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続折々の記 2019⑥
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日米安保破棄 トランプ氏の私的な会話、米報道
【 03 】06/25~
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14070346.html?ref=pcviewer
06 26 (水) 日米安保破棄 トランプ氏の私的な会話、米報道
米ブルームバーグ通信は24日、トランプ大統領が最近、親しい人物との私的な会話のなかで、日米安全保障条約は不平等として、破棄する可能性について言及したと報じた。日本が他国から攻撃を受けると米国が防衛の義務を負うのに、日本には米国を防衛する必要がないことを「一方的」などと批判したという。▼3面=透ける本音
同通信は事情に詳しい3人の関係者の話として報じた。トランプ氏は日米安保条約の破棄を語ったが、具体的な動きはなく、複数の米政府当局者も「そのような動きはあり得ない」と指摘しているという。
日米安保条約では「日本国の施政の下にある領域」での武力攻撃について、日本と米国が「共通の危険に対処するように行動することを宣言する」と明記。米国には集団的自衛権を行使して日本を防衛する義務があり、日本には米軍に基地を提供する義務がある。
同通信によると、トランプ氏は日米両政府が進める沖縄の米軍基地の一部返還について、「土地の収奪」として金銭補償を日本側に求める考えも示したという。米軍普天間飛行場(宜野湾市)の土地は、約100億ドル(約1兆700億円)の価値があると発言したという。
また、トランプ氏は24日、原油輸送の要所、中東ホルムズ海峡について、「中国は原油の91%、日本は62%、海峡経由で輸入している。なぜ我々が他国のために無報酬で航路を守っているのか。自国の船舶を(自国で)守るべきだ」とツイッターで訴えた。
一方、菅義偉官房長官は25日午後の記者会見で、同通信の報道について「報道にあるような話は全くない。米大統領府からも米国政府の立場と相いれないという確認を受けている」と述べた。(ワシントン=土佐茂生)
▼3面=透ける本音
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14070271.html?ref=pcviewer
透ける本音 安保破棄に言及
日米安保条約はprintして利用できるようにしてある
【日米安保をめぐるトランプ米大統領の発言】2016年8月5日、アイオア州の選挙集会主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)で来日直前のトランプ米大統領から、日米同盟の根幹を揺るがしかねない発言が飛び込んできた。米ブルームバーグ通信は、同氏が日米安全保障条約の破棄に言及したと報じた。真意は定かではないが、同盟を軽視するこれまでの姿勢に沿うものだ。「日米関係は最強」と蜜月をアピールする安倍政権だが、衝撃と不安を隠しきれない。▼1面参照
日本が攻撃されたら我々は軍事力を行使しなければならないが、我々が攻撃されて
も、日本人は何もせず、家でソニーのテレビを見ていられる。
2016年9月26日、大統領選の最初のテレビ討論会
日本のことに関して言えば、私はすべての同盟国を助けたい。しかし、我々は巨額の
金を失っている。世界の警察官にはなれない。
2019年6月24日、トランプ氏のツイッター
日本は原油の62%を(ホルムズ)海峡経由で購入している。なぜ我々が他国のために
無報酬で航路を守っているのか。自国の船舶を(自国で)守るべきだ。
2019年6月24日、米ブルーグバーグ通信の報道
日米安全保障条約を破棄することに言及
■通商と安保、日本を牽制か
同通信によると、トランプ氏はごく近い人物との私的な会話で、日本が他国から攻撃を受けると米国が日本を守る義務があるのに、日本には米国を守る必要がないことに「一方的だ」と不満を漏らしたという。
