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続折々の記 2019⑥
【心に浮かぶよしなしごと】

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            福沢諭吉の「学問のすすめ」  幕末明治の意気込み
            田中宇の国際ニュース解説  田中宇の読みすじ
            佐藤芳直著「なぜ世界は日本化するのか」  私たちの意識
            
【 04 】07/01~

 07 01 (水) 福沢諭吉の「学問のすすめ」  幕末明治の意気込み

1872(明治5)年2月初編発行となっているから、彼は幕府の命により25才すでにアメリカとヨーロッパを回り西洋事情を見聞しており、30歳半ばころ明治維新の真っただ中にあって「学問のすすめ」を出版している。 福沢諭吉については google で検索して調べればいい。

幕末から明治、そのころの若者は時代の変化の潮流の中にあって、活躍した人たちが多かった。

長州藩や松下村塾にしても、薩摩藩にしても、松代藩の人たち、高遠藩にしても、岩村藩にしても、著名な人たちが出ています。 その中核になったのは 「 学ぶ 」 ことでした。

漱石の「虞美人草」は漢字の熟語が多いことで知られています。 タイトルの文字からしてどんな花なのか見当もとれません。 検索しているとこんな伝説がでています。

グビジンソウ(虞美人草)の名は、中国の伝説に由来している。 和名ヒナゲシ

秦末の武将・項羽には虞と言う愛人がいた。項羽が劉邦に敗れて垓下に追い詰められた時に、死を覚悟した項羽が詠った垓下がいかの歌に合わせて舞った。

力拔山兮氣蓋世 (ちからやまおおう )
時不利兮騅不逝 (ときあらずすいかず)
騅不逝兮可奈何 (騅の逝かざるを奈何いかにすべき)
虞兮虞兮奈若何 (や虞やなんじを奈何せん)

-垓下歌『史記』巻7項羽本紀 第7 司馬遷、『漢書』巻31陳勝項籍傳第1 班固

この舞の後に彼女は自害した。彼女を葬った墓に翌夏赤くこの花が咲いたという伝説から、こう呼ばれる。なお虞美人の自害云々については、女性の貞操がとやかく言われるようになった北宋代からであり、『史記』、『漢書』ではそのような記述は無い。

【参考】
ヒナゲシは、薄い花びらを風に揺らす姿がかわいらしいポピーの仲間です。春から夏にかけて色とりどりの花を咲かせます。群生する姿が特に美しく、鉢植えや地植え、寄せ植えにガーデニングで活用させる機会も多い一年草です。

ヒナゲシ(虞美人草/コクリコ)の花言葉や名前の由来・意味は?
  ここには興味深い記事が出ています。
私は漱石の生きざまを見てきて、学びについての大脳活動は相当熟練されていたと思っています。言葉の使い方に熟達しており漢学の素養は深く、それでいて英文学ではイギリスへの留学、その文学論を見ていると学殖の広さと深さに舌をまきます。

ロンドンでおかしくなったと聞くけれど、西洋から汲むべき心の糧はなかったと思われるのです。 草枕でその一部分として文章の中にも出てきたと思います。 学習院で行なった「私の個人主義」は端的にイギリス留学によって裏打ちされていたと思います。 そしてそれは東洋思想とも融合されて「則天去私」のバックボーンとなったのではないかと思っています。

ちょっと長すぎたかと思うけれど、漱石の学問への集中力、自分への取り込みは、「学び」そのものと私は考えておるのです。


先ず冒頭、初編 を載せます。

初編  googleの検索(ルビがついている)を見るとよい

「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」と言えり。されば天より人を生ずるには、万人は万人みな同じ位にして、生まれながら貴賤上下の差別なく、万物の霊たる身と心との働きをもって天地の間にあるよろずの物を資り、もって衣食住の用を達し、自由自在、互いに人の妨げをなさずしておのおの安楽にこの世を渡らしめ給うの趣意なり。されども今、広くこの人間世界を見渡すに、かしこき人あり、おろかなる人あり、貧しきもあり、富めるもあり、貴人もあり、下人もありて、その有様雲と泥との相違あるに似たるはなんぞや。その次第はなはだ明らかなり。『実語教』に、「人学ばざれば智なし、智なき者は愚人なり」とあり。されば賢人と愚人との別は学ぶと学ばざるとによりてできるものなり。また世の中にむずかしき仕事もあり、やすき仕事もあり。そのむずかしき仕事をする者を身分重き人と名づけ、やすき仕事をする者を身分軽き人という。すべて心を用い、心配する仕事はむずかしくして、手足を用うる力役はやすし。ゆえに医者、学者、政府の役人、または大なる商売をする町人、あまたの奉公人を召し使う大百姓などは、身分重くして貴き者と言うべし。

