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折々の記 2016 ⑤
【心に浮かぶよしなしごと】
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05 18 フーヴァーレポート パナマ文書の闇 ⑮-2
05 18 (水) フーヴァーレポート パナマ文書の闇 ⑮-2
PRIDE and HISTORY 西鋭夫公式サイト
西鋭夫のフーヴァーレポート
PRIDE and HISTORY
http://www.prideandhistory.jp/item/
西鋭夫のフーヴァーレポートは、日本では報道されない情報、われわれフツーの日本人が分からないような世界の情勢などを、世界最高峰のシンクタンクであるフーヴァー研究所で培った経験やネットワーク(情報源)を元にあなたに、本当の情報を分かりやすく伝えるサービスです。
あなたに、現実の世界でなにが起きているか?それが今の日本にどんな関係があるか?われわれや子供たちの将来にどう影響するか?その背景にある歴史と共に分析した結果を分かりやすく解説した音声レポートを隔週で届けします。
「難しそうだな?」と思うかもしれませんが、安心してください。学者や政治家の言葉とは違い、西先生の話は非常に分かりやすくブラックユーモアに富んでいて、深刻な問題ですが楽しく聞く事ができます・・・
フーヴァーレポートを聞いているだけで点が線になり、世界が広がるでしょう。日本と世界、自分と世界の関係が分かるようになります。そして視点が変わり、考えが変わり、大げさですが自分の存在が分かり生き方が変わります...
フーヴァーレポート もくじ
⑯ 16年5月号 捕鯨外交 / coming soon...
⑮ 16年4月号 テロと極右の時代 / ⑮-2 パナマ文書の闇
⑭ 16年3月号 忘れ去られた福島 / トランプ旋風
⑬ 16年2月号 大統領選挙と人種差別 / 水戦争
⑫ 16年1月号 アメリカの貧困 / 北朝鮮の情勢
⑪ 15年12月号 南シナ海の情勢 / 2016年の世界と日本
⑩ 15年11月号 TPPと世界経済 / パリ同時多発テロ
⑨ 15年10月号 フォルクスワーゲン / 日本語の英語力
⑧ 15年9月号 米国メディア / 難民
⑦ 15年8月号 終戦記念日 / 大学ランキング
⑥ 15年7月号 ギリシア崩壊とユーロ / 集団的自衛権 / 平成占領70年
⑤ 15年6月号 アメリカ最新不動産事情 / 医療大麻
④ 15年5月号 ヒラリー・クリントン / TPP
③ 15年4月号 原爆謝罪・ウィキリークス / ユダヤロビー
② 15年3月号 スイスリークス / 銃と差別
① 15年2月号 米国の中東戦争とテロ
PRIDE and HISTORY 16年4月号
⑮-2 パナマ文書の闇
4月下旬号:
https://academy.prideandhistory.jp/library/?id=472&contentsid=5253
岡崎:西鋭夫のフーバーレポート、インタビュアーの岡崎です。
今日は2016年4月22日金曜日です。本日は、西先生にパナマ文書の闇と題してお伺いいたします。よろしくお願いいたします。
西:よろしくお願いいたします。
岡崎:中米パナマにある法律事務所モサック・フォンセカから膨大な顧客データが流出しました。流出した資料は、1977年から去年までの44年にわたる記録で、富裕層の隠し財産です。南ドイツ新聞とアメリカの国際調査報道ジャーナリスト連合が明らかにしました。
パナマ文書で名前が明らかになったことで、世界の有力政治家たちの中には、アイスランド首相のように辞任に追い込まれた人もおります。中国の習近平の子供や、イギリスのキャメロン首相の父親、アラブの豪族など、政治家から世界の富裕層までさまざまです。
西先生、パナマ文書の何が問題で、この事件の核心はどこにあるのでしょうか。
西:二つあると思います、核心というのは。
一つは、それぞれの国で税金が高すぎる。高すぎるっていうのは、お金持ちの人に想像を絶するパーセンテージの税金をかけるわけですよ。日本でいうとお金持ちの人はまともに税金を払うと、恐らく35から40パーセントです。
もう一つ、それより大きい問題は、政府の高官、ましてそれぞれの国のリーダーが大金持ちになって、その財産を隠してるという姿です。これは恐らく、税法に則るとかいろいろ出てきますが、問題は道徳的な問題です。倫理の問題です。そんなことを日本の首相が、イギリスの首相が、日本の首相まだ出てませんが、イギリスの首相のお父さんが、莫大な金を元イギリス領のヴァージン諸島に口座を作って、お父さんが亡くなったら、現役のイギリスの総理大臣がそれを相続して、そのまま黙ってると。これは道徳的な問題です。大騒動だと思います。パナマ文章がバーンと爆発的に世界中に広がっていったのは、道徳観に反する行為を国のリーダー、エリートたちがやってるからです。
岡崎:政治家は、情報をいち早く知る、国を動かす立場にあります。内部情報を知っている政治家がお金もうけをしていたら、これは批判が噴出するのは当然のこと。
