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折々の記 2016 ⑧
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12 30 上海協力機構 朝日新聞 サイト内記事検索
12 31 アメリカ軍産のアガキ アメリカ覇権の常套手段
01 01 我々はどこから来て、どこへ向かうのか:1 試される民主主義 多数決、深まった分断
(耕論)私たちはどこにいるのか 川上弘美さん、山極寿一さん
12 30(金) 上海協力機構 朝日新聞 サイト内記事検索
第二次大戦後の世界政治はアメリカ主導の覇権の下に進められてきました。 それがアメリカの覇権を通して国際企業化が進んできてみると、軍産のごり押しの横車が明るみさらされ始め多極化への転換がはじまってきている。
どんなグループの発想から多極化への舵取りが行われるようになったか、それは明かされてはいない。
アメリカ覇権は金融関係でのドル支配が実体である。 そう考えてよいだろう。
後進国から見れば、ドル支配の得手勝手の仕組みの不備が気に入らないようになってきていた。 経済活動に一石を投じたのは、経済活動の力をつけてきた中国である。
もともとUSAとソ連のスパイ活動をはじめとするプロパガンダの虚実は、虚々実々として誰がどう動いていたのか総括された記事を見たことはない。
朱に交われば赤くなる
むかし白文の学習の時間にこんなことを憶えました
與善人居、如入芝蘭之室、久而不聞其香、即與之化矣。
與不善人居、如入鮑魚之肆、久而不聞其臭、亦與之化矣。
http://dorflueren.blog.so-net.ne.jp/2011-12-22
朝日新聞デジタル サイト内記事検索結果
7件中1~7件表示
① (時時刻刻)日ロ交渉、ずれたまま(2016/12/04)
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12690047.html
中央アジア諸国とつくる上海協力機構や新興5カ国でつくるBRICSの枠組みを通じ、ともに国際社会での存在感を高めてきた。 また戦後70年の昨年は、「両国の人民は歴史をねじ曲げるたくらみや振る舞いに断固反対する」などと、安倍政権の歴史認識をそろって牽制(けんせい)した。 日中間は尖閣問題などをめぐって緊張が続く。安保法制の成立や改憲の動きにも、中国側は警戒感を示している。こうした中での日ロ接近の動きに、
② (ここに注目!)フェルガナ盆地 ISが若者誘う拠点に?(2016/11/07)
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12646073.html
中ロと中央アジア諸国でつくる上海協力機構は9月中旬、キルギスで対テロ演習を実施した。 91年にソ連から独立したキルギスでは、中東産油国の支援でモスク(イスラム教の礼拝所)が急増。ISが若者を誘う拠点となっている可能性がある。 ビシケクなどでは今年7月、キルギスの伝統衣装を着た女性と、顔を覆う「ニカブ」を着用した女性を並べ、「私の不運な国民よ、どこへ行く」と書かれた広告が現れた。イスラム過激派の浸透を
③ イラン加盟を推進 上海協力機構、ロシアが方針(2016/06/25)
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12426234.html
ロシアは23日、中国や中央アジア4カ国とつくる上海協力機構へのイラン加盟を推進する方針を明らかにした。上海機構にはインドとパキスタンが2017年にも正式加盟する見通し。ロシアを含むユーラシアの大国がそろうことで、米国などの主要7カ国(G7)に対抗する考えだ。 イランは上海機構のオブザーバーで、08年に加盟を申請。核開発に対する経済制裁の影響で手続きは進んでいなかったが、今年1月、制裁が解除された。
④ 中ロ、テロ対策強化検討へ IS脅威、国境の警備連携 上海機構(2016/06/24)
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12424316.html
ロシアと中国、中央アジア4カ国でつくる上海協力機構の首脳会議が23~24日、ウズベキスタンの首都タシケントで開かれる。加盟各国で過激派組織への警戒感が高まっており、情報共有の拡大など、中ロも含めたテロ対策の枠組み強化を話し合う見通しだ。 ウズベキスタンは15~25日、一部を除いて国境を閉鎖した。インタファクス通信がキルギス当局の話として伝えた。背景にあるのが、「イスラム国」(IS)など過激派組織の
⑤ 中ロ含め、対テロ連携強化なるか 上海協力機構(2016/06/23)
http://digital.asahi.com/articles/ASJ6R525NJ6RUHBI01X.html
ロシアと中国、中央アジア4カ国でつくる上海協力機構の首脳会議が23~24日、ウズベキスタンの首都タシケントで開かれる。加盟各国で過激派組織への警戒感が高まっており、情報共有の拡大など、中ロも含めたテロ対策の枠組み強化を話し合う見通しだ。 ウズベキスタンは15~25日、一部を除いて国境を閉鎖した。インタファクス通信がキルギス当局の話として伝えた。テロを警戒したためとみられる。関係国を除く外国メディア
⑥ (社説)中国国防費 軍拡より安定の思考を(2016/03/05)
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12241886.html
かつて中国はソ連と対立したが、今やロシア、中央アジア諸国と上海協力機構をつくり、国境をめぐる紛争はない。陸だけでなく海でも安定した環境を築くことは、中国のみならずアジア全体の発展に資する。 古い軍拡の思想を脱し、今世紀にふさわしい共存共栄の思考へと転換すべきだ。 (社説)中国国防費 軍拡より安定の思考を
⑦ ロシアが新戦略 「色の革命」など警戒、中国関係を重視(2016/01/02)
http://digital.asahi.com/articles/ASJ121P4PJ12UHBI001.html
ブラジル、インド、中国、南アフリカとつくる「BRICS」、中国や中央アジア諸国とつくる「上海協力機構」、アジア太平洋経済協力会議(APEC)、主要20カ国・地域(G20)での協力の重要性を強調。G8への復帰は求めない考えとみられる。 個別の国との関係では、特に中国とインドに言及。中国については「全面的なパートナー関係と戦略的な協力関係を発展させる。世界と地域の安定のカギだと考える」と、極めて
① (時時刻刻)日ロ交渉、ずれたまま(2016/12/04)
<写真・図版>日ロ領土交渉、4カ国の思惑
ロシアのプーチン大統領の訪日を12日後に控えた3日、モスクワでの日ロ外相会談では、領土問題の突破口を開きたい日本と、ロシアとのずれが改めて鮮明になった。ロシアへの接近を図る日本には中国の軍事的な台頭に備えたいとの思いがあり、中国も交渉の行方を注視する。降ってわいた波乱要因はドナルド・トランプ次期米大統領の登場だ。前例度外視の振る舞いに、日中ロは固唾(かたず)をのんで出方を見守る。▼1面参照
■日本 安保連携で中国牽制狙う
「日ロ双方で準備をしっかりと行い、大統領の訪日で最大の成果を上げるようにしたい」。3日、モスクワでラブロフ外相との会談を終えた岸田文雄外相は、15日に予定されるプーチン氏の訪日と日ロ首脳会談にこう期待を込めた。
安倍晋三首相がロシアと北方領土をめぐる問題を解決し、平和条約の締結を目指す背景には、日本を取り巻く安全保障上の変化がある。南シナ海で岩礁を一方的に埋め立てるなど軍事拠点化を進め、東シナ海でも活動を活発化させている中国の存在だ。
首相は周囲に「安全保障上、日本が対抗しなければならない相手はロシアではなく、圧倒的に中国だ」と強調。「米国第一主義」を唱えるトランプ次期米大統領が、日米同盟にどのような姿勢を示すのかが現段階では見通せないという要素もあり、防衛省内にも「中国の動向を踏まえれば、ロシアとの関係は大事だ」との声がある。
首相は政権復帰した翌年の2013年4月、プーチン大統領とモスクワで首脳会談を行い、外務・防衛担当閣僚会合(2プラス2)の開催で合意。同年11月に東京で2プラス2の初会合が開かれ、海上自衛隊とロシア海軍によるテロ・海賊対策共同訓練など、安全保障分野での協力を強化することで一致した。
しかし、14年3月にロシアがクリミア半島を併合。欧米によるロシアへの経済制裁に日本も同調し、その後は日ロの2プラス2開催は途絶えたままでいる。
