折々の記へ
折々の記 2014 ④
【心に浮かぶよしなしごと】
【 01 】03/22~ 【 02 】03/22~ 【 03 】03/26~
【 04 】03/30~ 【 05 】04/10~ 【 06 】04/12~
【 07 】04/13~ 【 08 】04/17~ 【 09 】04/21~
【 08 】04/17
04 18 STAP細胞 小保方晴子 No.4 朝日新聞
04 19 尚朴
04 19 漂う日米
04 21 活躍する日本のオチビちゃん
04 18 (金) STAP細胞 小保方晴子 No.4 朝日新聞
●サイト内記事検索
(2014/04/17)~(2014/04/14)の記事だけでも40件余になります。ともてではないが、猛烈に多い記事です。
●新聞記事検索
理研・笹井氏の会見要旨 STAP問題 2014年04月17日
社説 STAP騒動 あおり競争で細る社会 2014年04月17日
STAP存在、可能性強調 笹井氏、新証拠は示さず 2014年04月17日
笹井氏「論文の仕上げに協力しただけ」 2014年04月17日
監督責任どう語る 理研・笹井氏、きょう会見 2014年04月16日
独法見直し法案を提出 安倍内閣 2014年04月16日
割烹着をアピールしたわけは 2014年04月16日
「ボストンに戻っておいで」バカンティ教授、小保方氏に呼びかけ 2014年04月16日【コピーを掲載】②
声 論文共同執筆者の責任問え 2014年04月16日
小保方さん会見、各局対応は 2014年04月16日
耕論 STAP、逆風の科学界 2014年04月15日
「残存の幹細胞、第三者が解析」小保方氏「メスも存在」、本紙に反論 2014年04月15日
読まれたファイブ 2014年04月15日
「STAP、必ず存在」 バカンティ教授来日、講演 2014年04月15日
理研改革委提言、不正防止に限定 STAP問題受け 2014年04月15日
ハーバード大・バカンティ教授が来日 「STAP細胞必ず存在」 2014年04月15日
理研の笹井氏、あす会見 STAP論文主要著者 2014年04月15日
「メスの幹細胞もある」 小保方氏、朝日新聞に反論 2014年04月14日
「細胞、たんぱく質で確認」「200回作製」 小保方氏、文書で説明 2014年04月14日
声 拙速に成果求める風潮を憂える 2014年04月13日
新たな疑問 メスマウスで実験、作製者「オスだけ」 2014年04月12日
(がん内科医の独り言)実験ノートとカルテ 渡辺亨 /静岡県 2014年04月12日
群馬大が不正防止策 STAP問題で注目の研究倫理 /群馬県 2014年04月12日
声 若手研究者を大事に育てて 2014年04月12日
再調査の判断を急がぬよう要望 小保方氏側、体調を考慮 2014年04月12日
社説 STAP論文 理研の責任は重い 2014年4月2日【コピーを掲載】①
●現代ビジネス ニュースの深層
小保方晴子氏を「犠牲者」にした独立行政法人・理研の組織的欠陥 2014年04月05日【コピーを掲載】③
重箱の隅をつついて回る愚かな人たちへ
目的の真実を求めよう それが科学者の重要課題
【コピーを掲載】① 朝日新聞デジタル 2014年04月02日
(社説)STAP論文 理研の責任は重い
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11062433.html
理化学研究所は幕引きを急いでいるのではないか。そんな疑念をぬぐえない。
多くの疑問点がふきだしている新万能細胞「STAP(スタップ)細胞」の論文について、理研の調査委員会はきのう、筆頭著者の小保方(おぼかた)晴子ユニットリーダーに「捏造(ねつぞう)」と「改ざん」という研究不正があったとする最終報告書を公表した。
これに対し、小保方氏は「承服できない。不服申し立てをする」とのコメントを発表した。
調査委は論文全体を精査してはいない。6項目にしぼり、ミスを超える不正の有無を判断しただけである。また、小保方氏本人は否定している。不正と決めつける十分な根拠があるのか、見方はわかれそうだ。
理研は報告書を受けて、小保方氏らへの処分や再発防止策の検討に進む方針だ。しかし、全容を解明せずに、実のある再発防止策が打ち出せるとはとうてい思えない。
国は今月、研究開発を先導する特定国立研究開発法人を指定する方針だった。理研はその最有力候補だった。それをにらんで結論を急いだ面はないか。
そして、責任を小保方氏個人に集中させていないか。共著者のベテラン研究者らは何をし、何をしなかったのか。実験やデータ、試料の管理のどこに問題があったか――。
理研は内部調査で済ますのでなく、第三者に調査を委ねて結果を公表すべきだ。それなくして信頼は取り戻せないだろう。
科学は、研究者が個人の責任で学術誌に論文を投稿するなどし、他の研究者の批判にさらされることで前進してきた。研究者が所属する研究機関の役割はさほど目立たなかった。
だが、厳しい国際競争を背景に多額の研究予算がつぎ込まれる現在、大学や研究所などは新たな役割を果たさなければならなくなってきた。
研究者や研究の「質の保証」である。
不正の認定以前に、小保方氏の実験ノートが3年間で2冊しかなかったとか、画像切り張りを問題と認識していなかったといった事態は、およそ研究者の常識からは考えられない。
