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折々の記 2014 ①
【心に浮かぶよしなしごと】

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【 09】01/25

  01 25 指導者としての哲学が誤っていないか 安倍総理の躓き  


 01 25 (土) 指導者としての哲学が誤っていないか 安倍総理の躓き  



            目 次          かえるかい 2014/01/30

指導者としての哲学が誤っていないか 安倍総理の躓き(1/25) 【01】

  十七条憲法[第一条] 【01】
  老子と荘子の思想 【01】

首相の発言、瞬時に拡散 日中関係、第1次大戦前の英独になぞらえ (朝日1/25)(1面) 【02】

  ① 首相発言、欧米で波紋 日中関係、大戦前の英独例に説明(1/24) 【03】
  ② 法人減税の「公約」、世界が注視 ダボス会議(1/23) 【05】
  ③ (声)「中国研修」遠のき、がっかり(1/7) 【06】
  ④ 国輸出2カ月ぶりプラス 10月前年比 EU向け回復(11/8) 【07】
  ⑤ 1~9月の訪中客5%減少 大気汚染が一因(10/22) 【07】
  ⑥ 旅博に中国が復帰(9/14) 【07】
  ⑦ (世界とアベノミクス:3)アジアとの良好関係が鍵 張季風氏(9/14) 【08】

首相発言、欧米に波紋 日中の偶発的衝突、メディア懸念 (朝日1/25)(2面) 【09】

  ① 首相発言、欧米で波紋 日中関係、大戦前の英独例に説明(1/24) 【11】
  ② 「偶発的な衝突防止の窓口を」 首相、中国に申し入れ(1/23) 【11】
  ③ 首相の靖国参拝、広がる波紋 中国緊張、台湾ではデモ(12/28) 【11】
  ④ 文春報道、韓国で波紋 「韓国は愚かな国、首相が発言」(11/15) 【13】

安倍さん、声聞いて 国会開会、憲法・外交に危機感 (朝日1/25)(39面) 【14】

  ① 国会開会 首相の施政方針演説はどう響いたか(1/25) 【14】
  ② 安倍首相、憲法解釈変更の可能性示唆 集団的自衛権巡り(11/25) 【16】
  ③ 幽霊より仕事優先? 首相の公邸泊、国会開会後に急増(11/3) 【16】
  ④ (社説)首相国連演説 平和主義と言うのなら(9/28) 【16】
  ⑤ 集団的自衛権、高い壁 行使容認へ首相は意欲 関連法の整備、不可欠(7/24)【17】
  ⑥ 首相国連演説―平和主義と言うのなら(9/28) 【19】
  ⑦ (声)集団的自衛権 数のおごりか(9/20) 【19】
  ⑧ (声)シリア緊迫 集団的自衛権 日本への問い(9/4) 【19】



中国や韓国とのギクシャクした状況をきたしているのを見るにつけ、安倍総理は指導者としてのバックボーンが誤っているのではないか。

多くの先覚者の中には、その願いを吾が身の願いとしたい人物がおりました。 それらの人の願いは何だったのでしょうか。 日本の古代国家が成立した様子を見ていると、中国の大陸文化を取り入れて国家としての形態を作り上げた多くの先覚者がいました。 その人達によって文字や学問、技術、政治手法から生活様式全般にわたって、日本文化を築きあげた人たちがいました。 仏教や儒教を修養のために流布していった人もいました。 領国に学問や殖産、技能をひろめ人々の平安をねがった人たちもいました。

人によって心の師と仰ぐ人はちがいましょう。 聖徳太子は和を大事にし、弘法大師は慈悲を大事にし、上杉鷹山は伝国の辞(人民は国家に属したる人民にして我私すべきものこれなく候)を大事にしました。 民百姓は恥ずかしくないことを大事にし、自然に感謝してまいりました。

徒弟制度は昔の様式でしたが、伝承されてきた技能もすばらしい日本文化そのものでした。

安倍総理はこうした人の心がけを、自分の願いとしていないのでしょうか。 平和と言いながら、温かい手を隣人に差し出さないのですか。

安倍総理は隣人に「温かな燈火」をともす人には見えません。 その哲学の範疇には、欠落している部分があると見受けられます。

ちょっと酷いでしょうか?



私は次のような考え方も心の糧としています。 あなたはどう思いますか?

十七条憲法[第一条]

  一曰。以和為貴。無忤為宗。
  一に曰く、 和を以て貴しと為し、忤(サカラ)ふ無きを宗(ムネ)と為せ。
  第一条  和を以て貴しと為し、私意をほしいままにして乱してはならない。

老子と荘子の思想

老子も荘子もともに春秋戦国の乱世を生きた思想家ですが、荘子の思想は老子の思想を継承して発展させたものと言えます。

彼等の思想に共通する点と言えば、政冶や社会のシガラミと言った煩わしさから解放されて、静かに自己や世界を観じようとするところにあると言えましょう。

彼等は儒教のように「道」を道徳的として考えずに、現象世界をありのままに成立せしめる宇宙の根本原理と捉えています。

老子は生没年代が不詳なために、実在の人物であることを疑う研究者もいるほどですが、その思想の概要は著作とされる『老子道徳五千言』で知ることができます。

老子は人間の世界は混乱しているけれども、自然は秩序が保たれた平和な世界であると説いています。

その自然を自然たらしめている「道」すなわち自然の道は、人が見たり聞いたりすることが出来ないものであり、それは如何なる思考や論議をも離れた「無」或は「無名」と言うべきものではあるけども、この自然の道は万物を生み育む「万物の母」でもあると説いています。

このように自然の道は、万物を無為・無心・無欲・無作為に生み育てているのであるから、人間としての生き方もそのように、小賢(こざか)しい知・欲・偽を捨て去って生きるべきだと説いています。

それを無為自然(むいしぜん)・清浄恬淡(せいじょうてんたん)・柔弱謙下(じゅうじゃくげんげ)という言葉でより具体的に述べています。

○無為自然・・・・作為を弄せず、あるがままの自然に従って生きよ。

○清浄恬淡・・・・限りない欲望や執着心を捨て去って生きよう。

○柔弱謙下・・・・水のように柔軟で謙虚な態度を保ち、強さや賢さをひけらかすこともなく、他者と争うことも捨て去って生きよ。

以上のような老子の思想を継承した荘子(紀元前365年~290年)は、「道」とは現象世界の具体的事物と「道」とは次元が異なるものであると説いています。

すなわち現象世界の具体的事物とは自然的(形而下)の領域であり、「道」は超自然的(形而上)の領域であるとして立て分けています。

「道」は自然的領域に於ける万物を万物たらしめるもの、換言すれば現象を超えたものであるから、現象世界の具体的事物は「道」そのものではありません。

それは、「分別知」すなわち分析的な知性では認識し得ないものであると説いています。

その「道」を会得した者は、真実の世界に目覚め、「道」に学ぶことによって人間世界の狭い価値観に捉われることなく、自然の境地に到達できて真の自由を獲得すると説き、そのような境地を「道に遊ぶ」と表現しています。


