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折々の記 2014 ⑧
【心に浮かぶよしなしごと】

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【 04 】10/02

  10 02 今日の朝日社説   
  10 03 13億の国民を抱える中国の政治機構   ガタガタの人権
  10 04 感情のコントロール   プロパガンダの横行

 10 02 (木) 今日の朝日社説   

2014年10月2日05時 朝日
(社説)大学への脅迫 暴力は、許さない
    http://digital.asahi.com/articles/DA3S11380593.html

 自由にものを言う。

 学びたいことを学ぶ。

 それらを暴力によって押しつぶそうとする行為を、許すわけにはいかない。

 かつて慰安婦報道に関わった元朝日新聞記者が教授を務める帝塚山学院大(大阪狭山市)に9月、別の元記者が非常勤講師を務める北星学園大(札幌市)には5月と7月、それぞれの退職を要求し、応じなければ学生に危害を加えるという趣旨の脅迫文が届いた。警察が威力業務妨害の疑いで調べている。

 「辞めさせなければ学生に痛い目に遭ってもらう。釘を入れたガス爆弾を爆発させる」

 「元記者を辞めさせなければ天誅(てんちゅう)として学生を痛めつける」

 北星学園大には、「爆弾を仕掛ける」という内容の電話もあったという。

 攻撃の対象は元記者本人にとどまらない。家族までもがネット上に顔写真や実名をさらされ、「自殺するまで追い込むしかない」「日本から出て行け」などと書き込まれた。

 朝日新聞は8月、過去の慰安婦報道について、女性を強制連行したと証言した吉田清治氏(故人)に関する記事を取り消した。間違った記事を掲載してしまったことに対して多くの批判が寄せられており、真摯(しんし)に受け止めている。

 しかし、だからといって学生を「人質」に、気に入らない相手や、自分と異なる考えを持つ者を力ずくで排除しようとする、そんな卑劣な行いを座視するわけにはいかない。このようなことを放任していては、民主主義社会の土台が掘り崩されてしまうだろう。

 「反日朝日は五十年前にかえれ」。1987年5月3日、朝日新聞阪神支局に男が押し入り散弾銃を発砲、記者1人が殺害された。犯行声明に使われた「反日」は、当時はあまり耳慣れない言葉だった。

 あれから27年。ネットや雑誌には「反日」「売国奴」「国賊」などの言葉が平然と躍っている。社会はますます寛容さを失い、異なる価値観に対して攻撃的になってはいないか。

 意見を述べ合い、批判し合う自由こそが社会を強く、豊かにする。戦後約70年をかけて日本が築きあげてきた、多様な言論や価値観が交錯する社会を守りたい、暴力に屈することのない社会をつくっていきたいと、改めて思う。

 朝日新聞への批判から逃げるつもりはない。しかし、暴力は許さないという思いは共にしてほしい。この社会の、ひとりひとりの自由を守るために。

◆この記事に関するニュース

  大学への脅迫―暴力は、許さない(10/2)
  帝塚山学院大に脅迫文 元朝日記者教授の退職要求 慰安婦報道巡り(9/30)
  帝塚山学院大に脅迫文 元朝日記者教授の退職要求(9/30)
  菅氏「強制連行の資料なし、国連に立場を説明」(9/5)



2014年10月2日05時00分 朝日
(社説)日銀短観 経済は分断されるのか
    http://digital.asahi.com/articles/DA3S11380576.html

 円安の恩恵を受けられるかどうかで、景況感も分かれてしまう。それが、いまの日本経済、そしてアベノミクスの現実のようだ。

 日銀短観の9月調査で、大企業・製造業の業況判断指数が2四半期ぶりに改善した。しかし同じ製造業でも、中堅企業や中小企業では指数が悪化し、特に中小企業では1年ぶりにマイナスに落ち込んだ。円安が収益改善につながるグローバル企業と違い、中小企業にとって円安は、輸入原材料の価格高騰につながるなど負の側面も多い。

 非製造業では、大企業でも中堅、中小企業でも景況感は悪化した。非製造業が頼る内需がふるわないからだ。

 心配なのは個人消費だ。総務省の家計調査によると、消費支出は4月から8月まで5カ月連続で前年同月を下回り続けている。東日本大震災があった2011年3月から11月まで9カ月連続でマイナスを記録して以来の長期の低迷だ。