博士号を与えた大学や指導的研究者として迎えた理研は、組織としての責任を免れない。
指導的立場の共著者が実験ノートをひと目見ていれば、今回の問題は防げたのではないか。
高血圧薬など臨床研究をめぐる不正発覚に引き続き、基礎研究でも失態が明るみに出た。
研究の質を確かなものにする取り組みが急務である。
この記事に関するニュース
理研改革委、組織改革の提言は先送り STAP論文問題(4/14)
理研改革委、あす会合 STAP論文問題(4/9)
理研再発防止策、外部委で月内に STAP論文問題(4/3)
EDITORIAL/社説―STAP論文(4/2)
細胞有無「ゼロから検証」 STAP論文、画像捏造と認定 理研調査報告(4/2)
小保方氏、理研と徹底抗戦 論文不正、顔色変え「不服」(4/1)
小保方氏の捏造・改ざん認定 STAP細胞論文で理研(4/1)
理研CDBも管理を検証へ STAP論文問題(3/18)
【コピーを掲載】② 朝日新聞デジタル 2014年04月15日
小保方晴子氏へ...「ボストンに戻っておいで」バカンティ教授が呼びかけ
バカンティ教授「小保方氏、ボストンに戻っておいで」
STAP細胞論文の主要著者である米ハーバード大のチャールズ・バカンティ教授が来日し、15日に京都市内で開かれている国際会議で講演したことがわかった。出席者によると、論文について「すでに画像の取り違えの訂正がなされており、結論には影響を与えない。STAP細胞は必ず存在する」と述べたという。
バカンティ教授は理化学研究所の小保方(おぼかた)晴子ユニットリーダーの米留学時代の指導教官。論文への疑惑が指摘されて以降、直接の取材に応じておらず、国内で発言するのは初めて。この日は「世界気管支学会議・世界気管食道科学会議」に出席し、「再生医療と幹細胞」というテーマで講演した。会場は報道陣の入場が規制され、警備員が出入り口を固める異例の厳戒態勢が敷かれた。
出席者の男性によると、バカンティ教授はスライドを使って講演。論文が不正と認定されたことについて、小保方氏の単純ミスだと主張。ホテルでパスワードキーを3回打ち間違えて入れなくなり、無理に頼んで入れてもらった、という例をあげ、同様のミスだと話したという。また、小保方氏に対し、「(大学のある)ボストンに戻っておいで」と呼びかけたという。
【コピーを掲載】③ 現代ビジネス ニュースの深層 2014年04月05日(土) 井上 久男
小保方晴子氏を「犠牲者」にした独立行政法人・理研の組織的欠陥
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/38874
……ノーベル賞受賞者の野依良治理化学研究所理事長。独法化して理研が
成果主義に陥ったことが「小保方問題」の背景にあるという……
◆ 「小保方問題」は起こるべくして起きた
同時に小保方氏の処分も検討するという。論文の共著者である笹井芳樹氏(理研発生・再生総合研究センター副センター長)と若山照彦氏(山梨大学教授)については、研究不正は認められなかったとした。
理研の対応を見ていると、小保方氏個人の「不正」として片付けようとしているように映る。果たしてこの問題は、有識者らが指摘しているように小保方氏の研究者としての「倫理観の欠如」から発生したのだろうか、あるいは小保方氏の研究手法を早計に「不正」と断じていいのだろうか、といった疑念がわいてくる。
筆者も文系ながら、かつて大学院の博士後期課程で学んで学位論文(ベンチャー論)を書こうと試みていた時期があり、国立大学法人でも2年間特任講師を経験した。期間は短いとはいえ、アカデミックな分野での経験は多少ある。こうした経験も踏まえて、今回の問題を考えてみたい。
そこで筆者は、理研のベテラン研究者に、なぜ、この問題が起きたのかを聞いてみた。匿名を条件に率直に語ってくれたところからは、予想通り、理研という組織や日本の科学技術政策の「欠陥」などが浮かび上がってきた。
その研究者によると、「小保方問題」は起こるべくして起き、小保方氏は理研という組織の「犠牲者」といった側面がある。
◆ 独法化で理研は変貌してしまった
まず、理研が独立行政法人化されたその弊害も、「小保方問題」の背景にあるようだ。独法化とは、その名の通り、法人=会社になることである。
税金など公的資金で運営されるのではなく、資金調達や組織マネジメントの手法を企業化することで、かつては行政が担っていた分野を民間的に効率重視の運営に変えていくために、「橋本行革」の際に導入された制度だ。そこで働く職員も一部の特定独立行政法人を除いて公務員扱いではなくなる。
税金など公的資金を使ってしかも不効率な運営をする官業から民間的経営に移行していくその発想は肯定的にとらえてもいいだろう。しかし、理研のような組織が独法に向いているのかという点は考えなければならない。
独法化によって理研は、目標を掲げたり、成果を性急に求めたりする組織に変貌した。企業が成果を求めるのと同じ考えである。この結果、「競争的資金」などと呼ばれる補助金が得やすいライフサイエンスなどの限られたテーマに偏る傾向になったという。
理研に限らず、大学や研究機関では研究資金などお金を獲得しやすい研究に傾く風潮が強まっている。分かりやすいジャンルで言うと、バイオ、ナノテク、再生医療、福祉関連などの分野である。大学でも看板だけ変えて、農学部を「バイオ」と付く名称の学部に変更しているのも世間受けを狙ってであろう。
