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折々の記 2014 ②
【心に浮かぶよしなしごと】

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【 05】02/14

  02 14 雪やこんこ  祇園精舎の鐘の声
  02 15 羽生、金メダル フィギュア男子  男子シングル日本人初
  02 17 Legend  葛西紀明 41歳の銀メタル
      言論への圧力、公益にならない 英紙ガーディアン編集長に聞く  特定秘密保護法
      英当局の圧力、屈せず報道 英紙ガーディアン編集長  ▼国際面=詳報
      日米韓の結束 米国頼みを卒業せよ  (社説)
      米、日韓融和めざす旅 オバマ大統領、4月歴訪  (時時刻刻)
      願うべきもの  (独白)


 02 14 (金) 雪やこんこ  祇園精舎の鐘の声

「北方の寒波が南下」する そして 「列島南に低気圧」が通る

すると 「表日本にドカ雪」が降る

  http://www.youtube.com/watch?v=_U3e-laEf_s

    雪やこんこ あられやこんこ
    降っては降っては ずんずん積もる
    山も野原も わたぼうしかぶり
    枯木残らず 花が咲く

    雪やこんこ あられやこんこ
    降っても降っても まだ降りやまぬ
    犬は喜び 庭かけまわり
    猫はこたつで丸くなる



    無常相

  祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響き有り。(音-耳)
  沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理を顕す。(色-目)

  奢れる人も久しからず、只春の夜の夢の如し。(人)
  猛き者も終には亡ぬ、偏に風の前の塵に同じ。(人)

    祇園精舎  釈迦が説法を行った寺院
          この僧園は身寄りのない者を憐れんで食事を給していたため、祇樹給孤独園と呼
          ばれ、そこに建てられた精舎を祇樹給孤独園精舎と称するようになった。

    鐘の声   諸行無常  是生滅法  生滅滅已  寂滅爲樂

    沙羅双樹  フタバガキ科Shorea属の常緑高木
          幹高は30mにも達する。春に白い花を咲かせ、ジャスミンにも似た香りを放つ。
          各地の寺院では本種の代用としてツバキ科のナツツバキが植えられることが多い。
          そのためナツツバキが「沙羅双樹」と呼ばれることもあるが、
          本種とはまったくの別種である。

    ナツツバキ 原産地は日本から朝鮮半島南部にかけてであり、日本では宮城県以西の本州、四国、
          九州に自生し、よく栽培もされる。樹高は10m程度になる。樹皮は帯紅色でツル
          ツルしており「サルスベリ」の別名もある(石川県など)。葉は楕円形で、長さ
          10cm程度。ツバキのように肉厚の光沢のある葉ではなく、秋には落葉する。
          花期は6月~7月初旬である。花の大きさは直径5cm程度で、花びらは5枚で白く雄
          しべの花糸が黄色い。朝に開花し、夕方には落花する一日花である。
          ナツツバキより花の小さいヒメシャラ(Stewartia monadelpha)も山地に自生し、
          栽培もされる。



 02 15 (土) 羽生、金メダル フィギュア男子  男子シングル日本人初

今朝起きたのは04時45分、まだ雪が降っている。 未明にフィギュアスケート男子のフリーがあったことは判っていたので、04時55分朝日デジタルを開いて見ると次の記事がのっいてた。



2014年2月15日04時16分

 ソチ五輪第8日の14日(日本時間15日未明)、フィギュアスケート男子のフリーがあり、ショートプログラム(SP)世界歴代最高得点でSP首位に立った羽生結弦(ANA)が、この種目で日本勢初となる金メダルを獲得した。今大会でも日本勢初の金。

 羽生は冒頭の4回転ジャンプで転倒したが、フリーでも1位の178・64点で合計280・09点。SP2位の世界王者パトリック・チャン(カナダ)は、178・10点で合計275・62点にとどまり、2位。3位はデニス・テン(カザフスタン)だった。

 SP11位の町田樹(関大)は169・94点をマークして合計253・42点で5位。SP4位の高橋大輔(関大大学院)は164・27点で合計250・67点の6位となり、ともに入賞を果たした。

