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折々の記 2014 ⑧
【心に浮かぶよしなしごと】

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【 09 】10/13

  10 13 猛烈な台風19号の情報   アメリカでは「スーパー台風」
  10 13 「神の湖」に異変   異常気象の一現象
  10 13 香港占拠、持久戦   中国の政情
  10 14 NY株価の行方   いやな予感
  10 15 働く アジアという生き方①   ひとつの生き方
  10 15 新聞と言論 社会を単色にはしない   朝日社説

 10 13 (月) 猛烈な台風19号の情報   アメリカでは「スーパー台風」

2014年10月13日5時25分
台風接近、厳戒の西日本 早めの欠航や運休、催し中止も
    http://digital.asahi.com/articles/ASGBD7L3FGBDPTIL015.html?iref=comtop_6_01

 大型で強い台風19号の接近で、西日本の交通は13日、大きく乱れそうだ。イベントの中止や延期も相次いでいる。

 特集:台風・豪雨 ⇒ 

   台風接近、厳戒の西日本 早めの欠航や運休、催し中止も(13/05:12)
   台風19号、13日午前にも九州上陸へ 34人けが (13/01:12)
   沖縄で22人重軽傷、空の便も欠航相次ぐ 台風19号 (13/01:04)
   台風19号「早く過ぎ去って」 強まる風雨、住民ら警戒 (13/00:04)
   両陛下、国体開会式に出席 台風の影響で日程短縮 (12/20:39)
   京阪神のJR在来線、13日夕から全列車運転取りやめ (12/17:18)


 空の便は12日、沖縄や九州発着便を中心に関西空港で22便、大阪(伊丹)空港で45便が欠航した。13日も欠航が相次ぐ見込みだ。

 JR西日本は12日、広島地区の在来線全5線区で、13日正午から全列車の運転を見合わせる、と発表した。担当者は「広島は8月に大きな災害が起きたばかり。台風の進路などを勘案し、早めに対策を決めた」としている。

 東海道新幹線と山陽新幹線、関西の主な私鉄は、13日は始発から通常運行の予定だが、風雨が強まった段階で徐行や運転見合わせの判断をする。

 奈良市の春日大社境内の「鹿苑(ろくえん)」で11日から始まった「鹿の角きり」は、13日分の作業が中止となった。秋に発情期を迎える雄鹿が人を傷つけないよう、江戸時代から続く伝統行事。例年、3日間で約8500人が訪れるという。

 大阪府吹田市の万博記念公園で予定されていたグルメイベント「まんパクin万博」は、13日分を17日に開催する。大阪市中央区の大阪城公園で開かれている「大坂の陣400年天下一祭」は、ご当地キャラやグルメを楽しむ13日の関連行事が中止された。

     ◇

 JR西日本によると、13日午後4時ごろから運転を取りやめる近畿の線区は以下の通り。紀勢線のみ午後3時ごろから取りやめ。

 北陸線(敦賀~長浜)、湖西線(山科~近江塩津)、琵琶湖線(長浜~京都)、京都線(京都~大阪)、神戸線(大阪~姫路)、山陽線(姫路~上郡)、赤穂線(相生~播州赤穂)、学研都市線(木津~京橋)、東西線(京橋~尼崎)、宝塚線(尼崎~新三田)、山陰線(京都~園部)、大阪環状線(全線)、大和路線(JR難波~加茂)、ゆめ咲線(西九条~桜島)、おおさか東線(放出~久宝寺)、阪和線(天王寺~和歌山・鳳~東羽衣)、関西空港線(日根野~関西空港)、奈良線(京都~奈良)、草津線(草津~柘植)、桜井線(奈良~高田)、和歌山線(王寺~和歌山)、関西線(亀山~加茂)、加古川線(加古川~谷川)、姫新線(姫路~上月)、紀勢線(新宮~和歌山)

     ◇

 JR西日本によると、広島・山口地区では、以下の路線と時間で13日の全列車の運転を見合わせる。

・午前10時から

 山陽線(岩国~下関)、山陰線(益田~幡生)、宇部線(新山口~宇部)、美祢線(厚狭~長門市)、小野田線(居能~小野田)、岩徳線(岩国~櫛ケ浜)、山口線(新山口~益田)

・正午から

 山陽線(糸崎~岩国)、呉線(三原~海田市)、福塩線(府中~塩町)、芸備線(備後落合~広島)、可部線(横川~可部)

・取りやめ

 SLやまぐち号、みすゞ潮彩、瀬戸内マリンビュー号


土居貴輝 2014年10月13日01時12分
台風19号、13日午前にも九州上陸へ 34人けが
    http://digital.asahi.com/articles/ASGBD4WMRGBDUTIL00J.html

 大型で強い台風19号は12日、奄美大島の西の東シナ海を北上した。同日夜に進路を東に変えて、13日には強い勢力を保ったまま九州に上陸するおそれがある。

 気象庁は、台風が14日にかけて速度を上げ、日本列島を縦断するコースを予想している。雨や風、波が急激に強まることが予想され、注意を呼びかけている。

 気象庁によると、台風19号は13日午前0時現在、屋久島の西約220キロにあって、1時間に約20キロの速さで北東へ進んでいる。中心の気圧は970ヘクトパスカル、中心付近の最大風速は35メートルで、中心の北側280キロ以内と南側220キロ以内では風速25メートル以上の暴風となっている。