 消費増税前の駆け込み需要の反動や、夏場の天候不順など不振の理由はいくつかある。中でも大きいのは、賃金が十分に伸びていないことだ。名目の給与総額は増えている。しかし物価上昇分を差し引いた実質賃金は昨年7月以降、前年を下回り続けている。

 特に苦しいのは低所得層だ。家計調査をもとに所得階層ごとの消費の増減を、三菱UFJリサーチ&コンサルティングが分析したところ、低所得層では消費増税前の駆け込み消費は少なかったのに、増税後の支出は大きく落ち込んでいる。駆け込み消費が多かったうえに、増税後も消費が増えている高所得層と対照的だ。

 消費の低迷は、生産にも影響し始めた。8月の鉱工業生産指数は2カ月ぶりに低下している。

 大胆な金融緩和でデフレから脱却し、円安で収益が改善した企業が設備投資や賃金を増やし、経済全体が潤う。アベノミクスが描く成長の姿だ。安倍首相は「経済の好循環が生まれ始めている」と強調する。もちろん、今回の日銀短観にも、企業の設備投資計画が上方修正されるなど、明るい材料はある。

 しかし、現状では、賃金は上昇しているものの物価上昇には追いつかず、消費が縮み、生産も減少、そこに円安で物価が上昇するという、悪循環が生じかねない。

 産業界も消費者もアベノミクスの恩恵が偏在して分断されていないのか。政策当局には一層の目配りが必要になっている。

◆この記事に関するニュース

  日銀短観―経済は分断されるのか(10/2)
  給与増でも物価高 実質賃金、13カ月連続減少(9/3)
  日本の経済―「民間主導」へ正念場だ(8/14)
  GDP、年率6.8%減 4~6月期 震災以来の下げ幅(8/13)
  景気、確信持てぬ夏 多い上向き予想、でも短観悪化 増税影響、業種に差(7/2)
  宮崎)子牛の価格高騰、肥育農家に打撃も(4/24)
  黒田緩和1年―自縄自縛の危うさ(4/7)
  (消費増税8%)悪化か回復か、景気減速後が焦点(4/1)


 10 03 (金) 13億の国民を抱える中国の政治機構   ガタガタの人権

2014年10月3日05時00分
香港デモ、米中に火種 行政側、民主派と対話も
    http://digital.asahi.com/articles/DA3S11382621.html

 米国のオバマ大統領は1日、訪米した中国の王毅(ワンイー)外相と会談し、選挙制度改革を巡り香港で続く抗議デモについて「普通選挙(の実施)や香港市民の志を支持する」と、抗議運動を支持する立場を表明した。王氏は「内政干渉だ」と強く反発。香港の民主化問題が米中の外交課題に浮上した形で、11月に予定される米中首脳会談でも対立の火種となる可能性がある。▼2面=米中の思惑、16面=社説

 オバマ氏は、王氏とライス大統領補佐官(国家安全保障担当)との会談に同席し、市民による抗議活動への支持を表明した。

 中国外務省によると、王氏は「香港の問題は完全に中国の内政であり、外部の勢力が干渉する権利はない」と反発。「一部の者が良からぬ意図を持って不法な集会を開き、社会秩序を脅かしているというのが、今、香港で起きていることの核心だ」と、香港民主派の動きを批判し、「米国が言動を慎み、外部に誤ったシグナルを送らないよう要求する」と述べた。

 梁振英・香港行政長官は2日深夜に記者会見し、学生側の求めに応じ、普通選挙改革について香港政府ナンバー2の政務司長と民主派学生団体との対話を行うことを約束した。ただ、「あらゆる対話は中国側の決定に沿った形で進める」としており、これまでの方針を変えない姿勢を示した。また、「私は辞任しない」とも述べた。

 香港の民主派は連休最終日の2日も、市内中心部の主要道路で占拠を続けている。学生団体は「2日中に梁長官が辞任しなければ、政府機関を占拠、包囲する」と予告。警察は「政府機関が包囲されれば、果断に対処する」と、強制排除の可能性も示していた。

 (ワシントン=奥寺淳、北京=林望、香港=延与光貞)

