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【 02 】
03 30 (金) 北朝鮮の動き 日中韓
いろいろな情報により、トランプ氏がアメリカファーストの旗を掲げて政権の座を射止めたのは、アメリカの軍産連合政治勢力を向こうに回して、覇権強国を脱して多極化を図り経済優位の国家を目指したものとの見方があるようです。
北朝鮮の核開発を断固阻止するという一つの方針は、地球上には戦争を阻止しようという大目標を立てているという見方が出てきた。 米国の軍産連合は戦争を仕掛けてもうけを追求してきたという考え方を脱するのが底流にあるというのである。 そのための陽動作戦としての軍備増強や強圧的手法をとってきたとみる見方によっている。 果たしてこの見方がトランプ氏の心底にあるがどうかはまだわからない。
だが手法はどうあれ、北朝鮮が核放棄を打ち出して動き始めたのは事実だった。 トランプ氏は中国の手を取り合おうとしていることも底流にあるという。 核問題は中国に任せ、貿易関係では赤字を減らすという陽動作戦も使って、共産主義を奉ずる国家とは一線を画す覚悟だろうというのである。
こうした見方がどうであるかは、国家間の動きの一つ一つをとらえてみる見方では間違いを生ずる。 歴史の動きを10年単位くらいにし巨視的な見方考え方をしなければ、施錠の胎動を動かすことはできないとみていいのかもしれない。
ともあれ、こうした国家権力の推移とは別に、ピケティ氏が指摘している資本主義による格差の広がり、別の見方をすれば世界中の一人一人の心の中の経済に係わる不平等感は、手直しを考えていかなければ経済に係わる紛争は絶えないこととなる。
こう考えてくるとピケティ氏の指摘は、トランプ氏の動きに連動しているともいえるのかもしれない。 というのは、格差不平等の様相を国家間や地域間或いは一国の国内政治においても変化の様相を表しているとみてもいい。 ピケティ氏の考えは世界に大きな胎動を巻き起こすことになっているとみてもいいということになる。
こうしたことを含めてみると、東アジアの変化は東アジアブロックとしての経済変化の動きに連動しているのかもしれない。 単にトランプ氏の思い付き外交という批判は微視的な判断の結果であるとみてもいい。 歴史的な見方を温故知新という言葉でとらえるとすれば、イギリスの歴史家トインビー氏のいう東アジア経済ブロックへ日本は組み込まれていくことになる。 とすれば中国の働きによって北の核開発が終り半島の南北がやっと統一され、日本がUSAの配下から抜け出して中国と親交を深め東アジア経済ブロックが出来上がることとなる。
戦争時代を卒業するには歴史の胎動を深く考察して卒業論文を書き上げ、それの実現へ一歩一歩進めることが大事な道程となる。 さて、果たしてこのように考えて日本が進んでいくことがいいのかどうか、みんなで検討を重ねていかなければならない。 軌道修正は常に必要なのである。
具体的な歴史事象を拾っていこうと思います。
い 南北首脳会談と正恩氏「電撃」訪中
ア 南北首脳会談、来月27日 非核化など、議題は継続協議
ソウル=武田肇、牧野愛博
https://digital.asahi.com/articles/DA3S13427358.html
韓国と北朝鮮は29日、文在寅(ムンジェイン)大統領と金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長による首脳会談を、4月27日に板門店の韓国側施設「平和の家」で開くことを決めた。板門店で開いた南北高官協議で合意した。韓国は朝鮮半島の非核化問題を取り上げることに意欲を示したが、議題は決まらなかった。4月に改めて高官協議を開き、引き続き協議する。▼3面=非核化議題に慎重、11面=元韓国統一相に聞く
高官協議には韓国の趙明均(チョミョンギュン)統一相、北朝鮮・祖国平和統一委員会の李善権(リソングォン)委員長らが出席。首脳会談に向けて儀典と警護、報道の実務協議を4月4日に板門店で開くことでも合意した。さらに南北首脳間ホットラインの開設などを巡る実務協議の日程を今後決め、文書交換の方式で協議を続けるとした。
