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あ がん遺伝子治療 い 言霊 う 言霊 実験 え 失われた20年 お アベノミクスは失敗 か ヨガ 効果 き フリーメイソン く ラニーニャ現象 け 前立腺がん こ 温故知新 さ 腸内菌と腸内免疫力 し ヒバマタ し 蝮の効能> す インパール作戦 せ いのち・本能・環境 そ 日本人は世界をリードできるのか た 世界は日本化する ち 世界が日本人に注目している つ フーバー米大統領 て 時代の谷間で苦悩する小沢一郎 と 「小沢一郎 600人訪中団」のどこが悪い? な 財務省が改ざんとは…動機が解せない に 天才を育てる楽しみ ぬ 首相、麻生氏続投の考え「責任を果たして」 ね 財務省が改ざんとは…動機が解せない の 財務官僚「親分の奥さん、部下は守る」 は 安倍首相や麻生氏の名前、削除 日本会議めぐる記載 ひ 麻生財務相「佐川の答弁に合わせ書き換え」 一問一答 ふ 国民にうそ、意味なさぬ情報公開制度 へ 社説 3月になってから ほ 「文書、外部の目触れるのまずい」 ま 財務省、国会開示時に保有 改ざん前の文書、国交省から入手 み 「財務省不信」財政再建や消費増税に影響も む 特集 森友学園問題 め 公文書改ざん問題 新聞 3/15 も 公文書改ざん問題 新聞 3/16 や 公文書改ざん問題 新聞 3/17 ゆ 公文書改ざん問題 新聞 3/18 よ 公文書改ざん問題 新聞 3/19 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
03 18 (日) 財務省 文書改ざん問題
内閣府、財務省、国会議員、マスコミ関係者、取材や報道など入り乱れて急を告げている。
新聞記事以外のデータがかなり多くなり、これらのデータは翌日の新聞紙、それに週刊紙による活字で知らされている。
すべては網羅できない。 通常の新聞、週刊紙を見ているだけである。
水は方円の器に従い、雲は中空に遊ぶ。
温度によりては氷となり霜柱となり、中空にては雪となり豪雨となる。
水も環境によって、千変万化の様態を表す。
ゆ 公文書改ざん問題 新聞 3/18
ア ごみの記載、全て削除 決裁文書、森友値引きの根拠
https://digital.asahi.com/articles/DA3S13408303.html?ref=pcviewer
学校法人・森友学園(大阪市)への国有地売却問題で、焦点になってきた地中のごみに関する財務省の2ページ分の文書が、改ざんの際にすべて削除されていた。文書には、ごみを理由に値引いて学園に土地を売ることになった経緯などが記されていた。削除された当時、野党が国会でごみの積算方法について追及を強めていた。▼2面=9つの疑念
昨年2月の大幅値引き問題の発覚後、売却額が適正だったかが国会で議論されてきたが、この文書を踏まえた審議ができなかったことになる。19日の参院予算委員会の集中審議でも問題になる可能性がある。
削除されたのは「国有財産の鑑定評価委託業務について」のうちの「決裁参考」と題した文書。同省近畿財務局が作成し、12日に財務省が14件の改ざん文書の一つとして公表した。
学園は2016年3月、地中から「新たなごみ」が見つかったと報告。開校に間に合わせるため、ごみ撤去費を値引いた額で土地を買い取ると申し出た。
文書が作成されたのは翌4月。学園の弁護士から「現状を踏まえた評価による価格提示」があれば土地を買って問題解決を図りたいと提案を受けたとし、ごみ撤去には「国として有効な問題解決方法を学園に提示できない」と記載。対応が遅れると「損害賠償請求を受けるリスクを抱えている」とし、売却が「問題解決の現実的な選択肢」などと記している。
不動産鑑定については、ごみの撤去費を踏まえて評価額を出すと明記。この土地が軟弱地盤で、「高層階の建物を建築するために(中略)地盤対策が必要」という点も評価に反映させる、との記載もあった。
財務局は16年6月、ごみ撤去費8億1900万円などを値引き、1億3400万円で土地を売却。一方、小学校が低層だったため、地盤対策の費用は不動産鑑定士が差し引かなかったことが判明している。
この文書の削除について朝日新聞が16日に問い合わせたところ、財務省広報室は「国会対応のため、回答は厳しい」と返答した。
イ (公文書改ざん)森友、9つの疑念 異例の取引なぜ
契約前、昭恵氏・政治家の名 ▼2面
【写真画像】改ざん前(左側)と後(右側)の文書。売却価格の値引き根拠になった地中ごみについての記載が、すべてなくなっている ➡ URLを開くと、分かります。
【写真画像】文書から削られていた主な記載内容と森友学園問題の流れ ➡ URLを開くと、分かります。
