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折々の記 2016 ⑧
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【 05 】01/05

  01 05 我々はどこから来て、どこへ向かうのか:4   国家に何を期待してる? グローバル化の先は
  01 05 成果なき北方領土交渉と真珠湾訪問に見る安倍外交の迷走   ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
  01 06 トランプ次期大統領の政策   簡にして要

 01 05(木) 我々はどこから来て、どこへ向かうのか:4     国家に何を期待してる?:グローバル化の先は

2017年1月5日05時00分
我々はどこから来て、どこへ向かうのか:4 国家に何を期待してる?
    http://digital.asahi.com/articles/DA3S12733543.html

国家に何を期待してる?(1面)

【写真・図版】元日、多くの家族が初詣に訪れた。次世代の社会をどう支えるか、国家の役割も問い直されている=東京・明治神宮、林敏行撮影

 ■vol.4 国家

 グローバル化が進むと国家の影響力は低下すると言われてきた。けれど逆に最近、国家なるものの存在感が高まっている気がする。国家の存在意義。問い直されているのだろうか。(編集委員・塩倉裕)

 「保育園落ちた日本死ね!!!」

 そう題する文章がネットの匿名ブログに書き込まれた。昨年2月のことだ。

 働き続けたいのに子どもを保育園に入れられなかったので会社を辞めねばならなくなってしまった――。ブログ主は苦境を訴え、ネット空間に怒りをぶつけていた。「何なんだよ日本」「一億総活躍社会じゃねーのかよ」「国が子供産ませないでどうすんだよ」「保育園増やせよ」……。

 子育て中の人々を中心に、またたく間に共感の輪が広がった。私も同じだと訴え出る母親たちの運動も注目を浴び、政府は待機児童問題への緊急対策を発表せざるをえなくなった。

 「日本死ね」という題には批判も出た。国家を全否定したように読める表現だったからだ。

 表現の裏側にある「日本よ私を守ってくれ」というメッセージにこそ注目すべきではないか。そう発言したのは批評家の東浩紀氏だ。昨年12月、東京都内での公開座談会で語った。

    *

 ブログ主はメディアに姿を登場させていない。東京在住の子育て中の女性と名乗っている。ネットを通じて対面取材を申し込んだが断られた。メールでなら質問に答えてくれるという。本当に子育て中なのかなどは確認できなかったが、現象に火を付けた発信者に尋ねたいことがあった。

 怒りの矛先はなぜ「日本」だったのだろう。

 「なんで日本という言葉を使ったのかは分かりません」という返信がブログ主から届いた。「たまたまあの時に浮かんだ言葉が日本だったのだと思います」

 働く人のために保育園を作ることは国家の使命だと考えたのか。回答は、国家の存在意義をイメージして生活したことが正直ないので分かりません、だった。「目の前の生活を考えるだけで精いっぱいです」

 昨秋、ドナルド・トランプ氏が米大統領選に勝った。明日に不安を抱く人々が、移民から職を守ると約束する国家リーダーを選んだ、と解説された。6月に英国の欧州連合(EU)からの離脱が決まった際も、従来の生活を維持したい人々が“自国民を守る政治”を望んだ、と語られた。

 「国が安心して子供産んで大丈夫です!って何で言ってくれないんだろう」。ブログ主は3月、ツイッターにこう記していた。

 暮らしを転落から保護する役割。国家への期待が改めて高まっているのか。

 (3面に続く)

グローバル化の先は(3面)

 (1面から続く)

 子育てに注目して未来の日本国家を構想したユニークな憲法草案がある。

 批評家の東浩紀氏が中心になって2012年に発表した「新日本国憲法ゲンロン草案」だ。前文に「日本は繁栄する国でなければならない」と書かれていた。

 繁栄とは何だろう。尋ねると、東氏は即答した。繁栄とは子どもを産んで育てられることです、と。「今後の世界で何がポジティブな目標になるか。思いついたのは、次世代が生み出されることぐらいでした。次の世代に未来が手渡されること。つまり繁栄です」

 「保育園落ちた」現象をどう見ているのだろう。

 東氏は、日本でこの10~20年の間に人々の考え方が変わってきた、と語った。

 グローバル化を背景にした収入減少で共働き家庭が増え、「妻は家で育児」のモデルは行き詰まった。教育費がかさむ時期に手厚い給与をくれた“年功賃金の会社”や労働組合もやせ細った。そうした中で「せいぜい国家ぐらいしか頼るものがない」という認識が広がったと見る。だから怒りも国家へ向かうのだ、と。     *