24日には、米国とイランの緊張が続く中東ホルムズ海峡について、日本や中国を名指しして「なぜ我々が他国のために無報酬で航路を守っているのか。自国の船舶を(自国で)守るべきだ」とツイッターで訴えた。
同海峡付近では今月中旬、日本の海運会社が運航するタンカーなど2隻が攻撃され、トランプ氏は「イランがやった」と断定した。ところが、直接的な証拠を示せず、日本を含めて国際社会では支持が広がらない。日本を突き放す今回の発言の背景には、米国に追随しない姿勢に不満を募らせていた可能性もある。
また、日米同盟の軽視発言については、政権の方針になる可能性は低いとみられるが、トランプ氏の本音である節がうかがわれる。
トランプ氏は前回大統領選で、日米同盟について「我々が攻撃を受けても日本は何もする必要がない」と繰り返し批判。日本が米軍の駐留経費を全額負担しなければ、米軍の撤退もありえると脅したこともある。
根底には、米軍の外国駐留は公金の無駄遣いで、恩恵を受ける同盟国が米国との貿易で黒字を稼ぐのは許せないという思いがある。トランプ氏が1980年代の日米貿易摩擦の時から持ち続ける「日本観」だ。
再選をめざす大統領選を来年に控え、通商問題での成果を有権者にアピールしたいが、日米交渉は遅々として進まない。先月の来日では安倍晋三首相から「接待外交」を受け、結論を出すのを参院選後に先送りした。だがG20での再来日を前に通商と安保を絡めて牽制(けんせい)することで、日本に譲歩を迫る思惑もありそうだ。(ワシントン=土佐茂生、渡辺丘)
■安全保障の根幹、日本は火消し
トランプ氏がツイッターで、日本などを名指しして中東ホルムズ海峡を通過するタンカーは「自国で守るべきだ」と主張したことについて、外務省幹部は「突然のツイートの意図がわからない」と困惑した。河野太郎外相は25日の記者会見で、トランプ氏のツイートについて「公式な発言ではないと受け取っている」との見方を示した。
岩屋毅防衛相も25日の会見でトランプ氏のツイートについて「現時点でホルムズ海峡付近に部隊を派遣することは考えていない。引き続き、情報収集に万全を期し、情勢を注視したい」と述べた。防衛省幹部も自衛隊法に基づく「海上警備行動」を発令するような緊迫した情勢ではないとの認識を示した。ホルムズ海峡で日本のタンカーなど2隻が攻撃された事件をめぐっては、直後の14日に岩屋氏が会見で、日本の存立が脅かされるなど自衛権行使の新3要件には当たらないとの考えを示していた。
世耕弘成経済産業相も25日、「現時点でエネルギーの安定供給への影響は全くない」とし、「引き続き高い関心をもって情勢を注視する」と述べた。
日本政府はこの日、トランプ氏が日米安全保障条約の破棄に言及したとのブルームバーグ通信の報道についても、火消しに追われた。日本時間25日午前に報道が出ると、複数の外務省幹部は「ありえない」などと一斉に否定した。
日本側が報道に強く反発するのは、日米安保体制を日本の安全保障の根幹に位置づけてきたためだ。日米安保条約では、米軍の日本への駐留を認める代わりに、米国は日本防衛義務を負う。日本側に米国防衛義務はなく、米国側には「片務的だ」という指摘もあった。
安倍政権は2015年、集団的自衛権の行使を限定的に容認する安全保障関連法を成立させ、日本の役割を拡大してきた。
同通信の報道について、日本政府は外交ルートを通じて米側に事実関係を確認。同日午後、河野氏は会見で、米ホワイトハウスから「日米安保条約の破棄・見直しは全く考えておらず、米国政府の立場とも全く相いれない」と説明を受けたことを明らかにした。
だが、米国の負担が大きすぎるとして、アジアや欧州の同盟国に負担増を求めるのは、トランプ氏の一貫した姿勢だ。
来年にも日米間で始まる在日米軍の駐留経費の交渉では、米国が日本に負担増を求めるとみられており、日本側は警戒を強めている。(清宮涼、山下龍一)
■イランは歓迎
トランプ氏がホルムズ海峡を通過するタンカーは「自国で守るべきだ」としたことについて、同海峡周辺で米国と対立するイラン側は皮肉交じりに歓迎した。ザリフ外相は24日、ツイッターで「ペルシャ湾に米軍は関わらないとするトランプ氏は100%正しい。米軍の撤退は米国の国益、そして世界の利益に完全に合致するものだ」と主張した。