この結果、科学技術バブルと言われほど研究資金が潤沢にあるなかで、研究が特定の分野に偏りつつあるのが実情だ。そもそも優れた研究や革命的な発明は誰もが目を向ける場所からは生まれない。福沢諭吉の言葉にあるように「異端妄説」なのである。
最初は誰もが見向きもしなかったことや、あるいは権威からは否定されていたようことからは新しいものは生まれる。だから、本当のイノベーションも、補助金が得やすいテーマからは生まれにくいだろう。
◆ 「天下り官僚がおかしな方向に導いている」
そして理研では成果を出して補助金を求めていこうと、「チームリーダー」「グループリーダー」「準主任研究員」「独立主幹」「上席研究員」など様々な役職ができて組織が複雑になった。
小保方さんの「ユニットリーダー」という役職は大学ならば教授相当に当たるという。そのベテラン研究者は「部下も付き、30歳そこそこの経験のない若い研究者にとっては荷が重い役職ではないか」と指摘する。
独法化と同時に役員に相当する理事に旧科学技術庁(現文部科学省)からの天下りも行なわれるようになった。現在、理事長以下6人の理事のうち2人が旧科学技術庁出身者だ。
「理事長の野依氏にはマネジメント能力がない。2人の天下り官僚に牛耳られて、研究の現場を知らないこうした人たちが早く成果を出せと言って、理研をおかしな方向に導いている。一般論として霞が関のキャリア官僚の中で旧科学技術庁と旧文部省は能力の低い役人が多い」(前出ベテラン研究者)。
成果を性急に求めると同時にその成果を対外的に公表していこうと、広報機能も強化された。公的資金も入った研究成果を世に知らしめることは悪いことではないが、実力もないのに所属する研究者を売り出そうとしたり、研究成果をマスコミ記事に掲載させたりする動きも強まっていたという。
この問題が発覚する前に、小保方氏が割烹着を着てテレビで取り上げられたりしていたが、これも世間受けを狙った「過剰演出」と言えるのではないか。
そして、研究手法の一部に問題があることが指摘され始めると、梯子を外したように組織風土の問題には頬被りして、小保方氏個人の問題として片付けようとしている姿が垣間見える。
企業の不祥事の際にも個人の責任として押し付ける、よくあるパターンだが、理研は民間企業の悪いところだけを真似しているのではないか。
理研の組織について言うと、1917(大正6)年にできた理研は、組織に縛られず、成果にも縛られず、科学者が自由にのびのびと研究できる組織として台頭してきた。組織もシンプルで、基本的には主任研究員と研究員という肩書しかなく、研究者の自由なアイデアと良心に任せた研究がなされていた。
ノーベル賞を獲得した研究者の中には理研出身者も多いが、その一人、物理学賞を取った朝永振一郎氏は「科学者の自由な楽園」というエッセーも書いている(3月21日付日本経済新聞)。
ただ、優れた研究だけでは飯は食えないため、研究成果を商品化するために別会社を設立、食品や部品などを売った。「リケン」という自動車部品メーカーがあるのもその流れだ。
世界的な研究や発明は、目標を定めたり、成果を性急に求めたりして誕生するものではない。
科学者がよく「セレンディピティー(偶然の発見)」という言葉を使うように、試行錯誤をしている中で、ある時突然、発見されるものもある。自由闊達な組織の中で、専門の壁を超えて語り合ったり、仕事をしたりする風土の中から生まれる。
しかし、今の理研からはそうした風土はほとんど消え失せ、成果ばかりを先に求める風潮が強まっている。
◆ 未熟な研究者いじめ
そもそも小保方氏らの「STAP細胞」についての成果を記者会見して一般社会に知らしめる前に理研は、この研究は大丈夫かと健全に疑い、小保方氏に確認したのだろうか。
小保方氏は「論文の撤回はしない。悪意のない間違いなのに、改ざんや捏造と決めつけられたことにはとても承服できません」(4月2日付朝日新聞)などと反論し、弁護士を立てて理研の決定に不服を申し立てる方針を示している。
ところが理研は当初、小保方氏は論文の撤回に同意したと説明していた。重要な問題なのに、この説明の食い違いは何を意味するのか。理研という組織のマネジメントに何か齟齬をきたしていると見るべきではないだろうか。
また、早稲田大学大学院時代の小保方氏の論文に対する「疑念」までも報じられているが、これも、今回の問題に端を発した「小保方いじめ」ではないかと感じる。
メディア中心に社会全体が最初はあれほど持ち上げておきながら、今になって小保方氏の研究全体や人間性までもこき下ろしている。30歳そこそこの未熟な研究者へのいじめとしか見えないし、人権侵害に当たるのではないか。
そもそも日本では博士号を取得するために、博士後期課程の約3年間に3本程度の「査読論文(指導教官以外の外部の研究者による判定付き論文)」を書かなければならない。そして、その査読論文をまとめる形で学位論文として提出するのが一般的だ。ある著名な大学教授はこう指摘する。
「短期間で実験も重ねて論文を大量に書かないといけない中で、博士論文程度であれば、ある程度コピペしているのは仕方ない。そもそも学位論文は学んだことを書くべきもので、そういう意味からも先達の研究を学んでコピーすることを否定してはいけない。学位論文でコピペを否定していたら、多くの学生は学位が取れない。