 国境に囲まれた領域のなかで排他的に国民を統治し、外に向けて独立する存在。「主権国家」が定着し始めたのは、17世紀ごろの西欧だったとされる。

 それから数百年。20世紀終盤にグローバル化が加速した。人や資本が国をまたいで行き来し、国境は溶けていく、との見方も出た。

 国家の存在感は低下しているのだろうか。

 国際政治学者の藤原帰一・東京大学教授は「いや、むしろ『人を外から入れない』という国家の役割が前面に出てきた」と話す。

 ドナルド・トランプ氏は、移民や外国資本が職場を奪う、難民はテロリストかもしれないと訴え、国境に壁を築こうと語った。

 人を入れない大国は国民を保護できるか。自分の首を絞める可能性が高い、と藤原氏は否定的だった。

 「豊かな国が自己利益だけに走ると、世界で取り組まねばならない問題に誰も取り組まなくなる。世界は不安定になり、国家同士が衝突するリスクも高まる」

 国家に期待や失望をするのは、国家が私の生活を支えてくれるはずだという意識があるからだろう。

 福祉や社会保障を整え、広く国民生活を支える国家は、福祉国家と呼ばれる。一般には19世紀以降、解雇や病気で生活が不安定になる賃金労働者が増えたため広がったとされる。1970年代の石油危機で経済に陰りが見えると、福祉国家の退潮が語られ始めた。

    *

 「総動員型の戦争」という観点からその歴史に別の光を当てるのは、憲法学者の長谷部恭男・早稲田大学教授だ。19世紀後半、福祉国家が現れる起点にドイツ帝国宰相・ビスマルクの強兵策があったと見る。

 訓練された兵士を大量に動員することが当時、戦争に勝つカギだった。「戦争体制への動員を国民に納得させるため、ビスマルクは社会福祉制度を設けた」。日本でも、戦時体制のもとで社会福祉が拡大した。

 そんな総動員戦争の時代は冷戦終結で終わった、と長谷部氏は見る。国家にとって福祉国家という役割を担うことは「必然」ではなくなり、すでに「選択肢の一つ」へ後退したという。

 「とはいえ、生活が底辺に向かうのを放置すれば国民は国家に愛着を持たなくなる。多くの国が連携してグローバル化による賃金低下や税金逃れに歯止めをかけられるかどうか。ダメなら国民は根無し草になる」

 昨年10月、ドイツの最高裁にあたる連邦通常裁判所が出した判決が、日本でも注目された。保育所がなく仕事に復帰できなかった親が所得の賠償を求めた。ドイツは法律で、保育機会を子に与えるよう自治体に義務づける。判決は、財政難という理由では保育所設置の義務を免れないとした。

 憲法学者の木村草太・首都大学東京教授はこう語る。「国家が市場経済の体制を採る以上、国民は働かねば生きていけない。国家の繁栄ではなく『個人の尊重』という観点から、誰もが労働できる環境を整備する義務が国家にはある、と考えることは可能だ」

 近代社会を支える社会契約説によれば、人々が国家を作るのは自らの生命や財産を守るためだ。東氏は言う。「今、人々の作り出す財産を2次、3次利用して巨大な富を得るグローバル資本が政府に保護される。他方で貧しい労働者は、自力で何とかせよと言われる。保護する対象が違う、との怒りには一理がある」

 グローバル化の先にも支えとなる国家。私たちはデザインできるだろうか。

 (編集委員・塩倉裕)

 01 05(木) 成果なき北方領土交渉と真珠湾訪問に見る安倍外交の迷走     ダイヤモンド・オンライン

「ダイヤモンド社のビジネス情報サイト」によれば、次のような痛烈な評価がされていた。

マスコミメディアでこのように収集したニュースを遠慮なしに報道しているのを読むと、ニュース本来の実感を感ずる。 経済力が政治権力を意に介することなくニュースを報道できるのだろう。

新聞記者は何らかの束縛感があって一定のバリア内の表現しかできないのだろうか?