また、イランのハタミ国防相は25日、「米国の無人偵察機を撃墜した措置は、イランの国家的プライドを示すものだった」と強調した。(テヘラン=杉崎慎弥)
(飛入り) 2019年6月30日05時00分
トランプ氏「首相に伝えた」
「日米安保、変えるべきだ」
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14076246.html?ref=pcviewer
トランプ米大統領は29日、G20サミット閉幕後に大阪市内で記者会見を開き、日米安全保障条約について「不公平な条約だ」と不満を表明した。また、安倍晋三首相に対し、条約の「片務性」を「我々は変える必要がある」と伝えたことを明らかにした。日米同盟の根幹である同条約のあり方について、米国大統領が公式に不満を表明するのは極めて異例だ。
トランプ氏は会見で、「不公平な条約だと、過去6カ月間、安倍首相に伝えてきた」「我々は変える必要があると安倍首相に伝えた」と強調。ただし、条約から撤退する意思があるかを問われると、「全く考えていない」と否定した。
一方、「安倍首相に伝えた」というトランプ氏の発言について、安倍政権幹部は29日、「全くない」と述べた。
トランプ氏は2016年大統領選で、在日米軍の駐留経費を日本が全額負担しなければ米軍撤退もありうると発言。大統領就任後は日米安保条約への批判を控えていたが、今回の来日前から再び米側の負担が「不公平だ」と不満を表明していた。同条約では、米国は集団的自衛権を行使して日本を防衛する義務があり、日本は米軍に基地を提供する義務がある。(園田耕司)
【下平記】
もともと何故この約束をしたのかといえば、戦後朝鮮戦争にみられるように、中国やソ連の共産党勢力の拡大を恐れその対策として日本に基地を持っていなければならない状況が生じたから、米国の都合でこの条約を作り上げたとみるべきである。 その後南北朝鮮は統合する方向をたどり、ある意味では安保条約そのものの意義の根拠が薄れてきたとみるべきだろう。
だからと言って米軍経費をすべて日本負担にするという話は筋違いであり、条約の根拠が薄れたとすれば条約を解消するのが話の筋であろう。
したがって、トランプの勝手な要求を受ける筋合いはなく、条約解消をすることが話の筋をつけることであるといえる。
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14071813.html?ref=pcviewer
06 27 (木) 日中関係は「永遠の隣国」 協力の意思、確認へ 首脳会談合意案
安倍晋三首相と中国の習近平(シーチンピン)国家主席による27日の会談で合意する内容が明らかになった。日中関係を「永遠の隣国」と位置づけ、両国の協力が重要との考えを強調。改善しつつある日中関係を確実にするねらいがある。首脳などハイレベルの往来を続けることも確認し、来春の習氏の来日を盛り込む。
習氏は28~29日に大阪市で開かれる主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)に出席するため、27日に来日する。27日午後に首相と会談。終了後、合意した内容が公表される。
日中関係は2012年の尖閣諸島(沖縄県)国有化などで悪化。その後、首相が17年に中国の巨大経済圏構想「一帯一路」への協力に前向きな姿勢を示すなどし、改善傾向にある。18年10月には首相が日本の首相としては7年ぶりに中国を公式訪問した。
こうした中で、今回の首脳会談では、日中関係を「永遠の隣国」として新たに定義づけ、重要性を改めて強調する。地理的に離れることができない隣国同士として、再び関係を悪化させず、協力を深める意思を確認するねらいがある。
中国側には、来春に習氏が来日する際に、日中共同声明など四つの基本文書に続く第5の文書を出すことをめざす動きもある。文書を出すかどうかは決まっていないが、「永遠の隣国」は今後の日中関係のキーワードになる可能性がある。
複数の日本政府関係者によると、合意は5項目で構成される。経済分野では「競争から協調」を打ち出す。
■日中首脳会談の合意案のポイント
◇首脳往来
