折々の記へ
折々の記 2016 ⑧
【心に浮かぶよしなしごと】
【 01 】田中宇 【 02 】田中宇 【 03 】田中宇
【 04 】田中宇 【 05 】田中宇 【 06 】田中宇
【 07 】田中宇 【 08 】田中宇 【 09 】田中宇
特別編集 田中宇の国際ニュース解説
世界はどう動いているか
【 05 】
2018/1月~6月
2018/7月~11月
2018/03 21 (水) 国際ニュース解説 一月から六月まで
きょうは、2018年の3月21です。 長い間継続欄への書き込みをせず、折々の記へ取り上げたことがありました。
だが、日本の政治情勢が極度に乱れ始めているので、田中宇の国際ニュース解説でトランプ大統領の歩みと日本の歩みを比べながら、自分の考えを築いていこうと思いこの欄へ 2017年4月22日 から追加上程することにしました。
トランプは「アメリカ・ファースト」のキャッチフレーズでスタートした政権だったので、多分に誤解していたことが北朝鮮の核開発問題の経緯を見ていて、気づいたのです。
彼はアメリカの軍産を底流とした政権の方向が、自国をおかしくしたことに気付いていたから、それを修正しようとする考えが基本にあったと思える節があるからでした。
日本は、それとはお構いなくUSの時の権力を迎合している節があり、アメリカからの自立を真剣に考えなければ日本としてのアイデンティティが崩壊してしまうという憂いが多分にあると思うからです。
世界の平和を求める方向は、一国の国益を基にした覇権は不幸の世界へ進むことになりかねないことを察知し、トランプが大統領になる以前から多極化の方向を打ち出していたことがわかってきました。
この変化は将に世界の政治と経済の方向を求めていく大変化の序曲がすでに始まっていることを意味していると思います。 確証はないにしても、やっぱり温故知新の大局的な見方をみんなで探っていてくことが、自分たちにとって緊急な課題であったことに気づきました。
これからの取り組む課題は、その一点に集中した分野のことでなければならないと考えています。
以上のことを以下の追加として書き残しておきます。
2016/10/04に書き残した記載部分
今までいろいろと報道データを見てきたが、田中宇の国際ニュース解説は世界のマクロニュースをつかんでいくのに一番安心を置いていいと思う。
それゆえ、一か所にデータを集中することとした。 このサイトは自動継続としてあるのでいつでも「お気に入り」サイトから「ニュース」続いて「田中宇の国際ニュース解説」をクリックし、読みたいタイトルの年月日を探して接続すれば、細かい解説が読めます。
或いはまた、このサイトの中で各解説概要の終りに「折々の記」とあるものは、それをクリックすると詳細解説が載せられています。
この「折々の記」へはデータの所在と主要記事を含めた感想が載せたりしてあります。
田中宇の国際ニュース解説
2018/1月~6月 記事は 6月➡1月
◆米露首脳会談で何がどうなる?
【2018年6月30日】 トランプは、NATOサミットの直後の日程でプーチンに会う。これは軍産複合体と同盟諸国にとって破壊的だ。NATOは「ロシアの脅威」を理由に、米国(米英)が欧州諸国を従属させる(諸国が米国の安保機能にぶら下がる)ための機関だ。ロシア敵視の構造がないと、NATOは存続できない。トランプがプーチンと会って意気投合すると、NATOの存立基盤が壊される。トランプは、同盟諸国との関係を破壊する一方で、プーチンや金正恩と仲良くなり、米国の覇権や軍産の支配構造を壊していく。
◆東アジアの新時代
【2018年6月23日】 米朝が和解した米朝首脳会談後、東アジアは新しい時代に入った。軍産が今後異様に盛り返してトランプを潰さない限り、朝鮮半島の対立が解けていき、極東における米国の支配が退潮していく。中国の覇権が拡大し、北朝鮮の発展が始まる。対米従属から離脱しない日本の国力低下に拍車がかかる。
◆終わりそうで終わらない旧世界体制
【2018年6月21日】 G7はトランプに壊されたが、代わりのG20が世界の中心として機能しているかといえば、そうでもない。その理由は、リーマン後に米日欧の中銀群が展開してきたQEによって、リーマン危機で潰れたはずの米国中心の債券金融システム(=米覇権)が延命し、世界経済が「リーマン後(=米覇権後)」の状態になっていないからだ。すでに引退したはずのG7が、マスコミの幻影機能に乗って、世界の中心であるかのように振る舞ってきた。それをトランプが壊している。
北朝鮮を中韓露に任せるトランプ
【2018年6月18日】 トランプがやりたいことは、北の面倒を見る役目を中韓露に任せることだ。それには、まず米国が北敵視をやめねばならない。だが米国は、北を永久に敵視したい軍産が強く、正攻法で北敵視をやめることができない。トランプは、ここで奇抜な策を考えた。北への敵視を極限まで強め、本物の米朝戦争をやろうとしているように演技した・・・。
◆北朝鮮に甘くなったトランプ
【2018年6月15日】 シンガポールで行われた米朝首脳会談は、事前にばらまかれた憶測と、現実の会談の中身が大きく違っていた。確定した合意文書の中身が薄かった半面、会談で示唆されたこと、象徴的なこと、感じ取れることが豊富だ。あれは一体、何だったのか。深読みが不可欠だ。主導役となった米トランプ大統領が、金正恩との首脳会談を皮切りに開始したことをキーワードで列挙すると(1)ダブル凍結、(2)トランプ式の太陽政策、(3)金正恩を北朝鮮のトウ小平にする、の3点である。
在韓米軍も在日米軍も撤退に向かう
【2018年6月9日】 6月12日の首脳会談で米朝が和解し、在韓米軍の撤退が決まったら、在日米軍も撤退ないし大幅縮小するのだろうか。日本にとって最重要な問題はそれだ。私の分析では、在韓米軍だけでなく、在日米軍も全撤退に向かっている。もし米国が今後も日本に米軍を駐留させ続けるなら、日米は東シナ海に関して中国の脅威の扇動を加速せねばならない。だが実際には、米国も日本も最近、東シナ海における中国の脅威を扇動しなくなっている。日本と中国は、軍事対立を避けるためのホットラインを6月8日に開設した。在日米軍が今後も駐留するシナリオに沿うなら、こんなもの作ってはダメだ。
◆貿易戦争で世界を非米・多極化に押しやるトランプ
【2018年6月8日】 同盟諸国を敵国扱いして懲罰関税をかけるのは、トランプの意図的な戦略だ。米国は従来、ドルの基軸通貨性を維持するため、積極的に米国市場を無関税で世界に開放し、対米輸出する諸国は輸出代金で米国債を買い込み、この需要が米国債の金利を下げ、米国が貿易と財政の双子の赤字を拡大してもドルと米国債による経済覇権が維持される仕組みだった。覇権放棄を隠れた主戦略としているトランプは、同盟諸国からの輸入に対する関税を引き上げることで、この仕組みを壊そうとしている。
グレイトになって戻ってきた米朝首脳会談
【2018年5月29日】 私は以前の記事で、トランプの会談中止の書簡は、北が米国を敵視する言動をとったので、それをやめさせるためだろうと書いた。だがトランプの策は、そんな敵味方的な心情論や沽券の話でなく、北に大胆な核廃絶をやらせるための恫喝だったと考える方が妥当だと思い直している。トランプは、書簡に対する北の反応に満足し、予定どおり首脳会談しそうな感じになっている。米朝首脳会談は、トランプにとって前よりグレイトなものに、軍産や日韓の対米従属派にとって前より危険なものになって戻ってきた。グレイトという表現は、トランプの標語「米国をグレイトな国に戻そう!」(MAGA)に引っ掛けた。
◆MH17撃墜事件:ひどくなるロシア敵視の濡れ衣
【2018年5月28日】 MH17撃墜事件の合同捜査班(JIT)は、事件に関する重要な情報を非公開にしたまま、匿名や出所不明の怪しい情報を積み上げてロシア犯人説を構成している。捜査班のロシア犯人説は、濡れ衣である可能性が高い。米国やNATOが捜査班の情報源になっていることから考えて、これは米政府のロシア敵視策の一環だ。とはいえ捜査班の発表のタイミングや濡れ衣の稚拙さに注目すると、これはトランプによる「濡れ衣のロシア敵視策が稚拙に過激にやることで、これまで対米従属で米国のロシア敵視策に追随してきた欧州(独仏)を親露・対米自立に追いやり、ロシアを隠然と強化する多極化・米覇権放棄策」かもしれない。
◆米朝会談を中止する気がなく交渉術として中止を宣言したトランプ
【2018年5月26日】 そもそもトランプが「北朝鮮は敵対的なことを言うのでけしからん。会談は中止だ」と書簡で宣言したのは、北を改悛させて「もう敵対的なことを言いませんから会談してください。おねがいです旦那様」と言わせるための交渉術であり、本気で会談を中止する気など最初からなかったと考えられる。
米朝会談後、在韓・在日米軍撤退の話に突然なる?