<下平> 弦が張ったように丈夫で進めるような人になるようにという父親の願いがこめられて、彼の名前(YUZURU)はつけられたという。



 02 17 (月) Legend  葛西紀明 41歳の銀メタル

世界から祝福され、レジェンド(Legend=祝福、言い伝え)という言葉を聞く。 心からレジェンドしたい。

葛西紀明 41歳の銀メタル

 (15日、ノルディックスキー・ジャンプ男子ラージヒル) 2014年2月17日00時43分

 葛西紀明は40歳を超えてもなお、世界のトップであり続ける。自らに生かせるものを見抜き採り入れる洞察力と、たゆまぬ努力。原点を知る人たちが語った。

 ジャンプが盛んな北海道下川町で生まれ、小学3年から競技を始めた。ジャンプ台は自宅から歩いて数分。「誰よりも早く来て、最後まで練習していた」と、当時指導した蓑谷省吾さん(56)は振り返る。

 2学年上には1994年リレハンメル五輪でともに団体銀メダルを獲得した岡部孝信さん(43)がいて、競い合った。葛西について「ひざの使い方がうまかった。天性のものだった」。印象に残るのは「うまい先輩が飛ぶ姿をじっと見つめ、動きを学ぶ姿」だ。

 東海大四高(札幌市)の1年生から世界選手権に出て海外勢にもまれた。スキー部監督だった上杉尹宏(たかひろ)さん(71)も「単に勝った負けたではない。一流選手の技術をしっかりと見て、帰国する度にレベルが上がっていった」と振り返る。

 上杉さんには忘れられない光景がある。葛西が練習後、体育館でバスケットボール部の練習を1時間ほど眺めていた姿だ。「体育館が空いたらプレーをまねていた。いろいろな選手を見てきたが、他の競技にあれほど興味を持っていたのは、彼くらいだ」

 その一つ、サッカー。「リフティングはボールを落とさずに延々とやっている」と、所属する土屋ホームの中西康隆トレーナー(36)。バドミントンやバレーボールも本格的だ。「一つの競技に偏るのではなく、バランスがいい。体幹を鍛えるトレーニングでも二、三度やると『あ、つかんだ!』とこなす。人が出来ることを出来ないのが許せない性格」と笑う。

 「つかんだ」。このセリフを中西さんは昨季終盤にも耳にした。道具や技術、体の使い方のすべてが、うまく絡み合ってきたと感じた葛西の言葉だった。今年1月にはワールドカップ(W杯)で最年長優勝。自信は確信になった。

 今でも時間があれば体を動かし、スタミナでも若手に負けない強さがある。「僕は何百戦もやっているが、ほぼ負けている。ただ、勝つことのうれしさを求め、悔しさをモチベーションにやってきた。それが41歳まで世界のトップで続けてこられた理由だと思う」(上山浩也)


特定秘密保護法
言論への圧力、公益にならない 英紙ガーディアン編集長に聞く

【画像】<知識の抑圧の象徴> 英政府の命令でデータを読み取れないように物理的に破壊したパソコンの基板。ラスブリッジャー編集長は「これが象徴するものは知識の抑圧、破壊」と語る=ロンドン、末盛亮氏撮影

 米英情報機関による情報収集の実態をスクープした英紙ガーディアンのアラン・ラスブリッジャー編集長(60)が、朝日新聞の単独インタビューに応じ、圧力をかける英政府との攻防の舞台裏などを語った。日本の特定秘密保護法にも触れ、国防やテロ対策を理由に報道の自由を制約する動きが広がっていることに懸念を表明。「どうすれば報道を守れるのか。民主主義国家は考える必要がある」と述べた。▼国際面=詳報

■国の傍受拡大、議論必要

 米国家安全保障局(NSA)のスノーデン元契約職員による暴露を情報源として、ガーディアンは昨年6月以降、NSAと英政府通信本部(GCHQ)による通信傍受を特報してきた。