この記事を見ると、胸がスゥーッとした。




【第126回】 2017年1月5日 ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
TOP>国際>山田厚史の「世界かわら版」>成果なき北方領土交渉と真珠湾訪問に見る安倍外交の迷走

成果なき北方領土交渉と真珠湾訪問に見る安倍外交の迷走
    山田厚史 デモクラTV代表・元朝日新聞編集委員
    http://diamond.jp/articles/-/112757

 トランプ大統領が登場するアメリカ、極右政党が台頭する欧州。先進国と呼ばれた国々が波乱含みとなる今年、日本外交の針路はどうなるのか。年末に行われたロシアとの北方領土交渉と首相の真珠湾訪問に、安倍外交の危うい現実が見えている。

 真珠湾で慰霊に臨んだ稲田朋美防衛相は、帰国すると真っ先に靖国神社を訪れた。防衛相としての参拝が中国・韓国を刺激することは承知の上での強行である。安倍首相は真珠湾で「米国との和解」を強調したがアジアへの贖罪には触れなかった。太平洋の向こうに気遣いながら、アジアの近隣に尻を向ける日本の姿勢を内外に示した。

安倍外交迷走の象徴 期待外れの日ロ首脳会談

 直前に行われ北方領土交渉に安倍外交の迷走ぶりと限界が露呈している。

 首相は選挙区である山口県長門市にプーチン大統領を迎えた。外交成果が期待できると判断したからだろう。政治ショーを彩るイベントの準備は手抜かりなかったが、肝心の交渉の中味は惨憺たるものだった。

 プーチンは2時間40分遅れで会場にやって来た。首脳会談に遅刻する非礼は、よほどの事情がない限り「不快の表明」である。こんな会談は意味がない、というロシア側の意思表示である。

 なぜか。すでにひと月も前から、領土交渉は頓挫することが見えていた。

 11月9日、モスクワを訪れた谷内正太郎国家安全保障局長はロシアのパトルシェフ安全保障会議書記と予備交渉に臨んだ。ロシア側は歯舞・色丹の2島を返還することを想定し、「米軍の基地が置かれることはあり得るのか」とパトルシェフ書記が念を押した。

 谷内局長は「可能性はある」と答え、ロシア側を仰天させた。

 返還後の領土に米軍基地が建設されるなら領土交渉には応じられない、というのがロシア側の一貫した態度だった。分かっていながら「基地建設の可能性」を予備会談で表明するのは交渉を止めるに等しい。

 プーチンは2000年6月に森首相(当時)との間で「返還後の米軍基地」について確認している。森氏は「あり得ないこと」と答えた。これが両国間の共通認識とされてきた。

 体制転換を果たしたとはいえロシアと米国の軍事的緊張は続いている。返還後の北方領土に米軍基地などあり得ない、というのがロシアの立場だ。パトルシェフ書記の問いは、返還を前提にした最終確認だった。報告を聞いたプーチンは激怒した、という。

 2013年4月、就任して半年も経たない安倍首相はモスクワを訪問し、領土交渉を持ちかけた。「双方に受け入れ可能な解決策を探る」という共同声明が出され、交渉入りが確認された。この声明によって「米軍基地の可能性」は皆無のはずだった。それが首脳会談のお膳立てを話し合う会合で話は振り出しに戻る。プーチンでなくても憤慨するだろう。

 10日後、ペルーのリマで開かれたAPEC首脳会議で、2人は会った。朝日新聞によるとプーチンは笑みを浮かべながら安倍首相に「君の側近が『島に米軍基地が置かれる可能性はある』と言ったそうだが、それでは交渉は終わる」と語った。首相は「それは誤解だ。原則論を言えばそうだ。だが、われわれはそのことについて本音で話をしたい」と釈明したという。

 日本側は12月の長門会談までに「これなら米軍基地はできない」とプーチンを納得させる打開策を提示することができなかった。

「米国の了解」なしに決められない日本

「日本政府だけで決められない。米国の了解しなしに進まない案件だ」と外務省OBは指摘する。

 日米安保条約で、米国は日本の施政権が及ぶ地域の防衛義務を負っている。その地域に米軍は展開できる。つまり北方領土が返還されれば、島に日本の施政権が及び、米軍は基地を置ける、というのが安保条約の原則だ。

 歯舞・色丹に米軍施設を作ることが、現時点であり得ないとしても、米軍が必要と考えれば基地建設の「可能性」は否定できない。首相が「原則論ではそうだ」と言うなら、原則を適用しない方策をロシア側に示すことが日本の責務だった。