 九州地方には13日午前中に上陸の恐れがある。四国地方には13日夕方から夜に、関東甲信地方には、14日未明から明け方に最も接近するとみられる。

 沖縄県のまとめでは、重軽傷者は26人となった。鹿児島県内では、南さつま市で女性(79)が強風にあおられて転倒し右肩を脱臼するなど計6人が負傷。宮崎県内でも宮崎市で散歩中の男性(87)が転んで頭に軽傷を負うなど2人がけがをした。

 沖縄電力によると、最大約5万3500世帯が停電したが、解消しつつある。九州電力によると、午後5時現在、鹿児島県内で奄美地方を中心に約5万5千戸が停電している。

 沖縄本島地方の避難勧告は順次解除されたが、九州各地で避難勧告が出た。鹿児島県の午後9時現在のまとめによると、鹿児島市や姶良市など4市町で計3411世帯6335人に発令。熊本県人吉市は市内全域の1万5737世帯3万4450人に、宮崎県内でも延岡市など5市町で避難勧告が出された。

 10 13 (月) 「神の湖」に異変   異常気象の一現象

神村正史、須藤大輔 2014年10月13日05時13分
かすむ摩周ブルー 雪のような浮遊物、「神の湖」に異変
    http://digital.asahi.com/articles/ASGB83WKDGB8ULBJ00Q.html?iref=comtop_6_03

 湖岸に沿って水深5~15メートルを潜っていくと、淡い白みを帯びた青が、少しずつ濃い群青の闇へと変わる。深みへと続く急斜面に、外輪山の壁面から崩れた、幹の直径が1メートル近くもありそうな倒木が、幾重にも重なっていた。少なくとも30年ほど前から同じ姿の木もあるという。湖水に栄養分が乏しく、バクテリアが極端に少なくてなかなか分解されないためだ。湖面を見上げると、光のカーテンが波の動きに合わせて揺れ、エゾウグイの銀鱗(ぎんりん)が輝いた。

 1931年、透明度で当時の世界記録となる41・6メートルを観測した北海道・摩周湖。「摩周ブルー」と言われる湖水の透明度は、90年代後半からしばしば20メートルを切るようになった。

 朝日新聞は5月と8月、環境省などの関係機関から特別な許可を得て、国立環境研究所を中心とする研究チームと共同で現地調査を行った。報道機関が湖の中にカメラを入れた例は、ほとんどない。

 今回、8月28日に測ると透明度は18・6メートルだった。低下の主な原因は、微小な植物プランクトンの増加だと研究者らは考えている。霧の発生時に見通しが悪いのと同じ理屈だ。摩周湖でプランクトンが発生する層は水深50メートルほどまで。その下には、世界一透明な水があると考えられてきた。

 ところが、探査カメラを湖の深部へ沈めてみると、「雪」のような浮遊物が無数に映った。

 「こんなものがあったとは。これまでの想定と矛盾してくる」。モニター画面をのぞいていた共同調査のまとめ役、国立環境研究所の田中敦主任研究員がうなった。

 地球温暖化による湖水の循環パターンの変動や人間の手で放たれたヒメマスによる生態系の変化――。アイヌの人々がカムイ・トー(神の湖)と呼んだ湖は今も日本一の透明度だ。ただ、人知れず進行する異変が調査によって浮かび上がってきた。

◆浮遊物、水深50メートルから

 摩周湖の中心近くの複数の地点で、研究員の指示に従い、調査用の小型のボートから、照明をつけたカメラを湖水へ降ろした。

 雪のような浮遊物は、太陽光が届かなくなる水深50メートル前後からはっきりと現れ、最深部まで続く。水中の様子を映し出すモニター画面には、大量に映り、深い所ほど大型化し、数ミリはあるようだ。まるで深海に沈降するプランクトンの死骸などが雪のように見える現象「マリンスノー」だ。

 日本の湖でこのような映像の報告はないという。国立環境研究所の田中敦主任研究員は「この粗大粒子が、湖水を濁らせる物質の相当量を占める可能性があり、ゆっくり沈降していると考えられる」と分析。「静的な世界と考えられていた摩周湖の深部が、実は動的な世界だった」と話した。

 北海道立総合研究機構環境科学研究センターの五十嵐聖貴さんが、採取した湖水を照らし、白く輝く物質を取り出した。植物プランクトンのかけらや花粉など生物由来のものから、判別不能なものまであった。

 五十嵐さんは真っ暗な湖水を照らしたからこそ、見つけられたと推察する。確かにマリンスノーの命名も、研究者らが、潜水艇のライトに海中の浮遊物が白く光るのを見たのがきっかけだったとされる。

 摩周湖の浮遊物を、それにならって名付ければ「レイクスノー」か。沈む速度は肉眼では分からないほどの遅さとみられ、沈み切らずに湖水循環で浮上するものがある可能性もある。