今月15、16両日に予定されるプーチン氏の来日に合わせた首脳会談では、2プラス2の再開を確認する可能性がある。日本政府には、経済協力だけでなく安全保障分野での協力も進めることで、領土問題解決の機運を高めたいとの思惑もある。
ただ、日ロの安保協力には課題も多い。中国への牽制(けんせい)を狙う日本に対して、ロシアは中国を戦略的パートナーと位置づける。また、米国が進めるミサイル防衛(MD)システムをめぐり、日本国内のMD配備にも強い懸念を示す。
第2次世界大戦で日本は旧ソ連と日ソ中立条約を結んだものの、大戦末期になって対日参戦した旧ソ連により、北方領土を違法に占領された。日本政府内には「ロシアはしたたかで過去にも裏切られた。安保協力など、うまくいくわけがない」(防衛省幹部)と懐疑的な見方がある。
(鈴木拓也、相原亮)
■ロシア 経済苦境、協力拡大に期待
「日本政府がロシアとの経済関係を発展させようとしていることを我々は歓迎している」
ロシアのプーチン大統領は1日行った年次教書演説で日本との経済関係にわざわざ言及した。一方で日本が期待する領土問題にはまったく触れなかった。
ロシアが日本に寄せる期待の背景にあるのは、ロシアが直面している経済の苦境だ。ロシアがウクライナのクリミア半島を併合した2014年以降、主力輸出商品の原油価格の下落と欧米からの制裁に見舞われた。13年に世界第8位だった国内総生産(GDP)は、15年には第12位にまで後退。政治的にG8(主要8カ国)から追放されただけでなく、経済規模でも上位8カ国から転がり落ちた。
ロシア国民の生活実感をよく反映する指標とみられる乗用新車販売台数は、もっと悲惨だ。15年は約150万台で、前年比で4割近く減った。16年も減少に歯止めがかからない。
クリミア併合以降、プーチン氏の支持率は80%台に跳ね上がった。だが愛国的な高揚感が、いつ深い失望に取って代わられるか、予断を許さない。それは、18年に大統領選を迎えるプーチン政権が一番恐れるシナリオだ。そうなる前にプーチン氏は繰り上げ大統領選挙に踏み切るのではないかという観測も、ロシアではくすぶる。
不穏な予感が漂うロシアが活路を見いだそうとしているのが、米国、中国、日本という三つの経済大国がひしめくアジア太平洋地域との経済協力拡大だ。
だが、すでに中国はロシアにとって最大の貿易相手国で、伸びしろは小さい。ロシアが期待する中国への天然ガス輸出も、ガス価格の低迷を受けて、パイプライン建設計画は思うように進んでいない。
一方でロシアの統計によると、15年の日ロ間の貿易高は213億1200万ドルで、中ロ間のわずか約3分の1だ。米ロ間は209億5900万ドル。いずれもドイツ、オランダ、イタリア、トルコとの貿易高を下回る水準で、伸びしろは大いにあるとロシアは見ている。特に地理的に近く、対ロ経済協力担当大臣を置いて対ロ制裁からほぼ離脱した日本への期待は高い。
ただこうした事情が、日本が最重視する北方領土問題での譲歩につながる可能性は低い。ラブロフ外相は3日の外相会談後、「両国の立場を接近させることは簡単ではない」「すぐに前進できるかのような期待を高めることは、解決を難しくする」と釘を刺した。
(モスクワ=駒木明義)
■米ロ トランプ政権で転換か
日ロの接近に、米国は神経をとがらせてきた。しかしトランプ氏の大統領就任で、状況が大きく変わる可能性がある。
これまで日本側は米国に対し、軍事的に台頭する中国を牽制(けんせい)するためにもロシアとの関係を築いて中ロ接近を防ぐことが必要だと説明してきた。米国でもこの主張に一定の理解はある。
だが、ロシアのクリミア半島併合やシリア内戦をめぐる対立が影を落とす。オバマ政権期の米ロ関係は冷戦後で最悪とも言われる。米国のロシアへの視線は、日本よりはるかに厳しい。
カーネギー国際平和財団のジェームズ・ショフ上級研究員は「米側の懸念は、安倍首相が度を超えて、ロシアへの(制裁の)圧力や孤立化を弱める衝動にかられないかということだ」と語った。プリンストン大のギルバート・ロズマン教授も米シンクタンクの報告書で「最近の日ロ関係は、米国が共同歩調をとってほしい時に、米国の当局者をいらつかせている」と指摘した。
しかしトランプ氏の登場は、日米ロの関係の根本的な転換点となりうる。
米シンクタンク・ブルッキングス研究所のトーマス・ライト氏は「トランプ氏は日ロの接近をサポートするか、無視するだろう」と分析し、従来のように警戒することはないとみる。
トランプ氏はプーチン氏個人に対する好意的な発言に加え、米ロが抱える懸案事項を前提から覆すようなことを口にしてきた。7月には、米メディアに「クリミアの人々はロシアと共にいることの方を望んでいた」とクリミア半島併合を容認するような発言をした。シリア内戦でも「ロシアと協力できたらいい」と繰り返してきた。
北大西洋条約機構(NATO)など従来の同盟関係にも懐疑的な姿勢を示すなど、既存の国際秩序を根底から覆すものばかりだ。
ただトランプ次期政権の具体的な外交政策は明らかになっていない。各国が、その出方を注視している。
(ワシントン=佐藤武嗣、杉山正)
■中ロ 「史上最高の蜜月時代」
日ロ首脳会談に、中国側も高い関心を寄せる。
長大な国境線で隣接するロシアは、中国にとって最重要の友好国だ。南シナ海問題や北朝鮮の核開発などの外交課題では、いつも中国側に寄り添ってきた。中央アジア諸国とつくる上海協力機構や新興5カ国でつくるBRICSの枠組みを通じ、ともに国際社会での存在感を高めてきた。
また戦後70年の昨年は、「両国の人民は歴史をねじ曲げるたくらみや振る舞いに断固反対する」などと、安倍政権の歴史認識をそろって牽制(けんせい)した。
日中間は尖閣問題などをめぐって緊張が続く。安保法制の成立や改憲の動きにも、中国側は警戒感を示している。こうした中での日ロ接近の動きに、中国では「日本が、中国を牽制しようとしている」といった見方が目立つ。
ただ中国側には、北方領土問題の解決は極めて困難だとの見方が大勢だ。中ロ関係は「史上最高の蜜月時代」とされ、楽観論も根強い。
中国国際問題研究院欧亜研究所の陳玉栄所長は「中ロは長期にわたる高いレベルの友好関係を発展させてきた。日ロ関係が改善しても、中ロ関係は影響を受けないだろう」と話す。
(北京=西村大輔)
② (ここに注目!)フェルガナ盆地 ISが若者誘う拠点に?(2016/11/07)
<写真・図版>
過激派組織「イスラム国」(IS)の新たな拠点になるのではないか――。米国、ロシア、中国がそろって懸念を強めている地域がある。中央アジアのキルギス南部からウズベキスタン、タジキスタンにまたがるフェルガナ盆地だ。
この地域は、旧ソ連圏のイスラム復興運動の中心地だった。キルギスで1999年に日本人拉致事件を起こした「イスラム運動ウズベキスタン」(IMU)もここで創設された。
今はそれぞれの政府の掌握下にあるが、過激派は確かに存在している。8月末にキルギスの首都ビシケクの中国大使館を狙ったテロ事件が起きたが、捜査で浮上した容疑者の多くがフェルガナ盆地出身だった。
キルギスの治安当局によると、ISなどの過激派組織に参加している同国民は400人以上。その半数がこの地域にあるオシ州の生まれだという。
キルギスの元特殊部隊隊長は「インターネットでISの思想やテロの手法を学んだ多数のグループが隠れている」と指摘。「IMUやウイグル独立派組織『東トルキスタン・イスラム運動』(ETIM)もISに合流し、シリアから中央アジア、中国・新疆ウイグル自治区の支配を狙っている」と懸念する。
ISの侵食をフェルガナで食い止めなければ、広範な地域が不安定化する恐れがある。中ロと中央アジア諸国でつくる上海協力機構は9月中旬、キルギスで対テロ演習を実施した。
91年にソ連から独立したキルギスでは、中東産油国の支援でモスク(イスラム教の礼拝所)が急増。ISが若者を誘う拠点となっている可能性がある。
ビシケクなどでは今年7月、キルギスの伝統衣装を着た女性と、顔を覆う「ニカブ」を着用した女性を並べ、「私の不運な国民よ、どこへ行く」と書かれた広告が現れた。イスラム過激派の浸透を警戒する民間団体によるものだ。
ニカブを過激派思想の象徴として描いているとの批判もあるが、アタムバエフ大統領は「全国に掲げるべきだ」と支持する。
(オシ=中川仁樹)
③ イラン加盟を推進 上海協力機構、ロシアが方針(2016/06/25)
ロシアは23日、中国や中央アジア4カ国とつくる上海協力機構へのイラン加盟を推進する方針を明らかにした。上海機構にはインドとパキスタンが2017年にも正式加盟する見通し。ロシアを含むユーラシアの大国がそろうことで、米国などの主要7カ国(G7)に対抗する考えだ。