 北方領土を取り戻すには、「米軍基地の除外」を米国に内諾させる必要があった。ところが米国と話をつけられないまま、ロシアへの経済協力で突破口を開こうとしたのである。

 元外務省分析官の佐藤優氏は、その危うさに気づいていた。

「交渉に当たる谷内氏はロシア側を納得させる秘策を持っているのか」と雑誌などで指摘していた。

 谷内氏は米国と深くつながる外交官だった。米国大使館参事、条約局長などを経て2005年から3年間外務次官を務めた。民主党政権のころは民間に出ていたが、安倍首相が復権した2012年12月、内閣官房参与として首相の外交ブレーンになり、政権と米国をつなぐパイプ役となった。

「戦後体制からの脱却」を唱える安倍の右翼的体質を警戒するオバマ政権に、谷内は日本の外交は日米同盟が基軸だと説得し、関係を取り持ってきた。

 尖閣問題では、「尖閣は日米安保の対象地域」と米国に表明させ、軍事的圧力を高める中国を牽制したのも谷内の功績のひとつとされている。戦後70年の首相談話で、歴史認識を巡る表現を米国と調整したのも谷内だった。

日米安保条約が阻んだ北方領土2島返還

 だがウクライナ問題で米ロ関係は悪化する。クリミアを併合したプーチンに欧米がこぞって反発、オバマは経済制裁に同調することを日本に求めた。プーチンからは北方領土を餌に協力を持ちかけられ、日本は板挟みになる。

 北朝鮮と交渉していた拉致問題の解決が挫折し、官邸は目先を変える次の施策を求めていた。ロシアが経済制裁に苦しむ今こそ北方領土を取り戻す好機と安倍政権は前のめりになる。そんな日本を米国は面白く思うはずはない。

 日米安保に例外規定を設け、ロシアに配慮する措置を米国が許すはずがないことは外交官なら分かる。谷内氏はツテを頼って米国の要人に打開策を模索しただろうが、政権末期の米国に、日本のために動いてくれる人がいたとは思えない。米国の了解を得られないままモスクワを訪れ、領土返還は「見果てぬ夢」に終わった。

 首脳会談を前にプーチンは読売新聞とのインタビューで「日本はどの程度、独自に物事を決められるのか」と疑問を投げかけた。

 領土交渉という重大な局面でアメリカの了解がないと動けない日本、という日米同盟の現実を知った。

 首脳会談の後、記者会見でプーチンは率直に語った。

「ウラジオストクの少し北に二つの海軍基地があり、艦船が太平洋に出ていく。我々はこの地域に何が起きるのか知らなければならない。しかし日米安保条約の条約上の義務を念頭に置き、日露関係がどうなっていくのか私たちには分からない。日本の友人に、こうした微妙な問題とロシア側の疑念を理解してほしい」

 日本の主要メデャアは「プーチン氏、日米同盟に疑念」(朝日新聞)などと、ロシア側に責任があるように報じた。

「北方領土返還の壁は日米安保」と見出しで打ったのは産経新聞だった。

 交渉を実質的に止めたのはロシアではなく米国。産経が書いたように、領土交渉を阻んだのは日米安保条約だった。

経済支援3000億円の見返りは領土ではなく「交渉継続」

 それでもプーチンは日本にやって来た。3000億円の経済支援をまとめるために。領土交渉が進まなくても日本はカネを出すというのだからプーチンにとって悪い話ではない。

 安倍政権は、3000億円で「交渉継続」を買った。投資案件が進む限りロシアは交渉を打ち切ることはないだろう。領土交渉があたかも進んでいるかのような幻想を有権者に振りまいた。宣伝役になったのが新聞やテレビなど大手メディアである。

 私はシベリヤや北方4島で日本とロシアが共同事業をすることは良いことだと思う。領土問題より、平和条約の締結や日本海の対岸で日露が友好的に事業を進めることは、地域の平和と繁栄にとって必要なことだと考える。

 更に突っ込んで言えば、ロシア人がすでに定住している国後・択捉が返って来なくても、日本人や企業の居住・活動の自由が認められればいいと思う。

 日本は戦争でアジア太平洋の領土を失った。にもかかわらずアメリカに次ぐ世界2位の経済大国になった。国境が経済活動を制約する時代は終わったのだ。領土は大きければいいという時代ではない。

 安倍政権は領土にこだわり、領土交渉が支持率を上げると考え取り組んでいた。国民への約束は「4島返還交渉」。対ロ外交のゴールに領土返還を定めていたのなら、その総括が問われるべきだろう。

