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12 26 米国や国連にいじり回された中東地域の和平 ロシア主導の内戦終結
USA一国覇権後の、上海機構はどこへ向かうのか
上海協力機構に関するトピックス: 朝日新聞
上海協力機構 - Wikipedia
12 26(月) 米国や国連にいじり回された中東地域の和平 ロシア主導の内戦終結
第二次大戦後の世界政治はアメリカ主導の覇権の下に進められてきました。 それがアメリカの覇権を通して国際企業化が進んできてみると、軍産のごり押しの横車が明るみさらされ始め多極化への転換がはじまってきている。
どんなグループの発想から多極化への舵取りが行われるようになったか、それは明かされてはいない。
アメリカ覇権は金融関係でのドル支配が実体である。 そう考えてよいだろう。
後進国から見れば、ドル支配の得手勝手の仕組みの不備が気に入らないようになってきていた。 経済活動に一石を投じたのは、経済活動の力をつけてきた中国である。
もともとUSAとソ連のスパイ活動をはじめとするプロパガンダの虚実は、虚々実々として誰がどう動いていたのか総括された記事を見たことはない。
朱に交われば赤くなる
むかし白文の学習の時間にこんなことを憶えました
與善人居、如入芝蘭之室、久而不聞其香、即與之化矣。
與不善人居、如入鮑魚之肆、久而不聞其臭、亦與之化矣。
http://dorflueren.blog.so-net.ne.jp/2011-12-22
田中宇の国際ニュース解説 見出し【2016年12月23日】
◆アレッポ陥落で始まった多極型シリア和平
【2016年12月23日】ロシアは、全員テロリストと化したシリアの反政府勢力のうち、武器を捨てる勢力を正当な野党とみなすメカニズムを作り、反政府勢力とアサド政権の和解交渉を露トルコイランの主導で進めている。和解交渉はカザフスタンの首都アスタナで開かれる。アスタナ会議には、これまで停戦会議を主導してきた米国や国連が呼ばれていない。米欧国連はアサド打倒に固執し、内戦を悪化させただけだ。米国や国連は、腹いせに「アサドの軍が虐殺をやった」と歪曲的・針小棒大に騒ぎ、その裏でロシア主導の現実的なシリア和平が静かに進んでいる。ロシアは、アフガニスタンでも米国抜き・露中イラン協調の新たな内戦終結策を開始し、覇権の多極化を進めている。
解説の最後に出ている解説
アフガニスタンもシリアも、米国が無茶苦茶にした国だ。 それが今、米国抜き・ロシア主導で、問題解決への道筋が作られ始めている。 以前の記事に書いたが、北アフリカのリビアも、ロシア主導で内戦を解決する動きがある。
(プーチンとトランプがリビアを再統合しそう)
(Moscow's Syrian-Afghan Summits are Geotrategic Masterstrokes)スプートニック二ュース http://sputnik-international.jp/greeting_jp/
代表挨拶
Hello アーユボーワン こんにちは
皆様の、常日頃からのスプートニクへのサポート、心から感謝申し上げます。
2000年の設立当初より、多くの皆様からの叱咤激励により、私共は成長させていただきました。 世界の救われるべき子供達の一人でも多くに手を差し伸べ、一人でも多くの子供達に安心と笑顔を届け、将来の夢を持てる環境を整えられるようにという目標を持って活動を始めました。そして、一度始めたからには、目標が達成され、世界が平和になり、不安や絶望、恐怖に涙する子供達、人々がいなくなるまでは、「絶対にやめない!」と固く心に近い一歩一歩歩んでまいりました。 ゴールへの道のりは、残念ながら、果てしなく遠く、世界を見回してみると、果たして最終的にたどり着ける場所があるのかすらわからない状況ではありますが、世界中で同じような目標を掲げ活動する多くの同志とともに、より良い世界のために、一緒に歩んでいきたいと願っております。
多くの人が、異なる習慣、宗教、文化を理解し尊重できる世界に開かれた心の窓を持ち、同じ志の仲間たちと世界平和への果てしない旅路を歩くTraveling companion 、つまり、ロシア語ですが、SPUTNIK であり続ける所存です。 願わくば、皆様も、同じ方向を見、我々と共に、ゆっくりと歩いていただけたら、幸いです。
Walk together Talk together all the people of the earth,then and only then shall we have peace
高校時代、異文化体験留学でニュージーランドへ1年間留学し、世界中の仲間を得、その中の、スリランカ人の同志、エシャンタ アーリヤダーサ氏との語らいの中から生まれたスプートニクには、元々はサンスクリット語で書かれた古のせんじんたちからのメッセージが流れています。
これからも、どうぞ宜しくご指導ください。
一般社団法人 SPUTNIK International 創設理事 秋沢淳子
今回紹介した、シリア内戦終結に向けた新たな和平交渉の動きについて、プーチンが初めて言及したのは、12月16日に日本を訪問した時の記者会見においてだった。 世界的・歴史的には、解決しない北方領土問題より、新たな多極型のシリア和平の始まりの方がはるかに重要だったのだが、日本では「専門家」でさえ、目の前で行われたプーチンの発表の重要性や意味をとらえられなかった。
アレッポ陥落で始まった多極型シリア和平
2016年12月23日 田中 宇
今回から、記事の冒頭で、書きたいことを先に要約してみる(この形式がいつまで続くか未定)。以下、要約。アレッポが陥落した。ロシアがアサド政権の後見役、トルコがテロリストの後見役として交渉してアレッポ戦闘終結の協定、それに基づいて5万人が避難。テロリストとその家族1万人はイドリブに、その他の一般市民4万人は西アレッポに避難。イドリブに行くテロ家族たちはトルコの傘下に入る。トルコは彼らを、クルド人の拡大を阻止する傭兵団として使う。トルコは内戦後のシリアにおけるクルド人の支配地拡大を阻止するため、主導権を握るロシアに擦り寄り、シリア内戦平定のための露トルコ同盟ができ、アレッポの秩序だった陥落を進めている。シリア内戦でロシアやアサドと共闘してきたイランも加わり、露トルコイランの3国同盟でシリア内戦を解決すべく会議を重ねている。 (Victory in Aleppo: A Victory for the Axis of Values) (Putin Agreed With Erdogan to Offer Peace Talks on Syria in Astana)
要約の続き。ロシアは、全員テロリストと化してしまっていたシリアの反政府勢力のうち、武器を捨てて政党になる勢力を、シリアの正当な野党とみなすメカニズムを作り、反政府勢力とアサド政権の和解交渉を露トルコイランの主導で進めている。和解交渉は、以前からシリア和平の仲裁を試みてきたカザフスタンの首都アスタナで間もなく開かれる。アスタナ会議には、ジュネーブで停戦会議を主導してきた米国やEU、国連が呼ばれていない。米欧国連はアサド打倒に固執し、ジュネーブ和平は内戦を悪化させただけだった。アスタナに呼ばれない米国や国連は、腹いせに「アサドの軍が虐殺をやった」と針小棒大に騒ぎ、欧米日マスコミもその歪曲を喧伝しているが、その裏でロシア主導の現実的なシリア和平が静かに進んでいる。ロシアは、アフガニスタンでも米国抜き・露中イラン協調の新たな内戦終結策を開始している。覇権の多極化が進んでいる。要約ここまで。以下本文。 (Vladimir Putin outlines road map for Syrian peace settlement)