西:当然であります。すなわち自分たちがこれから政策を作る。そのときにどの産業が利益を得て、どの産業が利益を失うと、その全部わかってますから。株を買えますし、それで長い間そういうことをやってると、友達のコネができてますから。だから国のリーダーが、アメリカではこうなってるんです。もし大統領になると、自分の持ってる財産は全て第三者に託さなきゃいけません。すなわち見てもいけません。関われません。退官するまで何もできませんという話ですよ。そういうのはあまりないです。しかしアメリカの大統領の名前が、誰かと思って出てきたら、これはアメリカが割れますね。日本の名前がまだ全然出てきておりません。
すなわち、政治、国のリーダーたちが、金もうけのためにいろんな政策を作るっていうのは、これもまた道徳的な問題です。
だからできるだけ、いや昔は、私が学生の頃は貧乏人の政治家がおられました。いや本当に貧乏人の政治家がおられました。金もうけのために政治に入ってくる人というのは、いたんでしょうけど、私たちが学生の頃、あんまりおられませんでした。
岡崎:井戸塀政治家っていいますよね。
西:そう。もう本当に貧乏でした。それで、掘っ立て小屋のような家に住んでおられました。
ところが今、政治家で破産した人っていうのは全然聞かないですよ。だから、これはもう政治に出て国をつかさどる人たちは、もうお金のない人にやってくれと。
ところが、選挙にお金かかります。今でもいろんな選挙で、違反で何とかかんとか、大抵お金の問題です。もうこれ、どこの世界でも同じです。
岡崎:今回問題となったパナマの地理を一度整理いたします。パナマは北アメリカ大陸と南アメリカ大陸の境に位置しております。さらに、カリブ海と太平洋を結ぶパナマ運河があることから、貿易、地理的観点からも重要な地域です。カリブ海やオセアニアなど小さな島国は、タックスヘイブン、租税回避地の場所として頻繁に利用されてきました。
西先生、どうして小さな島々や海に囲まれた地域が、タックスヘイブンとして使われるのでしょうか。
西:これは、私たちが地図や写真見ると、うわあ、美しい島、あそこに休暇に行きたい。ところが、実際一つの国々と見ると、あんな小さいところで産業はないわ、いわゆる何もない。旅行者もそれほど来てくれるわけでもなし。すなわち、土地を貸してるってわけですよ。架空の土地ですよ。店をここに作ってあげて、これだけの手付金とか手数料を払えば、あなたのお金をこの銀行、この会社に入れてあげますと。私たちは、それ以上知りたくありませんと。すなわち、架空の場所を貸して、手数料で国を運営している国々です。だから、どれもこれも小さな小さな島です。カリブ海にある島々は、もともとイギリス領土のイギリスの植民地です。だから、今回のパナマ文書にも、イギリスが大きく関わっております。イギリスやフランスのあそこ植民地でしたから、だから、もうこれからもっと出てきますよ。
岡崎:何か植民地主義の遺産がまだ残っている。
西:そうです。だからそのままです。独立はしたものの食っていけない島々ばっかりですよ。だから、イギリスのコネを使うか、フランスのコネを使うか、アメリカにお願いするか。とにかく何とかして予算を稼がなきゃいけません。こんな楽な予算の稼ぎ方はないですよ。何もしなくていいんだから。そうすると、手数料と、恐らく毎年いくらか払わなきゃいけないんで、それが2万も3万、4万もあれば、手数料だけで相当なお金になりますよ。
岡崎:昨年のフーバーレポートで、スイスリークスに関して取り上げました。ご記憶に残っているリスナーの方もいらっしゃると思います。その際に、マネーロンダリングについてお伺いいたしました。今回のパナマ文書は、スイスリークスに比べると、流出した文章は膨大なものです。パナマ文書の核心は、世界各国の指導者や大企業がマネーロンダリングを行っていたことです。
西先生、もう一度、マネーロンダリングとは何か、歴史的に説明していただけないでしょうか。
西:はい。この言葉ができたのは、マネーはお金ですね、ランドリングは洗濯です。
この言葉ができたのは、もう50年ほど前から、南アメリカ、特にメキシコを通じてコカイン、南米で作られたコカの葉から作られたコカイン、強烈な麻薬です。これがアメリカにダーッと入ってきて、莫大な金がもうかりました。それで大抵100ドル札です。それがもう俗に言う、うずたかく積まれてて、FBIは、銀行にそれが貯金されると検査しました。すなわち、検査非常に簡単で、コカインの粉が小麦粉みたいな粉です。粉が100ドル札についてると、それ残りますので、何か化学薬品でちょっと当てただけどパッと出ます。それでその金を没収しました。そうすると、麻薬業者たちは、その100ドル札を実際の大きな洗濯機に入れて、ガランゴロンと洗剤を入れて洗うわけです。もちろんインクは落ちませんから。洗ってきれいにして、俗に言う伸ばして、アイロン掛けるかどうか知りませんが、伸ばして、きれいなお金にして、これを銀行に貯金するわけですよ。