 湖水循環を研究する千葉大教育学部の濱田浩美教授(地理学)は「数十年単位という長いスパンかもしれないが、(粗大な浮遊物が)湖底に沈み切る量よりも、生産される量が多ければ、摩周湖の透明度はどんどん悪くなる」と指摘する。

◆湖水の循環に異変か

 今回の浮遊物の発見は、透明度低下の仕組みについて、研究者に再考を迫っている。新たに浮かんでいる仮説は、地球温暖化の影響とみられる湖水の循環パターンの変化と浮遊物が絡み合うシナリオだ。

 摩周湖は本来、2~4月に全面結氷する。しかし1990年前後から、部分的にしか凍らないか、結氷しない年がしばしば出てきた。

 濱田教授は、元日から2月28日までの日最高気温と日最低気温の合計の数値がマイナス1200付近を下回ると結氷し、それ以上では結氷しない傾向にあると分析する。「温暖化が進めば、近い将来、結氷しなくなるのではないか」と予想する。

 水は温度が約4度の時に比重が最も重い。湖水は表層水がこの温度に達すると順次湖底へ沈む。そして、これより比重が軽い水が深部から浮上してくる。この動きが連続して起き、湖水上下が混じり合うのが循環だ。

 摩周湖では、気温が上がってくる5月ごろと気温下降期の12月ごろにこれが起こる。結氷した年の5月ごろの循環は、厳冬期に氷が容器のふたの役割を果たし、湖水が冷えすぎないため、短期間で終わる。しかし、結氷しないと零下20度を下回ることも珍しくない冷気に湖水全体が過度に冷やされるため、長期間続くことが多い。こうなると、雪のような浮遊物は沈み切らず、巻き上げられ続ける可能性が出てくるというのだ。

 一方、透明度低下の主因とみられるプランクトンにも異変が見られる。浮遊物のもとの姿だった可能性のある植物プランクトンの、微小なサイズの割合が増えたことだ。

 引き金を引いたのは人間だった。

 湖の透明度の世界記録を観測した31年当時、生息する魚はそれ以前に移入されたニジマスだけだった。しかし、68~74年にミジンコなどの動物プランクトンを好むヒメマスも放され、ミジンコを食べ尽くした。それまでミジンコは小さな植物プランクトンを大量に食べていた。「捕食者がいなくなり、微小なプランクトンが増えた。小さなものほど増殖は早い」と五十嵐さんは指摘している。

 流入河川のない摩周湖では、雨や雪がもたらす大気汚染物質もこれらプランクトンの重要な栄養になりうる。周辺には大気汚染物質を大量に排出する施設はないが、巨大な人口を抱える中国など大陸から排出された硫黄酸化物や窒素酸化物、重金属なども注いでいるとみられている。

 その証拠に、日本で使用禁止の殺虫剤ベンゼンヘキサクロライド(BHC)の濃度が挙げられる。摩周湖では83年に最高となり、84年から下がり始めたが、これは中国での製造禁止(83年)と使用禁止(84年)の時期に一致。蒸留水に近い湖水は高感度センサー並みの反応を示す。

◆地球規模で水質に影響

 温暖化が影響を及ぼしているのは、もちろん摩周湖だけではない。生活排水や工場排水などに加えて、地球規模で水質に影響を及ぼす原因となる。

 日本国内の河川や湖沼への影響について、環境省がまとめた報告書によると、過去約30年間で、4477カ所の観測点のうち夏は72%、冬は82%の地点で水温の上昇傾向が認められた。

 すでに一部で、藻の一種アオコの異常発生が確認されている。また摩周湖とは逆に、冬場に結氷しない琵琶湖などでは気温上昇で湖水の循環が弱まっているという。湖底に酸素が行き届かないことによる水質悪化が懸念されている。

 このままのペースで温暖化が進むと今世紀末にはダム湖でも藻類が増殖して、水道水がまずくなる可能性を指摘する研究報告もある。また、集中豪雨が増えると、河川がにごって浄水処理が追いつかなくなると心配されている。

 国際的な関心も高い。3月に横浜市で公表された国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告書は、一部地域で干ばつの頻度が増えるほか水質が悪化するリスクを挙げて、「地球温暖化は水資源をめぐる競争を激化させる」と指摘した。(神村正史、須藤大輔)

     ◇

◆〈摩周湖〉 北海道東部の弟子屈(てしかが)町にあるカルデラ湖。最大水深211メートル、湖面標高351メートル。周囲約20キロ。流入河川も人工工作物もなく、国内で最も、世界的にみても人為的汚染が少ない湖とされる。湖面から高さ130メートル以上の外輪山の崖に囲まれており、湖岸への道はない。外輪山の内側は阿寒国立公園の特別保護地区で、学術調査以外での立ち入りは禁じられている。外輪山上の展望台は北海道有数の観光地で年間約80万人が訪れる。「霧の摩周湖」という歌があるほど、夏場は濃い霧が流れ込むが、年間を通じると8割程度の日で湖面が見えるという。国連環境計画(UNEP)などの国際機関によって進められる地球環境監視システム(GEMS)のベースラインモニタリングステーションに日本の湖沼で唯一登録されている。