以下 安倍総理に関する報道を取り上げます
首相の発言、瞬時に拡散 日中関係、第1次大戦前の英独になぞらえ (朝日1面)(1/25)

 「偶発的な衝突が起こらないようにすることが重要だと思う」

 安倍晋三首相は22日、スイスのダボスで主要メディアの幹部ら約30人に限定した会合で、日中の武力衝突の可能性を問う質問に音声録音を認めて答えた。首相は続けた。「今年は第1次世界大戦から100年目だ。イギリスもドイツも経済的な依存度が高く、最大の貿易相手国だったが、戦争が起こった」

 首相が現在の日中関係を第1次大戦前の英独関係になぞらえたことは、当地で開かれていた世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)の参加者たちに衝撃をもって伝わった。日本の指導者が「日中開戦の可能性を否定しなかった」と受け止めたためだ。会合に幹部が参加した英紙フィナンシャル・タイムズは、首相が「日中は第1次大戦前の英独関係と似た状況にある」などと発言したとツイッターで即座に発信。直後に電子版の記事も配信した。

 一昨年の日本政府による尖閣諸島(沖縄県)国有化に続き、昨年は中国が東シナ海に防空識別圏を設定、安倍首相は靖国神社に参拝した。対立が続く日中関係は、偶発的な紛争を招く可能性はないのか。参加者が注目する中、首相は英独が敵対関係となった第1次大戦に触れた。

 首相は当時の英独関係と「似ている」とは直接発言していないものの、例えとして第1次大戦を取り上げたことが疑念を呼んだ。メディア幹部との会合から数時間後の22日夕、首相はダボス会議で基調講演。終了後、世界経済フォーラムのクラウス・シュワブ会長の最初の質問は、首相が講演の大半を割いたアベノミクスではなく、日中関係に関することだった。(ダボス=前川浩之、星野真三雄)(2面に続く)

   この記事に関するニュース

  ① 首相発言、欧米で波紋 日中関係、大戦前の英独例に説明(1/24)
  ② 法人減税の「公約」、世界が注視 ダボス会議(1/23)
  ③ (声)「中国研修」遠のき、がっかり(1/7)
  ④ 国輸出2カ月ぶりプラス 10月前年比 EU向け回復(11/8)
  ⑤ 1~9月の訪中客5%減少 大気汚染が一因(10/22)
  ⑥ 旅博に中国が復帰(9/14)
  ⑦ (世界とアベノミクス:3)アジアとの良好関係が鍵 張季風氏(9/14)



① 首相発言、欧米で波紋 日中関係、大戦前の英独例に説明 (1/24)

 安倍晋三首相が、世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)での各国メディア幹部らとの会合で日中関係を問われ、第1次世界大戦前の英独関係を引き合いに出して説明した。大戦を教訓に、衝突を避ける手段を構築すべきだという意味合いだったとみられるが、欧米メディアが「日中間の緊張が極度に高まっている」と受け止めて報道し、波紋が広がっている。


特集「尖閣諸島 過熱する主張」  <http://www.asahi.com/special/t_right/senkaku/>

尖閣諸島 過熱する主張
 尖閣諸島の国有化に中国が強く反発し、島の領有権をめぐる問題が日中関係を揺るがせている。互いに譲らない主張の根拠は、どこにあるのか。過去からの経緯を詳しくたどる。(金順姫、守真弓、五十川倫義)


【下平・註】

上記のURLを開くと、尖閣諸島の地図と共に「近代以前」「明治」「終戦後」「国交正常化」「日中の主張」「識者の見方」の6項目に分けて、日本と中国それぞれの主張が解説してあります。

「記録と考証 日中国交正常化・日中平和友好条約締結交渉」(岩波書店) 石井明、朱建栄、添谷芳秀、林暁光編 というタイトルでアマゾンから 4,200円(古本 2,750円)で入手できる。

また「尖閣諸島をめぐる参考文献」としては<http://www.asahi.com/special/t_right/senkaku/>で調べることができます。

今まで老生が見てきたところでは、「棚上げ」という解釈が妥当だろうと思っています。 日中関係がぎくしゃくしている時期に、日本が国有化宣言をしたのはおかしいし、不当でもある。 中国の現状を見ていると、国内事情から早急に話し合う状況ではない。

もし「棚上げ」で両者が了解できないとすれば、あとあと話し合って決める方法をとるべきでしょう。


 菅義偉官房長官は24日午前の記者会見で「真意をしっかり伝えたい」と述べ、大使館を通じて発言の意図を海外メディアに説明する方針を明らかにした。

 会合は22日に主要メディアの幹部ら約30人が出席して開かれた。安倍首相は質問に日本語で答え、通訳が英語で伝えた。

 安倍首相は「日本と中国が尖閣諸島を巡り武力衝突する可能性はあるか」との質問に、「軍事衝突は両国にとって大変なダメージになると日中の指導者は理解している」と説明。そのうえで「偶発的に武力衝突が起こらないようにすることが重要だ。今年は第1次世界大戦から100年目。英国もドイツも経済的な依存度は高く最大の貿易相手国だったが、戦争は起こった。偶発的な事故が起こらないよう、コミュニケーション・チャンネル(通信経路)をつくることを申し入れた」と述べた。

 この発言を通訳が伝える際、英独関係の説明に「我々は似た状況にあると思う(I think we are in the similar situation)」と付け加えた。首相が英独関係を持ちだした意味を補ったとみられる。この通訳は、日本の外務省が手配した外部の通訳だったという。

 これを受け、英紙フィナンシャル・タイムズは「今の日中関係は第1次世界大戦前の英独関係と似ていると首相が発言した」と報道。24日付社説で「問題の深刻さを伝えたかったのだろうが、首相が第1次大戦と現状を比べるのは扇動的」と指摘。英BBCの経済エディターは「コメンテーターがそう言うのは予想がつくが、日本のリーダーの発言となると、より衝撃がある」と解説した。

 米誌タイムは、安倍首相が武力衝突の可能性について「もちろんない」という表現を使わなかったなどとして、「日本と中国は戦争になるのか」との見出しを掲げた。ロイター通信など他のメディアも首相の発言を引用して報じた。(ダボス=前川浩之、星野真三雄)

 ■ダボス会議での首相発言(該当部分全文)