新しい発見は研究を重ねていく中で見つかるものであり、学位論文など『研究者の卵』の評価は、着眼点やこれから研究者としてやっていけるかといった資質など人間性の方が大切」
筆者もそう思う。そもそも小保方氏の博士論文や今回の雑誌ネイチャーに掲載された論文を過大評価してはいけなかったのではないか。
筆者であれば、率直に言って、30歳そこそこの大学院出たばかりの研究者がノーベル賞級の研究成果が出せるものかと疑う。これは若さを否定したり、若いということだけで疑ったりしているわけではない。
◆ 正確な「STAP細胞」再現はそもそも難しい
専門外だが、筆者は小保方氏の研究の着眼点が間違っているとは思わないし、資質がないとも思わない。小保方氏本人が「悪意のない間違い」と言っているように、単純ミスのように見える。
もし博士論文にも問題があるのだとすれば、それは査読した外部の研究者や小保方氏の指導教官にもそれを通した責任があるのではないか。また、ネイチャーの論文は査読ではなく、編集者の判断で載せられるのものだが、載せると判断した編集者の責任もあるのではないか。
さらに、この「STAP細胞」について、理研が1年がかりで再現していくという。これも馬鹿げていると思う。論文の実験段階のデータなどは正確には再現はできないと考えられている。
単純に考えても、材料や機材や環境条件などを100%再現して同じ実験をすることは不可能であり、ネイチャー誌自身が「がん研究に関する論文の実験の89%が再現不可能」などとする記事を掲載しているのだ。
最初の実験で見つかったデータや新しい発見をベースに、様々な条件を加味して研究と実験を重ねて、そのデータや発見に普遍的な理論があるのか否かを追求していくことの方が重要なのではないか。
◆ 「身内の論理」「学会の権威」
この「小保方問題」からは少しそれるかもしれないが、最後に査読論文制度の課題にも少し触れておく。
査読論文とは、レフリーと呼ばれる査読者がその中身を判定するものだが、その判定者は覆面ながら、同じ学会の学者であるケースが大半だ。ある意味で「身内」なのである。
たとえば、経済学系の査読論文で査読を通過しようと思えば、「社会学系の論文の引用はするな」といった指導が行われるケースもある。その理由は、経済学者である査読者が社会学系の論文を知らないこともあるからだ。
馬鹿げた指導のようにも見えるが、査読を通そうと思えば、「身内の理論」が優先され、その「身内の理論」の中で処世術にたけた人物が論文に「合格点」が与えられて研究者の職を得て、学会の重鎮となっていくシステムである。
いくら着眼点が優れていようが、ユニークな研究手法であろうが、「身内の論理」にはまってなければ、評価は得にくい。はっきり言ってしまえば、大した研究もしていないのに、学会の権威に気に入られれば、学会にすがって生き延びていけるのである。
だから本当に優れた研究者の中には、査読論文を辞めて、学会に投稿前に論文をホームページなどにさらして、学会以外の外部専門家の評価を得るべきとの声も出始めている。最先端のライフサイエンスでも、バイオやナノテクや様々な研究や学問が融合しているやに聞く。狭い学会内の判断だけで適切かつ正当な判断ができているのだろうかと思う。
この「小保方問題」の根底にある本質的な問題は何か。「科学技術立国」を目指す国だからこそ、政治も学者もメディアも真剣に考える必要がある。
04 19 (土) 尚朴
尚
朴
――剛毅朴訥、仁に近し。(剛毅朴訥近仁。)(「論語」子路篇)――
すなわち、「剛毅で飾らぬ人間は、(誠実なのだから)完成した徳をそなえたものに近い」とも言っている。利己的な打算がなければ《飾る》必要がないのだから、当然《朴訥》になるであろうし、みずから正しいと信ずるものの前には、その生命さえ惜しまぬなら、当然《剛毅》になるであろう。
この尚朴は新宅の原さき子小母さんが弟・墨山さんの色紙にして贈ってくれた大事な言葉です。
04 19 (土) 漂う日米
(漂う日米:上)2014年4月18日
中ロ接近、G7に温度差
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11090530.html?ref=reca
3月24日にオランダ・ハーグで開かれた主要7カ国(G7)の首脳会議。ウクライナ南部・クリミア半島の併合を宣言したロシアを主要8カ国(G8)から外し、G7でロシアにどう対抗するかを初めて話し合った会議で、議論の的になった国がもう1カ国あった。中国だった。
「中国は沈黙を守っているが、ロシアが『中国国民に感謝する』と言ったことをよく見なくてはいけない」。円卓を囲んだ他の6カ国の首脳に向かい、日本の首相、安倍晋三が切り出した。「ロシアを押しやって中国とロシアが連携すれば、アジアに激震が走る」
安倍の懸念は、ロシアと結び、より強大となる中国だ。ロシアをG8につなぎとめなければ、尖閣諸島の問題などで対立する中国との緊張がさらに高まる。
安倍は就任以来、中国に対抗する目的もあって、ロシアと意識的に接近してきた。しかし、北方領土問題を抱え、もとよりロシアとの関係は良好ではない。もし中ロ両国と関係が悪化し、「二正面」の対応を迫られれば、日本外交にとって悪夢のシナリオだ。
別の視点から中ロの接近を警戒した首脳がいた。ドイツ首相のメルケルだ。
日本政府関係者によると、安倍の隣に座っていたメルケルは、安倍の発言の直後、ただちに同調した。「中国は中立どころかロシアについている」
