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折々の記 2014 ⑧
【心に浮かぶよしなしごと】

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【 08 】10/10

  10 10 猛烈な台風19号の情報   アメリカでは「スーパー台風」
  10 10 田中宇のニュース判断   田中宇の国際ニュース解説
      ① ユーラシアは独露中の主導になる?
      ② 仮想現実化が進む世界経済
  10 11 注目される健康寿命   長寿だけではいけない
      ① どう延ばす?「健康寿命」
      ② 長寿だけではいけない

 10 10 (金) 猛烈な台風19号の情報   アメリカでは「スーパー台風」

10月9日 18時01分 NHKウェブ
猛烈な台風19号 「急速強化」に警戒を
    http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141009/k10015272931000.html

猛烈な台風19号について専門家は、急速に勢力が発達する強力な台風に特有の「急速強化」が起きていたとしたうえで、「非常に強い勢力で日本に接近するおそれがあり警戒が必要だ」としています。

気象庁の観測によりますと、猛烈な台風19号は9日正午の時点で、中心気圧が900ヘクトパスカル中心付近の最大風速は60メートル、最大瞬間風速は85メートルの勢力となりました。

専門家によりますと、こうした最大風速が60メートル以上の台風は、アメリカでは「スーパー台風」と呼ばれています。

台風の勢力の強さは、中心付近のはっきりとした「台風の目」にもあらわれています。

台風は勢力が強まると、中心付近に吹き込む風によって回転する力が増し、強い遠心力が働きます。

このため中心付近では湿った空気が外に押し出され、雲がない「台風の目」ができます。

この台風の目がはっきりとした偏りのない円形になるほど、台風の勢力が強いことを示すとされています。

また、台風19号は7日の午前0時からの24時間に、中心の気圧が970ヘクトパスカルから905ヘクトパスカルと、65ヘクトパスカルも下がり、猛烈な勢力に発達しました。

台風のメカニズムに詳しい名古屋大学の坪木和久教授によりますと、中心の気圧が24時間で40ヘクトパスカル前後も下がる現象「急速強化」が起きていたと分析しています。

気象庁の観測では、台風が急速に発達した海域は海面の水温が30度近くあり、水深100メートルまでの海水温も、25度以上のところが多かったということです。

坪木教授は「目がはっきりしている台風は勢力が強く、さらに発達しやすいとされる。表面だけでなく、海の中まで暖かい海域を台風が通過したことで急速強化が起きたとみられる」と話しています。

一方、気象庁は7日午前0時の時点で、台風は24時間後に、970ヘクトパスカルから960ヘクトパスカルと発達は10ヘクトパスカルと予測していました。

気象庁によりますと、「急速強化」には海面水温だけでなく、上空の気流や台風の積乱雲の形なども影響するため、現在の観測技術では、時期や発達の度合いを詳細に予測するのは難しいということです。

台風19号は今後、北上に伴って北側にある乾いた空気が流れ込むため、勢力をやや弱めるものの、非常に強い勢力を保ったまま日本に近づくおそれがあるということです。

坪木教授は「台風の接近時は中心付近では暴風や大雨に警戒が必要だ。また、台風から離れた場所でも東側では湿った空気が入り込んで、積乱雲が発達しやすいので、大雨や竜巻などの突風に十分注意してほしい」と話しています。


気象庁 > 防災情報 > 台風情報  平成26年10月10日03時50分
台風経路図
    http://www.jma.go.jp/jp/typh/

3時間毎に台風の実況と予報を、各時刻の正時約50分後に発表します。
また、1時間ごとの実況と1時間後の推定値を発表する場合があります。
台風の中心が予報円に入る確率は70%です。

台風第19号 (ヴォンフォン)
平成26年10月10日03時50分 発表

  <10日03時の実況>
  大きさ 大型
  強さ 非常に強い
  存在地域 沖縄の南
  中心位置 北緯 20度50分(20.8度)
       東経 129度25分(129.4度)
  進行方向、速さ 北北西 10km/h(6kt)
  中心気圧 920hPa
  中心付近の最大風速 50m/s(100kt)
  最大瞬間風速 70m/s(140kt)
  25m/s以上の暴風域 全域 190km(100NM)
  15m/s以上の強風域 全域 560km(300NM)

週間天気予報  観測地点欄は(空模様)(最低温度と最高温度)(降水確率)の順、赤字は台風予想日
  
日付
10
11
12
13
14
15
16
飯田
曇り時々晴れ
- /23
-/0/0/0
曇り時々晴れ
12 /25
0/0/0/0
曇り後雨
11 /22
50