 ◆キーワード

 <香港の抗議運動> 香港トップを選ぶ行政長官選挙をめぐり、中国側が示した選挙改革案に民主派が反発したことが発端。中国側が8月に示した改革案は、2017年から18歳以上の住民に選挙権を与える一方、新設の指名委員会が候補者を選別するなどして、中国に批判的な民主派の立候補を事実上封じる内容だ。9月28日未明、民主派の学生らが主導し、アジア屈指の金融街「中環」の占拠をスローガンに大規模な抗議を開始。主要道路が封鎖されるなど市民生活や経済に影響が出ている。

 ◆この記事に関するニュース

  (時時刻刻)米、世論受けデモ支持 香港民主派抗議(10/3)
  オバマ氏「香港市民支持」 中国外相「内政干渉だ」 民主派デモ(10/2)
  香港占拠デモ、規模ふくらむ 解決の見通し立たず(10/2)
  金融街、道路封鎖続く 香港のデモ、生活に影響も(9/30)
  香港占拠、米英は民主派ら支持 双方に冷静な対応求める(9/30)
  香港占拠、金融街に拡大 民主派デモ、逮捕89人に(9/30)
  香港占拠、金融街に拡大 民主派抗議、逮捕89人に(9/30)
  数万人、香港中心部を占拠 行政長官選挙巡る抗議活動(9/29)



2面=米中の思惑
(時時刻刻)米、世論受けデモ支持 香港民主派抗議
    http://digital.asahi.com/articles/DA3S11382579.html

写真・図版 【香港のデモをめぐる構図】

 香港の民主派による抗議運動が米中間の外交課題に発展してきた。米国内の世論を背景にオバマ政権が中国を強く牽制(けんせい)する一方、中国側は「内政干渉だ」と反発して一歩も引かない。ただ、各国首脳を招いて11月に北京で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)などを控える中国政府は、抗議運動への難しい対応を迫られている。▼1面参照

 ◆集会、世界各地に飛び火

 王毅(ワンイー)外相がワシントンを訪問したのは、11月に北京で開く米中首脳会談の成功に向けた調整が大きな目的だった。ところが9月末、数万人の学生らが香港中心部の幹線道路を埋め尽くす事態となり、訪問の色彩はがらりと変わった。

 王氏とライス大統領補佐官との会談に、オバマ氏が突然同席。王氏に直接、「香港市民の志を支持する」と伝えた。

 また、ケリー国務長官は王氏との会談前、香港の問題を話し合うのは「疑いがない」と強調。香港当局が抑制し、デモ参加者の権利を尊重するよう求めた。

 こうした展開に、王氏は終始、険しい表情を崩さなかった。

 米政権の首脳が相次いで市民を支持した背景には、デモに参加する香港の学生らに同情的な世論の高まりがある。学生らが求めているのは、「民主主義」「表現の自由」「普通選挙」といった、欧米社会では根幹の価値観。これらが中国政府によって否定されていると、とらえられている。

 米主要紙も連日、大きく報じている。ニューヨーク・タイムズ紙は1日、「リーダー不在だが、秩序だった抗議活動」と題した特集を1面に掲載。CNNテレビは、警官隊の催涙ガスが学生を覆う映像を繰り返し放映。民主化を求めた学生が軍に鎮圧された1989年の天安門事件の映像と比較した。

 香港の抗議デモを支持する市民集会は、米ロサンゼルスやシンガポール、フィリピンなど世界各地に広がっている。

 97年の中国返還まで香港を統治していた英国では今年、84年に英中が香港の返還と、返還後50年間は高度な自治を認める「一国二制度」とすることを決めた共同宣言に調印して30年の節目。キャメロン英首相は9月30日、「事態を深く懸念しており、解決を望む」と発言。クレッグ副首相は同日、普通選挙実施を否定した中国政府の対応に「失望と不安」を表明するため、劉暁明駐英中国大使に緊急会談を申し入れた。

 (ワシントン=奥寺淳、ロンドン=渡辺志帆)