【2018年5月24日】 文在寅やトランプは、在韓米軍の撤退にできるだけ言及しない方が良い。正恩トンムにもその状況を伝え、在韓米軍の駐留継続にこだわってないかのような演技をしてもらうのが良い。6月12日に米朝会談が成功裏に終わり、南北と米朝の和解の流れが不可逆的に起動に乗って、軍産が和解を潰せないようになってから、在韓米軍の話が出てくるのが良い。それまで、米韓日の軍産や対米従属派には「米朝が和解するわけないじゃん。在韓・在日米軍は永遠だ」と勘違いさせておくのが良い。
英スクリパリ事件と米イラン協定離脱の関係
【2018年5月23日】 米覇権放棄・世界の多極型への転換を隠然と進めるトランプ陣営は、転換を阻止する英国を無力化するために、米英諜報界の一体性を使い、スクリパリ事件を起こした。それは、米国のイラン協定離脱後、ドイツ主導のEU(欧州大陸諸国)が、英国に妨害されずに対米自立し、欧米間に確実に亀裂を入れ、米覇権の解体を加速するためだった。スクリパリ事件でメイ政権が失敗しなかったら、英国は、ドイツにもロシアにも米国にも、もっと影響力を行使できたはずだ。
◆イラン・シリア・イスラエル問題の連動
【2018年5月20日】 米トランプ大統領が手がけている中東の3つの問題・・(1)イラン核協定からの離脱、(2)シリアで露イランアサドを敵視しつつも彼らが内戦を平定していくのを黙認していること、(3)駐イスラエル米大使館のエルサレム移転・・は、それぞれ別々に進んでいるように見えて、実はかなり深く連動している。欧州が、対米従属から離れ、露イランと協調する側に転じていきそうなことが、連動性のひとつの要素だ。
朝鮮戦争が終わる(2)
【2018年5月13日】 シンガポールで行われる米朝会談で、金正恩が核廃棄を約束し、トランプが米国の北敵視の終了を約束して会談が成功裏に終わると、ちょうど通りかかったかのように、そこに習近平が入ってきて、米朝が和解したので朝鮮戦争を終わらせようと3人で合意し、あらかじめ用意してある終戦協定に3人で署名する。この瞬間に、朝鮮戦争は正式に終わり、和平の確立に向けた動きが始まる・・・・。
◆トランプのイランと北朝鮮への戦略は同根
【2018年5月11日】 トランプのイランと北朝鮮への戦略は、世界の面倒を米国が見るのを放棄し、露中やEUなど他の諸大国に面倒を見させる覇権放棄・多極化の策である点で一貫している。トランプは、米国が北と和解して米国の傘下に入れるのでなく、北と和解して朝鮮半島の対立構造を解き、在韓米軍が不要になるように導き、南が米国の傘下で北が中国の傘下だった冷戦構造を解いて、南北ともに中国の影響圏に押しやる(戻す)ことをやっている。
◆トランプがイラン核協定を離脱する意味
【2018年5月8日】 米国がイラン核協定を抜けた場合の問題点は、イランが核兵器開発を再開することでもなければ、米国がイランに戦争を仕掛けることでもない。米国がイラン核協定を抜けた場合の問題点は、米国の覇権喪失と世界の多極化に拍車がかかることだ。イラン核協定の体制が米国抜きで維持され、欧州や露中が、米国を外した多極型の国際社会を運営する傾向が強まる。トランプのイラン核協定からの離脱は、覇権放棄・多極化の策である点で、TPPやNAFTA、NATOからの米国の離脱と同種の流れだ。
朝鮮戦争が終わる
【2018年4月30日】 トランプの米国はおそらく、北のCVIDの判定に中国を参加させる。CVID地獄は回避される。北の核は「完全廃絶」される。北は核の一部を隠し持つかもしれないが、それは公式論にならない。この流れの前提で今回の南北首脳会談の声明文を見ると、今回は00年や07年の会談時と異なり、本当に南北が和解していく道筋が示されている。「朝鮮戦争が終わるぞ」というトランプの宣言どおり、板門店宣言に沿って南北の和解が具現化していくのでないか。金正恩は、張成沢を処刑したことなど忘れたかのように中国にすり寄り、経済成長戦略に備えてトウ小平伝を読んでいる。
◆北朝鮮が核を持ったまま恒久和平
【2018年4月23日】 4月20日の北朝鮮の核開発終了宣言は、米朝和解を進めたい米国のトランプ、南北和解を進めたい韓国の文在寅、それらを支持する中国の習近平、ロシアのプーチンといった米韓中露の動きと同期している。いまの米韓中露と北は全員が、口だけ「朝鮮半島の完全な非核化をやる」と言いつつ、実のところ、非核化が意味するところの「北の完全な核廃棄」でなく、北が核兵器(の一部)を隠し持つことを黙認したうえで米朝や南北が和解して朝鮮半島問題が解決される道筋を好んでいる。
シリア政府は内戦で化学兵器を全く使っていない?