 3000億円の投資は領土との取引ではなかったのか。領土は日米安保で頓挫し3000億円だけ差し出す結果になった。交渉は失敗である。

トランプ外交で米ロが接近すれば日本の立場は微妙に

 オバマ政権に邪魔された、と首相は思っているかもしれない。トランプが大統領になれば状況が変わる、と期待しているのかもしれない。経済協力で交渉をつなぎ、トランプ政権が誕生したら、安保条約の特例を認めてもらえる交渉をしようと考えているのかもしれない。

 それは甘い。米露関係が改善されれば、ロシアは日本に頼る必要性は少なくなるだろう。プーチンは日本を飛び越え、トランプと組むに違いない。

 ビジネスマンのトランプは、外交に駆け引きを持ち込む。日米安保を緩めるどころか、安保のコストを更に日本に求めるのではないか。

迷走外交が今年も続くのか

 大統領就任が決まると、安倍は真っ先に駆けつけ「信頼できる人物」と世界に発信した。傍若無人のトランプとどう付き合うか、多くの国が戸惑っている中で、突出した行動だった。政策に共鳴したわけでもなく「白地手形」を差し出してトランプ支持を表明したようなものだ。

 もう1ヵ国、早々とトランプ支持を宣言した国がある。イスラエルだ。当選後、最初に首脳が電話で祝福したのがイスラエルだった。だが日本とイスラエルは対米関係で正反対だ。

 イスラエルは米国内に強固なユダヤ人脈を張り巡らしホワイトハウスを自国の都合に引き込むことができる。日本は米国に付き従うだけの国、米国の了解がないと外交方針も決めらえない。この二つの国が真っ先にトランプ支持を表明した。どういうことが起こるのか。

 イスラエルが中東政策やパレスチナ問題でトランプを強硬路線に引き込み、日本もその方向に引きずられる恐れさえある。

 小泉政権の頃から首相は「アメリカのポチ」と言われた。新大統領ににじり寄る首相は「トランプのペット」になりかねない。

 日米安保に縛られ領土の返還条件さえ自国で決められない。領土交渉の失敗を隠すように真珠湾でオバマ大統領と2ショットを撮り、反発する右翼をなだめるかのように防衛相が靖国神社にお参りに行く。

 地球を俯瞰する外交どころか、落ち着きのない迷走外交が今年も続くのか。揺るがないのはアメリカに付き従う路線だ。オバマに従ったように「悲しきトランペット」の道を安倍政権は進むのだろうか。

01 06 (金) トランプ次期大統領の政策     有権者との契約

北方領土交渉のプーチンと安倍晋三の実情をダイヤモンド社の情報サイトを見ていると、安倍晋三の自分よがりの狡猾さが見てとれる。 それに反して今日のNHK WEB NEWSによるトランプ次期大統領の政策は、実に気色鮮明・簡にして要を得ている。 壮快である。



NHK WEB NEWS 2017年(平成29年)1月6日 金曜日
トランプ次期大統領の政策
    https://www3.nhk.or.jp/news/special/45th_president/?utm_int=news_contents_news-closeup_003


トランプ次期大統領は、投票日を目前に控えた10月下旬、東部ペンシルベニア州ゲディスバーグで行った演説で、2017年1月20日に就任してから最初の100日間で実行する計画を“公約”として掲げました。トランプ氏は、この公約を「有権者との契約」という形で提示しています。自ら署名をしていて、賛同する有権者にも、同じく署名を求めています。


ドナルド・トランプの有権者との契約

  「アメリカを再び偉大にする」ための100日行動計画は、以下の通り。
  これは、私とアメリカの有権者との契約。
  まず、政治に公正さを取り戻し、政治の決定に責任を持ち、説明責任を果たすことでワシントンに変化をもたらすことから始める。
  就任初日、私の政権では、直ちに以下のことに取り組む。