ドイツは天然ガスの3割以上をロシアに頼る。経済の結びつきが強いうえ、「生命線」も握られている。中国と組んだロシアの影響力が大きくなりすぎることは、ドイツも避けたい。
日独という米国の有力な同盟国が強く危機を訴えたのに対し、米国大統領のオバマの歯切れは悪かった。「中国の要素については自分も考えている」
オバマの念頭にあるのは中国の経済と軍事力だ。米国内の失業率はいまだに7%近く、就任以来の公約の経済回復は達成していない。中国の軍事力の増大に対抗しつつ、世界第2の経済大国となった中国を取り込み、経済・安保両面でアジアで主導権を握る。それがオバマの基本的な戦略だ。そのオバマには、中国を無用に刺激したくはない、という意識が働く。
しかし、力の低下した米国が、本当に同盟国を守ってくれるのか。そんな不信感が、ロシアによるクリミア併合を経験した欧州に端を発し、アジアをも覆い始めている。(円満亮太、ワシントン=大島隆)
(2面に続く)
(1面から続く)
(漂う日米)陰る米、揺らぐ秩序 動く中ロ、同盟国は危機感
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11090475.html
ロシアのクリミア半島併合の動きに、米国に最も近い同盟国の間にも動揺が広がっている。
「ウクライナで起きていることを見てみるがいい。残念なことに、米国は弱さを行動で表している。自分たち以外は誰も頼れない」
3月17日。イスラエルの国防相ヤアロンは、テルアビブ大学の講演で訴えた。
ロシアは、イスラエルと対立するイランやシリアを支援する「敵」だ。そのロシアの後手に回った米国に不満を爆発させたのだ。
ウクライナは1994年に米英とロシアが署名した文書「ブダペスト覚書」で、核放棄と引き換えに、独立や領土保全の保証を得たはずだった。しかし、ロシアはその約束を力で破り、米国は対抗できない。
クリミア併合後、日本の外務・防衛当局者からも「尖閣諸島が攻められたら、米国は日本のために戦ってくれるのか」との不安の声が聞かれる。
アフガニスタン、イラクの「二つの戦争」に疲れ、軍事力行使にためらいを見せる米国。その足元を中国も見逃さない。ロシアのクリミア併合後、したたかに出方を探る。
「アジアの安全はアジアの国々で解決できる。そのことを世界に向けて発信したい」。中国外相の王毅は4月15日、訪中したロシア外相のラブロフとの共同会見で強調した。
両外相はロシア大統領プーチンが来月訪中して上海で開く「アジア信頼醸成措置会議」を「最優先事項」と位置づけ、会議で「アジアの新しい安全保障観を打ち立てる」とぶちあげた。米国抜きの安全保障体制をアジアで築く、という「宣言」だ。
中国は空母の建造やミサイル開発を着々と進め、アジアの米軍に対抗する。人民解放軍の中枢幹部に近い関係者は「米国の影響力の低下を見て、人民解放軍内には5~10年のうちに米軍と肩を並べる戦力が整う、という意見が出始めた」と話す。
一方、米国も、欧州の危機がアジアに波及することを強く警戒している。
「中国がロシアのクリミア併合と国際社会の反応を注視していることは間違いない」。国務省で対アジア外交を仕切る国務次官補ラッセルは4月3日の議会で、こう証言した。
4月6日に日本の防衛相、小野寺五典と会談した米国防長官ヘーゲルは会見で訴えた。「中国には近隣諸国を尊重するよう呼びかける。力を背景とした行動は非常に危険極まりない。まさに欧州で、ロシアがウクライナにしたことだ」
この発言に、中国も黙っていなかった。
「あなたの日本での発言に、中国人民は不満を抱いている」。日本の直後に中国を訪問したヘーゲルに、党中央軍事委員会副主席の范長竜ら中国軍指導部は厳しい批判を浴びせた。
中国は東シナ海で日本、南シナ海ではフィリピン、ともに領有権で対立を抱える海域に頻繁に巡視船などを派遣する。オバマは、その日比両国を訪問するが、両国が求めるのは中国への強い態度だ。しかし米国は経済で中国と協力を深める必要もある。難しい問いに、オバマは歴訪でどう答えを出すのか。アジア中の同盟国が注視している。(林望=北京、小野甲太郎)
◆ 米中、アジアで主導権争い
米国の「力の低下」への懸念がアジアで広がる中で、同盟国からの信頼を取り戻すとともに、米国はアジアに軸足を置くと訴える。オバマは今回の歴訪にそんな狙いを込める。その指針となるアジア重視戦略「リバランス(再均衡)」を、安全保障と経済の両面で進める考えだ。
ストックホルム国際平和研究所が14日に発表した各国の軍事費比較では、米国は1位の6400億ドル(約65兆2800億円)。2位の中国の3倍以上になるが、米国の削減傾向と中国の増大で差は縮まりつつある。米軍全体の規模縮小で揺らぐ軍事力での優位性を補うため、アジアで「礎」となる日米同盟の強化を打ち出し、同盟国の韓国、フィリピンを訪れる。
「アジア重視は言葉だけ」という国内外の批判を跳ね返すため、米国自身の戦略も、目に見える形で示そうとする。
オーストラリアへの海兵隊駐留といった従来の取り組みに加え、今回の歴訪では、フィリピンを再び事実上の軍事拠点とする協定を、首脳間で結ぶことを目指している。
「米国は太平洋国家だ」と唱えるオバマは、21世紀の世界経済を牽引(けんいん)するアジアの成長も見据える。
米国の輸出額に占めるアジア向けの割合は3割を超え、約2割に下がった欧州向けをしのぐ。金融危機後の5年間でアジア向け輸出は3割以上伸びている。高い成長が見込めるアジアから取り残されたくない、という米国側の思いは強い。