森友学園との国有地取引に関する公文書の改ざんで、削除部分には、国が否定してきた「価格交渉」や「学園の特別扱い」をうかがわせるような記載が目立つ。だが、異例ずくめの取引の背景や改ざんの真相は今なお見えていない。19日の参院予算委員会の集中審議で解明は進むのか。▼1面参照
一連の土地取引の始まりは2013年7月。資金繰りに余裕がなかった森友学園から財務省近畿財務局への要望はこうだった。
当面は土地を借り、その後に買いたい――。過去5年の同種取引で例がない契約。財務局は、安倍晋三首相の妻、昭恵氏と一緒に写った写真を学園から提示された35日後、「売り払いを前提とした貸し付けに協力する」と学園に伝えた。
財務局は、特例的な契約を認めるよう財務省本省に求めた。申請の文書には、昭恵氏の写真を見せられたことや、政治家側からの問い合わせがあったことなどが記されていた。なぜ昭恵氏らのことを文書に記載し〈図の(1)〉、それが取引に影響したか(2)が焦点の一つだ。
学園は15年3月、土地が「軟弱地盤」だとして貸付料を減らすよう財務局に求めた。財務局は地質調査会社から「特別に軟弱な地盤であるとは思えない」との見解を示されたが、「賃料に影響する」として鑑定をやり直し、それにもとづく貸付料で15年4月に見積もり合わせを実施した。貸付料の修正が適正だったのかも問われそうだ(3)。
貸し付け合意後の15年7~12月、学園は費用を立て替えて汚染土などを撤去。国が費用を払うのは、民法上は土地が返ってきたときでいいが、学園に対しては予算措置が済めば速やかに支払うことにした。
学園は費用の支払いについて15年秋、昭恵氏付の政府職員に財務省への問い合わせを依頼。同省は「16年度での予算措置を行う方向で調整中」と答えたが、職員が問い合わせた理由や、取引に与えた影響も疑問が残ったままだ(4)。
16年3月、学園は「新たなごみが見つかった」と財務局に連絡。ごみ撤去費を差し引いた額で土地を買いたいと申し出た。16年6月の売却契約までの協議で価格交渉があったのではないかという疑念を、佐川宣寿・前財務省理財局長は国会で否定し続けた。
だが、財務局職員が「ゼロに近い金額まで努力」などとする音声データの内容が昨年発覚。売却契約の決裁文書には改ざん前、「価格等について協議した」と記載されていたことも分かった。佐川氏の答弁が虚偽だったのか、事前の価格交渉なら学園の特別扱いを示すことになるのではないかが問われている(5)。
大幅値引き問題の発覚から1年あまり。会計検査院は値引きの根拠になったごみの量について「根拠が不十分」とし、政府側の説明に納得できないという声は今も強い(6)。
■財務省、動機は 首相らの答弁、影響か
財務省は12日、財務局や本省理財局が2014年6月~16年6月に作成した14件の決裁文書を、土地の大幅値引き問題が発覚した後の昨年2月下旬~4月に書き換えていたと明かした。
改ざんの理由について麻生太郎財務相は同日、「佐川(宣寿・前理財局長)の答弁と決裁文書との間に齟齬(そご)があった」と説明。太田充理財局長は16日、「(国会では)総理や大臣の答弁もあった。政府全体の答弁を気にしていた」と述べ、安倍晋三首相らの答弁の影響にも触れたが、明確な動機は明らかにされていない(7)。
改ざんの行為や指示に佐川氏が関わったのか、佐川氏がなんらかの指示を受けたのかなども説明が求められる(8)。
12日に財務省が書き換えを認めた後、政府の説明にほころびも出た。国土交通省が、保管していた改ざん前の一部文書を5日時点で財務省に渡していたことや、首相官邸にも報告していたことが判明。6日に安倍首相と菅義偉官房長官も報告を受けていたことが分かっている。
首相は14日の国会答弁で、自身が報告を受けた時期を「11日」と述べた。菅長官は「(6日は)最終的に文書を確認できる段階になかった」と説明しているが、整合性を問われる事態になっている(9)。
■<解説>公文書の軽視、背景に
「国が意思決定を適正かつ円滑に行うためにも、国の説明責任を適切に果たすためにも必要不可欠」――。公文書の管理について、福田康夫首相の下で発足した政府の有識者会議は2008年の最終報告でそううたっている。提言に基づき、公文書管理法は、麻生太郎政権下の09年に制定された。そのルールを破り、公文書を隠す目的で、ウソの公文書を作成したのが、森友学園の決裁文書をめぐる財務省のふるまいだ。公文書は「民主主義の根幹を支える基本的インフラ」だが、その精神を軽視する姿勢が今回の改ざんにつながっている。
公文書の管理について、もともと日本には監視・監督・指導をする機関がなく、公務員の都合で廃棄したり隠したりする不祥事が相次いだ。公文書管理法では首相に、各省庁に改善を勧告したり、報告を求めたりする権限を与えた。