 身分重くして貴ければおのずからその家も富んで下々の者より見れば及ぶべからざるようなれども、その本もとを尋ぬればただその人に学問の力あるとなきとによりてその相違もできたるのみにて、天より定めたる約束にあらず。諺にいわく、「天は富貴を人に与えずして、これをその人の働きに与うるものなり」と。されば前にも言えるとおり、人は生まれながらにして貴賤・貧富の別なし。ただ学問を勤めて物事をよく知る者は貴人となり富人となり、無学なる者は貧人となり下人となるなり。

 学問とは、ただむずかしき字を知り、解し難き古文を読み、和歌を楽しみ、詩を作るなど、世上に実のなき文学を言うにあらず。これらの文学もおのずから人の心を悦ばしめずいぶん調法なるものなれども、古来、世間の儒者・和学者などの申すよう、さまであがめ貴むべきものにあらず。古来、漢学者に世帯持ちの上手なる者も少なく、和歌をよくして商売に巧者なる町人もまれなり。これがため心ある町人・百姓は、その子の学問に出精するを見て、やがて身代を持ち崩すならんとて親心に心配する者あり。無理ならぬことなり。畢竟その学問の実に遠くして日用の間に合わぬ証拠なり。

 されば今、かかる実なき学問はまず次にし、もっぱら勤むべきは人間普通日用に近き実学なり。譬たとえば、いろは四十七文字を習い、手紙の文言、帳合いの仕方、算盤の稽古、天秤の取扱い等を心得、なおまた進んで学ぶべき箇条ははなはだ多し。地理学とは日本国中はもちろん世界万国の風土道案内なり。究理学とは天地万物の性質を見て、その働きを知る学問なり。歴史とは年代記のくわしきものにて万国古今の有様を詮索する書物なり。経済学とは一身一家の世帯より天下の世帯を説きたるものなり。修身学とは身の行ないを修め、人に交わり、この世を渡るべき天然の道理を述べたるものなり。

 これらの学問をするに、いずれも西洋の翻訳書を取り調べ、たいていのことは日本の仮名にて用を便じ、あるいは年少にして文才ある者へは横文字をも読ませ、一科一学も実事を押え、その事につきその物に従い、近く物事の道理を求めて今日の用を達すべきなり。右は人間普通の実学にて、人たる者は貴賤上下の区別なく、みなことごとくたしなむべき心得なれば、この心得ありて後に、士農工商おのおのその分を尽くし、銘々の家業を営み、身も独立し、家も独立し、天下国家も独立すべきなり。

 学問をするには分限を知ること肝要なり。人の天然生まれつきは、繋がれず縛られず、一人前の男は男、一人前の女は女にて、自由自在なる者なれども、ただ自由自在とのみ唱えて分限を知らざればわがまま放蕩に陥ること多し。すなわちその分限とは、天の道理に基づき人の情に従い、他人の妨げをなさずしてわが一身の自由を達することなり。自由とわがままとの界は、他人の妨げをなすとなさざるとの間にあり。譬えば自分の金銀を費やしてなすことなれば、たとい酒色に耽り放蕩を尽くすも自由自在なるべきに似たれども、けっして然らず、一人の放蕩は諸人の手本となり、ついに世間の風俗を乱りて人の教えに妨げをなすがゆえに、その費やすところの金銀はその人のものたりとも、その罪許すべからず。