そこでカギを握るのが、TPP(環太平洋経済連携協定)だ。
「欧州とアジア太平洋の新たな協定で雇用の増大を促す」。オバマは今年1月の一般教書演説で、輸出拡大によって米国で雇用を創出する経済的な枠組みとして、TPPが重要であることを訴えた。
今のオバマ政権にとって、最大の課題の一つは雇用の増大だ。11月の中間選挙では、安定した雇用を生み出すことを含む「中間層の底上げ」がテーマの一つになりつつある。
さらに、米国にとってTPPは、アジアに強固な足がかりを作る戦略的な意味も持つ。
視線の先には中国がある。世界第2の経済大国の将来的な加入も視野に入れつつも、知的財産や投資などで高い水準のルールを米国主導で先に作っておきたいという思惑が透ける。
一方の中国も、米国主導のルール作りに手をこまねいているわけではない。TPPに関心を示しつつ、東南アジア諸国連合(ASEAN)や日韓などと、「東アジア地域包括的経済連携(RCEP)」も進めようと力を入れる。
アジアは、新たな経済の枠組みづくりを巡っても、大国がぶつかり合う舞台になっている。(ワシントン=五十嵐大介、奥寺淳)
◇ロシアのクリミア併合宣言で、米国の力の低下があらわになり、世界の秩序が大きく揺らぎ始めた。アジアでは中国が米国に対抗する動きを見せる。一方、日米はこうした動きに対処する新たな関係を構築しきれないでいる。オバマ米大統領の23日から25日の訪日を前に、動く世界と、その中で漂う日米関係を報告する。
(漂う日米:下)2014年4月19日
TPP交渉、靖国の負い目
http://www.asahi.com/shimen/20140419/index_tokyo_list.html
会談を求めたのは米国大統領オバマの方だった。
3月25日夜、オランダ・ハーグの米大使公邸。オバマが仲介して実現した日米韓首脳会談の後、日本の首相、安倍晋三とオバマが部屋に残った。同席者は通訳のみ。オバマが話したかったのは環太平洋経済連携協定(TPP)だった。
「国内外の目は今回の訪日をTPPの成否で評価する。そこはわかってくれ」
ふだんは冷静なオバマが強い調子で日本の妥協を迫った。安倍はその場で日本の立場を即答せず、深入りを避けた。安倍は次の予定を理由に、わずか10分で会談を打ち切った。
安倍がオバマに即答できなかったのは、米側が求める牛・豚肉などの農産物「重要5項目」の関税撤廃に対し、自民党の反発が強いからだ。しかし、オバマの言葉は安倍にしっかりと刻み込まれていた。
安倍が帰国後、首相官邸の高官から自民党執行部に「TPPで党をまとめてくれ」と指示が出た。重要5項目の関税をめぐって日米の開きは大きく、両国の交渉当事者さえ「合意は絶望的」と語っていたのが、オバマ・安倍会談以来、急速に動き始めた。
昨年4月、衆参農林水産委員会は重要5項目は「段階的な関税撤廃も認めない」と決議。そのため安倍も米国との交渉で慎重な姿勢をとり続けてきた。
しかし、安倍には負い目があった。昨年末の自身の靖国神社参拝だ。冷え込んでいた日韓関係はさらに悪化。日米韓連携を重視するオバマ政権がアジア外交の「礎石」と位置づける日本が、逆に米国の「リスク」になってしまった。
だから米国は「失望」を表明した。糸口が見えなかった韓国との関係改善もオバマが取り持った。その日米韓首脳会談が実現した当日にオバマから出されたTPPの要求は、安倍にとって重い意味を持った。
日米はぎりぎりの交渉を続ける。TPP担当相の甘利明は16日、ワシントンに飛び、米通商代表部代表のフロマンと交渉した。しかし、17、18日と続いた交渉でも、フロマンは強硬姿勢を崩さないまま。「まだ相当、距離はある」。そう記者団に語る甘利の顔には疲労の色が浮かんだ。
安倍が18日に大阪府門真市で、オバマ訪日への期待を問われてあげたのも、やはりTPPだった。「TPPを始めとする経済において日米のきずなを強くしていきたい」=敬称略(円満亮太、ワシントン=藤田知也)
(2面に続く)
(1面から続く) (漂う日米)
有事の不安、首相譲歩 きしむ首脳間、修復に必死
靖国神社参拝で悪化した日米関係の修復のため、安倍晋三がオバマに大きく譲歩したのが、従軍慰安婦をめぐる河野談話だった。
3月14日の参院予算委員会。安倍は河野談話について「安倍内閣で見直すことは考えていない」と明言した。この答弁は、米側の強い要請に応えたものだった。安倍は事前に、自らの口で米政府高官に河野談話を見直さない方針を説明。安倍の考えはオバマにも伝えられた。日米韓は安倍の発言で、首脳会談に向けて大きく前進した。
安倍はもともと河野談話には否定的だ。第1次内閣では、軍や官憲による強制連行を直接示すような記述はなかった、とする政府答弁書を閣議決定。2012年9月の自民党総裁選でも河野談話を見直す考えに言及している。
オバマ政権は安倍のこうした姿勢を当初から警戒してきた。従軍慰安婦問題で、ともに米国の同盟国である日韓がこじれれば、軍事的に台頭する中国、核・ミサイル開発を進める北朝鮮につけいるスキを与える。米国の描くアジア外交は日米韓の強固な関係が大前提。安倍の靖国参拝で米国が「失望」を表明したのも、そうした米国の基本戦略を安倍が狂わせた、と見たからだ。
日米の良好な関係を取り戻すため、安倍は訪日するオバマの「国賓待遇」にもこだわった。米側は当初、日本滞在は1泊としていた。しかし、国賓にするには天皇陛下との会見や宮中晩餐(ばんさん)会などの行事への参加などで、通常2泊は必要だ。