 編集長は「友好国の指導者や市民を盗聴するのは正しいことか。オバマ米大統領が(情報活動の)見直しを呼びかけ、欧州議会で議論されたのは、大きな公益が関わっているからだ」と指摘。一連の報道が「国の安全保障やプライバシーを超えた多くの問題を提起した」と強調した。

 英当局は、「国の安全を損なった」「(国際テロ組織)アルカイダが喜んでいるのは明らかだ」と批判する。報道が始まると、文書データが入ったパソコンを、物理的に破壊するよう命令。テロ対策法を使って執筆記者のパートナーを拘束し、英議会は編集長を呼び出した。これに対し同紙は、米国など国外に保管しておいたデータをもとに報道を継続。米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)など海外メディアとも連携してきた。

 インタビューで編集長は、NSAやGCHQが通信傍受を質量ともに拡大している現状について、「まず議論があるべきだ」と主張。言論の自由が憲法修正第1条で明確に守られている米国を拠点にして、今後も報道を続けると言明した。

 また、英当局が同紙に圧力をかけたことで「英国のような民主主義の下でも、そうした行動(報道への圧力)が許されるのだと世界に映った」と指摘し、言論の自由に世界的な悪影響を及ぼしかねないとの懸念を表明。公益にかなう内部告発や報道が制限されかねない日本の特定秘密保護法にも触れながら「言論の自由、内部告発者とジャーナリストの保護について、普遍的な基準が必要だと個々の国家に確認させなければならない」と呼びかけた。

 「国を裏切った」とも非難されるスノーデン元職員については、「重要なのは彼が暴露した内容。彼なしに(安保とプライバシーのバランスを巡る)議論はありえなかった」と評価した。(ロンドン=伊東和貴、梅原季哉)

■テロ対策優先の風潮に警鐘

 ガーディアンは、「『英国の敵』を助ける新聞」(保守系大衆紙デーリー・メールの論説)なのか――。通信傍受に関わる内部告発情報を暴露したガーディアンを裏切り者扱いする声は、決して少なくはない。

 後悔はないか。私の問いに、ラスブリッジャー編集長はためらわずに答えた。「物議を醸すことも、リスクがあることもわかっていた。考えた末だ。我々がしたことを誇らしく思う」

 彼の自信のよりどころは、「どんな経緯で得られた情報であっても、公益にかなう限り報道は適法」という原則だ。それを確立させたのが「ペンタゴン・ペーパーズ事件」。米国で1970年代、ベトナム戦争の無軌道な拡大に対する内部告発者による漏洩(ろうえい)文書を新聞が報じることは違法かが争われ、報道機関側が勝利した。今回、米国家安全保障局(NSA)の元法律顧問も、スノーデン・NSA元契約職員の行為は違法だと主張しつつ、「ひとたびファイルが記者の手に渡ったら、記者の権利は守られる」と言明したという。

 今回の報道で「知られていなかった多くの問題を公の場に持ちだした」点に、編集長は公益性を見いだす。一般市民まで巻き込んだ傍受活動は正当化されうるのか。まず議論があるべきで、その材料提供こそジャーナリズムがすべきことだ、という主張だ。

 議論すら封じられたら、グローバル化する世界の中で、どう受け止められるだろうか、と編集長は問う。言論の自由は普遍的な価値であるべきで、専制的な国々での内部告発を歓迎しておきながら、自国に都合の悪い情報は封じるような態度が許されるだろうかと。

 だからこそ、ガーディアンへの英当局の捜査の動きなど、「テロ対策」「国家安全保障」の名の下で報道の自由を制限しようとする風潮に警鐘を鳴らす。日本の特定秘密保護法についても、民主主義国家は報道の自由をどう守るか考えるべきだ、と注文をつけた。

 国家安全保障に関する一定の情報に機密性が求められることは否定していない。情報全てをインターネット上に流せ、と言っているのでもない。ただ、何を報じるべきか判断するのはあくまで報道機関自身の責任であるべきだ、という。

 その責任は、重い。だが、これこそ報道機関が果たすべき仕事なのだ。(ヨーロッパ総局長・梅原季哉)

