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折々の記 2016 ⑤
【心に浮かぶよしなしごと】

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  05 17 フーヴァーレポート   テロと極右の時代 ⑮-1

 05 17 (火) フーヴァーレポート     テロと極右の時代 ⑮-1

PRIDE and HISTORY 西鋭夫公式サイト
西鋭夫のフーヴァーレポート
      PRIDE and HISTORY
      http://www.prideandhistory.jp/item/

西鋭夫のフーヴァーレポートは、日本では報道されない情報、われわれフツーの日本人が分からないような世界の情勢などを、世界最高峰のシンクタンクであるフーヴァー研究所で培った経験やネットワーク(情報源)を元にあなたに、本当の情報を分かりやすく伝えるサービスです。

あなたに、現実の世界でなにが起きているか?それが今の日本にどんな関係があるか?われわれや子供たちの将来にどう影響するか?その背景にある歴史と共に分析した結果を分かりやすく解説した音声レポートを隔週で届けします。

「難しそうだな?」と思うかもしれませんが、安心してください。学者や政治家の言葉とは違い、西先生の話は非常に分かりやすくブラックユーモアに富んでいて、深刻な問題ですが楽しく聞く事ができます・・・

フーヴァーレポートを聞いているだけで点が線になり、世界が広がるでしょう。日本と世界、自分と世界の関係が分かるようになります。そして視点が変わり、考えが変わり、大げさですが自分の存在が分かり生き方が変わります...


  フーヴァーレポート もくじ

⑯ 16年5月号 捕鯨外交 / coming soon...
⑮ 16年4月号 ⑮-1 テロと極右の時代 / パナマ文書の闇
⑭ 16年3月号 忘れ去られた福島 / トランプ旋風
⑬ 16年2月号 大統領選挙と人種差別 / 水戦争
⑫ 16年1月号 アメリカの貧困 / 北朝鮮の情勢
⑪ 15年12月号 南シナ海の情勢 / 2016年の世界と日本
⑩ 15年11月号 TPPと世界経済 / パリ同時多発テロ
⑨ 15年10月号 フォルクスワーゲン / 日本語の英語力
⑧ 15年9月号 米国メディア / 難民
⑦ 15年8月号 終戦記念日 / 大学ランキング
⑥ 15年7月号 ギリシア崩壊とユーロ / 集団的自衛権 / 平成占領70年
⑤ 15年6月号 アメリカ最新不動産事情 / 医療大麻
④ 15年5月号 ヒラリー・クリントン / TPP
③ 15年4月号 原爆謝罪・ウィキリークス / ユダヤロビー
② 15年3月号 スイスリークス / 銃と差別
① 15年2月号 米国の中東戦争とテロ




PRIDE and HISTORY 16年4月号
⑮-1 テロと極右の時代
      上旬号:
      https://academy.prideandhistory.jp/library/?id=472&contentsid=5253#5253

岡崎:西鋭夫のフーヴァーレポート、インタビュアーの岡崎です。今日は、2016年4月9日土曜日です。本日は西先生に、テロと極右の時代と題して、お伺いいたします。よろしくお願いいたします。

西:よろしく。

岡崎:2016年3月22日、ベルギーの首都ブリュッセルで、同時爆発テロが発生。現地警察によれば32名が犠牲となり、約340名が負傷、イスラム国は犯行を認める声明を出しております。犠牲者の追悼集会では、極右と警察隊が衝突しております。数百人もの極右集団は、ヒトラー礼賛や反イスラムを叫びました。西先生、フランスに続き、ベルギーでもテロが起こりました。今後のヨーロッパの行方、特に極右勢力は台頭してくるのでしょうか。

西:ヨーロッパでテロが続くかぎり、俗に言われる極右勢力が、どんどんと強くなってきます。人数も増加します。
それで、私たちはテロがあるたびに何人死んだと、今回は32人ですが、ベルギーで。負傷者が340名とか350名とか、いろいろ出てきますけど、負傷者と聞くと私たちは、ああ、死ななくてよかったと思う。負傷っていうのは、指を小刀で切ったんじゃありませんで、破片がぶっ飛んで、顔に当たったり、胴体に当たったり、手がなくなったり、足がなくなった人がいっぱいです。だから、私たちこれ、テロが爆弾を爆発させて、その中にいっぱい小さなくぎとか、ボール球とか、いっぱい入ってるわけです。だから、その恐ろしさ。
 ベルギーがこんなにやられたのは、ベルギーは俗に言う、非常に美しくて、オープンの国で、誰でもいらっしゃいと。皆、それぞれ幸せに暮らしましょう。ところが、その夢は完全に、もう20年前に崩壊してた。それでベルギーの、もう今ヨーロッパ全土ですが、町々にイスラム教徒たちがつくる町があります。チャイナタウンというの世界中にありますが、そういうイスラム教徒の町があって、そこには警察自体が入るの怖いって言ってるとこです。それでベルギーであって、その前にパリであって、もう主要な都市は戦々恐々です。ドイツでないのが、まだ不思議。ドイツでないのはおそらく、ドイツのメルケル首相が皆さんおいで、それから生活保護も非常にいいんだと思います。だから、ドイツは置いておこうと。
 それでイスラム教徒は、こういうイスラム教徒、原理、テロリストですよ。その人たちも非常に計画性がありますから、途端にあそこ爆破しよう、そんな話じゃないです。
 それで、それを長い間見てきたヨーロッパの若者たち、若者たちだけじゃないですが、もう耐えられないっていう、もう限界です。それで俺たちが国守らなきゃ、誰も守ってくれないと。政治家も無理、軍隊にもできない、町を俺たちが守らなきゃいけない。この守る人たちを私たちは今、極右と呼んでるわけですよ。日本語で極右というと、非常に悪いイメージです。だから、私たちは世界の状態を見るときに、極左、極右という言葉を使わないように。もう少し現状を見て、なぜああいうものが起こって、なぜヨーロッパの人たちがあれほど、今までおとなしかったのが過激になっていったんだろう。私は過激と思ってません、国守るために必死です。だから、今言われてるこの極右の動きは、これからもっと強くなっていきますよ。私たちが間もなく、極右と呼ばなくなってくる。