なんとかオバマの滞在を2泊にしたい――。安倍政権は「天皇陛下のお心遣い」を持ち出した。東日本大震災での「トモダチ作戦」など米国の支援に、「天皇陛下ご自身が、大統領に国賓としてのおもてなしで応えたい」と外交ルートで米側に伝達。オバマ側はぎりぎり「2泊」になる日程に変えた。
安倍とオバマの関係は、いまも「うまくいっていない。あまり話せていないようだ」(首相周辺)。
それでも安倍が妥協を重ね、オバマとの関係の修復を目指すのは、それだけ米国抜きでは日本の安全保障が考えられないからだ。
中国は尖閣諸島沖の日本の領海に公船を侵入させ、尖閣を含む上空を自国の防空識別圏に設定するなど、日中は一触即発の状況すらはらむ。圧倒的な軍事力を持つ米国に「にらみ」をきかせてもらわないと、中国はどんな挑発をしてくるかわからない。北朝鮮は、日米韓首脳会談の最中に中距離弾道ミサイル「ノドン」を発射した。日本全体が射程に入るミサイルだ。こうした状況を考えれば「今のところ日本が生きる道は米国に頼るしかない」(日本政府高官)のが現実だ。
米側にはそんな日本の足元を見る空気も漂う。日米関係に詳しいワシントンの識者は「オバマ政権は、米国による尖閣防衛とTPP交渉を結びつけ、TPPで譲歩を引き出す考えかもしれない」と話す。
◆ 傘への疑念 自立志向生む
一方、安倍は米国との同盟は日本の安全を守る上で欠かせないと認めつつ、米国依存からの自立志向を時にちらつかせる。
日本は米国をどこまで頼るのか――安倍政権内部で、激しい議論が交わされたことがある。
政権発足間もない昨年春、安倍は執務室に外務省幹部らを招き、日本が第三国から攻撃を受けたときに、米国がどの段階で報復措置をとるかを議論した。
「日本を助けなかったら米国の世界に対する信用は失墜する」。ある外務省幹部はこう語り、日本が少しでも攻撃を受ければ、米国は即座に対応してくれる、と強調した。だが、安倍の反応は違った。幹部に「本当にそうか」と問いかけて、こう続けた。「東京が攻撃を受ければ報復するかもしれないが、そうでなければ米国は迷うだろう」
軍事介入に及び腰な米国が、果たして尖閣諸島の防衛に無条件で手を貸すだろうか、との疑問は政権内にも広がっている。有事の際の日米の具体的な共同作戦の用意がないまま日米同盟だけに頼っていられない、という危機感だ。
4月5日に来日した米国防長官ヘーゲルは、尖閣諸島を念頭に、日中で軍事的な危機が高まれば、日米安保条約に基づく「防衛義務を果たす」と明言した。
しかし、オバマはこれまで、尖閣諸島の防衛義務に直接言及したことはない。今回の会談で、オバマの口からどのような言葉が語られるのか。日本側は息をのんで見守っている。
「世界の警察」を任じてきた米国も財政の悪化で軍事予算の削減を迫られている。相対的な軍事力が弱まることが威信の低下を招き、米国の存在感が薄らいだ世界の秩序は大きく揺らぎ始めている。
日本の歴代政権は基本的に米国の方針に従うことを日本の「外交方針」としてきたが、安倍政権では「果たして米国だけに頼っていて、日本は生きていけるのか」という疑問が政府高官らに広がりつつある。
それが安倍政権の「独自外交」の形で姿を見せ始めている。その象徴が、昨年のシリア問題への対応だ。
米国は昨夏、化学兵器使用に対する懲罰として同盟国とともにシリアへの軍事介入を検討。オバマは安倍に直接会い、米国への支持を求めたが、安倍は「大統領の考えは十分理解している」と述べるにとどめ、会談では最後まで支持を表明しなかった。
ロシアのクリミア併合宣言への対応でも、日米の温度差が際だった。ロシアを激しく非難するオバマに対し、北方領土問題の解決を重視する安倍はロシア大統領プーチンへの批判を避けた。日本のロシアに対する制裁も米欧に比べて軽いものにとどめた。
それでも、安倍は欧米に足並みをそろえざるを得ない。3月下旬のオランダ・ハーグでのG7首脳会合では、6月に予定されていたロシア・ソチでのG8サミットはボイコットすることに同調。今月17日には、かねて調整してきた外相、岸田文雄の4月末の訪ロの延期を決めた。
中国や北朝鮮の「脅威」から日本を守るためには、アジア・太平洋地域で圧倒的な軍事力を持つ米国との強固な結びつきは維持しなくてはいけない。しかし、世界唯一の超大国だった米国の威信が揺らぎ、世界秩序が混乱する時に、とにかく米国についていけば日本の国益が守られるほど、世界の情勢は甘くはない。
アジア歴訪で存在感が問われるオバマとともに、安倍の立ち位置もまた、揺れている。(小野甲太郎、ワシントン=大島隆、五十嵐大介)
04 21 (月) 活躍する日本のオチビちゃん
日本の体操、100m、ソチオリンピックの女子ジャンプ、女子ゴルフ最年少優勝、……など、オチビちゃんの活躍がお年寄りに温かみをもたらしてくれています。 テレビ番組のニュースは別として、多くの番組の低俗化は気品のない大衆化に堕してきました。 こうした中で、オチビちゃんがもたらしてくれる高質なニュースは、全国の人々に感動とそれに‘やればできる’というエネルギーの魂を提供してくれます。
朝日新聞 2014年4月21日
15歳アマ、勝みなみV 女子ゴルフ最年少
