの影響が避けられそうにない地球の将来像が示された。2015年に合意を目指す国際的な対策の枠組みをどうすべきか、判断を迫っている。

■CO2量と気温上昇 比例関係新たに示す

 報告書をまとめた作業部会はストックホルムで開かれ、100カ国以上の政府代表らが参加した。会場のスクリーンに映し出された最終草案の表現を一文ずつ討議し、科学的な事実は変更できないものの、表現をめぐって駆け引きを繰り広げた。

 「1880年以降、世界の平均気温が0・85度上昇した」との記述は、当初は「1901年以降」となっていた。会議は非公開。各国の出席者によると、新興国が産業革命(18世紀半ば)前からの上昇幅を明記するように要求。先進国の歴史的な排出責任を強調したい意図があったとみられ、「ここは国連交渉の場ではない」と発言した先進国もあったという。結果、要求は退けられたが、起点を約20年前倒しするなどの妥協が図られた。

 将来の予測では、国際的な削減対策が取られず温暖化が進むシナリオから、産業革命以降の世界の平均気温の上昇を2度以内に抑えるシナリオまで四つを用いて計算した。これまでの気温上昇に加え、今世紀末までに0・3~4・8度上昇する可能性が高いとした。

 新たに打ち出したのが、人類の排出した二酸化炭素(CO2)の累積量と世界の平均地上気温の上昇は、ほぼ比例関係にあるという見解だ。気温の目標によって、今後許される排出量が決まってくることを意味する。

 地球環境の激変を避ける、産業革命からの気温上昇が「2度以内のシナリオ」を66%の確率で実現するには、累積排出量を3兆6700億トン以内に抑える必要があるという。報告書は2011年までにすでに約2兆トンが排出されたとしている。最近は年に約320億トン排出している。

 報告書をまとめた作業部会のデービッド・ラット副議長は「残念なことに、すでに半分以上は出してしまっている」と9月30日に都内で開かれた朝日地球環境フォーラムで報告。このままでは、4度上昇する可能性が高いことを指摘した。

 次期枠組み交渉では、排出可能な量を各国でどう配分するのかも、議論の焦点になる可能性がある。

■海洋深くで熱を吸収 気温急上昇の恐れも

 今世紀に入って気温上昇が鈍っている現象をどう解釈するか。温暖化に否定的な人たちが論拠の一つにしてきただけに、どう説明するかにも注目が集まった。

 報告書は、過去30年の10年ごとの平均気温は、1850年以降の最高を更新し続けていると強調。2016~35年の世界の平均地上気温は、現在より「0・3~0・7度上昇する可能性が高い」と指摘した。その上で、温暖化の停滞は一時的な現象で、再び上昇基調に戻る可能性を示唆しているとした。

 直接触れていないものの、停滞の原因として考えられるのが、深海による調整機能だ。報告書は「海洋の上部(0~700メートル)で水温が上昇していることはほぼ確実。1992~2005年には、3千メートルより深い深層で水温が上昇している可能性が高い」とした。

 03~10年の深さ700メートルまでの水温上昇は、それ以前の10年と比べゆるやかになっているのに対し、700~2千メートルの上昇は勢いよく続いている。

 報告書は、海洋の温暖化について、1971~2010年に「気候システムに蓄えられたエネルギーの90%以上を海が占める」としている。熱が、地表ではなく海洋深くに吸収されている可能性があるというのだ。だが、水温の上昇が深層から海面近くに変わることによって、再び地上気温が急激に上昇する可能性は否定できない。

 世界の平均海面水位は1901年以降、19センチ上昇した。上昇率は加速しており、今世紀末にはさらに26~82センチ上昇する可能性が高いと予測している。

 2007年に公表した前回の報告書(18~59センチ)を上回ったのは、過去20年に南極とグリーンランドの氷床の質量が減少を続けていることが明らかになり、氷床が動いて海に落ち、解ける影響を考慮できるようになったからだ。

 グリーンランドの氷床がほぼすべて失われると、千年以上かけて世界の海面水位は最大7メートル上昇するとされる。産業革命前と比べて世界平均1~4度の気温上昇で起きる可能性があるという。

 高緯度地域では世界平均より大きな気温上昇が見込まれている。熱波や大雨、干ばつ、台風などの極端な気象現象の出方や影響も、地域によって大きく違う。

 第5次報告書は、来年3月に横浜でまとまる報告書(影響と適応策)、4月のドイツでの報告書(温室効果ガスの排出削減)、10月のデンマークでの統合報告書の議論へと受け継がれ、次期枠組み交渉に生かされる。

