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折々の記 2014 ②
【心に浮かぶよしなしごと】

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【 01】01/27

  01 27 「小論文は型で勝つ!」   
  01 28 (続)指導者としての哲学が誤っていないか 安倍総理の躓き   
  01 28 「尖閣・竹島は領土」明記 4月の教科書検定から適用  1月28日13時33分 記者会見で明らかにした


 01 27 (月) 「小論文は型で勝つ!」  

「小論文は型で勝つ!」 NHKで2013年9月30日(月)放送
    <http://www.nhk.or.jp/hanamichi/p2013/130930.html>

小論文とは?

  自分が考えたことを書く。自分の意見や主張をまとめた文章のこと。

小論文で大事なことは?

  樋口裕一教授(多摩大学)によると、小論文を書く上でまず大事なことは、「イエスかノーかを
  明確にすること」だという。ハッキリと自分の考えをイエスかノーかで述べられていない文章は
  読み手に明らかな認識不足だと思われてしまうぞ。

まず「問題提起」をする

  イエス・ノーを明確にする文章が小論文。そこで必要とされることは「問題提起」だ。

    例えば「制服について述べなさい」と出題された場合、「高校生に制服は必要か?」や「女
    子高生の制服はスカートにするべきか?」などと、イエス・ノーで答える問題をたてること
    が問題提起と言える。

問題提起の3つのヒケツ

  その1.賛否両論ある

    たとえ、イエス・ノーで答えられる問いをたてても一般的に意見が大きく偏る問題提起は避
    けた方がいい。

    例えば、「制服を禁止するべきか」という問題提起では、「禁止するべきではない」という
    意見が多数を占めることが考えられるため、当たり前の意見を書く、もしくは暴論を書くこ
    とになってしまい、評価を得られにくい。

  その2.自分の手に負える

    時間内に自分の分かる範囲のことで書かなくてはならないため、調べないと分からないこと
    は書かないのが鉄則。

    例えば、「スマートフォンは増えているか」という問題提起では、正確な調査が難しいため
    自分の手には負えない。

  その3.社会にとって大事なこと

    個人的な主観ではなく、社会全体にプラスかマイナスかという事を考えて書く。

    例えば、「スマートフォンの方がケータイよりかっこいいか」という問題提起では、個人の
    主観となってしまい、本質的な問題提起と言えない。

    ちなみに、問題によっては課題文を提示され、それについて論じるよう求められることもあ
    る。その場合は、課題文の主張に対し て、問題提起をするようにしよう。

小論文の第一歩は、問題提起から。3つのヒケツを忘れずに、キミも自分ならではの問題を立ててみよう。

  攻略のカギは「型」

    小論文を攻略するカギは、「型」にある。物語文に"起承転結"のような型があるように小論
    文にも4部構成の型があるのだ。この「型」さえ知っておけば小論文が書けるようになるぞ。

  キーワード『だろうかたしなよ』

       「~だろうか」と疑問を投げかける形で書き出す。
       「しかに~」と、反対意見を書いて理解を示しながら、
       「かし~」と自分の意見を述べる。
       「ぜなら~」という書き出しで、なぜイエス・ノーの立場をとるのか、説得力ある理由を示す。
       「って私は~と考える」と内容を簡単に整理し、しめくくる。

    小論文の構成は、以下の4部構成からなる。

      1.問題提起
      2.意見提示
      3.展開
      4.結論

このとき大事なのが、各部の書き出し方だ。

  1.問題提起

     「だろうか」と疑問を投げかける形で書
      き出す。

  2.意見提示

     「確かに~」と、反対意見を書いて理解
      を示しながら、「しかし~」と自分の
      意見を述べる。

  3.展開

     「なぜなら~」という書き出しで、なぜ
      イエス・ノーの立場をとるのか、説得力
      ある理由を示す。

  4.結論

     内容を簡単に整理し、「よって私は~と
     考える」
と、しめくくる。

  この4つの書き出しの頭文字を取って
  『だろうかたしなよ』と覚えておこう。


  <4部構成シートの印刷>

重要なことは「3.展開」

  小論文の4部構成の中で最も大切なのは3つ目の「展開」。
  ここで論を深めることが出来るかどうかで結果は大きく変わってくるぞ。

  アイデアを広げる「3W1H」
  「3W1H」は、小論文の内容に困ったときに役立つお助けツール。

  3Wとは「WHY」「WHERE」「WHEN」の頭文字のことで、1Hは「HOW」だ。

    ◦WHY     提示した意見の根拠・理由などを書く。
    ◦WHERE     どこでそうなのか、ほかの場所ではどうなのかを書く。
    ◦WHEN     いつからそうなのか、それ以前はどうだったのかを考える。
    ◦HOW     どうすればそれが改善できるかなど対策を考えてみよう。

    「3W1H」で自分の中の情報を洗い出して表に書きだしてみよう。
    その中から、説得力のあるアイデアを絞り込んで展開を書いていくといいぞ。
    ちなみに肯定的な情報と否定的な情報がある場合は、分けて書くと整理しやすくなる。

    <「3W1H」シートの印刷>

花道の先輩からのアドバイス

  花道の先輩たちも普段から、内容の濃い小論文が書けるようにさまざまな工夫をしていたぞ。

  一般論ばかり述べていると他の人と差が出ない。自分の経験や自分の考えとか結びつけて書くこ
  とを重視していた。そのために、あるニュースに対して自分はどういう意見を持つかなどをノー
  トにしてまとめていた。

  学校の帰りなどに色々な物を見て、その時になぜ自分が住んでいる町は公園が少ないんだろうと
  考える。公園が少ない理由は、「子どもが少ないのか」それとも「その地方の行政体に税金が回
  ってきてないのか」。そういう事を考えるだけで、公園が少ないということから色々広がってい
  く。そういうことを考える練習はしていた。

  小論文対策として普段から疑問を持ったり、自分の意見を持つことが大事。さらに実体験を盛り
  込むことでより「説得力」が増すぞ!