▼テロリストを米国の支援下に封じ込めるイドリブ移動
シリア内戦でテロリスト(アルカイダ=ヌスラ戦線)に占領され、シリア政府軍との最大の激戦地となっていた北部の大都市アレッポ(東アレッポ)が12月15日、政府軍によって陥落・奪還された。テロリスト側の後見役を買って出たトルコ政府と、以前からシリア政府の後見役をしているロシア政府が交渉し、テロリストが政府軍との戦いをやめて東アレッポを去ることを決めた(この新展開に不満なヌスラの一部が、ロシアの駐トルコ大使の暗殺をやった)。ロシアは、1月20日のトランプの米大統領就任より前にアレッポを奪還する戦略を成し遂げた。 (Turkish Pro-Government Media Blames US, CIA For Assassination Of Russian Ambassador) (Russian ambassador assassination `won't derail' planned Syria talks in Moscow) (進むシリア平定、ロシア台頭、米国不信)
東アレッポに残っていた5万人のうち、約4万人が、以前から政府の傘下にあって平常に近い市民生活が営まれている西アレッポに避難した。残りの約1万人は、以前からヌスラ戦線の支配地で、トルコ国境に近いイドリブの町周辺の地域に避難した。イドリブに移動した1万人はテロリストとその家族たちで、西アレッポに移動した4万人はテロリスト家族以外の一般市民であると推測できる。東アレッポには、まだ数千人の非妥協なテロリストとその家族が避難を拒否して立てこもっているとも報じられ、今後まだ戦闘が散発的に続きそうだ。テロリストたちは避難の際、軽武器の携行を許された。 (Buses evacuate thousands of exhausted Aleppo residents in ceasefire deal) (Syria `Aleppo deal violated as terrorists take hostages, heavy arms, attack crossing' – Syrian envoy to UN)
イドリブは、シリア国内に残るテロ勢力の支配地の中で、トルコとつながっているほぼ唯一の町だ。シリアの反政府テロ勢力を支援してきた米欧トルコやサウジアラビアなどからの支援の物資や資金が流入している。支援物資の大半は、米国務省傘下のUSAIDから贈られている(この支援は米国自身の反テロ法に違反している。米国は立派な「テロ支援国家」だ)。アレッポからイドリブに移ることで、テロ勢力は、米欧からの支援を受け続け、生き長らえることができる。アサド政権打倒に固執する米国やサウジとしては、イドリブに結集したテロ勢力を結束させ、武力を盛り返して再度アサド打倒の戦争をやらせるか、アサド政権に対抗できるもうひとつのシリア政府(首都)をイドリブに樹立することを目指している。 (Welcome to Idlib: America's Model Syrian City. Al Nusra's New Homeland?) (In Idlib, displaced Syrians bemoan 'open-air prison')
だが実際のところ、イドリブのテロ勢力は全く結束していない。最大勢力のヌスラ戦線と、その他の諸派の対立が続き、米欧などから送られてくる支援物資を奪い合っている。対立が解けず、統一した行政組織も作れない。アレッポからの1万人の流入で、この混乱に拍車がかかっている。イドリブのテロ勢力によるアサド打倒の可能性は遠のいている。 (The diametrically opposed goals of Russia and the U.S. in Syria)
アサドやロシアは、アレッポ以外の町や村でも、政府軍が街に立てこもるテロリストを包囲した後、彼らを皆殺しにするまで戦うのでなく、テロリストがイドリブに撤退できるルートを作ってやり、イドリブに集めている。こうすることで、シリアの他の地域から効率的にテロリストを排除でき、早めに内戦終結と安定を得られる。テロリストを殺し切らず、米トルコサウジからの支援を受けられるイドリブに撤退する逃げ道を与えることは、テロ組織を支援する米サウジの顔を立て、米欧から「露アサドが『無実の』市民を大量虐殺した」と歪曲的に非難されないようにしている。 (Aleppo Victory... US And Its Crime Partners Suffer "Meltdown Of Sanity") (Locals deny reports that pro-Assad forces shot at evacuees' buses)
(安定した社会なら、テロリストとその家族を分けて考えて対処できるが、戦争になっているシリアでは、テロリストの家族はテロリストと同じ気持ちであり、死ぬまで政府軍と戦いたいと決心している。政府軍にとって、テロリストの家族は「無実の市民」でなく、殺すか殺されるかの敵方だ) (East Aleppo Liberation Proves Claims About Syrian Army's 'Atrocities' in Aleppo Are 'Fake')
▼クルド拡大阻止をやらせるためアルカイダを救ってやったトルコ
トルコはこれまで、米サウジと一緒に国境越しにシリアのテロリストを支援してきた。だが同時に、米サウジ側が不利でロシアが有利と見るや、今夏からロシアに擦り寄り、トルコはロシア主導のテロリスト退治に協力する二枚舌的な両面作戦をやっている。トルコは今夏以降、表向き反アサドの姿勢を取りつつ、実質的にアサドに協力している。トルコは自国の両面性を生かし、アレッポ陥落とともに始まっているシリア内戦の終結過程において、テロリスト側を説得し、停戦やイドリブへの撤退を了承させ、イドリブに撤退したテロリストたちに支援物資を渡して何とか生きられるようにしてやっている。 (トランプ・プーチン・エルドアン枢軸)
シリア内戦におけるトルコの最優先課題は、内戦後のシリアでのクルド人の自治領域や自治獲得の程度をできるだけ小さくし、シリアのクルド人自治区が独立国家に近づくのを防ぐことだ。シリアのクルド組織(PYD)は、トルコのクルド組織(PKK)とつながっているので、シリアにクルド人国家ができると、トルコ自身のクルド人の分離独立の動きに連動してしまう。シリアのクルド軍(YPG)は、アサドの政府軍に協力してISヌスラと戦って戦果をあげることで、戦後のシリアでの高度な自治をアサドに認めさせる戦略だ。このクルドの策を阻止するため、トルコは露アサドの側に転向してきて、シリア内戦終結の政治メカニズム作りに積極的に参加している。 (ロシア・トルコ・イラン同盟の形成) (シリアをロシアに任せる米国)