■北極圏の危機 転換点は遠くない

 石油の掘削基地から噴き上がる炎で解けていく氷のオブジェ――今回のIPCC総会は、北欧ストックホルムでの開催ということもあってか、会場外のNGOたちは北極圏の危機を強調するパフォーマンスを繰り広げた。

 コップの中の氷がいくら解けてもあふれることはないが、外から大量に投げ込まれれば話は別だ。グリーンランドなどの巨大な氷床が崩壊して海に流れ込んでいることが、海面水位の上昇予測が引き上げられた要因になった。

 さらに不気味な話も盛り込まれた。こうした氷床がすべて海に解け出すと水位の大幅な上昇を引き起こす。私たちが生きている間には起こりそうもないが、将来、社会に悲劇的な混乱を引き起こすのは想像に難くない。海岸近くに人口は密集している。

 産業革命前から気温がすでに1度ほど上昇していることを考えれば、後戻りできない転換点は実はすぐ迫っているのかもしれない。そんなことを考えさせられる報告書だった。(須藤大輔)






   

2013年9月17日
一人ひとりが地球を守る 朝日地球環境フォーラム2013、30日・1日に東京で

 朝日新聞社は9月30日と10月1日の両日、「朝日地球環境フォーラム2013」を東京都千代田区の帝国ホテルで開催する。6回目となる今年のテーマは「美しい星 つながる未来」。この夏、日本や世界で、記録的な猛暑や、これまで経験のなかったような大雨、といった異常気象が多発した。世界は、温暖化問題にどう対処したらいいのか。広く深く議論する。

 ■身近に迫る気候異変

 「暑い日があまりに多いのではないか」「大雨の勢いがあまりにも強い」

 日本や世界の人たちはこの夏、変化をより強く実感したのではないか。

 7月、九州から中国南部、英国などが異常高温に覆われた。8月も日本や中国、欧州、カナダなどで高温が続いた。大雨も世界各地で頻発、犠牲者も出ている。逆に低温や少雨に見舞われたところもある。

 竜巻も、国内外で相次いで発生。米国オクラホマ州では5月、40人以上が死亡した。昨夏に過去最少になった北極の海氷は、今夏もかなり小さくなっており、今世紀中に夏場は完全に消失するとみられている。

 「個々の異常気象の原因を、地球温暖化と結びつけることはできない」と科学者は言う。だが、温暖化が進めば、極端な気象現象が増えることは、科学が警告し続けてきた。

 地球温暖化の科学をリードしてきた国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、2007年の第4次報告書で、過去50年の観測から地球の変化をこう指摘した。

 「暑い日や熱波の頻度が増加している」「大雨の頻度が増加している」

 この夏、だれもが感じた異常気象は、まさにこの分析の延長線上にあるのではないか。

 こんな例え話を聞いた。「ステロイド(筋肉増強剤)を使用した大リーガーの本塁打のうち、どれが薬物の影響かを特定するのは難しい。だが、影響しているのは間違いない」

 温暖化に懐疑的でも、二酸化炭素(CO2)の温室効果を否定する人はいない。人は18世紀半ばの産業革命以降、大量の化石燃料を使い、CO2を排出してきた。約半分は海や陸の森林などに吸収されるが、残りは大気中にたまった。

 1990年代、人間活動によるCO2排出量は、炭素換算で年80億トンだった。このうち年32億トンが大気中に残った。途上国の経済規模が大きくなった2000年以降は、排出量93億トン、残留・蓄積量43億トンに、それぞれ増えた。

 産業革命前に約280ppm(0・028%)だった大気中のCO2濃度は、まもなく世界全体で400ppmを突破する。世界の平均気温が2度以上上昇すると、地球環境が激変する可能性が高まる。それを誘引する数値だ。

 この間、温暖化防止の取り組みはどう進んだのか。

 1992年の地球サミットで気候変動枠組み条約の署名が始まり、97年には先進国に温室効果ガスの排出削減を義務づけた京都議定書ができた。だが、2大排出国である米中は削減義務から外れ、日本も今年から義務を負わなくなった。

 世界はいま、すべての国が参加する2020年以降の国際的な温暖化防止の枠組みを、15年までに作ろうと模索している。IPCCは今月から来秋にかけて、その科学的基盤となる報告書を公表していく。科学の要請に従えば、これが最後のチャンスになるかもしれない。

 交渉の行方は、水や食料、健康、エネルギー、生態系など、私たちの生活や経済活動のあらゆる面に影響する。政治家や外交官だけにまかせておけば済む話ではない。一人ひとりが考えて、議論を重ね、地域や職場の中で動き、動かしていく。それが国を動かす原動力にもなる。

 朝日新聞は9月30日と10月1日、今年で6年目となる「朝日地球環境フォーラム」を開く。この異常気象に私たちはどう向き合い、世界の温暖化対策はどうあるべきなのか。そのために考える材料を提供したい。