イランは上海機構のオブザーバーで、08年に加盟を申請。核開発に対する経済制裁の影響で手続きは進んでいなかったが、今年1月、制裁が解除された。
ロシアのハキモフ上海機構代表は23日、上海機構の首脳会議が開かれていたウズベキスタンの首都タシケントで、「基本的に加盟への障害はない。速やかに手続きを進めるのがロシアの立場だ」と表明した。
首脳会議は24日、インドとパキスタンの加盟に関する覚書などに調印して閉幕した。ハキモフ氏は、2カ国の加盟後、機構は人口約30億、国内総生産20兆ドル(約2千兆円)の巨大組織になるとして「アジアのG8、(イラン加盟後は)G9と言える」と強調した。 加盟国の拡大によりロシアが期待するのは、ロシア主導の「ユーラシア経済連合」と、中国が進める「二つのシルクロード経済圏」構想を核とした、ユーラシア大陸の巨大な経済圏創設への推進役だ。ロシアのプーチン大統領は17日の演説で「親密な関係にある中国、インド、パキスタン、イラン」と4カ国の名を挙げ、ともに構想の実現を目指す考えを示した。
中国には、インドとの関係を強化することで、南シナ海問題などをめぐって関係がきしむ米国や日本を牽制(けんせい)する思惑もある。
(ウラジオストク=中川仁樹、上海=金順姫)
④ 中ロ、テロ対策強化検討へ IS脅威、国境の警備連携 上海機構(2016/06/24)
ロシアと中国、中央アジア4カ国でつくる上海協力機構の首脳会議が23~24日、ウズベキスタンの首都タシケントで開かれる。加盟各国で過激派組織への警戒感が高まっており、情報共有の拡大など、中ロも含めたテロ対策の枠組み強化を話し合う見通しだ。
ウズベキスタンは15~25日、一部を除いて国境を閉鎖した。インタファクス通信がキルギス当局の話として伝えた。背景にあるのが、「イスラム国」(IS)など過激派組織の脅威だ。各国政府はこれまで、国内の反体制派を抑え込んできたが、最近はISなどに加わる若者が増えており、自国に戻ってテロを起こす懸念が強まっている。
中国もウイグル族が関わったとされる暴力事件が相次いでおり、習近平(シーチンピン)指導部は「テロ」と位置づけて封じ込める姿勢を貫いている。ロシアのショイグ国防相は今月開かれた上海機構の国防相会議で「追加的な対策が必要だ」と呼びかけており、国境警備での連携をさらに進める見通しだ。
(ウラジオストク=中川仁樹、上海=金順姫)
⑤ 中ロ含め、対テロ連携強化なるか 上海協力機構(2016/06/23)
ロシアと中国、中央アジア4カ国でつくる上海協力機構の首脳会議が23~24日、ウズベキスタンの首都タシケントで開かれる。加盟各国で過激派組織への警戒感が高まっており、情報共有の拡大など、中ロも含めたテロ対策の枠組み強化を話し合う見通しだ。
ウズベキスタンは15~25日、一部を除いて国境を閉鎖した。インタファクス通信がキルギス当局の話として伝えた。テロを警戒したためとみられる。関係国を除く外国メディアの記者の入国も「申請が多く、安全の問題がある」として認めなかった。
背景にあるのが、「イスラム国」(IS)など過激派組織の脅威だ。ロシア国境に近いカザフスタンのアクトベで5日、武装勢力が軍の基地などを襲い、市民ら7人を殺害した。カザフスタンのナザルバエフ大統領は「外国からの指示だった」との見方を示す。
各国政府はこれまで、国内の反体制派を抑え込んできたが、最近はISなどに加わる若者が増えており、自国に戻ってテロを起こす懸念が強まっている。
中国も新疆ウイグル自治区などで、少数民族のウイグル族が関わったとされる暴力事件が相次いでおり、習近平(シーチンピン)指導部は「テロ」と位置づけて徹底的に封じ込める姿勢を貫いている。
ロシアのショイグ国防相は今月開かれた上海機構の国防相会議で「追加的な対策が必要だ」と呼びかけており、国境警備での連携をさらに進める見通しだ。
上海機構では昨年、インドとパキスタンの加盟手続きが始まり、今後はオブザーバーのイランも加盟する可能性がある。インドとパキスタンも対テロの共同組織への参加準備を進めており、広範な連携ができあがる見通しだ。(ウラジオストク=中川仁樹、上海=金順姫)
⑥ (社説)中国国防費 軍拡より安定の思考を(2016/03/05)
中国の国防費が今年もまた大きく増えることがわかった。
伸び率は7~8%という。6年ぶりに1桁台になったとはいえ、突出した軍拡が続く流れは変わっていない。
アジア太平洋での中国の軍事的な動きの強化に、日本を含む各国は不安を強めている。深い憂慮を抱かざるをえない。
中国の国防費はほぼ毎年10%以上増え、昨年は当初予算で8869億元(15兆円余)。日本の防衛費の3倍を超える。
将兵の給与の増額は断片的に伝えられている。だが、それだけで説明はつかない。弾道ミサイルなど最新兵器の充実ぶりは、昨秋の軍事パレードでも明らかになった。
予算の伸びだけでなく、その中身の詳細を説明しようとしない不透明さも大きな問題だ。
表向き軍事以外に計上されている予算が、実は国防関連にも使われている、と各国の軍事専門家らは指摘する。
覇権を求めない平和国家だと政権幹部は繰り返すが、外交上の言葉とは裏腹に、行動はじわじわと軍事力を拡大させている。そんな国を、周辺国が信頼することは難しい。
南シナ海のスプラトリー(南沙)諸島で中国が進めている岩礁の埋め立ては、滑走路が使える状態に至り、高性能レーダーが設けられたこともわかった。
領有権の論争が絡み合う南シナ海で、埋め立てなどを強行したのは中国だけではない。しかし、中国ほど急速に、広範に、一方的な行動を広め、現状変更を進める国はなかった。
領有権の争いがある以上、あくまで法に基づき、話し合いで解決すべきであり、力に訴えることは決して認められない。
中国が意識するのは、アジアで今も存在感を保つ米国だ。南シナ海で米軍が中国に対抗するかたちで「航行の自由」作戦を始めたことに反発している。
だが、周辺国の声に耳を傾ければわかる。いま多くの国々が脅威に感じるのは、中国の振るまいであり、米軍ではない。
中国自身、米国が安定装置としての役目を担う国際秩序のもとで、30年以上にわたって経済成長という配当を得てきた最大の受益者だったのである。
かつて中国はソ連と対立したが、今やロシア、中央アジア諸国と上海協力機構をつくり、国境をめぐる紛争はない。陸だけでなく海でも安定した環境を築くことは、中国のみならずアジア全体の発展に資する。
古い軍拡の思想を脱し、今世紀にふさわしい共存共栄の思考へと転換すべきだ。
⑦ ロシアが新戦略 「色の革命」など警戒、中国関係を重視(2016/01/02)
<写真・図版>
ロシアのプーチン大統領は12月31日、新しい国家安全保障戦略を承認した。ウクライナの「オレンジ革命」など、旧ソ連諸国で続いた「色の革命」と呼ばれる政権交代がロシアでも繰り返される危険性を指摘。また中国との関係を重視する姿勢を強く打ち出した。
新戦略は116項目からなり、安全保障や経済に対する脅威を分析している。新戦略の決定に伴い、2009年策定の「20年までの国家安全保障戦略」は廃止される。
新戦略は、「指導的な世界大国」の地位を固めようとしているロシアにとっての「国家、社会の安全保障に対する主要な脅威」として、09年版にもあった「外国の特務機関による諜報(ちょうほう)活動」「テロ組織、過激組織の活動」のほか、今回新たに「『色の革命』の扇動」「伝統的なロシアの精神的・道徳的価値の破壊」「汚職」などを挙げた。
また09年版には無かった「西側」という言葉が登場。「西側の姿勢はロシアの国益実現に悪影響を与えている」と批判し、冷戦期のように欧米など「西側」に対抗していく姿勢をにじませている。
国際関係では、14年3月のクリミア併合後にロシアが主要先進8カ国(G8)から追放されたことを反映して、09年版にあった「G8での連携強化」への言及が消えた。ブラジル、インド、中国、南アフリカとつくる「BRICS」、中国や中央アジア諸国とつくる「上海協力機構」、アジア太平洋経済協力会議(APEC)、主要20カ国・地域(G20)での協力の重要性を強調。G8への復帰は求めない考えとみられる。
個別の国との関係では、特に中国とインドに言及。中国については「全面的なパートナー関係と戦略的な協力関係を発展させる。世界と地域の安定のカギだと考える」と、極めて重視する姿勢だ。09年版に続き日本への言及は無かった。
米国については「米国とその同盟国は世界の支配を維持しようとしている」と批判する一方で、利害が一致する分野での協力の重要性を指摘。また、核兵器削減に向けた対話に応じる用意があることも表明した。(モスクワ=駒木明義)
12 31(土) アメリカ軍産のアガキ アメリカ覇権の常套手段