 また自由独立のことは人の一身にあるのみならず、一国の上にもあることなり。わが日本はアジヤ州の東に離れたる一個の島国にて、古来外国と交わりを結ばず、ひとり自国の産物のみを衣食して不足と思いしこともなかりしが、嘉永年中アメリカ人渡来せしより外国交易のこと始まり、今日の有様に及びしことにて、開港の後もいろいろと議論多く、鎖国攘夷などとやかましく言いし者もありしかども、その見るところはなはだ狭く、諺に言う「井の底の蛙」にて、その議論とるに足らず。日本とても西洋諸国とても同じ天地の間にありて、同じ日輪に照らされ、同じ月を眺め、海をともにし、空気をともにし、情合い相同じき人民なれば、ここに余るものは彼に渡し、彼に余るものは我に取り、互いに相教え互いに相学び、恥ずることもなく誇ることもなく、互いに便利を達し互いにその幸いを祈り、天理人道に従いて互いの交わりを結び、理のためにはアフリカの黒奴にも恐れ入り、道のためにはイギリス・アメリカの軍艦をも恐れず、国の恥辱とありては日本国中の人民一人も残らず命を棄てて国の威光を落とさざるこそ、一国の自由独立と申すべきなり。

 しかるを支那人などのごとく、わが国よりほかに国なきごとく、外国の人を見ればひとくちに夷狄夷狄と唱え、四足にてあるく畜類のようにこれを賤しめこれを嫌い、自国の力をも計らずしてみだりに外国人を追い払わんとし、かえってその夷狄に窘(くる)しめらるるなどの始末は、実に国の分限を知らず、一人の身の上にて言えば天然の自由を達せずしてわがまま放蕩に陥る者と言うべし。王制一度(ひとたび)新たなりしより以来、わが日本の政風大いに改まり、外は万国の公法をもって外国に交わり、内は人民に自由独立の趣旨を示し、すでに平民へ苗字・乗馬を許せしがごときは開闢(かいびゃく)以来の一美事、士農工商四民の位を一様にするの基(もとい)ここに定まりたりと言うべきなり。

 されば今より後は日本国中の人民に、生まれながらその身につきたる位などと申すはまずなき姿にて、ただその人の才徳とその居処とによりて位もあるものなり。たとえば政府の官吏を粗略にせざるは当然のことなれども、こはその人の身の貴きにあらず、その人の才徳をもってその役儀を勤め、国民のために貴き国法を取り扱うがゆえにこれを貴ぶのみ。人の貴きにあらず、国法の貴きなり。旧幕府の時代、東海道にお茶壺の通行せしは、みな人の知るところなり。そのほか御用の鷹は人よりも貴く、御用の馬には往来の旅人も路を避くる等、すべて御用の二字を付くれば、石にても瓦にても恐ろしく貴きもののように見え、世の中の人も数千百年の古よりこれを嫌いながらまた自然にその仕来りに慣れ、上下互いに見苦しき風俗を成せしことなれども、畢竟これらはみな法の貴きにもあらず、品物の貴きにもあらず、ただいたずらに政府の威光を張り人を畏(おど)して人の自由を妨げんとする卑怯なる仕方にて、実なき虚威というものなり。今日に至りてはもはや全日本国内にかかる浅ましき制度、風俗は絶えてなきはずなれば、人々安心いたし、かりそめにも政府に対して不平をいだくことあらば、これを包みかくして暗に上を怨むることなく、その路を求め、その筋により静かにこれを訴えて遠慮なく議論すべし。天理人情にさえ叶うことならば、一命をも抛(なげう)ちて争うべきなり。これすなわち一国人民たる者の分限と申すものなり。

 前条に言えるとおり、人の一身も一国も、天の道理に基づきて不覊(ふき)自由なるものなれば、もしこの一国の自由を妨げんとする者あらば世界万国を敵とするも恐るるに足らず、この一身の自由を妨げんとする者あらば政府の官吏も憚るに足らず。ましてこのごろは四民同等の基本も立ちしことなれば、いずれも安心いたし、ただ天理に従いて存分に事をなすべしとは申しながら、およそ人たる者はそれぞれの身分あれば、またその身分に従い相応の才徳なかるべからず。身に才徳を備えんとするには物事の理を知らざるべからず。物事の理を知らんとするには字を学ばざるべからず。これすなわち学問の急務なるわけなり。