 10 13 (月) 香港占拠、持久戦   中国の政情

香港=金順姫、延与光貞 北京=林望 2014年10月13日00時55分
香港占拠、1人1テントで持久戦
    http://digital.asahi.com/articles/ASGBD54VGGBDUHBI00F.html?iref=comtop_6_05

 香港の行政長官選挙の制度改革をめぐり、民主派が抗議の占拠を始めて半月。いったんは合意した香港政府との対話の動きが止まり、学生団体は「1人1テント」運動を呼びかけて長期戦に備えつつある。11日夜から12日朝にかけ、テントが連なる金鐘(アドミラルティ)を歩いた。

 11日夜、政府本部近くにつくられた壇上では演説が続いていた。地べたやテントの中に座った学生らが熱心に聴いている。

 「1人1テント」の求めを受けて、市民からも次々とテントの寄付が届く。ボランティアが「テントを立てる場所が足りなくなる」と心配するほどだ。寄せられたテントは番号を振って管理され、希望者に貸し出されていた。

 車座になっておしゃべりしたり、寝転がってくつろいだり。学園祭のような雰囲気も漂う。

 周りには比較的きれいな公衆トイレや大型の商業施設がある。トイレには誰でも使える洗顔フォームや歯磨き粉が大量に置かれていた。一度に80個のスマートフォンに充電できる場所や、水や食べ物を受け付けて配る物資ステーションもあった。酒を飲む人は見かけなかった。

 勉強のための専用スペースでは学生らが本に目を落とす。17歳の学生、蘇頌然さんは「抗議の人数がいったん減ったことで、政府は学生の力をみくびり、対話を拒否した。団結して、真の普通選挙を勝ち取りたい」と力強い。ただ、「占拠だけで目標を達成するのは無理。これから長い運動が必要だ」とも語った。自宅の両親は、安全を確かめるため夜中に電話してくるという。

 日付が変わっても寝付かない人が多く、ざわめきが夜空に響く。大学1年の女子学生は「占拠で政府に圧力をかけて、市民は覚醒したんだと知らせたい。占拠は政治制度を変えるための第一歩。別の形になっても戦い続ける」と言った。

 午前1時すぎ、新たにテントを組み立てる人たちがいた。劉穎怡さん(32)は「テントがたくさんあると、当局は強制排除をしにくくなる」。12日朝に数えてみると、テントは約800もあった。

 ただ、警察がデモ隊に向けて催涙弾を使った9月の記憶は鮮明だ。当局による強制排除を懸念する声も根強かった。

 物資係のボランティア、黄徳さん(26)は、催涙弾が手にあたってけがをした。今も緊張感が解けず、排除の動きがないか夜中に見回りをする。「学生たちを絶対に守らなければいけない」。占拠が長引いても活動を続けるつもりだ。

 午前7時ごろには、あちこちで朝ご飯を食べる姿が見られた。目の前にあるマクドナルドで買ってきた人が多い。市民からもスープなどの差し入れがあるといい、記者もボランティアから市民が持ってきたパンを勧められた。若者グループは「大通りで朝ご飯を食べる機会はなかなかない」と笑った。

 路上で朝食をとっていた大学職員の陳裕輝さん(37)は「若者の運動が大人の心にも火をつけた。占拠運動は市民の熱意を証明した」と話した。

◆学生側、対話へ譲歩案

 香港行政長官の選挙制度改革をめぐる中国側の決定に反発し、香港中心部で抗議を続ける民主派の学生団体が12日、政府側との対話に向けて、譲歩といえる提案を示した。

 行政長官選挙改革の現行案は、中国側の意向が働きやすい委員会が事前に候補者を2~3人に絞り込む内容。香港政府が7月に出した報告書に基づき、中国の全国人民代表大会常務委員会が8月末に決定した。

 これに対し、学生団体は「香港政府の誤った報告によって(中国側の)決定が導かれた。この報告の修正は、改革案決定の枠組みに反するものではなく、実行可能だ」として、報告のやり直しか、補充説明をするよう政府に求めた。

 中国側の決定の撤回についても「直接望んだことはない」としており、政府側との対話を実現させるため、態度を軟化させているとみられる。

 政府と学生団体は6日に対話を始める合意をしたが、政府側が9日夜に「対話の基礎が揺らいだ」として見送りを発表。梁振英行政長官は12日のテレビ番組で「決定は撤回できない」と改めて強調していた。

 学生団体は11日夜、中国の習近平(シーチンピン)国家主席あての公開書簡で「占拠は梁振英行政長官が民意に逆らったから起きた。主席にも問題を直視してほしい」と理解を求めた。(香港=金順姫、延与光貞)

◆支援の活動家に圧力強化

 香港の選挙制度改革を巡り学生らが市内の占拠を続けている問題で、中国当局はデモ隊やデモを支持する中国の活動家らへの圧力を強めている。中国政府は本土側で香港の民主派と呼応する動きが活発化するのを警戒しており、打開の兆しが見えない香港の状況にいらだちを募らせている。