トルコは、イドリブに逃げてきたテロリストのうち、トルコの言うことを聞いて、クルド軍の占領地域拡大の行動を阻止する戦いに参加してくれる勢力を見繕っている。クルド軍は、ISやアルカイダから奪ったアラブ人の町や村で、アラブ人住民を強制立ち退きさせ、そこに他の地域からクルド人を移住させる「民族浄化」行為をやっている。シリア反政府勢力の大半を占めるアラブ人は、こうしたクルド人の暴力を敵視しているので、トルコに雇われてクルド軍と戦う勢力が増えそうだ。 (After Aleppo, a chapter closes on Turkey's ambitions in Syria)
アレッポが陥落した今、シリア内戦の次の激戦地になりそうなのは、ISの「首都」であるラッカ周辺だ。ラッカ奪還戦はこれまで、政府軍とクルド軍(YPG)が協力して展開してきた。ラッカ周辺はクルド人の居住地域でなく、主にアラブ人が住んでいる。ラッカ奪還戦でクルド軍が活躍すると、ラッカ周辺地域の一部をクルド軍が占領し、住民を強制立ち退きさせてクルド人を住まわせる民族浄化をやりそうだ。イドリブに逃げてきたアラブ人のテロリストたちは、ISと直接戦う気はないだろうが(同じスンニ派のイスラム主義思想なので)、クルドによる民族浄化を阻止する戦いの傭兵としてなら出て行くだろう。イドリブにテロリストを結集させるのは、トルコの傭兵集めに好都合だ。
▼多極型の国際問題解決の初めての例になるアスタナ和平会議
米国などが、イドリブに集まったテロリストたちを結束させ、アサドに対抗できる影の内閣的な野党組織を作らせようとしているが、テロ各派間のライバル意識が強く、うまくいきそうもないことはすでに書いた。ロシアやトルコは、この弱い野党組織を活用し、それらの組織とアサド政権とを交渉させ、内戦終結の合意を結ばせようとしている。ロシア自身、以前からシリア各地のテロリストたちに対し、武器を放棄して純粋な政治組織になるなら、正統な野党勢力として認め、アサド政権との交渉をロシアが仲裁してやると持ちかけている。こうした策に沿ってどの程度の野党勢力ができているか不明だが、ロシアは、トルコとイランも誘って、野党勢力とアサド政権の間を仲裁する国際会議を今年じゅうにカザフスタンの首都アスタナで開こうとしている。 (Analyst says trilateral meeting on Syria in Moscow will herald new format of peace talks)
国際仲裁を受けつつ野党とアサドが和平交渉して合意に達し、内戦終結、暫定的な連立政権の樹立、憲法改定、新憲法に沿った選挙の実施、選挙結果に基づく新政権の樹立と進んで、シリアを安定した民主国家にするのがロシア(トルコイラン)の目標だ。この政治解決と並行して、武装解除や和平交渉への参加を拒否するテロリストの残党を退治していけば、シリア内戦は終わる。政治交渉においては、野党側が結束せず弱いほど(しかし完全分裂するほどには弱くなければ)、アサド優勢の中で交渉が早めにまとまり、アサドを支援してきたロシアやイランにとって好都合だ。 (Expert believes Egypt, Israel, Syria and Ukraine are interested in rapprochement with SCO)
ロシア主導のシリア和平会議の開催地がカザフスタンである理由は、カザフのナザルバエフ大統領が、昨年から2回、シリアの野党とアサドの交渉仲裁を試みており、今回も開催地をやりたいと希望したからだ。今回の仲裁役であるロシア、カザフ、トルコ、イランは、いずれも中露主導の安全保障・テロ対策の国際機構である「上海協力機構」に参加している(トルコとイランは準加盟)。中国は主役でないが、シリアが安定したら経済支援すると言っており、カネを出す役だ。シリア政府は、内戦終結後の上海機構への参加を望んでいる。アスタナのシリア和平会議は、上海機構による会議であるといえる。 (Astana Offers Unique Opportunity to Resume Syrian Peace Talks) (Kazakhstan Offers Astana As Venue Of Syrian Peace Talks)
シリア内戦を終わらせるための和平会議は従来、スイスのジュネーブにおいて米国主導で行われてきた。だが、米国はアサド大統領が権力を手放すことを和平交渉の譲れない条件にし続けたため、アサドの同意が得られず、反政府側の結束もないままで、交渉にならなかった。アスタナの和平会議は、ジュネーブの枠組みと全く別に開催される。アサド辞任に固執する米国や(米傀儡として動かされている)国連は、アスタナの交渉に呼ばれていない。(Turkey, Russia, Iran agree on roadmap to solve Syria's humanitarian tragedy in trilateral meeting) (Putin and Erdogan push for Syria talks without U.S. or U.N.)
アサド敵視の非現実的なジュネーブ会議と対照的に、アサドの優位を認める現実的なアスタナの会議は、交渉が成功して合意の形成とその実行まで到達する可能性が高い。露政府は、アスタナの会議はジュネーブの会議を潰すためでなく補完するためのものだと言っている。ジュネーブ会議の非現実性を補完する現実性(=アサドの優位を認めること)をアスタナ会議が付与するという意味だろう。 (Syria Opposition Cairo Group Welcomes Possible Conflict Settlement Talks)
米政府や国連は、アスタナ会議に批判的だ。ロシアがどんどんアサドを有利にしていることに対抗するため、国連のシリア問題担当は、アレッポ陥落前にシリア軍が80人の東アレッポの一般市民を虐殺したと非難する報告書を発表した。欧米日のマスコミや市民団体は、国連報告書を真に受けてシリア政府を非難している。 (Aleppo: Pro-government forces slaughter at least 82 civilians while closing in on Syrian city, UN says) (Aleppo children burned alive, civilians executed by Assad's forces -reports) (Syrian army, Iraqi militia accused of 'slaughter' of civilians in Aleppo)
だが、東アレッポの戦闘状況から考えて、シリア軍が殺した市民は、イドリブへの避難を拒否した非妥協なテロリストの家族であり、テロリストと一緒に最後までシリア軍と戦う姿勢をとったので、シリア軍に殺されたと考えられる。その場合、殺害は「無実の市民に対する虐殺」でなく、人道上の国際犯罪にならない内戦の一環としての戦闘行為になる。東アレッポでは、テロリストの方が、市民を人間の盾として人質に使い、それを嫌がる多数(おそらく数千人かそれ以上の規模)の無実の市民を殺している。国連やマスコミなどは、そうしたテロリストの側の人道犯罪を無視している。 (After Aleppo: We Need a New Syria Policy) (Iran official criticizes UN's Aleppo resolution)
