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折々の記 2014 ⑤
【心に浮かぶよしなしごと】
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【 04 】05/12~ 【 05 】05/17~ 【 06 】05/26~
【 07 】06/03~ 【 08 】06/04~ 【 09 】06/07~
【 09 】06/07
06 07 六四天安門事件 … 続 …
06 07 時代遅れな日米同盟 田中宇の国際ニュース解説
06 07 (土) 天安門事件 … 続 …
【その一】2014年06月05日
時論公論「天安門事件から25年 矛盾深まる中国」
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/189628.html#more
ちょうど25年前の6月4日、中国北京の中心、天安門広場周辺では、民主化を求める学生や市民を、軍が武力制圧するという悲劇が起こりました。天安門事件です。以来、25年間、その衝撃は、長く尾を引き、節目の年、今年は、天安門広場周辺で、例年よりもはるかに厳しい警戒態勢が敷かれました。
今晩は、時論公論です。中国の軍隊が、民主化運動を武力制圧した天安門事件。当時、北京の広場のすぐそばで、その悲劇を目の当たりにした私にとって、それは生涯忘れることができない、衝撃的な記憶となりました。そこで今夜は、中国の現代史に深く刻まれた、あの凄惨な事件を、改めて思い起こし、あの事件が、その後の中国に、いったい何をもたらしたのか、また、これからももたらし続けるのかについて考えてみたいと思います。
事件からちょうど四半世紀たった、今、ふりかえりますと、あの天安門事件は、その後の中国に、ふたつの大きな「負の遺産」を残したと私は考えています。
▼ひとつは、政治的抑圧の継続。つまり、民主化を求めた大勢の学生や市民の運動を、武力で圧殺した、その非情なやり方を、中国政府は、今なお、正しかったと評価していることです。それに反対する声は言論弾圧で封じこめ、活動家や遺族には、人権無視ともいえる監視や身柄拘束が行われています。
そして、
▼もうひとつは、新たに生まれた経済のひずみです。民主化、つまり国民の声を政治に反映するシステムを構築しないまま、ひたすら経済開発にのめりこんだ結果、巨万の富を手にする既得権益層が生まれ、官僚の汚職腐敗、そして、貧富の格差拡大といった深刻な歪が、国民の間に、民主化とは次元が異なる、新たな不満をもたらしたのです。
中国の習近平国家主席は、いま、「中国の夢」、そして「中華民族の偉大な復興」という崇高な目標をかかげています。しかし残念ながら、私がいま申し上げた、二つの「負の遺産」を引きずりながら、その目標を達成することは、大変、難しいのではないかと思います
ここからは、その理由について、詳しく考えてみたいと思います。
まず、事件当時、天安門広場の周辺地域で、民主化を求める学生や市民が、多数、軍によって殺害されたこと。これはまぎれもない事実です。しかし、事件は今なおタブー視され、中国のメディアが事件を報道することすらままならない厳しい言論統制が敷かれています。
私には、いま中国がとっている厳しい措置は、あたかも、事件を歴史から消し去ろうとしているかのように見えてきます。
天安門事件の際、最後まで、天安門広場に残り、学生たちを安全に撤退させた劉暁波氏。
その非暴力主義が高く評価され、ノーベル平和賞を受賞した劉氏は、いまも獄中につながれたままです。さらに当局は、民主化を求める人たちや、人権活動家らの身柄を、この一カ月で、少なくとも70人新たに拘束するなど、例年にない厳しい姿勢で取り締まりを行いました。インターネットによる言論規制も、今年は更に徹底して行われ、国民にたいして、天安門事件のことには、「見ざる、聞かざる、言わざる」という立場を貫くよう、大きな圧力をかけているのです。
このような言論統制の下で、国民生活を心底幸せにすることなど、できるのでしょうか。
「知る権利」と「表現の自由」という基本的人権が大きく制約されている国は、いかに、大きな経済力や軍事力を手にしても、けっして、先進国だと胸をはることはできないでしょう。
さて、天安門事件が残したもうひとつの「負の遺産」が、天安門事件によって、国民が政府を批判・監督する術を失うことで生じた、地方政府の暴走と、多くの経済矛盾です。天安門事件のあと、当局は、国民の目を、経済至上主義、つまり「金もうけ」に向けさせることで、民主化運動を忘れさせようとしてきたのです。しかし、それがここにきて、大きな矛盾をもたらし、その不満が、爆発寸前のところにきているのです。