 (編集委員・石井徹)

 ■国際交渉、新たな機運

 今日の国際政治は、ふたつの流れに引き裂かれている。情報や経済の流れはたやすく国境を越えるが、政策を決める枠組みはいぜんとして国家単位である。問題は地球大なのに、それにふさわしい枠組みは欠けている。その矛盾をもっとも象徴するのが、地球温暖化対策だろう。

 温暖化は世界各地で影響をもたらしている。原因も被害も国境の区別はない。だから答えは多国間協力しかないはずだ。だが、現実に対策を練ろうとすると、一国のエネルギー問題に直結し、国の経済活動や国民生活を左右する。たちまち国益の対立がうず巻き、多国間での合意はきわめて難しい。

 その厳しい国際環境にいま、あらたな機運が生まれている。今年6月、米カリフォルニア州で2日間にわたって、オバマ米大統領と中国の習近平国家主席が濃密な歴史的会談を持った。この席上で、地球温暖化対策が話し合われ、温暖化の原因となる代替フロンの削減をめざして協力することが合意された。

 話し合いは、まだほんの入り口だが、2009年のコペンハーゲンでの国際会議で、オバマ大統領が温暖化をめぐる中国政府の煮えきらない態度に幻滅し、米中関係が悪化した遠因になったことを考えると、こんどは潮目が変わるかもしれないとの期待が出ている。

 そもそもオバマ大統領は2期目を迎えた今年2月の一般教書演説で、地球温暖化対策をもっとも重要な政策課題のひとつと位置づけた。6月には、温暖化防止に向けた新しい行動計画を発表。中国などとの連携もうたっている。

 京都議定書に代わる新しい国際枠組みが成功するかどうかは、米中2国にかかっていると言ってもよいだろう。化石燃料を燃やすことなどによる二酸化炭素排出では、この2国で世界の4割を超えるからだ。そして、この温暖化対策での国際体制づくりは、より深い意味で、米中がどのような関係を築くかという外交戦略にもつながっている。

 もちろん、地球温暖化の行く末を米中間の地政学だけで語ることはできない。環境問題をめぐる国際政治では、政府だけでなく、NGOや地方自治体など様々なプレーヤーがますます大きな役割を果たすようになり、いっそう複雑なゲームとなっている。

 地球温暖化問題をめぐって国際的機運がふたたび盛り上がる兆しが見える中で、朝日地球環境フォーラムに各国から論客が集う。国際政治の新しい流れをどうとらえるのか。潮目をどう生かすのか。意見を交わし、未来への道筋をさぐる。

 (朝日地球環境フォーラム2013 コーディネーター=三浦俊章・GLOBE編集長)

 ■19回目のCOP、11月に

 二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの排出削減を目指す多国間の交渉は、国連気候変動枠組み条約の下でおこなわれている。年1度開かれる締約国会議(COP)は今年で19回目を数え、11月にポーランドで開かれる。

 現在は、京都議定書に代わり、すべての国が参加する新しい枠組み作りを目指して話し合いが進められている。2015年までに合意し、20年にスタートさせるのが目標だ。

 京都議定書は法的な削減義務を初めて先進国に課した取り決めで、第1約束期間(08~12年)が終わり、第2約束期間(13~20年)に入った。だが、米国は約束期間が始まる前の01年に不支持を表明し、参加しなかった。12年にはカナダが離脱した。日本やロシア、ニュージーランドは第2約束期間に削減義務を負うことを拒み、先進国の足並みが乱れた。

 また、発展途上国や新興国の中には排出量が急増した国がある。特に中国は化石燃料を燃やすことなどによるCO2排出量が全世界の24%(10年)を占め、1位になっている。

 京都議定書で削減義務を負った国の排出量は、第1約束期間でも世界の4分の1程度しかカバーしていなかった。先進国だけが義務を負う枠組みでは限界がある。米中両国を含めたすべての国の参加に向けて、具体的な作業を進められるかが焦点になっている。

 (神田明美)

 ■1日目(全体会議)

 地球サミットから21年。地球規模での温暖化の脅威に対する闘いは、より重要さを増している。国際的な対策の新しい枠組みについて話し合いが進むなか、各国はどう手を携えていけるのか、その道筋を探る。

 ◆基調講演・報告/パネル討論「地球温暖化対策 美しい星を守るために」 コーディネーター三浦俊章・朝日新聞GLOBE編集長

 トマシュ・フルシチョフ氏 ポーランド政府気候変動特使

 1958年生まれ。30年にわたり環境保護に携わる。2009年から気候変動に関する国際交渉でのポーランド政府代表を務めている。12年から国連気候変動枠組み条約・適応委員会のメンバー。

