折々の記へ
折々の記 2014 ⑤
【心に浮かぶよしなしごと】

【 01 】04/27~     【 02 】05/03~     【 03 】05/07~
【 04 】05/12~     【 05 】05/16~     【 06 】05/26~
【 07 】06/03~     【 08 】06/04~     【 09 】06/07~

【 04 】05/12

  05 12 体にすむ細菌  
  05 14 生涯とは  
  05 15 路上の民主主義  社説
  05 16 集団的自衛権行使へ転換 首相、憲法解釈変更に意欲 基本的方向性を発表
      最後の歯止め、外すのか 集団的自衛権行使へ転換
      (天声人語)集団的自衛権と沖縄
      憲法の根幹骨抜きに 解釈、都合よく切り張り 集団的自衛権行使へ転換
      もつれた糸、引きちぎる暴走 集団的自衛権行使へ転換 石川健治・東大教授
      見えない外交戦略 中国への対抗鮮明 集団的自衛権行使へ転換 石川健治・東大教授
      中韓、募る不信 集団的自衛権行使へ転換
  

 05 12 (月) 体にすむ細菌

(科学の扉)毎週月曜日の番組 体にすむ細菌 健康守る働き、分かってきた
    http://digital.asahi.com/articles/DA3S11130126.html…解説図が出ている

 私たちの体には、約1千兆個の細菌がすむという。どんな種類の細菌が、どう働いているのか。最近の研究で、その全体像がわかってきた。細菌の宝庫である「便」を病気の治療に用いる試みも始まった。


◆いわゆる善玉菌のビフィズス菌や、悪玉菌の大腸菌――。ヒトと共生する「常在菌」と呼ばれる微生物は数百種類ある。赤ちゃんはおなかの中にいるときは無菌状態だが、産道を通るときに菌にさらされ、生まれた瞬間から多くの菌と接する。

 最も多くすむのが腸内で、顕微鏡で見ると細菌群が花畑のように見えることから「腸内フローラ(腸内細菌叢〈そう〉)」と呼ばれる。細菌たちは食物から栄養素を作るほか、感染症から身を守るなど、ヒトの健康や病気と大きく関係している。しかし、菌を1種類だけ取りだして増やすことは難しく、「細菌が果たす役割のメカニズムはよくわからなかった」と東京大の服部正平教授は話す

 それが、DNA配列を高速に解析する「次世代シーケンサー」の登場で大きく変わった。細菌を集団のまま、全遺伝情報(ゲノム)を解析する「メタゲノム解析」という方法が開発されたためだ。

 服部さんの研究チームは2007年、健康な日本人13人の腸内の細菌を解析し、離乳前の赤ちゃんと大人とでは菌種の組み合わせが大きく異なること、家族内でも組み合わせは必ずしも似ていないことなどを明らかにした。08年には日本や欧米、中国などが参加する国際組織「ヒトマイクロバイオーム計画」が設立され、情報をデータベース化する取り組みが始まった。
特集:マイクロバイオーム
細菌に満ちた私

 人はひとりぼっちでは生きていけない──。社会の相互扶助の話ではない。我々の体内にすむ膨大な数の細菌が,マイクロバイオームというまとまりをなし,ヒトの細胞とやり取りをしながら,私たちの身体の生理機能をコントロールしている。その持ちつ持たれつの様子は,究極のソーシャルネットと呼ぶにふさわしい。

 細菌の持つ遺伝子をひとまとめにして調べるメタゲノム解析という研究手法によって,ヒトのマイクロバイオームの正体が明らかにされようとしている。腸内細菌などの構成パターンは,人によって千差万別で,1人として同じものはない。細菌は我々と一体を成して個性を演出している。

 こうした体内の細菌の状態が,ヒトの健康にとどまらず,心や精神の状態にも影響を与えているらしいこともわかってきた。ヒトと細菌をトータルで捉えるマイクロバイオームの研究は,旧来の人間観を変えつつある。

◆3タイプに分類

 この取り組みで、腸内の細菌のどんなことがわかったのか。

 その一つが、ヒトの腸内の細菌の組み合わせは血液型のように、大きく三つに分類できるという「エンテロタイプ」説だ。

 日欧の研究チームは、腸内にすむ細菌のパターンをタイプ1~3に分類した。順番に「ルミノコッカス属」「バクテロイデス属」「プレボテラ属」の細菌が多く含まれる。日本人やスウェーデン人は8割以上がタイプ1、米国人や中国人は多くがタイプ2、中南米の人はタイプ3に属する人が多いなどの傾向がわかったという。

 欧州分子生物研究所のピア・ボーク博士は「なぜ3タイプに分かれるのかはわからない。ただ、タイプ別にかかりやすい病気に違いがあり、将来的にはタイプに基づき食生活などを変えることで、病気の予防につながるかもしれない」と説明する。

 服部さんらは、日本人100人を対象に腸内にいる細菌の組み合わせを調べた。すると、個人差は大きいにもかかわらず、細菌全体が果たしている働きはほぼ変わらないことがわかった。服部さんは「腸内の細菌は数百種類に上るが、進化の過程で、遺伝子の働きにより取捨選択されたものだけが残っているのだろう」と推測する。
エンテロタイプ
3タイプ

腸内に住む細菌のパターンとは、各自がもっている菌の種類によって血液型のように大きく3タイプに分けられる可能性があるといいます。
長年の食事の傾向などが3タイプに影響しているのではないかと考えられている。

 タイプ① 「ルミノコッカス属」中炭水化物・中脂肪・中蛋白質の食事傾向 ≒90%
                日本、スエーデンなど
 タイプ② 「バクテロイデス属」低炭水化物・高脂肪・高蛋白質の食事傾向 ≒70~90%
                米国、中国、デンマークなど
 タイプ③ 「プレボテラ属」  高炭水化物・低脂肪・低蛋白質の食事傾向 ≒90%
                中南米の一部の国

※長期的な食事パターンと腸内細菌エンテロタイプとの関連

【まとめ】
食事は腸内細菌叢の構成を調節することによって、ヒトの健康に影響する。このグループでは、食事リストと16S rDNAシークエンシングを用いて、98名の便のサンプルの特徴を検討した。その結果、BacteroidesとPrevotellaの量によって主に区別されるエンテロタイプに分類できた。このエンテロタイプは長期的な食事、特に蛋白と動物性脂肪(Bacteroides)と炭水化物(Prevotella)に強く関連していた。10名で食事を調節した検討を行ったところ、細菌叢は高脂肪/低線維または低脂肪/高線維食を開始して24時間以内に変化を認めたが、10日間の検討でエンテロタイプに変化は見られなかった。したがって、エンテロタイプは長期の食事に関連することが示された。

【論文内容】
最近、腸内細菌叢の特徴を主に3つのタイプ(Bacteroides, Prevotela, Ruminococcus)に分類する「エンテロタイプ」という考え方が提案されている。エンテロタイプの背景因子は不明で、少なくとも国籍、性別、年齢、BMIとは無関係である。このグループでは、98名の健康なボランティアに2種類の食事質問票(RecallとFFQ)を行い、さらに10名には入院させ管理された食事を摂取させた検討(CAFE)を行った。それぞれで便を採取し、16S ribosomal DNAシークエンシングにより細菌叢の特徴を調べた。その結果、脂質と正の相関を示し、線維と負の相関を示したのがBacteroidetesとAcinetobacteriaであり、逆はFirmicutesとProteobacteriaであった。エンテロタイプでは、脂肪が豊富な食事と相関したのはBacteroidesエンテロタイプであり、高炭水化物と相関したのはPrevotellaであった。