たとえば、地方では、経済成長の数字を引き上げるため、当局が、農民の土地を、有無を言わさず収用し、強引な経済開発をすすめてきました。いったん当局が、計画を立てれば、農民など民の意向など、反映されることはほとんどありません。しかも、当局の役人は、こうした開発を通じて、巨大な利権を手にし、巨万の富を懐にいれるという汚職腐敗の構造が、中国全土に蔓延する形になったのです。
もし、25年前に、天安門事件が起こらず、地方において、しっかりと民意を反映した政治システムが構築されていれば、ここまで体制が腐敗することは避けられたのではないでしょうか。
もうひとつ例をあげましょう。それは、最近特に深刻化している環境破壊、これも、経済成長の実績を上げるため、地方政府や企業の暴走がもたらした「致命的な災難」といえるでしょう。
中国では、各地の乱開発で、大気や河川それに土壌が激しく汚染され、数え切れないほどの公害をもたらしています。中でも、大気汚染は、首都北京をはじめ、中国の主要都市を襲い、目に見える形で、多くの国民の健康を蝕んでいるのです。
もし民主化が実現し、行政の透明化が進んでいたら、ここまで行き詰まる前に、国民の手でブレーキがかけられたのではないでしょうか。国民のあいだに膨れ上がる、当局への不満、これはいずれもそう簡単に解決できる問題ではありません。
そこで、習近平政権は、徹底した汚職取り締まりを断行することで、共産党や政府に対する国民の不満を解消しようとしているように見えます。虎も蠅も逃がさないという号令のもと、たしかに、大臣や次官クラスの汚職摘発が、二週間に一人というハイペースで行われてきました。また、公費を流用して贅沢三昧をしてきた役人たちは、自己批判を迫られ、表向き質素な暮らしを装うようになりました。しかし、それはあくまで、当局が体制を維持するために、行っている自衛策であって、国民の不満を根本的に解消するところまでは至っていません。
もうひとつ、気になることは、国民の目を外にそらすためでしょうか、中国が軍備増強を背景に、近隣諸国と軋轢を増してきていることです。
東シナ海の尖閣諸島をめぐっては、日本と対立。また、南シナ海をめぐっては、ベトナムやフィリピンなどとの対立が深まっています。力で、現状を変更しようという、その強引なやり方は、中国が「強い国」であることを、国民に示すことで、自らの統治体制の正当性を貫こうという、ひとつの意思表示であるかのように見えます。
国内における、言論統制や汚職取り締まり、また、対外的な強硬姿勢には、ひとつの共通点があります。それは、中国当局が、「力」によって事態に対応しようとしていること。
それは、あの天安門事件の時の当局の判断とも、相通じるものがあります。しかし、本当に、力だけで、問題は解決できるのでしょうか。私は、そうとは思いません。むしろ、力で解決することには限界がある。一時的に抑え込むことができても、かならず反作用の力が生まれてくるものです。
実際、中国国内では、いま、50人以上の人が集まってデモや暴動を引き起こす、いわゆる「群体性事件」が年間20万件、つまり、毎日平均して500件以上も起きているといわれています。そして、それを強大な警察力で抑え込もうとすると、今度は、「少数のグループ」或いは、「個人」が、「社会への報復」をねらった殺傷事件やテロを頻繁に引き起こすようになってきています。
中国の指導者は、よく「歴史を鑑として、未来に向かう」という言葉を口にします。
その精神から言えば、25年前の天安門事件も、中国の近現代史から抹殺することは決して許されないのです。むしろ、天安門事件をこそ歴史の鑑として、過去の「負の遺産」を清算し、未来に向けて、本当の意味での「中国の夢」を実現してほしいと思います。
(加藤青延 解説委員)
【その二】2014年05月30日
【禁聞】天安門事件 弾圧をした軍人が涙の告白
http://jp.ntdtv.com/news/10823/
【新唐人2014年5月30日】天安門事件25周年を前にして、中国軍瀋陽軍区の元軍人、李暁明さんがテレビカメラの前で、当時、命令に従い、自ら学生を鎮圧したことを幾度も涙ぐみながら語りました。
李暁明さんは、中国人民解放軍瀋陽軍区39軍1164高射砲団の中尉でした。先日、香港のnowテレビの取材に応じ、当時学生運動を弾圧した体験を語りました。