 日本と中国の間においてですね、軍事的な衝突になればですね、両国にとってそれは大変なダメージになるわけであります。地域や世界にとっても極めて大きい影響があると、日本も中国も指導者はよく理解していると思います。

 また中国にとってもですね、経済成長していくことはですね、中国の共産党政府においても、中国をいわばコントロールしていく上で絶対的に必要な条件なんですね。日本と武力衝突が起こったら、その条件は吹っ飛んでしまうということは、十分に理解しているんだろうと思います。

 しかし、大切なことはですね、偶発的な衝突が起こらないようにしていくことが私は重要だと思っています。今年は第1次世界大戦から100年目であってですね、イギリスもドイツも経済的には依存度が高かった最大の貿易相手国だったが、戦争が起こった。

 ですから大切なことはコントロールすることであって、私は中国に対してですね、偶発的な事故あるいは衝突が起こらないようにですね、軍同士、あるいは防衛当局同士のですね、コミュニケーションチャンネル(通信経路)を作るべきだということを、これは随分前なんですが、申し入れをしています。


② 法人減税の「公約」、世界が注視 ダボス会議 (1/23)

 安倍晋三首相はスイスで開かれた世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で、規制をゆるめたり、企業が納める税金を減らしたりする決意を強調した。首相は堅調な株価の推移に自信を見せ、日本への投資増や株高を狙う。ただ、規制緩和や法人減税には族議員や省庁が強く反対しているうえ、巨額の財政赤字にも不安が寄せられている。

 「いかなる既得権益といえども私の『ドリル』からは無傷ではいられない」。首相は基調講演で自らをドリルに例え、岩盤のように硬い規制に穴をこじ開ける「改革者」と印象づけようとした。

 規制緩和と並び、首相が講演で力を入れたのは法人税の実効税率の引き下げだ。「本年、さらなる法人税改革に着手する」。海外の投資家が日本に投資する際、この二つを重要な判断材料にするからだ。

 首相は講演の冒頭、電力自由化やコメの減反廃止、法人減税を訴えた。自民党に近い業界団体や省庁、族議員が後ろ向きな問題に取り組む姿勢を世界に示し、事実上の「国際公約」と位置づけた。特に法人税を含む税制は自民党税制調査会で決める慣例だが、政府関係者は「首相が議論を主導するという意味だ」と解説する。

 「日本経済が復活するためにはこの政策しかない」。首相が講演に先立ち、各国メディア幹部との会合で力説したように、アベノミクスのアピールに懸命なのは、消費税が8%に上がる4月以降、景気が大きく落ち込めば、政権基盤が揺らぎかねないからだ。自ら掲げる経済政策・アベノミクスの柱である金融緩和、財政出動に並ぶ成長戦略を着実に進めるため、首相は6月に規制緩和を盛り込んだ新たな成長戦略をまとめ、年末に法人減税に道筋をつける――とのシナリオを描く。

 首相の講演を聴きに来た世界の経済人たちの反応はおおむね好意的だった。

 スイスの大手銀行UBSのアジア担当幹部、ルトゥフェイ・シディキ氏は「日本に投資を、という積極的な姿勢が伝わった」。

 アベノミクスは昨年のダボス会議でも注目を集めたが、急速に進んだ円安を背景に欧州などから「通貨安競争」との批判が高まった。これが今年は様変わりした。この1年間、日本政府が国際会議などの場で「アベノミクスは円安誘導ではない」と繰り返したことが功を奏したようだ。

 逆に今回、世界の目はアベノミクスの内実に注がれた。世界経済フォーラムのクラウス・シュワブ会長は講演後、「アベノミクスでさらに政府の借金を増やしたが、背負っている重荷を軽くすることはできるのか」と、先進国最悪の財政状況を指摘した。

 これに対し、首相は国と地方が抱える基礎的財政収支の赤字(国内総生産に対する割合)を2015年度までに10年度の半分まで減らすという目標の「達成が視野に入ってきた」と答え、財政への不安をぬぐい去ろうと必死だった。

 しかし、ドイツのベレンベルク銀行のホルガー・シュミーディング氏は朝日新聞の取材に警鐘を鳴らした。「日本に必要なのは成長戦略と構造改革だ。痛みを伴うが、真剣に取り組まなければ持続可能ではない」(ダボス=斉藤太郎、前川浩之、星野真三雄)


③ (声)「中国研修」遠のき、がっかり (1/7)

 高校生 山崎哲哉(東京都 16)

 私たちの高校では以前、秋に修学旅行を兼ねた研修旅行の行き先の一つに中国があった。北京や古都を訪れ、日本文化の源流となった中国の歴史的遺産などを見学するのだ。しかし、2012年度からは九州地方のみに変更されている。原因は日中関係の悪化だ。

 12年度は政府の尖閣諸島国有化をきっかけに中国で大規模な反日デモが行われ、学校側は安全を保証できないとして行き先を変更した。そして13年度も日中関係の改善が見られなかったため、中国研修は実現しなかった。

 「来年度こそは」と期待して、生徒と先生が準備を進めようとした矢先、安倍晋三首相の靖国神社参拝の一報が伝わってきた。これを聞いて、来年度の中国もまた遠のいたと感じた。案の定、中国をはじめ近隣諸国は首相の行動を一斉に批判した。海外の文化を学ぶ機会を楽しみにしていた私にとってとてもショックな出来事だ。

 首相には、隣国を学ぶ貴重な機会を失いかけている高校生がいることをしっかり認識してもらい、今回失った近隣諸国からの信頼回復と関係改善に努めてほしい。


④ 国輸出2カ月ぶりプラス 10月前年比 EU向け回復 (11/8)

 中国税関総署が8日発表した10月の貿易統計によると、輸出は前年同月比5・6%増の1854億ドル(約18・2兆円)で、2カ月ぶりに前年を上回った。9月には3カ月ぶりに前年割れしたが、不振が続いてきた最大の貿易相手・欧州連合(EU)向けが伸びて持ち直しを支えた。

 EU向けは12・7%増。旧正月の連休の影響で変動が激しい1、2月を除くと、2年2カ月ぶりの高水準だった。ただ、東南アジア諸国連合(ASEAN)向けは10・7%増で、20%超の伸びだった7、8月からは減速。新興国市場の変調への懸念が出ている。

 一方、輸入は同7・6%増の1543億ドル(約15・1兆円)。日本からの輸入は前年同月比3・6%減で、日中関係が悪化した昨年後半以降、前年割れが続くものの、下落幅は6カ月ぶりに3%台に縮まった。


⑤ 1~9月の訪中客5%減少 大気汚染が一因 (10/22)