今の米国はロシア主導のシリア和平策に批判的だが、来月トランプが大統領になると、おそらく米政府は、ロシアの策を容認(支持?)する姿勢に転じる。米国がアスタナ会議の成果を認めると、アスタナとジュネーブの枠組みは融合し、国連もアサド優位を認めざるを得なくなり、ロシア主導のシリア和平策が国際社会の正式なものになる。これは、米国主導の国際秩序だけが正統だった従来の状況が、ロシアや上海機構(中露)主導の国際秩序も正統なものとして認められる「多極化」の動きとして画期的だ。 (Analyst says trilateral meeting on Syria in Moscow will herald new format of peace talks)
▼アフガニスタンも多極型解決へ。何も知覚できない日本人
ロシアは、シリアだけでなく、もうひとつ米国が内戦を長引かせている国であるアフガニスタンに関しても、上海機構の参加諸国と連携して、内戦終結に向けた動きを開始している。アフガニスタンでは、米国が据えた傀儡政府よりも、米国が敵視し続けている「タリバン」(アフガンの主要民族であるパシュトン人の武装勢力・民族政党)が強い状態が続き、政府は首都カブールしか支配できず、それ以外の地域をタリバンなど各地の武装勢力が支配し、内戦が続いている。 (India cautions Russia and Iran against engaging with Taliban) (US general accuses Russia, Iran of boosting Taliban in Afghanistan) (中国がアフガニスタンを安定させる) (米露逆転のアフガニスタン)
ロシアは最近、タリバンの後見役であるパキスタンに接近し、昔からパキスタンを支援してきた中国や、アフガンの西に隣接するイランも入れて、露中パ・イランでタリバンとカブール政府との交渉を仲裁しようとしている。露中パ・イランとアフガンは、いずれも上海機構に参加している(露中以外は準加盟)。米国やカブール政府は、あくまでタリバン敵視なので、今はロシアの動きを批判拒否している。だがシリアと同様、米政権がトランプになると、米国はロシアの動きを容認し、米傀儡のカブール政府はタリバンとの交渉から連立政権の樹立までを受け入れざるを得なくなる。 (Report: Iran Hosting Taliban Leaders at Islamic Unity Conference) (Why is Russia supporting Pakistan-China trade corridor against India's wishes) (Moscow to Host Crucial Meeting With China, Pakistan to Discuss Afghanistan)
アフガニスタンもシリアも、米国が無茶苦茶にした国だ。それが今、米国抜き・ロシア主導で、問題解決への道筋が作られ始めている。以前の記事に書いたが、北アフリカのリビアも、ロシア主導で内戦を解決する動きがある。 (プーチンとトランプがリビアを再統合しそう) (Moscow's Syrian-Afghan Summits are Geotrategic Masterstrokes)
今回紹介した、シリア内戦終結に向けた新たな和平交渉の動きについて、プーチンが初めて言及したのは、12月16日に日本を訪問した時の記者会見においてだった。世界的・歴史的には、解決しない北方領土問題より、新たな多極型のシリア和平の始まりの方がはるかに重要だったのだが、日本では「専門家」でさえ、目の前で行われたプーチンの発表の重要性や意味をとらえられなかった。
「上海(協力)機構」はどこへ向かうのか
トインビーが予言していたように、アメリカの勢力範囲は太平洋の東半分になる。 日本は東アジア経済圏に包含され活躍することになる。 トランプ次期大統領の強いアメリカ志向が実現の引き金になる。
私は世界情勢をそのように想定する。
安倍晋三総理は、(アメリカ)対(ロシア、中国)の二つの陣営に二足の草鞋をどう履いて立ち回るべきかを想定すべきである。 それには世界における中国の影響を間違いなく理解する要がある。
こうした立場をふまえて中国との折り合いを図らなくてはならない。 戦争のない平和の指標を進む時期に来ている、それ故それべしの専門家チームを編成し基本路線を築かなければならない。
富の分配という困惑が世界的課題となってきた現在、自由な経済活動を謳うその中には、指標として富の配分を含む平等観を含めなくてはならない。
老生は世界の動きを見ていて、今日取りあげた上海機構の言葉に出会い検索した次の各項目のあらましを一覧し、トインビーの予見の的中に驚き日本の進む方向を案じる。
日本が不動の願いとして中核にもつべきものは、無知と偏見におちることなく更に情報収集に際してはプロパガンダに迷うことなく武力を否定する中立を頑として貫き通すことである。
依って立つところの論理の根拠は、親子の愛にある。 誰にもできる尽きることのない泉のような慈悲と愛に満ちた生活の実現を望んでいるのです。 そうした願いを政治や経済をとうして私たちは実現したい。
上海(協力)機構 検索
https://www.google.co.jp/?gws_rd=ssl#q=%E4%B8%8A%E6%B5%B7(%E5%8D%94%E5%8A%9B)%E6%A9%9F%E6%A7%8B
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◆上海協力機構 - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%8A%E6%B5%B7%E5%8D%94%E5%8A%9B%E6%A9%9F%E6%A7%8B
上海協力機構(シャンハイきょうりょくきこう、中国語:上海合作組織/上海合作组织)は、中華人民共和国・ロシア・カザフスタン・キルギス・タジキスタン・ウズベキスタンの6か国による多国間協力組織、もしくは国家連合。2001年6月15日、上海にて設立。2001 ...
◆上海協力機構とは - コトバンク
https://kotobank.jp/word/上海協力機構-181044
知恵蔵2015 - 上海協力機構の用語解説 - ロシア、中国、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、ウズベキスタンの6カ国の協力機構。1996年4月に国境地域での兵力削減など信頼構築を目標に、ウズベキスタンを除く5カ国首脳が上海に集まって上海ファイブを ...
上海協力機構とは[単語記事] - ニコニコ ...
http://dic.nicovideo.jp/a/%E4%B8%8A%E6%B5%B7%E5%8D%94%E5%8A%9B%E6%A9%9F%E6%A7%8B 上海協力機構
2016/09/05 - 上海協力機構とは、中華人民共和国主導の国際機関である。略称"SCO"。 概要 SCO 正式参加国 ※50音順 ※記事のある国は太字 インド ウズベキスタン...
中露に「すきま風」 上海協力機構 イラン加盟で対立 (1/2ページ) - 産経 ...
https://www.sankei.com/world/news/160630/wor1606300046-n1.html
2016/06/30 - 蜜月ぶりを演出する中国とロシアの間に、微妙なすきま風が吹き始めた。中露両国と中央アジア4カ国が参加する上海協力機構(SCO)首脳会議が6月23、24の両日、ウズベキスタンで開催された際、懸案だったイランの新規加盟問題で両国 ...