上記URLのほかに 小論文の書き方 として次のものもある。
    <http://sakura.canvas.ne.jp/spr/h-minami/ronbun.htm>



 01 28 (火) (続)指導者としての哲学が誤っていないか 安倍総理の躓き  

  朝日新聞朝刊2014年01月28日 火曜日 
  1面01 「あす靖国参拝」切れた日韓の糸 首脳会談協議の翌日
    02 安倍首相の靖国参拝、賛成が41% 反対は46%
    03 株安、世界で連鎖 新興国を懸念 東証終値385円安
    04 (天声人語)NHK新会長への疑問符
  2面05 参拝3日前、側近を私邸に呼んだ 安倍首相の靖国参拝
  3面06 NHK会長発言、止まらぬ批判 安倍政権、幕引き急ぐ
    07 米の金融緩和縮小、不安を拡散 株安、世界で連鎖
  7面08 輸出不振、輸入も割高 13年貿 輸出不振、輸入も割高
      13年貿易赤字、最大
    09 「日本全体でイノベーション」経団連・榊原次期会長が会見
      賃上げ、見えぬ主体性
    10 就業者の減少抑制 高齢者・女性がカギ 2030年 厚労省の推計
    11 国の借金額「最大1144兆円」 来年度末の試算
    12 印タタ自動車の社長が自殺か 滞在先のバンコクで
  14面13 (社説)NHK新会長 あまりに不安な船出
    14 (社説)日中と世界 歴史に学んでこそ




1面01 「あす靖国参拝」切れた日韓の糸
     首脳会談協議の翌日通知


 「明日、総理が靖国に参拝する可能性がある。準備してほしい」

 韓国政府が日本からの非公式な通知を受けたのは、昨年12月25日夜。安倍晋三首相の参拝前夜だった。

 韓国側は絶句した。前日、日中韓首脳会談の実現に向け、東京で日韓の外交事務当局者が協議したばかり。1週間前の18日には、日韓首脳会談実現の地ならしとして、翌1月に日韓次官級対話を行うことを模索する事務協議も行っていた。

 靖国神社参拝を模索する首相周辺の動きを止めようと、外務省は日中韓と日韓の両首脳会談の可能性を探っていた。日韓の外交当局はこの時点で「年内は無理でも、3月の核セキュリティーサミットあたりで首脳会談を模索できるかもしれない」と見ていたが、全て水泡に帰した。韓国側には「参拝やむなしの口実に使われたのか」(韓国政府関係者)という不信感だけが残った。

 首相官邸の首相側近は昨年10月ごろから外務省などに「政権発足1周年を契機に、北京に行くのか、靖国に行くのか結論を出す」と伝えていた。外務省は「参拝すれば、日本外交の底が抜ける」(幹部)と危ぶみ、日中、日韓、日中韓の各首脳会談の早期実現に向け、遮二無二、進み始めた。

 日韓首脳会談に向けては、昨年7月と9月に実現した外相会談を受け、すでに調整が始まっていた。

 さらに11月7日、ソウルで日中韓次官級対話が開かれたことで、外務省は首脳会談の実現にも淡い期待を抱いた。同月14日、斎木昭隆外務次官が李丙ギ韓国大使を外務省に招き、「どんな日程でも調整する」と伝え、年内の日中韓首脳会談の実現を強く要請した。

 ただ、韓国側は日韓首脳会談実現の条件として、安倍首相が自分の言葉で村山・河野談話を継承する考えを語ることを要請。従軍慰安婦問題を解決するため、(1)首相による謝罪の手紙(2)人道上の理由以外での政府予算による元慰安婦支援などを求めた。

 だが、「前提条件なしの首脳会談開催」を求める安倍首相の意向を受けた外務省はこれに難色。逆に、「国際社会での反日行動の自制」「日本による支援が今回で最後であることの明確な保証」を打診し、交渉は暗礁に乗り上げた。

 さらに、防空識別圏の問題を契機に日中対立が激化。日本は、日中韓首脳会談の2014年の議長国を、引き続き韓国に任せる考えから、日本が就いて主導権を握る方針に転じた。中国も12月19日の中韓次官級対話で、日本が議長国になった場合は、日中韓首脳会談に絶対に応じない考えを表明。韓国は板挟み状態になり、12月24日の日韓事務協議でも結論は出なかった。

 一方、首相官邸の高官は12月初めの段階でもなお、「靖国に行けば、外交はめちゃくちゃになるだけだ」と語り、首相の参拝に否定的だった。韓国政府関係者は今、「日本は官邸のごく一部の側近たちだけが、外交の論理とは別の次元で動いていた」と振り返る。

 外務省関係者の一人は「今、省内には虚脱感が漂っている」と打ち明けた。

    ◇

 首相官邸は靖国参拝と中韓との関係改善をどう整理していたのか。米国はなぜ、参拝にあれほど怒ったのか。背景を探った。(機動特派員=牧野愛博) ▼4面=日朝が接触か

 (2面に続く)



1面02 安倍首相の靖国参拝
     賛成が41% 反対は46%
 朝日新聞社世論調査


 朝日新聞社は25、26の両日、全国定例世論調査(電話)を実施した。昨年12月の安倍晋三首相の靖国神社参拝について聞いたところ、「参拝したことはよかった」は41%で、「参拝するべきではなかった」の46%の方がやや多かった。首相の靖国参拝に対する中国、韓国、米国、ロシアなどからの批判を「重く受け止めるべきだ」は51%で、「それほどのことではない」の40%を上回った。▼4面=質問と回答

 首相の靖国参拝は、2006年8月15日の小泉純一郎氏以来。この直後の調査では「参拝はよかった」の方が多く、49%で、「参拝するべきではなかった」は37%だった。

 安倍内閣の支持率は50%。昨年11月上旬の調査の53%以来、2カ月半ぶりに50%台に戻した。内閣支持層では「参拝はよかった」は56%で、「参拝するべきではなかった」の35%を上回ったが、不支持層では20%対70%だった。無党派層は31%対50%で、「参拝するべきではなかった」の方が多かった。年代別では、50代が30%対59%だったのが目立った。

 「参拝するべきではなかった」層で、外国からの批判を「重く受け止めるべきだ」と答えたのは80%に達した。逆に「参拝はよかった」層で、外国からの批判は「それほどのことではない」は67%だった。

 靖国神社とは別に、戦争で亡くなった人々を追悼するため、宗教とかかわりのない施設を国が新たにつくることについては「賛成」は50%で、「反対」は29%だった。

 現在停止中の原子力発電所の運転再開には「賛成」は31%で、「反対」の56%の方が多かった。東京都知事選で原発の問題を争点にすることは「妥当だ」が38%、「妥当ではない」が49%。ただ、20~40代の女性では「妥当だ」が「妥当ではない」を少し上回った。



1面03 株安、世界で連鎖
     新興国を懸念 東証終値385円安


 世界の株式市場で連鎖的に株価が下落する状態が続いている。米国の金融緩和縮小の影響で、新興国の景気が悪くなるのではないかとの懸念が広がっているためだ。27日の東京株式市場では、日経平均株価が一時、1万5千円を割り込んだ。アジアや欧州市場の株も軒並み下落。ただ、27日の米市場では、ダウ工業株平均が前週末終値をはさんだ取引になっている。▼3面=米緩和縮小、不安を拡散

 東京市場では、日経平均が取引開始直後から急落し、一時は450円超値下がりして、約2カ月ぶりに1万5千円を割り込んだ。終値は385円83銭(2・51%)安い1万5005円73銭だった。23日から3営業日連続の値下がりで、この間の下げ幅は計800円を超えた。