【2018年4月18日】 シリア内戦の72回以上の化学兵器使用のなかで、シリア政府軍が化学兵器を使ったと確定的に言える事案が一つもない可能性がある。シリアのISアルカイダは、サリンや塩素ガスを持っている。政府軍が通常兵器で攻撃してくるとタイミングを合わせて化学兵器を手製のロケット砲や手榴弾などの形式で発射し、住民に被害が出ると、その場で撮影(もしくは事前に制作)した動画をアップロードし「政府軍が化学兵器で攻撃してきた」と喧伝し、それを受けて米英で、ISカイダを支援する軍産の一味であるマスコミと当局が「アサドの仕業」を確定することを延々と繰り返してきた。
◆シリアで「北朝鮮方式」を試みるトランプ
【2018年4月14日】 軍産複合体は、ロシアと戦争したくない。米露戦争は人類破滅の核戦争になる。とろ火の米露対立を長く維持し、米国の世界戦略を牛耳り続けるのが軍産の目標だ。トランプはこれを逆手に取り、軍産が起こした濡れ衣の化学兵器攻撃劇を機に、本気でロシアと戦争しそうな感じで突っ走って軍産をビビらせ、軍産に「ロシアと戦争しないでくれ」と言わせ、それに押される形で、米軍のシリア撤退もしくは米露協調を実現しようとしている。トランプは北朝鮮に関しても過激な「先制攻撃」を言い続けて軍産を「反戦」に追いやり、米朝会談の開催につなげた。トランプは今回、シリアで「北朝鮮方式」を試みているわけだ。
◆英国の超お粗末な神経ガス攻撃ロシア犯人説
【2018年4月7日】 英政府が拙速でお粗末な動きをしたため、スクリパリ事件のロシア犯人説は信憑性が急落した。英国の国際信用が低下し、ロシアの対応の正しさが確認された。今回の失態は、慎重さを重視する伝統的な英国の外交姿勢と異なっている。英諜報界の反逆分子が、たぶんノビチョクでなくもっと無害な毒物を使って今回の事件を引き起こし、英政府の上部を騙してロシア犯人説を信じ込ませて対露制裁をやらせ、強烈な英露の敵対を誘発したうえで、ロシア犯人説が無根拠であると後で露呈していくよう仕向け、英国の威信の低下と、ロシアの影響力の増大を意図的に招いた感じだ。
米朝会談で北の核廃棄と在韓米軍撤退に向かう
【2018年4月4日】 米国は、米朝首脳会談後の和解過程が進んでも、北朝鮮を国家承認しないかもしれないが、米朝会談が成功すると、米国の北敵視が大幅に減少する。韓国は北と相互に国家承認し、連邦制などによる南北の統合が話し合われていくだろう。南北間のプロセスが進むほど、韓国は対米従属から離脱し、在韓米軍を引き戻す状況から遠ざかる。日本も、米国が北を承認しなくても、北を国家承認すると考えられる。
◆トランプのバブル膨張策
【2018年3月31日】 米トランプ政権は、リーマン危機後に作られたバブル再膨張を防止するドッドフランク法にどんどん抜け穴を作り、サブプライムやコブライトといったリーマン前のバブル膨張を扇動した高リスクな債券や融資の取引を急増させている。いずれ、トランプの任期が終わるころにバブルが大崩壊し、米国の金融覇権が崩れる。その準備のため、トランプは輸入関税を引き上げ、中国など世界の諸国を経済面の米国依存から追い出し、米国覇権が崩れた後も世界経済が回るよう、中国などが非米的・多極型の世界体制を作るように仕向けている。
◆米覇権の転覆策を加速するトランプ
【2018年3月29日】 米国の覇権戦略立案の奥の院CFRの会長が、トランプによる米国覇権の引き倒しと多極化を指摘する論文「リベラル世界秩序の死」を発表した。自由貿易体制の放棄、中国との貿易戦争、イラン核協定からの離脱、英スクリパル事件でのロシア敵視など、トランプが矢継ぎ早に打ち出す強硬策が、米覇権の転覆を加速する。CFR論文は、米覇権の終わりが世界の繁栄や平和の終わりになると嘆くが、現実は違う。米覇権はベトナムやイラクなど戦争の連続だったし、米覇権の延命策の経済面である中銀群のQEは繁栄を壊すバブル崩壊につながる。トランプの策の方が、今後の覇権崩壊時に世界を軟着陸させる。
中東大戦争を演じるボルトン
【2018年3月25日】 トランプはかつて自ら出演するテレビドラマのシナリオ立案をやっていた。大統領になってからも、自身の役どころも含め、政治駆け引きのシナリオ立案をして、ドラマ仕立てで展開している。役者として見ると「濡れ衣戦争屋ボルトン」は興味深い存在だ。ボルトンを使ってイランとの中東大戦争を勃発寸前まで煽った後、イスラエルとサウジがうまく和解できないとか、イスラエルがシリアでの戦争を尻込みするといった行き詰まりを経て、イランとイスラエルとの兵力引き離しをロシアのプーチンに丸投げするなど、大方の予想と全く違う展開になりそうだ。トランプはこの手法で、すでに米朝会談を決めている
◆米銀行間の信用不安
【2018年3月22日】 米国で銀行どうしが融資し合わなくなり、融資の金利(LIBOR)が上昇している理由は、銀行が相互に信用しなくなったからだ。そうなった理由は、トランプの米政府が、米日欧の中銀群がQEをやめて保有債券を手放す勘定縮小を進める中で、それを穴埋めして金融バブルを維持する方法として、リーマン後に作った金融規制に抜け穴を多く新設して骨抜きにし、米銀行界が高リスクな投資をやって、QEなしでバブル膨張を維持するよう仕向けているからだ。銀行界は自分たちが危険をおかしていると知っているので、相互に資金を貸したがらない。それがLIBOR上昇、銀行間融資市場の消失、日欧中銀がQEを減らし、米連銀が勘定を縮小しているのに株価が高騰し続ける事態につながっている。
◆好戦策のふりした覇権放棄戦略
【2018年3月20日】 国務長官を「穏健派」のティラーソンから「好戦派」のポンペオに交代させるなど、強硬姿勢の国際戦略を加速していると指摘されている。だが、北朝鮮、シリア、イランなどに関するトランプの最近の動きを見ると、好戦策は目くらまし的な見かけ上のイメージ戦略にすぎず、実際は、北朝鮮との和解、シリアからの米軍撤退、イラン問題への米国の不関与に向かって動いている。
米朝会談の謎解き
【2018年3月14日】 米政府で外交を担当するのは国務省だが、国務省は軍産複合体の一部だ。トランプが米朝首脳会談を行うに際しての事務方を国務省に任せていると、国務省はトランプにわからないように妨害工作を行い、会談が行われないという結末になりかねない。そのためトランプは、米朝会談に至る事務方の仕事を、米政府の国務省でなく、文在寅の韓国政府にやらせてきた。
◆自由貿易の本質とトランプ
【2018年3月12日】 1970年代以降の米国が輸入関税を非常に低くしている真の理由は、米国が政治的に自由貿易体制を信奉しているからでなく、米国が世界に輸出する圧倒的に最大の品目が、米国債からジャンク債までの「金融商品」「証券類(紙切れ)」であり、関税と無関係だからだ。米国はニクソンショックから50年近く、巨大な金融バブルを膨張させて世界から旺盛に輸入し続け、世界経済を牽引してきた。だが、あらゆるバブルは最終的に崩壊する。トランプは永続できない従来体制の転換を急かすために、米国の伝統を破って鉄鋼などに高関税を課したり、NAFTAやTPPから離反している。
いまだにシリアでテロ組織を支援する米欧や国連
【2018年3月7日】 シリア内戦は、ロシアに支援されたアサド政権の政府軍の優勢が増し、ISアルカイダの反政府テロ組織の大きな支配地はダマスカス近郊の東グータだけになった。そこも徐々に制圧されている。だが、いまだに米覇権勢力(軍産)は、欧州諸国やマスコミを巻き込み、ISカイダ側がやった虐殺や化学兵器攻撃をアサド側のせいにする濡れ衣攻撃を続けている。米軍は対ヨルダン国境地帯に勝手に基地を作り、政府軍に負けて撤退してきたISカイダが東グータなどに転戦するのを助けている。軍産肝いりの国連の援助部隊は、テロ組織支配地の市民に救援物資を送るふりをして、テロ組織に物資を送って救援している。
◆トランプの貿易戦争は覇権放棄
【2018年3月4日】 輸入鉄鋼に関税をかけても米国の製鉄業は便乗値上げするばかりで蘇生しない。トランプは、米国が背負ってきた世界覇権を放棄するために、世界が米国に愛想を尽かし、米国に頼らない世界運営を各国がやるよう仕向ける覇権体制の転換策として自由貿易体制を壊している。保護主義的な関税の対象として鉄鋼などを選んだのは、ラストベルトの有権者のトランプ支持を維持拡大し、中間選挙や次期大統領選挙に勝つことにつなげられる政治的な品目だからだ。
◆独裁と覇権を強める習近平
【2018年3月1日】 習近平は、憲法を改定し、トウ小平が個人独裁を防ぐために作った最高指導者の任期10年制を壊して、自ら独裁者になる。これは米日で、習近平の醜い私利私欲の発露と評されているが、私はそうでないと考える。国際秩序が米覇権から多極型に転換する中、中国は、一帯一路などによってユーラシア東部の地域覇権国になりつつあり、それに合わせた転換を円滑にやる早道として、大胆な意思決定が難しい従来の集団指導体制を捨て、個人独裁制を始める。権力継承のやり方はロシアのプーチンに学んだのでないか。
ロシアゲートで軍産に反撃するトランプ共和党
【2018年2月26日】 トランプがロシアのスパイだというロシアゲートの疑惑は、米諜報界・FBI司法省・米マスコミといった軍産複合体と民主党が、軍産に果たし合いを挑むトランプを潰すために捏造した無根拠な濡れ衣だ。根拠の大黒柱であるスティール報告書は、クリントン陣営が資金と情報を提供して英国MI6に作らせたものだが、中身がスカスカだ。最近、トランプの覇権放棄策の奏功によって、覇権勢力である軍産の力が低下するとともに、これまで軍産の傀儡だった共和党の主流派がトランプ支持へと寝返り、米議会の共和党勢力がロシアゲートの無根拠性を攻撃するメモを相次いで出し、FBI司法省に反撃し始めた。
◆米連銀が株価テコ入れのステルスQE開始??