ただ、実務を担う内閣府の公文書管理課職員は15年度で19人。米政府の国立公文書館・記録管理庁(NARA)に3千人近くの職員がいるのに比べ、日本の態勢は貧弱だ。しかも、森友問題での財務省や、南スーダンに派遣された自衛隊の「日報」を隠した防衛省のように「保存期間1年未満」で廃棄扱いにするなど、その監視を実質的に逃れる手法が横行している。特に、メールなど電子データは廃棄が常態化。その揚げ句に決裁文書の改ざんとそれに伴う元文書の隠滅まで行われていた。一方、米政府は、幹部公務員のメールを全て自動的に保存する仕組みを導入している。
内閣府の公文書管理委員会の委員を務める三宅弘弁護士は「日本は周回遅れ。極めて立ち遅れている」と嘆きつつ、こう提言する。
「定年で退職した公務員を雇って、せめて数百人の態勢にし、各省庁に『この文書を残してくれ』と言えるようにしなければならない。また、文書を決裁したらその電子データも自動的に確定する仕組みにしたほうがいい」 (編集委員・奥山俊宏)
ウ (日曜に想う)思い起こした「一九八四年」 ▼3面
編集委員・福島申二
大航海時代に名を残すコロンブスは巧みなうそつきでもあった。歴史的な大西洋横断航海に出たとき、陸影が見えなくなると悲嘆する乗組員が続出した。海の果ては断崖だと怖がる者もいた。
そこで一計を案じ、航海日誌を二つ作ったという。片方は正確に書き、もう一つは陸から離れた距離を短く記した。乗組員にはニセモノの方を見せ、恐怖心を鎮めて海を渡ったと伝えられる。
そんな話を、森友文書の改ざん問題に思い出した。サンタマリア号ならぬ平成の日本丸に乗る国民。その代表である国会議員は、偽りの日誌ならぬ文書を、それとは知らずに示されていた。
軽く見られたものである。しかし手を汚した官僚よりむしろ、官僚を責めることで保身を図るかのような政権側への憤りが、乗組員の一人として今は強い。
振り返れば、国会は、改ざんされた文書をもとに質疑応答に長時間を費やしてきた。いわばニセモノが盾となって権力者を守るという流れの中で、昨年秋に解散総選挙があった。「国難突破」とは言ったものの「森友・加計疑惑逃れ」が裏の本音とみられた選挙である。
自民党は大勝した。しかし民主主義の土台を腐らせる不正が明るみに出たいまとなっては、あの選挙の結果にも釈然としない思いがわいてくる。
*
あまりに露骨な書き換えに、全体主義国家の恐怖を描いたジョージ・オーウェルの傑作「一九八四年」を思い起こした人もいたようだ。小説の主人公は「真理省記録局」という部署に勤めている。政府の都合と主張に合わせて過去の新聞記事を改変するのが仕事である。
たとえば独裁者が世界情勢の見通しを語る。それが現実にならなかった場合には、現実に起こった通りに語ったことにして書き換える。つまり、すべての過去を現在の状況に合致するように変えていく。刊行物、映像、統計などあらゆるものを改ざんして「真実を管理」し、独裁者を絶対化するのである。
財務省が書き換えを認めた翌日、さっそく本紙川柳欄に〈現実にあったオーウェル「真理省」〉の一句が載った。揶揄(やゆ)ではあるまい。おぞましい小説を地で行くような財務省への、むしろ悲痛な思いを込めた投句であろうと想像する。
そして、すぐれた時事川柳は予言的に先を見通すものだ。〈適材も廃材となる定め持つ〉は国税庁長官だった佐川宣寿氏が辞任する2週間前に載った。
あれほど「適材適所」と繰り返していた麻生太郎財務相は、一転して佐川氏を呼び捨てで指弾してやまない。一部職員がやったもので「最終責任者は佐川」という早々の幕引きめいた発言に、この人のもとでの真相究明は不可能と見切りをつけた人は多かったに違いない。
*
「パッとしない人間には2種類ある」と言ったのは米国出版界の大物だったサイラス・カーティスである。そのあとは「言われたことができない者と、言われたことしかできない者だ」と続く。
たしかに「言われる前にやる」「言われなくてもする」のは、使えるやつだと目をかけられる要件かもしれない。そこに忖度(そんたく)という魔物が息づき、先回りした算段や気働きに人を駆り立てる。切れ者がひしめく組織ではなおさらだ。
忖度の親戚筋の言葉には「おもねり」や「へつらい」のほか「太鼓持ち」「茶坊主」などとあって多彩だ。「事なかれ」や「物言えば唇寒し」も遠縁にあたる。古今東西、権力の周辺ではこうした空気が高じて王様を裸にしてきた。この手の追従(ついしょう)が昨今あまりに臭うのは、長期の「一強政権」の弊害に思われる。
改ざんのそもそもの発端は「国民に説明のつかない国有財産の土地取引」だった。それは復古的なイデオロギーを仲立ちにして、権力側とその威を借る者が連(つる)み合った結果であろう。横車を押されたのが財務省、という構図は動くまい。
一つの嘘(うそ)をつき通すには別の嘘を二十発明しなくてはならない、と西洋の古言にいう。官吏の道を外れてまで上塗りで守ろうとしたものは何だったか。ぬるい究明では怒りの火薬はおさまらない。
【下平】 拍手喝采 !!