 ▼ 【ワシントンの腐敗した政治と利益誘導のための癒着を一掃するための6つの対策】
   1、すべての連邦議員に任期の制限を課すため、憲法の修正を提案する。
   2、連邦政府の職員数の自然減を目指すため、新規採用を凍結する。
     (軍事、公安、公衆衛生に関する職は除く)
   3、連邦規制を新たに1つ制定するごとに、既存の規制を2つ廃止する。
   4、ホワイトハウスと連邦議会の当局者が、離職後5年間、ロビー活動することを禁じる。
   5、ホワイトハウスの当局者が、外国政府のためにロビー活動することを永久に禁じる。
   6、外国人ロビイストが、アメリカ国内の選挙のために資金集めをすることを全面的に禁じる。
 ▼ 【アメリカの労働者を守るための7つの行動】
   1、NAFTA=北米自由貿易協定の第2205条に基づき、再交渉、あるいは離脱の考えを表明する。
   2、TPP=環太平洋パートナーシップ協定からの離脱を表明する。
   3、財務長官に、中国を為替操作国として認定するよう指示する。
   4、アメリカの労働者が不当に扱われるような貿易協定を全て特定し、それらの不正を直ちになくすために、
      アメリカの法律と国際法に基づくあらゆる手段を用いるよう、商務長官とアメリカ通商代表部に指示する。
   5、50兆ドルに相当する雇用を生み出すシェールガス、石油、天然ガス、精炭など、
      アメリカのエネルギー資源の生産における規制を撤廃する。
   6、カナダから南部テキサス州に原油を運ぶキーストーンパイプラインなど、オバマ大統領と
      クリントン前国務長官によって中断されていたエネルギ   ーインフラ計画を再開する。
   7、国連の気候変動対策への巨額な資金拠出を取りやめ、その資金を、アメリカ国内の水道や
      環境インフラ整備の改善に使う。
 ▼ 【地域の安全を回復し、憲法の定めた法の支配を取り戻すための5つの行動】
   1、オバマ大統領が憲法に違反して行ったすべての大統領権限や覚書、命令を取り消す。
   2、連邦最高裁判所のスカリア判事の後任として、アメリカ合衆国憲法を支持し擁護する人物を、
      私の20人の候補者リストの中から選ぶ作業を始める。
   3、不法移民の摘発に消極的で、「聖域」(※1)と呼ばれる都市への連邦予算の支出を取りやめる。
   4、犯罪歴のある200万人以上の不法移民の強制送還を始め、受け入れを拒否する国にはビザの発給を停止する。
   5、テロが多発傾向にあり、事前審査が適切に行われていない地域や国からの移民の入国を一時的にやめる。
      移民希望者に対するアメリカへの入国審査は、極めて厳格に行う。
      (※1)「聖域」都市…州や郡が、不法移民を取り締まる連邦移民局との連携を制限し、その地域で生活する
      不法移民が強制送還されないよう保護する都市。都市によって、不法移民の身分を尋ねることを禁止しているほか、
      移民取り締まりに関連して州税や市税を充てることを禁止するなどしている。
      私は、政権発足後、100日以内に、以下の大規模法案を提出し、議会と協力して通過を目指す。
 ▼ 【中間層への減税と税制簡素化法】
   年4%の経済成長を目指し、新たに2500万人の雇用を創出するための経済計画を実施する。大幅減税と
   税制の簡素化を、通商政策の見直し、規制緩和、エネルギー規制の撤廃とともに行う。
   これまでで最大規模となる減税は中間層のために行う。
   子どもが2人いる中間所得層の世帯には、35パーセントの減税を行う。現在、7つある税率区分は3段階に減らし、
   納税様式も大幅に簡素化する。法人税率は35%から15%に引き下げ、海外に眠る数兆ドルのアメリカ企業の資金を、
   税率10%で還流できるようにする。
 ▼ 【企業の海外移転防止法】
   企業が海外移転を目的に、アメリカ人労働者を解雇することを阻止するために関税を課すほか、その企業の製品を
   非課税でアメリカに返還させる。
 ▼ 【アメリカのエネルギーと基盤整備事業法】
   官民パートナーシップと税の優遇措置を通じた民間投資によって、10年間にわたって1兆ドルの基盤整備への
   投資を行う。歳入中立。
 ▼ 【学校選択と教育機会法】
   公立学校、私立学校、チャーター・スクール、マグネット・スクール、宗教学校、あるいはホームスクールの希望
   する学校に、子どもを通わせる親の権利を守るために、教育予算を振り分ける。コモン・コア(全米統一の基礎
   学力基準)を廃止し、教育の管理責任を各地域に戻す。職業や技術の訓練学校を拡充するとともに、学生・親の
   2年制・4年制大学の授業料の負担軽減を目指す。
 ▼ 【オバマケアの撤廃と新制度の導入法】
   オバマケアを完全に撤廃(※2)する。代わりに、州を越えて健康保険を購入でき、各州にメディケイド基金の
   運営をさせる医療貯蓄口座を導入する。
   現在、4000以上の医薬品が承認待ちの状態で、生命に関わる医薬品の認可を急ぐ。そのために、FDA=アメ
   リカ食品医薬品局の官僚主義を改革する。
   (※2)オバマケア…選挙のあと、医療保険制度改革の少なくとも2つの項目については、「気に入っている」と
   して、維持することを検討していると述べている。
 ▼ 【育児支援と介護支援法】
   育児と介護にかかる費用を、税金から控除できるようにする。
   雇用主に対して、保育サービスを事業所内で提供できるような刺激策を設ける。
   若年と高齢の被扶養者の支援のために、非課税の貯蓄口座を設けるほか、低所得者層にはマッチング拠出を行う。
 ▼ 【不法移民防止法】
   メキシコが、将来、建設費を払い戻すことを前提に、アメリカ南部のメキシコとの国境に壁を建設し、その資金を
   供給する。本国への強制送還後、不法に再入国した場合、最低2年の禁錮刑に処することを制定する。また、重罪
   5年の禁錮刑に処することを制定する。
   また、ビザの制度改革を行い、期限を過ぎて滞在した人には罰則を強化し、求人は、まずアメリカ人労働者に優先
    的に提示される方法を確立する。
 ▼ 【地域の安全回復法】
   犯罪、薬物、暴力を減らすため、暴力犯罪を専門とする特別部局を設置し、地域の警察官に対する訓練や支援を行
   うための財源を増やす。
   犯罪組織を解体したり暴力行為を行った人を収監したりするために、司法当局や連邦検察官のための財源を増やす。
 ▼ 【国家安全保障回復法】
   軍を再建するために、防衛費の強制削減を停止し、軍事への予算を増やす。
   治療中の退役軍人は、治療を復員軍人援護局の病院か、民間病院で受けるか、選択できるようにする。
   重要なインフラをサイバー攻撃から守る。
   移民として入国を許可された人たちが、アメリカの国民と価値観を支持しているかどうかを見極めるため、新たな
   審査方法を確立する。
 ▼ 【ワシントンにおける腐敗の一掃法】
   政治に対する特別利益団体の腐敗した影響力を減らすため、新たな倫理改革を行う。
   11月8日に、アメリカ国民は、経済の繁栄を取り戻すために、地域の安全を回復するために、そして、政治への
   公正さを取り戻すために、この100日行動計画を選んで投票するだろう。