「永遠の隣国」として恒常的かつ緊密にハイレベル往来を継続。習近平国家主席が来春、国賓として再来日
◇海洋安全保障
互いに協力のパートナーであり、脅威にならない。東シナ海を平和、友好、協力の海に。外交安保の枠組み強化
◇経済
競争から協調へ。第三国インフラ協力、自由で公正な貿易体制の構築などで協力。公平で非差別的なビジネス環境の整備
◇国民交流
今年は日中青少年交流推進年。修学旅行を通じた若者の交流。人的、文化的交流のためのハイレベル対話立ち上げ
◇地球規模課題
責任のある大国として、環境問題、気候変動などの分野で協力
(飛入り) 1 2019年6月28日05時00分
「正恩氏に首相の会談意欲伝達」 首脳会談
習氏、来春に国賓訪日
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14073211.html?ref=pcviewer
安倍晋三首相は27日夜、主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)の会場となる大阪市で中国の習近平(シーチンピン)国家主席と会談した。日本政府によると、日中関係を「永遠の隣国」と位置づけて互いの重要性を確認。改善基調にある両国関係をさらに強化したい考えで、習氏が来春に国賓として再訪日することで一致した。▼2面=友好演出、11面=考論
会談は約1時間行われた。冒頭、首相は「来年の桜の咲く頃、習氏を国賓として日本にお迎えしたい」と述べ、習氏は「いいアイデア」と応じた。習氏の訪日は2013年の国家主席就任後、初めて。
今回はG20にあわせた訪日だが、首相は会談後に夕食会を開催し、中国重視の姿勢を強く打ち出した。
北朝鮮問題も協議。習氏は訪日前、平壌で北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長と会談しており、この会談の内容について首相に説明。無条件の日朝首脳会談に意欲を見せる首相の立場を金氏に伝えたという。
沖縄県の尖閣諸島周辺での領海侵入事案について首相は習氏に自制を求めた。刑事事件の容疑者を中国本土に引き渡すことを可能にする香港の「逃亡犯条例」改正案に関連して首相は「人権尊重や法の支配といった国際的な普遍的価値が保障されることは重要だ」と指摘したという。(及川綾子、冨名腰隆)
(飛入り) 2 2019年6月28日05時00分
(時時刻刻)首相「関係、正常な軌道に戻った」
日中、対立抑えて友好演出
▼2面=友好演出
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14073100.html?ref=pcviewer
【日中関係と首脳外交の歩み】2012年09月 日本が尖閣諸島を国有化桜の咲く頃に国賓として日本へ――。安倍晋三首相は中国の習近平(シーチンピン)国家主席との会談でこう伝え、両首脳は関係改善を前面に打ち出した。「永遠の隣国」として協力する考えで一致したものの、主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)と米中首脳会談を控え、双方の思惑は複雑に絡み合う。▼1面参照
2012年11月 習近平氏が共産党総書記就任
2013年03月 習氏が国家主席に就任
2013年12月 安倍晋三首相が靖国神社に参拝
2014年11月 安倍氏と習氏が北京でのアジア太平洋経済協力会議(APEC)で初会談
2015年02月 中国の春節で観光客が日本に殺到「爆買い」が流行語に
2015年04月 安倍氏と習氏がインドネシアで会談
2015年09月 中国で「抗日戦争・世界反ファシズム戦争勝利70周年」の記念式典
2016年09月 安倍氏と習氏がG20サミット(杭州)で会談
2017年01月 米国のトランプ政権発足
2017年07月 安倍氏と習氏がG20(ドイツ)で会談
2017年11月 安倍氏と習氏がAPEC(ベトナム)で会談
2018年05月 李克強首相が訪日
2018年09月 安倍氏と習氏がロシアで会談
2018年10月 安倍氏が放中。習氏と会談
2018年11月 安倍氏と習氏がG20(アルゼンチン)で会談