【2018年2月19日】 これまで不健全なQEをやめた後の資産健全化のため債券放出・保有削減を続けていたFRB・米連銀は、議長がパウエルになり、株や債券の相場が暴落したとたん、債券を再び買い込み始めた。連銀が市場に注入した資金が呼び水となり、株や債券の相場が反発した。連銀は、発表せずひそかに「ステルスQE」を再開した。これが来週以降もずっと続くと本格的な「QE4」となり、株や債券が再び上昇し続け、トランプ再選の可能性も増す。だがQEは不健全な政策であり、何年か経つと限界に達してやめざるを得なくなり、その時に金融システムが大崩壊する。
米国に頼れずロシアと組むイスラエル
【2018年2月18日】 1月末にネタニヤフがプーチンと会ってイスラエルとイラン・シリア・レバノンの対立問題の解決を頼んだ後、おそらくプーチンの差し金で、シリアとレバノンの大統領が不可侵を約束する書簡をネタニヤフに送った。プーチンの仲裁で停戦交渉がひそかに進むと思った矢先、2月10日にイスラエルとシリア・イランが交戦した。その直後にはイスラエル警察がネタニヤフを起訴すべきと発表した。中東で影響力が落ちた米国を見限ってロシアの側に転向することで、イスラエルの自滅を防ごうとしたネタニヤフの動きを妨害したいイスラエルの右派が、イランの無人機がイスラエルに領空侵犯した話を捏造し、シリア・イランとの戦争を起こそうとした。だがその策謀は、シリアを攻撃したイスラエル戦闘機が、シリア軍によって30年ぶりに撃墜されて終わった。シリアの撃墜成功の裏にロシアの情報提供があった。
◆五輪で和解する韓国北朝鮮、わざと孤立する米国
【2018年2月15日】 米国が北との外交交渉を拒否し、今にも北を先制攻撃しそうな中で、文在寅が静かに米国に見切りをつけて北と和解し、ダブル凍結で核問題を解決し、米韓軍事演習も韓国による一方的な延期で凍結され、米国は嫌々ながらそれに従う、いずれ在韓米軍の縮小まで至るという筋書きは、私が昨夏から予測していたものだ。今回の五輪で、それが一気に進んでいる。
◆米国の金融システムはすでに崩壊している
【2018年2月13日】 昨年末から、米国の銀行間融資市場の残高が急減している。これまで金融バブルを支えてきた米欧日の中銀によるQEが、今年から縮小傾向を加速しするので、バブル崩壊を見越した米国の銀行界が相互の信用を失い、無担保融資をしなくなった。今回の株価暴落より前に、米金融システムの内部者どうしの信用が収縮し、すでに金融崩壊が起きている。トランプの圧力を受けた米連銀がQE再開の方向に転じない限り、この先どんどん金融崩壊が進行する。
中東の覇権国になったロシア(1)
【2018年2月11日】 1月20日にトルコ軍がシリアのクルド人の自治都市に侵攻した件は、事前にロシアが了承していた。アサドを支援するロシアは、米国に頼ってアサド支配のシリアから分離独立していこうとするクルドを嫌っていたがそれを表に出さず、クルドを敵視するトルコのシリア侵攻を裏で認めることで、クルドがトルコに攻撃され、アサドの政府軍に泣きついてくるのを待った。露トルコアサドが、米クルドをへこます構図が進行している。
◆世界株価急落の行方
【2018年2月6日】 投資家の株式購入の原資となっているジャンク債の利回りは上昇傾向が続き、しだいに急騰になっている。今の世界的な金融バブルは、オモテの中銀群のQEと、ウラの米国ジャンク債の大発行が組み合わさっている。現在5・37%のジャンク債の利回りが8%以上にまで高騰して下がらないと、史上最大の巨大なバブルが崩壊し始める。
TPP11:トランプに押されて非米化する日本
【2018年2月1日】 米国は、今後しばらく世界最大の市場だ。米国がTPPを離脱せず主導し続けていたら、日豪加などは、中国の一帯一路に参加して儲けるためのTPP11でなく、米国に輸出して儲けるための反中国的な旧TPPで満足していた。だがトランプは勝手にTPPを離脱した。日豪加などはしかたなく、中国と協調するTPP11に衣替えした。トランプが、日豪加など同盟諸国を米国から遠ざけ、中国の方に追いやった。日本や豪州は対米従属の維持が難しくなり、中国と協調していく方向だ。
◆債券から見える米覇権放棄とバブル依存の加速
【2018年1月30日】 今の米国は、QEの縮小と、覇権の放棄(喪失)によって悪化しつつある金融の状況(利回り、信用度)を、国内金融のバブル膨張によって穴埋めしている。その結果、米国覇権を象徴するドルや長期米国債の状況が悪化している半面、米金融のバブルを象徴するジャンク債や株価は輝かしい状態が続いている。
◆金地金の激戦
【2018年1月28日】 1月に入り、日欧中銀のQE縮小の話を受けてドル安が加速し、金相場が急騰しそうなところに、下落側勢力が4回にわたり、ちからづくで相場を下げようとする猛烈なプログラム先物売りの攻勢をかけた。上昇勢力のプログラム買いと、下落勢力のプログラム売りがぶつかり合い、相場が激しく上下し、食べ物の「おもち」を引き伸ばした時のような「もちもち状態」の相場が展開した。「1分足」や「5分足」の詳細チャートでないと見えてこないオタク的世界だが、これが地政学的な「金融世界大戦」の現場である。
◆株高債券高・バブル膨張の中で進むドル基軸システムの崩壊
【2018年1月27日】 米国などの株高・債券高は、日欧の中央銀行によるQE策によって起こされてきた金融バブルの膨張だ。日欧の中銀がQEを縮小し始め、その影響でドル安が加速している。それなのに株やジャンク債の相場は下落せず、史上最高値を更新している。この謎を解くカギは、トランプによる米金融界の規制緩和にある。リーマン危機の再来を防ぐために行われていた金融規制が緩和され、怪しげな債券の発行が急増し、QEの縮小で減った分の資金供給を穴埋めし、株と債券のバブル膨張が維持されている。バブルはいずれ大崩壊し、ドル基軸体制と米国覇権が瓦解するが、それこそが覇権解体屋であるトランプの狙いだろう。
トランプワールドの1年
【2018年1月20日】 トランプはこの1年、TPPやNAFTAといった経済分野から、中東和平、イラン敵視、テロ戦争、北朝鮮といった多くの分野で、従来の米国覇権の世界体制を崩す覇権放棄策を展開し、かなりの成果をあげてきた。いずれの分野の動きもまだ道半ばだ。今年もトランプは、米国覇権に慣れきった全世界の軽信者たちの眉をひそめさせる驚きの覇権放棄策を矢継ぎ早に出し続ける。覇権転換が進むトランプワールドが展開している。
◆金地金の多極型上昇が始まった??