12 /20
80
曇り時々雨
12 /18
50
曇り
10 /19
40
曇り
9 /19
40
名古屋
晴れ時々曇り
- /27
-/0/10/10
晴れ時々曇り
17 /26
0/0/0/0
曇り後一時雨
17 /24
50
曇り時々雨
16 /25
70
曇り一時雨
16 /24
50
曇り
13 /23
40
曇り時々晴れ
14 /23
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 10 10 (金) 田中宇のニュース判断   田中宇の国際ニュース解説

2014年10月7日   田中 宇
① ユーラシアは独露中の主導になる?
    http://www.tanakanews.com/141007eurasia.php

 今回書こうとしている記事は「いずれ来るドルや米国債の崩壊後、ユーラシア大陸は、ドイツ(EU)とロシアと中国が主導し、そこにインドやイランが加わる体制になりそうだ」という話だ。この話は、私のこの数年の覇権分析の中心をなすものだが、米国の覇権分析者のペペ・エスコバルが昨日、そのような記事を書いたので、私も触発されてこのテーマで1本書くことにした。 (Can China and Russia Squeeze Washington Out of Eurasia?)

 ユーラシアの主導役が米国から独露中に移転するには、ドルや米国債の崩壊という、現時点の常識からすると多くの人が「あり得ない」と考える展開が、事前に起こらねばならない。世界中の全ての債券の原点として存在する米国債が信用を失墜することは、全ての債券の信用失墜、金利高騰を意味する。これは、とんでもない話だ。しかし、すでにFT紙「社債市場の崩壊に備え始めよ」と題する記事を出している。債券市場に対する懸念が増している。 (Start getting ready for the corporate bond crash)

 米投資会社ブラックロックは最近「社債市場は壊れており、改革が必要だ。取引の9割を10大ディーラーが行っており(それ以外の取引者が入ってこないため)流動性の面で問題がある」とする報告書を出している。08年のリーマン危機後、誰も取り引きしたがらなくなった凍結状態の債券市場を表向きだけでも復活させるため、米金融界では金融機関の間での債券取引を再生し、現在まで、あたかも債券市場が危機を脱しているかのような状況を作り出している。それが「社債市場は壊れている」という指摘になっている。改革は必要だが無理だ。ブラックロックの報告書は改革を説くためのものでなく「債券市場は危なくなっている」という警告を発するためのものだろう。 (BlackRock Urges Changes in `Broken' Corporate Bond Market)

 米連銀はQE(量的緩和)によって資金(ドル)を過剰に発行し、金融市場を極度の金あまり状態にして金利を下げ、債券の利回り上昇(債券価値の下落)を防いでいる。債券を取引しているのは連銀と気脈を通じた金融界の内部者ばかりで、今のところ連銀の策は効いており、債券の金利は低い水準だ。しかし何らかのきっかけで社債市場における信用が崩れると、連銀が資金をいくら発行しても金利が下がらなくなる。しかも連銀は今月でQEを終わらせる予定だ。 (Jim Grant: We're In An Era Of "Central Bank Worship")

 連銀や日銀のQEは、市場を救済するために不健全な状態に置いている。投資家のピーター・シフ「連銀のQEが金融システムをひどく痛めていることに、多くの人が気づいていない。連銀はQEで(金融を健全化せず逆に)リーマン危機の原因となったもの(バブル)をさらに拡大している。いずれ、リーマン危機よりはるかにひどい金融崩壊が再来する」と警告している。(Blind faith in dollar will lead world to financial Armageddon - Peter Schiff)

「今の世界の負債総額は、リーマン危機前よりずっと巨額だ。次の金融危機は、リーマン危機がピクニックのように思えるぐらいの、ひどいものになる」という指摘も出ている。 (The Stage Is Set For an Ever Bigger Crash Than 2008)

 債券が崩壊するなら、その前に株が急落するだろう。IMFのラガルド専務理事は、実体経済が悪いのに、それを無視して株が上がっていることは危険だと指摘している。 (Is This Why Christine Lagarde Is Suddenly "Quite Worried" About Disconnect Between Market, Economy?)

 先進諸国の中で(見かけ上)比較的高い経済成長をしているのは米国だけだ。米経済の成長は金融バブル拡大にともなうもので、債券バブルが崩壊すると、米国はマイナス成長になり、世界経済はリーマン危機後以上のひどい不況になる米連銀や日銀のQEで過剰発行された資金は、世界中の新興市場諸国にも流入しているので、米国のバブル崩壊は、米国自身よりも、基盤が脆弱な新興市場の経済をまず破壊するかもしれない。 (Global recovery is stalling, index signals)