 中国共産党機関紙の人民日報(海外版)は11日、1面に掲載した外部筆者の論評で、香港の学生らの抗議を「動乱」と表現した。「動乱」は1989年、民主化を求めた中国の学生に軍が発砲した天安門事件の際、人民日報が社説で使った表現。今回は「海外版」の論評のため、党指導部の公式の評価といえるかは不明だが、香港の学生らを牽制(けんせい)する狙いは明らかだ。

 中国の民主活動家らによると、香港の占拠が始まって以来、デモ隊への支持を表明して中国で拘束された人は50人を超える。

 香港紙によると、中国当局は11日までに香港の評論家の梁文道氏や中国の歴史学者の余英時氏らの本の発売禁止を命じる通知を出した。理由は明示していないが、両氏は香港のデモへの支持を表明していた。

 中国政府は香港の学生らの訴えに、中国側で呼応する動きがでることを強く警戒。11日には北京・天安門や王府井で香港の学生への支援デモの呼びかけがあり、多くの警察が警戒を続けた。(北京=林望)

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 10 14 (火) NY株価の行方   いやな予感

金銭欲の最高場面は、敏感すぎるほと敏感に株価に現われます。 世界経済の行方も、世界政治の行方も、NY株価の指標によって敏感に反応するのです。

台風一過でホッとし、ニュースを見ると「10月14日 6時37分 NY株価 220ドル超の下落」がめにとびこんできた。

今までのいきさつから考えると、「いつドル崩壊が始まるか」が大きな関心事だったからです。


  ① 10月14日 06時37分  NY株価 220ドル超の下落
  ② 10月14日 16時38分  連休明けの株価終値1万5000円割
  ③ 10月10日 16時09分  株価終値 値下がり
  ④ 10月10日 07時31分  NYダウ平均株価330ドル値下がり ことし最大
  ⑤ 10月09日 15時47分  株価終値 値下がり
  ⑥ 10月08日 15時54分  株価終値 値下がり

  ⑦ 10月15日 05時00分  東証終値1万5000円割れ 364円安 世界経済の失速懸念



NHK NEWSWEB 10月14日 6時37分
①NY株価 220ドル超の下落
    http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141014/t10015371151000.html

週明け13日のニューヨーク株式市場は世界経済が減速することへの懸念から売り注文が広がり、ダウ平均株価は220ドルを超える大幅な値下がりとなりました。

13日のニューヨーク株式市場はデフレ懸念がくすぶるヨーロッパを中心に世界経済が減速することへの懸念に加え、アメリカ国内でエボラウイルスの感染が初めて確認されたことがリスクとして受け止められ、売り注文が広がりました。

このため、ダウ平均株価は先週末より223ドル3セント安い1万6321ドル7セントで取り引きを終えました。

ダウ平均株価が100ドル以上値下がりするのは、これで3営業日連続で、この間の下げ幅はおよそ670ドルに上ります。

市場関係者は、「先行きの不透明感から原油価格が下落し、エネルギー会社の業績への懸念から、関連する銘柄が値下がりしたことも株価全体を押し下げた。今週からアメリカの主要企業の決算発表が相次ぐので、景気の先行きを見通すうえでも、その内容に注目が集まっている」と話しています。

◆関連ニュース

  株価終値 値下がり (10月10日 16時09分)
  NYダウ平均株価330ドル値下がり ことし最大 (10月10日 7時31分)



10月14日 16時38分
②連休明けの株価終値1万5000円割
    http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141014/k10015387841000.html

連休明けの14日の東京株式市場は、世界経済の減速に対する懸念などから売り注文が広がって全面安の展開となり、日経平均株価の終値はおよそ2か月ぶりに1万5000円を割り込みました。

14日の東京株式市場は、13日のニューヨーク市場で平均株価が大幅に下落したことなどを受けて取り引き開始直後から売り注文が広がり、午後に入って値下がり幅は一段と拡大しました。

結局、日経平均株価は5営業日連続で値下がりし、14日の終値は先週末より364円4銭安い、1万4936円51銭と、終値ではことし8月8日以来、およそ2か月ぶりに1万5000円を割り込んで、取り引きを終えました。

また、東証株価指数=トピックスは、28.82下がって、1214.27でした。

1日の出来高は、27億5132万株でした。

株価が大きく値下がりしたのは、投資家の間でヨーロッパをはじめ、世界的な景気減速に対する懸念が広がり、リスクを避けようという動きが出ているためです。

市場関係者は、「これまで順調に回復しているとみられてきたアメリカ経済の先行きにも慎重な見方が出ていることや、外国為替市場で円高が進んだことも売り注文につながった」と話しています。

日経平均株価の終値が、およそ2か月ぶりに1万5000円を割り込んだことについて、経済同友会の長谷川代表幹事は、記者会見で、「世界経済全体がある程度、ネガティブな傾向にあるが、私は長く続くとは思っていない。株価については必ず揺り戻しが、ちかぢかあるのではないか」と述べました。