 ◆中国は硬化、収拾見えず

 「香港とマカオの同胞は、祖国の大家族の中で、より明るい未来をつくり出せるはずだ」

 習近平(シーチンピン)国家主席は先月30日、国慶節(建国記念の日)を祝う演説で、中国と香港政府の下での団結を香港市民に訴えた。

 急進的な民主派勢力の呼びかけに市民が応じて混乱が広がり、米英などの介入を招く――。香港の現状は中国が最も懸念していたシナリオに近づいている。

 中国政府は今回のデモを「ごく少数の者の扇動による不法な集会」として厳しい態度で対応する構えだ。

 中国共産党機関紙の人民日報は1日の論評で「意図を持って法治に対抗し、騒ぎを起こした者たちは、その結果に責任を負わねばならない」と主張。人権団体「アムネスティ・インターナショナル」によると、中国のネットでデモを支持したユーザーが少なくとも20人拘束された。

 中国は党指導部の意向を踏まえて決定した改革方針を改めるつもりはない。

 全国人民代表大会(全人代)常務委の李飛副秘書長は8月の会見で、香港民主派が改革方針を受け入れなければ、「もう香港にチャンスは回ってこないだろう」と明言。廃案にして、業界団体代表ら選挙委員(1200人)しか投票権を持たない現状の選挙制度のままとし、その責任を民主派にかぶせる構えだ。

 人民日報傘下のサイト「人民網」は「一部の民主派人士は事前に米英を訪れて海外反中勢力に支持を求めている」と警告。英国には「(香港を植民地としていた)150年間に、香港同胞に一日たりとも実のある民主を与えてこなかったではないか」と批判した。

 米英の指導者が民主派への「支持」を鮮明にしたことは、香港の民主化問題が外交的、イデオロギー的な対立に発展することを意味し、中国は一層態度をこわばらせる可能性がある。

 しかし、中国にも事態収拾の道筋が見えているわけではない。中国の軍や武装警察の出動といった状況になれば、「天安門事件の再来」として香港社会と国際世論の厳しい批判を受けるのは必至。11月の北京APECを前に各国との関係悪化は避けたいのが本音だ。

 中国は「香港政府には法に基づき事態を処理する完全な能力がある」(王毅外相)としてデモ隊の強制排除などの強硬措置は表向き、香港当局に委ねる構え。一方、香港の議員や財界などを通した水面下の世論工作に力を入れるものとみられる。

 (北京=林望)

 ◆庁舎前に学生ら集結

 「これまでほとんど世界には注目されてこなかった。国際社会が関心を持ってくれれば、香港や中国政府へのプレッシャーになる。自分たちがやってきたことにも自信が持てた」

 2日午後、金鐘(アドミラルティ)にある政府庁舎前の抗議活動に参加していた香港中文大学2年の江天楽さん(20)は、オバマ氏が香港の抗議デモに触れたことを素直に喜んだ。

 市内中心部で幹線道路の占拠が始まって5日目。占拠デモの参加者は数万とも数十万とも言われている。「雨傘革命」との名前にちなみ、あちこちに傘が置かれている。

 2日は、「梁振英長官が辞任しなければ、政府機関を包囲する」と予告した期限となる日だ。政府庁舎前には、午後から多くの学生や市民が集結。警察車両が入ろうとするのを阻止する場面もあった。警察はその後、プラスチック弾や催涙弾を庁舎に持ち込んだとの報道も出ている。

 一方、繁華街などでは、抗議活動に反発する市民が、座り込む学生らにくってかかる場面も見られるようになった。

 (香港=延与光貞)

 ◆この記事に関するニュース

  香港デモ、米中に火種 行政側、民主派と対話も(10/3)
  (社説)香港デモ 長官選のあり方再考を(10/3)
  香港デモ―長官選のあり方再考を(10/3)
  オバマ氏「香港市民支持」 中国外相「内政干渉だ」 民主派デモ(10/2)
  香港占拠デモ、膨らむ 国慶節 抗議に反対の市民も(10/2)
  香港占拠デモ、規模ふくらむ 解決の見通し立たず(10/2)
  香港、長期戦 占拠や抗議ストが拡大 観光・経済に打撃(10/1)
  香港占拠、米英は民主派ら支持 双方に冷静な対応求める(9/30)