南北首脳会談は11年ぶり。趙氏は記者会見で、朝鮮半島の非核化、平和定着、南北関係の進展――の3項目を主要議題としたい考えを示したが、「もう少し時間をかけて具体的に決める方が良いという認識で一致した」と語った。
李氏は協議後、記者団に「議題は、北南関係で提起される問題全てを扱う。民心が望むものが我々の議題だ」と語り、具体的な説明を避けた。朝鮮中央通信も29日夜、「高官協議が開かれた」と伝えたが、首脳会談の議題のほか、日時にも触れなかった。
南北首脳会談は、2000年と07年に続いて3回目となる。26日の中朝首脳会談、5月に開く予定の米朝首脳会談と連動したものになる。国際社会の関心は、北朝鮮が核・ミサイル開発を放棄するかどうかに集中しているが、南北首脳会談では具体的な論議に踏み込めない可能性がある。
一方、中国共産党の楊潔チ(ヤンチエチー)政治局員が29日、習近平(シーチンピン)国家主席の特使としてソウルを訪問し、韓国大統領府の鄭義溶(チョンウィヨン)国家安保室長と会談した。大統領府によると、中朝首脳会談の内容について詳細に説明し、南北、米朝首脳会談の成功に向け協力を続けることで一致。朝鮮半島の非核化と平和の定着に向けて中韓が協力する具体案も協議した。楊氏は30日、文大統領と会談する予定だ。
■共同報道文(骨子)
・4月27日、板門店の韓国側施設「平和の家」で首脳会談
・儀典と警護、報道の実務協議を4月4日、板門店の韓国側施設で開く
・その他の実務問題については文書交換の方式で協議を続ける
▼3面 (動く朝鮮半島)
イ 北朝鮮、非核化議題に慎重 11年ぶり首脳会談、来月板門店で
ソウル=牧野愛博 ソウル=武田肇
https://digital.asahi.com/articles/DA3S13427257.html
11年ぶりとなる南北首脳会談が、4月27日に板門店の韓国側施設で開かれることが決まった。今月29日の南北高官協議で韓国側は、北朝鮮の非核化や南北関係の改善に強い意欲を表明。一方、北朝鮮側は対話には前向きな姿勢を示しつつも、非核化の問題に踏み込むのは避け、対話の実現に前のめりな中韓を取り込んで有利な立場で対米交渉に臨みたい思惑がちらつく。▼1面参照
■米との直接交渉へ温存か
「(南北高官協議が)うまくいったのは、北南関係改善と朝鮮半島の平和・安全を望む、我々民族の熱望があったからだ」。北朝鮮の李善権(リソングォン)祖国平和統一委員長は29日、何度も「民族」という言葉を繰り返した。
同委員会のウェブサイト「わが民族同士」は29日、「今日の朝鮮半島情勢は、外部勢力依存を排撃して解決する」と主張。米国に頼るのではなく、南北朝鮮主導で問題解決を図るべきだとの考えを示した。
韓国政府元高官は「核の即時廃棄を迫る米国に対抗するため、中国に続いて、米朝の衝突を嫌う韓国も味方に引き入れたいのだろう」と語る。
対米交渉を前に、対話に前向きな中韓を引き入れようとする一方、北朝鮮は29日の南北協議では、核・ミサイル開発など安全保障の問題について話し合うかははっきりさせなかった。
北朝鮮は5日の韓国特使団との合意で、「対話が続く間、韓国に核兵器や在来式兵器を使わない」と確約した。元高官は「韓国は北朝鮮の安全保障の相手ではないとの意味が隠されている」とし、核・ミサイル問題は米国と直接交渉するとの意思表示だと分析する。
北朝鮮が、韓国政府が29日も使った「朝鮮半島の非核化」との言葉を利用し、韓国における米国の「核の傘」を弱めようとする可能性もある。韓国の専門家の間では、北朝鮮が非核化に応じる代わり、核兵器も搭載可能な米戦略爆撃機などの朝鮮半島への派遣禁止を求めるのではないかとの懸念が広がっている。
朝鮮中央通信も、26日の中朝首脳会談で核問題を協議したかは言及を避けた。米韓関係筋は「言質を取られないよう慎重に振る舞っている」とし、非核化にどんな態度で臨むかは温存していると分析する。