 中国の国家観光局が発表した今年1~9月の外国人の訪中客数は延べ1936万人で、前年同期から5%減った。通年の旅行者数も、4年ぶりに減りそうだ。深刻な大気汚染を敬遠して、入国を見送るケースが増えていると見られる。

 大気汚染が特に深刻な北京の場合、1~9月の外国人旅行客が13・6%も減った。北京市観光委員会は今年前半の状況について「大気汚染が外国メディアによって大きく報じられたことが一因」と分析する。

 日本からの旅行客は、日中関係の緊張が続く今年は、1~9月で前年から23・8%減と大幅なマイナスとなった。9月単月でも前年比7・3%減となっている。(北京=斎藤徳彦)


⑥ 旅博に中国が復帰 (9/14)

 旅行がテーマの展示会「旅博」が東京都江東区の東京ビッグサイトで始まり、13日から世界各国が展示を始めた。昨年は尖閣諸島をめぐる日中関係の悪化で急きょ出展を取りやめた中国も参加した。旅博は日本旅行業協会の主催で、154カ国・地域から730の企業や団体が出展し、15日まで開かれる。入場は大人1200円、学生600円。保護者同伴なら高校生以下は無料。


⑦ (世界とアベノミクス:3)アジアとの良好関係が鍵 張季風氏 (9/14)

 ――アベノミクスをどう評価しますか。

 「答えを出すには早すぎる。それでも、日本経済が閉塞(へいそく)感を脱するために、まず(物価が下がり続ける)デフレの退治を目標にしたことは正解だ。国民が経済の行く末に自信を取り戻したことは、いくら高く評価しても足りないくらいだ」

 「ただ、いま市況を押し上げている金融緩和と財政出動の効果はいずれ、薄れる。構造的な問題に踏み込むのは、『第3の矢』である成長戦略だ。ただ、今出ているメニューは『万矢斉発』(多くの矢を一斉に放つ)の感がある。網羅的に目標を並べている一方で、焦点がぼやけているように感じる」

 ――中国国内では、批判が多く出ています。

 「たしかに、通貨安競争への懸念や、悪性インフレの発生、財政破綻(はたん)の可能性を指摘する声が多い。感情的な批判もあるだろう。私自身は、(アベノミクスは今後)4割の確率で成功するが、失敗する確率も6割あると思う」

 「日本の政府や国民は、予測されるリスクへの対応が非常にうまい。日本銀行は悪性インフレ阻止に力を尽くすだろうし、財政を立て直す時間もまだある。正しい政策を続ければ、景気は来年の消費増税でいったん減速したあと、再び拡大に向かう可能性もある」

 ――どのような政策が望ましいと考えますか。

 「日本の景気回復にはいつも、決まったパターンがある。輸出の拡大が生産増を呼び込み、雇用が改善し、所得が増えて消費を呼び込む。つまり、輸出が拡大することで、今の風景が一変する可能性がある」

 「そのことを踏まえれば、正しい成長戦略は一つしかない。アジアの高い成長率を日本の需要に取り込むことだ。アジアに中間所得層は9億人、中国だけでも5億人はいる。これが日本企業にとっての市場になりうる。中国を始め、アジアとの関係を良好に保つことこそが、最良の成長戦略だ」

 ――実際には、日中関係は緊張が続いています。

 「残念な数字が出ている。日本の対中輸出は今年上半期、16%も減った。日本の得意とするインフラ輸出に対する需要が、中国でまだまだ旺盛な状況にもかかわらず、だ。国交回復以来、これほどの減少幅だったことは珍しく、明らかに両国関係が悪化した影響を受けている。安倍首相が経済の回復を主導したいと思うのなら、ここにこそ政治の知恵が必要だ」(聞き手・北京=斎藤徳彦)

    *

 中国社会科学院・日本研究所教授 日本の東北大学大学院へ留学し、経済学博士号を取得。1999年に中国社会科学院に加わり、2006年から日本研究所教授に就任した。中国を代表する日本経済研究者として知られ、特にバブル後の経済低迷の克服と教訓を専門にしている。著書に『日本経済概論』(09年)など。54歳。


首相発言、欧米に波紋 日中の偶発的衝突、メディア懸念 (2面)(1/25)

 今年は第1次世界大戦の開戦から100年の節目。欧米メディアは特集を組み、世界トップ2の経済力を誇る米国と中国の勢力争いを取り上げ、100年前の英独関係になぞらえる。識者からは「興味をそそるが、同時に悲しいこと」(英オックスフォード大のマーガレット・マクミラン教授)といったコメントが出されている。

 世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)でも、このテーマが注目を集めている。米国防次官補を務めたハーバード大のジョセフ・ナイ教授は討論会で「100年前とは戦争の意味も違うし、経済も違う。この比較は間違っている」と主張。ダボス会議の会場では中国の経済成長は米国の雇用を生み、世界経済全体にとっても良い「ウィン・ウィン関係」という論調が多い。

 そこに、現在の日中関係を第1次大戦前の英独関係になぞらえた安倍晋三首相の発言が飛び込んだ。首相は中国との緊張緩和策を問われた別の質問で、「残念ながら今、(緊張緩和の)ロードマップがあるわけではない」とも断言しており、英紙フィナンシャル・タイムズのチーフ経済コメンテーター、マーティン・ウォルフ氏は同紙のサイトで「最も動揺させられたのは、安倍首相が日中の武力衝突の可能性を完全に否定しなかったことだ」と指摘。多くの欧米メディアが、「日本の首相は日中の現状を100年前の英独と似ていると認識している」と報じた。

 首相の第1次大戦発言は、首相がダボス会議で前面に掲げたアベノミクスにとっても、日中関係が「リスク」であることを逆に印象づけてしまった。

 首相の基調演説を聴いたスイスの大手銀行UBSのアジア担当幹部、ルトゥフェイ・シディキ氏は「中国や韓国との関係はアベノミクスとは関係ない、と言いたかったのだろうが、影響が及ぶ可能性はある」と語った。また、欧州の銀行幹部は「安倍首相が主張すればするほど、日中韓の関係が経済的にもリスクと認識していると受け止められる」と話した。

 日本政府関係者は「欧州に対して第1次世界大戦を持ち出すのはセンシティブ(機微に触れる問題)だ。これで中国との接触がまた難しくなった」とため息をついた。

 一方の中国。昨年末の首相の靖国参拝に対し、国際世論に「ネガティブキャンペーン」を張っているさなかだけに、さらに批判を強めている。王毅(ワンイー)外相は23日、「弁解すればするほど裏目に出る」と首相を名指しで非難する異例の談話を発表した。中国外務省は、首相のダボス会議での第1次大戦発言に素早く反応した。欧米メディアの報道が伝わった23日の会見で、秦剛報道局長は「靖国は東洋のナチスであるA級戦犯をまつっている」と語り、欧州の反ナチ感情に訴えた。 (ダボス=前川浩之、星野真三雄、北京=倉重奈苗)