10月10日 16時09分
③株価終値 値下がり
    http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141010/k10015302131000.html

10日の東京株式市場は、ヨーロッパの景気停滞が鮮明になるなど世界経済の先行きに対して警戒感が広がり、ほぼ全面安の展開となって、株価は値下がりしました。

▽日経平均株価、10日の終値は、前日より178円38銭安い1万5300円55銭。

▽東証株価指数=トピックスは、17.69下がって1243.09でした。

▽1日の出来高は28億5163万株でした。

市場関係者は「ヨーロッパをはじめとする世界経済の先行きに対する警戒感が広がっているほか、外国為替市場で一時より円高が進んでいることからほぼ全面安の展開となった。投資家の間では来週アメリカで発表される消費の動向を示す小売り統計や、発表が本格化するアメリカの企業決算の内容に注目が集まっている」と話しています。


10月10日 7時31分
④NYダウ平均株価330ドル値下がり ことし最大
    http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141010/k10015286831000.html

9日のニューヨーク株式市場は、ユーロ圏経済の減速で世界経済の先行きが不透明になっているという見方が広がったことから売り注文が相次ぎ、ダウ平均株価の終値は前日よりおよそ330ドル値下がりし、ことし最大の下げ幅となりました。

9日のニューヨーク株式市場は、この日発表されたドイツの輸出関連の指標が振るわず、ユーロ圏経済の減速への懸念が強まり、投資家の間に世界経済の先行きに不透明感が広がりました。

このため、前日値上がりした手持ちの株式をいったん売ろうという動きが加速し、ダウ平均株価は、前日より334ドル97セント安い1万6659ドル25セントで取引を終え、終値としてことし最大の下げ幅を記録しました。

市場関係者は、「IMF=国際通貨基金が、ユーロ圏について景気後退の懸念を指摘したことなどをきっかけに売り注文が広がった。市場では、ユーロ圏の減速が好調なアメリカ経済の回復にも影響するのではないかという警戒感もでている」と話しています。


10月9日 15時47分
⑤株価終値 値下がり
    http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141009/k10015267701000.html

9日の東京株式市場は、世界経済の先行きに対する慎重な見方などから幅広い銘柄に売り注文が出て、株価は値下がりしました。

▽日経平均株価、9日の終値は、前日より117円5銭安い1万5478円93銭。

▽東証株価指数=トピックスは、14.07下がって1260.78でした。

▽1日の出来高は22億7056万株でした。

市場関係者は「アメリカの中央銀行、FRB=連邦準備制度理事会が8日に発表した先月の会合の議事録の中で、ユーロ圏の停滞など世界経済の見通しに慎重な見方が示されたことで、東京市場では世界経済への懸念などから徐々に売り注文が増える展開になった」と話しています。


10月8日 15時54分
⑥株価終値 値下がり
    http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141008/k10015235181000.html

8日の東京株式市場は、世界経済の先行きに対する懸念などから幅広い銘柄に売り注文が出て株価は値下がりしました。

▽日経平均株価、8日の終値は7日より187円85銭安い1万5595円98銭。

▽東証株価指数=トピックスは16.04下がって1274.85でした。

▽1日の出来高は22億9255万株でした。

市場関係者は「IMF=国際通貨基金が、ことしの世界経済と日本経済の成長率の見通しをいずれも下方修正したことなどで、景気の先行きに対する懸念が広がり、日経平均株価は一時は260円以上値下がりした。ただ午後に入り外国為替市場で円高が一服したことから下げ幅はいくぶん縮まった」と話しています。


2014年10月15日05時00分 朝日
⑦東証終値1万5000円割れ 364円安 世界経済の失速懸念
    http://digital.asahi.com/articles/DA3S11401660.html

写真・図版  世界的な株安の流れが止まらない。14日の東京株式市場では円高を受けて、日経平均株価が先週末より364円04銭(2・38%)安い1万4936円51銭で取引を終えた。5営業日続けての値下がりで、下げ幅は計950円を超え、約2カ月ぶりに1万5000円を割り込んだ。

 株価急落の背景にはエボラ出血熱の感染拡大がある。米国で治療にあたっていた医療従事者が二次感染した可能性が出て、13日のニューヨーク株式市場はダウ工業株平均が約半年ぶりの安値に。14日の東京市場でも、旅客数が減る警戒感から空運株が5%超下がるなど全面安となった。

 10月に入って日経平均は値下がりが加速しているが、欧州経済の失速不安もあって、外国人投資家らが一気に売っているとの見方が市場では強い。SMBC日興証券の西広市氏は、10日に閉幕した主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で「世界経済の低成長に対する処方箋(せん)を示せなかったことも売り材料」と指摘する。

 日経平均は9月25日には1万6374円と約6年10カ月ぶりの高値をつけていた。投資信託協会が14日に発表した9月末の投資信託の残高も87兆1164億円と、4カ月連続で過去最高を更新。個人投資家の資金が株式市場に流れ込んでおり、株価は年末に向けて上昇すると期待されていた。