03 19 (月) 朝日新聞 DIGITAL 疾風怒濤
今朝、パソコンを開くと政治関係が目白押しに出ていた。次の通り。
【3/19 朝日新聞 DIGITAL】トップニュース
自民議員に地元で厳しい声 「おごりだ」怒声も(05:01)有料会員限定記事
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内閣支持率31%、第2次政権以降で最低 朝日世論調査(21:40)
よ 公文書改ざん問題 新聞 3/19 疾風怒濤
ア 週末の自民議員に地元で厳しい声 「おごりだ」怒声も
https://digital.asahi.com/articles/ASL3L7606L3LUTFK00T.html?iref=comtop_8_01
森友学園をめぐる財務省の公文書改ざん問題が政権を直撃し、内閣支持率が急落した。自民党内には強気と弱気が交錯し、「安倍1強」の空気は一変。来夏の参院選に向け、危機感も広がり始めている。
内閣支持率31%、第2次政権以降で最低 朝日世論調査 ➡
【特集】森友学園問題 ➡
財務省が文書の書き換えを認め、意図的改ざんが明らかになってから初めての週末。地元選挙区に戻った自民党議員は、これまでにない有権者の厳しい視線を感じたようだ。
衆院福岡2区選出で当選3回の鬼木誠氏は18日、福岡市中央区で国政報告会に臨んだ。「決裁文書の改ざんは間違いない事実で重大な問題だ。誰が責任を取るのか」。子連れの男性やお年寄りら約50人を前に、こう切り出した。
安倍晋三総裁のもとで小選挙区を3回連続で制したが、改ざん問題を受けて各社の世論調査で内閣支持率が下落。深刻に受け止める鬼木氏は「お怒りの声があれば、おうかがいします」と促した。
質問した6人から改ざんの件は出なかったが、会合終了後、男性から「森友問題を早く収束させないと、どんどん支持率が下がるよ」と告げられた。
調査では麻生太郎財務相について「辞任すべきだ」が50%に上った一方、首相の責任を問う声も8割に。九州が選挙区の衆院当選3回の議員は、そうした世論の空気を感じた。週末に農家を回った際、「麻生さんも被害者だ。安倍さんが悪いのに」と何人もから聞かされた。世間の批判の矛先は、麻生氏だけでなく、妻・昭恵氏が学園との関係を指摘される首相に向いていると感じたという。
今年こそ大型の国政選挙は予定されていないが、秋の自民党総裁選は、来夏の参院選に向けて、「党の顔」を選ぶものになる。
党内には首相支持と首相離れが入り交じる。
ある現職閣僚は「首相が総裁に3選できるか、わからない状態だが、不幸中の幸いなのは、総裁選まで時間があることだ」とみる。第2次政権以降の支持率は、安全保障法制や共謀罪法の採決強行など政策の賛否をめぐって急落する局面があった。昨年も加計学園問題などで、東京都議選惨敗につながった。それでも衆院選を経て、回復した。首相に近い党幹部は「厳しい数字だが、明日からの国会審議が大事だ」と強調する。
一方、ベテランからは「これだけ支持率が下がってくると参院選を安倍氏で戦えるのかという話になる。安倍氏は総裁選に出られないのではないか」。別の現職閣僚は「今回は物証が出ている。自然に忘れ去られるような話じゃない」と悲観的だ。
「ポスト安倍」と目される候補たちは、この状況をどう見ているのか。
岸田文雄政調会長は18日、神戸市で記者団に「世界は動き続ける。待ったなしの対応が求められている。結果の積み重ねが信頼回復につながる」と述べ、改めて政権を支える姿勢を強調した。
石破茂・元幹事長は18日、地元の鳥取県倉吉市で市長選候補の応援演説で改ざん問題を取り上げた。聴衆からは「テレビを見たら、あんたが苦言を呈していたので、スッキリした」との激励を受けた石破氏は周囲に漏らした。「雰囲気は本当に変わってきた」
石破氏は朝日新聞の取材に「官僚だけの判断でそんなことが本当にできるのか。一体誰が、何のためにそんなことをやったのか。そこが判然としないことへの、いら立ちが支持率急落につながった」と分析。調査では「次の総裁」を問う質問で、自民支持層ではまだ首相が優位だが、全体では石破氏が首相に肉薄してきている。
イ 自民議員に地元で厳しい声 「おごりだ」怒声も
https://digital.asahi.com/articles/ASL3L7606L3LUTFK00T.html
森友学園をめぐる財務省の公文書改ざん問題が政権を直撃し、内閣支持率が急落した。自民党内には強気と弱気が交錯し、「安倍1強」の空気は一変。来夏の参院選に向け、危機感も広がり始めている。
内閣支持率31%、第2次政権以降で最低 朝日世論調査 ➡
【特集】森友学園問題 ➡
財務省が文書の書き換えを認め、意図的改ざんが明らかになってから初めての週末。地元選挙区に戻った自民党議員は、これまでにない有権者の厳しい視線を感じたようだ。
衆院福岡2区選出で当選3回の鬼木誠氏は18日、福岡市中央区で国政報告会に臨んだ。「決裁文書の改ざんは間違いない事実で重大な問題だ。誰が責任を取るのか」。子連れの男性やお年寄りら約50人を前に、こう切り出した。