     *

 デービッド・ラット氏 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第1作業部会副議長

 ニュージーランド国立水・大気研究機構の主任科学者。大気物理学で博士号。米国、豪州、ニュージーランドで気候・気象の研究を行ってきた。気候の可変性と変動、気候観測などに取り組む。

     *

 マリヤム・シャキーラ氏 モルディブ共和国環境・エネルギー相

 カーティン工科大学(豪州)で博士号(経営)取得。2012年4月から現職。貿易会社、リゾート開発会社などの役員を兼務。小、中学校の教員を務めるなど、幅広い分野での経歴を持つ。

     *

 ウィル・ステファン氏 オーストラリア政府気候委員会委員 オーストラリア国立大学気候変動研究所長

 気候と地球システム科学の分野で、人間活動のモデル・分析への取り入れを重視している。オーストラリアの炭素取引制度を作った「超党派気候変動委員会」(2010~11年)に専門家として参加。

     *

 アンドリュー・レブキン氏 環境・科学ライター

 30年にわたり、環境、科学分野を取材。1995年から2009年までニューヨーク・タイムズ紙記者。現在、同紙の電子版にブログ「ドット・アース」を掲載。10年からペース大学上級フェロー。

     *

 亀山康子氏 国立環境研究所社会環境システム研究センター室長

 1992年環境庁国立環境研究所(当時)研究員、2011年から現職。主著に「新・地球環境政策」(10年、昭和堂)など。東京大学大学院新領域創成科学研究科にて11年から客員教授を併任。

 ◆スペシャルトーク 「つなぐ 日本を旅して」

 中田英寿・元サッカー日本代表

 世界を旅してきたからこそ、もっと日本のことを深く知りたいと沖縄から始めた旅も、もう5年目に入った。その土地ならではの風景や農業、食、伝統工芸や暮らしを知れば知るほど、日本の豊かさが見えてきた。自分の足元のことを知ること、それが大きな意味で環境を守ることにつながると思っている。

 (聞き手 浜田敬子・AERA編集長代理)

 ■2日目 ※セッション1~4は孔雀西の間、5~8は東の間。古川聡さんのオープニングスピーチは東の間で実施し、西の間には中継される。

 ◆「宇宙からの発見 美しい地球」

 古川聡氏 宇宙航空研究開発機構(JAXA)

 国際宇宙ステーションに持ち込んだ高精細ビデオカメラが捉えた地球の映像を紹介する。地球の圧倒的な存在感、空気・水のありがたさなどから地球の大切さを再認識したこと、視野が広がった体験を語る。

 《セッション1》

 ■野生動物と人間の明日を探る

 ◆パネリスト 山極寿一(京都大学大学院教授)、あべ弘士(絵本作家、元旭山動物園飼育係)、須藤明子(イーグレット・オフィス専務取締役)▽コーディネーター・高橋真理子(本社編集委員)

 《セッション2》

 ■江戸からまなぶエコライフ

 ◆スピーカー 古今亭菊千代(落語家)、アズビー・ブラウン(金沢工業大学未来デザイン研究所所長)、山田悦子(アートディレクター)

 ■環境と開発の未来

 ◆講師 石井菜穂子(地球環境ファシリティ<GEF>事務局長)

 《セッション3》

 ■未来に水を引き継ぐために

 ◆サントリー水育(みずいく)講師、朝日小学生新聞リポーターの小学生数人

 ■持続可能な食べ方への道のり

 ◆パネリスト 村田吉弘(料亭・菊乃井主人/NPO法人日本料理アカデミー理事長)、浅見彰宏(農家、福島県有機農業ネットワーク理事)、近藤惠津子(NPO法人コミュニティスクール・まちデザイン理事長)▽コーディネーター・大村美香(本社編集委員)

 《セッション4》

 ■未来都市と暮らし

 ◆パネリスト 宮原智彦(パナソニック藤沢SST推進プロジェクトプロジェクトマネジャー)、河合淳也(三井不動産柏の葉キャンパスシティプロジェクト推進部長)、松尾賢三(医療法人ひがしだクリニック理事長・院長)、門内輝行(京都大学大学院工学研究科教授)▽コーディネーター・多賀谷克彦(本社編集委員)

 《セッション5》

 ■地球のミカタ

 ◆講師 松浦直人(宇宙航空研究開発機構衛星利用推進センター長)

 ■豊かな水が社会を支える

 ◆パネリスト マリヤム・シャキーラ(モルディブ共和国環境・エネルギー相)、滝沢智(東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻教授)▽コーディネーター・荻野博司(本社企画委員)