 株価下落のきっかけは、23日に、アルゼンチンの通貨ペソが急落したことだ。

 新興国にはこれまで、米連邦準備制度理事会(FRB)の大規模な金融緩和で、あふれたお金が流れ込んでいた。ところが、FRBは昨年12月に金融緩和の縮小を始めると決めた。今月29日には、金融緩和をさらに縮小するとみられている。金融市場ではこれまでのお金の流れが逆流し、新興国から資金が逃げ出すという見方が強まっている。

 23日に新興国の株価や通貨が下落したことで、24日は世界の市場で株安が進んだ。週明けの27日も、日本やアジア、欧州で株価が下落。ただ、27日の米ダウ工業株平均は取引開始直後に一時、前週末比50ドル超値を上げた。(佐藤秀男、笹井継夫)



1面04 (天声人語)NHK新会長への疑問符

 聖人君子でもないかぎり口の失敗は多い。言うんじゃなかった――。われら凡人、悔いはいつも舌のあとに遅れてついてくる。「沈黙は自分自身を警戒する人にとって最良の安全策である」という格言も何のその。とかく舌はよく動く▼NHK新会長の就任会見での発言が波紋を呼んでいる。「会長職はさておき」などとして持論その他を大いに語った。従軍慰安婦問題では「戦争地域にはどこでもあったと思っている」。あれやこれや、このポストの人として異例の発言だ▼独仏の国名に続けて「なぜオランダにまだ飾り窓があるんですか」と述べた。飾り窓とは売春街をさす。失言というより、籾井勝人(もみいかつと)氏は心と口の距離が近い率直な人なのだろう▼懸念の多い特定秘密保護法については「これが必要というのが政府の説明ですから」「あまりカッカすることはない」など、なにかと政府に寄りがちだ。法律に反対する国民も受信料を払っていることを、お忘れではないか▼言葉の目方は出る口で決まる。地位ある人が発するものは市井の会話と同じではない。ご本人には同じ口でも、これまでとは重みが違う。自覚不足という話でもあるまい。職にふさわしい人か、どうか。生じるのは素朴な疑問符だ▼安倍首相に近い人たちが経営委員に送り込まれ、その委員会で選んだ会長である。「政府が右ということを左とはいえない」とも語った。是々非々を封じるということだろうか。公共放送も含め、それは報道の生命線のはずだが。



2面05 参拝3日前、
     側近を私邸に呼んだ 安倍首相の靖国参拝


(1面から続く)
 昨年12月23日。政権発足1年となる3日後に靖国神社に参拝すると決めた安倍晋三首相は、側近の今井尚哉秘書官を東京・富ケ谷の私邸に呼び、打ち合わせに取りかかった。

 当日の段取りや参拝後の談話、各国への説明――。情報漏れを防ぐため、参拝方針は菅義偉官房長官ら数人を除き当日まで伏せられた。本殿にまつられない、海外の人々も含めたすべての戦没者の霊をまつる「鎮霊社」への参拝も、この頃固まった。「不戦の誓い」を強調するためだ。周囲には内心、靖国参拝に反対の者もいたが、声に出せなかった。

 保守主義者を自任する首相は靖国参拝を、外交や内政への影響を超える「信念」の問題と位置づけた。「自民党が政権を担うようになったら堂々と参拝すべきだ」と野党時代に公言し、第1次政権での参拝見送りを「痛恨の極み」と表現した。首相復帰後、ひたすら参拝のタイミングをうかがい続けた。

 最初は第2次政権発足翌日の2012年12月27日を検討した。反対派の機先を制そうと首相周辺がもくろんだが、経済政策が滞るのを恐れた側近の反対でついえた。昨年春の例大祭は7月の参院選への悪影響、秋の例大祭は台風被害への対応……。そのつど理由を付けて、参拝を見送った。中韓両国への配慮もあった。

 だが、次第に首相の支持層から参拝を求める声は強まった。秋の例大祭への参拝を見送った約1週間後、首相に近い古屋圭司拉致問題相、衛藤晟一首相補佐官、自民党の山谷えり子参院議員らが集まり、「参拝に行ってほしい」と声を上げた。

 首相は9月の主要20カ国・地域(G20)サミットで中国の習近平(シーチンピン)国家主席に立ち話を持ちかけるなど対話の糸口を探ったが、改善の兆しは見えない。11月、中国は尖閣諸島上空に防空識別圏を設定し、韓国との協議も難航を極めた。「関係が改善し、首脳会談が始まったら参拝はできない」(政権幹部)。参拝するなら関係が非常に悪い今しかない、との思いを強めた。

 米国の「失望」という反応は首相にも想定外だった。参拝前日、米軍普天間飛行場の移設先である沖縄県名護市辺野古の埋め立て申請に県知事から承認を得る見込みが立った。米国もこれを評価し、強く反発しないと踏んでいたからだ。

 「任期中に一度は行かなければいけなかった。タイミングの問題だった」と官邸首脳は語るが、首相は今後の参拝の有無についても明言しない。

 ■副大統領は「参拝せず」と理解した

 安倍首相の靖国神社参拝は、日韓関係はもちろん、対米関係の冷却化を招いた。背景には、昨年12月6日にソウルであった朴槿恵(パククネ)韓国大統領とバイデン米副大統領の会談がある。

 バイデン氏は3日に行った安倍首相との会談内容を説明。首相が日韓関係で行きすぎた対応があったことを認めた、と伝えた。安倍氏が村山、河野両談話を継承し、靖国参拝を行わない考えを示した、とも説明したうえで、日韓協力を進めるよう求めたという。

 この情報に触れた日本政府は「首相が靖国への不参拝を外国要人に約束するわけがない」(関係者)と驚いた。米韓両政府に会談内容の確認を求めたが、ほぼ同じ趣旨の答えが返ってきた。複数の関係者は「なぜ、バイデン氏がそう理解したのかは謎だ」と語る。

 昨年10月に訪日したケリー国務長官とヘーゲル国防長官は靖国神社ではなく、東京都千代田区の千鳥ケ淵戦没者墓苑を訪問。日本外務省は「靖国に参拝するなというメッセージ」(同省当局者)と受け取っていた。別の関係者は「バイデン氏は、自分の願望も含めて朴氏に語ったのではないか」とみる。

 複数の日本政府関係者によれば、日本外務省は昨夏、首相官邸でも一部の関係者だけの秘密とされていた年内の靖国参拝に向けた首相の動きを察知。米国の政府、議会関係者や有識者らの反応を極秘に探った。結果は「安倍政権の外交を百%支持するが、参拝すれば、その評価は百八十度変わる」といった否定的なものばかりだった。