◆[PDF]上海協力機構と日本
src-h.slav.hokudai.ac.jp/kaken/iwashita2007/03iwashita-jpn.pdf
序-上海協力機構をどう理解するか-. 上海協力機構を理解する鍵-国境協定を通じた地域協力-. 上海協力機構を取り巻く全ての事象は否定的に解釈されてきた。この傾向は特. に米国の研究者たちに当てはまる。2005 年にアスタナで行われた上海協力 ...
上海協力機構とは 金融経済用語集 - iFinance
www.ifinance.ne.jp/glossary/global/glo124.html
上海協力機構は、中国、ロシア、中央アジア4カ国が加盟する地域協力機構をいいます。
◆上海協力機構の道は歩むほどに広くなる--人民網日本語版--人民日報
http://j.people.com.cn/n3/2016/0624/c94474-9077259.html
2016/06/24 - 上海協力機構創設から今年で15年になる。この記念すべき年の6月23日、第16回上海協力機構首脳会議がウズベキスタンの首都タシケントで盛大に開幕する。(文:王新俊・軍事科学院軍事戦略研究部国家安全戦.
上海協力機構が首脳会議=印パ加盟で8カ国に-ウズベク:時事ドットコム
www.jiji.com/jc/article?k=2016062300509&g=int
2016/06/23 - 【モスクワ時事】中ロと中央アジア4カ国でつくる上海協力機構(SCO)首脳会議は23日、ウズベキスタンの首都タシケントで個別会談が始まり、事実上開幕した。日程は2日間。ロシアのプーチン大統領が25日に公式訪中する前に中ロ首脳会談 ...
◆上海協力機構に関するトピックス:朝日新聞デジタル
www.asahi.com › トピックス
1991年のソ連崩壊で中国と国境を接することになったロシア、カザフスタン、タジキスタン、キルギスと中国の5カ国の代表が上海に集まった96年の「上海ファイブ」が前身。その後毎年会合を重ね、2001年にはウズベキスタンが加わり「上海協力機構」となった。
上海協力機構 : The Voice of Russia - Sputnik 日本
jp.sputniknews.com/japanese.ruvr.ru/tag_9583310/
タジキスタン首都ドゥシャンベで上海協力機構加盟諸国首脳会談が 始まり、今回のサミットのオフィシャル・ プログラムがスタートした。 ... パキスタン、インド、イランは、近いうちにも上海協力機構(SCO)に加盟するチャンスを得る可能性がある。ロシアのラヴロフ ...
※そもそもの始まりから見よう
www.asahi.com › トピックス
◆上海協力機構に関するトピックス: 朝日新聞デジタル
1991年のソ連崩壊で中国と国境を接することになったロシア、カザフスタン、タジキスタン、キルギスと中国の5カ国の代表が上海に集まった96年の「上海ファイブ」が前身。その後毎年会合を重ね、2001年にはウズベキスタンが加わり「上海協力機構」となった。◆上海協力機構に関するトピックス◆サイト内記事検索 検索結果:朝日新聞デジタル
http://www.asahi.com/topics/word/%E4%B8%8A%E6%B5%B7%E5%8D%94%E5%8A%9B%E6%A9%9F%E6%A7%8B.html
上海協力機構
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朝日新聞紙面に掲載されている用語解説から関連するものをお届けします
上海協力機構(2014年09月13日 朝刊)
1991年のソ連崩壊で中国と国境を接することになったロシア、カザフスタン、タジキスタン、キルギスと中国の5カ国の代表が上海に集まった96年の「上海ファイブ」が前身。その後毎年会合を重ね、2001年にはウズベキスタンが加わり「上海協力機構」となった。当初は新国境の管理が主な課題だった。その後、地域の安全保障問題や経済協力を話し合う場となっている。
上海協力機構(SCO)とBRICs(2009年06月16日 朝刊)
上海協力機構は、中国とロシア、中央アジア4カ国(カザフスタン、キルギス、タジキスタン、ウズベキスタン)が01年6月に創設した地域協力組織。政治、経済、文化など幅広い分野の地域協力を目指す。BRICsはブラジル、ロシア、インド、中国の英文頭文字を合わせた4カ国の総称。米証券ゴールドマン・サックス社が03年の報告書で名付けたもので、BRICsの経済規模が39年には米日独仏英伊の6カ国合計を抜くと予測した。
ロシアと中国(2009年12月12日 朝刊)
旧ソ連は1949年に建国した中国を全面支援したが、50年代後半からの中ソ対立は国境紛争にまで発展した。80年代に関係が正常化。ソ連崩壊後、ロシアは中国との国境問題を解決し、上海協力機構をつくって連携。経済協力も進める。一方で中国脅威論が台頭し、中国商人が集まるモスクワの市場を当局が突然閉鎖するなどきしみも目立つ。
http://sitesearch.asahi.com/.cgi/sitesearch/sitesearch.pl?Keywords=%E4%B8%8A%E6%B5%B7%E5%8D%94%E5%8A%9B%E6%A9%9F%E6%A7%8B&Searchsubmit2=%E6%A4%9C%E7%B4%A2&Searchsubmit=%E6%A4%9C%E7%B4%A2
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紙面掲載記事①~⑦については角度を変えたメガネを通して読み取る注意が必要である。 情報活動はすべてプロパガンダの影響下にあるからだ。
紙面掲載記事①
日ロ領土交渉、4カ国の思惑
(時時刻刻)日ロ交渉、ずれたまま(2016/12/04)
中央アジア諸国とつくる上海協力機構や新興5カ国でつくるBRICSの枠組みを通じ、ともに国際社会での存在感を高めてきた。 また戦後70年の昨年は、「両国の人民は歴史をねじ曲げるたくらみや振る舞いに断固反対する」などと、安倍政権の歴史認識をそろって牽制(けんせい)した。 日中間は尖閣問題などをめぐって緊張が続く。安保法制の成立や改憲の動きにも、中国側は警戒感を示している。こうした中での日ロ接近の動きに、
紙面掲載記事②
(ここに注目!)フェルガナ盆地 ISが若者誘う拠点に?(2016/11/07)
中ロと中央アジア諸国でつくる上海協力機構は9月中旬、キルギスで対テロ演習を実施した。 91年にソ連から独立したキルギスでは、中東産油国の支援でモスク(イスラム教の礼拝所)が急増。ISが若者を誘う拠点となっている可能性がある。 ビシケクなどでは今年7月、キルギスの伝統衣装を着た女性と、顔を覆う「ニカブ」を着用した女性を並べ、「私の不運な国民よ、どこへ行く」と書かれた広告が現れた。イスラム過激派の浸透を
紙面掲載記事③