 米国のバブル崩壊で先に新興市場が潰れるなら、中国やロシアは潰れることになる。ドイツなどEUも「ギリシャが15カ月以内に再び財政破綻するだろう」とS&Pが発表するなど、金融財政面で米国より脆弱な感じだ。たとえドルや米国債が崩壊して米国が覇権を失っても、それでユーラシアの主導権がドイツとロシアと中国に移るものなのか。 (Here We Go Again: Greece Will Be In Default Within 15 Months, S&P Warns)

 米国の金融システムは世界のシステムだ。それが崩壊すると、欧露中を含む世界経済のすべてがいったん大不況になる。しかし、その被害は長くて数年だ。長期的に見ると、米金融システムの崩壊は、ドルと米国債という、米国が覇権の源泉としていた道具の喪失であり、米国が超大国の座をおりることを意味する。欧露中が何の準備もなく米国中心のシステムの崩壊に直面すると、代わりのシステムを構築するのに長い時間がかかる。しかし、欧州はすでに国際通貨としてユーロを持っている。露中はBRICSで今年、IMFや世界銀行に代わるBRICS開発銀行などの国際金融機関を創設するとともに、ドルでなく人民元やルーブルなど自国通貨で決済するシステムを強化している。 (米覇権下から出てBRICSと組みそうなEU)

 最近、決済の非ドル化を最も強く進めているのは、ウクライナ危機で米国から敵視を強められたロシアだ。ロシアの大手銀行の経営者は最近「今後2-3年で、ルーブルの決済システムをドルやSWIFT(米欧中心の銀行間送金システム)から完全に離脱できる」と述べている。 (Russia banker: two to three years needed to be totally disconnected from dollar)

(興味深いのは、欧州で「ロシアを外すなら、パレスチナでひどい殺戮や人権侵害を繰り返しているイスラエルもSWIFTから除名すべきだ」という主張が出ていることだ。イスラエル右派に牛耳られている米国の右派としては、ロシアは外したいがイスラエルを外すのは反対だ。逆に米国がイスラエルの傀儡と堕していることを嫌う人々は、イスラエルを外せと言っている。イスラエルを除名しろという要求が強まっていると暴露したのはSWIFT自身だ。SWIFTは、自分たちが国際政治の道具にされていることを嫌がり、ロシアやイスラエルをシステムから外すことに反対する声明を発表した) (SWIFT Announces It "Regrets The Pressure" To Disconnect Russia)

 ロシア政府は、中国と組んでSWIFTに代わる送金情報システムを構築しようとしている。ロシアは、米国から敵視されるほど、BRICSがゆっくり進めようとしていた国際決済の非ドル化・非米化を急いで進めようとする傾向を強める。米国が経済・政治両面の自国の覇権を大事にしたいならロシアを制裁しない方が良いと、米欧の多くの著名な専門家たちが警告している。ロシア敵視策は、米国の覇権を自滅させる「隠れ多極主義」的な策略だ。 (The hidden cost of freezing Russia out of finance) (US use of sanctions could spur dollar's decline) (◆ロシアは孤立していない) (◆米国自身を危うくする経済制裁策)

 今春からのウクライナ危機の本質は、NATOのアフガニスタン占領が今年で終わるのを機にドイツがEUの軍事統合に拍車をかけ、欧州を脱NATO・脱対米従属・親露的な独自路線に進めようとするのを、米国が阻止しようとする策だ。ドイツのメルケル政権は、EU内の対米従属派に配慮して米国のロシア敵視策にある程度つき合いながらも、最終的にウクライナ危機を転機として、欧州とロシアとの影響圏の境界確定につなげ、独露関係を好転しようとしている。長期的に見てウクライナ危機は、きたるべき多極型世界(multipolar world)を準備するための、欧露の影響圏が重なっているウクライナやコーカサス、東欧地域における影響圏の境界画定の作業となる。欧州のシンクタンク(LEAP2020)がそう指摘している。 (The Euro-Russia row as a result of an overlap between two economic unions : lessons for a multipolar world in the wake) (◆NATO延命策としてのウクライナ危機)

 ロシアは、ベラルーシやカザフスタンと結成している「ユーラシア関税同盟」を、金融や労働市場に拡大し、来年の元旦から「ユーラシア経済同盟」に格上げする。この3カ国は来年から、ルーブルを基軸通貨とし、3カ国の国民は自国だけでなく3カ国のどこででも労働ビザなしで就労できる。 (Russia completes ratification of Eurasian Economic Union, as Putin signs law)

 このシステムは、ユーロを創設して労働市場を統合したEUの経済統合とほとんど同じモデルだ。ロシアは、自前のEUを創設しようとしている。これは、いずれEUとロシアが大体同じ超国家システムを持つことを意味する。これも、多極型世界においてEUとロシアの協調関係を強める方向の動きだ(ウクライナ危機は、同国が欧露どちらの超国家体制に入るかという引っ張り合いから始まっている)。ユーラシア同盟は、ルーブル圏を創設する「非ドル化」策でもある。 (Russia ratifies Economic Union and readies trade in currencies other than dollar)