次に短期間の食事管理による細菌叢の変化の検討を行った。10名が10日間高脂肪/低線維または低脂肪/高線維食を割り当てられ、便のサンプルから細菌叢の変化を調べた。その結果、24時間以内に腸内細菌の構成に変化を認めたが、個人間の差(エンテロタイプ)には変化が認められなかった。長期的な食事はエンテロタイプと相関しているが、短期的な食事の変化はエンテロタイプを変化させるほどの影響は与えなかった。
ヨーロッパとブルキナファソ(アフリカ)の子供の腸内細菌叢を比較した最近の研究でも、西洋食を食べているヨーロッパの子供はBacteroidesエンテロタイプであり、アフリカの子供はPrevotellaエンテロタイプであることが示されている。


◆治療活用へ研究

 腸内細菌の知識が深まるなか、最も注目されているのが、病気との関係を解明する研究だ。

 食生活や感染症などで腸内細菌の構成が乱れると、腸の病気やアレルギー、メタボリック症候群など、様々な病気につながることが指摘されている。

 理化学研究所などのチームは昨年、免疫を抑制する細胞を活性化する17種類の腸内細菌を、世界で初めて特定した。この細菌をマウスの口から胃腸に注入すると、腸炎や下痢などを防げた。また、健康な人に比べ、炎症性腸疾患の患者の便には、これらの細菌が少なかった。

 理研チームは、細菌が病気から体を守る仕組みもあきらかにした。マウスを使った実験で、特定のビフィズス菌が糖を分解するときに酢酸をつくり、この酢酸が大腸粘膜を保護してO157に感染しても死に至るような悪化を防いでいた。

 理研統合生命医科学研究センター粘膜システム研究グループの大野博司ディレクターは「研究が進めば、健康な人、病気の人にそれぞれに特徴的な菌を特定することができるかもしれない」と話す。

 健康な人の腸内細菌を病気の人に移せば、症状が改善するのではないか。こんな発想による治療法が、健康な人の便を病気の人に移植する「便微生物移植」だ。細菌の宝庫である便に生理食塩水を加えて混ぜ合わせ、濾過(ろか)した液体を肛門(こうもん)から病人の腸内に入れる。

 昨年、偽膜性大腸炎患者の治療に「効果がある」という研究結果が医学誌に掲載された。従来の治療法より、はるかに高い効果が中間解析でわかり、研究が終了したほどだった。メタボや、不眠の患者らにも試みられている。どの細菌が有効かわかれば、薬の開発につながると期待される。(岡崎明子)


【単語解説】  <マイクロバイオーム> 微生物の集団。ヒトの場合、口腔(こうくう)や鼻腔(びくう)、胃、腸、皮膚、膣(ちつ)など全身に約1000兆個の常在菌がすんでいるとされ、ヒトの細胞(約60兆個)の10倍以上にも上る。常在菌の種類や個数などは、すんでいる部位により異なる。

 <遺伝子の解析> シーケンサーと呼ばれる装置を使い、DNAを断片にして、多数を同時に読み取り、つなぎ合わせて全体を解読する。ヒトにはDNAを構成する塩基対が約30億個あり、全遺伝情報が初めてわかった2003年当時は解読に13年かかったが、最近の機種は1日でできる。

 <便微生物移植> 糞便移植ともいう。欧米ではここ10年ほど、研究が進んでいる。欧州では規制はないが、米国では食品医薬品局が「便移植は未承認の新薬と同じ」として、臨床試験として実施するよう求めている。

 ◇「科学の扉」は毎週月曜日に掲載します。次回は「月は誰のもの?」の予定です。

(科学の扉)体にすむ細菌 健康守る働き、分かってきた(2014/05/12)
(科学の扉)超大型望遠鏡TMT 口径30メートルが追う「第二の地球」(2014/05/05)
(科学の扉)人に欠かせないリン 輸入頼み、安定的確保が課題(2014/04/28)
(科学の扉)見えた宇宙の始まり 産声?期待渦巻く原始重力波(2014/04/21)
(科学の扉)LEDでピカッと通信 宇宙へ海へ、広がる可能性(2014/04/07)
(科学の扉)細胞のリサイクル工場 不用たんぱく質、選んで分解(2014/03/31)
(科学の扉)経験は遺伝する? 異端の学説思わせる研究、次々(2014/03/24)
(科学の扉)ギニアワーム撲滅へ 感染者、世界で148人に減少(2014/03/17)
(科学の扉)災害の風化 被災後15年…薄れる教訓(2014/03/10)
(科学の扉)巨大地震、掘削で迫る 広い震源域、現場で裏付け(2014/03/03)
(科学の扉)生物を冷凍する 細胞破壊がなければ人体も?(2014/02/24)
(科学の扉)がんの免疫療法 ブレーキ外し、攻撃続ける(2014/02/17)
(科学の扉)マイナス水素の力 できるか新素材・室温超伝導(2014/02/10)
(科学の扉)かむ力とバランス 歯をグッ、脳が骨格筋動かす(2014/02/03)
(科学の扉)大ジャンプの法則 「風を生かす前回り」がカギ(2014/01/27)

 05 14 (水) 生涯とは


生涯の冒頭の句

生涯とは今を生きる連続である
それは温故知新にもとずき、
学ぶことにより決まる

(2014.5.14 好上)


人は生き物であり動物の一員と考えることがいい。 植物の花の色が白もあれば赤もありマダラもあるがそれでいい。 動物には鳥もいればミミズもおり、白人もおれば黒人もおり中国人もいれば日本人もいる。

花も人も今を生きつづけ枯れたり死んだりする。 当たり前のことである。

人は考える葦だという。 考えるとともに善悪の感情を持っている。 国内で人を殺せば殺人罪によって処罰されるが、そのくせ他国の人を化学兵器で大勢殺しても国内法では処罰されない。

人のこの矛盾は、集団主義に頼る人の脆さに起因している。 21世紀になって安倍晋三という日本の内閣総理大臣は、普通の人がもとめる人生哲学をもたず、19世紀以前に逆戻りしている。



私たちが教えられてきた先人の考えの冒頭の言葉をいくつか取り上げてみましょう。

① ユネスコ憲章

  That since wars begin in the minds of men, it is in the minds of men that the defences of peace must be constructed;

  戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない。

② 君死にたまふことなかれ 与謝野晶子

  あゝをとうとよ、君を泣く
  君死にたまふことなかれ
  末に生れし君なれば
  親のなさけはまさりしも

  親は刃をにぎらせて
  人を殺せとをしへしや
  人を殺して死ねよとて
  二十四までをそだてしや

③ 般若心経

  観自在菩薩般若波羅蜜多心経
  時照見五蘊皆空
  度一切苦厄

④ 平家物語

  祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。娑羅双樹の花の色、 盛者必衰の理をあらは(わ)す。
  おごれる人も久しからず、 唯春の夜の夢のごとし。たけき者も遂にはほろびぬ、 偏に風の前の塵
  に同じ。