【2018年1月14日】 今年から日欧中銀がQEをやめていくことは、米覇権の延命措置の終わりを意味し、先送りされていた覇権の多極型への転換が具現化していくことになる。ドルに代わる多極型の基軸通貨を早く準備せねばならない。金相場を動かす主導権を米国から中国など多極側勢力に移し、金相場を歪曲的な抑圧から解放し、相場上昇を容認する必要がある。それが、昨年末からの金相場上昇として具現化しているのでないか。
◆急に戦争が遠のいた韓国北朝鮮
【2018年1月11日】 すでに韓国にとって最大の脅威を与える国は、北朝鮮でなく米国になっている。北朝鮮を平昌五輪に招待する案件は、文在寅にとって、北との緊張を緩和して在韓米軍を不要にして対米自立していくシナリオを目立たないように進めるための格好の隠れ蓑になっている。南北が政治的に対立している限り、韓国政府は、在韓米軍に出て行ってもらえない。韓国の対米自立には、北との緊張緩和が必須だ。五輪参加をめぐる対話の開始によって、南北間の緊張緩和が一気に進んでいる。
北朝鮮の核保有を許容する南北対話
【2018年1月7日】 韓国が平昌五輪を機に、米韓軍事演習を4月まで延期しつつ北朝鮮と開始する南北対話は、北の核保有を黙認しつつ進められる。これは、露中韓が昨秋来進めてきた北核問題解決のシナリオに沿った動きだ。北が先に核廃絶を了承しない限り対話しないと言っている日米は、このシナリオから外れている。露中韓は北を取り込み、米日抜きで北東アジア安保の新秩序を作ろうとしている。この流れはトランプの覇権放棄策と合致している。次の注目点は、韓国の文在寅大統領が五輪後、南北対話を維持するために、今年の米韓演習を中止するかどうかだ。米韓演習は米韓の共同開催なので、文在寅の一存で中止できる。五輪後に米韓軍事演習が新たな予定通りに挙行されると、南北対話が再頓挫するだけでなく、韓国を国家壊滅させかねない米朝戦争の危険が再燃する。
◆まだ続く金融バブルの延命
【2018年1月3日】 米国中心の先進諸国の金融バブルがいつまで延命できるかのカギは、ジャンク債の利回りだ。利回りが低い限り、無から有を生み出す米国の金融技能が有効で、バブルがさらに膨張しても維持できる。この金融技能が有効である限り、中露が米国を金融的に倒して覇権を転換させることはできない。多極化の前に、巨大バブルが崩壊してパンドラの箱が開き、米覇権が崩れてひどい経済難が起きる。多極型世界は、パンドラの箱から最後に出てくる、か弱い「希望」のようなものだ。
2018/11 30 (金) 国際ニュース解説 七月から十一月まで
2018/7月~11月 記事は 11月➡7月
イスラエルは総選挙を経て中東和平に向かう?
【2018年11月19日】 ネタニヤフは、米国との関係を利用して政治力を拡大した入植活動家集団の言いなりになることで首相の座を守り、権力を維持してきた。彼は、次の選挙でも勝ちそうだ。だが今や、米国の覇権低下により、イスラエルは、入植者が強く反対する2国式の中東和平を進めねばならない。ネタニヤフは、リクードの党の内外にいる入植者ら和平反対派を騙しつつ総選挙で勝ち、従来の右派でなく、野党である中道勢力と新たな大連立を組み、トランプが提案してくるはずの最低限の2国式の中東和平案を急いで進める。そのシナリオに沿って解散総選挙になると思いきや、ベネットが閣内に残る姿勢に転換し、とりあえずそのシナリオの進展が止まっている。
◆サウジを敵視していく米国
【2018年11月18日】 サウジ皇太子のMbSは今後しだいに米国と一緒にやるのをやめ、米国の言うことを聞かなくなり、国際的な孤立に耐えつつ、サウジ国内での強い権力を維持しようとするだろう。MbSは、国際社会の圧力に屈すると国内での権威が低下して危険になる。MbSは、米国の代わりにロシアや中国に頼る傾向を強める。米欧と異なり、人権侵害や独裁を批判しない露中は、MbSの対米自立を歓迎する。
日本と並んで多極化対応へ転換した豪州
【2018年11月14日】 安倍首相が10月末に訪中し、日中関係を敵対から協調に転換したのと同期して、日本と共同してTPPなど日豪亜圏の形成に動く豪州が、3年間の中国との対立をやめ、豪外相が訪中した。同時期に豪州議会はTPPへの加盟を批准し、TPPの発効が決まった。日豪は、米国抜きのTPPを、米単独覇権体制から多極型覇権体制に転換しつつある世界における、中国圏と米国圏の間に位置する海洋アジア・太平洋圏の経済協定として位置づけている。また豪州は、外相の訪中と同時に、中国に侵害されかけていた南太平洋地域を自国の影響圏とし続けることを宣言した。豪州と日本は、対米従属の一環だった中国敵視をやめて、中国を仲の良いライバルとみなす関係になった。
◆サウジを対米自立させるカショギ殺害事件
【2018年11月11日】 トランプ就任後、米国のサウジ戦略は、カタール制裁、ハリリ監禁、サウジとイスラエルを接近させることなど、MbSに稚拙なイラン敵視策をやらせて失敗させることを繰り返している。ムスリム同胞団系のカショギをサウジに殺害させた今回の事件(米諜報界が了承・黙認しないとサウジは殺害しなかった)も、同胞団系とイランが連帯していることを考えると、同じ方向の事件だ。トランプとMbSは、まだ表向き仲が良いが、トランプの言うとおりにやっていると失敗の連続なので、MbSはしだいに米国の言うことを聞かなくなっている。
◆続くトランプ革命
【2018年11月9日】 トランプはもともと、テレビで自分を演出する技能を持っており、その技能が大統領になってどんどん磨かれ、政敵たちも驚いている。トランプは攻撃を仕掛けられるほど、それを逆手にとって反撃する。中間選挙で起きた米議会のねじれ現象は、政治の喧嘩が大好きなトランプが喜ぶ乱闘の場だ。これまでの2年間で、トランプはすでに軍産との戦い方を身につけ、最も危ない時期はすでに乗り切った。トランプは今後の2年間、余裕を持って政争を展開できる。
東エルサレムが来年パレスチナの首都になる?