 昨今の有様を見るに、農工商の三民はその身分以前に百倍し、やがて士族と肩を並ぶるの勢いに至り、今日にても三民のうちに人物あれば政府の上に採用せらるべき道すでに開けたることなれば、よくその身分を顧み、わが身分を重きものと思い、卑劣の所行あるべからず。およそ世の中に無知文盲の民ほど憐れむべくまた悪むべきものはあらず。智恵なきの極みは恥を知らざるに至り、己が無智をもって貧窮に陥り飢寒に迫るときは、己が身を罪せずしてみだりに傍の富める人を怨み、はなはだしきは徒党を結び強訴・一揆などとて乱暴に及ぶことあり。恥を知らざるとや言わん、法を恐れずとや言わん。天下の法度を頼みてその身の安全を保ち、その家の渡世をいたしながら、その頼むところのみを頼みて、己が私欲のためにはまたこれを破る、前後不都合の次第ならずや。あるいはたまたま身本慥かにして相応の身代ある者も、金銭を貯うることを知りて子孫を教うることを知らず。教えざる子孫なればその愚なるもまた怪しむに足らず。ついには遊惰放蕩に流れ、先祖の家督をも一朝の煙となす者少なからず。

 かかる愚民を支配するにはとても道理をもって諭すべき方便なければ、ただ威をもって畏すのみ。西洋の諺に「愚民の上に苛からき政府あり」とはこのことなり。こは政府の苛きにあらず、愚民のみずから招く災いなり。愚民の上に苛き政府あれば、良民の上には良き政府あるの理なり。ゆえに今わが日本国においてもこの人民ありてこの政治あるなり。仮りに人民の徳義今日よりも衰えてなお無学文盲に沈むことあらば、政府の法も今一段厳重になるべく、もしまた、人民みな学問に志して、物事の理を知り、文明の風に赴くことあらば、政府の法もなおまた寛仁大度の場合に及ぶべし。法の苛きと寛やかなるとは、ただ人民の徳不徳によりておのずから加減あるのみ。人誰か苛政を好みて良政を悪む者あらん、誰か本国の富強を祈らざる者あらん、誰か外国の侮りを甘んずる者あらん、これすなわち人たる者の常の情なり。今の世に生まれ報国の心あらん者は、必ずしも身を苦しめ思いを焦がすほどの心配あるにあらず。ただその大切なる目当ては、この人情に基づきてまず一身の行ないを正し、厚く学に志し、博く事を知り、銘々の身分に相応すべきほどの智徳を備えて、政府はその政を施すに易く、諸民はその支配を受けて苦しみなきよう、互いにその所を得てともに全国の太平を護らんとするの一事のみ。今余輩の勧むる学問ももっぱらこの一事をもって趣旨とせり。

端書

 このたび余輩の故郷中津に学校を開くにつき、学問の趣意を記して旧く交わりたる同郷の友人へ示さんがため一冊を綴りしかば、或る人これを見ていわく、「この冊子をひとり中津の人へのみ示さんより、広く世間に布告せばその益もまた広かるべし」との勧めにより、すなわち慶応義塾の活字版をもってこれを摺り、同志の一覧に供うるなり。
   明治四年未ひつじ十二月          福沢諭吉 
「学問のすすめ」は17編に分けて、学問のあるなしによる社会生活の相違、人の修養、社会貢献、等々を若いのに広く深い見識をもって解いています。 私たちの「学び」としての読み合わせの教材になります。

全編は次の通りです。

福沢諭吉の「学問のすすめ」の内容  青空文庫による
初 編
  
  端書
二 編
  端書
 人は同等なること
三 編
  国は同等なること
  一身独立して一国独立すること
四 編
  学者の職分を論ず
  付録
五 編
  〇
  明治七年一月一日の詞
六 編
  国法の貴きを論ず
七 編
  国民の職分を論ず
  わが心をもって他人の身を制すべからず
八 編
  わが心をもって他人の身を制すべからず
九 編
  学問の旨を二様に記して中津の旧友に贈る文
十 編
  前編のつづき、中津の旧友に贈る
十一編
  名分をもって偽君子を生ずるの論
十二編
  演説の法を勧むるの説
  人の品行は高尚ならざるべからざるの論
十三編
  怨望の人間に害あるを論ず
十四編
  心事の棚卸し
 世話の字の義
十五編
  事物を疑いて取捨を断ずること
十六編
  手近く独立を守ること
  心事と働きと相当すべきの論
十七編
  人望論