イラン加盟を推進 上海協力機構、ロシアが方針(2016/06/25)
ロシアは23日、中国や中央アジア4カ国とつくる上海協力機構へのイラン加盟を推進する方針を明らかにした。上海機構にはインドとパキスタンが2017年にも正式加盟する見通し。ロシアを含むユーラシアの大国がそろうことで、米国などの主要7カ国(G7)に対抗する考えだ。 イランは上海機構のオブザーバーで、08年に加盟を申請。核開発に対する経済制裁の影響で手続きは進んでいなかったが、今年1月、制裁が解除された。
紙面掲載記事④
中ロ、テロ対策強化検討へ IS脅威、国境の警備連携 上海機構(2016/06/24)
ロシアと中国、中央アジア4カ国でつくる上海協力機構の首脳会議が23~24日、ウズベキスタンの首都タシケントで開かれる。加盟各国で過激派組織への警戒感が高まっており、情報共有の拡大など、中ロも含めたテロ対策の枠組み強化を話し合う見通しだ。 ウズベキスタンは15~25日、一部を除いて国境を閉鎖した。インタファクス通信がキルギス当局の話として伝えた。背景にあるのが、「イスラム国」(IS)など過激派組織の
紙面掲載記事⑤
中ロ含め、対テロ連携強化なるか 上海協力機構(2016/06/23)
ロシアと中国、中央アジア4カ国でつくる上海協力機構の首脳会議が23~24日、ウズベキスタンの首都タシケントで開かれる。加盟各国で過激派組織への警戒感が高まっており、情報共有の拡大など、中ロも含めたテロ対策の枠組み強化を話し合う見通しだ。 ウズベキスタンは15~25日、一部を除いて国境を閉鎖した。インタファクス通信がキルギス当局の話として伝えた。テロを警戒したためとみられる。関係国を除く外国メディア
紙面掲載記事⑥
(社説)中国国防費 軍拡より安定の思考を(2016/03/05)
かつて中国はソ連と対立したが、今やロシア、中央アジア諸国と上海協力機構をつくり、国境をめぐる紛争はない。陸だけでなく海でも安定した環境を築くことは、中国のみならずアジア全体の発展に資する。 古い軍拡の思想を脱し、今世紀にふさわしい共存共栄の思考へと転換すべきだ。 (社説)中国国防費 軍拡より安定の思考を
紙面掲載記事⑦
ロシアのプーチン大統領=AP
ロシアが新戦略 「色の革命」など警戒、中国関係を重視(2016/01/02)
ブラジル、インド、中国、南アフリカとつくる「BRICS」、中国や中央アジア諸国とつくる「上海協力機構」、アジア太平洋経済協力会議(APEC)、主要20カ国・地域(G20)での協力の重要性を強調。G8への復帰は求めない考えとみられる。 個別の国との関係では、特に中国とインドに言及。中国については「全面的なパートナー関係と戦略的な協力関係を発展させる。世界と地域の安定のカギだと考える」と、極めて
※続いて上海協力機構の概要を見てみよう
https://ja.wikipedia.org/wiki/上海協力機構
◆上海協力機構 - Wikipedia
上海協力機構(シャンハイきょうりょくきこう、中国語:上海合作組織/上海合作组织)は、中華人民共和国・ロシア・カザフスタン・キルギス・タジキスタン・ウズベキスタンの6か国による多国間協力組織、もしくは国家連合。2001年6月15日、上海にて設立。2001 ...
上海協力機構
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%8A%E6%B5%B7%E5%8D%94%E5%8A%9B%E6%A9%9F%E6%A7%8B
上海協力機構(シャンハイきょうりょくきこう、中国語:上海合作組織/上海合作组织)は、中華人民共和国・ロシア・カザフスタン・キルギス・タジキスタン・ウズベキスタンの6か国による多国間協力組織、もしくは国家連合。2001年6月15日、上海にて設立。2001年10月にアジア太平洋経済協力 (APEC) 首脳・閣僚会議が上海で開催されたが、これに先立ち上海の存在を国際的にアピールする結果となった。第一回設立会議が上海で行われたためこの呼び名となった。
概要
成立過程
1996年4月に初めて集った上海ファイブ(中華人民共和国・ロシア・カザフスタン・キルギス・タジキスタンの5か国首脳会議)を前身とする協力機構で、加盟国が抱える国際テロや民族分離運動、宗教過激主義問題への共同対処の外、経済や文化等幅広い分野での協力強化を図る。2000年の会議にウズベキスタンがオブザーバーとして参加し、翌年に6カ国によって発展発足した。
中華人民共和国政府にとっては、ソ連一国と長大な国境線を持っていたものの、ソ連崩壊により多くの国と国境を接することになった。これらの分離独立した新興国の内情は、独立国家共同体 (CIS) の影響力不足もあって非常に不安定であり、国家統制の及ばない武装勢力から中央アジアとの国境を共同で管理したい中国の思惑があったと見られ、国防上の要求もあり発足させた軍事同盟的な側面も持つ。またこれらの国に一定の影響力を持つことで、ロシアと対等な立場を保って、長期的な安全保障を確立したいものと見られる。またエネルギー問題に関しても、消費国である中華人民共和国としては、石油・天然ガス産出国であるロシアや中央アジアの関係を強化したいものと考えられる。
2002年6月7日、対テロ戦争が始まった世界情勢を受け、サンクトペテルブルクにおいてSCO地域対テロ機構の創設に関する協定が署名された。SCO地域対テロ機構執行委員会の書記局を上海に、本部を当時米軍基地が開設されていたキルギスの首都ビシュケクに設置した。また同時に、同年初頭のアメリカ合衆国のブッシュ大統領の悪の枢軸発言に始まる対テロ戦争拡大の動きを牽制した。対テロ戦争で中露を取り込もうとしたブッシュ政権はSCOにオブザーバー加盟を申請したが、2005年にSCO理事会はこれを却下している。
軍事同盟として
SCO理事会は名目の上では特定の国を対象とした軍事同盟ではないと述べているが、発足から経過するにつれて次第に単なる国境警備の組織としての枠組みを越えつつあると危惧する声は多い。2005年にはロシアが中華人民共和国・インドと相次いで共同軍事演習を行い、2007年には上海協力機構に加盟している6カ国による初の合同軍事演習(平和への使命2007)(中国語:和平使命、ロシア語:Мирная миссия、英語:Peace Mission)を行った。同軍事演習は中国陸軍1600名、ロシア陸軍2000名を中核に各国の陸軍部隊が一堂に会する大規模なもので、中露以外にはカザフスタン・キルギス・タジキスタンが特殊部隊や空挺部隊を派遣した他、ウズベキスタンが軍高官からなる将校団を派遣した。その後も2009年、2010年、2012年、2013年、2014年と1~2年に1回のペースで「平和への使命」合同軍事演習が行われ恒例化している。
また、2007年8月にビシュケクで行われた首脳会談で、テロ組織や分離独立運動など、加盟国に脅威を与える勢力に協力して対抗する長期善隣友好協力条約など8条約に調印した。周辺の国家連合との関係強化にも熱心で、2005年にはASEAN・SCO間で軍事的協定を結ぶ事に同意している。2007年、ASEAN理事会は協力関係を更に拡大する為に、両者の関係を事務局レベルから政府高官の直接対話に格上げする事を決定した。