     *

 アラン・ラスブリッジャー氏 1953年、ザンビア生まれ。地元紙をへてガーディアンへ。他紙でのワシントン特派員の経験も。95年から編集長。同紙は前身の地方紙が1821年に発刊。発行部数は約20万部だが、「デジタルファースト」を掲げ、無料ウェブサイト読者数は米国を中心に4千万人以上。非営利の信託組織が経営し、報道の独立性を守る。2010年には、内部告発サイト「ウィキリークス」を通じて入手した米外交公電の内容を報道。各国の外交の舞台裏を明らかにした。


▼国際面=詳報
英当局の圧力、屈せず報道 英紙ガーディアン編集長
    <http://digital.asahi.com/articles/DA3S10983188.html?iref=comkiji_redirect>

 世界を揺るがせた米英情報機関による極秘情報収集の実態。いち早く報じた英紙ガーディアンは、英当局から度重なる圧力にさらされながら、報道を続けてきた。公益にかなう「国家機密」をどう報じるか。その攻防は、特定秘密保護法が成立した日本にも深い問いを投げかけている。▼2面参照


「知識の抑圧と破壊の象徴。世界中の博物館がほしがる芸術品だ」

ガーディアンのアラン・ラスブリッジャー編集長(60)は14日、表面が無残に削り取られたパソコンの基板を手に取り、皮肉たっぷりに語った。



 報道開始から10日余りたった昨年6月中旬。編集長は英首相官邸のオリバー報道官から警告の電話を受けた。「政府にはあなたを刑務所に送りたい者もいる」

 さらに同紙が入手した内部文書の返還を要求し、「もう楽しんだだろう」と通告。7月20日、英政府通信本部(GCHQ)の職員2人に監視させ、本社の地下室で文書データの入ったパソコンを破壊させた。

 「(情報収集に関する)議論がどれだけ許されるかを決めるのは国家だ、と言わんばかりだった」

 8月18日。今度はスクープを連発した同紙コラムニストのパートナーでブラジル人の男性がロンドンの空港で警察に拘束された。捜索令状なしで乗客らを拘束できるテロ対策法を使い、携帯電話やパソコンを没収。文書データも奪った。

 ガーディアン記者が出版した内幕本によると、裏で暗躍したのが、国内治安を守る情報局保安部(MI5)だ。3日前にロンドン警視庁に男性の拘束を要請。テロ行為に無関係な人物の荷物の押収が困難と指摘されると、拘束に必要な書類を2度書き直し、「情報機関の要請ではなく、日常業務の一環にみせかけて」とクギを刺した。

 昨年12月には、警察が「(テロ対策)法に違反した者がいる可能性がある」として、同紙職員の訴追も視野に捜査をしていることも明らかになった。

 だが、編集長は「もしガーディアンに対して何らかの行動を起こせば、政府がひどいものだとみられることを知っているはずだ。我々を拘束しても利益にならない」と牽制(けんせい)する。

 ガーディアンは今、米ニューヨークの支社にある文書データをもとに報道を続けている。成文憲法のない英国と違い、米国では憲法修正第1条で「言論の自由」が保障されている。

 「グローバル化は経済や環境と同様、報道にも及んでいる。世界で最も高水準の言論の自由を保障している国に行けば、その保護を仰ぐことができるのだ」

◆なぜ報じたのか 盗聴正しい?…提起

 今回の報道に、英政府や他のメディアから「国の安全を損なう」との批判もある。それでも報道した理由について、ラスブリッジャー氏の説明は明快だ。

 「今回明るみに出た事実は、国家安全保障やプライバシーだけでない、多くの問題を提起した。何も悪いことをしていない人の全情報が知られるべきなのか。通信傍受は、合法なのか。彼ら(情報機関)が法を守っていないことを示す証拠もあった。友好国の指導者を盗聴するのは正しいことなのか、市民を盗聴することはどうなのか。インターネットは誰のものか。米国に、国内のケーブルを通過するやりとりを傍受する権利があるのか」