北朝鮮は中朝会談に、南北関係と米朝関係をそれぞれ担当する金英哲(キムヨンチョル)党副委員長と李容浩(リヨンホ)外相を同席させた。脱北した北朝鮮の元外交官は「中朝や南北、米朝の各首脳会談を通じた緻密(ちみつ)な外交戦略を組み立てている証拠だ」と語った。(ソウル=牧野愛博)
■韓国「少し時間かける」
「(南北首脳会談の)開催日が確定し、これで本格的な準備手続きに入れるようになった」
韓国の代表団を率いた趙明均(チョミョンギュン)統一相は協議終了後、記者団を前に胸を張った。ただ、焦点だった首脳会談の議題については「十分に意見交換があったが、首脳間で話し合われる事項であり、少し時間をかけて表現を定めることで認識を共にした」と語るにとどめた。
今回で3回目となる南北首脳会談で、非核化が中心議題になるのかどうか現時点でははっきりせず、4月に再度開かれるとされる高官協議に持ち越された。
過去2回の首脳会談を実現した金大中(キムデジュン)大統領と盧武鉉(ノムヒョン)大統領はいずれも北朝鮮に「太陽(包容)政策」をとった革新(進歩)系。文在寅(ムンジェイン)政権はその流れをくみ、南北首脳会談を通じて核問題を解決に向かわせたい考えだ。文氏を支える「共に民主党」は「北の国家首班が初めて南側地域を訪問し、首脳会談を開くことを心から歓迎する。歴史的事件だ」との談話を出し、手放しに喜ぶ。
ただ、これまでの首脳会談では北朝鮮の核・ミサイル開発を阻めなかった。保守系の野党には、非核化の道筋が何も見えないなか、文政権の前のめりな姿勢が、かえって安全保障を危うくするとの警戒がある。
韓国の保守系の最大野党・自由韓国党の報道官は「今回の首脳会談はもっぱら北の核放棄に焦点を合わせなければならない。南北対話を口実に北への圧力と制裁が緩和されてはならず、南北交流と対話は米韓協力を土台にするべきだ」とする論評を出した。
保守系野党「正しい未来の党」も「中途半端な平和主義で、安全保障の空白やさらに大きな脅威を作る愚を犯してはならない」と警戒を示す。(ソウル=武田肇)
▼11面
ウ 中国の要請を再三無視 米国へ連絡、会談の翌日 正恩氏「電撃」訪中
ソウル=牧野愛博
https://digital.asahi.com/articles/DA3S13427339.html
北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長が自ら「電撃的だ」と語った中国訪問。外交筋によれば、中国にとっても予想外の展開だった模様だ。日米韓は北朝鮮の突然の行動に振り回された。▼1面参照
外交筋によれば、北朝鮮は中国から正恩氏の訪中を繰り返し要請されていた。昨年11月には、訪朝した習近平(シーチンピン)国家主席の特使に要請されたが、正恩氏は面会すら拒んだという。今年2月にも平壌の中国大使館を通じて2度要請されたが、北朝鮮は無視したという。
雰囲気が一変したのは、今月に入ってからだという。正恩氏は5日、韓国特使団と会談し、南北首脳会談を受け入れた。8日には米朝首脳会談も決まった。中国から会談内容を説明する高官の派遣を要請された北朝鮮は、これまでと一転して、正恩氏本人の訪中が可能かどうか打診。習氏の招待を受け入れたという。
中朝両国は、正恩氏の訪中を隠し通した。日米韓は衛星による情報で、金正日(キムジョンイル)総書記も使っていた特別列車が平壌を出発した事実を25日までに確認したが、正恩氏が乗車しているかどうか確信が持てなかった。
外交筋によれば、会談の事前協議や警備のために北京に入った北朝鮮の先発隊や列車の動きなどで、金総書記の訪中時と異なる点があった。情報分析者らは判断を迷ったという。
最終的に中国から米ホワイトハウスに中朝首脳会談があったことが連絡されたのは、会談の翌日だった。
外交筋の一人は「東アジア情勢で主導権を握りたい中朝両国の思惑が一致した結果だろう」と語った。
04 03 (火) 関税の争い 中米
あくまで現実の政策の動きの記録として残す。
う 関税の争い
ア 貿易、報復激化の恐れ 中国、米に関税128項目発動
北京=福田直之 ワシントン=青山直篤