「日中関係は完全に正常な軌道に戻りました」。会談の冒頭、首相がこう語りかけた。「習近平主席と手を携えて、日中新時代を切り開いていきたい」と続け、「桜の咲く頃」に国賓として招待する考えを伝えた。
うなずきながら聞いていた習氏も「中日関係は新しい歴史的スタートラインに立っている」とし、「共に新しい時代の要請にふさわしい中日関係の構築に取り組んで参りたい」と語った。国賓としての招待についても「いいアイデアだ」と返答。来春の訪日で一致した。
西村康稔官房副長官は会談終了後、記者団に対し、「永遠の隣国」という表現について、「お互いに引っ越すことのできない隣国である」とした上で、「恒常的かつ緊密な意思疎通を行う必要性があるということを述べたものだ」と説明した。さらに、「様々な課題はあるが、両首脳の往来や信頼関係を醸成していく中で、問題をマネージしながら関係発展につなげていくということだろう」と語った。
関係改善をさらに進めていこうとの姿勢は、中国側も同じだ。
中国外交筋によると、習氏は5月、9年間駐日大使を務めて離任した程永華氏に対し、日本側が首相自ら昼食会を開くなど厚くもてなしたことを高く評価。離任レセプションで首相が「日中はパートナーだ」とあいさつしたことも、「中国側の姿勢を理解した発言だ」と周囲に述べたという。
だが、目指す関係のあり方には微妙なずれもある。
中国中央テレビは27日夜、首脳会談の結果について「10の共通認識に達した」と報道した。だが、そこでは日本側がアピールした「永遠の隣国」という表現は使わなかった。北朝鮮問題を巡る発言には触れず、一帯一路を前向きに評価する日本の姿勢や青少年交流の促進、気候変動や保健衛生など世界的課題で協力する点を説明。日中が大国としての役割を共に果たしていくことを強調した。
■中国「核心的利益」譲らず
改善基調に見える日中関係だが、中国は「核心的利益」と位置づける問題では強硬姿勢を続け、二国間に懸案はなお残る。
尖閣諸島周辺での中国公船の活動は以前にも増して活発になっている。領海侵入は今年、月3~4回のペースに増加。すでに昨年1年間の数に並ぶ。領海の外側にある接続水域の航行は4月から6月にかけ、64日間連続という過去最長を記録した。日本政府関係者は「尖閣の領有権を主張するため、航行の常態化を印象づけるねらいがあるのは明白だ」と警戒を強める。
東シナ海のガス田共同開発に向けた協議も暗礁に乗り上げたままだ。中国は今年に入っても複数回、試掘のための調査とみられる活動を実施。そのたびに日本政府は抗議してきた。
日本政府関係者は「どんなに関係が改善しても、中国は本質的には何も変わっていない」と言う。中国外交筋も「日本とは戦略的に関係改善を進めているが、首脳間、国家間ともに『信頼』を築くには、乗り越えるべき課題は多い」と語る。
■米中会談へ、日本引きつけ 日本、G20首脳宣言を優先
そんな両国に歩み寄りを促す最大の要因は、米国だ。習氏は27日の首脳会談で、「多国間主義や自由貿易を守っていく明確な声を発出しよう」と、G20の成功に向け日本と連携する考えを示しつつ、米国を牽制(けんせい)。トランプ米大統領との会談が29日に迫る中、米国と同盟を組む日本を引きつけたい思惑がにじんだ。
6月初めのG20財務相・中央銀行総裁会議。「質の高いインフラ投資に関するG20原則」をまとめようと動いた日本の提案を、中国はのんだ。「質の高いインフラ整備」は、安さと速さで発展途上国のインフラ需要をのみ込む中国への牽制を含意するスローガンであるにもかかわらずだ。さらに中国は、援助を受ける国が債務問題に陥らないよう計画時に考慮するとの表現も受け入れた。日本との関係を強めるためには、一定の譲歩をして議長国のメンツを立てるのもいとわないとの姿勢がにじんだ。
習氏の初訪日を前に、中国が中央銀行の中国人民銀行前総裁の周小川氏ら経済界の重鎮を次々と日本に送り込んだのも、日本重視の姿勢のアピールだった。
中国は、米国が華為技術(ファーウェイ)などの排除に動く先端技術分野でも日本との協力に期待を寄せる。国務院発展研究センターの王一鳴副主任は、朝日新聞の取材に「日本の技術と中国の巨大市場を生かせば、日本の科学技術の発展にもプラスになる」と語るなど、日本に秋波を送る。