安倍晋三総裁のもとで小選挙区を3回連続で制したが、改ざん問題を受けて各社の世論調査で内閣支持率が下落。深刻に受け止める鬼木氏は「お怒りの声があれば、おうかがいします」と促した。
質問した6人から改ざんの件は出なかったが、会合終了後、男性から「森友問題を早く収束させないと、どんどん支持率が下がるよ」と告げられた。
調査では麻生太郎財務相について「辞任すべきだ」が50%に上った一方、首相の責任を問う声も8割に。九州が選挙区の衆院当選3回の議員は、そうした世論の空気を感じた。週末に農家を回った際、「麻生さんも被害者だ。安倍さんが悪いのに」と何人もから聞かされた。世間の批判の矛先は、麻生氏だけでなく、妻・昭恵氏が学園との関係を指摘される首相に向いていると感じたという。
今年こそ大型の国政選挙は予定されていないが、秋の自民党総裁選は、来夏の参院選に向けて、「党の顔」を選ぶものになる。
党内には首相支持と首相離れが入り交じる。
ある現職閣僚は「首相が総裁に3選できるか、わからない状態だが、不幸中の幸いなのは、総裁選まで時間があることだ」とみる。第2次政権以降の支持率は、安全保障法制や共謀罪法の採決強行など政策の賛否をめぐって急落する局面があった。昨年も加計学園問題などで、東京都議選惨敗につながった。それでも衆院選を経て、回復した。首相に近い党幹部は「厳しい数字だが、明日からの国会審議が大事だ」と強調する。
一方、ベテランからは「これだけ支持率が下がってくると参院選を安倍氏で戦えるのかという話になる。安倍氏は総裁選に出られないのではないか」。別の現職閣僚は「今回は物証が出ている。自然に忘れ去られるような話じゃない」と悲観的だ。
「ポスト安倍」と目される候補たちは、この状況をどう見ているのか。
岸田文雄政調会長は18日、神戸市で記者団に「世界は動き続ける。待ったなしの対応が求められている。結果の積み重ねが信頼回復につながる」と述べ、改めて政権を支える姿勢を強調した。
石破茂・元幹事長は18日、地元の鳥取県倉吉市で市長選候補の応援演説で改ざん問題を取り上げた。聴衆からは「テレビを見たら、あんたが苦言を呈していたので、スッキリした」との激励を受けた石破氏は周囲に漏らした。「雰囲気は本当に変わってきた」
石破氏は朝日新聞の取材に「官僚だけの判断でそんなことが本当にできるのか。一体誰が、何のためにそんなことをやったのか。そこが判然としないことへの、いら立ちが支持率急落につながった」と分析。調査では「次の総裁」を問う質問で、自民支持層ではまだ首相が優位だが、全体では石破氏が首相に肉薄してきている。
ウ 与党内にくすぶる佐川氏喚問慎重論 きょう集中審議
https://digital.asahi.com/articles/ASL3L55QHL3LUTFK008.html?iref=comtop_8_02
学校法人・森友学園(大阪市)への国有地売却問題で、参院予算委員会は19日、安倍晋三首相や麻生太郎財務相らが出席して集中審議を行う。野党各党は財務省の決裁文書改ざんの経緯や首相側の関与などについて追及する方針。佐川宣寿・前財務省理財局長の証人喚問について、同日中の議決を求める。
【特集】森友学園問題 ➡
財務省は、土地の大幅値引き問題が発覚した後の昨年2月下旬~4月に14件の決裁文書を書き換えたと説明。当時の理財局長だった佐川氏らが国会で否定してきた「価格交渉」や「学園の特別扱い」をうかがわせる記載が削除され、その中に首相の妻・昭恵氏の名前も含まれていた。
安倍首相は昨年2月17日、「私や妻が関係していたということになれば首相も国会議員も辞める」と答弁した。理財局長の太田充氏は今月16日の参院予算委で、佐川氏が改ざんを「知っていた」とし、「首相や大臣の答弁もあった。政府全体の答弁を気にしていた」と述べ、首相答弁が影響した可能性に言及した。
麻生財務相は首相答弁の影響を否定し、「最終責任者が理財局の局長である佐川氏だ」と強調している。しかし野党は「佐川氏に責任を押しつけている」(小池晃・共産党書記局長)として、追及する方針だ。
また、佐川氏の証人喚問の必要性で野党は一致。民進党の大塚耕平代表は18日、記者団に「与野党一致して議決し、今週中にも行ってほしい」と述べた。与党内には喚問への慎重論がくすぶっており、19日中に議決できるかも焦点だ。
エ 石破氏、文科省に苦言「そんなことやり始めたら…」
https://digital.asahi.com/articles/ASL3L7RYFL3LUTFK00X.html?iref=comtop_8_05
石破茂・自民党元幹事長(発言録)
前川氏招いた経緯、繰り返し「ご教示を」 文科省メール ➡
「あんな講演を(前文部科学事務次官の前川喜平氏が)やるのはいかんじゃないか」といって、文科省が一体どんなことだと(問い合わせる)。それはおかしくはないですか。そんなことをやり始めたら、言論の自由はなくなってしまう。