 07 02 (火) 田中宇の国際ニュース解説  田中宇の読みすじ

きょうは 「 なぜ世界は日本化するのか 」 、「 超図解 竹内文書 」 、 「 生命の暗号 」 の三冊がアマゾン経由で届いた。 「超図解 竹内文書②」「生命の暗号②」は既に入手していた。

始めの本の著者佐藤芳直は、 “ 迷うことはない! 日本は「日本らしさ」を追求すればよい ” としています。

戦後世界の大変革が始まろうとしている、そんな政治の潮流の真っただ中にいる感じである。

田中宇を見ていると、目先の日本の動きにうろたえているのとは異なり、世界全体の動きを鳥瞰的に冷静な目で見ている感じなのである。 だから、私ははやる手綱をグッと引き締めなおしていた。

やっばり変化の潮流の逆巻くような状況にあると思わざるを得ない。

特別取り上げたいものは「折々の記・【2016】田中宇~」へ載せるつもりでいる。 では【2019年4月12日】から【2019年7月1日】の概要に目を移すこととする。
 

【2019年7月1日】……【2019年4月12日】 ➡ 概要はこちら

◆ロシアがイスラエル・イラン・アラブを和解させていく
 【2019年7月1日】 6月24-25日に米露イスラエルの安保担当高官がエルサレムに集まった安保会議は、米国の退潮とロシア・イランの台頭の中で、今後のイスラエルの国家安全をどう守っていくのかを検討する、歴史的・地政学的に重要な会議だった。今後、米国の中東覇権がさらに消失し、ロシアの中東覇権が拡大する。ロシアは、イスラエルとイランの間だけでなく、イスラエルとアラブ諸国の敵対、その中心であるパレスチナ問題、そしてイランとアラブ諸国との敵対関係も、解消する方向で仲裁していきたい。これらの敵対関係はいずれも、中東の覇権国だった米英・軍産複合体が支配維持のために扇動してきた。米国の覇権低下とともに、敵対関係も崩れていく。

◆板門店で電撃の米朝首脳会談
 【2019年6月29日】 大阪でG20サミットに出ているトランプ米大統領は明日6月30日に韓国に移動し、北朝鮮との境界線である板門店まで行くが「その時に金正恩に挨拶したい、金正恩がこのツイートを見ているなら明日板門店まできてくれ」と先ほど(6月29日朝)ツイートした。トランプは、急に思いついたように演じているが、これは周到に準備された話に違いない。金正恩は明日、板門店に来る。3回目の米朝首脳会談が電撃的に行われる。

◆金相場抑圧の終わり
 【2019年6月27日】 QEが本格化して以来、金相場は1オンス1350ドル以下に抑圧されてきた。だが今回、トランプのしつこい挑発にようやく乗った中国がロシアに接近し、中露が結束して米国とドルの覇権を抑止することにした。それには金相場を抑圧から解いて上昇させ、金地金の力を強める必要がある。

中国は6月20日に金相場を上昇させて抑圧から解放した。この仮説に基づくなら、米国側が金相場を1350ドルに向けて再下落させた場合、中国当局が金相場に介入して1400ドル以上に保つと予測される

中露に米国覇権を引き倒させるトランプ
 【2019年6月24日】 トランプの登場まで中露は、自分たちが米国より弱いうえ、覇権をとるとコストもかかるため、米国の覇権を抑止してユーラシアの覇権を中露がとる「覇権奪取」の姿勢をとらなかった。だがトランプは就任後、覇権の放棄策や自滅策をとり続け、中露がユーラシアにおいて米国の覇権を奪取するハードルが大幅に下がった。米国の無茶苦茶を傍観して迷惑を被るより、米国から覇権を奪ってしまった方が手っ取り早くなった。覇権放棄屋のトランプは、中露のために、米国覇権を引き倒しやすい状況を作ってやった。