https://digital.asahi.com/articles/DA3S13433676.html
中国政府が米国からの輸入品128項目に2日から最高25%の高関税をかけると発表し、米中貿易戦争になりかねない展開に緊張が高まっている。米国は知的財産の侵害を理由に、さらに中国製品に高関税をかける構えだ。一方、水面下では、難題を突きつけて譲歩を引き出すトランプ米大統領による「ディール(取引)」で、落としどころを探る動きも進みつつある。▼2面=トランプ基盤恐々、26面=識者に聞く
中国は、米国から輸入する果物やワイン、シームレス(継ぎ目なし)鋼管など120項目に15%の税率を、豚肉など8項目に25%の税率を上乗せした。米国が、安全保障への脅威を理由に中国産などの鉄鋼・アルミニウム製品に高関税を3月23日にかけたことへの対抗措置だ。
米国から仕掛けられた形の高関税措置に、中国側は激しく反発してきた。中国商務省の研究機関、国際貿易経済協力研究院の梅新育・研究員は中国側の報復措置について、「『歯には歯を』で対応する決心だ。貿易戦争はすでに始まっている」と指摘する。
米国は今後、知的財産権の侵害があったとして、中国に対してさらなる関税措置をとる方針だ。中国はこれに対する報復措置を示唆しており、制裁や報復の応酬が激化する恐れもある。
一方、米国は新たな関税措置を発動する前の実質的な猶予期間を30日から60日に延長しており、両国が水面下で妥協策を探る動きも広がる。トランプ政権は関税を武器に一定の譲歩を引き出すのが狙いとの見方もある。
▼2面 (時時刻刻)
イ 報復、トランプ基盤恐々 中国関税、農産品軸 米、製造業に波及懸念
北京=福田直之、冨名腰隆、ワシントン=青山直篤 (南日慶子)
https://digital.asahi.com/articles/DA3S13433594.html
【図示説明】中国のさらなる報復はトランプ米大統領の支持基盤を直撃
米国のトランプ政権が発動した中国からの鉄鋼・アルミニウム製品の輸入に高い関税をかける措置に対し、中国が素早く報復措置で応じた。米国の農産品などの輸入に高い関税をかけると発表。米中貿易戦争への緊張感が一層高まった。トランプ氏が考える次の措置は両国の経済を傷つける両刃の剣だ。水面下では妥協点を探る動きも進む。▼1面参照
中国側の「反撃」は素早かった。3月23日に計画を公表した米国への報復措置について、意見を募るパブリックコメントが終わったのは31日。翌4月1日付で通知を発し、2日には実施した。「米国のやり方に屈しない」という国内向けのアピールとみられる。
中国は抵抗する姿勢を示す一方、話し合いでの解決にこだわる姿勢を貫く。中国が自任する、保護主義に対抗する「自由貿易の守護者」役を世界にもアピールする狙いがありそうだ。
米中間の緊張が高まった構図だが、中国米国経済学会の王孜弘副会長は「これは貿易戦争の前哨戦にすぎない」との見方を示す。
米国のトランプ大統領は、中国による知的財産の侵害に関する「通商法301条」の調査に基づき、関税などの制裁措置をかける大統領令に署名。600億ドル(約6・3兆円)の輸入品に関税をかける意向だ。
中国側は大豆や自動車、航空機など米国の輸出に占める中国の割合が高い項目で報復措置をとるとみられている。2日に始まった鉄鋼関税への報復でも、対象とした128項目のうち約7割が農産物関連だった。
米国が知財侵害を理由にかける新たな制裁措置に対抗するため、米国から輸入する大豆に新たな関税をかける中国の対応策が、現実味を帯びつつある。
米国内では不満や懸念も広がっている。
中国による知的財産の侵害は、従来はITや軍事産業で優位に立っていたものの、中国の先端技術の急速な発展を恐れている米国にとって長年の懸案だ。トランプ氏は11月の中間選挙を見すえ、「アメリカ第一」に共鳴する支持層に訴えかけようとしている。
ただ、中国向け輸出を重要な柱とする農業や、原材料の輸入価格に響く製造業などで報復を恐れる声が上がる。主要ロビー団体の一つ、米国農業連合会は3月23日、「地方にとって重要な産業を傷つけない形で解決するべきだ」と訴えた。