岡崎:なるほど。難民が、ヨーロッパになじめず不満を高めていけば、犯罪も多発します。これに比例するかのように極右、過激派というものが台頭していく構図なのでしょうか。

西:もう完全に正比例です。テロが起こるたびに、ヨーロッパ全土がビクっとしますから。その反射神経で、イスラム教徒は悪の権化と見始めておりますから。だから、何の関係もないイスラム教徒の人たちまで、迫害されますよ。これはもう、いくら人間、理性で止めようとしたって、感情の動物ですから、自分の同胞がやられると反撃したくなります。これはもう、自然の掟です、自然の摂理と思う。

岡崎:そうですね、自分の家族がやられたら、親も。

西:考えないで、やり返します。そこしちゃいけないとか言ってるのは、やられたことない人のお話です。

岡崎:テロというと、2001年に起きたアメリカ同時多発テロを思い起こします。そのためテロの標的は、アメリカというイメージが強かったです。それまでヨーロッパは比較的に安定してきました。ジョージ・ブッシュ元大統領は、アメリカのテロとの戦争にのめり込みました。当時ヨーロッパは、対岸で火事が起きているかのように悠然と構えていました。しかし、ここ数年、ヨーロッパでテロが頻発しております。西先生、ヨーロッパの人々の意識、これどう変化してきたのでしょうか。

西:ヨーロッパは、第一次世界大戦、第二次世界大戦、その前に百年戦争なんかありますから、絶えず戦争してた、大陸で。もう二度としたくない、もう二度と戦争をしたくない。特に、今回の第二次世界大戦でドイツが、あんな大虐殺やって、完璧に崩壊して。もう何とかして国境という観念もなくし、ヨーロッパ一団となって国づくりを始めようと。ここまで非常によかった。それで実際に国づくりを始めて、最初はEECとか言ってました。ヨーロピアン・エコノミック・コミュニティーEuropean Economic Communityですよ。
 それで経済を一緒にやると、戦争しなくなるんじゃないかと。そこまでは、これもよかった。ところが、それぞれの国に働くときの姿勢、仕事に対するプライド、これ全部違いますから、またドイツが台頭してきた。それで、今現在のEU、ヨーロピアンユニオンEuropean Unionですが、今の現状で言うと、ドイツでEUがもってるって感じです。もってるというよりも皆さん、ドイツの経済発展、工業進歩に、どっさりとおんぶされているという感じです。その中に、スペインやポルトガル、ギリシャも入ってるわけですよ。私がドイツ人だったら、冗談じゃねえよ。お前たちは、働かねえじゃねえか。1年間のうち半年、休暇だろうがと。それで、有るお金を全部配っちゃうわけですよ、社会保障で。だから、ドイツ耐えられないという世界です。ドイツも寛容なところを見せようと思って、ドイツのメルケル首相が今回、去年ですが、中東で戦争で困ってる難民たちを、おいでと言ったんですよ。おいでって、あの人たちが来れたのは、ずっとヨーロッパ、スウェーデン、ノルウェー、デンマークのほうへ、ずっと北へ上っていけたのは、俗に言う国境というものがなくなってた。ヨーロッパは、もうビザなしですから。それで、国境越えるときも検査もなしです。
 アメリカで、カナダからアメリカに入るとき、アメリカからカナダに行くとき、絶対パスポートか、アメリカだとドライバーズライセンス、これ見せます。ヨーロッパなしですよ。すなわち、国境をなくすると戦争なくなる。フランスの紙幣のフラン、ドイツのマルク。それを使わないで、ユーロを使いましょう。そうするとみんな、けんかしないで仲よしこよし。そういう夢を見てるときに、バーンとテロですよ。
 すなわち、どれだけイスラム教のテロリストが、ヨーロッパへ入っていくのが楽になったかと。だからこれで、今もうユーロが危ないぐらいですよ。存続が。だからドイツは、ここどうするかですよ。問題は、ドイツです。ドイツが、どうするかです。ポルトガルやスペインやギリシャ、ここは攻撃されない。やはりフランス、ベルギー、俗に言う安全で美しいと思われてるとこがやられるわけですよ。ドイツが攻撃されないのが、私は非常に不思議だと思ってる。

岡崎:なるほど。ここで一度、右翼と左翼の言葉の意味を整理いたします。

西:はい。

岡崎:右翼と左翼という言葉が登場したのは、フランス革命当時まで遡ります。このとき、保守派と急進派の議員が、それぞれ右と左の座席に座っていました。そのため、保守は右翼。急進派、改革派は左翼と呼ばれます。

西:わかりやすくていいです。

岡崎:ヨーロッパで極右、過激派が台頭している背景には、先ほど西先生がおっしゃった難民問題が挙げられます。昨年のフーヴァーレポートでも難民について取りあげました。その際、西先生は、今後ドイツでネオナチの勢力が強くなると、ご指摘しておりました。難民や移民が多くなると犯罪が増加し、移民は福祉目当てであり、ドイツの衰退につながる。外国人に乗っ取られると考えがちです。西先生、民衆の心の奥にある不安が、極右の台頭の原因になっているのでしょうか。