フェイスブックの通貨リブラ:ドル崩壊への道筋の解禁
 【2019年6月22日】 リブラの創設は、米国上層部の覇権運営勢力が、ドルが基軸通貨としての機能を喪失していくことを認めたことを意味する。リブラの創設は、ドル崩壊への道筋の「解禁」である。同様に、6月上旬に中露が結束してドル基軸制の引き倒し戦略を宣言したことも、米国側がドル崩壊への道筋を解禁したことを反映している。6月19日からの金相場の高騰と、金価格決定権が米国から中国に移る感じも、ドル崩壊への道筋の解禁である。これらの話は多分すべて連動している。


S400迎撃ミサイル:米は中露イランと戦争できない
 【2019年6月20日】 
ロシア製の高性能な迎撃ミサイルS400が、世界中の非米・反米諸国に配備され始めている。S400は米軍の攻撃をかなりの割合で迎撃できるため、米国が中露イラン側に対して戦争を仕掛けると犠牲が大きすぎる状態になっている。米国は、もう中露イラン側と戦争できない。

対米従属=官僚独裁の維持のため、日本のマスコミや専門家はいまだに「米国は天下無敵だ」と喧伝するが、それは間違いである

◆安倍イラン訪問を狙って日系タンカーを攻撃した意図
 【2019年6月15日】 トランプは、安倍を誘導してイランに行かせたうえ、安倍のイラン訪問中に起きた日本系タンカーへの攻撃を無根拠にイランのせいにしたことで、日本を従来型の対米従属一本槍から引き剥がし、ロシアやイランや中国がつどう多極型の陣営に押しやったことになる。

安倍は、最後までトランプの米国に楯突かないだろうが、それと同時に、ロシアやイランや中国の側とも静かに協調を深めていくことになりそうだ

米国の覇権を抑止し始める中露
 【2019年6月13日】習近平がロシアを訪問してプーチンとの結束を誇示した。これは「トランプが米国の覇権を放棄するなら、中露が米国以外の主要諸国を誘って、経済と安保の両面で、米国抜きの国際協調的な新世界秩序・多極型覇権体制を作ろう」という宣言だ。
経済面では今後、米国から経済制裁や懲罰関税を課せられる諸国に対し、中露が「対米従属の経済構造をあきらめてこっち側と協力しませんか」と誘う。安保面では、イラン核問題、パレスチナの中東和平、北朝鮮核問題など紛争解決の主導役を、米国に任せず露中が手がける傾向が増す。

米中百年新冷戦の深意
 【2019年6月9日】 トランプは、中国を勝たせ、従来の米覇権体制を自滅的に解体して多極化するために、米中新冷戦をやっている。今年のビルダーバーグ会議で、ポンペオら米国勢は「中国と百年の冷戦をやる」と欧州側に通告したようだが、米中新冷戦は百年も続かない。


今から5年後のトランプの2期目の終わりぐらいには、米連銀の再QEが限界に達し、ドルと米国覇権が崩壊し、多極化が進んで米中新冷戦が終わりそうだ

中東インド洋の覇権を失う米国
 【2019年6月7日】米軍がインド洋の支配権を失いかねない事態が起きている。非米化する国連総会が最近、インド洋最大の米軍基地があるディエゴ・ガルシア島から米軍を追い出そうとする決議(英国にモーリシャスへの周辺諸島の引き渡しを求める要請)を行った。島はインド洋の真ん中にあり、米軍がアジア太平洋地域と中東インド洋地域を行き来する際に必須の場所だ。アフガニスタン侵攻やイラク戦争でも活用されてきたこの島を使えなくなると、米軍はインド洋の最重要拠点を失い、軍事覇権の低下に拍車がかかる。


◆貿易世界大戦
 【2019年6月1日】 トランプは突然、中国だけでなくメキシコに対しても貿易戦争を吹っかけ、貿易戦争の戦域を大きく広げた。米政府は同時に、EUとの貿易交渉も頓挫させている。ドイツや日本、韓国などを含む、対米貿易黒字が大きい諸国に対し、懲罰関税をかけていく。トランプは貿易戦争の相手を全世界に広げていく。「トランプ対世界」の「貿易世界大戦」が起こりつつある。