 ■「過去の英独」の例え、異なる認識

 海外メディアの報道に対し、首相官邸では強い不満が渦巻いた。政権幹部からは「部分的に切って報道しただけだ」「翻訳の行き違いがあったかもしれない」といった声が相次いだ。

 加藤勝信官房副長官は24日の会見で、首相発言の真意は偶発的な事故が起こらないよう防衛当局同士のコミュニケーションチャンネル(通信経路)を作ることだと説明。「マスメディアに首相の真意を伝えるよう努力していく」と述べた。

 複数の政府関係者によると、海外メディアとの懇談は当初、報道をしない前提で設定されていたが、海外メディア側から「オン(ザ・レコード=実名で報道すること)でどうですか」と提案があり、首相は「構いませんよ」と応じ、自分の言葉で語ったという。

 こうした背景には、首相が就任後、精力的に海外を訪問する中で、中国を念頭に「法の支配」の重要性を自ら発信し、日本への支持を求めてきたことがある。

 昨年9月の訪米時には、「私を右翼の軍国主義者とお呼びになりたいのであれば、どうぞお呼びいただきたい」と発言。中国が昨年末の首相の靖国神社参拝について世界各地で批判していることもあり、今回も自分の言葉で反論する狙いがあったとみられる。

 現在の尖閣諸島をめぐる日中対立が第1次世界大戦前夜の英独に似ているという説は、日本の安全保障関係者の間で最近語られる認識の一つだ。防衛省幹部の一人は「二国間の経済依存度がいくら強くても、戦争は起きてしまうという不穏な例えだ」と解説。政権幹部は「首相の記憶の中にあったのかも知れない」と推測する。

 とはいえ、一国の首相が公の場で過去の英独関係を引き合いに出せば、海外の受け止めは全く異なる。そもそも海外メディアが、首相を「タカ派」と取りあげるケースも少なくなく、安倍政権の安全保障政策に携わる有識者の一人は「本当に問題だ。靖国参拝に続くミスだ」と強い懸念を示す。

 世界中に瞬く間に広がった首相発言の波紋に、外務省は対応に追われた。在英大使館を通じ、英メディアへの釈明に追われたほか、他の欧米メディアへの説明のための翻訳作業などがたてこんだ。省内からは「迷惑だ」との声も漏れる。

 だが、外務省から首相をいさめる動きは出ていない。むしろ、幹部の一人は「第1次世界大戦の例えは外交史的には正しい」。官邸内でも、首相発言がなぜ批判されるのかを分析しようとする動きは見られず、政権幹部の一人は「なぜ国内メディアまで揚げ足取りに加担するのか。自分の国の首相なのに」と語るだけだ。

 ■ダボス会議での首相発言(該当部分全文)

 日本と中国の間においてですね、軍事的な衝突になればですね、両国にとってそれは大変なダメージになるわけであります。地域や世界にとっても極めて大きい影響があると、日本も中国も指導者はよく理解していると思います。

 また中国にとってもですね、経済成長していくことはですね、中国の共産党政府においても、中国をいわばコントロールしていく上で絶対的に必要な条件なんですね。日本と武力衝突が起こったら、その条件は吹っ飛んでしまうということは、十分に理解しているんだろうと思います。しかし、大切なことはですね、偶発的な衝突が起こらないようにしていくことが私は重要だと思っています。今年は第1次世界大戦から100年目であってですね、イギリスもドイツも経済的には依存度が高かった最大の貿易相手国だったが、戦争が起こった。

 ですから大切なことはコントロールすることであって、私は中国に対してですね、偶発的な事故あるいは衝突が起こらないようにですね、軍同士、あるいは防衛当局同士のですね、コミュニケーションチャンネルを作るべきだということを、これは随分前なんですが、申し入れをしています。

 ◆キーワード

 <第1次世界大戦> 1914年、オーストリア・ハンガリー帝国の皇位継承者が暗殺され、同国がセルビアに宣戦布告したことをきっかけに勃発。英独仏ロなどの欧州の大国を中心とする30を超える国や地域が連鎖的に参戦した。英仏ロや日本などの「連合国」が、独とオーストリア・ハンガリー帝国、オスマントルコなどの「同盟国」を破り、18年に終戦した。国家総力戦となり戦車や毒ガスなどが登場。犠牲者は兵士だけで約900万人とされる。

   この記事に関するニュース

  ① 首相発言、欧米で波紋 日中関係、大戦前の英独例に説明(1/24)
  ② 「偶発的な衝突防止の窓口を」 首相、中国に申し入れ(1/23)
  ③ 首相の靖国参拝、広がる波紋 中国緊張、台湾ではデモ(12/28)
  ④ 文春報道、韓国で波紋 「韓国は愚かな国、首相が発言」(11/15)



① 首相発言、欧米で波紋 日中関係、大戦前の英独例に説明 (1/24)

  既出


② 「偶発的な衝突防止の窓口を」 首相、中国に申し入れ (1/23)

 安倍晋三首相は22日夕(日本時間23日未明)、世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)の開会式で、昨年12月の靖国神社参拝について「国のために戦った方々の冥福を祈ることは世界各国リーダーに共通する姿勢だ。中国や韓国の人々を傷つけようとする気持ちはまったくない」と述べた。基調講演後、同フォーラムのクラウス・シュワブ会長の質問に答えた。

 これに先立ち、首相は各国メディアの幹部らとの会合で、第1次世界大戦時の英独関係を例にあげ、「最大の貿易相手国であったにもかかわらず戦争は起きた」と述べ、日中間の偶発的な衝突を防ぐため、防衛当局間のコミュニケーション・チャンネル(通信経路)の整備を中国側に申し入れていることを明らかにした。

 一方、安倍首相はオーストラリアのアボット首相と会談し、経済連携協定(EPA)交渉を進めることで一致した。安倍首相は「日豪の戦略的パートナーシップをいっそう強化したい」と述べた。(ダボス=斉藤太郎)


③ 首相の靖国参拝、広がる波紋 中国緊張、台湾ではデモ (12/28)

 安倍晋三首相の靖国神社参拝から一夜明けた27日、中国や韓国の主要紙は一斉に厳しく批判する記事を載せた。各地で反発がくすぶり、抗議デモの動きものぞく。参拝問題の余波は収まっていない。

 中国の共産党機関紙・人民日報系の「環球時報」は27日、安倍首相のほか靖国参拝した国会議員らの「ブラックリスト」の作成を主張。リストに載った議員の入国禁止を提案するなど、具体的な対抗措置を求めた。中国政府は「日本はすべての結果の責任を負わなければいけない」(外務省)としており、強硬路線が強まっている。