西:もう完璧にそうです。いわゆる、ドイツ国民から見ると、これだけ一生懸命に働いて、あのがれきの国を世界1、2の技術大国にしたと。それで、ドイツの人は、あんまりぜいたくしませんから。非常に質素です、生活。そのときに難民がワーと入ってきて、やりたい放題で、働かねえし、働けないし。ドイツ語しゃべれねえし。それで周り見たら、そんなのばっかりいるわけですよ。
 日本では、あんまり報道されてませんけど、婦女暴行、頻繁です。皆さん、こんなこと、品がないと言われますが、現実は現実です。ひどい状態です。写真見られたらわかりますが、難民の。若い男がいっぱいです。荷物持ってないです。それで私たちが時々見せられるのは、赤ちゃんを抱えたお母さんの写真。同情心を誘うわけですよ。しかし、おそらく70から80パーセントの中東の難民は、男ですよ。若い男たちですよ。それを見ているドイツの若者たち、一生懸命に働いて、やっと裕福になったおじいちゃん、おばあちゃん。これは激怒しますよ。何しに来たんだと。俺たちは、お前たちの面倒を見るために呼んであげたのに、このザマは何だ。若い人たちはもう、特に、自分たちの婦女子が暴行されると激怒しますから。

岡崎:そうですね。

西:日本でも、沖縄でも、そうですよ。アメリカの兵隊が、沖縄の女性を暴行すると、もう島が割れるほど大騒ぎになります。これが、ものすごい数が来てる。今、100万人から150万人来てますから、難民が1年間で。そうすると、これはもう難民が増えれば増えるほど、自国を守ろうとするドイツ人やフランス人、これは増えるのも、増えるというよりも、そういう心が強くなっていくの、これ非常に自然だと思います。

岡崎:そうですね。せっかく難民を受け入れたのに、恩を仇で返されたら・・・

西:全く、そのとおりです。そのとおりです。そうすると、余計憎らしくなりますから。

岡崎:ネオナチの人たちは、やはり暴力的なことを今までやってきたんでしょうか。それとも、今まで武器をとってネオナチが行動するっていうことはなかったと思うんですけど。

西:ないですね。これが、非常に不思議です。あれだけテロをやられても、ネオナチとか右翼とかいう人たちは、武器を持ってイスラム教徒、攻撃しないです。しかし、これがいつまで続くかですよ。

岡崎:そうですね。

西:いつまで続くかですよ。こんなもん続くわけない。例えば日本の人、これヨーロッパだから、はるか遠くだと思っておられますが、日本の海岸に皆さんいらっしゃいで、駿河とかさ、神戸、横浜に10万人単位で、よその国の人が入ってきて、日本に全然同化しない。言葉できない。宗教違う。それで、それに反抗すると、攻撃してくるってやつ。日本人、耐えられるわけない。ヨーロッパ人だって同じですよ。
 だから、そういうのを私たちがもっと、現実的に理解しなきゃいけません。いい悪いの世界じゃなくて、この今のヨーロッパで、いい悪いじゃないですよ。ヨーロッパも必死ですから。ヨーロッパ、守らなきゃいけない。守るのは、俺たちが呼んであげた難民かじゃ。こいつら敵かじゃ。いや、だからその中に入っているわけですよ、大勢。長い間、住んでますから。

岡崎:ドイツの周辺国、フランス、ベルギーで、今までテロが起こってきたんですけど、ドイツでテロが起こってないですよね。

西:はい。

岡崎:これで、もしネオナチが、例えば銃を持って、イスラム教を攻撃するっていう、本当に過激的な行動になったとき、ドイツが危うくなっていくこともありますね。

西:私が心配してるのは、いわゆる、ヨーロッパの人たちが耐えられなくなって、いわゆる銃を取るですよ。もちろん、無実の関係のない人たちを殺すわけですよ。そのときに、ヨーロッパのいわゆるドイツ、フランスの政府が、どこまで自分の国の国民を押さえつけるかと。軍隊出して押さえつけるのかと。警察も、もちろん手が出なくなりますから。何千人も武器持ってると。そうすると軍隊が出てくるわけ。自分のとこの国民を、自分のとこの軍隊で殺させるってのは、もう最悪の選択です。だから今、不思議にヨーロッパの右翼が武器を持ってないって。武器が手に入らないじゃないですよ、あんなもん、すぐ簡単に入りますから。銃を撃たない。これ不思議です。だからネオナチも、極右も、愛国者たちも、必死で抑えてるって感じですよ。

岡崎:まだ、何とか理性が働いていて。

西:そう。これで、もし今年か来年に、もう一発でっかいのがどこかで起こると。ロンドンもやられておりますから、地下鉄。パリもやられ、あっちこっちでやられてんですよ。だから、また大きな町で原理イスラム教徒のテロリストがテロ爆破をやると、おそらく何かが、ヨーロッパが崩れるような形で、大戦争になっていくんじゃねえかと。

岡崎:そうですね。近代に入ってから宗教対立や人種差別を避けるために、多文化主義という言葉、頻繁に言われるようになりました。宗教、人種、文化が異なっていても、共存して暮らしていくことができる。しかし、反イスラム主義により、共存ができなくなってきました。つまり、多文化主義が崩壊したとも言えます。西先生、ヨーロッパは、移民や難民の部外者にとって、住みにくい国になっていくのでしょうか。

西:これから、どんどんなります。もう、受け入れを完全に拒絶しますから。もう一つは、今まで難民に対して優しかったヨーロッパの人たち、もう警戒して、私の町には来ないで。これアメリカで読んだ話ですけど、インターネットで読んだ話ですけど、5、600人のドイツの村に1万人ほどの難民が来て、本当の話。そうすると、トイレがないじゃん。