ミネソタやノースダコタ、アイオワなどの州の一帯は「ファームベルト」と呼ばれる農業地域で、共和党支持が根強い。ただ、今回の報復関税の対象となる豚肉などの主要産地でもあり、農家に打撃が避けられない。中間選挙でカギを握る上院の改選対象の州も含まれ、反発が強まればトランプ氏にとって痛手だ。
航空機や自動車の輸入に関する報復も取りざたされており、実施されれば、トランプ氏を支えるラストベルト(さび付いた工業地帯)をも直撃する。中国は米国債の購入などで米国に巨額の投資をしている。中国が購入を減らせば、金利高騰などで世界経済の混乱は避けられない。米金融界にも摩擦回避を求める声が強い。
■妥協点、模索する動きも
緊張が広がる両国だが、水面下では妥協に向けた動きがある。米国は3月下旬、知的財産権の侵害を理由にした制裁を発動する前に30日間実施するはずだったパブリックコメントの期間を、60日に延長。両国が話し合える期間が延びた。
米紙ウォールストリート・ジャーナルによると、米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表らは3月下旬、中国の劉鶴(リウホー)副首相に書簡を送った。米側の条件は米国製自動車への関税削減や、半導体の輸入の増加、金融市場の開放など。半導体は輸入先を日本などの企業から米国にするよう求める可能性もある。ムニューシン財務長官の訪中も検討されているという。
中国は4月、新たな対外開放措置を打ち出す方針だ。メニューには米国が要求したとされる金融分野での「一連の改革開放政策がある」(易綱・中国人民銀行総裁)とされる。
ただ、中国外交筋は「対米関係は最重要だが、すべて譲るほど追い込まれていない」と語る。両国関係で重要な朝鮮半島問題では、習近平(シーチンピン)国家主席はトランプ氏より先に北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長と会談。存在感を高め始めている。
貿易以外の要素も考慮しながら、落としどころを探る検討が進みそうだ。
■日米首脳会談、関税問題も焦点
米国との貿易摩擦といえば、日本も1970年代から90年代前半にかけて苦しんできた。当時、米国の貿易赤字全体に占める日本の割合は最大で約半分。繊維に始まり鉄鋼、半導体、自動車などの分野で輸出を自主規制することなどにより対応してきた。
代わりに米国の貿易赤字全体に占める割合を増やしていったのが中国だ。米国のモノの対中貿易赤字は2017年に3752億ドル(約40兆円)。全体に占める割合も5割近くに上る。
トランプ政権が導入した鉄鋼・アルミ製品への新たな関税の対象国には、日本も含まれる。だが、むしろ日本側の懸念は、米国の強硬路線に対抗した中国の報復措置で、世界貿易機関(WTO)ルールに基づいた貿易体制が揺らいでしまう可能性があることだ。経済産業省幹部は「中国の対抗措置がエスカレートすると、自由貿易体制の不安定化につながりかねない」と話す。
4月中旬には、日米首脳会談が予定されている。トランプ氏は3月10日、日本との貿易赤字が「公平でも持続的でもない。すべて改善されるだろう!」とツイート。韓国のように今回の関税対象から除外する代わりに、逆に何らかの譲歩を日本側に求めてくる可能性もある。(南日慶子)
■「鉄鋼」と「知財」、対中制裁の流れ
<3月8日★> 米、中国などからの輸入鉄鋼に25%、アルミに10%の新たな関税をかけることを決定
<3月9日★> 米の決定に中国が報復を表明
<3月22日> 米、中国による知的財産の侵害に関する「通商法301条」の調査に基づき、関税などの制裁措置をかける大統領令に署名
<3月23日★> 米、鉄鋼製品などへの新たな関税を適用。中国、鉄鋼関税に報復し、128項目の米国産品に新たな関税をかける計画を公表
<3月31日★> 中国の報復関税の計画に対するパブリックコメントが終了
<4月2日★> 中国、128項目の米国産品への報復関税を開始
<4月6日以前> 米、中国への制裁対象商品のリストを制定。パブリックコメントへ