特定の人が記録をなくしてしまう。行政というのは誰にも公平に行われたと、その記録を残すために膨大な文書がある。それを書きかえてしまったら一体何を信じたらいいのですか。
行政はAさんが頼もうが、Bさんが頼もうが、Cさんが頼もうが、みんな公平にやらなければ。一部の人だけが利益を得るようなことであれば、誰もバカらしくて税金なんか払っちゃおられんということだと思う。(鳥取県倉吉市の街頭演説で)
オ 内閣支持率31%、第2次政権以降で最低 朝日世論調査
https://digital.asahi.com/articles/ASL3L4JWZL3LUZPS005.html?iref=comtop_8_08
【写真・図版】 安倍内閣の支持率の推移
朝日新聞社が17、18両日に実施した全国世論調査(電話)によると、安倍内閣の支持率は31%で、前回調査(2月17、18日)の44%から急落、第2次安倍内閣の発足以降で最低となった。不支持率は48%(前回37%)だった。学校法人・森友学園との国有地取引に関する決裁文書の改ざんについて、安倍晋三首相にどの程度責任があると思うかを尋ねると、「大いに」と「ある程度」を合わせ、「責任がある」は82%に上った。
世論調査―質問と回答〈3月17、18日実施〉 ➡
特集:世論調査 ➡
第2次安倍内閣以降の支持率の推移をみると、昨年7月調査の33%がこれまでの最低だった(不支持率は47%)。このときは学校法人・加計(かけ)学園の獣医学部の新設をめぐる問題などがクローズアップされ、自民党が歴史的惨敗を喫した東京都議選後の時期にあたる。
【写真・図版】 森友問題で
区 分 可 否 「私や妻は関わっていない」
との首相の答弁に納得できる 17% 納得できない 72% 昭恵首相夫人が国会で説明する 必要がある 65% 必要はない 27% 麻生財務相は 辞任すべきだ 50% 辞任する必要はない 36%
決裁文書の改ざんをめぐる安倍首相の責任の有無・程度については、「大いに責任がある」42%が最も多く、「ある程度責任がある」40%▽「あまり責任はない」10%▽「まったく責任はない」4%と続いた。
安倍首相は14日の参院予算委員会で「書き換え前の文書を見ても、私や私の妻が関わっていないということは明らか」と答弁。この発言に「納得できない」は72%で、「納得できる」は17%。内閣支持層でも「納得できない」46%が「納得できる」41%を上回った。
この問題の解明のため、安倍首相の妻昭恵氏が国会で説明する必要があるかどうかについては、「必要がある」が65%で、前回2月調査の57%から増加。「必要はない」は27%(前回調査33%)だった。
麻生太郎財務相が今回の責任をとって大臣を辞任すべきかについては、「辞任すべきだ」50%、「辞任する必要はない」は36%。麻生氏が改ざんについて「理財局の一部の職員によって行われた。最終責任者は佐川(宣寿(のぶひさ)・前理財局長)だ」と説明していることに「納得できない」は75%に上り、「納得できる」は13%にとどまった。麻生氏の財務相辞任は「必要ない」と答えた層でも、麻生氏の説明に「納得できない」は56%で、「納得できる」の28%を上回った。
今回の改ざんはどの程度問題だと思うか聞くと、最多の63%が「大いに問題だ」とし、次いで「ある程度問題だ」23%▽「あまり問題ではない」9%▽「まったく問題ではない」3%。内閣支持層でも、36%が「大いに問題」、36%が「ある程度問題」とした。
◇
各報道機関による最新の内閣支持率
支持 不支持
朝日新聞 31(44) 48(37)
毎日新聞 33(45) 47(32)
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文書改ざん「忖度はるかに超えた行為」 法大・小黒教授
佐藤優氏「財務省が隠したいこと」 森友文書改ざん
「影の権力者」菅長官を凍らせた一通のメール
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※ア 文書改ざん「忖度はるかに超えた行為」 法大・小黒教授
https://digital.asahi.com/articles/ASL3G4PSRL3GULZU007.html
2018年3月16日21時02分
聞き手・編集委員 駒野剛
法政大教授・小黒一正さんに聞く 財務省文書改ざん
【特集】森友学園問題 ➡
「財務省を解体すべき。首相にも進言した」 亀井静香氏 ➡
決裁文書の書き換えをしたうえに、国会に提出していたとは。かつて財務省の行政官として公文書を作成し、管理してきた経験を持つ者として、信じがたい異常なできごとです。その渦中にある近畿財務局の職員が命を絶った悲劇には言葉もありません。
1974年生まれ。京大理学部卒。97年大蔵省(現財務省)に入り、大臣官房文書課員などを経て、現職。
財務官僚も人間です。数字のミスや事実関係の訂正がないとは言えません。しかし、決裁文書を書き換えることはあり得ません。