岡崎:はい。

西:そうすると、その町、それから住んでる人たちの庭をトイレに使うんだって。物は盗むわ、畑に生えてるものは取るわ。だからもう完全に、無政府状態になってるのよ。そうするとたいてい、その町のとか州の警察が出てきて、取り締まってくれりゃいいんだけど、そんなたくさんいるから、もう最初から取り締まれない。もう一つは、おそらくメルケル内閣から、何も取り締まるなと言われてるんですよ。だから、そういうのを1年も耐えられるわけがないんだよ。どっかで爆発しますよ。
 それでヨーロッパ自体が、もう難民を受け入れたくない。それで難民も、ポルトガルとかスペインに行かないわけ。すなわち、生活保護をくれるドイツとか、デンマークとか、ノルウェー、スウェーデンに行くわけです。そこの人は税金、60から90パーセント納めてるわけ。だから、あの人たちも、その善意がいつまで続くかじゃ。いや、もう続きません。

岡崎:いずれ共倒れになる。

西:共倒れになる。そんなことを、やるわけないんで。しかし、追い返すたって、デンマークからトルコまで、どうやって追い返す。大変ですよ、これは。

岡崎:そうですね、追い返すだけで、また税金がかかりますからね。

西:税金かかり、もう金ない。

岡崎:今、ヨーロッパ欧州連合の存在について、ちょっと指摘していただいたんですけど、ヨーロッパの欧州連合の存在自体に疑念を持つ勢力も現れてきております。例えばフランスの極右政党、国民戦線、党首のマリーヌ・ル・ペンMarine Le Penは、反EUを一貫して唱えております。EUによって支配されることも、EUのほうに服従することも、国民は望んでいないと述べております。西先生、EUの決定ではなく、国家の主権を取り戻すという流れが起きております。この流れは、ますます強くなっていくのでしょうか。

西:ヨーロッパだけじゃなく、この流れは、これから世界中に広がっていきますよ。今まで戦後70年間、日本をひっくるめて、国連とかユネスコとか、そういうワンワールド、世界を一つにして国境なくしてとか、夢のようなバカな話をしてるわけですよ。日本もそれに乗って、国際化とかグローバル化とか言ってるわけですよ。No、No、No、No。フランスのル・ぺンLe Penさん、これはもう絶大な人気ですよ。だから、私もちょっとフランスのこと、あんまりよく知りませんが、今のル・ぺンLe Pen女史は、フランスをイギリスから救ったジャンヌダルクです。それほどの勢いでこのル・ぺンLe Penが今、勢力を持ち出してきました。すなわち、ヨーロッパの人たちもフランスを見て、パリやられて以来、フランスを見て、ああいう発想で国が守れるんだと。そうすると、これが広がっていきますよ。だからメルケル首相のように、善意でやったんでしょうが、皆さんおいで。下手をすりゃあ、これでドイツが経済破綻をするかもしれません。お金持ちの国ですけど、100万人も受け入れられる国なんか、どこにもありません。皆、働いてませんし、ドイツ語はできませんし、英語もできませんので、さあ大変。
 だからヨーロッパとヨーロッパユニオン、発想自体が崩壊です、これから。もう金属疲労を起こしちゃったんで、構造疲労ってんですか。それで、いわゆるお金持ちどうしの連合。貧乏人どうしの連合だったら、これはもちますけど、格差がありすぎるんです。ドイツがお金持ちすぎて、いわゆる、経済も産業も技術も進みすぎてて。その国とギリシャ、スペイン、ポルトガル、あのあたりの国、もう経済の規模も違い、それから勢いも違うんです。それで、ドイツから見ると、ギリシャ、ポルトガル、スペイン。1年のうち、お前半年しか働いてねえじゃねえか。あとは休暇だろうと。お金もないのに、生活保護に全部渡しちゃうわけ。ドイツめちゃめちゃ貯金しますから、日本みたいに貯金大好きですから。日本のほうが、ぜいたくです。私、ドイツ旅行したことあります。こんな食べ物をして、おいおい、もっといいものないのか。ノー、それが普通の食べ物ですよ。

岡崎:そうですね。日本に住んでると、EUの感覚がつかみにくいかと思います。もしEUのように、日本もアジア共同体のような形で参加すると、日常使う紙幣は日本円ではなくなります。やはり心理的に抵抗があるかと思います。イギリスは、もともとEUと一定の距離を置いております。イギリスはEUに加盟しながらも、共通通貨であるユーロを導入せず、ポンドを使っております。イギリスの右翼政党イギリス独立党は、EUからの脱退を主張しております。さらに、2016年6月23日にはイギリスで、EU脱退の是非を問う国民投票が実施されます。西先生、選挙結果によっては、EUの弱体化につながるのではないでしょうか。

西:こういう選挙がイギリスで行われるということが、弱体化の顕著な例です。だから私は、EUという形は残るかもしれませんが、実際に活動しなくなるわけですよ。名前は残りますけど。実際にドイツがヨーロッパ今、牛耳ってますから、経済でお金で。ドイツに従う国々がどんどん出てきて、イギリスがもしユーロ使わなくなって、もういいよと言ったって、イギリスが廃るわけじゃありませんし。そうするとドイツも、イギリスとフランスとドイツと、この3国で、また経済圏をつくりましょうと言うかもしれません。日本が韓国、中国、フィリピン、それからインドネシアそれぞれの、インドもひっくるめて、東南アジアの国々と経済圏をつくって、アメリカつくらせてくれませんが、つくって、円じゃなくて、何か新しいお札をつくりましょう。まず日本人できないです。

岡崎:そうですね。ひょっとしたら、中国の元を使うかもしれないですね。

西:元を使うかもしれないし。イギリスと日本が、なぜこういうこと、よく似てるかというと、イギリスも日本も島国です。島国というと何か了見が狭いようですけど、私、島国でよかったと思ってますから、島国万歳の世界。島国だから、イギリスも日本も独自の文化をつくりあげて、独特の文化です。これをだんだん日本の色をなくしていって、どこの国とも同じような形になると、海外からの旅行者、日本に来ないですよ。