 外務省はこの結果を首相官邸に報告したが、菅官房長官が参拝に慎重になる一方、安倍首相の姿勢に変化はなかったという。

 バイデン氏の発言はこうした経緯を踏まえたとみられる。事実、首相の靖国参拝後、日本政府が米国の反応を探ったところ、「バイデン氏の反応が最も激烈だった」(政府関係者)といい、これが米政府の「失望」という表現につながったとみている。

 日本政府関係者の一人は「バイデン氏はオバマ政権の議会調整役を一手に引き受けていた。元々、首相とオバマ氏の関係は良好とは言えないのに、さらに米議会との関係にも悪影響が出かねない」と懸念する。

 一方、韓国政府関係者はバイデン氏の発言を契機に「米国は今、日本よりも韓国寄りになっている」との見方を語る。そのうえで、安倍政権が推進する集団的自衛権の行使や敵基地攻撃能力の保有などの協議が、少なくとも朝鮮半島では進まなくなると予測する。

 韓国政府によれば、米国は従来、韓国側に対して、集団的自衛権の行使を巡る安倍政権の政策について「日米同盟の枠内で行うので、理解してほしい」と説得してきた。同時に「従軍慰安婦と靖国参拝の問題では韓国の立場を理解する」という考えを韓国側に伝えていたという。

 韓国は敵基地攻撃能力について「朝鮮半島の唯一の合法政府である韓国の承認なしに、日本が攻撃することは認められない」として、北朝鮮に対する敵基地攻撃も基本的に容認しない考えを示している。

 1月に入り、谷内正太郎国家安全保障局長が訪米。バーンズ米国務副長官が来日した。いずれの場でも日韓の関係改善を米側が働きかけた形だ。だが、韓国政府関係者は「関係修復は簡単ではない」。日本側にも「関係修復どころか、総理は再び参拝するかもしれない」(政府関係者)との懸念が広がっている。



3面06 NHK会長発言、
     止まらぬ批判 安倍政権、幕引き急ぐ


 NHKの籾井勝人(もみいかつと)会長は27日、自らの就任会見で従軍慰安婦問題について「戦争をしているどこの国にもあった」などと発言したことについて「不適当だった」と述べた。会長を選ぶNHK経営委員には安倍晋三首相に近い人物が複数就いている。政権は問題視せず、早期に幕引きをしたい意向だ。だが、批判はNHK内外に加え、海外でも出始めている。

 ■籾井氏「不適当だった」

 籾井氏は27日、朝日新聞の取材に「就任の記者会見という場で私的な考えを発言したのは間違いだった。私の不徳の致すところです。不適当だったと思う」と自らの非を認めた。

 ただ、批判がやむ気配はない。市民団体「NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ」は同日、籾井氏とNHK経営委員会宛てに「現政権を代弁するに等しい会長の発言は、公平性を定めた放送法に反する」と会長の自主的な辞任を求める申し入れをした。NHK職員でつくる日本放送労働組合も現場の職員らに対する影響を懸念し、「会長の個人的心情を会見で述べることは異例」との見解をウェブ上で出す予定という。

 会長の任免権を持つNHK経営委員会は28日に定例会合を開く予定で、籾井氏は説明を求められる。

 その経営委員12人のうち5人の人事案について安倍政権は昨年11月、国会の同意を得た。中には首相の元家庭教師で日本たばこ産業顧問の本田勝彦氏や、首相の再登板を支援した作家の百田尚樹氏、哲学者の長谷川三千子氏の3人が含まれていた。

 政権内には松本正之・前会長時代のNHKに対し、原発などの報道をめぐり不満がくすぶっていた。だが、「前会長が辞めると分かった時点で、当初の目的は達成した」(政権幹部)のが実情。政権側の説明では籾井氏は首相と面識がなく、総務相経験者の菅義偉官房長官との関係も薄いとされ、首相らは起用に関与しなかった、としている。

 政権は個人的な発言と位置づけて幕引きをはかりたい考えだ。菅長官は27日の記者会見で「(放送番組の不偏不党などを定めた)放送法の順守が第一だ。籾井会長は職責を果たしてくれるだろう」と強調した。

 首相は昨年1月、慰安婦について「筆舌に尽くしがたい、つらい思いをされた方々のことを思うと非常に心が痛む。この点は歴代総理と変わらない」と答弁した。菅氏は会見でこの答弁を紹介し、「それ以上でも以下でもない」と述べ、籾井氏の発言が政権に波及しないよう予防線を張った。

 ただ、首相自身、第1次世界大戦前の英独関係を持ち出して日中関係を説明した発言が海外メディアに波紋を広げたばかりだ。政権幹部の一人は「欧米はどう反応するだろうか」と海外への影響を強く懸念する。

 民主党の海江田万里代表は27日の記者会見で「見識を疑う」と批判し、28日の代表質問で首相に見解をただす。公明党内からも「あれでは(籾井氏は)もたないだろう。自分たちが野党ならば、会長を辞めさせるまで(NHK予算に関する)委員会を開かない」(幹部)との声が出ている。

 一方、日本維新の会の橋下徹共同代表(大阪市長)は27日、大阪市役所で記者団に対し、籾井氏の発言について「まさに正論だ。僕が言い続けてきたことと全く一緒だ」と評価。「似たり寄ったりのことは世界どの国もやっていた。戦争と性の問題はどの国も抱えてきた不幸な歴史だ」と語った。

 ■韓国・中国が反発

 籾井勝人・NHK会長が、従軍慰安婦について「戦争をしているどこの国にもあった」などと述べたことについて、韓国外交省当局者は26日、「日本の公共放送の会長まで歴史の真実を歪曲(わいきょく)し、でたらめな主張をすることに慨嘆を禁じえない」と非公式な見解で強く非難した。しかし、政府としては公式見解は出しておらず、当面は事態の推移を見守る構えだ。

 一方、韓国メディアは批判的に報じ、政界では辞任を求める声があがる。27日の各紙は籾井氏を「安倍氏と脈が通じた人物」(中央日報)とし、NHK会長就任については「安倍式の『放送掌握』の結果」(ハンギョレ)と分析。会長人事を安倍政権の「右傾化」の一環だと位置づけた。

 発言は与党セヌリ党の幹部会でも批判の的になり、李恵薫(イヘフン)・党最高委員は「即刻、会長職を辞すべきだ」と述べた。

 一方、中国外務省の秦剛報道局長も27日の定例会見で「従軍慰安婦は軍国主義の対外侵略戦争の中でおきた犯罪だ」と指摘。「軍国主義による犯罪を否定する勢力が、日本にあることを反映した発言だ」と非難した。 (ソウル=中野晃、北京=倉重奈苗)