<6月上旬> 米国、パブリックコメントが終了、対中制裁発動へ。中国も報復措置へ
※日付は現地時間。★は鉄鋼、それ以外は知財
▼26面 識者に聴く
ウ 米中「貿易戦争」リスク、識者は 猪木武徳氏、川島真氏
https://digital.asahi.com/articles/DA3S13433547.html
新たな貿易戦争の始まりか――。米国のトランプ大統領が打ち出した貿易制裁措置が波紋を広げている。安全保障を理由に鉄鋼とアルミの輸入品に高関税を課すほか、知的財産の侵害があったとして中国への制裁措置を指示。中国は2日、報復に踏み切り、世界の2大経済大国の争いが本格化した。米国の保護主義への傾斜を歴史的にどう捉えればいいのか。中国は新たな自由貿易の旗手となるのか。経済史、中国外交の専門家に聞いた。
■「文明」世界、野蛮へ回帰 猪木武徳・大阪大名誉教授(現代経済史)
戦後世界の自由貿易体制は、多国間での関税引き下げを目標に交渉が重ねられてきました。主導的な役割を担ったのは米国です。
ただ元来貿易依存度の低かった米国は、農業国として保護主義に徹し、19世紀には4割、5割の高関税率を採ることが普通でした。
米国では第1次大戦前に、連邦所得税が憲法の修正条項で導入されました。それまでは関税収入が税収の半分を占めるほどでした。
第1次大戦後も米国は保護貿易への傾斜を繰り返します。不況下の1930年、フーバー大統領は国内産業保護のため、極端な高関税政策を打ち出した。関税の報復合戦を招き、貿易量を大きく低下させ、不況を深刻化させました。
80年代のレーガン政権も、巨額の貿易赤字を生んでいた日本の自動車輸入に高関税を課します。超党派の米議会予算局の報告書は、レーガンの保護主義政策は米国の基幹産業の国際競争力を回復させなかったと結論づけています。
トランプ氏の政策もレーガン時代と同じです。米国の製造業の雇用減少に対する中国製品の影響は1~2割程度でしかないにもかかわらず、それがすべてだというわけです。経常収支の大きな赤字は米国内の貯蓄が不足しているところに根本原因があるという点を直視しない。保護によって大きな利益をうける有権者の支持を得るためです。他方、コストは一般消費者に薄く広がるだけなので強い反対は表面化しません。これは民主主義が持つ弱点です。
世界情勢に目をむけると、統合されつつあった「文明」世界から分離・離脱を目指す一国主義への動きが目立ちます。共存のための知恵=文明が忘れられ、「野蛮」へと回帰している。米国の保護主義政策は、長期的には世界経済全体にとって大きな不利益となるでしょう。(聞き手・高久潤)
■中国の「自由」、独自の論理 川島真・東京大教授(アジア政治外交史)
中国が自由貿易の旗手に見えてしまう側面が今回、確かにあります。しかし、中国政府が貿易や経済で使う「自由」という言葉は、米国や日本が使ってきた自由と同じでしょうか。答えはノーです。
確かに中国は、西側の経済や貿易のルールを基本的に受け入れて経済発展した。しかし資本主義国でも民主主義国でもありません。
中国共産党は独裁統治を安定させるため、国民からの支持を常に必要としています。また重要産業は国有企業が担い、それが党の地盤でもある。国有企業が国際競争に負けたりすれば、自国経済をコントロールできなくなります。だから中国は、一部業界で他国製品に関税をかけたり外資による投資を規制したりして自国の雇用や産業を守る政策をやめられない。
自分が輸出する局面では相手に自由貿易を訴えても、自らの市場に入ってくるものには規制や障壁を設けているのが実態です。
米国が貿易戦争を仕掛けられるのは、経済的にまだ中国より強いからです。ただ、今回の強力な制裁発動は中国に負の教訓を与えるでしょう。「経済力の強い国は弱い国に圧力をかけられる」との教訓です。この手法を中国が学んで実践したら、された国はより弱い国に同じことをする。市場を閉ざす保護主義が広がり、中国も製品の売り込み先を失うでしょう。