岡崎:そうですね。

西:何しに来てんのよ、日本に。爆買いじゃないですよ。あれは日本を見に来てるんですよ。日本の文化、日本人の優しい気質、清潔さ。それから、優れたものをいっぱい持ってる、これを見に来てるんですよ。これが欲しいんです。だから、アメリカの若いって10代の子たち、日本のアニメ大好きです。アニメも放映されますけど、日本語で放映されて字幕がつくわけですよ。だからそこで、日本語学ぶやつもいるわけ。非常に早いです。そういうときに日本は、ユネスコとか国連を神社のように崇めて、主権を売り飛ばして、投げ捨てて、一緒になろうとか。何言ってんの、絶対一緒になってはいけません。私は右翼でもネオナチでもありません。日本を愛してますんで。日本、大切なので。これほど貴重な文化を持ってる日本、必死になって守らなきゃいけません。
 それで、日本語も非常に大切です。ところが、日本の政府も東京都もですが、できるだけ横文字にしていこうという。横文字にしなくたって外国人、日本で十分、今、旅行してますから。私もこの間、成田から帰ってくるとき、電車、快速みたいなエクスプレスとかいう快速に乗りましたけど、そこでみんな、マレーシアの二人の女の人、地図持ってましたから。それで、日本語とローマ字で書いてあるやつがありますね。ここ行くのどうすんだったら、ここで乗り換えてって言ったら、そうするとサンキューとか言ってましたから。
 アメリカ行って、どっかへ旅行するとき、日本語で書いてあるんかと。何を俺たち錯覚してんのよ。日本に来たら、別に英語なんか見たくねえって。それで、英語もできない人は、英語のできない日本人は、特に政府の方々は、英語にしてあげなきゃ外国人がわからねえ。ノー、英語にしたら日本に来なくたっていいじゃん、そんな。日本は、日本を見せてあげなきゃ。何、錯覚してるんだろうと思って、情けねえ。

岡崎:海外の人たちは日本に来て、日本を見たいって思ってるんですけど、受け入れている日本は、よくスーパーとかに行くと、ほとんどカタカナ表示ですよね。

西:悪い経験を思い出させてくれました。ありがとうございます。この間、高島屋、この間って数か月前ですが、高島屋のデパ地下行って、パン屋さんの売り場行くわけ。おいしいもの、いっぱいあります。見ると、日本語で書いてあるのがありませんから。あったのは、あんパンだけ。私の大好きな、つぶあんパン。あとは全部カタカナで、フランス語ですよ。私はカタカナが、ゆっくりしか読めませんので、そこのきれいなお嬢さんに、これは何ていうのって言ったら、すらすらっと言えるわけ。フランス語よ。

岡崎:はい。

西:あんた、フランス語できんのかって言ったら、名前だけわかるんです、とか言ったの。しかし、何で全部カタカナなの。漢字で書け、ひらがなでもいいから書いてくれ。そういう世界ですよ。その動きを今、政府が、東京オリンピックのためにとかって、必死になってるわけ。やめなさいって。東京オリンピックに来る人は、東京ほど安全なところありませんから。日本の国民、連れてってくれますから、あそこまで。築地まで。だからもう、そんなことに集中しねえで、早く日本の経済立て直してちょうだい。それができねえから日本の表示をローマ字にしたり、英語にしたり、地下鉄には今度番号つけてますから、Cの16とか。どうした。秋葉原AKBだって。俺、それ聞いたとき、何か世の中、幸せになってきちゃって、涙が出そう。

岡崎:ちょっと、だいぶ話がずれてきたので。

西:もう当然です。

岡崎:ちょっと戻します。

西:はい。

岡崎:今までちょっとヨーロッパの話を伺っていたんですけど、ちょっと大統領選挙が行われているアメリカに話を移したいと思います。

西:オーケーです。

岡崎:白人至上主義団体にクー・クラックス・クランKu Klux Klan、KKKというものがあります。KKKの元指導者デービッド・デュークDavid Dukeが、共和党の有力大統領候補者ドナルド・トランプの支持を表明しました。西先生、そもそもクー・クラックス・クランKu Klux Klan、KKKとは、アメリカ社会では、どのような位置づけとなっているんでしょうか。

西:トランプさんがかわいそうだったのは、このKKKの会長から、お前を支持すると言われて、もう大迷惑ですよ。ところが、アメリカのマスコミはトランプの台頭、非常に怖がっておりますから、ウワーいい武器が出てきたって感じですよ。これを使って、トランプ猛攻撃。KKKというのは南北戦争の直後、1865年に南部で設立された白人の団体です。最初は、白人は昨日まで使ってた奴隷が自由になったんで、人種差別ですから耐えられないんです。それでそういう思いを持ってる白人たちが集まって、このKKKをつくるわけですよ。そこまではよかった。最初つくったときは会員も非常に多くて、100万単位で増えていきました。
 ところが1927、8年ごろに、ここの会長が婦女暴行殺人で捕まっちゃって牢屋に入るわけですよ。それで、そういうことをKKKはするもんじゃねえと思ってたほとんどの人は、そこで脱退します。しかし、今現在8,000人ぐらいしかおりません。全米で。非常に小さい団体ですが、なにぶん過去がすごかったので、黒人たちを捕まえて時々リンチという絞首刑にしてました。それでもう、あちこちで悪さしてましたので、今のようなアメリカでは人種差別と言われると、もう最悪ですから、KKKはアメリカの人種差別の歴史を象徴する最悪の名前です。
 だから、そこの会長がトランプを応援って言ったから、トランプどうしていいかわからないという感じで、ちょっと対応にうろうろしてました。そこをマスコミに相当殴られまして、今やっと収まりましたけど。これから、だんだんなくなっていくでしょう。