【2018年11月7日】 トランプは今年、米大使館をエルサレムに移し、パレスチナとの外交関係を縮小することで、2国式を放棄したかのように見せている。だが、アルモニターの記事のくだりが正しいとすると、それは、イスラエル右派と在米傀儡者に「トランプは2国式を捨てたんだ」と思わせるための目くらましだ。今はまだ全体像が隠されている実際のトランプの戦略は、来年のイスラエル選挙後、米大使館を移転した先を「西エルサレム」と認識し直すともに、パレスチナ国家の樹立を認めて東エルサレムを首都と認定し、2国式を推進することになる。
◆米中間選挙の意味
【2018年11月6日】 トランプが中間選挙によって激しく不利になることはない。民主党は、トランプ当選以来の2年間、トランプを阻止し無力化することを主な戦略としており、民主党としての能動的な新たな戦略を打ち出せていない。トランプ主義と、民主党の独自の主義主張との戦いでなく、トランプ主義と、アンチトランプ主義との戦いになっている。中間選挙は、トランプがアンチに勝つのか、それともトランプとアンチとの戦いがまだ続くのか、という2つの方向性の間の分岐点になる。上院は、共和党が多数派を維持する。下院の多数派は大接戦で、民主党が奪還するとトランプがやや不利になるが、共和党が下院の多数派を保持すると民主党の大打撃になり、2大政党制が崩壊に瀕する。
◆土壇場でイラン制裁の大半を免除したトランプ
【2018年11月4日】 トランプが土壇場でイラン石油輸出への制裁を大幅緩和したことで、世界は、対米従属を強めるどころか、逆に「石油高騰が耐えられず、トランプは本気でイラン制裁できないな」と思っている。今後トランプが再びイランを本気で制裁しても、露中EUは非ドル化された決済機構で迂回し、制裁が効果を発揮できない。トランプが押したり引いたりを繰り返すほど、BRICSやEUは迂回する術を身につける。その術は「不正行為」でなく逆に、国際法違反のイラン制裁をはねのける「正当防衛」だ。トランプは、米国覇権を失墜させている。
米国の中国敵視に追随せず対中和解した安倍の日本
【2018年10月29日】 安倍訪中での日中接近から見てとれるのは、日本が米国との安保より中国との経済を大事にしたことだ。これまで日本は経済的に、米国と中国の両方と付き合って儲けられたが、今後はどちらかとしか付き合えなくなる。そして、米国を選ぶと、日本経済は大幅縮小を余儀なくされる。日本は中国を選ばざるを得ない。安保面でも、日本の対米従属は先が長くない。在日米軍が駐留する最大の必要性だった北朝鮮の脅威は、トランプが金正恩と会って切り開いた朝鮮半島和平の流れによって、脅威が急速に縮小している。北の脅威がなくなると、在韓米軍と在日米軍が駐留する必要性が大幅に低下する。
◆いよいよバブル崩壊かも
【2018年10月27日】 米国が金融バブルを保持できる可能性は、この2週間でかなり減った。暴落にならぬよう下落の度合いを抑止することはできても、下落を上昇に反転させることは難しくなっている。IMFは最近「大恐慌が再来するかもしれない。QEで余力を使い果たした当局は、次の金融危機を防ぐ力がないので危険だ」と警告している。
◆カショギ殺害:サウジ失墜、トルコ台頭を誘発した罠
【2018年10月25日】 トルコ当局は、盗聴器やスパイ要員を通じて、サウジのMbS配下の部隊が領事館に来たカショギを殺害(拉致)しようとしていることを事前に知っていたはずなのに、なぜカショギにそれを伝えて助けなかったのか。なぜカショギを見殺しにしたか。その答えは、エルドアンがカショギ殺害をダシにサウジに圧力をかけようとしていたからだ。
中国でなく同盟諸国を痛める米中新冷戦
【2018年10月16日】 トランプ政権の米中新冷戦の宣言は、日本にとって絶妙なタイミングで発せられた。安倍が首相に再選され、訪中して習近平に擦り寄ろうという時に、米国が「中国は敵だ。中国と仲良くする国も敵だ」と言い出した。安倍は、予定通り中国を訪問しそうだ。安倍(や財界や経産省)は、日本が対米従属できなくなってもかまわない前提で、中国やロシアとの関係改善を続けているように見える。対米従属は、すでに馬鹿げた国策だ。米中新冷戦はトランプが中国に対し、新たな多極型の世界体制をロシアなど新興諸国群と組んで急いで作ろうと思わせるための戦略だ。
◆米国の金融バブルはまだ延命しそう
【2018年10月13日】 今の事態を構造的に見ると「悲観説」だが、来週再来週あたりの展開は「楽観説」が正しいように見える展開になる。いずれ巨大なバブルが崩壊し株価暴落・金利高騰・大不況・金地金大幅上昇になる。だがしばらくは、バブル膨張の態勢が延命し、株価は上昇傾向を続け、ジャンク債の金利上昇は止まり(長期米国債金利は上がる)、金相場はいったん再び下落する。確たる自信はないが、そう予測している。
トランプが捨てた国連を拾って乗っ取る中国
【2018年10月11日】 先日の国連総会で起きた最も重要な動きは、トランプの覇権放棄の宣言でなく、トランプが放棄した「国連の主導役」つまり世界的な覇権を、中国がすぐにひろい集め、トランプが捨てた国連を中国が乗っ取ったことだった。
◆米国債の金利上昇は制御崩壊?
【2018年10月6日】 最近の長期米国債の金利上昇が、米当局にとって意図せぬ「危機」なのか、それとも当局が発生を容認・意図した「制御崩壊」なのか、私の中で分析が揺れている。制御崩壊にせよ危機にせよ、長期金利の上昇は、バブル膨張に限界が見えてきたことを示している。バブル膨張できなくなるほど金利が上がり、膨張の行き詰まりに拍車をかけ、いずれ巨大なバブルが崩壊する。バブルの維持が綱渡りになっていく。
◆長期米国債の金利急騰の謎を解く
【2018年10月4日】 今回の長期米国債の金利上昇の理由は、日欧のほか、中国など新興市場諸国が、米国債を買わない傾向になっているからだ。中国は、米国から貿易戦争を仕掛けられ、米国債を買わなくなる傾向だ。米国の当局と金融界はドル防衛のため、資金が新興市場から米国に還流するよう誘導し、世界的にドル高・現地通貨安になっている。このため、為替のリスクヘッジのコストが上がり、日欧や新興市場諸国は、米国債を買っても利益が出ない。外国勢が米国債を買わなくなっている。
◆米国からロシア側に流れゆく中東覇権
【2018年10月1日】 ロシアは何度かイスラエルとイランを停戦・和解させようとしてきたが(少なくとも表向きは)うまくいってない。米国が退潮しているので、時間が経つほどイランが優勢になる。すでにイスラエルと国境を接するシリアとレバノンの両方が、地上軍の面でイランの傘下にある。イスラエルは早くイランと和解した方が良い。だが米イスラエルの安保諜報界では、イランを徹底的に敵視するタカ派(親イスラエルのふりをした反イスラエル派)が強く、イスラエルはイランと和解できないでいる。
米中貿易戦争の行方
【2018年9月28日】 米中経済戦争は長期的に、中国を強化し、米国の覇権を崩壊させる。今後、中国への懲罰関税をやめろという圧力が米産業界から高まる。だが、トランプは課税をやめない。米国では、経済界で反対論が多いが、政界はトランプの敵だった軍産複合体が中国敵視の関税に賛成し、二大政党の軍産系タカ派議員がトランプの中国戦略を支持している。軍産はトランプの対中関税を中国との経済冷戦と呼び、永続化を狙っているが、永続するほど中国に有利だ。
◆韓国と北朝鮮が仲良く米国に和平を求める新事態
【2018年9月23日】 北朝鮮の核問題は従来「同盟国である米国と韓国が、団結して北朝鮮に核廃絶しろと圧力をかける」という構図だった。だが、北朝鮮の平壌で行われた今年3度目の南北首脳会談では「南北統合を望む韓国と北朝鮮が、団結して米国に、北朝鮮との恒久和平(朝鮮戦争の終結)を確立してくださいとお願いする」という、史上初の新しい事態が生まれた。これは、軍産との暗闘で進めなくなっているトランプを支援する意味がある。
◆破綻するまでバブル膨張することにした米国
【2018年9月20日】 リーマン後、米当局が金融システムの健全化を本格的に進めていたら、株も債券も低迷が続き、失われた10年になっていたはずだ。金融の米国覇権やドルの基軸性を維持するためにはその方が良かったのだが、米当局は金融界の圧力に負け、バブルをさらに膨張させる粉飾的・短期的な策にに走った。健全化を放棄するほど、思い切りバブル膨張がやれるので、金融が延命する期間が何年か長くなる。いま米金融システムが意外と長く延命しているのは、健全化を放棄し、バブル膨張や統計指標の粉飾をやり放題にしているからだ。
安倍とトランプの関係は終わった?