⑤ 論語 学而第一

  學而時習之不亦説乎。有朋自遠方來不亦樂乎。人不知而不慍不亦君子乎。

⑥ 「草枕」 夏目漱石

  山路を登りながら、こう考えた。
  智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通とおせば窮屈だ。とかくに人の世は住みにく
  い。
  住みにくさが高じると、安い所へ引き越したくなる。どこへ越しても住みにくいと悟とった時、詩が
  生れて、画が出来る。

⑦ 「一万年の旅路」ネイティヴ・アメリカンの口承史 ポーラ・アンダーウッド

     語部の実態 …「はじめに」の冒頭書き出しの引用…
  これは古来の方法で伝えられた口承史です。
  口承で受け継がれるほかの多くの伝統や歴史と同様、いつか自分がその責任を負うかもしれない話を
  聞かせてもらえるようになるだけでも、たくさんの試験と訓練が必要です。
  物心つくかつかないかのころから、父は私の記憶力を試し、鍛えました。一番単純な例をあげると、
  私が見ていたものから別な方向へ体を向けられ、それまで何が見えていたかを言わされるというよう
  なことをやりました。これをなんの前ぶれもなく何度も何度もやらされるうちに、人によっては、そ
  のとき見ているすべてを頭に焼きつけると、その脳内写真のようなイメージを、たった今見ているよ
  うに再現するコツが身についてきます。
  ただし、これは決して合格・不合格を決めるテストではなかったし、うまくやらなければいけないと
  いうプレッシャーをかけられたこともありませんでした。もし私がこの務めにふさわしい器でないと
  したら、父があえてそれを私の肩に預ける必要はなかったのです。けれど、それはただの遊びでもあ
  りませんでした。それは学びであり、生きるということをよりよく理解するための機会だったのです。
  (後略)

⑧ 旧約聖書 …NHKテレビテキスト…

  ◇「ノアの洪水物語」

   ・『ギルガメシュ叙事詩』1853年発見解読 月本昭男訳岩波書店 購入
       http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AE%E3%83%AB%E3%82%AC%E3%83%A1%E3%82%B7%E3%83%A5%E5%8F%99%E4%BA%8B%E8%A9%A9
     大洪水時代Ⅰ~ノアの箱舟~
       http://www.benedict.co.jp/Smalltalk/talk-142.htm
     大洪水時代Ⅱ~ギルガメシュ叙事詩~
       http://www.benedict.co.jp/Smalltalk/talk-143.htm
     大洪水時代Ⅲ~ウトナピシュティムの洪水伝説~
       http://www.benedict.co.jp/Smalltalk/talk-144.htm
     大洪水時代Ⅳ~シュメール宇宙人説~
       http://www.benedict.co.jp/Smalltalk/talk-145.htm
     うのぱぱの ギルガメシュ叙事詩
       http://www.labo-party.jp/hiroba/top.php?PAGE=tsurezure&MENU=UPAGE&UP_ID=15
     『ギルガメシュ叙事詩』(シュメール)
       http://home.att.ne.jp/surf/laura/classic/gilgamesh.htm
     ギルガメッシュ
       http://ketchup.ciao.jp/member/ht/htkami17.html

       シュメル―人類最古の文明 (中公新書) 小林登志子著  購入

  ◇「バベルの塔の物語」

   ・『バベルの塔』
       http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%90%E3%83%99%E3%83%AB%E3%81%AE%E5%A1%94
     バベルの塔 創世記11章1節~9節
       http://www.koshien.net/FR/JIROKOIKE/KANTOGEN/200601.html
     バベルの塔--人類の罪の頂点 創世記11章
       http://uraga-church-14.seesaa.net/article/297308518.html
     創世記を読む 旧約聖書 創世記を読みます
       http://uraga-church-14.seesaa.net/
     バベルの塔の教訓
       http://www.geocities.jp/toshio2003jp/essay06/babel.html
     キリスト教(その歴史と思想) 1-5
       http://www.ne.jp/asahi/koiwa/hakkei/kirisitokyou1.html
         旧約聖書 ①創世記
              ②出エジプト記、レビ記、民数記、申命記
              ③前の予言者(ヨシュア記、土師記、サムエル記、列王記)
              ④後の予言者(イザヤ書、エレミヤ書、エゼキエル書、十二小預言書)
              ⑤諸 書

  ◇「カインとアベルの物語」

     カインとアベル - 神の道に至る葛藤 -
       http://www.kingdomfellowship.com/Characters/CainAbel.html
     カインとアベルの物語について ainsyutain_travelさん
       http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1235763967
     第四章 カインとアベル
       http://www3.ocn.ne.jp/~sk3sm/1-4.htm
     聖書の秘密 旧約・蘇生篇 謎とき『創世記』 第四章 カインとアベル
       http://www3.ocn.ne.jp/~sk3sm/1-4.htm (1-5.htm に第五章 ノアとその家族)

     ※ カインズヘレジィ  http://park19.wakwak.com/~yoshimo/moto.254.html 参照

⑨ ジツコ・スセディック「胎児はみんな天才だ」 …育児の原点…



【山路を登りきて】
        http://park6.wakwak.com/~y_shimo/momo.470.html


山路を登りきて  3/25 逍遥のはてに

年老いて何を遺したらよいかを考えるようになる


知情意は本来心身に内包されている

知と行が矛盾すればその人の内部崩壊となる


いくら弁舌がうまくても知識思いやり実践がないと絵に描いた餅となる



すべては学び温故知新からうまれる


【まとめ】 上記①~⑨について

①と②は人がもっている「死にたくない」という本能を、歴史の中で繰り返されてきた殺戮行為の拒否としての表現です。 一つは戦争そのものがもっている悲劇の拒否であり、一つは人がもっている絆から発した拒否です。

人類が絶えず経験してきた「人を殺す」ことへの拒否です。 ユネスコ憲章の中では殺戮の根源になっている無知と偏見を払拭(フッショク=きれいに取払う)しなければならないと言っています。 与謝野晶子の詩は子育ての根底になっている親の温かいこころを踏みにじってはならないことを諭しています。

この①と②が無ければ人間としての文化が成り立たないのです。 そして、これらは人としての根源的な品格なのです。

③と④は先哲の厳しい修行から築き上げられた人としての智慧です。 人の凡欲を一人一人が自制しなければならないという教えです。 心の拠りどころとしての教えです。

五蘊皆空の真理諸行無常盛者必衰の因果をひとつずつ理解していきたいのです。

⑤と⑥は先人の文化を継承することから学ばなびたいものです。 東洋思想というすばらしい遺産を受け継いでいきたい。 学而第一としてあげている「學而時習之不亦説乎」は親子の文化伝承としても最大の関心事です。 宿業としての意味からも、言葉や躾にはじまって成人後の活躍に到るまで、親子関係の絆はもちろん社会生活のすべてにわたり、学び自習によって成り立っているのです。

漱石の漢学の素養と後年の英語の習得、さらにそこから生み出してきた発想は素晴らしいものがあります。 「草枕」で作詞態度は後年学習院でのお話の「私の個人主義」に到って、洋の東西に関わらない自立の境地を確立しています。 これはすべて『学び』と『自習』によるものと言えるのです。 そして彼は「即天去私」というこころの拠りどころを築き上げています。