16面=社説
香港デモ 長官選のあり方再考を
    http://digital.asahi.com/articles/DA3S11382540.html

 「雨傘革命」と呼ばれる大規模な抗議行動が香港で続いている。警官隊の催涙ガスを傘で防いだことに由来するという。

 中心街の大通りを埋め尽くす人びとの数は、香港の自治が脅かされていることへの危機感を表している。

 過去のデモに比較的穏やかに対処してきた香港警察が今回、催涙ガスを使ったことは、市民の驚きと反発を招いた。さいわい犠牲者は出なかったが、89年の北京・天安門を思い出した人も少なくない。

 警察はこれ以上の実力行使を控えるべきだ。万が一にも、香港駐留の中国軍部隊が出動することがあってはならない。

 今回のデモは、香港トップの行政長官を選ぶ3年後の次期選挙をめぐる対立が招いた。

 香港史上初めて全有権者による普通選挙をすることになっている。問題は、候補者の資格を与えられる人の決め方だ。

 中国と香港当局は、各界代表1200人による指名委員会で候補者を2~3人に絞る制度にしようとしている。事実上、中国寄りの人物しか立候補できなくなり、中国に批判的な民主派は排除される。

 これに反発する学生が立ち上がり、多くの市民が同調した。街頭が長く占拠される事態により経済や観光への影響を心配する声もあるが、これまで学生らは冷静に行動しており、多くの国々にも共感を広げている。

 候補者の事前指名制は、香港の憲法にあたる香港基本法に明記してある。それを実施したまでというのが中国の言い分だ。しかし普通選挙にはそれを支える精神というものがある。立候補をしにくくし、異なる立場、意見の候補者が自由に競うことを妨げる制度は正当性を欠いていると言わざるを得ない。

 中国領になっても、国際金融都市・香港は大陸と異なる自治領域を維持している。この「一国二制度」の知恵が、97年に英国から返還された当時の共産党指導部の選択だった。しかしその後、歴代政権は、残念ながら「二制度」より「一国」を強調しがちだ。

 中国政府はいま、抗議行動の報道を厳しく規制しており、ネットなどで見られないように管理している。香港の動向が大陸各地に影響することを恐れている証拠だろう。

 行政長官選挙の制度設計は見直し、思想や主張にかかわらず、だれにでも立候補の道を開くことを検討すべきだ。それで香港の自治と繁栄がいっそう保障されることはあっても、損なわれることはない。

 ◆この記事に関するニュース

  香港デモ―長官選のあり方再考を(10/3)
  香港、抗議の占拠拡大 銀行営業停止も 長官選改革(9/29)
  数万人、香港中心部を占拠 行政長官選挙巡る抗議活動(9/29)
  香港民主派、中心部占拠を宣言 行政長官選改革案に抗議(9/28)
  香港、逮捕学生74人に 長官選改革巡り、5万人が抗議(9/28)
  (地球24時)行政長官選挙巡りデモ 香港(9/15)
  民主派リーダーら、中国に抗議の剃髪 香港長官選(9/10)
  (社説)香港のトップ 普通選挙と言うけれど(9/3)



2014年9月3日05時00分 (社説)
香港のトップ 普通選挙と言うけれど
    http://digital.asahi.com/articles/DA3S11330252.html

 「一国二制度」のもとにある香港のトップが行政長官だ。3年後に予定される長官選びに際して、初めて普通選挙を実施する、という。普通選挙とは、身分、信仰や財産などによる選挙権の制限をしない制度をいう。ところが中国・習近平(シーチンピン)政権は、候補者をあらかじめ2~3人に絞り込む、という実施案を決め、香港側に示した。これで普通選挙と呼べるのか。

 これまでは、経済界代表などからなる1200人の「選挙委員会」が長官を選出していた。それが、初めて広く市民の投票にかけられるのだから、その点だけみれば画期的ではある。

 しかし新制度では、1200人の「指名委員会」をつくり、その過半数の支持がなければ候補者になれない。指名委員会の構成は現在の選挙委員会と同様で、親中派が多数を占めるのが確実という。

 だから候補者を決める段階で、中国政府側の息がかかった人物でないと、リストから排除されかねない。「一定数の市民の推薦があれば立候補可能」とする制度を提案してきた民主派団体は強く反発している。