 《セッション6》

 ■日本の温暖化対策

 ◆講師 谷津龍太郎(環境事務次官)

 ■再生可能エネルギーと地域の自立

 ◆パネリスト ポール・ルイス(英スコットランド開発公社産業担当常務)、真山仁(小説家)、大野輝之(前東京都環境局長)▽コーディネーター・石井徹(本社編集委員)

 《セッション7》

 ■究極のエコカー、燃料電池車の未来

 ◆パネリスト 小木曽聡(トヨタ自動車常務役員)、斎藤健一郎(JX日鉱日石エネルギー・研究開発本部研究開発企画部長)、清水和夫(自動車ジャーナリスト)▽コーディネーター・安井孝之(本社編集委員)

 ■40億年の地球生物の物語

 ◆講師 クリストファー・ロイド(「What on Earth Publishing」社CEO、作家)

 《セッション8》

 ■「デイリー・プラネット」~メディアと環境問題

 ◆講師 アンドリュー・レブキン(環境・科学ライター)

 ■環境ソーシャルビジネス 2つのキーワード

 ◆パネリスト 長谷部健(まちのおそうじNPO法人green bird理事長、渋谷区議会議員)、白木夏子(HASUNA代表取締役兼チーフデザイナー)▽コーディネーター・佐藤大吾(一般財団法人ジャスト・ギビング・ジャパン代表理事)

 《親子セッション》 国立科学博物館こども研究室~学ぼう!生きものの多様性~

 ■トークイベント&恐竜3D映像「植物の多様性とその危機:日本の植物がきえていく?!」

 ◆講師 海老原淳(植物研究部研究員)

「最新恐竜学:恐竜絶滅のふしぎ」

 ◆講師 真鍋真(地学研究部研究主幹)

 ■バーチャルダイナソー(3D映像)

 国立科学博物館で常設展示しているティラノサウルスの標本をモデルに、迫力ある映像をお見せします。

 ■3D塗り絵&恐竜体験ワークショップ

 紙に描いたステゴサウルスに、あなたの好きな色を塗りましょう。カメラでパソコンに取り込むと、画面上で、塗り絵をした「あなただけの恐竜」が立体像になり、動き出します。一緒に記念撮影も。恐竜アロサウルスがあなたの動きに合わせて動く体験コーナーもあります。

 《特別講演》

 「鳥インフルエンザ ~野鳥から鶏へ~」 大槻公一・京都産業大学鳥インフルエンザ研究センター長 客員教授

 「JR東日本の環境経営について」 山本信也・JR東日本総合企画本部 経営企画部環境経営推進室長

 「いのちの絆を、地球の未来へ。」 川路茂雄・イオン環境財団 事務局長

 「節水型社会の実現を目指して」 重永佳己・TOTO ESG推進部部長

 「生物多様性の保全とICTの貢献」 篠原弘道・NTT常務取締役 研究企画部門長

     *

 朝日地球環境フォーラム2013は、環境問題に取り組む次の企業や団体から協賛を得ています。2日目には特別協賛各社・団体による特別講演を予定しています。







   

2013年10月1日


 【パネル討論】

 ■まず健康被害に注目を/貧しい国の援助も同時に

 パネル討論「地球温暖化対策 美しい星を守るために」では、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の関係者やジャーナリストら5人が、温暖化問題にどう対処するべきか意見を交わした。コーディネーターは三浦俊章・朝日新聞GLOBE編集長。

     *

 三浦 まずはレブキンさんと亀山さんにIPCCの報告書の評価も含め、ご意見をいただきたい。

 レブキン 20世紀、人間はティーンエージャーのように、化石燃料を使えるだけ使って急いできた。今、若い親が現実に目覚め、貯金した方がいいと考えるように、変わってきている。人間は高い技術革新の能力を持っており、私は楽観的にも見ている。

 亀山 私はいい方向に行っているとは思わない。今回の報告書は、中立的な表現でありながら、言葉は強くなっている。温暖化は、かなり確実に起きているという言葉に置き換わり、理由は人為的なものだと断定に近い。(国際社会が温暖化対策で)最終合意をめざす2015年が、人類にとって最後の挑戦になるのではないか。

 フルシチョフ 合意するには政治家の出番がある。技術的な細かい議論に踏み込まず、一般的な議論に集中すれば、合意の可能性はないわけではない。

 三浦 IPCCの報告書をまとめるにあたって、苦労はあったのか。科学が中立であろうとすると、はっきりものが言えなくなるのではないか。

 ラット IPCCにかかわる者にとって、科学的な根拠を提供することは重要だ。ただ、我々が何らかの政治的な目標をもっていると見られれば、権威が失われてしまう。

 レブキン 私が楽観的な根拠は、最も温暖化が進むパターンでは、中国が石炭の活用を伸ばし続けていくとの想定に基づいている。だが、これまでの大気汚染の問題を見ても、中国がこのカーブを維持し続けることはあり得ない。