このニュースについてのコメント
アメリカ覇権のアガキ、今までのアメリカ発の世界政治および経済に関するニュースの中には、どういう組織か誰の発想かわからないがじゅうぶん練られたプロパガンダ(出鱈目なウソ)があった。
小針棒大な表現にしても限度がある。
オバマ大統領自身もニュースの出所責任者を確認する責務がある。 素人がうけとる見聞の推移から考えても、一国の首領としての意見には全世界に対しての責任があるはずだ。
世界情勢の大きな変化が起きそうだ。
プーチン大統領 対抗措置とらず米次期政権と関係改善へ 12月31日 5時39分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161231/k10010825231000.html
アメリカのオバマ政権が、ロシア政府からサイバー攻撃を受けたとして報復措置をとったのに対し、ロシアのプーチン大統領はあえて対抗措置を取らないと発表し、来月発足するトランプ次期政権との間で米ロ関係の改善を進めることに意欲を示しました。
アメリカのオバマ政権は、ロシア政府がアメリカの大統領選挙に影響を及ぼすため民主党のコンピューターにサイバー攻撃を仕掛けたなどとして、29日、アメリカに駐在しているロシア政府の当局者35人に国外退去を命じるなどの報復措置を発表しました。
これについて、ロシア大統領府は30日、プーチン大統領の声明を発表し、「去りゆく政権の挑発だ」と強く反発する一方、「ロシアは対抗措置の権利を留保する」として、当初、ロシア政府が検討していたアメリカの外交官を国外退去処分にするなどの対抗措置をあえて取らないことを明らかにしました。
そのうえで、「今後はトランプ次期政権と米ロ関係の改善に向け歩むことにする」としています。
プーチン大統領は、ウクライナ情勢やシリアの内戦などをめぐってオバマ大統領と鋭く対立してきただけに、アメリカで政権交代が来月に迫る中、オバマ政権は相手にせず、トランプ次期政権との間で米ロ関係の改善を進めることに意欲を示しました。
トランプ氏「プーチン大統領の対応すばらしい」
ロシアとの関係改善に意欲を示すアメリカのトランプ次期大統領は30日、ツイッターで、プーチン大統領がアメリカに対しあえて対抗措置を取らないと判断したことについて、「プーチン大統領の対応はすばらしい。私は以前から彼がとても賢いことを知っている」と書き込み、評価しました。
一方、アメリカの主なメディアでは、プーチン大統領の対応について「想定外だ」という受け止めが出ています。
有力紙ニューヨーク・タイムズは30日の電子版で、「対抗措置を発表すれば、米ロ関係をさらに悪化させるところだったが、オバマ大統領の報復措置を無視することで、ロシアとの関係改善に意欲を示すトランプ氏がロシアとの距離を縮める余地を与えようとした」と分析しています。
アメリカ国務省の当局者は30日、NHKの取材に対して、「プーチン氏の発言は承知しているが、これ以上コメントすることはない」と述べ、静観する立場を示しています。
国外退去 ロシアが特別機派遣へ
アメリカのオバマ政権が、サイバー攻撃の報復措置として、アメリカに駐在しているロシア政府の当局者35人に国外退去を命じたことを受けて、ロシア大統領府は30日、当局者とその家族の帰国のため特別機を派遣することを明らかにしました。
国外退去の対象となったロシアの当局者は、年明けの1日中にアメリカから出国するよう求められていますが、年末年始で航空券の確保が困難なため、ロシア大統領府は政府高官などが使用する特別機の派遣を決めたものです。
ロシア外務省の報道官は、当局者の家族の子どもたちが学校の転校手続きもできずにアメリカを出国せざるをえないとしていて、ロシアとしては、自国民の保護をアピールすることにより、オバマ政権による措置への批判を高める狙いがあると見られます。
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①「サイバー攻撃」へ米の報復 ロシアが対抗措置検討 12月30日 21時36分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161230/k10010825091000.html?utm_int=detail_contents_news-related-auto_001
アメリカのオバマ政権がロシア政府からサイバー攻撃を受けたとして報復措置を取ったことに対し、ロシア側は、ロシアに駐在しているアメリカの外交官35人を国外退去処分にするなどの対抗措置を検討していることを明らかにしました。
アメリカのオバマ政権は、ロシア政府が、アメリカの大統領選挙に影響を及ぼすため民主党のコンピューターにサイバー攻撃を仕掛けたなどとして、29日、アメリカに駐在しているロシア政府の当局者35人に国外退去を命じるなどの報復措置を発表しました。
これについて、ロシアのラブロフ外相は30日、地元メディアに「アメリカはロシアが関与したとする証拠を示すことなく、新たな対ロシア制裁を発表した」と不快感を示し、ロシア政府は関与していないと強調しました。
そのうえで、「こうした敵対行為には必ず対抗する。外交や国際関係における定石だ」と述べ、対抗措置を検討していることを明らかにしました。
具体的には、ロシアに駐在しているアメリカの外交官35人を国外退去処分にすることや、首都モスクワにあるアメリカ大使館の別荘の使用を禁止する措置を、プーチン大統領に提案したということです。
アメリカのトランプ次期大統領とプーチン大統領は、いずれも米ロ関係の改善を図るとしていますが、アメリカの政権交代が来月に迫る中での双方の応酬が、今後にどのような影響を及ぼすのか注目されます。
②米“ロシアは今後もサイバー攻撃のおそれ” 12月30日 14時10分動画
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161230/k10010824801000.html?utm_int=detail_contents_news-related-auto_002
アメリカのオバマ政権は、ロシア政府からサイバー攻撃を受けたとして報復措置を取ったことについて、ロシア政府が今後もアメリカやヨーロッパでサイバー攻撃を続けるおそれが高いと指摘し、報復措置の正当性を強調しました。
アメリカのオバマ政権は、ロシア政府がアメリカの大統領選挙に影響を及ぼすため、民主党のコンピューターにサイバー攻撃を仕掛けたなどとして29日、アメリカに駐在しているロシア政府の当局者35人に、国外退去を命じるなどの報復措置を発表しました。
これについて、ホワイトハウスの高官は電話で記者会見し、「ロシア政府は、今後もアメリカやヨーロッパで民主的な選挙に影響をおよぼそうとサイバー攻撃を続ける見通しだ」と述べ、報復措置の正当性を強調しました。
一方、来月20日に大統領に就任するトランプ氏は、29日声明を発表し、「今は、アメリカにとってより大きく有益なことに移行する時期だ」として、ロシアのサイバー攻撃よりもほかに取り組むべき課題があるという認識を示しました。
オバマ大統領が、今回発表した報復措置は次期大統領によって撤回することが可能で、米ロ関係の改善に意欲を示すトランプ氏がサイバー攻撃の問題にどう対処するのかについても注目されています。
③“サイバー攻撃” 米オバマ政権報復措置にロシア対抗も 12月30日 10時15分動画
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161230/k10010824601000.html?utm_int=detail_contents_news-related-auto_003
アメリカのオバマ政権が、ロシア政府からサイバー攻撃を受けたとされる問題などで報復措置を発表したのに対し、ロシア大統領府の報道官は、関与を否定したうえで、対抗措置をとる構えを示しました。
この問題は、アメリカでことし6月、民主党のコンピューターがサイバー攻撃を受けて、党幹部のメールが流出したものです。
アメリカのオバマ政権は、大統領選挙に影響を及ぼそうとしたロシア政府の仕業だと断定し、29日、ロシアの情報機関とその幹部などに対して制裁を科すとともに、アメリカに駐在しているロシア政府の当局者35人に国外退去を命じました。
これに対し、ロシア大統領府のペスコフ報道官は29日、地元メディアに「ロシアに対するいわれのない非難は決して受け入れられない」と述べ、ロシア政府の関与を否定しました。そのうえで、「国際法上、根拠がなく、違法で、侵略的な対外政策ともいえる。プーチン大統領が対応策を決める」と述べ、何らかの対抗措置をとる構えを示しました。