⑦と⑧人の能力の素晴らしさを実証していることとして、一人一人の大脳開発に資したい事実を確認しておきたいのです。

ポーラ・アンダーウッドが書いた「一万年の旅路」は545頁という長編の口承史です。 口承の仕方は⑦で分かりますが、ソニーの会長をされた井深大も真剣になって知能開発の方法として幼児のパターン認識 を推奨しています。 旧約聖書も調べてみますと、歴史事実に即して語部(カタリベ)が口伝を通して残してきた貴重な文化遺産であることがわかります。

人の記憶能力の素晴らしさに改めて驚くのです。

世界中の人々が仲良く暮らせるために、私は何をしたらいいのでしょうか。 ①から⑧までをジィ…と考えてくると、姨捨山の爺婆を真似ることが大事なことだと気づきます。

は育児の原点です。

順番で⑨に取り上げたのは、“人は生命の発生とともに自分をとりまく総べての環境から、学びとりそれを繰り返しながら、自分を築き上げている”ことに直面している事実です。

生涯は、今を生きる連続ですから、母親のおなかのなかで第一歩を踏み出したときから学び習うことが始まっていると考えなくてはなりません。 そして、事実その通りに一人の人間として自分を築き始めているのです。

自分の子供が立派になるようにするには、大人は妊娠した母親をほおっておいてはならないのです。 子どもがより良く成長するための良い環境を作り出さなくてはなりません。 逆に言えば、後になっては後戻りできないからです。

館林実子さんの実践を真似しようではありませんか!!

ホームページ「0歳教育」でも20数年の歩みが残っています。

「この指、止まれ!」これからは文殊の智慧を出しあおう!!

 05 15 (木) 路上の民主主義

(社説)路上の民主主義 自ら考え動き出す人たち

 変わらなければ。

 変えなければ。

 東日本大震災と東京電力福島第一原発事故を経験した2011年。「第二の敗戦」といった言葉も飛び交うなか、日本社会は深い自省と、根源的な変革を求める空気に満ちていた。

 それを目に見える形で示したのが、震災から約半年後に東京で開かれた「さようなら原発」集会だ。主催者発表で6万人が参加。ノーベル賞作家・大江健三郎さんは訴えた。「何ができるか。私らにはこの民主主義の集会、市民のデモしかない」

 あれから3年近くが経った。

首相がまく種

 自民党が政権に戻り、原発再稼働が推進され、大型公共事業が復活する。

 何も変えられなかった。

 冷めた人。折れた人。疲れた人。民主党政権への深い失望と相まって膨らんだ諦念(ていねん)が、安倍政権の政治的原資となってきたことは否めない。

 反対意見に向き合い、議論を深める。民主制の根幹だ。しかし首相はどうやら、選挙で選ばれた、最高責任者の自分がやりたいようにやるのが政治で、反対意見なんか聞くだけ無駄だと考えているようだ。

 憲法の縛りさえ、閣議決定で「ない」ことにしてしまおうという粗雑さ。これに対し、与党が圧倒的議席をもつ国会は、単なる追認機関と化しつつある。

 気づいているだろうか。

 首相の強権的な政治手法とふがいない国会のありようが、自ら思考し、行動する政治的な主体を新たに生み、育てていることに。怠慢なこの国の政治家にとっては、幸か、不幸か。

声を響かせる

 「『Fight the power』、これは権力と闘えって意味で、ちょっと過激なんすけど、まあ英語だから大丈夫かなと」

 憲法記念日に東京・新宿で行われた「特定秘密保護法に反対する学生デモ」。集合場所の公園で約400人が声を合わせ、コールの練習を始めた。都内の大学生らが主催した、党派によらない個人参加のデモ。ネットや友人関係を通じて集まった。

 出発。重低音のリズムを刻むサウンドカーを先頭に、繰り返される「特定秘密保護法反対」「憲法守れ」。堅苦しい言葉がうまくリズムに乗っかって、新宿の街にあふれ出していく。

 大学生たちがマイクを握る。

 「自分らしく、自由に生きられる日本に生まれたことを幸せに思っています。でも、特定秘密保護法が反対を押し切って成立した。このままじゃ大好きな日本が壊れちゃうかもしれないって思ったら、動かずにはいられませんでした」

 「私は、私の自由と権利を守るために意思表示することを恥じません。そしてそのことこそが、私の『不断の努力』であることを信じます」

 私。僕。俺。借り物でない、主語が明確な言葉がつながる。

 社会を変えたい?

 いや、伝わってくるのはむしろ、「守りたい」だ。

 強引な秘密法の採決に際し、胸の内に膨らんだ疑問。

 民主主義ってなんだ?

 手繰り寄せた、当座の答え。

 間違ってもいいから、自分の頭で考え続けること。おかしいと思ったら、声をあげること。

 だから路上に繰り出し、響かせる。自分たちの声を。

 「TeLL me what democracy looks like?(民主主義ってどんなの?)」のコール。

 「This is what democracy looks like!(これが民主主義だ!)」のレスポンス。

 ある学者は言う。頭で考えても見通しをもてない動乱期には、人は身体を動かして何かをつかもうとするんです――。

 彼らは極めて自覚的だ。社会はそう簡単には変わらない。でも諦める必要はない。志向するのは「闘い」に「勝つ」ことよりも、闘い「続ける」ことだ。

深く、緩やかに

 5月最初の金曜日に100回目を迎えた、首相官邸前デモ。

 数は減り、熱気は失せ、そのぶんすっかり日常化している。植え込みに座って、おにぎりを食べるカップル。歌をうたうグループ。「開放」された官邸周辺を思い思いに楽しんでいる。

 非暴力。訴えを絞る。個人参加。官邸前で積み上げられた日常と、新しいデモの「知恵」がなければ、昨年12月に秘密法に反対する人々が国会前に押し寄せることも、学生たちのデモも、なかったかもしれない。

 つよいその根は眼にみえぬ。

 見えぬけれどもあるんだよ、

 見えぬものでもあるんだよ。

 (金子みすゞ「星とたんぽぽ」)

 たんぽぽのように、日常に深く根を張り、種をつけた綿毛が風に乗って飛んでいく。それがどこかで、新たに根を張る。

 きょう、集団的自衛権の行使容認に向け、安倍政権が一歩を踏み出す。また多くの綿毛が、空に舞いゆくことだろう。

 社会は変わっている。

 深く、静かに、緩やかに。

 05 16 (金) 集団的自衛権の方向性を発表

朝日(1面)
集団的自衛権行使へ転換 首相、憲法解釈変更に意欲 基本的方向性を発表

 安倍晋三首相が、他国のために自衛隊の武力を使う集団的自衛権の行使に向けて踏み出した。15日に記者会見し、憲法9条が禁じる武力行使にあたるとされてきた集団的自衛権の行使を検討する考えを表明した。首相は「限定的」と強調したが、現実には自国の防衛に専念してきた戦後日本が、海外での戦争に参加できる道を開く安全保障政策の大転換だ。首相は憲法解釈の変更での行使に意欲を示すが、憲法の根幹を一内閣の判断で変えるという重大な問題をはらむ。