 ドイツがEUの主導役であることが顕在化し、EUが米国の傘下から出てロシアと親密にする時代がくるとしたら、そのとき米国覇権の黒幕だった英国はどういう立場にいるのか。米国の覇権が崩れたら、もはや米英同盟は有効な国家戦略にならない。英国は「国際政治力」以外の取り柄がない(金融は国際政治力の具現化だ)。米覇権の後ろ盾を失うとポンドも紙切れに近づく。しかしEUにとどまってもドイツの傘下に入らされるだけの屈辱だ。最近、英国はさかんに中国に接近し、ロンドンを世界最大の人民元のオフショア市場にしようとしている。 (Opinion: Britain gives Chinese renminbi a big endorsement)

 英国は、多極化に抵抗するのをやめて、むしろきたるべき多極型世界の中で儲ける存在になろうとしている。このことから推測すると、英国はドイツと話をつけ、EUに残留していずれポンドを廃止してユーロを導入する代わりに、英国がユーロ圏と中国などを結ぶ最大のオフショア金融市場であり続けることをドイツが認めるといった国家延命の道筋をつけるのでないかと予測できる。 (UK Hints At Next Reserve Currency, To Issue Chinese Yuan-Denominated Bond)

 欧露の話はこのぐらいにして、ユーラシアのもう一つの極と目される中国に話を移す。日米などでは「中国は不動産市況が悪化し、米国より先にバブル崩壊する」という説が根強い。中国の不動産市況が悪化しているのは事実だ。しかし、日米で流布する「中国の不動産市場は投機ばかりだ」という指摘は間違っているとFTが書いている。中国で投機として住宅を買う人は、全体の7-12%にすぎない。中国の住宅価格は年平均9%上がっており、日米ではこれが「バブルだ」と言われるが、中国の都市住民の名目所得は毎年平均で13%増えており、人々の購買力の増加より値上がり率が低い。などなど、FTの記事は中国の不動産市場がバブルでない理由を詳細に書いている。 (Guest post: China's property is slowing, not crashing)

 香港では最近、行政長官の選挙の民主化を求める市民運動(中環占拠)が再燃し、10月1日からの国慶節の連休を使って40万人の市民が民主化要求デモに繰り出した。これを受け、日米などの分析者の間で「香港の民主化要求運動が内陸部に波及し、共産党政権を潰すかもしれない天安門事件並みの大運動に発展しそうだ」という説が出ている。 (China Is a Paper Tiger)

 しかし私が見るところ、中国大陸の人々のほとんどは、天安門事件が再来して共産党政権が潰れるシナリオの実現を望んでいない。中国人の多くは生活の安定を最重視し、経済的な破綻や混乱を何よりも嫌う。中国では政治が不安定になると社会が混乱し、経済が悪化する。中国人は民族的に利権希求力が強い(つまり強欲な)ので、中国では選出方法に関係なく、権力を持つ者が腐敗しやすい。中国人は、市長や主席を自分たちで選ぶことでなく、共産党が強さを維持して腐敗しない市長や書記や主席を選出・監視してくれることの方を望む。香港の民主化運動は、中国本土に波及しにくい。 (◆民主化運動で勝てない香港)

 中国とユーラシアの多極化の関係で見ると、これまで国境紛争で対立してきた中国とインドとの関係改善が必要になっている。プーチンのユーラシア戦略に乗って、中国はロシアとの国境紛争をすべて解決したが、インドとの国境紛争は解決されずに残っている。これについては最近、新たな動きが感じられる。長くなったので、ここから先は改めて書く。


2014年10月8日   田中 宇
② 仮想現実化が進む世界経済
    http://tanakanews.com/141008image.htm

この記事は「ユーラシアは独露中の主導になる?」(田中宇プラス)の続きです

 マスコミ報道によると、米国が対露制裁を強めて以来、ロシアからの資金流出が続き、ロシア経済が危険な状態になっている。今年の上半期、ロシアから740億ドルの資金が流出した。ドルやユーロに対するルーブルの為替下落に歯止めがかからず、ロシアの中央銀行は為替市場への介入によって2日間で17億ドルも使ってしまった。 (Russia Spends Up to $1.75 Billion in Two Days to Buoy Ruble)

 ロシアだけでなく欧州も危ないと報じられている。IMFは、ユーロ圏の経済が不況に陥りそうだと警告を発した。ドイツ銀行は、ユーロの再弱体化とドルの強さの維持によってユーロが下がり、今の1ユーロ=1・27ドルの為替が、2017年に1ユーロ=0・95ドルまで下がると予測している。 (IMF sees risk of new eurozone recession) (Euro to fall below parity with dollar by 2017: Deutsche)