すなわち、お金の洗濯でマネーランドリング。これはずっと行われてて、今では使われるのは麻薬のお金じゃなくて、ほかから不正に入ったお金をもある銀行、後で有名になりますがHSBC、香港上海銀行ですが、そういうところとか、ウォール街の大きな銀行で、ウォール街に投資するとか、海外に投資するとか、スイスに送るとか。すなわち、もうコカインがついてないきれいなお金です。という意味で、洗濯されてもうコカインがついてないきれいなお金を、私はその銀行に預けます。銀行そんなの知らないわけじゃない。しかし、一度銀行に入ってしまうと、その金がよそへどっかに投資されていったり、またパナマ行ったり、スイス行ったりすると、もう追跡不可能になります。それで、これがマネーランドリングっていうのが、もうアメリカでは非常に嫌な汚い言葉です。
岡崎:何か本当に語源の通りにお金を洗濯する。
西:本当に洗濯したんです。大きい洗濯機がありまして、それに麻薬患者から集めたお金は100ドル札に変えて、ドンブリと入れてガッシャンガッシャンガランガラン、もう洗濯機で見ると、あれの5倍ぐらいの大きさの洗濯機ありますから、それでガッシャンガッシャンと本当に洗ったんです。非常にきれいになります。
岡崎:今回のパナマ文書流出元である法律事務所モサック・フォンセカは、世界各国の銀行や法律事務所と1万4,000以上もの取引を行っております。その中での上位の取引先は香港、イギリス、スイスです。マネーロンダリングをするときに実体のない会社、ペーパーカンパニーが設立されます。その際に、大手金融グループが関与しております。特に、香港上海銀行は、2,300社に上るペーパーカンパニーを設立していたことが明らかになりました。
西先生、香港上海銀行は、なぜこれほどまでにも、マネーロンダリングの手助けを行っていたのでしょうか。
西:このフーバーレポートをお聞きになって、それでまた、西の歴史講座を見られた方々は、この香港上海銀行がたびたび出てきます。ちょっと長くなりますが、これ非常に大切なのでご説明いたします。
香港上海銀行は、イギリスがアヘン戦争を清国に仕掛けて、これ2回です。それで徹底的に勝って、莫大な金を清国から取り上げます。金銀で取り上げます。そのときに、こんなたくさんの金銀を船でいちいち運んでると海賊が出るかもしれないし、海難事故に遭って沈むかもしれないので、これをイギリスまで運ばないで、できるだけこの辺りに置いとこう。それで、イギリスが香港をアヘン戦争の後取りますので、香港島です。それから、香港島に向かって突き出してる九つの竜と書いた九竜半島、これも取り上げます。これをイギリスの植民地として、ここに香港上海銀行を作ります。すなわち、アヘン業者がお金を集めて運営するのが、香港上海銀行です。これが設立されたのは、アヘン戦争が終わって、太平天国の乱という大内乱が終わって、終わってというのは、イギリスとフランスが内乱をつぶすんです。1865年です。設立されたのが。
驚くかなその1年後、香港上海銀行は横浜に支店を開設します。明治維新の前2年です。そのときから香港上海銀行は、アヘンのお金と、アヘンのお金、いちいちイギリス持って帰りませんから、あっちこっちから集めたお金を、全部香港上海銀行に入れたわけです。すなわち、香港上海銀行の設立のDNAは、アヘンのお金をマネーランドリング、その他もろもろのお金をマネーランドリング、税金なんか払う発想もないし、払いませんし。
だから、香港上海銀行にイギリスの政府が手を出さなかったのかじゃなくて、イギリス政府もロスチャイルドも香港上海銀行のメンバーです。だから、今でも世界2番に大きい銀行ですよ。巨大な銀行です。
ただ、この遺伝子の呪いかどうか知りませんが、アメリカでこの10年間、大きなマネーランドリングがありました。スイスもひっくるめて。マネーランドリングがあって、そのときにいつも名前が筆頭に挙げられたのは、香港上海銀行です。連邦政府は、香港上海銀行に、最近わかったやつは2兆円の罰金です。シャーッと払いました。また最近もありまして、またこれも払いました。
問題は、こんなことで捕まって、誰も監獄に入らないのかと。私がその辺で自動車1台盗む、できるだけいい自動車盗みますけど、盗んでもちろん捕まって、そのときに、私絶対監獄に行きますよ。せめて1週間でも入っとけと。そうすると、額が大きいと、10兆円、100兆円、1,000兆円になると監獄に行かないのか。すなわち、連邦政府もアメリカですが、連邦政府と司法省とこの大手銀行は、司法取引をやって、これぐらいでいいだろうと、そういうお話です。それの筆頭に挙げられるのが、いつも香港上海銀行です。
それじゃあ、日本に香港上海銀行あるのかと。横浜にいて、ずっと日本の銀行を牛耳りました。明治維新の男たち、お金を扱ったことありませんので、1両2両っていうのはわかりますが、何千両、それも何万両、何十万両となるとわかりませんので、香港上海銀行が明治新政府に、両じゃなくて、1両2両じゃなくて、新円を作らせたんですよ。だから、日本の金融関係は、香港上海銀行に完璧に牛耳られました。これが表に出ないのが日本の七不思議。
もう一つは、香港上海銀行は、2003年の初め頃、東京に支社がありました。
岡崎:支社。
西:支社。
岡崎:ブランチ。