李さんによると、39軍は北京の東から天安門広場に入りました。途中、学生と庶民に銃を向けないよう訴える民衆に阻まれました。しかし6月3日夜、暴徒が軍人を殺したと上官から聞かされ、みな義憤で胸がいっぱいになりました。この時、上官から銃弾を与えられ、天安門広場に入りデモ参加者を排除するよう命じられました。
3日の深夜、団長の指示を受けた部下が天安門広場の状況を探ると、他の軍隊がすでに発砲し鎮圧していました。39軍は4日の早朝、広場に入り、逃げる学生や民主活動家を捕まえました。
すでに25年が経ったものの、当時の話になると、李さんは涙が止まらず「これは恥だ」と語りました。
中国政法大学・元講師 呉仁華さん
「軍人は6月3日夜、天安門広場に入り、市民に発砲し殺しました。当局は彼らを臨時の駐屯地に隔離し、民衆や学生と接触させず、真相を知らせませんでした。当局は吹聴しました。『多くの戒厳部隊の軍人が、暴徒に拉致され殺されたうえ、武器が奪われて、暴動が起こった』と、軍人は反革命暴動が起こったと思い込んでいたのです」
天安門事件を目撃した呉仁華さんは著書、「六四事件における戒厳部隊」で、戒厳部隊が北京に入ってきたルートや北京での行動、虐殺の起きた夜の彼らの任務について、詳細に記しています。
国営メディア、新華社通信の首席記者でラジオテレビ部の副部長だった謝文清さんは、天安門事件の残虐な弾圧の模様を目にしました。
謝さんは「死心篇」という文章の中で、燃やされた装甲車が整然と並んでおり、車間距離は均等で、車両はすべて東を向いていて、軍事パレードのようだったと述べ、軍事記者の体験から、ひと目で当局の仕組んだ陰謀だと分かったそうです。
しかも、それらの装甲車は旧型の装備であり、恐らく市民に変装した軍人が燃やし、「暴徒」の仕業に見せかけたのだろうと指摘しました。
これまでのところ、天安門事件の弾圧に加わったと告白した軍人は合わせて3人います。戒厳部隊の兵士だった張世軍さんは、長年、北京市郊外の霊園を訪れ、事件の犠牲者を悼んでいます。また、犠牲者家族に謝罪したこともあります。2012年、天安門事件の起きた6月4日の前夜には、当時の軍服を着て天安門広場で黙祷を捧げました。
中国政法大学・元講師 呉仁華さん
「この3人は後で暴動など起きていなかったと真相を知りました。彼らが殺害したのはいずれも丸腰の市民でした。真相を知ってから弾圧は恥だと感じたのです」
天安門事件の犠牲者家族の組織、「天安門の母」のメンバー、張先玲さんの夫、王凡地さんは、弾圧を続ける当局を批判しました。
「天安門の母」張先玲さんの夫 王凡地さん
「例年よりも厳しいです。4月から、我が家は24時間見張られています。我々が取材を受けるのを当局は望まないのです。治安維持組織や派出所、町内会のメンバーなど、24時間12人が交替で監視しています」
5月28日、アメリカ下院は中共当局に対し、天安門事件に関する情報封鎖をやめ、言論と信仰の自由を求める中国人を監禁したり、虐待しないように訴える決議を採択しました。民主党のペロシ院内総務は戦車の前に立ちはだかった中国人、王維林さんの写真を取り出し、「これは世界の民主自由の歴史において、最も象徴的な写真だが、中国で若者にこの写真のことを聞いても、彼らはまったく知らない」と語りました。
新唐人テレビがお伝えしました。
(翻訳/河合 ナレーター/萩野 映像編集/工)
【その三】2014年05月23日
【禁聞】趙紫陽の息子「歴史の隠蔽は国の恥」
http://jp.ntdtv.com/news/10783/
天安門事件25周年を前にして、共産党の元指導者、趙紫陽の末っ子、趙五軍さんが評論を発表し、当局がこの冤罪に歴史を隠蔽するのは国の恥でしかないと批判しました。一方で、当局が進んで天安門事件を再評価するはずがないとの声もあります。
25年前、趙紫陽共産党元総書記は、学生への軍事弾圧に反対したため失脚し、その後、2005年に亡くなるまで軟禁されていました。元総書記の末っ子、趙五軍さんは先日、香港メディアに対して、「学生を殺さないよう訴えたことを父親は一度も悔いていない」と述べました。
元総書記の生前の録音によると、最終的に武力弾圧を命令したのは鄧小平でした。
趙五軍さんは、学生の平和的なデモの解決方法において、父親は鄧小平に妥協できなかったと指摘します。2人は、最低限守ろうとするモラルが違ったからです。当局が趙紫陽の件に関し、沈黙を続けるなら、それは国にとって恥でしかないと斬り捨てました。
北京の民主活動家 胡佳さん