ただ、プーチン政権は、来月発足するアメリカのトランプ次期政権との間で両国関係の改善を進めようとしており、対抗措置の内容については、慎重に検討すると見られています。
④米“サイバー攻撃” 米オバマ政権 ロシアへの報復措置 発表 12月30日 9時02分動画
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161230/k10010824551000.html?utm_int=detail_contents_news-related-auto_004
アメリカのオバマ政権は民主党のコンピューターがロシア政府からサイバー攻撃を受けたとされる問題などで報復措置を発表し、ロシアの情報機関とその幹部などに対して制裁を科すとともに、アメリカに駐在しているロシア政府の当局者35人に国外退去を命じました。
この問題はアメリカでことし6月、民主党のコンピューターがサイバー攻撃を受けて党幹部のメールが流出したもので、アメリカ政府は10月、大統領選挙に影響を及ぼそうとしたロシア政府の仕業だと発表しました。
これについてアメリカのオバマ政権は29日、報復措置を発表し、サイバー攻撃などに関わっていたとしてロシアの2つの情報機関と情報機関の幹部4人、それにサイバー攻撃を支援した3つの企業に対して制裁を科すと発表しました。
さらに、ロシアでアメリカの外交官に対する警察などによる嫌がらせが急増していることへの対抗措置として、アメリカに駐在するロシア大使館の外交官などロシア政府の当局者35人に対し、72時間以内に国外に退去するよう命じました。
オバマ政権は今月に入ってシリアやウクライナの情勢をめぐってロシアに対する制裁措置を相次いで打ち出しており、今回の報復措置の発表でオバマ政権とプーチン政権の関係が一段と悪化するのは避けられない見通しです。
【コメント】マスメディアが時の政権の動向を報道するのは当然としても、この二つの地域についての何にどんな不条理があったのかを明確に報道をしていない。 田中宇の報道を総合してみると、アメリカの従来の覇権をかざす勢力によってのアメリカ報道と見なされても致し方もない。 それとともに、日本のマスメディアもまったく独自性を失っている。一方、来月20日に就任するアメリカのトランプ次期大統領は、ロシアによるサイバー攻撃への言及を避け、プーチン大統領との関係改善に意欲を示しています。
オバマ大統領は29日の声明で「すべてのアメリカ国民はロシアの行動を警戒すべきだ。今回のような行為はロシア政府の最も高い地位の人物しか指示できない」としてプーチン大統領の関与を示唆し、トランプ氏の対応にくぎを刺しました。
ロシアは反発
アメリカのオバマ政権が、民主党のコンピューターがロシア政府からサイバー攻撃を受けたとされる問題などで報復措置を発表したことについて、ロシア大統領府のペスコフ報道官は29日、地元メディアに対し「国際法上根拠がなく、違法で侵略的な対外政策とも言える。プーチン大統領が対応策を決めることになる」と述べ、何らかの対抗措置をとる構えを示しました。
また、ロシア外務省で人権問題などを担当するドルゴフ氏は「ロシアに対する制裁は生産的ではない。このような一方的なやり方は関係を損ねるのが目的で、将来の関係改善を難しくさせる」と述べ、強く反発しました。
さらにロシア上院議会で国際問題を担当する委員会のコサチョフ委員長は「オバマ政権の断末魔だ。去りゆく政権にはロシアとの2国間関係を破滅に向かわせる政治的な権利も倫理的な権利もない」と述べ、厳しく非難しました。
トランプ次期大統領「今は有益なことに取り組む時期」
ロシアとの関係改善に意欲を示すアメリカのトランプ次期大統領は29日、オバマ政権がロシアへの報復措置を発表したことについて、休暇先のフロリダ州で声明を発表し、「今はアメリカにとってより大きく有益なことに取り組む時期だ」と述べ、ほかに取り組むべき課題があるという認識を示しました。その一方で「最新の状況を把握するため、来週、情報機関の幹部たちと会う」として、この問題について今後の対応を検討していく考えを示しました。
⑤サイバー攻撃問題 米がロシアに報復措置へ12月29日 12時06分動画
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161229/k10010823991000.html?utm_int=detail_contents_news-related-auto_005
アメリカ大統領選挙で民主党のコンピューターがロシア政府からサイバー攻撃を受けたとされる問題で、アメリカの主要メディアは、オバマ政権がロシアに対して経済制裁などの報復措置に踏み切る方針を固めたと伝えました。
アメリカでは、ことし6月、民主党のコンピューターがサイバー攻撃を受けて党幹部のメールが流出し、アメリカ政府は10月、大統領選挙に影響を及ぼそうとしたロシア政府の仕業だと発表しました。
これについて、ABCテレビやワシントン・ポスト紙などアメリカの主要メディアは、オバマ政権がロシアに対して経済制裁や外交的な措置などを盛り込んだ報復措置に踏み切る方針を固めたと伝えました。早ければ今週中にも公表する見通しだとしています。
オバマ政権は、今月に入って、シリアやウクライナ情勢をめぐってロシアに対する制裁措置を相次いで発表しており、サイバー攻撃でも報復措置に踏み切れば、オバマ政権とプーチン政権の関係が一段と悪化するのは避けられない見通しです。
一方、アメリカのトランプ次期大統領は、ロシアとの関係改善に意欲を示しており、オバマ大統領としては来月20日のトランプ氏の就任を前にロシアに対する厳しい姿勢を示すことで、トランプ氏にくぎを刺す狙いもあるものと見られます。
01 01(日) 我々はどこから来て、どこへ向かうのか:1 試される民主主義
◆ 門松は冥途の旅の一里塚めでたくもありめでたくもなし
広辞苑によれば
「門松は冥途の旅の一里塚」は一休の狂歌「門松は冥途の旅の一里塚めでたくもありめでたくもなし」によるとなっている
応永22年(1415年)には、京都の大徳寺の高僧、華叟宗曇(かそうそうどん)の弟子となる。「洞山三頓の棒」という公案に対し、「有漏路うろぢより無漏路むろぢへ帰る 一休み 雨ふらば降れ 風ふかば吹け」と答えたことから華叟より一休の道号を授かる。なお「有漏路(うろじ)」とは迷い(煩悩)の世界、「無漏路(むろじ)」とは悟り(仏)の世界を指す。
◆ 年の始めの 例(ためし)とて 終(おわり)なき世の めでたさを 松竹(まつたけ)たてて 門ごとに 祝(いお)う今日こそ 楽しけれ
初日のひかり さしいでて 四方(よも)に輝く 今朝のそら 君がみかげに比(たぐ)えつつ 仰ぎ見るこそ 尊(とお)とけれ
『一月一日(1月1日)』は、1893(明治26)年に文部省より「小学校祝日大祭日歌詞並楽譜」の中で発表された唱歌。
作詞は、出雲大社の宮司をしていた千家尊福(せんげ たかとみ)。
◆ ここ三日の天気は青空に雲一つとしてなく、珍しい好天気続きです。 朝早く起きて新聞に目を通す。
オッ、これは、一面のトップに「我々はどこから来て、どこへ向かうのか:1)試される民主主義」であった。
たとえば、韓国の「慰安婦問題」のうねりや「保育園増設の要望と政治的対応の様子」或いは「こどものいじめ」とか「過労自殺問題」など、それぞれの人々の要望には違いないし、その対応の仕方にもいろいろあるには違いない。
だが、それらは表面的なといえるような問題のとらえに終始したものが多く、考えの在り方の根源や行政の在り方の根源を深く意識したとらえ方を欠いているのに、ハッとしたのです。
新聞の一面の指摘は人々の心の底流として位置付けなければならない課題です。 老生はここに焦点を絞った考え方を分かりやすく取り上げるよう心掛けていきたい。 それが今日、自覚すべきことでした。
朝日新聞 2017年1月1日05時00分
① 我々はどこから来て、どこへ向かうのか:1 試される民主主義
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12730188.html
■vol.1 民主主義
民意が暴走しているようにみえる。民主制の先輩である欧米でも次々と。これは民主主義の失敗なのか。(ニューヨーク支局長・真鍋弘樹) アメリカで大統領選が終わり、人々の胸に残ったものを探した。
ニューヨーク市内の地下鉄駅構内に、奇妙な光景が広がっていた。壁に貼られた数千の赤、青、黄の紙。仕掛け人は、市内でバーテンダーをするマシュー・チャベスさん(28)だった。
あなたが今、恐れているものは?