決裁後の文書を変更すれば、虚偽公文書作成など刑法上の罪に問われる可能性がある。そんな危険を冒すことは、よほどの圧力でもない限り、あり得ないことです。
「忖度(そんたく)」の領域をはるかに超えた行為です。行政は国民の信頼の上に成り立ちますが、その基盤を破壊する恐れをはらむ、深刻な事態です。
麻生太郎財務相は、書き換えは当時の理財局の一部の職員によって行われ、その最終責任者が佐川宣寿前国税庁長官であるとしています。国民から税を徴収する組織のトップが、信頼を毀損(きそん)する行為をしていたとすれば、そうした人の起用は適切だったのか、疑問がわかざるを得ません。
ところが、一連の行為が、政権中枢の意向を配慮したり、反映したりした結果だとするなら、どうでしょう。
かつて霞が関には「人事は政治に介入させない」という一種の不文律がありました。そこへ、2014年5月、内閣人事局が設置されました。各省庁の審議官級以上の幹部約600人は、官房長官が適格性を審査します。そのうえで人事局が幹部候補名簿をつくり、首相と官房長官らが協議して決めるしくみができあがりました。
人事局は、行政への政治主導を強めるしかけとして導入されました。でも、各省庁の幹部たちを、官邸の顔色をうかがう「イエスマン」集団にする契機にしてしまった。今回の事件がその一例と思うのは、私だけでしょうか。
幹部人事に政権の意思が反映することは当然です。問題は、選択が透明で公正で納得性があるものかどうか、だと思います。英国では、課長以上の上級公務員の選任は公募が奨励され、さらにトップ約200人は外部の有識者を含む選考委員会が人選します。
オーストラリアやニュージーランドでも、応募や第三者委員会の審査が組み込まれています。ニュージーランドの選考委は、選んだ人物を内閣に推薦しますが、拒否した場合、内閣はその理由を官報に開示しなくてはなりません。
人事に人生すべてを委ねている日本の官僚にとって、人選のかじ取りは生殺与奪そのものです。それだけに第三者による公正な尺度が不可欠です。与野党は公正なしくみづくりを競い、行政の信頼回復につなげるべきです。(聞き手・編集委員 駒野剛)
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※イ 佐藤優氏「財務省が隠したいこと」 森友文書改ざん
https://digital.asahi.com/articles/ASL3D5V29L3DPTIL016.html
2018年3月13日11時04分
財務省による公文書改ざんは社会に大きな衝撃を与えた。行政や司法の世界に身を置いてきた3人に受け止めを聞いた。
安倍首相や麻生氏の名前、削除 日本会議めぐる記載で ➡
改ざん前・改ざん後の決裁文書はこちら ➡
【タイムライン】森友文書の書き換え認める ➡
森友学園問題 ➡
佐藤優氏(作家・元外務省主任分析官)の話
安倍首相の妻昭恵氏や国会議員らの名前を消し、国有地売買を特例で処理していることを示す文言を公文書から抜いた行為は、売買の判断に関わる極めて重要な事実をなかったことにしたのと同じだ。だます意図に基づく行為で、悪質。国民への背信行為といえる。
今回、財務省は多くの公文書を公開したが、誰がこれらの文書を決裁したのか、誰に配布したのかの記録が見当たらない。外務省での勤務経験からいえば、こうした文書は相当高いレベルまで配布されていたはずだ。財務省が本当に隠したいのはそこではないか。
このでたらめを監督できなかった麻生財務相はじめ政権の責任は大きい。政治家への官僚の過度なおもねりは、旧民主党政権時代からの「政治主導」が生んだ重大な副作用だ。政争の具にせず国政調査権を発動して、与野党を超えて真相を徹底究明すべきだ。
片山善博氏(元総務相・早稲田大大学院教授)の話
公文書は決裁をしたら完成。それに基づいて仕事をする。改ざんが認められるなら、官僚組織はガタガタだ。今回の改ざんはモラルの問題ではなく犯罪だ。
旧自治省(現・総務省)職員時代、国会議員から特定の自治体への財政支援の優遇を頼まれ、「できません」と断って暴言を浴びたことが何度かあった。官僚が政治家のためにルールをねじ曲げてはいけないし、ましてや公文書改ざんなど想像もつかない。
改ざんの責任者の佐川前財務省理財局長が政権に重用され、つい先日まで国税庁長官を務めていたことは政権の汚点だ。もし麻生財務相、安倍首相が改ざんに直接関与していないとしても政治的責任は重い。
仮に私が総務相や鳥取県知事の時代に公文書改ざんが起きていたら、徹底的に調査・捜査に協力し、部下の行為であれ監督不行き届きの責任をとっただろう。
門野博氏(元東京高裁裁判長・弁護士)の話
財務省の決裁文書を書き換えたことが刑事事件に発展するとした場合、誰の、どんな指示で、誰が実行したのかがポイントだ。公文書の改ざんは刑法上、公文書の変造もしくは偽造罪にあたる可能性があり、その文書に決裁印が押されていたのなら有印公文書となるので、より罪は重くなる。