 新制度を通じてうかがえるのは、中国本土とのビジネスで潤う経済界を通じて香港をコントロールしようとする中国政府の姿勢だ。返還以前も中国共産党は統一戦線工作として香港の企業家らを取り込んできている。

 これに対し、「持たざる者」の不満が新制度への反対の声に重なっている。人口700万人の2割が貧困層と言われ、格差は拡大している。中国からの投資で不動産価格が跳ね上がり、家を買えない人々がいる。7月1日の香港返還記念日には、選挙制度の行方を心配する十数万人の市民によるデモがあった。反対派は、香港経済の中枢である金融街・セントラルを占拠すると宣言している。

 普通選挙の実施は、97年までの英国植民地時代と比べれば大きな前進――というのが中国側の言い分だろう。だが香港市民の意識が20年前と同じでもあるまい。誰もが納得して投票できる制度にしなければ、香港社会の亀裂が広がる方向に進んでいくのではないか。

 中国政府側は「国と香港を愛する者」が長官を務めるのが原則、と強調する。なんともあいまいである。

 そんな原則を掲げる裏側には、香港が民主化の一大拠点となって中国全体への影響力を高めることを恐れている事情があるのではないか。新制度をめぐる今回の決定は、そう映る。再考を強く求める。

 10 04 (土) 感情のコントロール   プロパガンダの横行

ヤフー知恵袋
西戎、東夷、南蛮、北狄のそれぞれの意味
    http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1455250979

ヤフーの知恵袋を開くと解りやすい解釈が紹介されている。

 「夷」大きな弓を持つ人たち。恐らく東方民族は弓が達者だったから。

 「戎」もともとは戟を持った兵士や軍装の意味。西方の民族は戦争に強かったからこの文字がついたともいわれています。

 「狄」犬を飼い狩猟を行っていた北方民族。

 「蛮」養蚕をよくする南方の民族。

もともとは他民族を表わす言葉だったに相違ない。 だが、外部からの侵略に苦しんできたから、憎しみを込めた意味合いに使われるようになったのであろう。

こうして言葉によっては本来の意味から外れて感情を付与して使われるようになったものがある。

烏合の衆、有象無象、愛国心や国益にしても、坊主と袈裟にしても、尊崇・敬愛・侮蔑などにしても、人が生きていくうえでの感情の在り方は、千差万別である。

集団帰属の感情にしても、他宗排斥の感情にしても、「一粒の麦もし地に落ちて死なずば、ただ一つにてあらん、死なば多くの実を結ぶべし」にしても、「父母ニ孝ニ兄弟ニ友ニ夫婦相和シ朋友相信シ恭儉己レヲ持シ博愛衆ニ及ホシ」にしても、これらすべて理性や感情により成り立っています。

言葉はこうして本来の理性的な意味と感情を付与した意味の両面を伝えるようになっています。 論語にいう「巧言令色鮮矣仁」にしても、政治上のプロパガンダの手法として故意に使われるようになってきています。

ウィキペディア
プロパガンダ
    http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%91%E3%82%AC%E3%83%B3%E3%83%80

プロパガンダ(英: propaganda)は、特定の思想・世論・意識・行動へ誘導する意図を持った、宣伝行為である。 通常情報戦、心理戦もしくは宣伝戦、世論戦と和訳され、しばしば大きな政治的意味を持つ。

1 概念

あらゆる宣伝や広告、広報活動、政治活動はプロパガンダに含まれ、同義であるとも考えられている。利益追求者(政治家・思想家・企業人など)や利益集団(国家・政党・企業・宗教団体など)、なかでも人々が支持しているということが自らの正当性であると主張する者にとって、支持を勝ち取り維持し続けるためのプロパガンダは重要なものとなる。対立者が存在する者にとってプロパガンダは武器の一つであり、自勢力やその行動の支持を高めるプロパガンダのほかに、敵対勢力の支持を自らに向けるためのもの、または敵対勢力の支持やその行動を失墜させるためのプロパガンダも存在する。

本来のプロパガンダという語は中立的なものであるが、カトリック教会の宗教的なプロパガンダは、敵対勢力からは反感を持って語られるようになり、プロパガンダという語自体が軽蔑的に扱われ、「嘘、歪曲、情報操作、心理操作」と同義と見るようになった。