 ステファン 大企業は化石燃料は「悪い投資」と言っている。香港上海銀行(HSBC)、あるいは有名な英国のエコノミストのニコラス・スターン氏も化石燃料に投資するのは悪い結果を招くかもしれないと警告している。こういったことで、伸びてきたCO2のカーブが転換することもありうると思う。

 亀山 温暖化の話を議論すると「いいこともあるんじゃないか」という話が必ず出る。寒い地域に住む人は冬も寒くなくなるし、ビールの売り上げが伸びて景気にプラスだ、という話も出る。だが、日本は今年、異常に暑い夏で、熱中症で救急搬送された人が6万人近くにのぼった。温暖化の議論では、対策にかかるコストに集中し、このまま気温が上がった場合に受ける被害のコストは無視されがちだ。

 ステファン 経済的なコストだけでなく、人間の健康への影響も考えなければならない。それも経済コストで考えれば救急車で運ぶコストになったりするが、人の健康は経済的なコストよりも重要だ。

 ラット ニュージーランドでは、温度が高いと草が早く伸び、酪農にプラスだと言われ、ワインの生産などにもいいとされるなど、温暖化によるプラスの影響も指摘されている。一方で、ニュージーランドは小さな島なので、海面が上昇すると住むことが大変になる。太平洋の島々にとっても、大きな問題だ。

 三浦 日本でも、米作りが難しかった北海道が今、米どころになっていることにもあてはまる。

 レブキン 貧しい国は赤道に近く、暑いところにあり、貧困と温暖化の両方に直面する。アフリカでは、今日の気温を知る温度計さえないところがある。CO2排出量の削減だけでなく、貧しい国を手助けしなければ、紛争などがさらに起きることになる。

 三浦 温暖化に対する意識は変わっただろうか。

 レブキン 1980年代から米国では世論調査をしているが、「地球温暖化についてどれくらい心配ですか」という質問をすると、上下動がある。温暖化への懸念が、高まっているということはない。

 亀山 日本の世論調査でも、関心事項のトップに気候変動が出ることはなく、上がったり下がったりを繰り返している。日本は世界のCO2総排出量の4%しか占めておらず、日本だけでは問題は解決しないという説明も聞かれる。ただ、5番目に大きな排出国であり、排出量を減らす責任を負っている。日本の省エネ機器を使ってもらうことで、全体の排出量を減らすように、認識を変えることが重要ではないか。

 ■未来に備え、辛抱強いアプローチを コーディネーター・三浦俊章(朝日新聞GLOBE編集長)

 パネル討論の3時間は、あっという間だった。

 ながく地球温暖化問題に取り組んできた政府特使、科学者、そしてジャーナリストが、多角的な議論を展開した。先週、IPCCが踏み込んだ報告書を公表したことも討議を熱くした。

 この日のキーワードは二つあった。一つは「未来」。温暖化が進めば、今世紀末に地球はどうなるのか。未来をどう予測し、備えるのか。

 もう一つは「コミュニケーション」である。温暖化問題の切実さが、ふつうの人々に伝わっていないもどかしさがある。メディアの役割は何か。そして教育は何をすべきか。

 複雑な利害が絡み合う温暖化問題には、黒白の二元論ではない、辛抱強いアプローチが必要だ。解決への志を持続させていくことが重要だと痛感した3時間だった。

 ◇アンドリュー・レブキン氏(米国の環境・科学ライター)

 Andrew Revkin 30年にわたり、環境、科学分野を取材。1995年から2009年までニューヨーク・タイムズ紙記者。現在、同紙の電子版にブログ「ドット・アース」を掲載。10年からペース大学上級フェロー。

 ◇亀山康子氏(国立環境研究所社会環境システム研究センター室長)

 かめやま・やすこ 1992年環境庁国立環境研究所(当時)研究員、2011年から現職。主著書に「新・地球環境政策」(10年、昭和堂)など。東京大学大学院新領域創成科学研究科にて11年から客員教授を併任。

 ■明日をひらく技術 「究極のエコ」燃料電池車/ロボットの宇宙飛行士

 フォーラム会場には、環境への負荷を減らす未来の新技術や、日本の生態系の豊かさを紹介するコーナーが設けられた。

 トヨタ自動車は燃料電池車を展示した。ガソリンを使わず、燃料の水素と空気中の酸素を化学反応させ、発生させた電気でモーターを回して走る。二酸化炭素を出さず、出るのは水だけで「究極のエコカー」と呼ばれる。3分で水素を満タンにでき、走行距離は700キロメートル超。2015年ごろから市販する。他の主要メーカーも同時期に売り出すため、15年は量産化元年になりそうだ。