3面07 米の金融緩和縮小、
     不安を拡散 株安、世界で連鎖


 世界の金融市場が揺れている。新興国経済の先行きに対する懸念がじわりと広がっているからだ。米国が金融緩和縮小に向けて動いていることで、さらに新興国の景気を落ち込ませるとの見方も強まっている。世界経済の不安の連鎖がどこまで続くのか、注目が集まっている。▼1面参照

 ■新興国からマネー流出

 世界の金融市場には、このところ、新興国の経済成長率がさらに落ち込むのではないかとの不安感が漂っている。2008年秋の金融危機以後、大規模な景気対策などで世界経済を引っ張ってきた新興国経済に、最近は「過剰設備」や「過大な借金」といった問題点が目立つからだ。

 中国では、23日に製造業の景況感についての指数が半年ぶりに悪化した。27日は香港市場が2・11%と大幅に下落し、上海市場も1%以上値を下げた。

 米国に次ぐ世界第2の経済大国・中国の景気減速は世界中に影響を及ぼす。ここにきて、米国の金融緩和縮小がさらに進むという観測が強まっていることで、「新興国から大量のお金が逃げ出しかねない」として、一気に新興国の景気への懸念が拡大した。

 アルゼンチンでは急激なペソ下落を受け、急きょペソの買い支えを決定。隣国ブラジルでも、生産の多くをアルゼンチンに輸出している自動車業界などで懸念が広がった。みずほ総合研究所の長谷川克之氏は「中国はブラジルの最大の輸出相手で、ブラジルはアルゼンチンの貿易相手。中国の不安が他の新興国に飛び火した」と指摘する。

 通貨安はトルコや南アフリカの通貨安にも波及。経済力が弱い国の通貨下落を見越して、投資家が一斉に資金を引き揚げている。

 株安・通貨安の連鎖は、比較的堅調だったアジア諸国の市場にも波及。最近は株価が上がっていたインドでも、27日は代表的な株価指数の終値が前週末より2%ほど下がり、通貨ルピーも下落基調となった。

 インドではもともと通貨安による輸入物価の上昇で景気が減速していた。緩和マネーの流出でさらなる通貨安が続けば、景気が悪化しかねない。

 東南アジアでは、インドネシアもインドと同様に慢性的な経常赤字と物価高に悩み、タイでは政情不安が長引いている。

 昨年5月も、米国の金融緩和縮小の観測が世界的な株安の引き金を引き、日経平均株価は暴落。新興国も一斉に株安・通貨安となった。米国の緩和縮小が、再び世界の市場を混乱に陥れつつある。(斎藤徳彦=北京、岩田誠司=サンパウロ、庄司将晃=ニューデリー)

 ■FRBの対応、市場注視

 世界的な株安のなかで、注目が集まっているのが米国の金融政策だ。米連邦準備制度理事会(FRB)は28、29日に連邦公開市場委員会(FOMC)を開く。

 FRBは先月のFOMCで、国債などを買って市場に流すお金の量を毎月850億ドル(約8・7兆円)から750億ドル(約7・7兆円)に減らすことを決め、量的緩和の縮小に入った。

 米金融市場では、今回のFOMCについて、「お金を流す量をさらに月650億ドル(約6・6兆円)へ減らす」との予想が多い。しかし、「新興国の状況を見て、やみくもに緩和を縮小するわけではない、と減額を見送る可能性もある」(大和証券の浅井一郎氏)との声も出始めている。

 ただ、そもそも新興国経済の動揺の根底には、世界経済を牽引(けんいん)する米国の「主役」としての力が落ちていることが影響している面もある。1990年代後半、米国の成長率は年3~4%に上り、巨大な消費市場は新興国の輸出先になってきた。当時の米国は、新興国経済を引っ張っていた。

 それが、08年秋の金融危機後に、米国の成長力が低下。最近は年2%前後の成長が続く。その成長をなんとか押し上げようと、FRBが導入したのが大規模な金融緩和だ。緩和縮小を巡って、米国がいまや新興国経済を不安定にする存在になっているのは、この間の世界経済の大きな構造変化を映し出しているとも言えそうだ。(上地兼太郎、ワシントン=五十嵐大介)



7面08 輸出不振、輸入も割高
     13年貿易赤字 最大の11.4兆円 生産 国内に戻らず


 日本の貿易赤字が膨らんでいる。財務省が27日発表した2013年の貿易収支は3年連続で赤字となり、赤字額は11兆4745億円と過去最大になった。円安の恩恵を受ける輸出が期待ほど伸びていない半面、火力発電の燃料輸入などは量が増えている上に円安で価格も割高になっているためだ。日本の産業構造は大きく変わりつつある。▼2面=ニュースがわかる!

 13年の輸出総額は69兆7877億円。金額でみると前年比9・5%増だが、これは外貨建ての輸出のもうけを円に換える時、円安で金額が押し上げられる影響が大きい。輸出数量を示す指数は前年比1・5%減で、輸出数量は3年続けて減っている。

 乗用車の昨年の輸出台数は498万台で、前年から約6万台減った。円安の追い風にもかかわらず、自動車業界では国内生産や輸出を増やそうという動きが広がっていない。

 昨年7月に稼働した埼玉県寄居町のホンダの自動車組み立て工場では、ロボットがわずか数秒で小型車のタイヤを取り付ける。フル稼働だと年間25万台生産できるが、工場新設の狙いは増産ではない。別の工場の設備を改修して生産能力を減らし、国内全体で生産できる車の数は変えていない。国内の新車販売の伸びが期待できないからだ。

 戦後、日本の自動車産業は「輸出でもうけすぎ」と米国などからたたかれてきた。日本は円高の受け入れを迫られ、自動車メーカーは業績悪化を避けるために生産の海外移転を繰り返してきた。

 最近の円安で輸出の採算が改善しても、製造業が簡単に国内に戻ってくるわけではない。昨年9月の中間決算で純利益が初めて1兆円を超えたトヨタ自動車も「短期的な為替に左右されない体質をつくる方針に変更はない」(豊田章男社長)と、需要が伸びる中国や北米などで生産を増やす考えを変えていない。

 電機業界も円高や海外とのコスト競争で、自動車以上に海外生産を進めてきた。かつて輸出品の代名詞だったテレビは、今や輸入品。日本メーカーがつくる薄型テレビのうち、国内生産比率は2%ほど。電子情報技術産業協会によると、13年1~10月の輸入額は約1400億円で、輸出額の約10倍に上る。東芝は12年までに国内のテレビ生産をやめ、すべて海外生産に切り替えた。

 ■高い燃料費、家計圧迫

 輸入は価格・数量とも増え続けている。13年の輸入総額は前年比15%増の81兆2622億円で、過去最大に膨らんだ。東日本大震災後、原発停止で火力発電への依存が強まり、原油や液化天然ガス(LNG)などの燃料輸入額は震災前の10年より6割増えた。この1年は燃料の輸入量はあまり変わっていないが、円安が輸入価格を押し上げた。