 ロシアやEUの経済悪化が報じられるのと対照的に、米国に関しては、ドルや米国債が持つリスクを示す金利やインフレ率が、今後もずっと低いままだという予測が流布している。 (Inflation's Not The Only Way Easy Money Destroys Wealth) (Bond King Bill Gross' Next Act)

 こうした、露欧が悪化するが米国は悪化しないという方向を示す報道を集めると、前回の記事で書いた、米国の経済覇権が崩壊してユーラシアがEU(ドイツ)・ロシア・中国の主導になるという予測が間違ったものに見えてくる。「田中宇は、世界が多極化すると思い込んでいるので、世界に対する見方が間違うのだ」といった、以前からある私に対する批判がちらつく。 (◆ユーラシアは独露中の主導になる?)

 しかし事態をよく観察すると、別の状況が見えてくる。たとえば昨日FTが出した「資金調達難の危機に瀕するロシア企業」と題する記事は、題名こそロシアの危機を語っているが、中身を読むと、ロシアの大企業は再来年まで資金難になりそうもないと書かれている。ロシア経済を支えるのは石油ガスだが、ロスネフチやガスプロムといった大手の石油ガスの国有企業は、中国と長期の輸出契約を結んでおり、米国から経済制裁を受けても、ずっと先まで資金の獲得に困らない。露政府は、石油ガス国有企業の儲けを使って、石油ガス以外の分野で米欧に経済制裁される企業の損失を補填する計画だ。露企業の多くは、今年と来年の分の運転資金をすでに調達しており、困るとしたら再来年からだという。 (Russian companies face credit crunch danger)

 昨今のように世界経済の先行きが不透明な時に、再来年にどうなるかという予測は、的確さに疑いがある。米国こそ、今年QEをやめた後の金利動向が不確定で、再来年まで金融が持つかどうかわからない。債券の神様と言われた米投資家のビル・グロスは「米国の金利はこの先もずっと低いままだ」と断言しているが、正確には「米連銀と金融界の延命策が成功している限り金利はずっと低いままだが、失敗すると金利高騰、金融破綻だ。どちらに転ぶかわからない」である。 (Gross PIMCO Exit Sparks Record Liquidations In Short-End Of Yield Curve)

 プーチンのロシアは、エネルギーの長期安定確保を望む中国に対し、比較的安価に石油ガスを長期供給することで、同時に自国の長期的な収入源の確保を実現する戦略を確立している。米国がロシアを経済制裁してもこの枠組みは壊れず、米国がロシアを経済破綻させることはできない。プーチンは、ロシアにとって一番大事な国は中国だと言っている。中国は余裕資金を多く持っている。米国自身、巨額の米国債を中国に買ってもらい、覇権維持を中国の余裕資金に依存している。米国が中国の資金を攻撃して枯渇させれば、ロシアに入るはずの資金もなくなり、ロシアを破綻させられるが、中国の資金で米国債を買ってもらっている以上、それができない。 (Europe still a key partner for Russia, but China a priority - Putin)

 中国の資金は、ロシアだけでなく欧州にも流入し続けている。2011年に米英投機筋が南欧の国債先物市場を攻撃してユーロ危機を起こした後、米国の資本が大量に南欧諸国から逃避したが、その穴を埋めたのは中国資本だった。イタリアやギリシャなどでは、中国資本が国家経済の維持に不可欠な存在になっている。 (China swoops in on Italy's power grids and luxury brands)

 中国からEUへの直接投資は、2010年に61億ユーロだったが、12年には270億ユーロに急増した。米国勢が金融破綻させて資金を引き上げて価値が急落し、安値感が出た南欧諸国の企業や不動産などの資産を、中国の国有企業や民間投資家がこぞって買った。米国は、EU統合を阻止する策として、今後またユーロ危機を再燃させるかもしれないが、それは中国がEUの資産を安値で買いあさり、EUがロシアと同様に中国との関係を強化して生き残る多極化の道に入ることにしかつながらない。多極化は空想でない。マスコミが系統的に報じないので人々が気づかないだけで、粛々と進んでいる。 (Chinese investors surged into EU at height of debt crisis)

 最近「ロシアがもうすぐ経済破綻しそうだ」「ユーロはもうダメだ」「中国もいずれ経済破綻する」「ドルだけは永久に安泰だ」といった、国際マスコミによる経済分野の仮想現実の創造が拡大している。日本では昨年から「アベノミクスは日本経済を良くする」という歪曲報道が席巻した。従来、仮想現実の創造(善悪の歪曲)は「サダム・フセインがいかに極悪か」「中国やロシアは独裁で悪い」「米英は常に正しい」といった政治面が中心だったが、米国の金融システムの潜在危機が増した最近は、経済記事の仮想現実化が強くなっている。 (逆説のアベノミクス)