これは、私のみなさんとの誓約です。
われわれがこのステップを踏めば、アメリカは再び、人民の、人民による人民のための政治を取り戻すことができるだろう。


人 事

大統領の交代によって政策やスタッフが大幅に変わるアメリカでは、新しい大統領の就任後、すみやかに政権が機能するよう就任前から政権移行の作業が進められます。この手続きは法律で定められています。大統領候補になると選挙の前から引き継ぎの準備を始め、現政権からオフィスや資金の提供も受け、新政権のスタッフの人選や政策の策定を進めます。

国家機密情報や外交・安全保障に関する引き継ぎのほか、「政治任用」の制度で決める閣僚や大統領の補佐官、それに大使などおよそ4100人の人選を行います。トランプ次期大統領は、大統領選挙のわずか2日後にオバマ大統領の招きでホワイトハウスを訪れ、大統領執務室でおよそ1時間半にわたり2人だけで会談しました。

トランプ氏の政権移行チームのトップは当初、トランプ氏と共和党の大統領候補の指名を争ったニュージャージー州のクリスティー知事が務めていました。しかし、トランプ氏は選挙のあとペンス次期副大統領を責任者に指名したほか、みずからの息子や娘なども加えたうえで閣僚などの人選を進め、外交や安全保障、経済、それに内政などの分野で作業グループを立ち上げ、引き継ぎの作業を本格化させています。

 ★政権移行チームの主要メンバー一覧はこちら

<委員長>
   マイク・ペンス次期副大統領
   Mike Pence
   元下院議員でインディアナ州知事 政権移行チームの責任者

<副委員長:13人>
   ベン・カーソン氏
   Ben Carson
   元脳神経外科医 共和党の候補者選びでトランプ氏と争った

   次期政権の住宅都市開発長官
   クリス・クリスティー氏
   Chris Christie

   東部ニュージャージー州知事 共和党の候補者選びでトランプ氏と争い、撤退後はトランプ氏への支持を表明 側近の1人として支えた
   ニュート・ギングリッチ氏
   Newt Gingrich