熊本県菊陽町の熊本空港カントリークラブで20日にあった女子プロゴルフのKKT杯バンテリンレディス最終ラウンドで、15歳9カ月のアマチュア、勝(かつ)みなみ(鹿児島高1年)が通算11アンダーで優勝し、日本女子プロツアーの最年少優勝記録を打ち立てた。従来の記録は2012年のサントリーレディスを制した金孝周(韓)の16歳10カ月。▼2面=「ひと」、15面=強気のパット
勝はこの日、首位と1打差の2位タイでスタートし、10、11番で連続バーディーを奪うなど四つスコアを伸ばし快勝した。アマチュアが日本女子プロツアーで優勝するのは4人目。「信じられない。優勝できるなんて思わなかったので、本当にうれしい」と笑った。
男子の最年少優勝記録は07年5月のマンシングウェアKSBカップを制した石川遼の15歳8カ月。
2面=「ひと」 2014年4月21日
勝みなみさん 日本女子ゴルフツアーで最年少優勝した
野球漫画「タッチ」のヒロイン「浅倉南(あさくらみなみ)」にちなんで名付けられた少女が、ゴルフで輝いた。日本女子プロツアー史上最年少の15歳9カ月で優勝した。「うまくいきすぎ。自分じゃないみたい」
競技を始めたのは6歳から。「老後の楽しみに付き合わせよう」とした祖父にゴルフ場へ連れられたのがきっかけだった。決まったコーチはおらず、自分でメニューを考え、鹿児島市の自宅近くの練習場でボールを打つ。身長157センチとゴルファーとしては小柄だが、ドライバーの飛距離は250ヤード前後。体全体を使ったスイングでプロに交じっても上位に入る距離をたたき出す。
負けず嫌いの性格もゴルフ向き。4歳の時、鉄棒の逆上がりができず、両手の皮がむけても練習をやめなかった。家族とトランプをしても負ければ泣いた。母の久美さん(47)は「何でも勝てないと悔しがる子」。
強豪高から誘いもあったが、応援してくれる人が地元に多く、練習環境に慣れているからと、ゴルフ部はないが、自転車で通える距離の私立鹿児島高に進んだ。日本ゴルフ協会のナショナルチームの一員で、海外遠征のため入学式に出られず、まだ1日しか登校していない。「緊張しちゃう。友達、できるかな」。コースでの堂々とした姿から一転、15歳らしい顔をのぞかせた。(文・松沢憲司 写真・日刊スポーツ)
15面=強気のパット 2014年4月21日
勝、強気のパット貫いた 最年少V ゴルフ・KKT杯バンテリンレディス
15歳9カ月(293日)のツアー最年少優勝を果たした勝(かつ)みなみ(鹿児島高)は5バーディー、1ボギーで回り、通算205の11アンダー。大会記録を2打更新する見事な勝利だった。勝がアマチュアのため、10アンダーの2位でプロ最上位になったイ・ボミ(韓)が優勝賞金相当の1800万円を獲得した。首位で出た福田真未はスコアを三つ落として6位。昨年の賞金女王、森田理香子は3オーバーの28位に終わった。▼1面参照
◆ 「自分を信じて」 3日で74、最少タイ(スコアカード)
「初めて優勝を意識した」という18番パー5の5打目。勝はわずかに下る2メートルのパーパットを、強めに打って沈めた。体全体を弾ませるようにしてガッツポーズした。「まさか優勝できるなんて思っていなかった。うれしい」
初日から貫いたのは、強気のパットだった。雨で重くなったこの日のグリーンでも、臆することなくチャレンジした。6番パー4は9メートルを沈めバーディーを奪った。15番パー4も、カラーからの3打目をパットで打ち、15メートルの上りラインを読んでカップに寄せてパー。直前にボギーをたたいた悪い流れを断ち切った。18番、しびれるような締めくくりも乗り越えた。3日間の総パット数「74」は、今大会最少タイの数字だった。
ラインを外せば大きくオーバーする危険をはらむが、「そっと打ってショートしていたら、何も入らない。自分を信じて打つだけだった」と勝。小林浩美・日本女子プロゴルフ協会(LPGA)会長も「入れるんだという強い気持ちがあった。それがぶれなかったのが、すごい」と賛辞を惜しまなかった。
2012年のTポイントレディスでプロツアーに初出場してから12戦目。日本女子ツアーの最年少優勝記録を打ち立て、日本勢では憧れの宮里藍以来、11年ぶりのアマ優勝を果たした。これまで以上に注目を集めることになるが、「プレッシャーを感じる性格じゃないですから」。前を向く挑戦者であり続ける。(松沢憲司)
▼ツアーの単年登録の申請が可能に 勝は今回の優勝で、21日から1年間、日本女子プロゴルフ協会(LPGA)のツアーに出場できる単年登録の申請が可能になった。締め切りは5月16日。勝は「まだ考えていない。プロは高校卒業後に挑戦できたら」と話すにとどめた。
<勝みなみ> 1998年7月1日生まれ、鹿児島県出身。6歳でゴルフを始め、12年の九州女子選手権で史上最年少の13歳10カ月で優勝。全国中学選手権春季大会も2連覇した。今年3月にはニュージーランドアマチュア選手権を制覇。これまで女子ツアーでは昨年4月のスタジオアリス女子オープンの12位が最高だった。157センチ、56キロ。
◆ 日本女子ツアーの年少優勝記録
(名前/年齢/大会、☆はアマ)
(1)☆勝みなみ/15歳9カ月/14年KKT杯バンテリンレディス
(2)☆金孝周(韓)/16歳10カ月/12年サントリーレディス
(3)☆宮里藍/18歳3カ月/03年ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン
(4)野村敏京/18歳5カ月/11年中京テレビ・ブリヂストンレディス
(5)ポーラ・クリーマー(米)/19歳0カ月/05年NEC軽井沢72