「天安門事件を通じ、共産党は一切合法性がないファシズム的な政権だと証明されました。戦車で自国民を潰し、使用禁止のダムダム弾で自国民を殺しました。海外メディアがこの歴史の証人です。共産党も消せない事実です。でも当局の隠蔽のため、若者は知りません。このような政権は退陣し、謝罪すべきです」
ダムダム弾とは、着弾の衝撃で弾頭が体内で割れる特殊な弾丸のことで、殺傷力が高く残虐なため、1899年、国同士の戦争でダムダム弾を使用することを禁じる宣言が出されました。
趙紫陽の娘婿、王志華さんは「ボイス・オブ・アメリカ」に対して、天安門事件の再評価は、現在の指導者の歴史的な責任だと述べました。国務院元秘書、俞梅蓀さんも、天安門事件の犠牲者の家族と国全体にとって、事件の再評価は非常に重要だと指摘しています。
しかし、当時の民主化運動の組織者の1人で、中国政法大学の元研究員、呉仁華(ご じんか)さんは、当局が進んで事件を再評価することはないと悲観します。
民主化運動の組織者呉仁華さん
「再評価すれば、政権が崩壊するので、当局は恐れています。1949年以来、当局の罪業は天安門事件だけではありません。天安門事件がタブーでなくなれば、他の事件の再評価も求められます。だから当局は天安門事件の再評価を進んで行うことはないでしょう」
今年、事件の犠牲者家族の「天安門の母」は、例年以上に強い圧力を受けています。
今年から前線での仕事を引き受けた「天安門の母」のメンバー、尤維潔さんによると、関係者は全員監視されており、「天安門の母」の発起人、丁子霖さん夫妻は、江蘇省に足止めされています。恒例の追悼イベントが行えないばかりか、1年に1回の公開状も発表できません。
現在、北京で軟禁されている人権活動家、胡佳さんは、天安門事件25周年の活動は、歴史に対する責任だと主張します。そこで、事件が起きた6月4日、黒い服を着て、北京にいる人は、殺戮の現場や天安門広場に戻って、写真を撮りネットに載せるよう呼びかけました。
「北京の春」「公民のパワー」など、多くの中国内外の民主化団体も「世界で天安門事件を追悼するネット大会」を呼びかけています。この大会は5月31日午前8時から午後2時まで、6時間連続で中国内外をつなぎます。大陸の中国人にも参加を呼びかけました。
北京の民主活動家 胡佳さん
「当時 人々は様々な政治改革を求めました。共産党の官僚の収入の公開や民主、自由、腐敗反対など。若者もブログなどを通じ、この悲劇を知ることができます。今 社会の矛盾が激化していますが、この矛盾は昔からあると、国民に伝えるべきです」
胡佳さんはまた、この25年間で、中共体制は中国に危害をもたらすことが証明されたと述べました。当時の政治改革の要求は今なお実現していません。官僚の資産の公開を求めた「新公民権運動」は、徹底的に弾圧され、運動の組織者の多くが有罪判決を受けました。
新唐人テレビがお伝えしました。
(翻訳/河合 ナレーター/村上 映像編集/工)
【その四】2014年05月13日
【禁聞】天安門事件25周年を前に見せしめ逮捕が横行
http://jp.ntdtv.com/news/10730/
天安門事件25周年を前にして、ベテラン記者の高瑜さんや人権派弁護士の浦志強氏など、影響力の大きい各界の人物が逮捕されました。なぜ、国際的にも有名で、活躍を続ける彼らが集中的に逮捕されたのでしょうか。
5月3日、中国の学者や人権派弁護士、天安門事件の犠牲者の家族などにより、北京で天安門事件の記念シンポジウムが開かれ、真相究明が呼びかけられました。
シンポジウムがネットで公開されると、参加者はほぼ全員、警察に出頭を求められたり、家宅捜索に遭ったりしました。
人権派弁護士の浦志強氏、中国社会科学院の研究員、徐友漁氏、北京電影学院の郝建教授、女性作家の劉荻さん、天安門事件の再評価を求める胡石根氏など5人が、北京の公安当局に「騒動を挑発した罪」で拘留されました。
また、勇敢な発言で知られる北京のベテラン記者、高瑜さんが4月末に失踪しました。そして5月8日、70歳の高齢の彼女は、国営テレビで「国家機密」を漏らしたと「罪を認め」ましたが、映像にはモザイクがかけられていました。
これについて香港の「アップルデイリー」は、年老いた女性と司法を辱める行為だとし、中共当局は正気ではないと批評しました。
一方、「ロサンゼルス・タイムズ」は、最も尊敬されるべき中国人記者の高瑜さんがカメラの前で「罪を認める」など、実に皮肉だと指摘しました。
アメリカ在住の中国人民主活動家、鄭存柱さんは、中共当局はこの25年、ずっと天安門事件の真相を隠し続け、特に若者に関心を持たれるのを恐れているため、事件の真相を伝えようとする人たちを弾圧していると述べました。