西:ブランチが。それがある時、もう何か逃げるようにして店閉まって逃げるわけですよ。わずか4年しか日本に滞在しなかった。こんな富める国で、銀行うまくやればもうかるお話ですよ。ところが4年間いて、ダッと引き上げました。その翌年、アメリカで香港上海銀行が、また召し捕られて、訴えられて罰金ですよ。
だから、私の感覚では、ひょっとしたらアメリカの連邦政府の警察に香港上海銀行のお友達がいて、その人たちが、これから日本にも手が回るよ、お前たちって言われて、日本の警察が動く前に店閉めて引き上げたと、私はそう思ってます。そうでないと、こんな裕福な日本から、あの当時、4年間で出るわけないじゃん。4年間ともその設立したときの経費をまだ回収できてないですよ。
岡崎:そうですよね。ゼロ金利、今はマイナス金利ですけど、当時ゼロ金利ですから。
西:そう。とにかくワーッと出ちゃった。
岡崎:普通に取引をすれば。
西:普通に取引すると、もう完全にもうかる世界。
岡崎:パナマ文書によると、この香港の次に活発な取引を行ってるのはスイスなんですね。日本人の感覚ですと、顧客の秘密を守り続けるのはスイス銀行というイメージがあります。
西先生、金融業界におけるスイスの役割、存在感はどのようなものでしょう。
西:恐らく世界で一番強欲で、汚くて、それを秘密にしてるのがスイスです。日本国民は私もひっくるめて、スイスというと何かいいイメージで、中立で戦争しなくて、マッカーサーの親分も、日本は将来アジアのスイスになれとか言ってるわけですよね。私たちはスイスになろう。冗談じゃねぇ、あんなとこになったら大騒動ですよ。 スイスもご存じのように産業がないんです。カリブ海の島々と同じで産業がない。アルプスがあって美しい。私行ったことがありますけど、山道ばっかり。冗談じゃねぇ、こんなとこ住めるか。
それであそこの人は賢いですから、銀行を作って、そこに世界のお金を集めて、これは永久に秘密にしますですよ。これほど甘いせりふはないんです。お金持ちが逃げようと思っているときに。永久に。
それで、アメリカでつい五、六年前まで、スイスの銀行は口座番号しかなかったんです。だから私が、スイスの銀行に1兆円貯金すると、隠してもらうと、私がもらえるのは10桁ぐらいのナンバーです。名前ないです。だから、操作しようと思っても、その番号知っていても、名前を出しませんから。スイスはその秘密を守る、秘密を守るって、世界中のお金を集めました。ところが、アメリカ部が本当に激怒して、もうたくさん逃げてるのがわかってますから、スイスに猛烈な圧力かけたんですよ。恐らく、殺すぞとかなんとか言ったんですよ。で、スイスがやっと名前を出すようになりました。
そういうところですから、皆さん、スイスに対して妄想たくましくあそこは平和な国で、軍隊持ってないとかなんとか言ってますけど、何言ってんですか、皆さん。法王がお住まいのバチカン、あそこを守っているのは、スイス兵です。これはもう五、六百年、スイス兵です。だから、日本はアジアのスイスになってはいけません。日本はアジアの日本にならなきゃいけません。
岡崎:ちょっと話がずれてしまうんですけど、何でスイス兵がバチカン守ってるんですかね。
西:恐らく、何か取引があったんでしょう。お金もある、強い国もいっぱいあるのよ。だから、恐らく、あの当時、スイスも強かったの。ひょっとしたら、戦争出してきたかもしれないんです。で、古い衣装着て、きれいな衣装着て、だから、日本の侍が皇居を守ってるっていう感じです。
岡崎:なるほど。スイス銀行は、今まで秘密をずっと守ってきたんですけど、アメリカの圧力がかかってきて、オープンになった。
西:オープンになったって、ちょっとオープンになりました。
岡崎:そうすると、世界的な視野から見ると、スイスの影響力というのは低下していきますかね。
西:これからどんどん低下していきますよ。ましてこんなパナマ文書みたいなのが出てきて、スイスがこれほど深く関わってたっていうのは、お金持ちが、スイスに、もうお金を預けなくなります。そうすると、あそこ、銀行しか産業じゃないですから、ひょっとしたら、またどっかの島がやるか、どっかの国がやるか、私たちが知らない国がやるか、アフリカにいっぱいありますから。東南アジアにも、国がいっぱいありますから。ひょっとしたら、シンガポールからするかもしれない。シンガポール、もともとイギリス領ですから。
岡崎:今回、パナマ文書が、これほど大きな衝撃を与えるようになったのは、税金の不公平感が我々の中にあるからだと思います。我々が、税金を払いたくないと思ってしまうには、先ほど先生がおっしゃったように、あまりにも高額な税金を払ってるからだと思います。
西先生、税のシステムを変えるには、根本的にどうすればよいのでしょうか。
西:いや、根本的に皆さん、もっと冷静になって、私たち貧乏人は、お金持ちから、たくさん取っていいと思ってるのよ。例えば、私たちのグループで、どっかご飯食べに行って、五、六人で食べに行って、8万円だとするじゃない、お酒飲んで。それで、山田、お前、金持ちだから払えですよ。最初、払うかもしれません。これが毎年続いてごらん。俗にいう毎月。山田君、もう嫌になるよ。