 「そして、誰がこうした問いの答えを決めるのか。米国家安全保障局(NSA)やGCHQだけなのか。米大統領が(情報収集の)見直しを呼びかけ、議会に法案が提出され、訴訟が提起され、欧州議会で議論されたのは、大きな公益がかかわっているということだ。だから記事を掲載した」

◆傍受活動は適切か 説明なく保存、異常

 一方、傍受活動についてこんな擁護論もある。英国の街角に大量設置された監視カメラと同様に、むしろそれによって一般大衆は守られていると感じており、抵抗感はない、という主張だ。だが、ラスブリッジャー氏は、その前提にも疑問を投げかける。

 「もし、あらゆる監視カメラの映像が、我々に一切何も告げられないまま、音声も含めて顔認識の技術つきで1カ所に集められ、5年間保存されているとしたらどうか、ということだろう。いつでも、どんな人物でも、過去5年間どこにいたのかを追跡することができる。それは、議論なしに現状から著しく逸脱することだと私には感じられる」

 「それは気がかりで、身の毛がよだつようなことだと考える人もいるだろう。論議を聞いて、自分の周囲が安全になるのならば自由を犠牲にする用意はあると考えるかもしれない。しかし、何の説明もなしにそうした活動をすることはできないはずだ」

◆報道で実害は 具体的損害見当たらず

 一連の報道による実害はあったのか。ラスブリッジャー氏は、米英当局とのやりとりからみて、問題は起きていないと主張する。

 「例えば米上院の情報委員会で、『ガーディアン報道で何か損害を及ぼす点があったか』と尋ねると、『君たちは非常に慎重だったと思う。損害を及ぼすような点は何もみつかっていない』と言っていた。一般論として『損害を及ぼした』と言う人も知っているが、いったいどんな損害かと聞くと、言うわけにはいかない、と話すのだ」

 「オバマ政権の高官はこのオフィスで、君たちは立派な新聞として注意と責任を持って行動した、と言った。彼らは個人的には、ファイルを手に入れたのがガーディアンで、突然インターネット上にぶちまけられなかったことに、非常に感謝していると思う。それを彼らが公に口にすることはないが、内輪では、我々が節度を持って行動したことも認めていると思う」 (ロンドン=伊東和貴、梅原季哉)

◆キーワード

 <米英の情報収集を巡る報道> NSAのスノーデン元契約職員がもたらした内部文書をもとに、ガーディアンが昨年6月、「NSAが米電話会社ベライゾンの通話記録数百万件を毎日収集」と特報した。米独仏などのメディアも報道に加わり、日本を含む38の大使館や代表部の通信▽メルケル独首相の携帯電話▽欧州連合(EU)の電話・メール▽国連本部のシステム――などに対する、米英情報機関の盗聴・傍受疑惑が発覚した。


(社説)
日米韓の結束 米国頼みを卒業せよ

 今世紀の歴史はアジア太平洋を主舞台に描かれる。

 オバマ米政権はかねてそう宣言し、外交の軸足を大西洋から太平洋へ移すと唱えてきた。

 だが、その「アジア重視」路線の難題として、自らの同盟国間の反目が重くのしかかるとは想定できなかっただろう。

 日本と韓国の両政府の間に続く不毛な対立は、米政府を板挟みの立場に追い込んでいる。

 ケリー国務長官は今月、訪米した岸田外相と会談したのちに訪韓し、オバマ大統領の4月の日韓訪問予定を伝えた。

 大統領は仲介役を担う用意はある。だが、その前に当事者同士で関係を修復するのが筋だ。ケリー氏はそう呼びかけた。

 米国からの異例の和解勧告といえる。日韓両政府はこのまま自らの近隣関係まで米国頼みにするつもりなのか。互いに頭を冷やし、自助努力で歩み寄りを図るべきだ。

 周辺では緊張の火種が増えている。軍拡と勢力拡張を進める中国にどう対処するか。北朝鮮に核の放棄をどう迫るか。

 そんな差し迫った難題が眼前にあるというのに日韓両政府が背を向け合うことに、米政府はいらだちを強めている。

 オバマ氏の来訪についても日韓はさや当てを演じた。国賓として長い滞在を望む日本側と、短時間でも立ち寄らせたい韓国側。駄々をこねる兄弟げんかのような綱引きに、米政府はほぼ平等の扱いで応じた。