彼が問いかけ、通りすがりの人々が何かを付箋(ふせん)に書き、壁に貼り付ける。ただ、それだけなのだが。
ドナルド・トランプ氏の勝利が決まった昨年11月9日、2千人が書いた。翌日は5千人に。6週間続き、付箋は5万枚を超えた。
「人々は自分の声が『消音』されることを恐れていた」とチャベスさんは語った。最も強い印象を残したのは、小学生の子を持つ親の訴えだったという。
「いじめっ子のような人物だと子に教えていたトランプ氏が大統領になる。いったいなんて言えば?」
21世紀の折り返しとなる2050年、今の小学生は社会を担う年齢になる。民主主義をどう次世代に引き継げばいいのか。親たちの不安はよく分かる。
米国で大統領選を追い、英国でも欧州連合(EU)離脱の国民投票を取材した。個人攻撃や差別の言葉を用いて、人々を敵と味方に分断する。そんなやり方で政治が決まっていくのは、どう考えても危うい。
*
そもそも歴史をさかのぼれば、民主主義は「危険思想」とされていた。東京大学の森政稔教授(政治思想史)はそう説く。確かに貴族や王侯らかつての支配者は「多数」が決定権を握るのを恐れたに違いない。
その後、市民革命を経て、多数決原理は私たちの常識となった。その「多数派」が今、各国で思わぬ振る舞いを見せている。
「トランプ氏のようなポピュリズムは、本来はバラバラの人たちの中に、無理やり多数派を作り出す。敵を名指す虚構の言葉で人々を結集させる。これは、民主主義が持つ危うい側面です」と森教授は言う。
「作られた多数派」に、少数派が従わなければならないとしたら。今また、民主主義は「危険思想」になりつつあるのだろうか。
民主主義って何だ?
そう国会前で問いかけていた学生団体SEALDs創立者の一人、奥田愛基さん(24)は、大統領選前に訪米し、両候補の選挙集会に参加した。
「主張の是非は別にすれば、トランプ氏支持者の方が生き生きとしていた」。奥田さんは、自らの目で見た米大統領選を語った。
「人間だから感情がある。その感情に語りかけること自体は間違っていないと思った。では、どうしたら言葉が人に伝わるのか」
感情に訴えて多数派を作り出すのが言葉ならば、それに対抗するのもまた言葉でしかない。
ニューヨークでは選挙から日が経つにつれ、地下鉄の駅に貼られた無数の言葉が変わっていった。怒りや不安の感情から、例えばこんな呼びかけへ、と。
「理解はできない。でも努力してみる」「お互いの声を聞いてみよう」
民主主義って何なのか。言葉を失うことなく、もう一度考えてみる。
■歴史の「断層」、その先は
「我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか」。このゴーギャンの有名な作品は、見る者をさまざまな人間の物語に誘ってくれる。多くの科学者や思想家を啓発し、たくさんの書物や講演でも言及されてきた。きっとそれが人間にとって根源的な問いだからなのだろう。
この連載を担当する私たち取材班もそうだ。いま大きな歴史の「断層」のような場所に立っている。そう感じる出来事が相次ぐ。米主導の世界秩序の終わりを予感させる新大統領の誕生。世界経済の長期停滞。所得格差の広がりが生みだす不信と分断――。どれも10年や20年の歴史軸でとらえきれない大変化、大革命である。
断層の先にあるものを展望しようと取材班8人が掲げたテーマは民主主義、日本人、成長信仰、国家、家族、頭脳、巨大災害、メディア。その答えを求め、歩き、問い、そして考えた。我々はどこから来て、どこへ向かうのか――と。
(編集委員・原真人)
朝日新聞 2017年1月1日05時00分 (1面から続く)
② 我々はどこから来て、どこへ向かうのか:1 多数決、深まった分断
【写真・図版】大勢の人々が足早に行き交うニューヨーク5番街。トランプ氏の住居があるトランプタワー前で、「私の大統領ではない」と書いたボードを掲げた男性が静かに立っていた
とどのつまり、民主主義とは多数決である。小学校でそう学んだ。学級会の話し合いも、最後は全員で手を挙げて決めた。
その多数決が、世界各国で揺らいでいる。
昨年の米大統領選や欧州連合(EU)離脱を決めた英国の国民投票では、こんな結果は受け入れられない、と言い出す人たちも現れた。
米国ではドナルド・トランプ氏が勝利を決めた直後から各地でデモが発生し、人々はこう叫んだ。
「私の大統領じゃない」(NOT MY PRESIDENT)
そう考えている人に話を聞いた。市民グループ「民主主義の春」副代表のカート・ライズさん(28)は言う。「トランプは大衆扇動で票を集めた。私たちを代表しているとは思えない」
このグループの元をたどれば、5年前に反格差運動として全米を席巻したオキュパイ・ウォール街運動にたどり着く。
「民主主義ってこれだ」
街頭を占拠し、そう叫んだ人々が今、選挙結果を受け入れられない。
「反トランプ民主連合」のジョン・クーパー代表(61)も戸惑っていた。「うそや差別に痛みを感じない大統領は今までいなかった。少数派を抑圧する候補が勝つなんて、民主主義への信頼が揺らいだ」
同団体に加わる米国市民は20万人を超えた。人々は、民主主義に疑念を持ち始めているように見える。
いや、これこそが「民主主義の勝利」なのだと考える人もいる。
コーネル大学のエリザベス・サンダース教授(政治学)はこともなげに言う。
民主主義がなすべきことをしただけだ、と。
「自由貿易で寂れた工業地帯に住んでいる人たちが、自分らの不遇を表現する手段を見つけた。声を持たなかった人々に、選挙が声を与えたのです」
その声を聞いたのがトランプ氏だった。
不満を持つ人々の声を集めて、一つにまとめた側が勝つ。敵と味方をはっきりと分けて、勝ち負けを競う綱引きのように。
人類の歴史を眺めてみると「多数派に従うこと」は決して当たり前ではなかった。民主主義発祥の地、古代ギリシャでも民主政は評判がよくなかった、と東京大学の森政稔教授は語る。多数だからといって質がいいわけではない、と考えられていたという。
ではなぜ、私たち人類は、多数決を原則としたのか。森教授はかつて言われた例えを持ち出す。
「頭をたたき割る代わりに頭数を数える」。つまり不毛な争いを避ける約束として、殺し合う代わりに多数決を選んだのだ。
古代ギリシャから2千年以上を経て、市民革命で多数派が立ち上がった。一部の支配層ではなく、普通の市民が政治をつかさどる時代がやってきた。
それでも多数への懐疑はついて回る。独立後の米国を訪れたフランス人のアレクシ・ド・トクビルは著書「アメリカの民主政治」で、「多数派の専制」という言葉を残している。「多数者が何をしてもよい権利を持っているという公理は嫌忌すべきと考えている」
そして今。わずかでも多数を取った側がすべてを決める。そんな政治が世界に広がっている。
トランプ勝利や英国のEU離脱だけではない。日本の国会では最近、重要法案が次々と採決強行で成立している。橋下徹・前大阪市長も著書で語っていた。
「『独裁的』との批判をよく受けますが、僕の判断が適切だったかどうかは、選挙で有権者の審判を受ければいいと思っています」
■「完璧ではないが代わりもない」
これが民主主義なのか。米大統領選を内側から見た人はどう考えただろう。
江木園貴さん(49)は昨年3月、自ら営む会社を休業して渡米し、ヒラリー・クリントン陣営にボランティアとして飛び込んだ。
勝敗の鍵を握る州で、有権者宅を回った。オバマ大統領に対する失望を語る男性や移民への敵意を隠さない高齢女性がいたが、そんな意見も辛抱強く聞いた。