岡崎:共和党はどちらかというと右寄りの政党ですが、共和党から見て極右の政党というのは、アメリカにあるのでしょうか。

西:今日、私たちがアメリカで民主党、共和党と聞くと、民主党は今のようなヒラリーやオバマのような大きい政府が、だから日本の政府みたい、政府があれしなさい、これしなさいと命令して、政府が一番よくわかってるというものの言い方です。
 ところが共和党はそうじゃなくて、連邦政府なんか本当は要らないんだと。一番大切なのは州政府であると。すなわち個人の責任であると。だから個人の責任でお金持ちになったり、貧乏になったり、賢くなったり、バカになったり、すべてこれ個人の責任だと。それを象徴するのがアメリカの自動車です。日本に車検ってありますね。車検。なくなったんですか。

岡崎:あります。車を一定期間整備するという。

西:そうそう、整備するってやつ。

岡崎:その車検ですね。

西:それで莫大な、お金を取るやつ。

岡崎:はい。

西:あれ、アメリカにありませんよ。自動車の大国アメリカに車検はなくて、あるのは燃料燃やしたときに、どれだけ一酸化炭素が出てくる、その検査だけです。10ドルか20ドルです。
 ところがそれは、アメリカは自動車それぞれのものは自分の責任だと。自分の責任でやりなさいと。自分の自動車を整備しないで事故を起こす、エンスト起こすの、それぞれ個人の責任。それが共和党、すなわち小さい政府でやりましょうと。だから共和党の中には極右と言われる人は、連邦政府の税金に反対してますから、非常にこれ大きい力です。
 だから、そういう人たちから日本を見ると、もう完全に共産党。そんな税金取るの、政府が全部決めるの、教育まで決めてるのかって感じです。何だ、その文科省っていうのはって。そういう人たちが今、共和党で極右と言われますけど、その人たちが、いわゆる大きな木で言うと、根っこの大きい一つの主流です。

岡崎:そうですね。アメリカだと文部科学省もない。

西:ないです。Department of educationってありますけど、あるだけで何の権限もないです。誰も聞いてないです。アメリカの教育は、それぞれの町、地域が単位です。州にも教育局ありますけど、そこもあんまり命令出さないです。例えば、教科書決めるのは学校が決めてますから。州なんか決めてませんから。学校が、例えば歴史だと歴史の先生が教科書を選んで、5、6人でこの教科書どうでしょうかって決めていくわけです。それで教育費も、教育費って学校が使うお金は、その町の住民税です。特に、家につく。

岡崎:固定資産税。

西:固定資産税、あんな長い漢字わかりません。固定資産税から捻出されます。だから連邦政府が、この小学校にお金あげるってそんなのないです。

岡崎:今、ヨーロッパでテロが起きて、アメリカでも大統領選挙の最中なんですけど、ヨーロッパのテロが、外交政策にも変化を起こす可能性があると思います。

西:もう起きてますね。

岡崎:ドナルド・トランプは、海外への戦争に介入することを避けるべきと考えております。トランプはアメリカを優先すべきとして、アメリカ・ファーストという言葉を使っております。アメリカ・ファーストという言葉は1940年、日本がアメリカと戦争する前に流行しておりました。西先生、アメリカ・ファーストの歴史的由来について、ご説明していただけないでしょうか。

西:アメリカ・ファーストの話をすると、私もう情けなくて。情けなくてというのは、こういう意味です。アメリカ、第一次世界大戦に参戦して、俗に言う戦勝国の親分になるわけですよ。最初から、終わる1年半ほど前に。それで1920年代、アメリカはヨーロッパがつぶれてますから、つくれば売れる、輸出すれば売れるって、もうすごい。1920年代、ローリング・トゥエンティRoaring Twenties、いわゆる好景気で狂乱したというぐらい、日本のバブルが10年間続いたって感じです。
 それで、1929年のウォール街の大暴落。それから30年代、もう最悪の状態です、アメリカ。浮浪者が街にあふれ、失業者、白人が50パーセント、黒人は90から100。ない。何もないです。それで1940年に、そのころドイツとイギリス、フランス、大戦争やって、ドイツの一人勝ちですが、イギリスのチャーチルはルーズベルト大統領に、早く参戦してくれと言ってるわけ。ところがルーズベルトは、俺は絶対戦争しないで投票しましたし、アメリカの国民もヨーロッパの戦争に二度と参加しない。アジア大陸でも日本や中国が戦争をやってるけど、絶対に関わらない。もう宣教師まで帰ってこいと言ってましたから。
 そのときの1940年の9月に、名門のエール大学の法科大学院から先生と学生が、このアメリカ・ファースト・コミッティ、アメリカ・ファースト、アメリカ最初委員会をつくるわけですよ。それで、その宣伝塔になったのが、あの有名なリンドバーグ、太平洋無着陸横断に成功した、背が高くてハンサムで。この男がチェアマンのような形になって、皆さんよくご存じのディズニーランドのウォルト・ディズニー、それから自動車王のヘンリー・フォード、この人たちも会員になっていきます。それで1940年ずっと、100万人がメンバーになっていきます。だから、ものすごい勢いだったんです。
 それで、ルーズベルトは戦争したくてウズウズしてんですけど、アメリカの世論調査で70から80パーセント、戦争絶対にしてはいけませんですよ。そこからわずか1年後、日本がどこ見てるのか知りませんが、真珠湾を攻撃するわけですよ。これで一瞬でアメリカ・ファーストが終わり、ルーズベルトは戦争に参加できたっていうわけです。