民主活動家 鄭存柱さん
「高瑜さんの逮捕は当局の口実です。6月4日を前に、事件の真相を伝える人や注目を浴びる人を制御しています」
高瑜さんは1988年当時、「経済学週報」の副編集長でしたが、天安門事件により逮捕され、1993年には、国家機密漏えい罪で6年の懲役刑が下されました。
また1995年以来、勇気あるジャーナリストとして、幾度も国際的な賞を獲得しています。
報道によると、高瑜さんが漏らしたとされる「国家機密」は、「西側の憲政、普遍的な価値観、公民社会、新自由主義や西側メディアの考え方などを広めてはならない」ことをテーマとする9号文書だそうです。
趙紫陽元国家主席の秘書を務めた鮑彤氏は、高瑜さんの逮捕について、裁かれるべきなのは政府のほうだと述べます。
趙紫陽元国家主席の秘書 鮑彤氏
「9号文書の内容が正しければ、漏れても恐れることはない。裁かれるべきは高瑜さんではなく、政府や裁判所です。法律を無視するどころか、踏みにじっているのでは?」
北京大学の焦国標元副教授は、天安門事件の再発を防ぐために、高瑜さんなどを逮捕して、恐怖を広く振りまいていると指摘します。
北京大学 焦国標元副教授
「6月4日を前に勇敢に発言する人を抑えれば、6月4日が来ても、事態を制御できます」
「アップルデイリー」は、周永康事件の影響が広がり続け、当局の高官のスキャンダルが絶えず、「テロ」も頻発している状況で、当局は腐敗にもテロにも有効な手を打てていないため、政府に反対する者を弾圧し、市民の関心を移すことは、高官の誰もが望むことだと指摘しました。
さらに、当局が天安門事件の再評価を求めてきた高瑜さんや国際的にも有名な人権派弁護士の浦志強氏などを逮捕したことは、見せしめのための処罰だとも述べています。
新唐人テレビがお伝えしました。
(翻訳/河合 ナレーター/佐藤 映像編集/工)
06 07 (土) 時代遅れな日米同盟 … 田中宇の国際ニュース解説(2014年4月23日) …
米国で、公的なインフレ統計から外されている食料品の価格が今年に入って19%も高騰している。報道では今冬以来、米経済が悪いのを大寒波のせいにして「ぜんぶ雪のせいだ」と、どこかの鉄道の宣伝文句のような理由づけが行われており、食品の高騰も、天候不順による不作や、加州などの(「全部温暖化のせいだ」的な)かんばつが理由とされている。 (U.S. food prices up 19 percent in 2014, increasing inflation feared) (Long winter leaves dollar bulls shivering)
米政府発表の食料価格は11年以来の3年間で合計6・1%しか上がっていないが、先物相場の影響を除外した実体に近い食品のスポット価格は年初来19%の高騰をしている。品目別に見ても、牛ひき肉16・8%、鶏肉18・4%、ベーコン22・8%の値上がりで、米国の消費者の多くが物価の高騰を感じている。ガソリンなど燃料の値上がりによるコスト高、ドルの過剰発行の影響による国際的な食料価格の上昇なども要因となっている。 (The Real Inflation Fear - US Food Prices Are Up 19% In 2014) (Food prices soar as incomes stand still) (Inflation Alert: Grocers Are Starting To Pass Along Their)
米国民の多くは、給料が上がらないのに食費や交通費(ガソリン代)が値上がりし、生活が苦しくなっている。米国では新しい皆保険的な公的健康保険制度「オバマケア」が始まり、米国民の健康保険料を下げるはずだったのに、オバマケアに移行した米国民の健康保険料が平均で12%も高騰していることがわかった。米国民は、生活苦が増大し、いずれ大都市で暴動が起きると予測されている。 (Ready For The Price Of Food To More Than Double By The End Of This Decade?) (Survey: US sees sharpest health insurance premium increases in years) (Trend Analyst: "Yes, There Will Be Riots In Major Cities")