そうすると、私たちは日本の国で生活し、俗に言う、日本の国の恩恵を受けて、金を一文も出さない。これは非常によくないです。そうすると、出してる人たちから見ると、私たち一票持ってる。お金を私たちの100倍払ってる人も、税金払ってる人も一票ですよ。これを公平と皆さん言うんですかと。お金持ちからお金を取り上げてもいいっていうのは、どっから出てきた発想ですかと。
そうするともし、貧乏人の人が一生懸命に働いて20年後、お金持ちになったときに、お友達の貧乏人から、おい、木下、お前、金持ちになったから、お前もっと払えって言うわけですよ。そうすると、彼はもう寝ずに20年間必死になって、私たちが遊んでいる間に努力してお金持ちになったと。
すなわち、私の税に対する発想は、全員、少なくても多くても、全員払いなさいと。金がないから払えないんだ、それもだめです。すなわち、年俸が例えば300万、200万、300万とすると、もう生活ぎりぎりです。そうすると、その人たちとお金持ちの人、同じ国に住んで同じ恩恵を受けて、1人はめちゃめちゃ、35から40パーセント払って、ひょっとすると何千万払ってるわけですよ。大きい人だと億で払ってますよ。その人たちとお金がない人、お金がない人、100円でもいいから払いなさい。すなわち、税を払うという姿勢を見せなさいと。全員。私は、もう全員同じパーセント、お金持ちの人も10パーセント、貧乏人の人10パーセント高いんだったら、最低1パーセント払いなさいと。それぐらいの覚悟でやらないと、いわゆるパナマ文書、スイス文書、これ、永遠になくならないです。
それで、私たちは、お金がないから、お金持ちをうらやましいんだって。そうじゃないんです。お金持ちがいない国っていうのは貧乏です。お金持ちがいると、若い人たちにとって一つの願望ができますから、エネルギーになります。だから、お金持ちをどんどん少なくしていく国っていうのは非常に弱くなっていきます。私は日本が典型だと思いますよ。
例えば、遺産相続がありますね。アメリカでは、遺産相続なくそうという運動が非常に強まってきました。日本は、10億なんか遺産されると、恐らく半分は取り上げられますよ。私も、昔の知り合いで、田園調布に住んでたお嬢様がおられましたけど、その家、三代の相続税をやられて、今は小さなおうちですよ。今って言っても、だいぶ前ですが、小さなおうちですよ。これで私たち平等になったというんですか。ノー。貧乏になっただけです。全員、お手々をつないで貧乏です。非常によくないです。私はお金持ちの人を見たい。
岡崎:そもそも税金は自ら支払いたい、国家に貢献したいという、納税者の意識を引き出すことも重要なんじゃないでしょうか。
西:ところが、そういう気持ち、もう誰にも残っていません。理由は簡単ですよ。納めた金を誰がどう使ってんだですよ。これは大きい政治問題です。だから、この国から、アメリカから、イギリスから逃げていったと。逃げて行くぐらい、税金を多くしたからですよ。アメリカで生まれて、アメリカで育ってると、やはりアメリカを愛してますから、アメリカにいたい。しかし、たまたま自分が成功してお金持ちになったら、あたかも罰金のような感じです。今の税金はほぼ罰金です。
で、アメリカで実際起こってるのが、今現在、アメリカの人口の45パーセント、税金払っておりませんよ。選挙権持っておりますよ。だから、バーニー・サンダースが絶大な人気です。あの人は、そういう税金を払ってない人たちから絶大な支持を受けていますよ。
ただ問題は、45パーセントも払ってない、日本も恐らく20か30パーセントでしょう。税金を払ってない人たちがいる国。それで、いわゆるお金持ちの税率があまり下がらないです。よく下がって30パーセント。それもいろいろ税理士を雇って工作して、うまくいけばの話ですよ。だから、そんな税金を取ると、経済も悪くなるし、悪くなり、ここまでしか働かないという人たちも出てくるわけですよ。だから、パナマ文書に載ってるやつは悪いやっちゃと一概に言えません。いや、私も悪いやっちゃと思いますけど、ちょっと待ったと。もう少し冷静に考えなきゃ。何でこんな現象が何十年も起きて、恐らく2,000兆ぐらいあるらしいですけど、そんなお金がそんなとこに行ってんだと。これひょっとしたら、政治の貧困がもたらした現象じゃないかと思っております。
岡崎:そうですね。
今回、パナマ文書が流出した経路を改めて整理したいと思います。
まず、ドイツの南ドイツ新聞が入手。問題は、誰が南ドイツ新聞に情報をもたらしたかということです。これは不明です。パナマ文書の資料を国際調査、国際調査報道ジャーナリスト連合が調査をし、公開を進めております。
西先生、ジャーナリズムの成果として、今回のパナマ文書、高く評価していいんじゃないでしょうか。
西:いや、もう非常に高く評価してるの。これ、もう圧倒で、これは恐らくアメリカのジャーナリズムのノーベル賞といわれるピューリッツァー賞、恐らく、ピューリッツァー賞もらえるでしょう、これは。