 仮想現実を見せられた人々は、それが現実と思い、露中や欧州から投資を逃避させ、その結果、仮想現実が本物の現実になるかもしれない。しかし、ユーロは11年以来もうダメだとずっと言われてきたが破綻していないし、中国もいずれ破綻すると言われながら破綻していない。今回書いたように、ロシアもたぶん破綻しない。仮想現実は本物の現実にならず、ずっと仮想の存在だが、人々の多くは延々と騙され続けている。

 国際マスコミが仮想現実化の傾向を強めていることは、国際マスコミの報道を重要な情報源としている私にとって、分析作業を難しくしている。それぞれの報道がどの程度の歪曲誇張を含んでいるか判断が難しい。全体として近年の報道は、米国の覇権維持のため、米経済の健全性を過大評価し、中露など新興市場やEU経済の危険性を過大評価する傾向がある。しかしその一方で、中露など新興市場が脆弱さを持っているのも事実で、どこまでが歪曲でどこからが事実か、判断が難しい。

 たとえば、アルゼンチンの国債デフォルトの問題について私は、新興市場諸国がドルのシステムから追放され、非ドルのBRICSシステムの傘下で再生するシナリオでないかと推測した。今夏、デフォルトしたアルゼンチンを中露の首脳が相次いで訪れ、未開発の石油ガス田の利権を中露が開発するのでないかという話がながれた。これは、多極化や非ドル化の動きになるが、そのような流れになるのか、それとも単にアルゼンチン経済が破綻して終わるのか、まだ見分けがつかない。そうこうするうちに、南米ではベネズエラも国債破綻に瀕している。 (◆米国自身を危うくする経済制裁策) (Argentina Goes Full-Venezuela - Plans To Regulate Prices, Profits, & Production)

 今回紹介したFTの記事のように、題名と中身が食い違っていると、マスコミが歪曲したい方向性と、歪曲しきれない現実の両方をかいま見れるので参考になる。その意味でFTは比較的良心的だ。半面、NYタイムスなど米国のマスコミは、最初から最後まで仮想現実で貫く傾向が強く、参考にならないことが多い。なるべく多くの分析を読むことで、多くの報道文の中の「ぶれ」を見分け、報道の中の歪曲を見つけていくしかない。

 10 11 (土) 注目される健康寿命   

NHK WEB特集 10月2日 16時50分
① どう延ばす?「健康寿命」  久米兵衛記者・木原恵記者
    http://www3.nhk.or.jp/news/web_tokushu/2014_1002.html

皆さん、「健康寿命」ということばをご存じでしょうか。
介護の必要がなく、寝たきりの状態にならずに健康的に生活できる期間のことです。
日本は世界トップクラスの長寿国ですが、「健康寿命」に限ると、実は、それほど高くないんです。
健康寿命を巡る現状と課題について、社会部の久米兵衛記者と静岡放送局の木原恵記者が解説します。

注目される健康寿命

介護の必要がなく、健康的に生活できる期間を示す「健康寿命」。
WHO=世界保健機関が提唱している健康を測る指標のひとつです。
厚生労働省が23万人余りを対象にした全国調査を基にまとめた最新の推計によりますと、去年の男性の健康寿命は71.19歳、女性は74.21歳でした。
前回、4年前の調査に比べると、男性は0.78歳、女性は0.59歳延びています。

しかし、世界トップクラスの長寿国、日本の平均寿命は、男性が80.21歳、女性は86.61歳。
健康寿命との開きは、男性が9.02歳、女性は12.4歳あります。

つまり、健康的に生活ができない期間が男女ともに10年前後あることになります。

健康寿命を延ばせ

厚生労働省は、健康寿命を延ばすことを政策の重要課題に挙げています。
生活の質の向上はもちろんですが、寝たきりの状態の人や重い病気の人が増えると、介護や医療の費用負担が増えて国や自治体の財政を圧迫するからです。
各地の自治体は、健康寿命を延ばそうと、あの手この手で住民の健康づくりを後押ししています。

“健康アプリ”を開発

おととし公表された、平成22年時点の都道府県別の健康寿命ランキングで、女性が全国1位、男性も2位だった静岡県では、日本一の「健康長寿県」を維持しようとユニークな取り組みを進めています。
静岡県が健康寿命を延ばす切り札として開発したのが「健康アプリ」。

若いうちから健康に関心を持ってもらうのがねらいです。
食生活や運動など、項目ごとに目標を決めて、達成できたかどうかを毎日、入力する仕組みで、ポイントがたまると、抽せんでプレゼントがもらえます。
このアプリの特徴は、個人ではなくグループで参加してもらう点です。