同年にはSCOはロシアが主導する独立国家共同体、集団安全保障条約機構やユーラシア経済共同体と合同サミットを開き、共同活動に向けた合意に署名した。
2004年に国際連合から国連総会のオブザーバーの地位が付与された。 2014年にはアジア相互協力信頼醸成措置会議と覚書を調印した。
世界の多極化
SCOの加盟国、もしくは準加盟国の領域は地球上の陸地の約25%に達する。中華人民共和国の国境対策機構から、中華人民共和国・ロシア・インドといったユーラシア大陸における潜在的超大国 (BRICs)、モンゴル、インド、アフガニスタン、イラン、パキスタン、トルコ、東南アジア諸国連合 (ASEAN) も様々な形で参加するなど、北アジア、西アジア、中央アジア、南アジア、東アジアの連合体に発展する可能性を持つSCOは、いずれNATOに対抗しうる非欧米同盟として成長することを、アフリカや南アメリカの発展途上国・資源国から期待されている。
SCOはアメリカのオブザーバー加盟申請を拒否した他、アフガニスタンのカルザイ政権が半ば「アメリカの傀儡」である事を理由に加盟申請を拒否したり、加盟国ウズベキスタンからの駐留米軍撤退を要求するなど、米国との対立路線を形成しつつある。過去のサミット(2007年のビシュケク・サミットを含む)では、たびたび間接的に「ワシントンへの反感」が示されている。
2009年のサミットではイランのマフムード・アフマディーネジャード大統領がSCO議会でアメリカを批判、対米同盟としてのSCOに強い期待を寄せる演説を行った。
2015年にはウファのサミットで第7回BRICS首脳会議をユーラシア経済連合(EAEU)と合同で開き、インド・パキスタンの正規加盟を決定した。同年12月、ロシアのウラジミール・プーチン大統領はSCOとASEANとEAEUを統合する経済協力機構を提案した。
2016年のタシュケントのサミットではインド・パキスタンの正規加盟にあたっての義務覚書が調印された。同年6月にロシアのプーチン大統領は、中国・インド・パキスタン・イランといったSCO参加諸国とEAEUを軸とする「大ユーラシア・パートナーシップ」と第一段階として中国との交渉協議の計画を発表、プーチンが中国訪問した際の中露共同声明に盛り込まれて共同研究と交渉協議が始まり 、後にドミートリー・メドヴェージェフと李克強の会談で大筋合意された。
構成
指揮系統
上海協力機構 (SCO) は加盟国の国家元首から構成される元首評議会 (The Council of Heads of State) を最高意思決定機関とする。
元首協議会は毎年加盟国の首都の一つで開催する規定となっているSCOサミットで召集され、機構方針の最終決定を行う。その次の意思決定を行う政府首脳評議会 (The Council of Heads of Government) も同様に年一回のサミットで召集されて、加盟国政府間での連絡行儀、機構の予算承認等を行っている。政府首脳評議会の直轄組織である外務大臣会議 (The council of Foreign Ministers) は元首評議会及び首脳評議会の意向を通じて他の国際組織への交渉、国際情勢に対する対処などを決定する。
SCOサミット時以外の平常時における機構運営については下部機関により行われる。国家調整協議会 (council of national coordinators) は組織内の調整機関として機能し、各組織との連絡協議を担当する。機構事務局 (sco secretary) は事務局長を頂点とした執務組織であり、元首評議会及び首脳評議会・外務大臣会議の決定事項の具体的実行を担当する。機構運営上、最も重要な機関であると見なされる機構事務局は中国の北京に設置され、現在の事務局長はキルギス大統領顧問ムラトベク・イマナリエフ。
国家調整協議会及び機構事務局の指揮下に置かれている地域対テロ機構 (Regional Anti-Terrorist Structure, RATS) は加盟六カ国の国軍による対テロ任務の執行、及び執行に必要と判断される軍事協力(情報提供、軍事演習、共同作戦)を行う。地域対テロ機構の作戦目標はテロリズム・過激派・分離主義の「三つの害悪」を加盟国間から排除する事にあるとされている。
組織図
元首評議会
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政府首脳評議会
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省庁会議 ⇔ 外務大臣会議
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政府高官委員会 ⇔ 国家調整協議会 ⇔ 地域対テロ機構
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特別調査委員会 ⇔ 機構事務局 ⇔ 治安任務代表
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常任委員 ⇔ 非政府組織委員会
元首評議会
2013年現在、元首協議会の評議員は以下の6名からなる。
習近平(中華人民共和国主席)
ウラジーミル・プーチン(ロシア連邦大統領)
アルマズベク・アタンバエフ(キルギス共和国大統領)
ヌルスルタン・ナザルバエフ(カザフスタン共和国大統領)
イスラム・カリモフ(ウズベキスタン共和国大統領)
エモマリ・ラフモン(タジキスタン共和国大統領)
政府首脳評議会
2013年現在、政府首脳評議会の評議員は以下の6名からなる。
李克強(中華人民共和国国務院総理)
ドミートリー・メドヴェージェフ(ロシア連邦首相)
テミール・サリエフ(キルギスタン共和国首相)
カリム・マシモフ(カザフスタン共和国首相)
シャヴカト・ミルズィヤエフ(ウズベキスタン共和国首相)
コヒル・ラスルゾダ(タジキスタン共和国首相)
指導者
構成国 国家元首 政府首脳 中華人民共和国 国家主席 習近平 国務院総理李克強 カザフスタン 大統領 ナザルバエフ 首相 マシモフ キルギスタン 大統領 アタンバエフ 首相 サリエフ ロシア 大統領 プーチン 首相 メドヴェージェフ タジキスタン 大統領 ラフモン 首相 ラスルゾダ ウズベキスタン 大統領 空席 首相 ミルズィヤエフ インド 大統領 ムカルジー 首相 モディ パキスタン 大統領 フセイン 首相 シャリーフ
議題
安全保障
SCOは加盟国による中央アジア(ユーラシア)一帯の安全保障の確立を主な議題としている。しばしばそれはテロ・宗教問題・分離主義についての意見交換へと発展している。ウズベキスタンのタシケントで2004年6月16日から17日にかけて開催されたSCOサミットでは、地域対テロ機構 (RATS) が正式に設立された。2006年4月21日、SCOはテロリズム対策の一環として国境地帯での麻薬密輸の摘発を行う事を決議した。