またプロパガンダを思想用語として用い、積極的に利用したウラジーミル・レーニンとソビエト連邦や、国家社会主義ドイツ労働者党(ナチ党)とナチス・ドイツにおいては、情報統制と組み合わせた大規模なプロパガンダが行われるようになった(詳細は「ナチス・ドイツのプロパガンダ」を参照)。そのため西側諸国ではプロパガンダという言葉を一種の反民主主義的な価値を内包する言葉として利用されることもあるが、実際にはあらゆる国でプロパガンダは用いられており[1]、一方で国家に反対する人々もプロパガンダを用いている。あらゆる政治的権力がプロパガンダを必要としている。

概念意外にも次のような項目で解説が続いています。

2 プロパガンダの種類
3 プロパガンダ技術
4 歴史
  4.1 国家運営におけるプロパガンダの歴史
5 国策プロパガンダ
  5.1 戦争遂行のためのプロパガンダ
戦争遂行のためのプロパガンダ

国家が戦争を遂行するためには、国民に戦争するしか道がないことを信じ込ませるために
国策プロパガンダが頻繁に行われる。イギリスの政治家アーサー・ポンソンビーは、第一
次世界大戦でイギリス政府が行った戦争プロパガンダを分析して、主張される事に関する
10の要素を以下のように導き出した。

 1. われわれは戦争をしたくはない。
 2. しかし敵側が一方的に戦争を望んだ。
 3. 敵の指導者は悪魔のような人間だ。
 4. われわれは領土や覇権のためではなく、偉大な使命(大義)のために戦う。
 5. そしてこの大義は神聖(崇高)なものである。
 6. われわれも誤って犠牲を出すことがある。だが、敵はわざと残虐行為におよんでいる。
 7. 敵は卑劣な兵器や戦略を用いている。
 8. われわれの受けた被害は小さく、敵に与えた被害は甚大。
 9. 芸術家や知識人も正義の戦いを支持している。
 10. この正義に疑問を投げかける者は裏切り者である。

フランスの歴史学者であるアンヌ・モレリは、この十要素が第一次世界大戦に限らず、あ
らゆる戦争において共通していることを示した。そして、その著作の日本語版の辞の中で
「私たちは、戦争が終わるたびに自分が騙されていたことに気づき、『もう二度と騙され
ないぞ』と心に誓うが、再び戦争が始まると、性懲りもなくまた罠にはまってしまう」

指摘している。
6 使用されるメディア・媒体
  6.1 ~ 6.14
7 ~ 11
集団帰属の感情は、法律に即して個人の生活に直結しています。 ですから事は面倒なのです。


2009年02月18日 逝きし世の面影 ブログ
戦争プロパガンダ10の法則
    http://blog.goo.ne.jp/syokunin-2008/e/d52b2f14446529acb76a2995355c7710

戦争があるたびに、まったく同じプロパガンダが繰り返され、世論が操作されてきた。

戦争が終わると、世論は騙されていたことに気付く。

しかし、次の戦争がはじまると、また同じプロパガンダに騙されてしまう。

今度こそ、プロパガンダは本物だと信じてしまうからだ。

第一次大戦、第二次大戦から湾岸戦争、コソボ紛争、イラク戦争まで10の法則が交戦国双方でどの様に使われて来たかを解説している

「現代人は、かつてのように何でもかんでも信じてしまうわけではない。彼らは、テレビで見たことしか信じないのだ」

このアンヌ・モレリの戦争プロパガンダ10の法則は、戦前の日本に典型的に見出されるが今現在の日本でも十分に通用する。

9・11時件以後のアメリカは『戦争プロパガンダ10の法則』の見本市のような凄まじい有様である。
ウィキペディアが解説しているプロパガンダは、上記のものです。

老生が心配してきたことは、今度成立した安倍自民党は総理を始めとして耳触りのいいプロパガンダが横行していることです。 ことに安倍晋三総理を筆頭として副総理財務大臣の麻生太郎、地方創生担当大臣石破茂の三人が中核になっており、あとは取り巻きの意見を持った人たちだろうと思います。

この現内閣三人の巧言令色、プロパガンダが日本にとっての大きな失政の悔いを遺すものと思うのです。