岡崎:アメリカ・ファースト委員会が設立されて、下火になったこの時期に、またトランプがアメリカ・ファーストを言い出す、その意図っていうのはどこにあるんですか。

西:すなわち、もうアメリカは、よその国のことはどうでもいい。アメリカのインフラ、すごいですよ。私がこの間、スタンフォード戻りましてサンフランシスコに着きますね。そうすると、5年ぶりに雨が降ってるわけ。あそこ大干ばつ。雨が5日続けて降ります、私が着いた日から。それで着いた日、税関通ってロビーに出てきて、奥さん来てるかなと思ったら、来てない。おそらく寝てる。そうすると、ジャージャーと音がするわけ。雨の音じゃなくて、雨が漏れてる音ですよ。それもロビーの真ん中に漏れるのよ。誰も、日本だったらすぐ来て、掃除したり、桶を置いたりするでしょう。なしですよ。俗に言う垂れ流し。これがサンフランシスコ、インターナショナル。だから成田や羽田で雨が降ったら、ジャージャーとロビーに漏れたというわけ。これは、サンフランシスコでそうですから、ほかの貧しい町の飛行場なんか、もうズタズタです。
 もう一つは、道路が悪くなりました。それをトランプが言います。インフラを直さなきゃ。俺たちは発展途上国かって言いますから。それほど今、アメリカのインフラ悪いです。それで鉄道も。鉄道なんか見たら信じられませんよ。あれ、日本で明治のとき走ってた蒸気機関車じゃねえか。だから、そんなもんばっかりです。
 それで、トランプさんはアメリカ・ファースト。まずアメリカを強くして、アメリカの生活をよくして。トランプは講演で、全部中継されますから、講演で、俺は皆さんをお金持ちにできるただ一人の男であると。そうすると、ウオーっと盛り上がってますから。それほどアメリカの国民は今、経済で苦しんでます。

岡崎:トランプがアメリカ・ファーストということで、海外ではなく自分たちの国を優先すべき。

西:そうです。

岡崎:そのような考えと、アメリカの右翼勢力というものは共鳴し合うというのはあるんですか。

西:もう完全です。アメリカの右翼っていうのも、愛国者の集まりですから。この人たちも、国がもうズタズタになっていると。それで国だけじゃなく、アメリカの威信まで地に落ちたと。アメリカは、お金を理解する国ですから、お金がなくなってんで、俺たちは態度も大きくできねえと。それなのに、よその国へバッカバッカお金をあげて、ふざけるなじゃ。
 それでトランプが時々出してくるのは、韓国と日本の防衛は俺たちがやってるんだと。いつまで俺たちの世話になっているんだと。日本、もっと金出せって言ってますから。日本、たくさん出してますけど。足らないらしいです。韓国は、特に出してませんから。そうすると、この間トランプが言って大騒動になりました。韓国も日本も、原子爆弾を持てって言ってるわけですよ。

岡崎:言ってましたね。

西:そうすると、誰も攻撃されねえよと。全く、そのとおりで。北朝鮮が何であんなに安全なのか。ミサイルと原爆を持ってるからですよ。とにかくアメリカは、トランプが見るアメリカは、もう発展途上国に落ちていって、今直さないと、もう手遅れになる、そういう感じです。

岡崎:今まで、ヨーロッパとアメリカのお話を伺ってきました。最後に、日本に話題を移したいと思います。 日本でも最近は右翼化が進行しており、特に若い世代に保守的な傾向があります。中国や韓国への排外主義も強まってきております。西先生は、現在の日本の右翼化をどう思いますか。

西:非常に健康的です。私たちが右翼化と言うのは右翼化じゃなくて、この70年間、時計の振り子がザーッと左のほうに行っちゃった。極左へ行っちゃったんですよ。マスコミも、それをあおってますよ。だから今の若い人たち、10代、20代は戦争の記憶なんかゼロですし、また日本はバカみたいに戦争を教えませんので。教えなきゃ。教えないんです。それで世界協調ばっかり言って、ユネスコとか国連とか。
 日本が謝りまくってるのを、ずっと赤ちゃんのときから、この30まで見てるわけですよ。それで、おい日本、いったい何で、こんなことをやってるんだと。だから私から見ると、左へダーッと振られた時計の振り子が、やっと中心へ戻ってきてる感じですよ。おそらく、日本でもテロが起こる可能性ありますから、テロが起こったら、この振り子が真ん中で止まるんじゃなくて、右へダーッと行くわけです。

岡崎:そうですね。

西:行くわけです。これは永遠の振り子で、終わらないです。

岡崎:西先生が若いころは戦争への罪悪感もあり、多くの学生や知識人は左翼的でしたよね。

西:そうです。私は占領の戦後教育、平和教育の1期生ですから。もう純粋平和主義。とにかく日本悪いです。謝ればいいんです。そういうことを教えられて、そのうえ食べ物がない。食べ物は全部、アメリカの輸入品。脱脂粉乳とか臭くて飲めない。あれ、おそらく毒だった。それで、焼いたアーモンドを5、6個。イチゴのジャム。ジャムは1さじですよ。そういう世界で、日本最悪のときに、ずっと学校行ったわけですよ。
 しかし一つ、今の日本にないものを私たちは持ってました。希望ですよ。絶対、何かになってやるとか、勉強一生懸命すれば出世できるとか、本当に思ってました。だから、私は大阪ですから、転んだら素手で起きるなと。土でもいいから握って起きろと。がめつく生きろと。しかし希望です、あれは。希望がありました。将来がよくなるという希望です。それ、今ないですよ。

岡崎:今の日本の右翼化という言葉は、今までの教育が非常に左翼的だったので、左翼の人から見ると、どんどん若い。

西:だからマスコミから見ると、右翼化してると。ノー、右翼化してない。普通化してるんです。普通です。これが当たり前です。だから、そこを見ないで右翼とか左翼とか言って、私が言う、判断を間違えますよって言ってる。