自分はこう思うが、相手の考えも理解できる。それが米国の民主主義だと信じていたから。
投票日の11月8日、ファストフード店でコーヒーを買った直後だった。コートを脱いでTシャツ姿になると、知らない女性が江木さんの胸を強く突いて、「ノー」と叫んだ。
Tシャツには「クリントン」と書かれていた。
「私が考えていた民主主義とは違うものを見た気がしました。自分と違う意見を許せないほど、怒りをため込んだ人たちがいた」
英国の国民投票でも、EU残留派の下院議員が殺害され、敵対感情が社会に充満しているようだった。議員追悼集会に出席していた女性はこう話した。
「この国も他の国も、憎しみによって分断されているよう」
敵と味方。自分たちと奴(やつ)ら。そんな切り分けが選挙を機にいっそう広がっていく。これでは、殺し合いはしないまでも、人々の間に分断が進むばかりだ。
「確かに米国では、これほど社会が割れたのは歴史上2度しかない。南北戦争と現在だ」。プリンストン大学の研究室で歴史学者のショーン・ウィレンツ教授は顔をしかめた。
南北戦争は、奴隷制度で米国が二つに割れた。だが今は、もっと多くの分断がある。人種。格差。エリートと庶民。社会に走る亀裂を利用して多数派を作る側が、選挙に勝つ。
民主主義は失敗しているのでしょうか。
「そう考えたくなるのも分かる。民主主義はそれ自身を破壊する手段にもなり得るから」とウィレンツ教授は答えた。「だが、ここで諦めては、民主主義は別の何かになってしまう」
シカゴ大学名誉教授で日本生まれのノーマ・フィールドさん(69)は、福島に滞在している時に米大統領選の結果を聞いた。
比べようのないことだと思いつつも、原発事故で世界が一夜にして変わった「福島の体験」と似た衝撃を感じたという。
「しかし、民主主義がいかに脆弱(ぜいじゃく)だとしても、これよりましな制度があるわけではない。必死に握って手放してはいけない」
フィールドさんは、米大統領選の投票率が予想より低かったことを気にかけている。声を上げるのを諦めた時に本当の危機が生まれることを、人類はすでに経験している。
「だから、この民主主義を回復させていく過程そのものが、民主主義なのではないかと思います」
オバマ米大統領は選挙の8日後、外遊先のギリシャでこう演説した。「この地で生まれた民主主義は決して完璧ではない。だが、平和的にお互いの違いを乗り越えるには、これに代わるものはない」
多数決がどれほど不可解な答えを出そうとも、この道具しか私たちの手には残されていない。50年後も100年後も、言葉を通じてお互いを理解し合う努力を続けるしかない。
その継続こそが、民主主義という名で呼ばれるものなのだろう。
(ニューヨーク支局長・真鍋弘樹、写真はいずれもニューヨーク、林敏行)
朝日新聞 2017年1月1日05時00分
③ (耕論)私たちはどこにいるのか
川上弘美さん、山極寿一さん
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12730267.html
「耕論」一覧 必要なことはタイトルから検索すること
http://digital.asahi.com/article_search/s_list4.html?keyword=%A1%D2%B9%CC%CF%C0%A1%D3%20OR%20%A1%CA%B9%CC%CF%C0%A1%CB&s_title=%A1%D6%B9%CC%CF%C0%A1%D7%B0%EC%CD%F7&rel=1
未来へと続く坂を上っていけば、よりよい世界が待っている。そう思っていた。でも、いつのまにか社会は息苦しくなり、争いはやまない。欧州や米国では昨年、予想もしなかった変化も起きた。2017年のはじまり。私たちは、どこへ向かおうとしているのか。見通しにくい未来でも、希望はあるのか。
■ありえない幸運、よりよく生きたい 川上弘美さん(作家)
遠い未来、極端に数が減って滅びかけている人類が、人工知能(AI)やクローン技術の助けを借りて、生き延びようとする――こんな世界を描いた小説「大きな鳥にさらわれないよう」を、昨年春に出しました。
書こうと思ったきっかけの一つは、2011年の東日本大震災。揺れた瞬間に、「逃れられないものが来た」と感じました。大きな災厄から人間は逃げられないのだな、と。
もう一つは、4年前に少しこみ入った手術をして、「自分も死ぬのであるな」と、しみじみ実感したことでした。人類全体だって同じ、栄え続けるわけではない、いつかは滅びるのだ、と。
01年には、アメリカの同時多発テロもありました。世界が一定でそのままあるわけではないと、ひときわ強く感じることが、生きていると常にやってくる。
まわりのいろいろな人、若い人も年のいった人も、どこか、みんな苦しそうです。その苦しさって、「こういうふうに生きれば、うまくいく」というような、一般論では解決できないものではないでしょうか。
いい大学に入って、いい会社に終身雇用で勤める、女の人は結婚して家庭に入る。昔は確固とした一般論やモデルがあって、従っていればある程度の充実感や達成感は得られました。いまは、モデルは一応まだあるけれど、そのモデルに乗っても、自分の「物語」を見つけられなくなっています。
*
自分で物語や方向を見つけられる瞬間もあるけれど、世界が複雑すぎて、見えていた灯(あか)りが、次の瞬間にはどこかへふっと消えてしまうような心もとなさがある。手で確かめられる範囲のことを、ていねいに大切におこなっていくだけではだめなのではないか、という不安がきざすのは、世界を把握するのがとても難しくなっているからではないでしょうか。
不安だから、未来を知って支配したい。それも人間の性(さが)です。話題のAI、また遺伝子操作や原子力は、元々は研究者たちの純粋な探究心から発見された論理や技術を使ってできたものですが、社会を動かす道具として使い始めると、両刃の剣となってゆく。
研究者に「AIのいちばん怖いところは、どこですか」と聞いてみたことがあります。「AIに『地球にいちばんいい環境とは何か』を考えさせると、『人類が最も悪影響を及ぼすので、排除しよう』という結論になることです」との答えでした。
遺伝子操作も同じ。人間よりもさらに優れた存在をつくり出したら、いまいる私たちは駆逐されてしまうかもしれない。そんな技術が生み出されてしまった時点で、もう、後戻りはできない。
でも、人間って、自分の手に負えないものを発明したり、探求したりせずにはいられない。そこが、小説家としては非常に面白いところです。人間は矛盾していて、自己破壊的で、でも愛すべきものだと思うんです。
小説の中で、人類はなんとか進化しようとするけれど、結局、なかなか変われない。でも、変わらないのを憂えても、仕方がない。
私たちには、何千年もの歴史の蓄積があって、多くの新しいシステムが次々に生み出されている。なのに、世界がすばらしいものになりつつあるとは、なんだか思えないのは、なぜなのでしょう。
*
人類全体がどんなところに向かっているのか、私にはわかりません。上り坂にいるのか、下り坂なのか、実感もできない。同じ時代に、同じところに生きていても、人によって感じ方は違います。やっぱり、一般論ではわからない。
人間は何千年も前から変わっていない。人類が数百万人しかいなかった大昔と、世界で70億人にもなったいまですが、人類という種に大進化は起こっていない。文明があらわれた後も、実は似たようなことをずっと繰り返している。
「近ごろの若者は」という言葉も、何千年も昔から言われ続けてきたみたいですし。そう考えると、人間って、情けないような、でも反対に親しみがわくような。