 輸入価格の高騰は家計に影を落としている。昨年11月の消費者物価指数(生鮮食品を除く)は前年同月比1・2%のプラス。燃料高を受けて電力会社が相次いで電気料金の値上げに踏み切ったのが大きい。東京電力管内の「平均的な家庭」の電気料金は震災直前の11年2月には6234円だったが、13年12月には7894円に上がった。灯油や食料品の値上げも続く。

 国際協力銀行の渡辺博史総裁は「世界の人口増加に食糧生産が追いつかなければ、日本が輸入する食糧も値上がりする。輸入品の値段はこれからも上がることを覚悟しなくてはいけない」と指摘する。

 安倍政権の経済政策アベノミクスが描くのは、金融緩和で円安に導くことで日本の製造業を復活させ、雇用や賃金も増える好循環だ。しかし、このまま輸出が伸びず、輸入物価高という円安の「負の影響」だけが広がれば、好循環の実現は遠のきかねない。

 ■「貿易立国」成り立たない

 <野口悠紀雄・早大ファイナンス総研顧問> 震災後の電気料金値上げで加工貿易型の企業のコストは上がり、「貿易立国」はすでに成り立たなくなっている。

 日本は輸出主導で経常収支を黒字にするのではなく、(海外への投資の稼ぎである)所得収支の黒字を拡大すべきだ。

 対外資産の運用先として利回りの低い米国債の比率を下げ、もっと利回りの高いところに投資すべきだ。同時に、海外企業には「日本に投資することが有利だ」と思ってもらわないといけないが、円安では日本への投資が有利でなくなってしまう。

 ■インフラ・知財輸出、推進を

 <高橋進・日本総研理事長> 貿易赤字は今がピークで、赤字幅は徐々に縮まっていくとみている。円安で輸入額が急増した一方、企業が設備投資をして生産・輸出が増えるには時間がかかるからだ。一部の製造業では国内生産に回帰する動きもある。

 ただ、自動車や電気製品の輸出に依存しなくて済む体質づくりも考えなければいけない。輸出後のアフターサービスで付加価値をつけたり、インフラや農産物、知的財産などの輸出を増やしたりする必要がある。賃上げなど「人」への投資で国内の景気循環を良くする努力も欠かせない。



7面11 国の借金額「最大1144兆円」 来年度末の試算

 財務省は27日、国の借金が2014年度末に最大約1144兆円になるとの試算を発表した。来年度予算で新たに国債を41兆円発行することなどから今年度末(約1039兆円)より105兆円増えると見込んだ。国民1人あたり899万円の借金を抱える計算だ。

 この試算は、円高ドル安を食い止めるために、70兆円規模の円売りドル買いの為替介入をすることが前提だ。過去2年間のように介入をしなければ、1070兆円程度にとどまる。



14面13 (社説)NHK新会長―あまりに不安な船出

 公共放送のトップを任せられるのか。強い不安を感じる。

 NHK新会長の籾井勝人(もみいかつと)氏が就任会見で、政府の立場に寄り添うような発言を繰り返した。

 尖閣諸島・竹島などの領土問題で、一部経費を国が負担する海外向け放送による政府見解の発信強化に意欲を見せ、「政府が右ということを左というわけにはいかない」と述べた。

 安倍政権が世論の反対を押し切って成立させた特定秘密保護法も、「必要だとの政府の説明だから、とりあえず受けて様子を見るしかない」と語った。

 籾井氏は、「政府からふきこまれたわけではない」とし、自身の見解を番組に反映させる意図がないことも強調した。

 だが一方で、議論を呼ぶような問題をとりあげる番組では「了解をとってもらわないと困る」と、会長としての方針も示した。現場を萎縮させる恐れはないのだろうか。

 公共放送の先駆けである英BBCは、フォークランド紛争やイラク戦争で必ずしも英政府を支持せず、客観的な報道に努めた。時の政権からは非難されたが、国際的な評価は高まった。

 NHKが向くべきは政府ではなく、受信料を納める国民の方である。放送内容が政府の宣伝ととられれば、海外での信頼もかえって損なわれよう。

 籾井氏は「放送法順守」を何度も口にした。大事なのは「健全な民主主義の発達」と明記された法の目的に照らし、社会の諸問題について、視聴者に多角的な視点や情報を提供することだ。その使命を果たす覚悟がなければ、会長は務まらない。

 籾井氏は個人的見解と念押ししたうえで、従軍慰安婦についても持論を展開した。「今のモラルでは悪いが、戦争をしているどこの国にもあった」とし、補償を求める韓国側の動きには「日韓条約で解決している。なぜ蒸し返すのか」と述べた。

 これには与野党から批判が相次ぎ、韓国でも反発を招いた。大手商社での国際経験を買われての人選だったはずが、いったいどうしたことか。

 昨年末の経営委員会では会長任命に先立ち、「言葉の選び方には留意して」と注文されていた。籾井氏は昨日、「私的な考えを発言したのは間違いだった」と釈明したが、早くも懸念が的中した形だ。

 NHKが自主自律を守るには不断の努力が必要だ。予算承認権を握る国会では、政治が干渉してくるリスクは常にある。会長はそれを率先して防ぐべき立場だ。自らの発言が審議対象になるようでは困る。



14面14 (社説)日中と世界 歴史に学んでこそ

 いまの日中関係を第1次世界大戦前の英独関係になぞらえた安倍首相の発言が、欧米で波紋を広げた。

 この騒動が意味するところは何だろうか。

 首相はスイスでの内外メディアとの会合で、「大切なことは(日中で)偶発的な衝突が起こらないようにしていくこと。今年は第1次世界大戦から100年目。イギリスもドイツも、経済的には依存度が高かった最大の貿易相手国だったが、戦争が起こった」などと語った。

 首相は「発言には何の問題もなかった」と強調する。ただ、会合の出席者の驚きは、日中対立の当事者である首相が、武力衝突の可能性を完全に否定しなかった点にあるようだ。

 いまの東アジア情勢を当時の欧州と重ねる論調は、欧米にもある。だが、「訳知り顔の評論家でなく、日本の指導者が言えば衝撃は大きい」(英BBC)というわけだ。

 侵略の定義は定まっていないといった発言から、首相は欧米メディアから「歴史修正主義者」と見られてきた。各国の新聞紙上では、首相の靖国神社参拝を批判する中国と、中国の軍備増強こそ脅威だという日本の外交官の論争が続いている。

 そんな下地があるところに、首相はスイスで自ら参拝の正当性を主張し、中国をなじった。そこで「緊張緩和への行程表は?」と問われ、「あるというわけではない」と首相が答えれば、記者たちが背筋の寒い思いをするのは無理もなかろう。