今は統計上、先進諸国はすべてインフレ率が低く、米連銀主導の通貨過剰発行策(QE)によって金利も低く抑えられている。しかし金融界では、QEがインフレや金利の高騰に結びつく懸念が指摘され、すでに昨年から「今後の長期傾向は金利高だ」と言われている。各国の中央銀行がリスクを恐れて米国債を買い控えるようになり、その穴埋めを米国から頼まれたらしいEUの金融決済機関「ユーロクリア」が、大量に米国債を買い増しし、米国債金利の高騰を何とか抑えている。民間の金融界はジャンク債の大量発行で明らかにバブルが膨張しており、このバブルが崩れるときに金利が反騰する。 (What The Heck Is Going On With US Treasuries In Belgium?) (American subprime lending is back on the road)
ドイツ連銀の総裁は「しだいにインフレがひどくなるだろう」と語っており、米連銀の議長もインフレの懸念に言及している。米国などの今回の食料高騰が、先進諸国でのデフレからインフレへの転換につながらずにすむかどうかが注目される。米国の経済覇権の終わりを以前から予測していたマーク・ファーバーらは「米経済は今年中に崩壊しそうだ」と言っている。 (Bundesbank's Weidmann: Deflation risks are 'pretty limited') (The Reckoning: "All Evidence Points to US Economic Failure in 2014″) (Whole Eastern World Rebelling Against The U.S. dollar)
経済が崩壊過程にあるのは米国だけでない。日本もだ。輸出の不振から貿易赤字が急増し、少し前まで日本が輸出大国だったのがウソのようだ。日本も米国も、政府は「経済が回復している」と言うが、プロパガンダにしか聞こえない。国民は逆に経済の悪化を体感している。賃金は21カ月、減少し続けている。私は東京都内の喫茶店をはしごして記事を書くことが多いが、4月の消費増税以来、客の入りが急減した喫茶店がいくつもある。大手チェーン店以外が特にひどい。消費増税は消費を減退させており失策だ。 (Japan's trade deficit quadruples in March)
政府が、公的年金基金の国内株への投資を増やすと決めたが、バブルで最高値水準にある株を買って長期の利益を出せるはずがない。日本政府は、短期の株価テコ入れ策のために、国民の年金を犠牲にしている。日米とも当局が「雇用は回復している」と言うが、日本では、正社員を採らず切りやすい派遣社員を増やし、正社員は無賃残業が増える傾向だ。米国も雇用増はフルタイムをパートに切り替えているからで、日米ともに雇用環境が急速に悪化している。 (Pension fund torrent makes shorting Japan high risk)
日米双方の経済が実質的に悪化する中で、米国からオバマ大統領が訪日する。オバマ政権は、3年前に始めた「アジア重視策(中国包囲網)」の巻き直しをやりたがっている。オバマのアジア重視策は、日本やASEANなど中国の台頭に脅威を感じるアジア諸国に対し「米国の軍事力で中国の脅威から守ってやるから、経済面で市場開放などを言うとおりにやって米国(米企業)を儲けさせてくれ」と持ちかける軍事と経済利権のバーター戦略だ。利権獲得の中心がTPPだ。 (On upcoming trip, Obama will try to pivot to Asia - again)
しかしTPPの交渉は、日米間がまとまらず、頓挫している。頓挫の原因は、米国側が、農産物市場の開放について日本側に無茶な要求をして譲歩しないからだ。日本が提案する牛肉市場の漸進的な開放について、米国は拒否したが、オーストラリアは喜んで飛びつき、日豪の貿易協定だけ先に締結された。 (Japan-Australia trade deal is dismissed by the US)
TPPやTTIP(米欧自由貿易協定)の本質は、米国などの国際的な大企業が、日本など対米従属の諸国の政府よりも大きな権限を持ち、日本などの政府が定めた貿易政策を、大企業の息がかかった判事たちが審判する国際法廷で無効化できることだ。これは、企業が国家の政策をくつがえせる新たな世界秩序の創設を意味する。フランス革命以来の近現代世界の建前は、国家が人類最高の権力機構である。国家をくつがえせるのは、諸国が集まって作った国連の安保理事会だけだ。冷戦後、EUが超国家的な権力機構として出現したり、国際NGOが国策を批判し改変させる勢力として現れたりして、国家以外の権力が増える一種の「多極化」が起きているが、企業が国策を改変できるTPPやTTIPも、この流れの一つだ。 (WTOの希望とTPPの絶望)