生物の種がずっと生き残り、個体の数が増えていくのは、ものすごくラッキーなこと。人類全体も個人も、幸運に支えられたからこそ、今ここにいられるんだと思うんです。死んだ祖母がよく、「生きてるだけでまるもうけ」と言っていたことを思い出します。魚は何万個も卵を産むけれど、ほんの少ししか生き残らない。生き残るってすごいことなんです。それだけで、ありえない幸運なんです。
そんな偶然によって生かされているなら、よりよく生きたいなあと、ことに年齢を重ねてきた最近しみじみ思います。でも、よりよく生きるって、具体的に何なのか? 結局私には、毎日普通に生活することしかできません。いろいろなものを見る、聞く、やってみる、食べる、しゃべる。そういうささやかなことを、素通りしないでじっくりおこなっていく……。
災害や不幸をなくすことはできないけれど、極端に理不尽なことが起こらない世界になってほしい。原発事故で避難した人や、紛争から逃れてきた難民のように、生まれ育った土地に住めなくなり、よそへ行かなくてはいけないのは、本当に理不尽なことです。
生まれ育った土地で喜怒哀楽を素直にあらわしながら、普通に生活ができるという、本当にささやかな幸せをみんなで求めていくことができる世界に、住みたいのです。どうすればいいのか、私にはわからないけれど、あきらめず、そして忘れずに、なのかな。人間って、素晴らしくもないけれど、悪くはないものなのですから。
(聞き手・尾沢智史)
◇
かわかみひろみ 1958年生まれ。生物教師を経て作家に。主な作品に「蛇を踏む」(芥川賞)、「センセイの鞄(かばん)」(谷崎潤一郎賞)など。
■極大化した不安、共に過ごす時間を 山極寿一さん(霊長類学者、京都大学総長)
安心が消え、不安が極大化した時代。私はいまを、そうとらえています。
人類の進化の歴史を振り返ってみましょう。アフリカでチンパンジーとの共通祖先から枝分かれしたのは700万年前。大型肉食獣に襲われる恐れのない樹上空間があり、実り豊かな熱帯雨林の中でした。450万年前頃からサバンナへ進出した。霊長類ヒト科の中でヒトだけが世界中に散らばるきっかけです。サバンナは逃げ場がなく、さぞ不安だったでしょう。
狩猟具を持ったのは50万年前、大きな獲物を協力して狩るようになったのは20万年前です。人類の歴史のほとんどは、肉食獣から逃げ隠れし、集団で安全を守り合う時間でした。安全イコール安心です。だから人間の体の奥底には、互いに協力しないと安心は得られないことが刻み込まれ、社会性の根深い基礎になっています。安心は決して一人では得られません。
安心をつくり出すのは、相手と対面し、見つめ合いながら、状況を判断する「共感力」です。類人猿の対面コミュニケーションを継承したもので、協力したり、争ったり、慮(おもんぱか)ったりしながら、互いの思いをくみ取って信頼関係を築き、安心を得る。人間だけ白目があるのも、視線のわずかな動きをとらえ、相手の気持ちをよりつかめるように進化した結果です。
脳の大きさは、組織する集団の人数に比例します。構成人数が多いほど高まる社会的複雑性に、脳が対応しました。現代人と同じ脳の大きさになったのは60万年前で、集団は150人程度に増えていました。年賀状を書くときに思い出す人の数、常に顔を覚えていて、信頼関係を持てる人の数とほぼ同じですね。言葉を得たのは7万年前ですから、言葉なしに構築した信頼空間です。日頃言葉を駆使し、人間関係を左右していると思うのは、大きな間違いです。
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現代はどうでしょう。集団とのつながりを断ち、集団に属することで生じるしがらみや息苦しさを軽減する。個人として存在しやすいように技術は進み、経済成長を実現してきました。次々にマンションが建ち、個人は快適で安全な環境を得ましたが、地域社会の人のつながりはどんどん薄れた。
直近では、人々はソーシャルメディアを使い、対面不要な仮想コミュニティーを生み出しました。人間の歴史の中にない集団のつくり方です。嗜好(しこう)や時間に応じ、出入り自由なサイバー空間で「いいね!」と言い合い、安心しあう。現実世界であまりにもコミュニティーと切り離された不安を心理的に補う補償作用として、自己表現しているのかも知れません。でも、その集団は、150人の信頼空間より大方は小さく、いつ雲散霧消するかわからない。若者はますます、不安になっています。
クリスマスを一人で過ごす若者の中に「一生懸命働いた自分へのご褒美」に、自分に高級レストランを予約する人もいると聞いて考え込んでしまいます。人間は他人から規定される存在です。褒められることで安心するのであって、自分で自分を褒めるという精神構造をずっと持たなかった。それがいま、少なからぬ人々の共感を呼んでいる。やはり人間関係が基礎部分から崩れていると感じます。
土地とも人とも切り離され、社会の中で個人が孤立している時代です。人類はどうやって安心を得たのか、生身の体に戻って確かめるために、霊長類学が必要とされているのでしょう。
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大気汚染や原発事故など、安全と安心を与えてくれると期待された科学技術への信頼は低下しました。一方で遺伝子を組み換えて食料の生産性を上げ、AI(人工知能)は人間の思考力を早晩上回るという。自ら開発したものを制御できるのか、「人間はこのままでいられるか」という、壮大な不安のただ中にいる。しかも、その不安を解消する手段を持ちません。
ビジネスも、不安をあおり立てることで成り立っています。保険や防犯システムに限りません。「ファッションが流行遅れかも」といった、他人から下に見られるかもしれない、社会の負け組になるかもしれないといった不安を、企業はあの手この手で刺激し、解消策を商売のタネにする。
種々の不安は大きくなり続け、とどまることがない。「不安の極大化」とは、そういう意味です。
人々が信頼をつむぎ、安心を得るために必要なのはただ一つ。ともに時間を過ごすことです。その時間は「目的的」であってはなりません。
目的的とは「価値を得られるように過ごす」こと。いまは短時間でより多く価値を増やすことが求められますが、安心を得るのに必要なのは、見返りを求めず、ただともに過ごすこと。互いに相手に時間を捧げる。赤ちゃんに対するお母さんの時間がよい例です。
昨今は同窓会ブームだそうですが、長い時間をともにした同級生となら、顔を合わせるだけで信頼関係を取り戻せる。心の底に安心できない自分がいる裏返しです。
類人猿にはない、人類の進化の謎の一つに「プラトニックラブ」があります。子を残せないから生物学的にはムダなのに、熱い情熱と長い時間を注ぐのは、思い合うことが信頼や安心をもたらしてくれるから。人間は、一人ではどうにも生きられない存在なのです。
グローバル化で社会が均一化すると、逆に人々の価値観は多様化する方向へ向かいます。個人が複数の価値観を備え、自分が属する複数の集団でそれぞれのアイデンティティーを持つようになります。そうした時代には、五感をフル出動させた人間関係のつくり方がさらに重要になるでしょう。
(聞き手・畑川剛毅)
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やまぎわじゅいち 1952年東京生まれ。78年からアフリカでゴリラの野外研究を続け、類人猿の行動や生態を基に人類社会の由来を探る。