【2018年9月17日】 トランプは、覇権放棄の一環として日本を対米自立に追いやっている。安倍は今後、最初はおずおずと、その後はしだいに堂々と、TPPから中露関係までの対米自立策をやるようになるかもしれない。冷戦後、世界的に対米自立・多極化対応は、リベラルな左側ルートより、強権的な右側ルートの方が実現可能性が高い(エルドアンやネタニヤフ。プーチンや習近平)。鳩山小沢が試みて失敗した日本の対米自立・アジアの一員化を、安倍が成功させる可能性がある。
◆シリア内戦 最後の濡れ衣攻撃
【2018年9月15日】 トランプは、バレバレの濡れ衣の開戦事由を作りつつ、ロシアやシリアと戦争すると言って乱入してきた。シリアで今にも米露が世界大戦を起こしそうな今の事態は、軍産をビビらせ、覇権放棄に持っていくためのトランプの策略だ。トランプは、軍産の主流派が「和平の方がましだ!」と叫ぶような無茶で過激な好戦策を突っ走り、軍産をビビらせておいて、戦争しない覇権放棄の方向に転換する。シリアで米露が本格戦争することはない。
◆トランプから離れたサウジ
【2018年9月10日】 イスラムとアラブの盟主であるはずのサウジアラビアが、パレスチナ問題の正義を無視し、イスラエルの傀儡として動くトランプの言いなりになったことは、内外から大きな反発を受けた。トランプの案で和平が成功したならまだしも、事態は全く逆に、和平は頓挫し、アラブの結束が乱れ、イランの台頭を招いた。中東和平だけでなくイラン敵視、カタール制裁、レバノン首相解任、イエメン戦争、アラムコ上場など、MbS皇太子の策はいずれも失敗した。サウジでは、サルマン国王が今春以来、息子MbSの政策を次々と棚上げし、以前の姿勢に戻した。サウジは、トランプから静かに離れた。
トランプに売られた喧嘩を受け流す日本
【2018年9月7日】 16年の米大統領選後、安倍とトランプの個人的つながりが、従来の日本外務省と米軍産複合体のつながりを乗っ取って上書きする政変が起きた。安倍は外務省筋を外し、経産省を重用して政策を進めている。そのため安倍は、トランプから売られた喧嘩を買えない。安倍がトランプと喧嘩すると、それで生じた日米関係の空白を埋める形で外務省が入り込んできて、与野党内の安倍以外の勢力と外務省が結託して安倍を倒し、日米関係(=日本の権力)を外務省が握り直す政変を起こしかねない。
◆印パを中露の方に追いやるトランプ
【2018年9月5日】 トランプ政権の米国が、インドとパキスタンの両方を経済制裁する方向に動いている。米国はこれまで、印パのどちらか一方を味方に、他方を敵方にして均衡戦略を続けてきたが、最近は、歴史的に前例のない両方敵視になっている。しかも米国に敵視されるほど、インドとパキスタンはそろって中国やロシアに接近し、米国抜き・多極型の新世界秩序の一員になる傾向だ。印パは、アフガン安定化策での協調を皮切りに和解を試み、70年間続いた敵対を終わらせようとしている。トランプの印パ敵視策は、非米的な方向での印パの和解につながっている。
韓国は米国の制止を乗り越えて北に列車を走らせるか
【2018年9月2日】 文在寅の韓国は、在韓米軍の制止を振り切って、南北和解の象徴である直行列車の運行に踏み切るのか?。従来の常識からすると、それはない。しかし、何度も書くが、米朝首脳会談後、朝鮮半島の常識は大きく変わっている。加えて、今回直通列車の運行を諦めると、それは韓国が対米従属から脱せないことを示すものとなり、今の南北和解の流れが終わるおそれがある。韓国は、トランプに助けられ、対米従属から自立への臨界点に近づいている。列車運行をあきらめると、韓国は対米従属に戻る「元のもくあみ」になる。それは、トランプにとっても悪い結末だ。
◆日本すら参加しないイラン制裁
【2018年8月30日】 従来は、対米従属が日本の国力の維持発展に貢献していた。だが今はすでに逆だ。対米従属は日本の国力を低下させる。日本が国力を維持したいなら、対米従属をあきらめざるを得ない。今回のイラン制裁への参加問題は、その象徴の一つだ。対米従属を重視してイラン制裁に参加すると、日本はイランの利権を喪失し、国力が低下する。中国にますます追い抜かれる。日本政府は、自分たちの国力を低下させるイラン制裁への参加に、すでに踏み切れなくなっている。
◆中央銀行の仲間割れ
【2018年8月28日】 欧日英の同盟諸国は、米国の覇権放棄に反対している。米国は覇権国として、世界から米国への輸入を旺盛に受け入れ、世界経済の成長を米国の消費が牽引し続けてほしい。世界に低利のドル資金をばらまき続けてほしい。ドルの国際決済を制限しないでほしい。かっぷくの良い覇権国に戻ってほしい。同盟諸国はそう考えているが、トランプに拒否されている。同盟諸国の中銀群は、米国の覇権放棄に抗議してジャクソンホール会議をボイコットした。
ロシアの中東覇権を好むイスラエル
【2018年8月25日】 イスラエルは3方向に敵対問題を抱えてきた。南方戦線のガザのハマス、北方戦線のシリアとレバノンのアサドとヒズボラ、東方の西岸のファタハ(PA)との中東和平の3つである。この3つのうち、北方と南方を、すでにプーチンのロシアが解決している。イスラエルはすでに北方において、アサド、ヒズボラ、イランとの間で「冷たい和平」の停戦に入っている。そして今回、南方のガザでも停戦が発行した。速いテンポで安定化が進んでいる。プーチンの采配をトランプが支持する米露協調なので、イスラエル右派も和平を潰せない。いずれ何らかの形で西岸でも動きがある。
◆2018年秋の世界情勢を展望する
【2018年8月22日】 今年はまだ決定的なバブル崩壊にならない。トランプの戦略は、金融システムの構造的な健全性を積極的に破壊しながら、大統領を2期8年やるために短期的なバブルの延命を実現することだ。金融の健全性を重視するとバブル崩壊が早まるが、トランプは逆に、金融の不健全を拡大して自分の任期が終わるころに金融崩壊(米金融覇権の瓦解)させようとしている。システムを潰すつもりなら、何年かの金融バブルの維持は可能だ。
◆ドル覇権を壊すトランプの経済制裁と貿易戦争
【2018年8月18日】 トルコや中国など新興市場と、トランプの米国との経済戦争は、序盤である今のところ、新興市場の側は資金不足・ドル不足にあえぎ、苦戦している。だが、この戦争が長く続くほど、新興市場の諸国は、ドルでなく自分たちの通貨を使って貿易・投資する体制を整えていく。いずれ、ドルと米国債が敬遠される傾向が増し、米国債金利の大幅上昇が不可避になり、ドルが基軸通貨としての機能を喪失する。トランプは、この流れを意図的に作っている。