先進諸国は国民の知能を下げている?
 【2019年5月28日】 90年代から、先進諸国の経済構造は、産業主導から消費主導に転換した。世界は米英中心の債券化による金融システムの大膨張・バブル化の30年間を経験し、人々の高いIQが望ましい製造業など産業の利潤による経済発展でなく、世界的な金融バブルの分配を受けた消費の増加が経済成長を支えるようになった。消費者は、高いIQを必要としない。宣伝に乗せられて消費を増やす低能な人が多いほど、消費社会が繁栄する。90年代以降、先進国の支配層にとって、国民のIQは高くない方が良いものになった。だからIQが低下傾向になったのでないか

◆スパイゲートで軍産を潰すトランプ
 【2019年5月27日】 ロシアゲートが濡れ衣であることが確定した以上、濡れ衣の元となった諜報をでっち上げた米諜報界は、大統領であるトランプを敵視する不正な態度を持っていたことになる。トランプは、米国の諜報界をまるごと不正な存在とみなし、彼らを無力化する「改革」を断行しようとしている。軍産がトランプを潰そうとした「ロシアゲート」は、トランプ側の巻き返しと今回の反撃開始により、トランプが軍産の反逆・不正行為(自分への濡れ衣攻撃)を取り締まって「改革=無力化」する新段階に入っている。この新段階は「スパイゲート」と呼ばれている。

◆習近平を強める米中新冷戦
 【2019年5月24日】 習近平の独裁を嫌がる中共中央のリベラル派はこれまで、米国と対立すると経済成長が鈍化するので良くないと言い、貿易交渉の不成功をやんわりと習近平のせいにしてきた。だが今や、米国に譲歩すべきだと主張するリベラル派は「利敵行為をするスパイ」と言われかねない。米中が新冷戦になったおかげで、中共内でリベラル派が弱まり、習近平が棚ぼたで毛沢東の衣をかぶって強くなっている。トランプは習近平を強化している。

「ドル後」の金本位制を意識し始めた米国と世界
 【2019年5月19日】 トランプが指名した5人の連銀理事候補のうち3人が、金本位制を提唱していた。金本位制が良い、と表明することは、今の金融システムはインチキです(王様は裸です)と表明するのと同じであり、米議会・金融界・マスコミにとって仇敵・反逆者である。トランプ自身、バブルを過激に膨張させて崩壊を前倒しし、バブル崩壊や覇権喪失・多極化を早めたい。

トランプはこの魂胆の一環として金本位制論者を連銀理事に就けようとしてきた。金本位制論者は、膨れ上がっている金融バブルのさらなる膨張を扇動し、ドル崩壊後に金本位制を導入せざるを得なくなる事態を作ろうとする

◆イラク戦争の濡れ衣劇をイランで再演するトランプ
 【2019年5月16日】 イラク戦争は、やるべきでない濡れ衣の戦争をやってしまった「悲劇」だった。対照的に、今回のイランとの戦争劇は、濡れ衣の戦争をやろうとしてやらないで終わり、軍産を巻き込んだ政治的なドタバタ劇にするトランプ流の隠れ多極主義の「喜劇」として演じられている。「歴史は繰り返す。最初は悲劇として、2回目は喜劇として」とマルクスが書いたそうだが、トランプはまさに「2回目の喜劇」を担当している。トランプは、北朝鮮やベネズエラに対しても同種の策略で、好戦的かつ喜劇的な歴史劇をあちこちで繰り返している。

◆まだ続くシェール石油のねずみ講
 【2019年5月14日】 世間は、楽観的なシェール革命の神話をまだみんな信じている。だが昨年来、世界は実体経済が不況の様相を強め、金融システムもバブル膨張がひどい。今後、世界が不況になるほど石油が下がり、シェール石油は赤字になる。いずれ金融バブル崩壊も起き、シェール産業の調達金利が高騰する。シェール石油のねずみ講は、破綻する運命にある。だが、破綻はまだ先だ。トランプはイランと敵対して石油下落を防ぎ、FRBをQEに引き戻して金利上昇を防ごうとしている。