 若い指導者が自らの後見役を処刑した北朝鮮の情勢は予断を許さない。この時期の米大統領の訪韓は理にかなう。日本は国賓待遇といった儀礼形式にこだわるべきではあるまい。

 むしろ気にかけるべきは、近隣外交をめぐる緻密(ちみつ)な戦略を描く能力そのものが安倍政権には欠けているのではないかという米国側の懸念だろう。

 集団的自衛権の行使容認で対米同盟を強化するという掛け声とは裏腹に、靖国神社参拝で同盟を揺さぶる安倍首相の真意を米側は測りかねている。

 一方の韓国政府も意固地な姿勢を続けている。ケリー氏との共同会見で尹炳世(ユンビョンセ)外相は、現状を改善する責任は日本側にのみあるかのような見解を示した。一方的に相手の非を唱える発言には賢明さが感じられない。

 日韓の安全保障はともに米国の傘のもとにあるが、その枠組みの強度を保つのは、日韓それぞれの外交努力である。

 日米韓の結束は当事国のみならず、東アジア全体の安定に欠かせない。日韓両政府とも、その重い責任を自覚すべきだ。


(時時刻刻)
米、日韓融和めざす旅 オバマ大統領、4月歴訪

 米国のオバマ大統領が、日韓などアジア4カ国を4月下旬に訪れることが正式に決まった。政権が掲げる「アジア重視」の本気度を示す狙いだ。北朝鮮情勢や中国の台頭をにらんだアジア戦略では米国にとってともに同盟国である日韓の関係改善が急務だが、訪問発表初日から火花が散った。▼国際面=北朝鮮巡り結束

■対中・北朝鮮を念頭

 「アジア太平洋地域への外交、経済、安全保障面での関与強化の一環だ」。米ホワイトハウスは12日の声明で、オバマ氏のアジア歴訪の意義をこう強調した。

 今回の訪問は4月22日からの日程で調整。昨年10月に予定していた歴訪が中止になり、政権の「アジア重視」を疑問視する声が高まったことが契機だった。今回訪問するマレーシアとは環太平洋経済連携協定(TPP)交渉、フィリピンとは米軍の拠点再配置の協定交渉という課題があり、元から訪問予定があった。

 一方、日韓では曲折があった。訪日は昨秋の段階で固まっていたが、韓国訪問は当初予定になかった。

 だが、安倍晋三首相の靖国神社参拝でワシントンの風向きが変わった。「失望した」と名指しした安倍首相に会って朴槿恵(パククネ)大統領に会わないことは「政治的に考えにくい」(日米関係筋)状況になった。アーミテージ元国務副長官ら有識者も「韓国も訪問すべきだ」と声を上げた。オバマ氏は日韓首脳との会談で、日米韓連携の重要性を説き、関係改善を促すとみられる。

 米韓への挑発を繰り返す北朝鮮の情勢や、中国の軍事的台頭をにらみ、日韓関係の改善はオバマ政権のアジアにおける軍事戦略にとっても急務となっている。

 米太平洋空軍のカーライル司令官は10日の軍事専門誌「ディフェンス・ニュース」(電子版)のインタビューで、安倍首相の靖国神社参拝を念頭に「日韓には歴史問題があり、最近の出来事が韓国を怒らせた」と指摘。軍事情報の共有など、日米韓の協力の重要性を改めて訴えた。

 オバマ政権は、アジアを重視する「リバランス(再均衡)」戦略のもと、グアムへの原子力潜水艦の追加配備を決めるなどしている。ただ、国防予算削減が続く中で配分できる軍事力は限られる。1月の議会公聴会で、国防総省のケンダル次官は「現在の予算状況では困難に対処する我々の能力は著しく制限されている」と認めた。別の公聴会では「我々の力は10年前よりも弱まっている。同盟国の日本や韓国が自ら攻撃に対処する努力を支援すべきだ」(ローラバッシャー下院議員)など、同盟国により大きな役割を期待する声が出た。