 北京の日本大使館前ではこの日、抗議デモの予告があった。警察官が増員されるなど警戒態勢が敷かれたが、デモは発生しなかった。警察官の一人は朝日新聞に「抗議デモは認めていない」と語り、当局が反日デモを認めない方針を取っている様子がうかがえた。

 上海の日本総領事館前でも同日、警察車両や警察官が増員されて警戒レベルが引き上げられたが、デモは報告されていない。

 中国当局が慎重なのは、昨年9月の日本による尖閣国有化直後の反日デモで一部が暴徒化し、かえって国際社会の非難を招いたとの苦い教訓があるためだ。デモによって国民の反日感情を過度に刺激すれば、「国内の不安定化をさらに加速させることにつながりかねない」(日中関係筋)との懸念もある。

 一部で、デモの動きも出ている。香港では27日、昨年8月に沖縄県・尖閣諸島(中国名・釣魚島)に不法上陸した民間団体「保釣行動委員会」が、日本総領事館が入るビルの前で首相の靖国参拝に抗議活動を行った。台湾・台北でも同日、中台統一派のグループ約50人が日本の窓口機関、交流協会台北事務所(大使館に相当)前で首相の靖国参拝に抗議。参加者は「軍国主義反対」などと気勢を上げ、「参拝は歴史の正義に対する挑戦」とした声明書を交流協会職員に手渡した。(北京=倉重奈苗、台北=鵜飼啓)

 ■韓国、議員団が訪日中止

 ソウルの在韓日本大使館前では27日、市民団体などが安倍首相の靖国参拝に抗議の声をあげた。韓国国会では与野党が参拝を「糾弾」する決議案を近く採択する方針で一致。日韓間の政府高官の対話も中断を余儀なくされる見通しで、改善の糸口は見えない。

 与党セヌリ党の崔ギョン煥(チェギョンファン)・院内代表は27日、「安倍総理は時代錯誤の右傾化路線や軍国主義の復活で、失うものがずっと大きいことを直視すべきだ」と強く批判。野党・民主党の田炳憲(チョンビョンホン)・院内代表も「参拝は北東アジアの平和に対する挑発だ」と歩調をあわせた。

 無党派層に絶大な人気の安哲秀(アンチョルス)議員(無所属)は27日、「安倍総理が靖国神社ではなく、アジア各地に残る日本の軍国主義の傷痕を訪ねて謝罪することを願う」とする声明を出した。

 韓日議員連盟の金泰煥(キムテファン)会長代行は27日、朝日新聞に「首脳会談に向けた環境づくりに努めていただけに残念だ」と話した。今回の参拝を受け、同連盟の顧問級議員らによる1月の訪日は取りやめになった。

 一方、政府内では次官級の戦略対話など、年明け開催に向けて調整していた日本との高位級会談も「当面は困難」との意見が支配的になった。朴槿恵(パククネ)大統領は「信頼を築くために歴史の直視を」と日本に訴えてきた。政府関係者は「この原則は一層強固になるだろう」と話した。

 韓国国防省副報道官は27日、来年の上半期に自衛隊との人的交流は予定されていないとし、「靖国参拝などで信頼が築けない日本とどのような軍事交流が可能かを聞き返したい」と述べた。国連南スーダン派遣団(UNMISS)に参加している韓国軍が自衛隊から提供された弾薬支援も、「後続の軍需支援が届けばすぐに返すことになる」とした。(ソウル=中野晃)


④ 文春報道、韓国で波紋 「韓国は愚かな国、首相が発言」 (11/15)

 【ソウル=貝瀬秋彦】週刊文春の最新号に掲載された記事の中で、安倍晋三首相が「韓国はただの愚かな国」と語ったとの記述をめぐり、韓国で波紋が広がっている。

 文春の記事には「安倍総理周辺によると、総理は『中国はとんでもない国だが、まだ理性的に外交ゲームができる。一方、韓国はただの愚かな国だ』と語っていたという」とのくだりがある。

 日韓・韓日協力委員会合同総会に出席するため訪日している韓国の代表団は15日、「同記事は韓日関係の悪化を招くものであり、深刻な憂慮を表明する」としたうえで、日本政府が事実関係を明らかにするよう求める声明を発表した。

 韓国の与党・セヌリ党関係者は「韓日関係は今後、多くの困難に直面するだろう」とコメント。最大野党・民主党は「政府が断固として対応すべきだ」と指摘した。

■菅官房長官「発言、あり得ぬ」

 安倍晋三首相が週刊文春の記事の中で、「韓国はただの愚かな国」と語ったとする記述について、菅義偉官房長官は15日の記者会見で、「その記事は今、初めて知ったが、そんなことを言うわけがない。あり得るわけがないというのが私どもの正式な見解だ」と述べ、事実ではないとの考えを強調した。

 また、日韓関係については「極めて大事な隣国であり、価値観を同じくするものだ。当然、日韓の発展に努めていく」と語った。



安倍さん、声聞いて 国会開会、憲法・外交に危機感 (朝日1/25)(39面)

 24日に開会した通常国会。安倍晋三首相は施政方針演説で「新たな国づくり」を宣言、集団的自衛権の行使容認に言及した。

 名古屋市の弁護士川口創さん(41)は、「イラク戦争に参加した英国のように米国の戦争に協力すること」とみる。弁護団事務局長を務めた自衛隊イラク派遣差し止め訴訟で、名古屋高裁は2008年、自衛隊による多国籍軍の空輸を「他国による武力行使と一体化した行動で憲法9条に反する」と判断した。憲法の解釈変更で集団的自衛権の行使を認めれば、海外での武力行使にもつながる。「戦後続いた平和主義の歴史的な転換点にいる」と危機感を募らせる。

 都内で在日中国人との交流イベントを開いている中国金融研究会の佐々木芳邦会長(63)は、靖国神社参拝で悪化した日中関係の行方を心配する。「参拝すればどうなるか分かっていたはず。外交への影響よりも自分の気持ちを優先する姿勢は、真剣に隣国との関係を考えているとは思えない」。中国政府にも「生産性のない島(尖閣諸島)へのこだわりは棚上げし、環境問題などで日本と協力しあうような対応を見せて」と注文をつけた。

   この記事に関するニュース

  ① 国会開会 首相の施政方針演説はどう響いたか(1/25)
  ② 安倍首相、憲法解釈変更の可能性示唆 集団的自衛権巡り(11/25)
  ③ 幽霊より仕事優先? 首相の公邸泊、国会開会後に急増(11/3)
  ④ (社説)首相国連演説 平和主義と言うのなら(9/28)
  ⑤ 集団的自衛権、高い壁 行使容認へ首相は意欲 関連法の整備、不可欠(7/24)
  ⑥ 首相国連演説―平和主義と言うのなら(9/28)
  ⑦ (声)集団的自衛権 数のおごりか(9/20)
  ⑧ (声)シリア緊迫 集団的自衛権 日本への問い(9/4)