 外国為替市場ではドルを売って円を買う動きが広がっている。米連邦準備制度理事会(FRB)による早期の利上げ観測が後退。東京市場の14日午後5時時点の円相場は、前週末の同時刻より84銭円高ドル安の1ドル=107円24~26銭で取引された。その後の海外市場ではさらに円高ドル安が進み、一時1ドル=106円台後半で取引されている。(真海喬生、福田直之)

 10 15 (水) 働く アジアという生き方①   

2014年10月15日05時00分 朝日10面国際2
現地採用@ジャカルタ 日本飛び出し、やりがい発見
    http://digital.asahi.com/articles/DA3S11401623.html

 ◆「成長途上にこそ、チャンスがある」アジアを旅して、未来が見えた

 高層ビルがそびえ立つ人口1千万都市、ジャカルタ。武井宏幸さん(30)が神戸製鋼グループの商社「神鋼商事」のインドネシア現地法人で働き始めて、10月で2年になった。

 肩書は「マーケティングマネージャー」。日系の二輪車関連会社や建設会社などに鋼材を売り込む。現地法人は3年前にできたばかりで、取引先を開拓する日々が続く。製品の輸出入のための書類作りも自分でやる。業務範囲は広く、それだけ責任が重い。常に学び、理解しなければならないが、「やりがいがある。ここに来て正解だった」。

 毎朝、ジャカルタ中心部にあるマンションの車寄せで待つトヨタ車に乗り込む。運転手と車は武井さん専属だ。上司と先輩の2人は日本から異動してきた駐在員だが、武井さんは現地採用。インドネシアでは、都心部の高速鉄道は建設が始まったばかりで、ビジネスパーソンは車がないと仕事にならない。

 取引先では、日本人だけでなくインドネシア人との打ち合わせも少なくない。英語に加えてインドネシア語も要ると独学で勉強している。インドネシア人との商談は難しい。決まったと思っても成約が半年、1年先のことも。メールだけでなく足を運んで具体的に話を進めていくことが大事だ。「すべてが経験です」

    ◆   ◆

 武井さんは大学を卒業後、日本でドラッグストアをチェーン展開する会社に就職した。販売、接客、在庫管理、商品発注などをたたきこまれた。店舗勤務の経験も積み、入社から6年目に店長を任された。

 仕事に打ち込んだが、どこか物足りなかった。店長業務にもマニュアルがある。「この先、仕事が面白くはならない」。2011年11月、店長を1年務めた時点で退職。気持ちは海外へ向かっていた。高齢化、人口減少、景気低迷。「日本にいても明るい未来が見えてこない」と感じた。

 海外勤務に必要と、フィリピン北部のバギオにある語学学校に入った。寮で生活しながら、1カ月半、1日12時間勉強する英語づけの日々を送った。そこで知り合った日本人から聞いた。「東南アジアの現地採用がアツいよ」

 語学学校を修了すると、旅に出た。自分が働きたい国はどこか。安宿に泊まり、街を歩き、スーパーで物の値段を確かめ、現地の日本人に話を聞いた。ベトナム、タイ、カンボジア、シンガポール、マレーシア、インドネシア。それぞれ1週間前後、滞在した。

 ベトナムとインドネシアが気になった。成長著しいが、足りないものが目に付く。自動販売機を見かけない。レストランのサービスはいま一つ。電車が少なく、建設中のビルも多い。

 成長途上ということは、ビジネスチャンスが広がっている、仕事があるということだ。人材会社にコンタクトを取り、ホーチミン市とジャカルタに絞って求職。内定をもらった4社から今の会社を選んだ。

    ◆   ◆

 一般に日系企業の現地採用の日本人は、駐在員とは給料や待遇に差がある。武井さんの給料も、日本にいたころの方が多い。でも、可処分所得はほぼ同じ。月800ドル(約8万6千円)の家賃は会社が負担する。

 週末は現地の日本人たちとつくるロックバンドで活動。スタジオでドラムをたたく。練習後はメンバーたちと居酒屋に繰り出す。「これがないと生活は寂しいものになるかも」

 周りに現地採用組の日本人が10人ほどいる。25~35歳くらいで、商社、小売り、製造、サービスといろんな業種同士で情報交換している。将来、別の国で働くことも視野に入れる。ここでの経験はそのとき生かせると思う。「日本に帰るつもりは全くありません」(ジャカルタ=翁長忠雄)

 ◆増える進出企業、「即戦力」求める

 地方の中核都市に相当する人口規模の日本人社会がアジアにあり、さらに拡大しそうだ。その実情を紹介したい。これが今回の企画のきっかけだった。

 外務省の統計では、海外に住む日本人は2013年で125万8千人。うちアジアは36万人で、過去10年間で世界全体で増えた34万7千人のうち、15万6千人分を占める。なかでも東南・南アジアはほぼ倍増し、17万4千人になっている。

 取材を進めると、日本からの駐在員と家族、という従来のイメージとは違う人たちが目立ってきたことがわかった。「現地採用」と「起業」で働く人たちだ。

 人口減で国内市場は縮小。国内は高コストで、輸出でなく海外での現地生産でないと、価格競争力で負ける。こんな状況から、アジアで生き残りをかける日本企業の姿が背景にある。