 日韓首脳との会談では対中国政策の調整も焦点だ。

 オバマ政権は尖閣諸島を巡る日中の対立に神経をとがらせ、中国の南シナ海への防空識別圏設定を強く牽制(けんせい)するなど中国に対し警戒を続ける。ただ、ライス大統領補佐官は7日の岸田文雄外相との会談で、米中の一定の協力に理解を求めた。オバマ氏としては、米中の「新型大国関係」への日本の警戒も念頭に置きつつ、対中政策を安倍首相に説明し理解を得たい意向だ。

 ホワイトハウスは日米首脳が話し合う課題にTPP交渉も挙げる。今後の交渉の進展次第では、オバマ氏が直接、安倍首相に政治決着を迫る可能性もある。(ワシントン=大島隆)

■歴史問題、根深い溝

 「オバマ大統領の訪韓という良いニュースを歓迎したい」。13日、尹炳世(ユンビョンセ)・韓国外相が切り出すと、隣で共同記者会見に臨んだケリー米国務長官は「ワシントン、ソウル、東京の3者の関係が極めて重要だ」とあえて日本の名前を出し、日韓の関係改善を促した。

 折しも訪韓中だったケリー氏はこの日、朴槿恵大統領、尹氏と予定時間を超えて会談。日本との対話再開を求め、オバマ氏の日韓訪問を関係改善のきっかけにしたいとの思いをにじませた。その後の会見でも尹氏は冒頭、日本との歴史問題には触れなかった。

 ところが質疑応答。米紙記者が日米韓の協力関係について聞くと、尹氏は「朴政権は努力してきたが、遺憾なことに我々が見たのは日本の一部政治指導者による歴史修正主義的な言動だった」。過去の侵略や慰安婦問題も取り上げ、日本の誠意ある対応を求めた。

 さらに韓国紙記者が尖閣問題や安倍首相の靖国参拝も提起。ケリー氏は「(靖国参拝では)当時、我々も異なる意見を持っていた」と語る一方で、「過去の歴史問題だけでなく、我々には安全保障などの問題が山積している」と必死に場をとりなした。日本関連の質問が相次ぎ、最大の懸案の北朝鮮問題がかすんでしまうほど。ケリー氏も「オバマ氏訪問まで(歴史)問題を持ち越すべきではない」とし、日韓の具体的な取り組みを促した。

 韓国は「関係悪化の責任は日本にある」(政府関係者)との印象を米側に改めて印象づけた形だ。オバマ氏の訪日は靖国神社の春の例大祭に重なり、訪韓はその直後となる見通し。韓国外交省の趙泰永(チョテヨン)報道官は13日の会見で「(米韓首脳会談で)韓日関係が議論される必要のない状況をつくるため、日本が努力しなければならない」と牽制(けんせい)した。

 一方の日本側。一般論としては「オバマ氏の訪問が日韓関係にプラスになればいい」(外務省幹部)と望むが、安倍政権内には韓国側に対する根強い不信感がある。韓国政府の元日本軍慰安婦の「記念日」制定に向けた動きや、相次ぐ対日批判などを挙げ、「日韓関係の悪化は日本だけの責任ではない」(関係者)という不満の声もくすぶる。

 オバマ氏の訪日が1泊になったことに日本政府は複雑な心境だ。クリントン元大統領以来18年ぶりとなる国賓として招く意向を米側に伝えていたが、オバマ氏が韓国にも立ち寄ることで日本滞在が短縮となった。外務省は「国賓にならないのでは」と頭を抱える。(中野晃、奥寺淳=ソウル、菊地直己)



  (独白)
  願うべきもの

     天地自然に感謝し、花をいつくしみ生きものに心を寄せ、
     明日を楽しく迎えることにある。

  どう生きるべきか

     昔を学び、これからの夢を描き、今を生きることにある。
     そのためには
       どのようにして生まれ、育ち、活動し、生涯を迎えるかを
     明らかにしておきたいものです。