米国自身、TPPやTTIPの交渉の戦略を立てているのは米国の大企業群や業界団体の要員で、彼らの代表がオバマの側近の貿易交渉担当者と話し合って米国の方針を決定しており、国家権力の決定機関である議会はほとんど外されている。米国では次期大統領選挙に向けて政治資金規制法が改定され、米企業が政治献金で大統領を操れる傾向が今後さらに増すことが確定している。企業の方針は国民の民意と関係なく、資本家の意向にだけ従うから、TPPやTTIPが象徴する新体制は、世界的な「企業独裁」「資本家独裁」である(米国は昔から資本家による隠然独裁の国だが)。たとえオバマ政権が農産物問題で対日譲歩したくても、米国の農業団体などが強硬姿勢である限り譲歩できない。 (Tokyo TPP talks end in stalemate)
TTIPのEU側の交渉の主導役であるドイツは、米国側が主張する、国策をくつがえせる国際法廷(ISDS)をTTIPに盛り込むことを拒否し始めている。ISDSの条項が拒否されるなら、米国側はTTIPを締結しないだろう。TTIPは失敗に向かっている。日米の交渉頓挫でTPPの実現も困難だ。TPPやTTIPは、選挙で選ばれわけでもない大企業や資本家に国策を決める権力を移譲する「非民主的」な体制だから、失敗した方が、日米など加盟各国の国民を不幸にせずにすむ。 (TTIP Undermines Democratic Norms) (国際情勢の四月馬鹿化)
最近日本では集団的自衛権、つまり米国が「自衛的な」戦争をするとき(米国の戦争は、濡れ衣に基づくイラク侵攻ですら、テロ対策として「自衛」だった)、日本が米軍と並んで出兵できるようにすることが議論されている。米国のアジア重視策の中で、日本の集団的自衛権は、TPPと表裏の関係にある。米国は「日本が米企業を儲けさせる市場開放をできないなら、代わりに、日本が米国の要請に応じて海外派兵できるようにして、アジア(やその他の地域)における米国の軍事負担を減らしてくれ」と要求しているからだ。 (Despite doubts, Japan prepares end to ban on defending allies)
米国の国際大企業にとって、高齢化する成熟社会である日本市場は、これから儲かる市場でない。アジアにおいてこれから儲かる最大の市場は、日米が敵視する中国である。米国は一方で「中国包囲網」と銘打って日本やASEANでの儲けを拡大しようとしているが、その一方で中国との経済関係も拡大したい。だから米国は、中国を敵視する姿勢をとりつつも、軍事交流や戦略提携を含む中国との外交関係を重視せざるを得ない。オバマ政権のアジア重視策は、イメージやうたい文句に偏重した、実体が曖昧で中身が矛盾したものになっている。 (Obama's Asia policy is distracted and ambiguous)
日米中を含む西太平洋諸国は、1年おきに海軍シンポジウムを開いており、今年は中国が主催国だ(青島で開催)。参加各国の海軍艦が主催国に集まり、観艦式が行われるのが通例だった。米国はことし中国に海軍艦を派遣する予定だった。ところが中国は、日中関係の悪化を受け、日本に海軍艦の派遣を要請しなかったため、孤立を恐れた日本が米国に頼み、米国も軍艦を中国に派遣するのをやめた(中国はその後、観艦式自体を中止した)。中国は、米国が経済面から中国との関係を悪化させたくないことを利用して、日本を孤立させようとしている。同種の事案は昨年末、中国が東シナ海に防衛識別圏を設定したときにも起きた。 (In a Test of Wills With China, U.S. Sticks Up for Japan) (米国にはしごを外されそうな日本)
米国は最近、スローガンすら中国に引っ張られがちだ。中国政府は最近、米中関係を「大国関係の新規範」と名づけようと米国に提案し、米中が世界の模範であるというこの呼び名(new model of great-power relations)を、米国のバイデン副大統領とライス安保補佐官が演説の中で使った。米政府は前政権時代、米中関係に「世界の2大国」を意味する「G2」という呼び名をつけ、中国側にG2の名称を使おうと提案したが、時期尚早と断られた。今回、中国側から似たような提案を受け、米国の2人の高官が「大国関係の新規範」を公式に使った。「日米こそ大国関係の模範」と思っている日本の政府は、米高官が日米でなく米中を大国関係の模範だと公言してしまったことに、不満を表明した。 (Asian diplomacy: Pivotal moment)