すなわち、ジャーナリズムは、こういうことするのがお仕事です。世界の不正、国の不正を暴いて、国民に知らせるんです。政府は絶対そういうことしません。企業もしません。それで、日本のジャーナリズムは、二、三年前まで、世界ランキング出ると十一、二番だった。今年は最悪の評価をされまして、30番ですか、ノー、71番ですよ。すなわち、日本には報道の自由がないと、世界のジャーナリストが見てるわけ。なぜ日本、こんなになっちゃった。もっと活発に議論が戦われてたんです、私が学生の頃は。いろいろな圧力がありましたけど。ジャーナリズムの人たち、ジャーナリストの人たちも勇気を持ってやっておりました。勇気がなくなったのか。そうじゃないと思います。
いわゆる、新聞、雑誌、テレビ、これ金もうけが非常に大切ですから、金もうけっていうのは、購買する人たちと、それから、その雑誌、マスコミに広告を出す企業です。企業は、あんまり過激なことを言ってほしくないと思ってるんですよ。できるだけ当たり障りのない、平和な世界で、私たちは営業商売したいと。 ところが、政権は、アメリカも日本もドイツもイギリスも同じだと思いますが、政権は自分の批判、非難をしてほしくない。
それで、典型的なのは、去年、日本の安倍内閣の総務大臣が、マスコミで偏った報道をすると罰するとか言ってるわけ。偏ったのは、それじゃ、誰が決めるんだと。あんた決めるんか、総理大臣が決められるんですか。偏って、右に偏って、左に偏って、上に偏って、偏らなきゃ、ジャーナリズムじゃないんです。それをコントロール、それを罰するというのは、もう報道の自由を完璧にわかってない人の発言です。わかってないどころか、私から見ると、おめえ、おごるなじゃ。何、錯覚してんだよ、何のために日本にマスコミがある、ジャーナリストがあるのかと。
日本のジャーナリストも、勇気のある人、大勢おられると思いますが、恐らく部長とか、社長が、お前そんなことを出すなと、絶対検閲されてる、いや内部検閲。それより、私、アメリカから帰って、日本のテレビつけるたびに愕然です。1日24時間、もう娯楽番組と食べる番組と、それからショッピングの番組と、それから、栄養サプリメントの番組ですよ。おい、こんな、日本が危機的な経済状態になってるときに、もっと鋭く分析しないのかと。できる人は大勢おられますよ。もちろん出してもらえない。だから、マスコミも一生懸命になって、できるだけニュースにしようと思うんですが、どの番組見ても同じニュースです。解説者という人がおられますが、解説者、何も解説してなくて、相づちを打ってるだけですよ。
これが10年、20年と続いてると、日本の若者は完全に分析力がなくなり、もちろんテレビ見ますけど、今、最近はテレビをみんな見なくなって、この携帯でニュースを探してるの。そうそう、この世界は、もっと辛らつな分析や解剖する人が出てきますから、みんなそれを見てんですよ。あ、これが本当のニュースだと。アメリカからも、世界中からもニュースが日本に入ってきますが、日本はそれを翻訳して出すのか、それとも、翻訳も検閲されてんのかと。社内検閲。だから、私は日本のジャーナリズム、危機的な状況にあると思います。世界のランキングで71。お隣の韓国より、それは下でしょう。すなわち、軍が非常に強い韓国でさえ、もっと自由があると世界中は見てるわけですよ。だから、安倍総理は非常に評価が低いです。報道の自由に対して。
岡崎:パナマ文書は、世界規模のスキャンダルです。日本企業の名前を出していいのか、私自身迷っています。本来なら、テレビのニュース番組などで、一番最初に流すべきことです。それなのに、遠慮しがちな報道です。
西先生、日本のマスコミは、何に対して遠慮しているのでしょうか。
西:遠慮というよりも恐怖ですよ。怯えてるんですよ。 すなわち、中央政府が、今、日本は中央集権になっておりますので、この間、大阪行きましたが、大阪と東京比べると雰囲気が違います。大阪が、私は大阪で生まれましたんで、大阪がだんだんと、私が学生の頃、大阪に本社があった。ところが、だんだんさびれてきております。それに比べて、東京はもう絶大な勢いで伸びてますが。その力を集めてるのが中央集権、永田町ですよ。それで、東京が都会で、あと全部、日本の田舎になっちゃった。すなわち、東京にジャーナリズムの報道の本社が全部ありまして、目の前に怖い行政官が大勢おられますから、いわゆるコントロールする権力を持っておられる方が。だから、それに怯えてるんですよ。
もう一つは、産業の本社は全部東京ですよ。だから、そこから広告をもらって、日本のマスコミは生活しておりますから、そこからお金が来なくなったらどうしよう、来なくなる道は、一つは恐らく政治的な圧力だと思います。例えば、会社に、おい、朝日に出すなとか、産経に出すなとか。