 首相の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)が15日、首相に報告書を提出。これを受けて、首相は同日夕、政府の考え方を示す「基本的方向性」を記者会見で語った。

 首相は会見で、安保法制懇が「我が国の安全に重大な影響を及ぼす可能性があるとき、限定的に集団的自衛権を行使することは許される」と提言したことに触れ、歴代内閣は行使を認めてこなかったが、「従来の政府の基本的な立場を踏まえた提言だ。今後、さらに研究を進めたい」と述べた。与党との協議が調えば、行使を可能にする憲法解釈の変更を閣議決定する考えも明言した。

 首相は「日本国憲法が掲げる平和主義はこれからも守り抜いていく」と述べた。その一方で、行使容認を検討する理由について、「抑止力が高まり、紛争が回避され、我が国が戦争に巻き込まれなくなる」と説明した。

 しかし、歴代内閣が長年守ってきた憲法解釈を、安倍政権の判断で変更すれば、憲法が権力を縛る「立憲主義」の否定につながり、一内閣の判断で解釈を変えられる前例を残すことになる。この点について首相は「立憲主義にのっとって政治を行っていく。当然のことだ」と述べたうえで、「人々を守る政府の責任を放棄しろと憲法が要請しているとは私には考えられない」と持論を述べた。

 一方、集団的自衛権行使は、日本が直接攻撃を受けなくても他国を守るための戦争に参加することだ。首相が行使容認を目指すのも同盟国である米国などの要請を想定して「戦争ができる体制」を整える狙いがある。当然、他国の戦争に巻き込まれる可能性が高まる。しかし、首相は「巻き込まれるという受け身の発想ではなく、国民の命を守るために何をなすべきかという能動的な発想を持つ責任がある」と強調した。

 首相はまた、尖閣諸島での中国との対立を念頭に「漁民を装った武装集団が我が国の離島に上陸してくるかもしれない。こうした、いわゆるグレーゾーン事態への対処を一層強化する」と述べ、憲法解釈の変更が必要ない分野の法整備も検討する考えを示した。

危機事例を強調

 安倍首相は記者会見で、日本人の危機を強調する事例を挙げて、行使容認の必要性をアピールした。

 集団的自衛権の行使が必要と考える事例のうち、日本近海での邦人輸送中の米輸送艦を自衛艦が防護する事例をパネルで示し、「この米国の船を日本の自衛隊は守ることができない」と説明した。しかし邦人が乗っていることから、日本が攻撃を受けていると見なして個別的自衛権の行使で対応できるとの考えもある。

 安倍首相はこうした現在の憲法解釈でも対応できる可能性については説明しなかった。さらに北朝鮮の弾道ミサイル問題にも触れて、「日本の大部分を射程に入れている。東京も大阪も、皆さんの街も例外ではない」と強調した。仮にミサイル攻撃があれば個別的自衛権や警察権の行使で対応できる態勢を整えているにもかかわらず、あえて脅威を強調した。(冨名腰隆、園田耕司)

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公明代表は慎重な姿勢

 公明党の山口那津男代表は15日、記者団に「首相が示した具体例においては、これまでの憲法の考え方で対応できる部分が相当あると考える」と述べ、集団的自衛権の行使を容認することに慎重な姿勢を示した。

「基本的方向性」の骨子

  ・「限定的な集団的自衛権行使容認」を求めた安保法制懇提言について、今後研究を進める
  ・与党協議の結果、憲法解釈変更が必要と判断されれば閣議決定する
  ・武装集団が日本の離島に上陸する事態などの「グレーゾーン事態」への対処を強化する

安保法制懇の報告書骨子

  ・国連の集団安全保障への参加に憲法上の制約はない
  ・「必要最小限度」の中に集団的自衛権の行使も含まれると解釈し、行使を認めるべきだ
  ・武力行使との一体化論は役割を終えた
  ・国連PKOなどへの協力と武器使用は「武力の行使」にあたらない
  ・在外日本人の保護・救出に憲法上の制約はない


朝日(1面)
最後の歯止め、外すのか 集団的自衛権行使へ転換 政治部長・立松朗

 私が政治記者になったとき、国会は大荒れだった。1992年春。ちょうど国連平和維持活動(PKO)協力法案をめぐる攻防が最終局面を迎え、牛歩戦術による徹夜国会では怒声と歓声が交錯していた。

 不毛だと批判もされたが、宮沢政権や自民党、歯止めをかける修正をして賛成に回った公明、民社両党、牛歩した社会、共産両党も、みんな自衛隊を海外へ送ることへの悲壮な決意や緊張感にあふれていた。

 冷戦後、政府は米国や国際社会の要請だとして、国際協調主義を掲げて自衛隊の活動領域を広げてきた。そのたびに論議になり、戦争体験が体に刻み込まれた世論を背にした国会はブレーキ役に回ってきた。廃案になったこと、当初の政府想定から後退したこと。そのときどきで異なるが、多くの場合、国際情勢の変化に沿うように、しかし抑制的に対応してきた。

 この流れを支えてきたのが憲法9条だ。

 「日本には憲法の制約があるから」。外務省のような積極貢献派は自嘲的に語っていたが、「戦争をしない」というこの国の基本理念を守ろうという合意が自民党政権もふくめてあったからにほかならない。

 安倍首相の提起は安全保障政策を装っているが、これまでの流れとは根本的に異なる。憲法という、最強で最後の歯止めを外そうという試みだからだ。

 もとより集団的自衛権を行使できるようにすべきだ、ということが暴論だと決めつけるものではない。「中国の軍拡に対抗して国民の安全を確保するには、米国との連携をより強めるしかない」という考え方も一定の説得力はもつ。

 ただし、それは「戦争をしない国」という基本理念を見直すことを意味する。そうであれば、世界でどういう役割を果たすのか、米国とどう助け合い、集団的自衛権を行使して何をするのか――。「国のかたち」を根本的に問い直すことから始めねばならない。

 PKO法どころではない。事例を挙げ、「これに対処できない」という理由だけで憲法を踏み越えていいものではない。与野党を超えて議論し、国民も考え、最後は憲法改正するかを問う。安倍政権という一政権の判断で決めるべきではない。

 それにもかかわらず、真っ先に政権の意向が示された。これから問われるのは政治家の自覚である。公明党ばかりが注目されているが、自民党の人たちは静観するのか。民主党をはじめ野党は、閣議決定まで論争を挑まずに過ごすのか。「多弱」に甘んじていては政治家の責任は果たせない。

 「必要最小限」と説明しようとも、集団的自衛権の行使とは、他国を守るために戦争をすることにほかならない。そのために自衛隊員と国民の生命をかける。その重さと責任が政治家、さらに国民一人ひとりにも突きつけられている。