 首相にとってこの騒ぎは心外なのだろう。しかし、欧米の反応ぶりは、日本人が考えている以上に深刻に、日中関係は「危ない」と見られていることの表れだといえる。

 このことは、首相自身も、そして私たちも謙虚に受け止めたほうがいい。これを機に頭を冷やし、今後の関係改善につなげるよう、理性的な努力を日中双方の当事者に求めたい。

 首相は先の施政方針演説で、「我々が人類の自由のために一緒に何ができるかを問うてほしい」という故ケネディ米大統領の世界への呼びかけを引用し、「積極的平和主義のもとで役割を果たしたい」と述べた。

 そのケネディ大統領は、列強の誤算と誤解が第1次大戦を招いたとするバーバラ・タックマンの『八月の砲声』に感銘を受け、陸軍の全将校にも読むように指示し、世界中の米軍基地に送ったことで知られている。

 歴史と謙虚に向き合う態度。これこそが、指導者が学ぶべき点ではないか。




 01 28 (火) 「尖閣・竹島は領土」明記 4月の教科書検定から適用  1月28日13時33分 記者会見で明らかにした

午後テレビニュースで「尖閣・竹島は日本固有の領土」とする教科書使用を来年度から中学高校の教科書で扱うことを下村文科大臣が発表した。

とんでもない軽率な文部行政が突然発表され実施されることになった !!

何故こんなことになったのか? 政権与党の議院一人一人に重大な責任を負わせることになった !!

形而上の思索は毛頭もなく、…… 拙速なるかな!!

国家百年の教育大計への思索なく、幼稚なる行政感覚!!

いかに穏やかな日本人と言っても、こうまで低級な政治を見ては黙すべきではない!!

教育に哲学がない! 思慮がない! 何たる愚かさ! 何たる浅薄さだ!

抗議ののろしを上げなくてはならない!!


朝日新聞デジタル 2014年1月28日13時33分
「尖閣・竹島は領土」明記 4月の教科書検定から適用

 文部科学省は28日、中学・高校向けの学習指導要領の解説に、尖閣諸島と竹島を「わが国固有の領土」と明記する改定をし、発表した。4月に始まる中学向けの教科書検定から適用され、中学は2016年度、高校は17年度に使用が始まる教科書に反映される。

 下村博文文科相が同日の記者会見で明らかにし、「グローバル人材を育成する中で、自国の領土について正しく教えるのは重要」と説明。「近隣国と友好関係を保つこととは別次元の問題で、中韓両国には丁寧に説明する」とも述べた。しかし、竹島(韓国名・独島)の領有権を主張する韓国政府は、すでに改定の撤回を求めている。

 学習指導要領の解説は、学校での指導や教科書編集の指針となるもので、文科省が指導要領に基づき編集している。今回の改定では、中学社会の地理と公民、高校公民で、北方領土と竹島、尖閣について「わが国固有の領土」と明記。北方領土と竹島は、それぞれ「ロシアと韓国に不法占拠されている」などと表記し、尖閣については「領有権問題は存在しないことを理解させる」とした。

 中学の歴史と高校の日本史では、竹島と尖閣について「わが国が国際法上正当な根拠に基づき、領土に編入した経緯も取り上げる」としている。

 従来は、尖閣について記述がなく、竹島も高校では記述がなかった。以前から自民党を中心に「日本の領有に関する正当な主張を教えるべきだ」との意見が根強く、改定に踏み切った。下村氏は、指導要領についても「反映されるべきだ」と述べ、同様の改訂が望ましいとの考えを示した。

 このほか、自然災害に関して中高の地理で、自衛隊や消防、警察などを挙げ、「人々の生命や安全確保のために活動していることなどにも触れる」と役割の記述を追加した。

 解説は通常、約10年ごとの指導要領改訂に合わせて改められ、それ以外の改定はまれという。2008年に中学社会の解説で竹島に関する記述を加えた際、韓国政府が駐日大使を一時帰国させるなど反発した。(岡雄一郎)

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  (01/15) 文科相、韓国の撤回要求に反論 竹島「固有領土」と明記
  (01/13) 日本政府の方針、韓国が撤回要求 竹島「固有領土」と明記
  (01/11) 「尖閣・竹島は領土」明記を検討 文科省、教科書指針に
  (10/28) 日中有識者、対話継続を確認 領有権問題、直接盛らず
  (10/23) 「尖閣・竹島は日本の領土」外務省が動画 韓国抗議


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(1/15) 文科相、韓国の撤回要求に反論 竹島「固有領土」と明記

 中学・高校の学習指導要領の解説書で竹島を「固有の領土」と明記する改定に対して韓国政府が撤回を求めた問題で、下村博文文部科学相は14日の記者会見で「抗議は全く当たらない。竹島は固有の領土であり、子どもたちに正しく教えるのは国家として当然だ」と述べた。

 韓国外交省報道官は同日の会見で「帝国主義的な領土への野望を想起させる極めて不穏当な行動だ」と非難し、改めて撤回を求めた。

(1/13) 日本政府の方針、韓国が撤回要求 竹島「固有領土」と明記

YONHAP NEWS 2014年 01月 28日(火)
日本の独島領有権明記 韓国政府が撤回要求=教科書指針
    <http://japanese.yonhapnews.co.kr/headline/2014/01/28/0200000000AJP20140128001900882.HTML>

【ソウル聯合ニュース】韓国政府は28日、日本政府が教科書作成や教員による指導の指針となる中学校と高校の学習指導要領解説書を改定し、独島を「わが国固有の領土」と明記したことに対し、強く批判するとともに撤回を求めた。

韓国外交部=(聯合ニュース)韓国外交部=(聯合ニュース)

 政府は外交部報道官の声明を発表し、「安倍政権は学習指導要領解説書の改定を通じ、歴史的、地理的、国際法的に明らかにわが国固有の領土である独島に対し根拠のない主張を繰り返し、これを育ちゆく世代に教えようともくろんでいる」と批判。韓国政府はこれを強く糾弾し、即座に撤回するよう求めるとし、「日本がこれに応じない場合、相応の措置を取る」と警告した。

 また「日本帝国主義による侵奪の最初の犠牲となった独島に対し、日本政府がうその主張を繰り返し、これを後世に教えようとしている状況は、日本がいまだに歴史歪曲(わいきょく)の悪習と帝国主義に対する郷愁を断ち切れずにいることを克明に示すものだ」と非難した。

 さらに「こうした日本の欺瞞(ぎまん)的な態度は、日本政府が掲げるいわゆる積極的平和主義の裏に潜む本来の姿をわれわれに見せている」とし、周辺国とあつれきを起こし、地域の平和と安定を危うくしておきながら、いかにして積極的平和主義という名の下に国際社会の平和と安定に寄与するというのか、国際社会で大きな役割を担うというのか、問い返さずにはいられないと述べた。