 千葉県浦安市の大学院講師谷達雄さん(66)は「ハイブリッド車は、最初は値段が高かったけれども、今や当たり前になった。燃料電池車も未来の車として期待している」と話した。

 来場者が熱心に写真を撮っていたのが、ロボット宇宙飛行士の「ミラタ」。8月に、H2Bロケットで打ち上げられ、国際宇宙ステーション(ISS)に滞在している「キロボ」と同型のロボだ。身長34センチ、体重1キロで電通、東京大、トヨタ自動車などが開発した。人の話す言葉を聞き取り、会話ができる。

 開発に携わった電通の西嶋頼親さん(42)は「しゃべるロボットを世界で初めて宇宙に送ったのは日本。未来に生きる子どもたちに夢を与えたい」と話した。フォーラム2日目の1日には、宇宙飛行士の古川聡さんが「宇宙からの発見 美しい地球」と題してスピーチをする。

 ■木村伊量・朝日新聞社長あいさつ

 この夏、日本は記録的な猛暑や大雨に襲われました。世界各地でも被害や犠牲が相次いでいます。「地球はおかしくなっているのではないか」。そんな心配を多くの人が感じているのではないでしょうか。

 環境というテーマは、社会、エネルギー、産業、市民のライフスタイルなどさまざまな分野に関係します。国際的な話し合いでは、各国の事情や利益が複雑にからみあっています。

 公害を乗り越えた日本は、世界に貢献する責任を負っています。私たちが知恵を絞り、協力しあえるなら必ず道は開けます。






   

2013年12月30日
(気候異変)天変地異は地球規模 今年を振り返って

 身動きがとれなくなる大雪が北日本で降ったかと思うと、夏には全土で猛暑。秋、過去最大級の台風がフィリピンを襲い多くの命が失われた。2013年、数々の異常気象が日本を含む世界を襲った。専門家は、地球温暖化対策を急ぐ必要があると警告している。

 ■夏の猛暑豪雨、冬の大雪 日本、西太平洋の高温影響

 日本列島はこの1年、季節を問わず極端な天候に見舞われた。

 年初は北日本の一部で記録的豪雪となった。気象庁によると、青森市・酸ケ湯(すかゆ)で積雪の深さが566センチになるなど12地点で最深積雪記録の1位を更新した。

 夏は、気象庁の検討会が「異常気象だった」という見解を示したほど。高知県四万十市で国内の最高気温の記録を更新する41・0度を観測したのをはじめ、143の観測点で、その地点での過去最高を記録した。秋田、岩手両県や山口、島根両県には「過去に経験したことがない」と表現される大雨が計3回降った。

 9月には埼玉県と千葉県で強い竜巻が発生。10月に入ると台風26号が伊豆大島に大雨を降らせ、大規模な地滑りによって36人が死亡、3人が行方不明となった。

 そして迎えたこの冬。気温は平年並みか低く、日本海側の降雪量は平年並みか多いと予測されている。この年末も北日本や日本海側で大雪となり、帰省に影響している。

 日本に寒い冬をもたらす要因は、夏の猛暑や多雨の要因と共通している。ここ数年、太平洋西部の海面水温が高いことが影響していると考えられているのだ。

 気象庁によると、海面水温が高いと活発な上昇気流が生まれる。夏はインドネシア・フィリピン周辺の海面水温が高かった影響で太平洋高気圧とチベット高気圧が重なり、日本付近が高温になるとともに、大量の水蒸気を含んだ大気が東北にまで流れ込んだ。

 冬もインドネシア周辺で積乱雲が生まれやすい状況が続く。これが偏西風を蛇行させて日本付近では南へ下げ、北方から寒気を呼び込むメカニズムになっているという。(神田明美)

 ■巨大台風・「100年ぶり」雪…

 マラソン選手の高地トレーニングで知られる米中西部・コロラド州のボルダー市周辺は9月、記録的な豪雨に見舞われた。

 数日間で1年分に近い雨が降り、川が決壊。広い範囲が水につかった。州政府によると8人が死亡、1万8千人以上が避難した。建物や道路の被害は20億ドル、日本円にして2千億円超に達するという推計もあり、いまも復旧作業が続く。雨の激しさは「100年に一度」という。

 その1年前の天候は正反対だった。コロラド州を含む穀倉地帯を厳しい干ばつが襲った。トウモロコシや大豆などの生産量が激減して穀物相場が高騰し、その影響は日本にも及んだ。