中国包囲網はもう不可能
【2018年8月15日】 中国自身、トランプ政権のインド太平洋戦略を、中国包囲網策だと見なさなくなっている。ポンペオが今回インド太平洋の投資戦略を発表した後、中国共産党の機関紙である人民日報(英語版、環球時報)は「米国主導のインド太平洋の戦略は、政治(地政学)的にみると中国包囲網だが、経済(経済地理学)的に見ると、米国側(米日豪)が中国の一帯一路戦略を補完・協力してくれることを意味する。だから、米国のインド太平洋戦略を、中国は歓迎する」という趣旨の論文を載せている。
◆米国から露中への中東覇権の移転が加速
【2018年8月12日】 米国はシリア内戦の平定をロシアに任せてきた。中国は、米国が豹変する可能性を勘案し、中東での覇権拡大をゆっくり目立たないようにやってきた。しかし今回、シリアの内戦終結と同期する形で開かれた7月の米露首脳会談で、内戦後のシリアと周辺地域の運営がロシアに任されることになり、中東で米国の影響力が大きく低下することが確定的になった。中国は以前に比べ、米国を恐れずに中東の覇権を拡大できるようになった。
◆軍産複合体を歴史から解析する
【2018年8月8日】 19世紀に世界の覇権を握った英国が、覇権運営のコストを下げるため、諜報界を使った傀儡化戦略を多用した関係で、英国とその同盟諸国の諜報界のネットワークが、覇権運営を担当した。その体制は現在まで変わっていない。「軍産複合体」は、英国中心の諜報界の一つの姿だ。軍産は、第2次大戦後、英国から米国に覇権が移転した後も、米国覇権の運営を英国が隠然と牛耳るために作り出された諜報ネットワークの特殊な状態だ。
米国の破綻は不可避
【2018年8月5日】 米国の経済覇権の根幹にある債券金融システムがいずれ(2020-2025??)バブル崩壊し、それが米国覇権の終わりになる。このとき、日銀のQEによって米金融をテコ入れしている日本は大打撃を受ける。対照的に、中国やBRICSは、米金融崩壊に備えてドルの使用を減らし、金地金を備蓄しており、金融崩壊からの打撃も少なくなる。先日、中国がBRICSサミットでドル崩壊への準備の加速を決めたのと同時期に、日銀がQEを2020年まで続けることを決め、崩壊が不可避なドルの延命に邁進することにした。中国は賢い。日本は馬鹿だ。
◆最期までQEを続ける日本
【2018年8月1日】 7月31日、日銀が政策決定会合で、QEを今後も長期にわたって続けることを決めた。今回の政策決定は「次回大統領選挙でトランプが再選を果たす2020年まではQEを続ける。QEの資金によって、日本だけでなく米国の金利安(債券高)や株高を維持し、米国中心の債券金融システムの破綻を先送りすることで、トランプ再選に貢献する」という意味だ。対米自立を加速する欧州(ECB)は今年末でQEをやめるが、国が破綻しても対米従属を続けたい日本政府はまだまだQEを続ける。
◆トランプはイランとも首脳会談するかも
【2018年7月29日】 トランプはこれまでイラン敵視一辺倒だったが、今回初めて、イランとの対話の可能性に言及し始め、敵視と対話の両方が交互に出てくる渦巻き型の姿勢に変化した。この変化は画期的だ。トランプはもしかすると、北朝鮮、ロシアに続き、イランとも首脳会談をやって首脳間の信頼関係を築き、軍産が長年続けてきたイラン敵視策を破壊する和解への転換をやるつもりかもしれない。
軍産の世界支配を壊すトランプ
【2018年7月24日】 軍産複合体の一部であるマスコミは、軍産の正体を隠すため、トランプが軍産と戦っている構図を報じない。大半の人々は、マスコミ報道を鵜呑みするしかないので軍産の存在を知らず、素人のトランプが専門家(実は軍産)の助言を無視し、有害で不可解なことを続けていると勘違いしている。実際には、人類の未来を賭けた、トランプと軍産との激しい暗闘が続いている。
◆金相場の引き下げ役を代行する中国
【2018年7月18日】 中国は、金相場を先物で引き下げてきた米国金融勢力と正面切って戦うと勝てないので、まずは金相場を引き下げる方向で人民元の金ペッグを定着させ、いずれ米金融がバブル崩壊して弱体化してから元と金を上昇させる戦略だ。中国が、金相場を引き下げる役目を代行する名目で、人民元の為替を引き下げるなら、米国は元安を容認する。米金融勢力は、金相場を引き下げる手間が省ける。日本を含む米金融勢力は、いずれバブル崩壊して自滅する。中国が急いで対抗する必要はない。
◆中東の転換点になる米露首脳会談
【2018年7月15日】 7月16日のヘルシンキ米露首脳会談を前に、内戦後のシリアの安定化や、米国が抜けた後のイラン核協定、パレスチナ問題など、中東の諸問題の解決役をプーチンのロシアが引き受ける状況が加速している。米露会談は、従来の覇権国だった米国から、シリア内戦を解決したロシアへと、中東地域の覇権を移譲する「移譲式」のような位置づけになることが見えてきた。
意外にしぶとい米朝和解
【2018年7月11日】 米朝首脳会談後、北朝鮮が核開発を続けていると米国で報じられ、トランプは、北朝鮮と軍産複合体の両方から反逆・妨害・試練を受けて窮している。だが、今のようにトランプが米国の北敵視策の再来を防いでいる限り、北は米国からの脅威を感じず、韓国と和解していける。南北の和解は急進展している。この状態が2年も続けば、南北和解が定着し、在韓米軍の撤退や韓国の対米自立が可能になっていく。これがトランプの目標だ。トランプが作った米朝和解の構図は、意外としぶとい。
◆ポスト真実の覇権暗闘
【2018年7月8日】権威ある学者など「専門家」は、ポスト真実の戦略に楯突くと、権威や職を失うことになりかねないので、権威ある人々は楯突かず、むしろ自らの権威を維持増強するために積極的にポスト真実の戦略に乗って軍産的な歪曲解説を声高に言う人が出てくる。それにより、大学や学術界の知的な価値が大きく下がった。マスコミの多くは、軍産傀儡の「専門家」ばかりを使うようになり、そういった専門家の権威が上昇し、反逆者の権威が剥奪され、軍産による事実歪曲はますます強固になった。
米露首脳会談の最重要議題はシリア
【2018年7月3日】 ヘルシンキで行われる米露首脳会談の隠れた立役者はイスラエルでないかと、私は勘ぐっている。イスラエルは、米国とロシアに別々に頼んでもらちが明かないので、米露に首脳会談させてシリアの今後のあり方を決めてもらい、その中に、イランやヒズボラの追い出しを盛り込ませたい。ネタニヤフが米露首脳会談の実現を望めば、軍産との闘い上、トランプも喜ぶ。