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朝日(1面)
(天声人語)集団的自衛権と沖縄

 2冊の中学公民教科書を比べると、違いがあって興味深い。この2冊をめぐり、沖縄県竹富町と国の対立が続く▼文科省は町に、近隣2市町と同じものを使うよう求めている。その育鵬(いくほう)社版は憲法改正に2ページを割く。時代の変化に応じて変える部分と時代を超えて守る部分を、国民が区別すべし、と説く。集団的自衛権にも何度か触れ、行使できないという政府解釈を変えるべきだとの主張もある、と紹介する▼竹富町が使う東京書籍版は、改憲について手続きの図を載せるにとどめ、育鵬社版のような集団的自衛権の記述も見当たらない。一方で「立憲主義」について項目を立て、政府の権力を制限して国民の人権を保障する思想と、丁寧に説明している▼それぞれの主張を生徒に押しつける書きぶりではないものの、個性の違いは明らかだ。文科省が挙げる理由は教科書採択の手続き面だが、地元が「政治介入」と反発するのも無理はない▼きのう、沖縄は本土復帰から42年を迎えた。「平和憲法の下へ」の叫びが実った日だ。しかし、米軍基地の集中という負担の押しつけはいまだ変わらず、県民の声は届かない。今回の教科書問題にも、国の同じような高姿勢が感じられる▼折も折、安倍首相が解釈改憲に踏みだした。最高法規の縛りを勝手に読み替えて解き放てるなら、立憲主義はすたれる。国民の命を守るためだというが、集団的自衛権が使えるとなれば、真っ先に危険にさらされるのは最前線にいる沖縄の人々ではないか。

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朝日(2面)
憲法の根幹骨抜きに 解釈、都合よく切り張り 集団的自衛権行使へ転換

 「限定的な集団的自衛権の行使は許される」。安倍晋三首相は15日、こう主張する私的諮問機関の提言を受け、行使容認をめざす意向を強調した。しかし行使が認められれば、自衛隊の海外派遣に歯止めはなくなる。首相は「国民の命を守るため」と繰り返したが、内閣の裁量で憲法の根幹を骨抜きにすることは憲法で権力を縛る立憲主義に反し、政府の権限を無制限に拡大させ、国民の権利を侵す危険性をはらんでいる。

 「私たちの命を守り、平和な暮らしを守るため、私たちは何をなすべきか」

 安倍首相は政府の「基本的方向性」を示す会見の冒頭でパネルを使って訴えた。繰り返したのは「国民の命を守る」の言葉。朝鮮半島の有事(戦争)で集団的自衛権を行使することを念頭に日本の避難民を運ぶ米艦船を自衛隊が守る例を挙げ、感情に訴えるように声の調子を上げた。「船に乗っている子どもたち、お母さん、多くの日本人を助けることはできない。本当にいいのか」

 報道陣から、集団的自衛権の行使は他国での戦争参加につながると指摘されても「巻き込まれるという受け身の発想ではなく、国民の命を守るために何をなすべきか」と反論した。

 首相は解釈変更する根拠を説明する際も、憲法の条文をこう引いた。「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利を政府は最大限尊重しなければならない」「憲法前文、13条の趣旨を踏まえれば、自国の平和と安全を維持し、その存立を全うするために必要な自衛の措置をとることは禁じられていない」

 戦争放棄をうたう9条があっても、憲法の「国民の命を守る」ことなどを理由に「自衛権」を使えるとする説明は、首相独自の考えではない。日本を攻撃した国に反撃する個別的自衛権を使えるとした、歴代内閣の解釈に沿ったものだ。特に憲法前文や13条を根拠とする考えは田中角栄内閣が1972年に示した見解を引用した。

 しかし、72年の見解は続けて「集団的自衛権の行使は、憲法上許されない」と明記する。従来の政府解釈を確立させた81年の鈴木善幸内閣の見解でも、集団的自衛権行使は「必要最小限度の範囲」を超えるもので「憲法上許されない」と結論づけている。

 安倍首相は歴代内閣が集団的自衛権を否定してきた経緯には触れず、その行使を「必要最小限度の武力行使」として認めた法制懇の報告書を「従来の政府の基本的な立場を踏まえた」との見方を示した。

 ただ、従来の政府解釈はあくまで、憲法が保障する国民の命や権利を守る必要最小限度の個別的自衛権の行使を認めたものだ。首相が憲法の条文や従来解釈を都合よく「切り張り」した理屈で、他国での戦争に加わる集団的自衛権の行使を正当化する姿勢が論議を呼ぶのは必至だ。

「限定的」論理に矛盾

 「日本が再び戦争をする国になるといった誤解がある。しかし、そんなことは断じてありえない」。首相は会見で、安保政策見直しがむしろ戦争を回避する抑止力につながると主張した。

 法制懇の報告書のうち、国連安全保障理事会の決議などに基づく多国籍軍への直接参加については「自衛隊が武力行使を目的として湾岸戦争やイラク戦争での戦闘に参加するようなことは決してない」などと採用を否定し、抑制的な姿勢を強調した。集団的自衛権の行使をめぐる説明でも、法制懇の報告書に触れて「限定的な行使」と主張。「我が国の安全に重大な影響を及ぼす」ケースに限るとアピールした。

 しかし集団的自衛権の行使対象は本来、同盟国の米国や、近隣の韓国に限られない。政府は「自国と密接な関係にある外国」としており、法制懇は自衛隊が「地球の裏側」に派遣されることも否定していない。

 首相が説明した「子どもらを乗せた船を助ける」ような事態は世論を意識した一例に過ぎず、いったん行使が容認されれば、米国などの要請に応じて自衛隊の海外派遣に歯止めがかからなくなる危険性がある。

 首相自身、その他の想定をしているのかと問われると「あらかじめ将来起こりうる事態を想定することは容易なことではない」「あらゆる事態に対し万全の備えをするのが大切だ」などと繰り返すだけだった。首相は「国民を守る」と強調して集団的自衛権を「限定的」に使うとしたが、実際は「必要最小限度の行使」にとどまらなくなるという矛盾を認めた形だ。(鶴岡正寛)

政府権限、際限なき拡大も

 首相が「基本的方向性」を示したことを受け、自民党と、集団的自衛権の行使容認に慎重な公明党との与党協議が始まる。しかし首相は会見で「憲法解釈の変更が必要と判断されれば、改正すべき法制の基本的方向を閣議決定していく」と踏み込んだ。

 歴代内閣は政府による解釈変更はできないとの見解を示してきた。2004年、当時の小泉純一郎首相は国会で「憲法規範に対する国民の信頼が損なわれる」と否定した。従来の政府が抑制的な姿勢を貫いてきたのは、憲法は権力を縛って国民の基本的人権を保障するものと考える立憲主義を尊重する立場からだ。

 しかし、安倍首相は2月の衆院予算委員会で「(憲法解釈の)最高の責任者は私だ。私たちは選挙で国民の審判を受ける」と答弁するなど、選挙で信任を得れば、憲法解釈に手をつける権限を持つと主張した。

 こうした考えは憲法学者からも「権力者が憲法の根幹を壊す行為」と厳しい批判を浴びた。見逃せないのは、与党が13年参院選に勝って衆参両院で過半数を握ると、政府の権限があたかも、憲法の制約を受けない「枠外」にあるかのように振る舞う姿勢が露骨になってきたことだ。

 政権が昨年末、与党の採決強行で成立させた特定秘密保護法は行政の裁量による「特定秘密」の指定を認め、国民や国会はその内容を知ることができない。行政の権限を無制限に拡大させ、国民の権利を侵害する危険性は閣議決定で解釈変更をめざす姿勢と重なる。