世界1位と2位の経済大国が「自分だけは国際ルールに縛られなくてよい」と考える例外主義者になるようなことがあっては困る。3位の日本は、米・中が行使する例外の幅を小さくさせる努力をすべきです。幸い日本には1980年代の日米経済摩擦の経験がある。米国の圧力に抗して粘り強く交渉し、産業競争力を可能な限り維持して生き残った。あの経験を中国と共有していくべきです。(聞き手 編集委員・塩倉裕)
エ 米中貿易、報復合戦 対中1300項目/対米で大豆・車
ワシントン=青山直篤、北京=福田直之
https://digital.asahi.com/articles/DA3S13436963.html
【解説】中国の産業政策を巡る米中の対立
中国政府は4日、知的財産の侵害などを理由に中国産品に25%の高関税をかけるとした米国の制裁案に対抗し、米国産の大豆や自動車、航空機など106項目に同率の関税を上乗せする報復案を発表した。米国の制裁案について、世界貿易機関(WTO)に提訴した。経済大国どうしの異例の報復合戦に発展している。
不公正な貿易慣行に制裁する「通商法301条」に基づく米国の制裁案発表から約10時間後、中国政府が即座に報復案の発表に踏み切った。対象項目の総額は米国と同じ約500億ドル(約5・3兆円)とした。
4日のニューヨーク株式市場では、米中の貿易摩擦が深刻化する懸念からダウ工業株平均が一時、前日から500ドル超下落した。
米政府は、米国の先端技術が不正に中国に流出してきたとし、半導体装置などハイテク分野を中心に約1300項目を制裁対象とした。対する中国は、米政府の国内向け補助金で中国の農家に悪影響が出ているとして大豆を挙げたほか、自動車や航空機のようにトランプ米大統領の支持基盤であるラストベルト(さびついた工業地帯)を直撃する項目を対象にした。
発動されれば双方にとって大きな打撃となるが、米国側は実際の発動までに約2カ月の猶予を設けた。中国側も米国の動きを見て判断する方針だ。財務省の朱光耀次官は4日の記者説明会で「双方は机の上に問題を並べた。現在は話し合いの時間になった」と、対話による解決を呼びかけた。
■米、ハイテク分野警戒
自由な国際貿易秩序の旗手だったはずの米国が、自国第一の姿勢をむき出しにする背景には、ハイテク分野で台頭する中国への疑心暗鬼と警戒感がある。
「中国に知的財産を盗まれている」。トランプ米大統領は3日、記者団にそう述べた。軍事力にも直結する情報技術の先端分野で、中国が米国の知的財産を不正に入手し、覇権を握ろうとしているのではないか――。こうした懸念は民主党のオバマ前政権当時から引き継がれてきたものだ。
ただトランプ政権は、自国の自由な制度が中国につけ込まれているという「被害者」の側面を強く打ち出す。それがなりふり構わない制裁発表につながった。
関税対象の約1300項目には、ハイテク分野を網羅。中国政府が2015年、先端技術を育てるために打ち出した産業政策「中国製造2025」を特に危険視している。トランプ政権は外国人の投資を審査する「対米外国投資委員会(CFIUS)」の役割を強化。共和党だけでなく民主党も加わり、権限を強める改正法案を議会に出しており、可決の見通しが強い。
中国が航空宇宙や通信など先端分野で技術の差を縮めているのは事実だ。中国政府によると、発明特許出願数は7年連続で世界1位。すでに、米国が懸念する外資からの強制的な技術移転の段階から抜け出しつつあるとの見方も強い。
■水面下、妥協点探る
米国は今回の制裁措置とは別に、安全保障を理由とした「通商拡大法232条」による鉄鋼・アルミ製品への関税をすでに発動。中国も2日から米国産ワインなどに高関税をかけて報復した。いずれもWTOのルールを逸脱するものだが、仮に「通商法301条」による制裁が実施されれば、その影響の大きさは「232条」の比ではなさそうだ。
関税が検討される対象総額は米国が中国から17年に輸入した額の約1割に上る。影響が大きすぎるだけに、双方とも実際の発動までに猶予期間を設定しており、今後、水面下で妥協点を探る動きが本格化する。