一方、議長国の日本も、米中の対立が会議全体に悪影響を及ぼし、首脳宣言がまとまらない事態を避ける必要がある。日本政府関係者は「大阪で米中が決定的に決裂したら、議長国として立場がない」と漏らす。参院選も見据える中で、サミットの成功は必須だ。
安倍首相は習氏との会談で「自由で公正な貿易体制構築」に向けた協力で一致した。互いの企業に対して「公平、非差別的かつ予測可能性のあるビジネス環境」を提供することも確認した。「非差別的なビジネス」とは、ファーウェイ排除への状況改善を求める中国の訴えに沿った表現だ。一方、日本政府関係者によると、日本は「公平」という言葉に、中国による外国企業の技術の強制移転など、知的財産をめぐる問題解決への意図を込めた。
同じ言いぶりでも、その解釈にはずれがある。日本政府関係者は「世界経済の分野で日中が合意するには、玉虫色の表現にするしかなかった」と明かす。(鬼原民幸、冨名腰隆、福田直之)
(飛入り) 3 2019年6月28日05時00分
互いの重要性を再認識 天児慧・早大名誉教授
<考論>日中首脳会談
▼11面=考論
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14073183.html?ref=pcviewer
■天児慧(あまこさとし)・早大名誉教授(現代中国論)
日中両国は尖閣諸島をめぐる対立以来、ぎくしゃくした関係が続いたことへの反省も踏まえ、互いの重要性を再認識するようになった。
日本側が今回打ち出した「永遠の隣国」という両国の位置づけからも、安定した関係を築いていこうとする意図を感じる。
巨大な市場を持つ中国が日本にとって重要であると同時に、日本は中国にとっても軽視できない国だ。中国は「一帯一路」などで海外での活動を広げており、海外での投資経験が豊富な日本のノウハウは貴重だ。
米国との対立が激しくなるなか、5Gなど先端技術をめぐる問題で日本が中国企業への規制を和らげるなど、米国の言いなりにならないことも期待しているはずだ。
鍵となるのは、日本と同じように米中双方の影響を受ける東南アジア諸国連合(ASEAN)だ。日本がASEANとの結びつきを強めることができれば、米国への極度な依存を避けつつ中国を牽制(けんせい)することにもなる。安定した日中関係にもつながるはずだ。(聞き手・高田正幸)
※ 5G(5 generation=第5世代)とは、第5世代移動通信システム。
前に戻って続く
新聞の27日1頁広告記事には次の広告が載っている。
安保法制化で進む
「先制攻撃できる自衛隊」 東京新聞記者半田滋(著)1500円+税 あけび書房
ここまで変貌しつつある自衛隊に憲法でお墨つきを与えていいのか!? 大反響新刊
イージスアショアなど米国からの武器の爆買い。 護衛艦「いずも」空母化だけではない
外地先制攻撃型兵器の急増など、アベ政権下で急速に変貌する姿を徹底レポート
東京新聞記者がよくまとめてくれた。 感謝する。
一般の人たちには軍備が増強されていくことが知らされていない。 「日米安保破棄」へ移行していくについては、いろいろの過程を経て日本の自立を図らなければならない。 だが、独立した暁には「日米安保」の傷跡を順次、消し去っていかければならないことも事実である。 戦争時代の終焉が日本人として果たさなければならない。 国際間のいざござは新たな仕組みの国際機構で解決していくことになるだろう。
私の考える方向
私はこの頃、世の中がどうしてもどうもがいても行き詰まるような気がしていた。倅 から、 ‘ これまでどのような気持ちで生きてきたのか ’ と聞かれてあれこれ話してはきた。 自分のホームページ冒頭の言葉にしても、全体を通しての子育ての方向を考えてきたことにしても、少年時代の青春真っただ中予科練で戦争という実体験をしたことが、その根底にあったと思わざるを得なくなった。
こうして未来を求めてきてみると、芥川の言葉を受け売りするつもりはないのだが、未来への不安を感じざるを得なかった。 やさしく言えば、第一次世界大戦と第二次世界大戦が終わってみても、人間としての英知、いいかえれば戦争卒業時代を迎えることにたいする新しい考え方、それが少しも見だすことができないできた。