① 国会開会 首相の施政方針演説はどう響いたか (1/25)

 24日に開会した通常国会。安倍晋三首相は施政方針演説で「新しい国づくり」を宣言し、集団的自衛権の行使容認などに意欲を見せた。戦後日本の歩みが転機を迎える国会になるかもしれない。それぞれの分野で活動を続けてきた人たちに、首相の言葉はどう響いたのか。

 ■集団的自衛権

《米国と手を携え、世界の平和と安定のため、より積極的な役割を果たす》

 安倍首相が集団的自衛権に触れながら日米同盟について語った狙いについて、名古屋市の弁護士川口創さん(41)は、「イラク戦争に参加した英国のように、米国の戦争に協力すること」とみる。

 川口さんが弁護団事務局長を務めた自衛隊イラク派遣差し止め訴訟で、名古屋高裁は2008年、自衛隊による多国籍軍の空輸を「他国による武力行使と一体化した行動で、憲法9条に反する」と判断した。

 憲法の解釈変更で集団的自衛権の行使を認めれば、海外での武力行使にもつながる。「国民の命に関わることを改憲の手続きを経ずに決めるのは立憲主義への挑戦。今は戦後続いた平和主義の歴史的な転換点にいる」と危機感を募らせる。

 ■原発再稼働

 《廃炉、汚染水対策は東電任せにせず、重層的な対策を進めていく》

 環境NGOの理事として「脱原発」を訴える満田夏花(みつたかんな)さん(46)は、そんな演説内容に「もっともらしいけど、言葉通りには受け取れない」と話す。

 福島県の住民からは、将来の健康被害への不安や賠償への不満を聞く。事故の原因究明や汚染水対策も遅れているのに、政権は原発の再稼働や輸出を推し進めようとしている。「こんな状況で原発回帰の動きを加速することは許されない」

 開会の2日前、国内外の3千人以上から集まった原発輸出に反対する署名簿を手に衆参議員のもとを回った。「今後も情報公開請求や集会などを通じ、原発問題を検証し続けたい」

 ■日中外交

 《私の対話のドアは、常にオープンだ》

 都内で在日中国人との交流イベントなどを開いている中国金融研究会の佐々木芳邦会長(63)は「閉ざしているのは安倍首相ではないか」と首をかしげる。

 昨年暮れの靖国神社参拝で、日中関係はさらに悪化した。「参拝すればどうなるか分かっていたはず。外交への影響よりも自分の気持ちを優先する姿勢は、真剣に隣国との関係を考えているとは思えない」

 国交正常化40周年の12年、両国に縁のある各界の著名人を採り上げた本を出そうとしたが、日中関係の悪化を受けて延期。昨年末にようやく出版にこぎ着けた。「関係改善に向け努力を重ねると言うのなら、ドアを閉ざさないでほしい」

 ■特定秘密法

 疑問や反対の声が上がるなか、昨年12月に成立した特定秘密保護法への言及はなかった。茨城県神栖市の公立中学で社会科を教える渡辺宏幸教諭(34)は「あれだけ大きな話題になったのだから、国民が納得できる形で改めて説明してほしかった」と話す。

 秘密法の成立後、新聞を使った3年生の授業で採り上げた。秘密の範囲があいまいなことや「強引な採決」で決められたと指摘する記事を紹介。生徒からは「国民の自由を守るための法律なのに、国民が罪に問われるのは矛盾だ」といった感想が出たという。

 渡辺さんは「法律がどのように施行されるか気にしている生徒もいる。運用基準などは審議が尽くされたとは思えない。しっかり議論を続けてほしい」。


② 安倍首相、憲法解釈変更の可能性示唆 集団的自衛権巡り (11/25)

 安倍晋三首相は25日の参院決算委員会で、集団的自衛権の行使を禁じてきた内閣法制局の憲法解釈について「法制局としての積み上げは極めて重たいが、過去には法制局の解釈を変えたこともある。『絶対に変えることはあり得ない』ということではない。こういうことで理解いただきたい」と答弁した。

 将来的に憲法解釈を変更し、集団的自衛権を行使できるようにする可能性を示唆したものだ。首相は「私たちは政府の立場として国民の生命と財産に責任を負っている。それをしっかり守っていくことができるかという観点から、どういう解釈があるかを安保法制懇で議論いただいている」とも述べた。民主党の小西洋之氏の質問に答えた。


③ 幽霊より仕事優先? 首相の公邸泊、国会開会後に急増 (11/3)

 安倍晋三首相が首相官邸から徒歩1分の公邸に泊まる日が増えている。2日も泊まり明けのまま、ロシアの外相・国防相の表敬に公邸で対応した。国会中は早朝から答弁準備に追われることもあり、「職住近接」で臨むようだ。

 首相は東京都内の自宅から約15分かけて官邸に通っており、再登板後の公邸泊は8、9月で1度ずつ、10月前半も1度きりだった。ところが、10月15日に臨時国会が始まると急増し、はや8回に。官邸スタッフは「秘書官を呼んで国会答弁の勉強がしやすく、通勤時間も短縮できる」と話す。

 歴代首相が定住した公邸に引っ越さない安倍首相には、「公邸に幽霊が出る、とのうわさがあるからでは」との見方もあった。


④ (社説)首相国連演説 平和主義と言うのなら(9/28)

 安倍首相がニューヨークでの国連総会の一般討論演説で「新たに積極的平和主義の旗をかかげる」と表明した。国連平和維持活動(PKO)に積極的に参加を図るという。

 首相の掲げた「積極的平和主義」とは何を指すのか。

 念頭にあるのが、国連の「集団安全保障」的な措置ならば、方向性は理解できる。

 その代表的なものがPKOであり、日本も90年代以降、実績を積み重ねてきた。

 国連が十分にその機能を発揮していないという現実はあるにせよ、国際貢献をさらに進める道はあるだろう。

 自衛隊が任務の幅を広げ、より積極的にPKOに参加することはあり得る。戦闘に参加しない方針を明確にしつつ、国連の承認のもと、自衛隊が中立、公平な立場で平和構築にかかわるのは意義深いことだ。