トランプ氏は4日、「我々は中国と貿易戦争はしていない。貿易戦争は何年も前に、愚かで無能な米国人のせいで負けた」とツイート。3日には、「習近平(シーチンピン)国家主席を尊敬している」と中国への好意も訴え、「ディール(取引)」の余地が大きいことをにじませた。中国の朱財務次官も4日の記者会見で「貿易戦争が起きるのを望まない」と懸念を示した。
ピーターソン国際経済研究所のジェフリー・ショット氏は「現実的な合意がありうるのか、見極める必要がある」と話す。(ワシントン=青山直篤、北京=福田直之)
04 05 (木) 日本の外務大臣関税の争い 井の蛙
あくまで現実の政策の動きの記録として残す。
え 日本外務大臣の認識
ア 河野氏「核実験」発言が波紋 中国「足引っ張らないで」
田嶋慶彦
https://digital.asahi.com/articles/ASL445RSJL44UTFK00R.html?iref=com_alist_8_06
河野太郎外相が先月31日、北朝鮮について「次の核実験の用意を一生懸命やっている」と発言したことが、波紋を呼んでいる。
河野外相、米研究グループに反論 北朝鮮の核実験兆候 ➡
北朝鮮「次の核実験の用意、見える」河野太郎外相 ➡
米ジョンズ・ホプキンス大の北朝鮮研究グループ「38ノース」は今月2日、「活動は減少しており、外相の発言は衛星画像では裏付けできない」と指摘し、河野氏の発言を否定した。
さらに中国外務省の耿爽副報道局長も3日の記者会見で、河野氏の発言を念頭に「朝鮮半島問題を対話で解決するという努力をしている最中に、足を引っ張らないでほしい」と批判。北朝鮮をめぐって各国の外交が活発になる過程で「日本は冷遇されている」とも述べた。
「38ノース」の指摘に対し、河野氏は3日の閣議後記者会見で、「様々公開されている情報で、実験場を含む核関連施設での活動は続いている」と反論した。河野氏側には、北朝鮮で核実験に向けた動きがあるとの分析結果を示すことで、国際社会に北朝鮮の核ミサイル問題で安易に妥協することがないようクギを刺す狙いがあるとみられる。(田嶋慶彦)
イ ➡河野外相、米研究グループに反論 北朝鮮の核実験兆候
https://digital.asahi.com/articles/ASL433GXRL43UTFK006.html?iref=pc_extlink
河野太郎外相は3日の閣議後会見で、北朝鮮の新たな核実験に向けた兆候について「公開されている情報を見る限り、実験場を含む核関連施設での活動が続いている」と改めて訴えた。米ジョンズ・ホプキンス大の北朝鮮研究グループ「38ノース」の指摘に対し、反論したものだ。
河野氏は先月31日の講演で、「北朝鮮の核関連施設の周辺での動きがいまだに続いているのは、かなりはっきりしている」と指摘。さらに「核実験の実験場でトンネルから土を運び出し、次の核実験の用意を一生懸命やっているのも見える」と語った。
これに対し、38ノースは今月2日、ホームページで「北朝鮮が次の核実験を準備しているとの日本外相の発言は衛星画像とは異なる」と指摘。「3月23日の画像は過去数カ月と比較して実験場での活動が著しく減少している」として、差し迫った新たな核実験の兆候は見当たらないとの考えを示していた。
ウ ➡北朝鮮「次の核実験の用意、見える」河野太郎外相
https://digital.asahi.com/articles/ASL30671BL30UTFK00M.html?iref=pc_extlink
河野太郎外相(発言録)
いまだに北朝鮮は、自ら非核化にコミットするとは言っていないし、様々な情報で北朝鮮の核関連施設周辺での動きというのは、いまだに続いているというのがかなりはっきりしている。核実験をやった実験場で、一生懸命トンネルから土を運び出して、次の核実験の用意を一生懸命やっているというのも見える。
(北朝鮮が)韓国と対話をやる。米朝も対話をやる。日本は何もやらなくて良いのかという評論家がいるが、別に構わない。一カ国が北朝鮮と何かをやろうというのではなくて、国際社会をあげて、米国が代表して北朝鮮と対話するということだから、焦る必要はまったくない。(高知市での講演で)