静岡県浜松市に本社があるドラッグストアの社員、市川恵美さんと徳田渚さん、そして、2人の上司の内山貴雄さんの3人は、アプリを活用して健康づくりに取り組んでいます。
掲げた目標は1日8000歩

歩数計で毎日カウントします。
徳田さんは目標を達成するためにある工夫をしています。
仕事で店舗を回る際、車を店舗からできるだけ遠い駐車場に止め、歩数を稼いでいるのです。
徳田さんは「アプリを使うことで健康に対する意識が変わりました。同僚と一緒に参加しているので、サボることなく取り組めます」と話していました。
アプリを開発した静岡県は、仲間と一緒に運動や食生活の改善に取り組むことで健康寿命を延ばし、社会保障費の軽減にもつなげたいとしています。
静岡県健康増進課の土屋厚子課長は「高齢者はもちろん、最近は、大学生など若い世代でも筋力や骨密度が低く、健康づくりが重要な課題になっています。県民が健康づくりに前向きに取り組める環境を整え、日本一の健康長寿県を維持したいです」と話していました。

あの手この手の対策

このほかにも、岡山市が、高齢者がフィットネスクラブなどで運動するとポイントがたまり、商品券などと交換できる仕組みを取り入れたり、福岡県では、運動の指導に当たる「予防推進員」の育成や独自の体操を開発したりと、全国の自治体では健康寿命を延ばそうと工夫を凝らした取り組みを行っています。

競争原理も導入

厚生労働省は、年内をめどに、都道府県ごとの健康寿命の最新ランキングを公表する予定です。
いわば「健康づくりの成績表」が公表されることから、自治体の取り組みがさらに加速しそうです。
今後、取り組みによって健康寿命と平均寿命の差がどこまで縮まるのか注目したいと思います。


平均寿命と健康寿命
② 長寿だけではいけない
    http://www.mhlw.go.jp/
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   平均寿命と健康寿命をみる 2
    http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/dl/chiiki-gyousei_03_02.pdf

◆平均寿命と健康寿命との差

  男性  平均寿命 79.55  健康寿命 70.42   差  9.13年
  女性  平均寿命 86.30  健康寿命 73.62   差 12.68年

平均寿命と健康寿命との差は、日常生活に制限のある「不健康な期間」を意味します。平均寿命と健康寿命(日常生活に制限のない期間)の差は、平成22年で、男性9.13年、女性12.68年となっています。

今後、平均寿命の延伸に伴い、こうした健康寿命との差が拡大すれば、医療費や介護給付費の多くを消費する期間が増大することになります。疾病予防と健康増進、介護予防などによって、平均寿命と健康寿命の差を短縮することができれば、個人の生活の質の低下を防ぐとともに、社会保障負担の軽減も期待できます。

参考

健康寿命について、平成13年と平成22年を比べると、男性は69.40年から70.42年へと1.02年、女性は72.65年から73.62年と0.97年延びています。一方、平均寿命をみると、同期間で、男性は78.07年から79.55年へと1.48年、女性は84.93年から86.30年へと1.37年延びています。

また、国立社会保障・人口問題研究所の日本の将来推計人口(平成24年1月推計)によれば、平成25年から平成34年にかけて、平均寿命は男性では80.09年から81.15年へと1.06年、女性では86.80年から87.87年へと1.07年とさらに延びることが予測されます。

今後、こうした平均寿命の延伸とともに、健康な期間だけではなく、不健康な期間も延びることが予想されます。国民の健康づくりの一層の推進を図り、平均寿命の延び以上に健康寿命を延ばす(不健康な状態になる時点を遅らせる)ことは、個人の生活の質の低下を防ぐ観点からも、社会的負担を軽減する観点からも、重要です。

◆平均寿命を見てみる

平成22年の平均寿命を都道府県別でみてみると、男女とも最も長いのは長野県、最も短いのは青森県となっており、その差は男性で3.60年、女性で1.84年です。

 都道府県別平均寿命

  男性 平均寿命 1位から  長野 滋賀 福井 熊本 神奈川  長野 ⇒ 1位
  女性 平均寿命 1位から  長野 沖縄 島根 熊本 新潟   長野 ⇒ 1位

◆健康寿命を見てみる

平成22年の日常生活に制限のない期間の平均を都道府県別でみてみると、最も長いのは、男性では愛知県、女性では静岡県で、最も短いのは、男性では青森県、女性では滋賀県となっており、その差は男性2.79年、女性年で2.95年です。