 だが首相の言う積極的平和主義は、そこにとどまるのか。

 気がかりなのは、首相が前日に米国の保守系シンクタンクで講演した際、「集団安全保障」だけでなく「集団的自衛権」にも触れながら、積極的平和主義を唱えていたことだ。

 日本にとって集団的自衛権は、主に日米同盟にかかわる概念である。国際社会が一致して取り組む集団安全保障とは性格が異なる。

 講演で首相が強調したのは、米国主導の安全保障の枠組みの中で、日本が同盟国らしい役割を果たす決意だった。

 安倍政権が集団的自衛権をめぐる憲法解釈の見直しをめざすのは、中国の軍事大国化に対応し、日米同盟の抑止力を強化する狙いがある。世界に展開する米軍と一体化した自衛隊の支援にも道を開く。さらには多国籍軍への参加も視野に入るかもしれない。

 しかし、米国主導の軍事介入に深入りすることが、はたして平和主義と呼べるのか。

 憲法9条のもと、日本は紛争への直接介入とは距離をおく平和主義を掲げてきた。その条件下で自衛隊はPKOに参加し、高い評価を得てきた。

 こうした平和主義と、集団的自衛権の行使を含めた積極的平和主義は、全く別物である。

 いま首相が平和主義という言葉を使うのは、集団的自衛権への理解を求め、憲法解釈の変更を実現するための方便のようにみえる。

 集団的自衛権の行使を容認すれば安全保障政策の大転換になる。その議論を、積極的平和主義という言葉をあいまいに使って進めるべきではない。


⑤ 集団的自衛権、高い壁 行使容認へ首相は意欲 関連法の整備、不可欠 (7/24)

 安倍晋三首相が掲げるように、憲法解釈の変更で集団的自衛権の行使が容認されれば、「専守防衛」という日本の安全保障の法体系にとって大きな転換になる。解釈変更の手続きでの透明性確保や、関連法の整備をいかに進めるかが焦点になる。

 首相の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)は、8月にも議論を再開する。集団的自衛権の行使容認に向け、非公式に協議を重ねてきており、秋にも報告書をまとめる。

 安倍政権はこれを受け憲法解釈を変更し、年末の新防衛大綱に反映させることも検討している。首相の行使容認への意欲が鮮明なだけに、政府内では前倒しで準備が動き出している。

 憲法解釈変更は閣議決定にとどめる案もあるが、憲法解釈はこれまでの国会答弁の積み重ねで、野党が批判を強めるのは必至。そこで来年の通常国会で国家安全保障基本法案を成立させる構想が浮上している。

 基本法案には憲法解釈をどう変えたか、関連法整備をどう進めるかなどを明記。自民党は野党だった昨年、同趣旨の法案をまとめており、首相は22日の記者会見で「議員立法か閣法(政府提出法案)か。安保の基本なら閣法だが党側とよく話したい」と語った。

 安倍政権は来年秋にも日米防衛協力のための指針(ガイドライン)再改定を検討。集団的自衛権とからめ日米同盟強化を進める構えだ。ただ、政権の経済重視路線や、行使容認に慎重な公明党との折り合いをどうつけるかが課題になる。

 憲法解釈を変更すれば、次は関連法の整備が必要になる。自衛隊の活動の根拠となる法律は、日本が攻撃された時に武力を行使できる個別的自衛権が前提だからだ。集団的自衛権を行使するには法改正や新法が必要だが、議論は必至だ。

 防衛省が優先順位が高いとみるのが自衛隊法の改正だ。自衛隊は「我が国を防衛することを主たる任務」とし、攻撃されれば首相が出動を命じることができると規定。ここに集団的自衛権行使に関する任務や手続きを加えないといけない。

 安保法制懇は集団的自衛権以外でも憲法解釈変更により自衛隊の活動範囲を広げる提言をする方針で、これにも対応が必要。国連平和維持活動(PKO)など海外での活動では武器使用権限を他国軍なみに広げるべきだとされ、内閣府はPKO協力法改正に備える。

 自衛隊に「他国軍の武力行使との一体化」を禁じている憲法解釈の変更も提言される。日本攻撃に至るおそれのある周辺事態での米軍への後方支援や、PKOでの他国軍との協力で幅を広げるためだ。外務省内には変更への待望論が強いが、これも関連法改正が必要だ。(藤田直央)

 ◆キーワード

 <集団的自衛権> 同盟国などが攻撃されたとき、自国への攻撃と見なし、反撃できる権利。国連憲章など国際法で認められている。歴代内閣は「保有しているが、憲法9条との関係で行使できない」との憲法解釈を示している。


⑥ 首相国連演説―平和主義と言うのなら (9/28)

   既出


⑦ (声)集団的自衛権 数のおごりか (9/20)

 無職 吉永治(大阪府 73)

 戦後の平和主義の礎、憲法9条が骨抜きになりかねない。安倍晋三首相の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」が、集団的自衛権を巡る憲法解釈の見直しへ、議論を再開した。「法の番人」たる内閣法制局長官に集団的自衛権行使容認派を起用し、地ならしを進めてきた首相。提言を受け、解釈改憲に踏み切るようだ。9条の解釈変更は自衛隊の海外での武力行使に道を開く。

 「公海で一緒に活動していた米軍の艦船が攻撃された時に自衛隊が反撃できない」「米国に向かうかもしれない弾道ミサイルが飛んできた時に自衛隊が撃ち落とせない」。現状では困るケースとして引き合いに出される二つだが、疑問だ。どのような時に米艦と自衛艦は並走するのか。ミサイルについては、今の技術力では現実的でない。

 中国の軍事力増強、北朝鮮の核・ミサイル開発は脅威だが、解釈改憲を急ぐまでの理由とは感じない。むしろ近隣諸国との関係悪化は米国も望まないだろう。国民を納得させる説明もなく、安倍政権が解釈改憲に突き進むなら、数のおごりである。


⑧ (声)シリア緊迫 集団的自衛権 日本への問い (9/4)

無職 清水康寛(大阪府 56)

 シリアへの軍事介入に踏み切る意向を米国が示した。とんでもない。軍事施設への限定的な攻撃というが、市民も殺傷しかねない。泥沼化の恐れもある。

 化学兵器の使用はアサド政権の仕業だと米国は結論づけたが、内戦で優勢に立つとされる政権側の動機は見えない。

 国際社会はこれまで、停戦を最優先に行動してきたとはいえまい。圧力が不十分だったがゆえに、今回の悲劇が起こったのではないか。今からでも、速やかな停戦へ外交努力を積み重ねるべきである。

 安倍政権は米国と緊密な連携をとる構えだが、イラク戦争支持の失敗も踏まえ慎重に判断してほしい。憲法解釈変更による集団的自衛権の行使容認が現実味を帯びてきた。仮に、行使容認の後、同盟国として軍事行動への協力を求められたら、どう対応するのか。シリア介入は、日本にも問いを突き付ける。