岡崎:長い歴史で見ていくと、右に行ったり左に行ったり。

西:そうです。どの国も、そうです。

岡崎:もうこれは、ずっと続く

西:そう、永遠に続く。動きは止まらない振り子です。ロシアがいい例で、あれだけ左だった共産党が今、極右どころか、お金大好きになっちゃって。

岡崎:そうですね。

西:中国も、みんな貧しいときはよかったの、共産党。ところがそれだけじゃもう、食べていかれないことがわかったんで、市場経済を導入して。超お金持ちと超貧乏人が出てきたんですよ。これは共産党にとって、非常に危ないです。

岡崎:そうですね。共産主義を言っていながら、原理資本主義。

西:原理資本主義です。それで、中国のような大きい国、それから土地が大きい国、それから人口多いところで、一部の人が金を持ってると、持ってない99パーセントはお札の臭いを嗅ぐわけですよ。お札、臭いしますから。その匂いを嗅いで、あいつだけが持ってるったら、もう革命のシナリオです。だから、おそらく習近平、内閣は今必死でしょう。

岡崎:ちょうど今、経済の話が出てきたんですけど、ヨーロッパ、アメリカ、日本と今まで議論をしてきたんですけど、共通して言えることは経済の崩壊だと思います。経済の悪化で中流階級が崩壊し、その中流層の心理に変化が生じているのではないかと思います。西先生は、どうお考えでしょうか。

西:全くそのとおりで、何のかんの言いながら、経済活動、非常に大切です。日本のように発展した経済を持っているところで、アメリカもそうですが、中産階級が縮小していくと、国が非常に弱くなります。日本の経済を支えてたのは、大手のシャープや東芝じゃないんです。あの人たち、どこ行った。そうじゃなくて、中小企業です。ここが日本の中心で、ここに勤めていた中産階級、働いてた中産階級が、今どんどんと破産してますよ。この層が、中産階級が少なくなっていくと、国がぐらつきます。そのときに、いろんな危ない発想が出てくるわけですよ。今、アメリカがそうですよ。
 アメリカの中産階級、私が行った1964年、あれはアメリカの黄金時代です。1950年、60年代が。ところがもう、そういう中産階級ありません。アメリカの中産階級で、いい給料は年間600から700万円です。アメリカの中産階級で高い町に住んでなくて、年間700万円あると、裕福な中産階級です。それが、どんどん少なくなってきて。もうアメリカの人は、自分たちは貧乏だと思ってますよ。間違いないですよ。日本を見ると裕福だと思ってる。
 だからトランプさんのように、日本はもっとアメリカの軍隊に金を出せと言って、みんな拍手するわけで。本当に、そうだと思ってる。町見りゃ、トヨタの高級車が走ってるわ、ホンダが世界を牛耳ってるわ、スズキのバイクが世界何周も運転してるわけよ。そんなん見さされているアメリカの人たち。フォードは売れないわ、GMは売れないわ、大きい車だけしかつくれないわ。それはアメリカの中産階級、完全にパニクってますよ。それでこの8年間、オバマのもとで全然裕福にならなかった。もう悲惨です。だから、トランプのような日本から見ると過激な男が、あれほどの人気ですよ。すなわち、トランプが我々の最後の望みって感じです。

岡崎:そうすると、日本もアメリカのように中産階級がなくなって、もうすでに、ほとんどなくなってきた状態ですけど、トランプのような人が出現したとき、日本の人たちも一気に流れますよね。

西:一気に、そっち行きますよ。日本の政治家が、どれだけ国民から遊離しているか、離れてるかっていうのは、また税金を上げる話をしてるわけですよ。おめえたち。失礼しました、政治家の皆さん。皆さん、自分の財産をまず投げ出して、公務員も一流の企業と同じ給料とボーナスもらわないで、半額で働きなさいと。それが嫌だったらやめなさいと。それぐらいの勢い、どこにも日本にはないですよ。だから日本の中産階級は、今どんどん苦しい。学校もめちゃめちゃ高くなり、教育費は高くなり、子供3人いたら非常に苦しい生活です。普通の、俗に言うサラリーマンで。
 だから日本も、今のような政治と税金の、それから相続税なんかやってると、金持ちがいなくなるんです。金持ちがいなくなったら中産階級もいなくなってますから、だからみんなが弱者になって、みんなが生活保護が欲しいんです。そういう国、もう続きません。だから、どこの時点で国民が猛反発するかと。日本のすばらしいところは、法に従って、暴力を振るわないんです、国民が。明治維新、皆さん何だと思ってる。あれは暴力革命です。だから日本はそれがない。それで、もう私たち長い間洗脳されて、アメリカから見ると、日本は完璧にアメリカの茶坊主です。ポチです。皆さん、私も言いたくないですけど、そう見えます。日本、何も言わないんです。アメリカの言われたとおり。
 TPPがいい例で、あれだけアメリカに小突かれて。あれ、オバマさんから出てきた。小突かれまくって、殴られまくって、TPP通せって、今日本で大審議をやってますが、議論になってない。あんな恥ずかしいのをやってますが。ひょっとすると、アメリカでTPPは廃止になりますよ。ヒラリーまで、今のままじゃダメだ。サンダースもダメダメ、あんなもん。トランプ、クルーズ、ケーシックは廃止すると言ってますよ。日本の議会を通して、国会を通して、アメリカで通らなかったらどうするんですか。日本、一人でやるんですか。やってると、またアメリカから殴られますよ。それほどの、今アメリカから見ると日本の経済どこ行くんだろうと。日本国民も、これからの経済活動あるのかなと。
 それからマイナス金利とか、禁じ手をいっぱい使ってますから。皆さんの年金も株に投資されてますから。これから株が大暴落して、皆さん、年金なくなります。すなわち、世界で大改革が起こるという感じです。

岡崎:本日はテロと極右の時代と題して、ヨーロッパでのテロ、EUの行方、世界的な右翼化の傾向について、お伺いいたしました。どうもありがとうございました。

西:どうもありがとうございました。