 その上で「日本は育ちゆく世代に本当の歴史を正しく教えることで、平和と和解の心を育てる必要がある。歴史を忘れる者は未来を見ることができないということに、日本のリーダーらは気付くべきだ」と強調した。

 金奎顕(キム・ギュヒョン)外交部第1次官は同日午後、別所浩郎駐韓日本大使を外交部に呼び、韓国政府のこうした立場を伝える予定だ。

 また、政府は教育部を通じ、日本の教科書問題をめぐり別途の措置を取る方針とされる。

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日本帝国主義の侵略歴史 国際共同研究推進へ=韓国

【ソウル聯合ニュース】韓国の外交筋は28日、日本の帝国主義の侵略行為を告発する国際共同研究を進める方針を明らかにした。日本帝国主義の侵略で被害を受けた国々と共同研究に向けた協議を行っているという。

 日本の歴史認識をめぐる問題で韓国政府が自制してきた国際協調を本格的に推進する構えを示すもので注目される。中国も日本帝国主義の被害を受けているほか、日本の歴史認識問題で韓国と同じ立場を取っていることから、共同研究では両国間の協力が進む見通しだ。韓国政府はこれまで、安全保障面での韓国と米国、日本の同盟関係を意識し、歴史問題での中国との協力は自制してきた。

 共同研究には中国のほか、東南アジア諸国などが参加するとみられる。日本の侵略などに関する資料を集め、本として発刊する計画だ。安倍政権の歴史問題をめぐる挑発の不当性を国際社会にアピールし、国際世論を背景に対応していく狙いだ。

 一方、韓国政府は独島が韓国固有の領土であることを主張する英語版の独島ホームページを来月初めに開設し、英語版の独島動画も公開する。

(1/11) 「尖閣・竹島は領土」明記を検討 文科省、教科書指針に

 中学・高校向け教科書の編集や指導の指針となる学習指導要領の解説書に、尖閣諸島と竹島を領土と明記する改定を文部科学省が検討していることが分かった。領土に関する教育を強めたい自民党などの意向が背景にある。2014年度にある中学向け教科書検定から適用させたい考えだ。

 解説書は現在、中学社会科の地理的分野で北方領土と竹島に関する指導について記述。竹島に関しては、「韓国との間に竹島をめぐって主張に相違があること」などに触れる必要性を示している。一方、高校地理では「中学の学習を踏まえ、わが国の正当な主張に基づいて的確に扱う」などとしているが、竹島とは明記していない。尖閣諸島については、中学、高校いずれにも記述されていない。

 検討中の案では、中学の地理的分野で、新たに尖閣も加えて「わが国固有の領土」と明記。尖閣に関しては「領有権問題は存在しないことを理解させる」などと記述する。中学の歴史や公民的分野、高校の日本史でも説明する方針だ。

 尖閣に関する教科書記述については、「領有権問題は無い」という政府見解と異なる記述をしたり、北方領土や竹島と同列に扱ったりした場合、検定で修正を求める意見がつけられている。しかし、以前から自民党を中心に根強い「領土に関する日本の正当性をもっと教えるべきだ」との声に配慮した。

 解説書は、約10年ごとの指導要領改訂にあわせて改められるのが通例で、それ以外の変更はまれという。2008年に、中学社会の解説書で初めて竹島を明記した際は、韓国政府が反発して駐日大使を一時帰国させたり、日韓交流事業が中止されたりするなど大きな影響が出た。高校の解説書は民主党政権だった10年に改定された。(岡雄一郎)

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(10/28) 日中有識者、対話継続を確認 領有権問題、直接盛らず

 日中の有識者が両国の課題を話し合う「東京―北京フォーラム」(言論NPO・中国日報社共催)は27日、「両国には様々な意見の違いが存在することを認めた上で、互いの立場を尊重しながら対立を乗り越えるために対話を継続する」との「北京コンセンサス」を発表し、閉幕した。

 尖閣諸島や歴史認識を巡る政府間の対立が深まる中、一時はフォーラムの開催も危ぶまれた。中国側は民間による対話を重視する姿勢を鮮明にした形だ。

 コンセンサスは、冷静な世論の力で政府の背中を押す「民間対話の使命」を強調。「事態のエスカレーションと国民感情の悪化を抑え込まなければならない」とし、「どんな対立や課題もその解決を軍事的な手段に求めるべきではない」と、偶発的な衝突回避のための危機管理メカニズムの確立を両国政府に求めた。

 フォーラムでは「経済の成長センターである東アジア、特に中日関係の安定を世界が必要としている」(呉建民・国家革新と発展戦略研究会常務副会長)、「(尖閣周辺海域の)状況が危険だからこそ、政府を勇気づけ、話し合いを促す必要がある」(明石康・元国連事務次長)などの認識で一致。特別講演した福田康夫・元首相は「問題は(関係改善を)やる気があるかどうかだ」と、両国指導者の決断を求めた。

 尖閣諸島を巡っては、「領有権問題は存在しない」という日本政府と、領有権を巡る「争いの存在を認めよ」とする中国政府の主張が対立。中国側は当初、「立場を軟化させたという間違ったメッセージを与えるわけにはいかない」(中国側実行委幹部)として、コンセンサスに「争いの存在」を盛り込むよう要請。日本側が拒み、「合意は困難」(同)と断念しかけた。

 しかし、最終的に双方は、領有権問題には直接言及しない形で折り合った。政府OBや研究者らによるフォーラムとはいえ、中国側の判断は政府の指示や方針に従っている。一定の譲歩をして決裂を避けたのは、事態打開の糸口を探ろうとする中国外務省の意向を反映したものとみられる。(北京=林望)

(10/23) 「尖閣・竹島は日本の領土」外務省が動画 韓国抗議

 尖閣諸島や竹島が日本の領土であることを国内外でより広く知ってもらおうと、外務省は島の歴史や日本の主張を説明する動画をつくり、動画サイト「ユーチューブ」に掲載を始めた。今後、英語や中国語、韓国語など10言語に翻訳する考えだ。

 尖閣と竹島は、中国と韓国がそれぞれ領有権を主張。日本と中韓の関係が冷えこむ原因の一つとなっている。動画はいずれも約1分半で、「みなさん、ご存じですか?」のフレーズで始まり、日本が領有権を確立した過程などを写真を使いながら説明している。

 外務省幹部は「安倍政権として領土問題にしっかり対応する姿勢の一環」と話す。今後は、北方領土の動画などもつくる。

 これに対し韓国外交省は23日、在韓日本大使館の倉井高志・総括公使を呼び、動画を掲載したことについて抗議した。

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