   元下院議長 下院議員に10回連続で当選 共和党保守派の重鎮
   マイケル・フリン氏
   Michael Flynn

   アメリカ陸軍の退役中将で元国防情報局長官

   次期政権の安全保障担当の大統領補佐官

   選挙戦では早くからトランプ氏を支持し、外交や安全保障政策のアドバイザーを務めた
   ルドルフ・ジュリアーニ氏
   Rudolph Giuliani

   元ニューヨーク市長

   トランプ氏の選挙戦を支えた側近のひとり
   ジェフ・セッションズ氏
   Jeff Sessions

   共和党の上院議員(南部アラバマ州)

   次期政権の司法長官
   マーシャ・ブラックバーン氏
   Marsha Blackburn

   共和党の下院議員(南部テネシー州)
   メアリー・ファリン氏
   Mary Fallin

   中西部オクラホマ州知事
   シンシア・ラミス氏
   Cynthia Lummis

   共和党の下院議員(西部ワイオミング州)
   キャスリーン・マクファーランド氏
   Kathleen McFarland

   FOXニュースの安全保障アナリスト

   次期政権の国家安全保障問題担当の大統領次席補佐官
   トム・リード氏
   Tom Reed

   共和党の下院議員(東部ニューヨーク州)
   キャシー・マクモリス=ロジャース氏
   Cathy McMorris Rodgers

   共和党の下院議員(西部ワシントン州)
   ティム・スコット氏
   Tim Scott

   共和党の上院議員(南部サウスカロライナ)

<執行委員:20人>

   ラインス・プリーバス氏
   Reince Priebus

   共和党全国委員会委員長 次期政権の大統領首席補佐官
   スティーブ・バノン氏
   Steve Bannon

   大統領選挙で、選挙対策本部の責任者を務めた

   次期政権では政権運営全般にわたり大統領に助言を行う上級顧問

   首席戦略官も兼務
   ルー・バレッタ氏
   Lou Barletta

   共和党の下院議員(東部ペンシルベニア州)
   パム・ボンディ氏
   Pam Bondi

   フロリダ州司法長官
   クリス・コリンズ氏
   Chris Collins

   共和党の下院議員(東部ニューヨーク州)
   トム・マリノ氏
   Tom Marino

   共和党の下院議員(東部ペンシルベニア)
   レベッカ・マーサ-氏
   Rebekah Mercer

   共和党支持者で高額献金者として知られるヘッジファンド運用会社CEOの娘
   スティーブン・ムニューチン氏
   Steven Mnuchin

   大手金融機関ゴールドマン・サックスの元幹部で次期政権の財務長官
   デビン・ニューネス氏
   Devin Nunes

   共和党の下院議員(西部カリフォルニア州)
   アンソニー・スカラムッチ氏
   Anthony Scaramucci

   投資会社の創業者・経営者

   大統領選挙でトランプ陣営の選挙運動の資金集めの責任者
   ピーター・ティール氏
   Peter Thiel

   起業家 投資家 電子決済大手ペイパルの共同創業者
   ショーン・ダフィー氏
   Sean Duffy

   共和党の下院議員(中西部ウィスコンシン州)
   トレイ・ガウディ氏
   Trey Gowdy

   共和党の下院議員(南部サウスカロライナ州)
   デニス・ロス氏
   Dennis Ross

   共和党の下院議員(南部フロリダ州)
   ダレル・スコット氏
   Darrell Scott

   牧師 中西部オハイオ州にあるキリスト教新興宗派の創設者
   キロン・スキナー氏
   Kiron Skinner

   カーネギーメロン大学准教授(専門:国際政治)
   ジャレッド・クシュナー氏
   Jared Kushner

   長女・イバンカ氏の夫でトランプ次期大統領の娘婿

   不動産業や投資を手がける実業家で不動産会社社長

   大統領選挙中はトランプ氏の演説の原稿を起草したほか、選挙運動に助言するなど重要な役割を担ってきた
   ドナルド・トランプ・ジュニア氏
   Donald Trump Jr.

   トランプ次期大統領の長男でトランプ・オーガニゼーションの代表取締役副社長
   イバンカ・トランプ氏
   Ivanka Trump

   トランプ次期大統領の長女でトランプ・オーガニゼーションの代表取締役副社長
   エリック・トランプ氏
   Eric Trump

   トランプ次期大統領の次男でトランプ・オーガニゼーションの代表取締役副社長

ファミリー

   ドナルド・トランプ氏の家族はどのような人たちなのでしょうか。中には、選挙戦で父親を支え、閣僚などの人選を進める政権移行チームに加わっている息子や娘もいます。トランプファミリーのプロフィールをまとめました。