 天皇主権の旧大日本帝国憲法のもとで、戦前の軍部は天皇が軍事を直接つかさどる「統帥権」を盾にして、自らの権限を憲法の外に置くことで肥大化させ、最後は政府や国会を支配して国を破滅させた。権力が国民の権利保障や法治主義を無視すれば、憲法の理念や民主主義国家の枠組みは崩壊する。今後の国会審議や政党間協議で、与党・公明党や野党が、首相らにどう対応するかが問われる。

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朝日(2面)
もつれた糸、引きちぎる暴走 集団的自衛権行使へ転換 石川健治・東大教授

 集団的自衛権を、あたかも個別的自衛権の自然な延長線上にあるかのように説明するのは、フェアではない。国連憲章51条の起草過程で、米側がねじ込んできた定式であり、その実体は攻守同盟である。「同盟」は明確に「敵」の存在を前提にしているという点で、急迫不正の侵害に対する個別的自衛権とは、そもそも論理構造が異なっている。安倍内閣は、このタイミングで、公式に北東アジアを「敵・味方」に二分しようとしているのである。

 これは、憲法9条が想定する国際関係観からの大転換であり、ひとたび渡れば引き返せないルビコン川を渡るにひとしい選択である。それなのに、防衛力不足を米軍によって補充すること自体を否定はしなかったというだけの「砂川判決」を論拠にして正当化を試みたり、「限定容認」のレトリックを用いたりして、事柄の重大性を糊塗(こと)しようとした。これだけ大きな選択をするのであれば、きちんと手続きを踏むのは当然だ。

 それにもかかわらず、現政権は、手続きそのものを破壊する。当初は憲法改正手続き(憲法96条)を改正して、憲法改正の発議要件のハードルを下げようとし、それが難しいとみれば、政府解釈の変更という便法に走り、安倍首相の個人人気に頼って力押しする。そうした政府の姿勢は、憲法が前提とする立憲デモクラシーのあり方に反している。

 近代的な意味での立憲主義は、集権化された国家権力を前提にしており、本来は力で国民を圧倒できるはずの統治権力が、自ら進んで自分を縛ることによって成り立っている。そのことにより、個人の権利は保障され、国家間の約束も成立する。さらに、統治権力を分割して、特定の権力に「民意」を独占させないようにするとともに、それぞれを絡み合わせることで、権力の暴走にブレーキがかかるようにする。これが立憲デモクラシーの考え方だ。

 しかし、現在の政府は、もつれた糸を引きちぎり、暴走してはいないか。特に、政府の憲法解釈という、政府が自らに課した義務づけから自由になろうと、内閣法制局の長官を「お友達」に代えてしまったこと。これは、安倍政権の信頼性を大きく傷つける、取り返しのつかない失策であった。こういう政権の姿勢が、たとえば、特定秘密保護法制定のおりには、それがどこまでも拡大解釈され、ものが言えない社会になるのではないか、という大きな不信感をうんだ。集団的自衛権の行使容認にも、同様の不安が広がっている。

 それらは、安倍政権が内外に示した反立憲的な姿勢によって自ら招いた事態であり、もはや、このタイミングでルビコン川を渡る資格は、この政府にはないのではないか。観念的な安全保障論議を力押しして、デモクラシーの形を破壊してしまったのでは、もはや取り返しがつかない。(聞き手・渡辺哲哉)

    *

 いしかわ・けんじ 東大教授(憲法学) 1962年生まれ。旧東京都立大教授を経て、2003年から東京大教授。4月に設立した「立憲デモクラシーの会」の呼びかけ人の1人。


朝日(3面)
見えない外交戦略 中国への対抗鮮明 集団的自衛権行使へ転換 石川健治・東大教授

 安倍晋三首相は国際情勢の変化や日本周辺の「脅威」拡大を理由に、これまでの安保政策を根本から変え、集団的自衛権の行使を認める憲法解釈の変更が必要だと説く。日米同盟を強化し、軍備を拡大する中国への対抗姿勢を鮮明にするが、日中関係の改善に向けた外交戦略は見えない。首相は政策転換で日本が戦争に巻き込まれることはなくなると訴えるが、むしろ軍拡競争や偶発的な衝突を招く懸念はぬぐえない。

軍拡競争招く懸念

 「切れ目のない対応を可能とする国内法制を整備する」「もはや一国のみで平和を守ることはできない」

 安倍首相は集団的自衛権の行使の必要性を訴え、国会答弁でも多用する「決めゼリフ」を口にした。

 「だからこそ私は、積極的平和主義の旗を掲げて、国際社会と協調する」

 政府内では首相が示した「基本的方向性」に合わせ、国連決議で認められた多国籍軍を後方支援する活動の拡大や国連平和維持活動(PKO)での武器使用基準の緩和などを検討している。

 「戦後レジームからの脱却」を唱え、安保政策の転換を着々と進める首相。この日の会見で集団的自衛権の行使とともに説明に力を入れたのは、尖閣諸島周辺で中国との対立を想定した「グレーゾーン事態」だ。相手国から武力攻撃を受けた有事とは判断できないが、自衛隊の治安出動や海上保安庁の出動といった警察権では十分対応できないケースを指す。

 首相はこの日、中国の名指しは避けたものの「東シナ海では日本の領海への侵入が相次いでいる」と指摘。新たな法整備などで対応が必要な事例として「漁民を装った武装集団が我が国の離島に上陸してくるかもしれない。こうしたグレーゾーン事態への対処を一層強化する」と語った。

 中国の脅威を前面に出す姿勢は、首相の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)が15日に提出した報告書でも顕著だ。2008年の第1次報告書は中国の軍事動向に直接言及はしていなかったが、今回は中国の国防予算について「過去10年で4倍となり、今年度の公表額は日本の3倍近い12兆円超」と指摘。中国軍の潜水艦の活動が活発になっていることも念頭に、日本の領海内で潜水艦が潜ったまま退去の要求に応じないケースを例に挙げ、対応策の検討を求めた。

 政府は今後、自衛隊がこうした侵入に対する武器使用を拡大するため、自衛隊法の改正などの法整備を進める構えだ。

 政権幹部らからは、集団的自衛権を行使する対象として、同盟国の米国だけでなく、フィリピンやベトナム、マレーシア、インドネシアを挙げる声もある。他の国と連携し、海洋進出の動きを強める中国の「封じ込め」を狙う――。そんな思惑がにじむが、実現のために日本が軍事力を強化すれば、中国にさらなる軍拡の口実を与えかねない。

 南シナ海で広範な領有権を主張する中国は、フィリピンやベトナムなど沿岸各国と対立を深めている。日本が集団的自衛権の行使に踏み切り、こうした諸国との連携を目指せば、南シナ海での戦争に参加する道を開く危険性もある。

米の姿勢とずれも

 「昨年私はASEAN(東南アジア諸国連合)10カ国を訪問し、集団的自衛権の解釈変更を説明し、全ての国々から理解を得られた。先般欧州を訪れ、NATO(北大西洋条約機構)演説で、各国から高い支持をいただいた」