強化される軍事的な協力関係に懸念が広がる中、SCOは軍事同盟になる計画はないと釈明した。しかし同時に地域対テロ機構を運営する上で軍事協力の強化は当然の事であるとも表明しており、初期の段階で加盟国間の共同軍事演習が複数回行われた。2005年8月19日、中露共同軍事演習「平和への使命2005」が大規模に行われた。平行してオブザーバーであったインドとの露印軍事演習も開催され、成功した二つの軍事演習に自信を深めたロシアはSCOの軍事協力に積極的な行動を見せた。2007年、SCOによる初の六カ国共同軍事演習「平和への使命2007」がウラル山脈付近のロシア領で開催、ロシアのセルゲイ・イワノフ国防相は軍事演習は開かれた形で行われると声明した。
経済協力
文化交流
加盟国
加盟審査
SCOへの加盟の希望については上述の理由から年々増加の一途をたどり、2004年のモンゴルに始まり、2005年にインド・パキスタン・イランがオブザーバー出席の地位を得た。特に印パ両国の加盟申請は中印パ3国間の対立の解消が期待されたが、2006年6月の会合では4カ国の正式加盟は見送られオブザーバーに留まった。理由については「正式加盟に対する明確な規定がなく、法的手続きに時間を要する為」とされている他、加盟国の急速な増大が機構運営に支障をきたす事と、中露と周辺四カ国の利害調整という本来の意味合いからユーラシア大陸全土を包括する国家連合へと大きく変化を遂げる事に迷いがある為だと指摘された。
現在の所は正規加盟やオブザーバーになるのに必要な資格となる対話パートナーなどの段階的な参加制度を設ける事で加盟要請に対処している。2008年には客員参加枠が新たに設立され、加盟申請で留められていたアフガニスタンが、ASEANやCISなど統合を検討している国家連合の代表らと共に会議参加を許可された。2012年にはアルメニア、アゼルバイジャン、バングラデシュ、ベラルーシ、ネパール、スリランカが加盟を申請し、このうちアルメニア、アゼルバイジャン、スリランカ、ネパールは2015年に対話パートナーとなり、ベラルーシは対話パートナーからオブザーバーに昇格した。2014年には加盟国の拡大に向けた合意文書を採択し、2015年にインド・パキスタンの正規加盟が決まった。2013年と2015年にはトルコから正規加盟が要請され、2015年と2016年にはシリア・エジプト・イスラエルといった中東諸国からも参加申請が出された。
将来的な正規加盟国の増加は十分に考えられる想定であり、オブザーバー国の多くも正規加盟を希望している。
関係国一覧
正規加盟国
中国の旗 中国
ロシアの旗 ロシア
カザフスタンの旗 カザフスタン
タジキスタンの旗 タジキスタン
キルギスの旗 キルギス
これら5国は原加盟国である。
ウズベキスタンの旗 ウズベキスタン
2001年に加盟
新規加盟予定国
インドの旗 インド
2005年にオブザーバー参加。2014年に加盟申請を行ない、2015年に正式加盟が決定された。2017年加盟予定。
パキスタンの旗 パキスタン
2005年にオブザーバー参加。2015年にインドとともに正式加盟が決定された。2017年加盟予定。
オブザーバー
モンゴルの旗 モンゴル
2005年に参加。インド・パキスタン・イランに先駆けてオブザーバーの地位を獲得した。
イランの旗 イラン
2005年に参加。2008年3月24日にSCO理事会が正規加盟への審査を開始したと報じられたが、国連の制裁が行われている状況下ではいかなる国際組織においても正規加盟は許可されないと結論された。2015年にも制裁解除されれば正規加盟できると確認された。
ベラルーシの旗 ベラルーシ
2009年、エカテリンブルク・サミットで対話パートナー資格を獲得。加盟国ロシアとは国家同盟を形成するなど深い関係を構築しているが、ロシア政府は「ベラルーシは東欧の国であり、(中央ユーラシアを基本としたSCOへの加盟申請は)議論が必要である」と正規加盟に慎重論を表明している。2015年にオブザーバーに昇格。
アフガニスタンの旗 アフガニスタン
先述の通りアメリカ政府との関係から正規参加はおろか、オブザーバーや対話パートナーすら却下されていた。しかし一方で地政学上は同盟の方向性に近く、復興援助という形で関与が行われていたが、2011年にロシア政府はオブザーバー・対話パートナー昇格への協力を表明し、2012年にオブザーバーとなった。一部では正規加盟すら議論に上がっている。
対話パートナー
2002年6月7日に決定されたSCO憲章第14条に基いて、2008年に拡大する新規加盟・オブザーバー申請国を受け入れる枠として設けられた。「SCO加盟国・オブザーバーと同じ目標と信念を共有するパートナーであり、対話を通じて協力体制を確立する事を望む国」と定義されている。
スリランカの旗 スリランカ
2009年、エカテリンブルク・サミットで対話パートナー資格を獲得。
トルコの旗 トルコ
2012年に対話パートナー資格を獲得。全参加国の中で唯一のNATO加盟国である。2013年11月22日のロシア訪問と2015年7月31日の中国訪問でトルコの首相レジェップ・タイイップ・エルドアンは正規加盟を要請した。
アゼルバイジャンの旗 アゼルバイジャン
アルメニアの旗 アルメニア
カンボジアの旗 カンボジア
ネパールの旗 ネパール
参加申請国
バングラデシュの旗 バングラデシュ
モルディブの旗 モルディブ
イスラエルの旗 イスラエル
エジプトの旗 エジプト
シリアの旗 シリア
客員参加
トルクメニスタンの旗 トルクメニスタン
独立国家共同体の旗 独立国家共同体
東南アジア諸国連合
首脳会議
回次 開催日 開催国 開催都市 第1回 2001年6月14日-15日 中国 上海 第2回 2002年6月7日 ロシア サンクトペテルブルク 第3回 2003年5月28日-29日 ロシア モスクワ 第4回 2004年6月17日 ウズベキスタン タシケント 第5回 2005年7月5日 カザフスタン アスタナ 第6回 2006年6月14日-15日 中国 上海 第7回 2007年8月16日 キルギス ビシュケク 第8回 2008年8月28日 タジキスタン ドゥシャンベ 第9回 2009年6月16日 ロシア エカテリンブルク 第10回 2010年6月11日 ウズベキスタン タシケント 第11回 2011年6月15日 カザフスタン アスタナ 第12回 2012年6月6日-7日 中国 北京 第13回 2013年9月12日 キルギス ビシュケク 第14回 2014年9月11日-12日 タジキスタン ドゥシャンベ 第15回 2015年7月9日-10日 ロシア ウファ
関連項目
集団安全保障条約
中東条約機構
東南アジア条約機構
北大西洋条約機構
ワルシャワ条約機構
中国人民抗日戦争・世界反ファシズム戦争勝利70周年記念式典
一帯一路