もう一つは、企業自体が、あんまり過激なことを書く媒体に自分の会社を出したくないっていう感じです。例えば、今、大問題になってる世界に誇る三菱自動車、正直言って、おい、おめえたちは正気かと。あれ、何回目なんですか。いや、三菱っていうのは、明治のときから政府とびったりとくっついて、非常に大きくなった会社ですよ。いいものをいっぱい作りました。ところが、トヨタやホンダやマツダやスズキに負けて、恐らく真っ青ですよ。それで、こういう事件があると、もうこれで3回目でしょ、あるたびに、社内で何とか自分たちで身をきれいにしてとか言ってるわけ。ノー、何もきれいじゃないんですよ。で、延々と繰り返して、これも内部告発じゃなくて、エンジンを作ってて、この同じエンジン、問題のエンジンを作ってて、これを日産に納めてた。そうすると、日産の優れた技術者たちが、エンジンかけてみると、どうも三菱から出た書類と、俺たちが今実験やって作った書類、数字が違うじゃねえかとの指摘が三菱に行って、三菱はそれでわかりましたと言って。何言ってんだよ。そんなもん、20年わかってんでしょう。
その三菱のことについて、例えば、ある新聞が厳しい追及をすると、恐らく、三菱は非常に大きい財閥ですから、いろんな会社があって、そこの広告を、その新聞、そのテレビ会社に出しませんよ。そうすると、そこで、年間1億か5億か知りませんが、そこでなくなるわけですよ。営業が成り立ちません。それで言わない。だから、三菱も恐らくそういうことをよくご存じで、しばらくは、みんなの前で謝って、何とかします、何とかします、絶対にやりますと言ってると、私たちは忘れて、次にまた大きい地震がどっかで起こると。だから身を伏せろですよ。台風が過ぎ去って秋晴れになるわけです。
岡崎:パナマ文書に話を戻したいんですけど。パナマ文書の全体図は、まだ完全公開されておりません。しかし、いずれ公開されるときがきます。日本人の名前もあります。このパナマ文書を政治的に利用する勢力も出てくるはずです。
西先生、パナマ文書を読み解く上で、逆に注意しなければならない点はありますか。
西:注意しなきゃいけないのは、このパナマ文書はどうやって出てきたかと、暴露されたか。これ誰もわからない、わからないわけないですよ。もらった南ドイツ新聞、もらったんですよ、どっかから。恐らく匿名でもらったか、しかしそのEメールが入ってきたのを追求したら、ハッキングの天才たちがごろごろおりますから。1日10万円やると、絶対ハッキングやってくれますから。
しかし、パナマ文書がそれほど重要なので、誰が送ってきたかというよりも、この中に何があるかと。私の感覚では、こういう大きいものが出てくるときには、背後に大きな組織があって、こういうことをハッキングできる技術と才能と国際的な政治の動きを配慮したグループがあると思います。そうでないと、こんなもん出るわけもない。出すことによって、世界の政治的な方程式がぐらぐらと変わっていきますから、それを恐らく計算に入れて、これを出したと思いますよ。
だから、内容はすごいですけど、これ注目しなきゃいけませんが、何でこのときに出てきたのか、それも大統領選挙のとき出てきてるわけですよ。これで無関係であるわけがないです。
岡崎:そうですね。政治に特に一番かかわるのは、例えば日本ですと、来月の5月26日には、伊勢志摩サミットが開かれます。世界の先進国の指導者が日本に集まるわけです。パナマ文書のせいで、すねに傷のあるイギリスをはじめ、中国やロシアの指導者も来ます。
パナマ文書は世界の各国を取り巻く政治、経済、金融に対して、どのような変革を迫ってくるのでしょうか。
西:これも絶妙なタイミングで、例えばプーチンさんや習近平さんの名前がごろごろ出てるわけだよ。イギリスの首相の名前も出てきてますし。だから、お互いに顔を見て、パナマの話は絶対しませんから。絶対しないです。日本が張り切って、まだ日本名前出ませんが、張り切って何とかかんとか言うと、絶対名前出てきますから。だから、みんな黙って、全然関係のない環境問題とか。これからの金融、円高、円安、ゼロ金利。それから、ロシアの経済封鎖を解除するかしないか、そういうお話ですよ。パナマの話なんか誰もできないんですよ。身のきれいな人1人もおりませんから、この中に。
岡崎:そうですね。追求しようとしたら、追求したほうがやられる。
西:そう、追及したほうがやられますよ。下手すりゃ、ほかのとこからまた文書が出てきて、日本人の名前がダーッと出てるのがあるかもしれません。いや、ないわけがない。
だから、その背後にどういう世界像を描いて、こういうものを今出してるのかと。それでボリュームがすごいんで、恐らくこれ時間かかる。だから、これからどんどんどんどんと解明されていって、いろんな人、私たちが知らなかった有名人がごろごろ出てきますよ。
私が一番心配してるのは、今アメリカの大統領選挙ですが、選挙の大統領の候補者たちに莫大なお金、何十億って寄付する人がおりますが、その人たちの名前が、もしパナマの中にあったら、そのパナマの人からお金を受けた候補者は、ここで終わりです。説明なんかできませんから、すなわち汚い金を、アメリカの税金をだまして、パナマに入れてた金をお前もらったんだろうじゃ。そうすると、そこで終わりです。
岡崎:そうすると、今の大統領候補者の中で、パナマ文書に出ている人からお金をもらった可能性。
西:可能性は、ヒラリーさん、それから、テッド・クルーズさん。それから、ケージックさん。トランプは自分の金でやってます。サンダースは自分のお金ないですから、一般国民から上限27ドルの小切手をもらってやってるわけです。しかし、何万、何十万人がお金をサンダースに送りますから、サンダースさんは選挙資金はありますので、民主党の党大会までお金が続くと言っておりますから、彼、途中で止めないです。