日本も米国も経済が衰退している。米国は、衰退する日本と組むより、何億人もの貧困層が中産階級になって消費が急拡大しつある中国やインドなどBRICSと組んだ方が良い。日本も、衰退する米国に従属し続けるより、BRICS、特に近くにある中国との経済関係を強化するのが良い。対米従属を持続が日本国内での権力維持の基盤にある官僚機構(や傘下のマスコミ)は、オバマ訪日を受け、日米同盟(対米従属)こそ日本の繁栄の基礎と喧伝するが、世界の現実は全く違う。
中国の裁判所が戦争賠償関連の判決がらみで日本の商船三井の運搬船を差し押さえた件で「日本企業が中国に寄りつかなくなって中国経済が崩壊する」と報じられたが、実際のところ話は逆で、中国との経済関係を縮小して不利益になるのは日本の方だ。中国は、BRICSなど新興諸国との経済関係が急拡大しており、長期的に、日本との経済関係が重要でなくなる方向だ。 (China seizes Japanese cargo ship over pre-war debt)
BRICS諸国は従来、相互にゆるやかな関係しか持っていなかったが、ウクライナ危機でロシアが中国への接近を強めるとともに、世界を混乱させる過激な米国の単独覇権体制より、BRICSが結束して多極型の世界秩序に移行した方が良いと考える方に引っ張られている。 (ウクライナ危機は日英イスラエルの転機) (プーチンを強め、米国を弱めるウクライナ騒動)
インドはこれまで、BRICSの中でも対米従属の色彩がある国だったが、いまインド各地を巡業して行われている総選挙(4月7日から開始、5月16日開票)で、下馬評どおり右派の人民党(BJP)が勝って党首のナレンドラ・モディが首相になると、インドは反米・親中国の傾向に転じる。モディは01年にインド西部のグジャラート州の首相になって以来、中国と親密な関係にあり、中国から同州への投資が急増した。モディが訪中すると中国は国賓級の扱いをするし、昨秋モディが首相候補になったとたん、中国はインドへの投資を3割増やすと発表した。 (New China-India era no shoo-in under Modi)
ヒンドゥ教至上主義の人民党を率いるモディは反イスラムの傾向があるとされ、02年にグジャラート州で起きた反イスラム暴動を黙認したとして米国がモディを非難してビザ発給を停止した。それ以来モディは米国を嫌っており、最近も「米国には何の関心もない。首相として訪米するとしたら、ニューヨークの国連本部に行くときだけだ」と語っている。モディのインドが反米親中に転じると、BRICSは米国の覇権を終わらせようとする戦略を強めるだろう。ブラジルも、NSAスパイ事件などで米国を嫌う傾向を強めている。 (How Obama lost friends and influence in the Brics)
オバマはBRICSと協調する戦略を採ってきたが、協調に失敗している。ウクライナ危機後、米国は、中印に接近してロシアを孤立化しようとしたが、中国との接近は日本に反対され、インドも反米首相の誕生が確定的だ。BRICSは、米国と協調でなく対抗する気運を強めているが、国際大企業にとって大事な市場であるBRICS(特に中印ブラジル)を、米国は邪険にできない。オバマはアジア重視策も、BRICSに対する政策も腰が引けたまま、覇権を失いかけている。 (BRICS countries to set up their own IMF)
多極化と中国の台頭、米覇権の衰退が加速する中で、米国の単独覇権体制の一部である日米同盟(日本の対米従属)は、時代遅れのものになりつつある。FTですら、そのように指摘する記事を、オバマ訪日に際して出している。 (Asian diplomacy: Pivotal moment)
しかし日本は、自力で対米従属から離脱できそうもない。08年に対米従属を離脱しようとした鳩山政権が官僚機構に潰され、その後、対米従属の堅持とその裏面である中国敵視を旨とする安倍政権ができたことで、日本の権力は、対米従属を大黒柱とする官僚独裁体制が再確立している。日本では、対米従属(日米同盟)が時代遅れになりつつあることも、国民に知らされていない。日本人は、何が元凶かわからないまま、ずっと衰退の中で生きることになる。
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