 東洋経済新報社の「海外進出企業総覧」によると、03年からの10年間に海外で設立された日系企業9900社のうち7200社がアジアに集中。アジアの中でみると、12年以降は中国より東南・南アジアへの進出数が多い。12年は尖閣諸島を巡る反日デモが起きた年。「チャイナリスク」を避ける傾向も見える。

 人材紹介各社によると、そんななか、日系企業が現地採用で日本人を求めている。リクルートグループの人材会社「RGF HRエージェント香港」の舘康人代表は「海外の事業を任せられるエースは、特に中小企業では限りがある」と指摘する。そこで、日本企業で働いていた経験を生かした「即戦力」や、現地社員と日本人社員をつなぐ「ブリッジ役」として、ニーズが高まる。駐在員家庭に必要な福利厚生費用を抑えられるメリットもある。

 働く側にとっても魅力がある。成長社会で成果が上がりやすく、仕事にやりがいが出る。給料は日本より少ないが、物価が安いので十分に暮らせる。就労ビザ取得でも欧米ほど専門性や経験が求められない。

 アジアの潜在力に期待して起業する日本人も増えている。起業家らでつくる「和僑会」。華僑をヒントにした名前で最初の組織は04年に香港で設立され、今や中国や東南アジアで14の和僑会ができている。

 現地採用や起業で働く日本人が何人いるのか。例えば、タイの人材会社「パーソネルコンサルタント」の現地採用の紹介数は「年に100~150人」。同業者はタイに20~30社あるといい、かけ算すると、年間2千~4千人規模になる。シンガポールでも「1千人を超える規模で毎年、新たに現地採用されているのでは」(人材会社)。東京和僑会によると、アジアの和僑会会員は計1千人前後に上る。ただ、全体を網羅する調査は見あたらない。

 そこで今回は、こんな日本人たちを物語風に紹介していく。登場するのは海外初挑戦の20代から、会社をやめてアジアに挑む40代の元駐在員までさまざまだ。

 彼らを単に「日本脱出組」と考える必要もないかもしれない。現地採用職を紹介する「グローバル人材塾」(東京)の田村さつき代表は将来、日本に戻って働く機会も広がると考える。「日本企業がいろんな国籍の人を国内でも雇う時代が来る。そのとき、外国人と仕事ができる人材として求められるようになる」(機動特派員・小暮哲夫)

    ◇

 アジアで新しい生き方を選んだ日本人たち。まずは「現地採用」で働く人たちの紹介から始めます。

 10 15 (水) 新聞と言論 社会を単色にはしない   朝日社説

2014年10月15日05時00分
新聞と言論 社会を単色にはしない
    http://digital.asahi.com/articles/DA3S11401566.html

 新聞に求められる言論機関としての役割は何だろう。新聞週間を機に考えてみたい。

 朝日新聞の場合は、オピニオン面が主に言論のフォーラム機能を担っている。読者からの声、識者からの寄稿やインタビュー、そして社説が載る。

 社説の内容は、20人あまりの論説委員によって積み重ねられてきた毎日の議論にもとづいている。その主張については最終的に論説主幹が責任を負う。

 委員の間で意見が割れ、激論になることもある。ただ、異論も踏まえているからこそ、論説主幹個人のものではない社の主張として成り立っている。

 読者や識者の考えは、必ずしも社説とは一致しない。池上彰さんのコラム掲載見合わせは悔やみ切れない過ちだが、オピニオン面や紙面全体を通じて、社説にとらわれない多様な視点を提供しようと努めている。

 このところ、各新聞社の間で社説の主張が大きく二分されることが目立つ。

 例えば、集団的自衛権の行使を認める7月の閣議決定。朝日新聞は「この暴挙を超えて」と題する社説で、解釈改憲に踏み切った安倍政権を批判した。

 一方、読売新聞は「抑止力向上へ意義深い『容認』」との見出しで、自民・公明の与党合意に基づく決定を歓迎した。

 こうした違いがあることは、日本の言論空間が健全であることの表れだ。

 それでも、自戒を込めていえば、意見の対立が激しくなるほど「我々が正しいのだ」と筆に力が入る。記者が陥りがちな悪い癖かもしれない。行き過ぎればメディアが政治のプレーヤーになりかねない。そうなると、まるで政治闘争であるかのように筆はとがっていく。

 安倍首相の憲法への姿勢に対し、私たちは「憲法によって権力を縛る立憲主義に反する」と批判してきた。

 一方、立憲主義には「多様な価値観の共存を実現する」というもう一つの大きな意味があると憲法学は教える。

 朝日新聞への批判から逃げようというのではない。ただ、慰安婦報道に携わった元記者の勤め先の大学が脅迫されるほどに過熱しては、多様な価値観が共存できるはずの社会の基盤が脅かされる。

 新聞の役割は、意見の対立をあおることではない。考える材料をいかに社会に提供できるかにある。そのことを改めて確かめておきたい。

 私たちの社会が、ひとつの色に染められてしまうことに抗するためにも。