岡崎:そうすると、一番あやしいのはヒラリーですよね。
西:私はそう思います。ヒラリーさんは、自分の夫が退官して、ニューヨークに財団を作ります。彼女はそのとき、オバマの国務長官でした。ビル・クリントンの財団には、莫大な金が給付されました。その寄付はほとんどアラブ諸国からです。
だから、そのコネ、国務長官ヒラリーと、アラブの金と、夫の財団の金のフォロー・ザ・マネーで、どこまで繋がってんだろうと。もしその中で、ヒラリーさんに莫大なお金を今出してる、応援してるお金持ちの人たちの名前が、1人でもパナマの中にあったら、ヒラリーさん終わりです。ただ、名前がすでにわかってても出さない可能性もありますよ。
岡崎:それを誰が一体コントロールするのか。
西:わかりません。間違って言うと、私も後で後ろからぽいと、地下鉄を、後ろを押されますので、危ないから言えません。
岡崎:先生のお住まいのスタンフォード大学の周辺では、シリコンバレーもあることから、裕福層が暮らしておりますよね。西先生が所属しているフーバー研究所では、パナマ文書について、どのような議論がなされているのでしょうか。
西:まだ出てきたばっかりですから、あんまり議論になりませんけど、もしフーバーのフェローたちの間で、パナマ文書に名前が載ってたら、みんなから称賛されますよ。おまえ、そのお金どっから持ってきたのと。そんなもらってたのかと。もちろんもらってませんから。ないです。
ただ、スタンフォードの周りのシリコンバレー、これは恐らくいるでしょう。もう莫大な金ですから、もう兆のお金がどんどん動く世界ですから。この中にはいると思いますよ。新興財閥っていうのがおられますから。
しかし、それをやってても、シリコンバレーだと、それほどもうかったのか、さすがだなと。で、向こうの税務局が出てきて、おまえ、その金の半分を国に払いなさい。そうすると、払います。そうすると、許してくれますから。税金で監獄行く人なんか、アメリカおりませんから。日本で下手すると、ちょっと逮捕されて手錠かけられますけど、アメリカは払ったら、日本も後で払えば許してくれるらしいですけど、私も早くそうなりたいです。
岡崎:今回のパナマ文書で、アメリカ社会だけではなく、世界のいろんな各国に影響を与えると思います。このパナマ文書の問題が、1年間にわたって膨大に続くのか、それとも、数カ月で話題が終わってしまうのか、先生、どう予測すればいいんでしょうかね。
西:有名な名前かあったら続きますよ、延々と。今、私たちは、政治家や経済人だけに集中しておりますが、ハリウッドで映画、たびたびヒットする人たちは大金持ちです。恐らく、この人たちの名前が出てきたら、またアメリカ大騒ぎします。
それで、香港でスーパースターのジャッキーチェンさんの、チェンの名前もパナマに出てますので、俗に言う有名人が、何でもいいです。有名人の名前がパナマ文書に出てきたら、これはもう絶えることないですよ。 それで、誰がこのパナマ文書をコントロールしているのかよくわかりません。国際ジャーナリストの人たちと、それから、南ドイツもやってると思いますけど、恐らく、そういうところにいろいろな影響力のある人たちが、何か一言二言、言ってると思いますよ。
岡崎:そのパナマ文書の全貌をつかんでしまうと、全ての情報をコントロールできますよね。
西:そうです。
岡崎:そうすると、自分の思い通りにマスコミをコントロールすることまでできるという。
西:もちろんです。そうです。だから、これを流したグループ、1人じゃないと思いますが、流したグループの人たちは、絶対そういうことをもう検討してますよ。どこを押さえるべきか、どこで門を開いて、流し出すかって、そういうことやってますよ。やらないでこんなもん、ある日突然ばっと出てくるわけがない。
岡崎:そうすると、今後、例えば1年間、我々が普通にニュースを見ているとき、ニュースが流れていたとき、これは、どのような意図で流されたのかっていうのを注意して見なくてはいけないということですよね。
西:全くその通りです。だから、日本のジャーナリズム、日本のマスコミは、もう注意しなくてもいいほど、何もないんです。
いや、私は、非常に腹立ってるのは、日本人頭いいし、読み早いし、ところが、報道関係になると、本当に見てて、最初は腹立っても、最近はもう諦めて、もう自分のコンピュータでカチャカチャ何かやってますよ。それほど日本のジャーナリズムは、報道は、いわゆる味を失い、色彩を失い、匂いも失ってきた。これは大騒動です。日本の国にとって、ジャーナリズムがどれだけ大切か、本当に大切なんです。だから、このパナマ文書に関して、日本の報道グループ、ちょっとしっかりと参加して、ぜひやってほしいです。
岡崎:本日は、パナマ文書の闇と題して、マネーロンダリングの手法をはじめ、金融の歴史、ジャーナリズムのあり方、大統領選挙の行方をお伺いいたしました。どうもありがとうございました。
西:ありがとうございました。