 首相は会見で、外交舞台で集団的自衛権の行使への支持が広がっていることに胸を張った。だが、昨年末の首相の靖国参拝でこじれた中国との関係は改善への糸口が見えない。

 日中関係の打開に向け、超党派の国会議員団が5月上旬に訪中し、中国の共産党最高指導部と会談した。中国側も議員交流を進めたい思いはあるものの、参加議員は「安倍氏とだけはやりたくない、という考えもはっきりした」と嘆く。

 米国防総省の広報担当者は15日、「我々は集団的自衛権の行使を憲法上認めるかどうかという日本の議論を歓迎し、支持している」との談話を発表した。ただ、中国との対決姿勢を強めつつ、海外での「軍事的貢献度」を高めようとする安倍政権の姿勢を、米国など友好国が全面的に賛成しているわけではない。

 4月に訪日したオバマ米大統領は、安倍政権が進める集団的自衛権の行使容認に向けた動きを支持した。しかし一方で、オバマ氏は「中国は世界にとって非常に重要な国」と指摘。対決姿勢ばかりが目立つ日本とは異なり、米中で新たな「大国関係」をめざす姿勢を示した。尖閣諸島の問題でも「言葉による挑発を避け、日中がどう互いに協力出来るかを決めるべきだ」と平和的解決を求めた。

 首相は表向き、「対話のドアは常にオープンだ」と繰り返している。だが靖国や歴史認識をめぐる問題では中国や韓国だけでなく、欧州各国からも「戦後体制を否定しようとしている」と懸念する声がある。日米関係に携わった元政府高官も「集団的自衛権の議論が安倍政権ではナショナリズムと結び付けられるリスクがある」と指摘する。

 日中の冷え切った関係が続くなか、政治的な信頼や経済的なつながりより、「安保」を前面に出す安倍政権に将来をにらんだ外交戦略があるのか。世界は注視している。(渡辺丘)


朝日(3面)
自己愛に偏した歴史認識 集団的自衛権行使へ転換 五百旗頭真・熊本県立大理事長

 日本の安全は米国の軍事力の下で確保され、米国の集団的自衛権に頼っている。米軍が苦境に陥ったとき、日本も米艦船を守るのでなければ、日米同盟は成り立たない。

 だからといって、無制限に集団的自衛権を行使すべきではない。日本の安全に極めて重大な影響があるとき、日本ができる範囲に限定すべきだ。日本の貢献は軍事的手段に限らず、アフガン戦争の時のインド洋での給油のように、国際的に評価される後方支援や復興支援を重視すべきだ。

 報告書では、中国の軍事的脅威と、武力攻撃に至らないグレーゾーン事態への対処の重要性を指摘している。中国が大幅な軍拡をし、それを用いて尖閣諸島も南シナ海も支配する欲求を持っている。

 日本は、自助努力と米国をはじめとする国際連携で対処し、中国に変なことはできないと思わせるのが大事だ。日米同盟が効果的で不可分であることを示せば、中国が自制する動機になる。グレーゾーンについては、法の抜け穴につけ込まれないような法整備が求められる。だが、安全保障の国際的な常識の範囲をわきまえて進めるべきだ。

 集団的自衛権を行使するための憲法改正は簡単にできることではない。そのため政府の憲法解釈について、妥当性を失ったものを変えることは当然だ。侵略戦争はしない、自衛はしっかりやる、良識を持って国際安全保障に参加するということを堅持することが必要だ。憲法を大事にするあまり、国を滅ぼすようなことはあってはならない。安倍政権には、勢いに乗っての政治決着ではなく、国民的な中身のある議論を期待したい。

 一方で、安倍晋三首相自身がかねて抱いている自己愛に偏した歴史認識については心配している。

 安倍政権になって、東南アジア、ロシアと良い外交関係を作り、米国とも関係を改善させた。これで中国、韓国と関係改善の環境ができつつあると思っていたら、安倍首相は昨年末に靖国神社に参拝した。首相は、過去の戦争について「我々は悪くなかった」という思いが強いようだ。結果的に、中韓との関係を再構築ではなく、悪化させてしまった。安倍首相がやりたいのは視野狭小な国家主義なのではないかという懸念を持たれてはならない。

 米国も、日本が東アジアの対立を助長するのでなく未来志向の平和秩序のために働いてくれることを望んでいる。靖国参拝は国内の一部の人を喜ばせるだけで、国際的に日本の評価を上げる行動ではなかった。(聞き手・杉崎慎弥、広島敦史)

    *

 いおきべ・まこと 1943年生まれ。専門は日本政治外交史。神戸大教授、米ハーバード大客員研究員、防衛大学校長などを歴任。


朝日(7面)
中韓、募る不信 集団的自衛権行使へ転換 

 安倍政権が集団的自衛権の行使容認に向けて進むことに、中国と韓国からは警戒の声が上がる。

 「中国とアジア諸国には、日本の本当の狙いと、今後進む方向に強い警戒を抱く十分な理由がある」

 中国外務省の華春瑩副報道局長は15日の定例会見で、安倍政権の姿勢に言及し、不信感を表明した。

 中国外務省幹部も同日、朝日新聞の取材に「戦後日本が歩んできた平和主義路線の大きな転換だ」と述べた。「集団的自衛権の行使に道が開かれたことが、中国の安全保障戦略に具体的にどう影響してくるのか。公明党はどう動くのか。強い関心を払って見守っていく」との考えだ。

 中国は、安倍政権が昨年、新防衛大綱を成立させたころから、「次のターゲットは集団的自衛権」(政府シンクタンクの中国社会科学院幹部)とみていた。ただ、安倍晋三首相が目指す「戦後レジームからの脱却」に向けた動きの速さには戸惑いが強い。

 こうした安倍政権の動きの背景に、中国の台頭による日本の安全保障観の変化があることは、中国当局者も把握する。だが、尖閣諸島をめぐる対立や歴史問題で中国国内の民族意識も高まっており、自縄自縛になっているのが現状だ。中国外務省幹部は「中国を脅威とみなすことで起こる悪循環の結果を、日本は冷静に考えるべきだ」と述べた。

 韓国外交省報道官は15日夜、安保法制懇の報告書提出と安倍首相の記者会見を受け、「韓(朝鮮)半島の安保と我々の国益に影響を及ぼす事項は、我々の要請と同意がない限り、決して容認できない」とする論評を発表した。

 集団的自衛権は国連憲章で認められており、「それ自体に反対することは難しい」というのが韓国政府内の基本的な認識だ。

 一方で、韓国社会には「日本がまた軍事大国への道を歩むのでは」「何かあれば、自衛隊が領内に踏み込んでくるのでは」といった議論が絶えないため、韓国政府はことあるごとに日本を牽制(けんせい)してきた。この日の論評でも改めて、日本国内での防衛・安保をめぐる論議が「地域の安定と平和に寄与する方向でなされなければならない」と指摘し、「過去の歴史に起因する周辺国の疑心と憂慮を払拭(ふっしょく)していかなければならない」と強調した。

 韓国政府関係者は「刺激的な動きがあれば、韓国世論の憂慮を勘案して対処せざるを得ない」と話す一方で、日本国内にも集団的自衛権行使に反対の世論があることを踏まえ、「日本国内の議論や世論の動向も見極める必要がある」としている。(北京=林望、ソウル=貝瀬秋彦)