文書の作成権限を持った人が関わっていたのであれば、虚偽公文書の作成罪にあたると考えられる。
幹部の指示を受けていれば、その幹部こそが作成罪に問われる。おそらくパソコンで文書の内容を変えたと思われるが、財務省のどの範囲の職員が行為に関わっていたのか、共犯関係はあるのかが注目される。
偽変造で罪に問われる公文書には運転免許証などもあり、公的な文書の信用性を保護することは重要だ。国の職員が自ら信用を地に落としたのなら、より悪質と評価されるだろう。
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※ウ 「影の権力者」菅長官を凍らせた一通のメール
https://digital.asahi.com/articles/ASL2H62XHL2HUTFK018.html
岡村夏樹
2018年2月19日09時31分
携帯電話に届いたメールを目にした官房長官の菅義偉は、背筋が寒くなるのを感じていた。
1月26日午後、菅は国会にいた。メールは、内閣府副大臣が沖縄で相次ぐヘリ事故を質問する野党議員に対して「それで何人死んだんだ」とヤジを飛ばしたことを伝えていた。
狙うは「キングメーカー」 麻生氏、二大派閥構想の先に
菅は即座に、近くにいた首相の安倍晋三を別室に引き込む。「かばいきれません」。安倍は「それでいい」と応じた。一報からわずか10分余り。副大臣の更迭が決まった。
菅の頭にあったのは、今秋に控える沖縄県知事選の前哨戦と位置づけられ、2日後に告示が迫っていた名護市長選への影響を最小限に抑えることだった。
米軍普天間飛行場の辺野古移設を目指して政権あげて支援した新顔は今月4日、現職を破って当選した。その夜、異例の支援態勢をとった公明党の支持母体である創価学会の幹部に、菅は電話で感謝を伝えた。「おかげで貴重な1勝を頂きました」
かつて自身の選挙区で対立した創価学会とも、今や政権で最も太いパイプを持つと言われる関係を築く。
安倍政権の大番頭として政策、危機管理、そして選挙を非情とも言える態度で切り回す。
「官房長官がうんと言わなければ決まらない」
霞が関の官僚たちはそうささやきあい、畏怖(いふ)の念を込めて、こう呼ぶ。
「影の権力者」「史上最強の官房長官」
◇
「将来は官房長官をやりたい」
横浜市議に初当選した1987年ごろ、菅は地元支援者に尋ねられ、こう答えたという。
横浜市議として1期先輩だった田野井一雄(77)は、市議初当選直後の菅にこんなアドバイスをしたことを記憶している。「1期生のうちは先輩の話をよく聞いて、発言は控えろ」
しかし、菅は意に介さなかった。自民党市議団会議で長老が示した人事案に公然と異論を唱えた。「議長をこの人にしろというのはおかしい。それぞれの期数の考え方を聞くべきだ」
高校卒業後、秋田から集団就職で上京。通産相を務めた小此木彦三郎の秘書を経て、横浜市議となった。世襲議員が増える自民党のなかで、数少ない「たたき上げ」だ。
権力への急峻(きゅうしゅん)な階段をのぼる中で、ある権力観を身につけた。
「強ければ寄ってくるし、弱ければ離れていく。本当に信念があってついてくるのは2割もいない」
弱さを見せれば政権の求心力は低下する。だからこそ、勝つことに並々ならぬ執着をみせる。
しかし強さへの信奉は冷たさにもつながる。そこに敗者や弱者への配慮を見いだすことは難しい。菅が師と仰ぐ梶山静六や野中広務といった沖縄への思いをたびたび口にした先達の官房長官に比べ、沖縄への厳しい姿勢は際立つ。
加計(かけ)学園をめぐる問題ではその強気が裏目に出た。
加計学園をめぐって「総理のご意向」と書かれた文部科学省作成の文書の存在が報道されると、「怪文書みたいな文書」と発言。事務方が準備したものではなく、菅自身の言葉だった。前川喜平・前文科事務次官らが文書の存在を認めても、その発言を撤回することはなく、世論の批判を招く一因となった。
◇
菅は周辺にこう語ったことがある。「政治家は、いかに権力を握って、自分がやりたいと思う政治をやるかだ。だから権力を握らないといけない」
官房長官という市議時代に掲げた目標に到達したいま、「(安倍)総理はすべて私に任せてくれる」と掌中に収めた権力を謳歌(おうか)するように見える。
秋に控える総裁選に向け、菅が狙うのは安倍を圧倒的な勝利で3選させることである。
標的は、安倍との対決色を強める元幹事長の石破茂。総裁選への意欲を示す総務相の野田聖子に「閣僚だからと遠慮せずに出ればいい」と促すのは、政権批判票を分散させ、石破が注目を浴びることを避けるためにほかならない。
徹底して対抗勢力をつぶす。その菅の手腕は「安倍1強」の確立に大きく貢献した。しかしそのことは、自民党から自由闊達(かったつ)さを失わせた。
「おれに文句を言ってくるやつはいなくなったな」。長老に公然と反発してきた若き日の自分と重ね合わせ、物足りなさを口にすることもある。かつて70歳での引退を考えていた菅は、矛盾を抱えながら今年、その節目を迎える。=敬称略(岡村夏樹)