ところが、ここへきて「日米安保破棄」の動きのあることが確実であり、日中関係は「永遠の隣国」という言葉が仮にも詭弁であろうとしても多くの日本人の求める方向が、言葉として取り上げられていることも事実である、というこの二つがわかってきた。
日米のトップの言葉に、アレッと、聞いたままの感情では私たち普通の人々が求める方向!! …と思った。
それで頭の片隅に残っていた「一万年の旅路」に書かれていた内容が、フッと浮かび上がった。 私がいつも大事な発想としてきた、“ 温故知新 ”にかかわることだった。
ちょっと長くなるが引用させてもらう。
人一倍の未来志向だったはずが、なんでまた一万年以上もの過去へ想いを寄せるようになったものかと自問する私に、あるとき著者はこう答えてくれた。 昔から語り部の役割は、一族が大きな転機にさしかかったとき、それまでの来歴をあらためて正しく物語り、自分たちが何者なのか、どんな旅をしてきたのかを思い出させることによって、未来への適切な決定や選択を助けることなのだ、と。
現代の語り部を気取るつもりはないが、この言葉は妙に納得できるものがあった。 ベーリング陸橋を越えて未知の大陸へ渡るという主題に魅かれた意味を、それまで自分なりに思案していた。 20年以上ノンヒクションの著訳書ばかり手がけてきて、小説など書こうと思ったこともないのに、アラスカで突然、強いインスピレーションを受けた体験には、我々日本人とも血を分ける先史モンゴロイドたちが、ベーリンジア越えの物語を思い出せようとする意志のようなものが感じられた。
たぶん、われわれもいま大きな橋を渡ろうとしているのだろう。モダン(近代)の大陸からポストモダン(脱近代)の原野へ――――核の脅威、山積する地球環境問題、人間の社会と精神の崩壊、そして環境ホルモンによる種存続の危機まで、もしかしたらわれわれの前に横たわる<海辺の渡り>は、水没寸前のベーリンジアよりもっと狭く、険しく、渡りおおせる成算の少ない橋かもしれない。
だからこそ、20世紀末というこの正念場に、無数の祖先たちが見えない手を差し伸べてくれるとは考えられないだろうか。 いや、励ましは過去だけでなく未来からも届いているかもしれない。 本書の物語からは、遠い過去と遥かな未来を結ぶ人類の集合的祈りが立ちのぼるようだ。 思い出せ、心にとどめよ、われわれがどんなどんな苦難を生きのび、何を学んできたかを。 秘められてきた本当の歴史から、今度の危うい橋を渡りきる勇気と知恵と力を汲み取ってほしい、と――――。
わが国でもとみに高まる縄文への関心や、世界的な古代ブームは、こんな時代の空気を映している気がしてならない。 後ろ向きの逃避というより、少し下がって跳躍への助走に入る構えか。 あるいは著者がいうように、過去を正しく振り返って、進むべき方向を見定めようとする欲求の表われか。 そのためにも、征服者と支配者と特権階級の栄枯盛衰ではなく、先住民を含む真の<民>(people)が歩いてきた道を掘りおこす作業は欠かせない。
「一万年の旅路」535p14行~537p2行から
なぜ未来への不安だったのか。 第一次大戦の後、不戦条約が結ばれたのにそれが実現しなかった。 いろいろと理屈があって実現しなかった。 続いて第二次大戦となった。 この戦争も結末はついた。 それでもあちらこちらで殺戮と破壊が繰り返されてきた。 不戦条約をつくった英知は勝手な欲望によって横へ押しやられ、実現できなかった。
日本では憲法9条に戦争放棄を謳 っていながら、主義主張が違うということで「安全保条約」により、国家として武器を使用することになった。 戦争しない、殺戮と破壊はしないと決めたのに、簡単にそれを手放してしまった。
誰しも反対な人殺しは、終わらずに続いている。 不安の解消はまずできない、戦争放棄どころではなかった。 トインビーの予見では、アメリカは太平洋の東半分まで退き、日本は東アジア経済圏にまとまるだろうと言いましたが、まだ実現していない。
私はトインビーの予見は実現するだろう、と今でも考えています。
それで…… 初めて、「日米安全保障条約」が解消される兆 しが見え始めたわけです。 極めて大筋で言えばこのように動いてきたのです。