 都道府県別健康寿命

  男性 健康寿命 1位から  愛知 静岡 千葉 茨城 山梨   長野 ⇒  6位
  女性 健康寿命 1位から  静岡 群馬 愛知 沖縄 栃木   長野 ⇒ 17位

◆都道府県別特定死因を除去した場合の平均寿命の延び

このデータから長野県のものを拾い出してみると、次のようになっている。

  都道府県 悪性新生物    心疾患      脳血管疾患   悪性新生物といえば癌であり、
       延び  順位   延び  順位   延び  順位  心疾患は心臓関係、脳血管疾患
  男性平均 3.86  …     1.48  …     0.94   …    は脳関係の疾患である。
  女性平均 2.96  …     1.54  …     0.96   …
  長野男性 3.38  47     1.31  43     1.17   3     長野は脳溢血など少なくなって
  長野男性 2.66  45     1.28  46     1.26   2     いるが癌、心臓は減っていない。

【下平・記】

若い人達の迷惑にならないようにするには、 認知症を防ぎ   筋トレ  食事  に気をつけてお医者さんに掛からなくていいように日常生活に気をつけることです。 こうして楽しい生涯を過ごしたいものです。

この「健康寿命」を地区でどのように取り入れたらいいのか、大きな課題です。

10月16日に放送されたNHKの情報番組「あさイチ」で「4分運動」というトレーニング・およびダイエット方法が紹介されました。

これはいい方法です。



あさイチで紹介
③これは凄い4分運動(タバタ式)
    http://matome.naver.jp/odai/2141342709166694801

 ◆4分運動とは?

海外で爆発的な人気となっている運動方法なのだそうです。滋賀県にある立命館大学スポーツ健康科学部の学部長・田畑泉さんが考案したもので、「タバタ式」などとも呼ばれています。 (http://blog.livedoor.jp/ninji/archives/40758618.html)

従来のトレーニングは、中程度の負荷をかける運動を20分~30分続けることがよいとされてきたのですが、それを覆した画期的トレーニング

「20秒運動して10秒休む」を1セットとして全部で8セット(4分間)行うトレーニング方法です。 (http://josei-bigaku.jp/health/tabatatraining76535/)

あまりにも脂肪を燃やす効果がありまくることが証明されたため、世界中で人気になった和製トレーニングの最高峰であります。 (http://yuchrszk.blogspot.jp/2014/05/460.html)

【動画】 【あさイチが世界が注目】「4分運動」 方法は運動20秒・休憩10秒の8セット(4分)

 ◆ダイエットにもアスリートにもおすすめ

スピードスケートの清水宏保選手も取り入れてるトレーニング (http://grutbildning.to/tabata-training.html)

実際にスピードスケート、格闘技、ボートなどの持久力と瞬発力が求められるスポーツではすでに取り入れられています。 (http://blog.livedoor.jp/bullfighters2/archives/65865926.html)

長時間トレーニングをしたのと同じ脂肪燃焼効果が得られる (http://ameblo.jp/miyaosu-drama/entry-11887679132.html)

【動画】

 ◆4分運動の方法

1.20秒間、激しく体を動かす

このとき「ややつらい運動」とする。腕立てでも腹筋でも、エアロバイクでも「ややつらいと感じる運動」であればOK

2.10秒間、休む ※1.2を8回繰り返す

運動の種類はなんでもいいようですし、毎回同じ運動でなくてもいい

腕立てでも腿上げでも、どの動作でもOK (http://www.fitnessjunkie.jp/archives/914)

出田アナは、500mlのペットボトル(計1kg)を両手に持って、スクワットをしていました。 (http://dysdis.blog.fc2.com/blog-entry-931.html)

【動画】 2014/10/16 「あさいち!」タバタプロトコルその②

 ◆その効果は?

合計4分やるだけで1時間運動をするのと同じ効果になります。週3日で十分効果あるそうです。 (http://bokuokun.com/post-1481-1481.html)

この田畑式の4分運動をすることによって、持久力や瞬発力アップ、さらにはダイエットにつながるそうです。

某大学論文では週に5回タバタろうが2回タバタろうが6週間やって検査したところ効果は同じようにあり、むしろ2回の方が精神的にも身体的にも優位とされています。

 ◆タバタ式動画(ダイエット編)

【動画】 タバタ式インターバルトレーニングで体力アップ!脂肪ダウン! 6畳フィットネスWO#11

【動画】 タバタ式地獄!インターバル・トレーニング by 6畳フィットネス

【動画】 TABATAプロトコルやってみました。トレーニング1日目

【動画】 タバタインターバル

【動画】 TABATAプロトコル〜4分間で身体を追い込む〜

なお筋トレ(http://matome.naver.jp/topic/1HinG)でもいいし、Googleで筋トレ検索してもいいし、いろいろの方法が確認できます。