 荒ぶる気候が人々を脅かす。オバマ大統領は6月の演説で、米東部を昨秋直撃して5兆円超の被害を出した巨大ハリケーン「サンディ」に触れ、「ニューヨークの海水面が1世紀前より1フィート(約30センチ)上昇していることが確実に被害に拍車をかけた」と述べて温暖化対策の重要性を訴えた。

 中国でも異常気象が相次いだ。上海では8月に最高気温が40・8度に達し、記録が残る約140年間で最も高くなった。

 記録的な大雨による被害は6月にインド北西部、5~6月に欧州でも起きた。11月、「スーパー台風」と呼ばれた台風30号がフィリピンを襲い、6千人を超える犠牲者を出した。

 今月13日にはエジプトの首都カイロ郊外に雪が降った。住宅地が白く覆われるほど降ったのは「100年ぶり」という見方もあるという。(ワシントン=小林哲)

 ■止まらぬ温暖化、影響広がる恐れ

 もともと自然界には、年によって気温が高かったり低かったり、雨が多かったり少なかったりする「ゆらぎ」がある。世界中で異常気象が相次ぐ背景に地球温暖化の存在が指摘されるが、個別の現象との直接の因果関係は分からない。温室効果ガスによる温暖化は、数十年規模の傾向として観測・予測されている。

 しかし「温暖化によって気温がかさ上げされれば、今年の猛暑のように経験のない現象をより頻繁に経験するようになる」と東京大大気海洋研究所の木本昌秀教授(気象学)は話す。

 9月に公表された国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の最新の報告書は、このまま温室効果ガスの排出が増えると世界の平均気温は今世紀末に産業革命前と比べて最大4・8度上昇すると予測する。国際社会は上昇を2度以内に抑えることを目標にしているが、それがいかに難しいことかを示した。

 日本の今夏の平均気温は平年と比べて1・1度ほど高かったにすぎない。木本教授は「上昇が2度に抑えられても、大きな変化をもたらすという想像力を働かせてほしい。事態は切迫している」と指摘する。

 今月来日したIPCC作業部会のトーマス・ストッカー共同議長は講演で、上昇を2度以内に抑えるために許された温室効果ガスの排出量は790ギガトン(炭素換算)と説明した。すでに515ギガトンを排出しており、現在のペースが続けばあと30年ほどで許容量を超えるという。(須藤大輔)






    追加記事

2014年1月9日
(社説)温暖化防止 子孫につけを残すまい

 このままでは、地球温暖化で今世紀末までにアジアを中心に数億人の移住が必要になりそうだ――。

 国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)がつくっている第5次報告書に、温暖化の深刻な影響が盛りこまれる見込みになった。

 破滅を避けるには、温室効果ガスの排出削減で温暖化を抑える「緩和策」だけでなく、被害を軽くする「適応策」が重要だというのが、多くの科学者の合意になってきた。

 温暖化は災害の増加や水不足、食糧難などを通じて、政情不安や国際紛争を頻発させかねないとIPCCはみている。

 各国政府は世界規模の安全保障問題と位置づけて、積極的に対策を講じるべきである。

 移住が迫られる最大の要因は最大80センチも海面水位が上昇したりして、沿岸の土地が失われるためだ。フィリピンで昨秋、高潮などで死者・行方不明者約8千人を出した台風被害が思い出される。小さな島国の領土保全は非常に厳しい。

 雨の降り方が変わり、水不足に直撃される国や地域が相次ぎそうだ。熱帯の国々では、高温障害などによる食糧難が深刻になるとも予測している。

 世界経済の成長が阻まれ、貧困が広がる恐れもある。国家や民族などの間に巨大な不安定要素が生じるだろう。

 世界の平均気温は18世紀半ばの産業革命前と比べて、すでに1度ほど上昇している。

 今後の上昇を2度以内に抑えることが国際目標だが、このままだと今世紀末までにさらに最大4・8度上昇するという。

 車が急に止まれないように、どんな温室効果ガスの削減策をとっても10年やそこらでは温暖化を抑える効果は目に見えないと考えられている。

 だが、ここで手をこまぬけば取り返しがつかなくなるというのが、IPCCの警告なのだ。

 時間を浪費せず、温暖化の緩和策と適応策に一刻も早く真剣に取り組みたい。

 たとえば、日本政府は20年の温室効果ガス削減目標として05年比3・8%減を掲げるが、まったく不十分だ。

 放射性廃棄物という別の形で子孫につけを回す原発に期待をかけるのではなく、真に持続可能な社会への転換によって大幅削減を図りたい。

 適応策の研究開発にも力を入れたい。食糧生産などに関してはかなり可能性がありそうだ。

 「報告書が出たとき、なぜ手を打たなかったのか」。子や孫の世代に非難されたくはない。