私は戦争終焉を日本人みんなで心を合わせて推し進めていきたい。
「一万年の旅路」の著者ポーラ・アンダーウッドさんは「語り部」に耳を傾けて、難関を切り抜けたと言っています。 日本人の体質には、ポーラさんの言う体質があると私は思います。
私たちが学んできた歴史を見ても、日本人には優れた資質と寛容力をもっていると思うのです。 三蔵法師が苦労して取り入れた仏教は日本に伝わって、心の中にあるいは精神の中に厳然として今でも生き続けています。 この受け入れの包容力とその教えを心の中に位置づけている人たちは、偉い坊さんでなくても一茶のおじさんにしても、子供にしたわれ相手をしていた良寛様にしても、私が教わった先人の人たちの中にも、思えば限りなくいるではありませんか。
また…… 学問や思想にしても、古代中国の先人たちの教訓 を日本に伝えた人や、その教えそのものを今でも、図書館で学ぶことも学校の教室で聞くこともできるではありませんか。 そしてその考え方によってそれを心の拠りどころとした多くの大名や儒学者に学ぶことができるじゃありませんか。 歴史は多くのことを私たちに伝えてくれているのです。 日本人の多くの人々はその恩恵を受けついでいます。
私の手元には「イヴの七人の娘たち」という本があります。 著者はブランアン・サイクスといいますが、イギリス、オクスフォード大学で人類遺伝学教授を務め、DNA遺伝子が古い骨にも残っていることを突きとめ、採取に成功、1989年の「ネイチャー」誌で発表して以来、その分野の国際的権威の一人となったといいます。 彼の研究チームは、ホモ・サピエンスのDNAの系図をまとめ上げる偉業を達成した、と紹介されています。
訳本の帯に、
あなたは誰の子どもなのか?
母系でのみ受け継がれるミトコンドリアDNAを解読し、幾千の世代、幾万の生命を遡ると、誰もが太古の昔に生きた自分の祖先に出会うことができる。
人類をつなぐ固い絆があきらかになった。
と、解説しています。 手元の本は 2001/11/10 初版 2001/12/10 第2刷発行 とあるから、「ネイチャー」発表後12年で日本で発行され、その後8年ほどで私が読んだことになります。
日本の現在の動きの認識は、今まで教えられた歴史認識の域にとどまっていた。 こんなこととは別に真実を求める動きは明治以降の歴史書による認識をどんどん変えてきていました。 今でも義務教育の歴史書は昔の流れに沿っているから、記紀以前の認識はどうしようもありません。
ところがミトコンドリアDNAの解読によって、歴史に関する新しい認識は、 それ本当? とか、 そんな風だったのか!! とか、驚くほど祖先の動きは明らかになってきております。
NHKで 2001/08/20 「日本人はるかな旅」全5巻が出版されました(第5巻出版 2002/01/30)。 その 28p には 「 しかし、私たちの前には、研究者たちが記したデータや学術資料という「分厚い堆積物」がある。 太古の民の骨から集められたDNAデータから、ひとかけらの土器片、1個の石ころにいたるまで、研究者たちの血と汗の結晶である。 この「地層」を私たちなりに丹念に掘り進めながら、「原日本人」へのはるかな旅が始まった 」 とDNAの解読による成果を取り入れたNHKスタッフたちの貴重な編集が見えてきています。
いろいろな人たちの本を見てきて思うのは、いろいろの歴史の因果をよく学んで、この難しい政治の潮流をどのように乗り越えて、戦争終焉の世界平和へどのように歩んでいったらいいのか、一歩一歩切り開いていくことなのです。
きょうは各党代表者の日曜討論をしていました。 憲法に関して「国を守る」という言葉を与党の人から何回か聞き取りました。 この国防の対象は何を想定した言葉でしょうか? どの家にしても家族を守るためとして、このような考えをもっているのでしょうか? どんな人とでも親切に和やかに助け合いながら暮らせるように願うのが普通の人たちです。
国会議員の皆さんは国の政治を委任されているのですから、 「 家族みんなのお互いの信頼こそ大事な心得だ 」 という根本をわすれないでください。 戦争を終焉する国に向かってください。