◆戦争するふりを続けるトランプとイラン
 【2019年5月12日】 トランプは、イランを潰す気がないどころか、イランを中露とくっつけて台頭させる隠れた目的のためにイラン制裁を強めている。イランは、制裁で失う分より多くのものを中国や周辺諸国との関係強化によって得ていく。米国の覇権が低下するほど、米国の脅迫を無視してイランから石油を輸入する国が増え、それがまた米覇権低下と多極化を加速させる。トランプもイランも、この流れを踏まえた上で、好戦的な演技を続けている。

◆世界経済を米中に2分し中国側を勝たせる
 【2019年5月10日】 トランプは、これまで米国を中心に一体的だった世界経済から中国とその影響圏を除外し、世界経済を米国側(米国と同盟諸国。米欧日など)と、中国側(中国と非米・反米諸国)とに2分して、米国側が中国側を敵視する新冷戦の戦略を採り始めている。これは表向き、米国のライバルで、一党独裁や人権侵害の問題を抱えている中国を経済制裁して封じ込める戦略だ。しかしトランプの裏の意図は、世界経済を2分した後、巨大な金融バブルの崩壊を誘発して米国側を覇権ごと潰す一方、中国側の実体経済をできるだけ無傷で残すことで、米単独覇権体制とそれを動かしてきた軍産複合体を消失させ、世界の経済成長(バブルでない部分)を維持したまま覇権体制を多極化する「隠れ多極主義の戦略」にある。

◆多極化への寸止め続く北朝鮮問題
 【2019年5月6日】 北朝鮮問題の解決には、国連安保理が、中国とロシアの主導により、直通列車や工業団地再開に必要な対北経済制裁の一部解除を決議するとともに、米国にも国内法で規定している北制裁の一部解除を求めることが必要だ。イランなど他でのトランプの覇権放棄的なやり方からして、米国は、国内法による北制裁を一部解除するのを拒否するだろう。米国は、国連安保理の北制裁一部解除には反対しない。その結果、国連は米国を無視する形で南北間の直通列車や開城工業団地の再開に道を開く。これが今後のありうべきシナリオだ。

◆多極化の目的は世界の安定化と経済成長
 【2019年4月29日】 今後しばらく、軍産による最後っ屁的な混乱策が続き、きたるべき米金融界のバブル崩壊で世界経済もしばらく混乱するが、長期的に見ると、世界は多極化によって安定に向かう。非米諸国の成長が世界経済を牽引するようになる。

◆英国をEU離脱で弱めて世界を多極化する
 【2019年4月21日】 最終的には、英国がEUからの離脱を撤回するか、今よりソフトな離脱で終わる可能性が高いが、そこに至るまでにはまだ時間がかかり、その間に米国ではトランプによる覇権放棄が進み、ロシアや中国、イランなどの台頭が進展して覇権の多極化も進む。英国が離脱騒動を卒業できるころ、世界は今よりずっと多極化が進んでいる。

◆アサンジを米国に連行し民主党と戦わせるトランプ
 【2019年4月15日】 米国に連行されるアサンジは、誰がDNC(民主党本部)のメールの束をウィキリークスに持ち込んできたかを知っている。持ち込み者がロシア当局でないことは米諜報界も認めている。ロシアでないなら、残るは米国側しかいない。義憤に駆られたDNCの内部者、トランプを潰したい軍産・諜報界とかだ。アサンジがDNCメール事件の真相を語ることで、この件でトランプの無実が確定するとともに、トランプに濡れ衣をかけようとしてきた軍産・民主党側の謀略が露呈していく。民主党や軍産との交渉でトランプの優勢が強まる。トランプは、アサンジを政争のエージェントとして使う気だ。

◆イランの自信増大と変化
 【2019年4月12日】79年のイランのイスラム革命は、ソ連との冷戦体制が終わりそうだったので、代替的な第2冷戦の創設のため、米イスラエルの軍事諜報勢力(軍産)が誘発したものでないか。弱体化が予測された左翼でなくイスラム主義勢力に米国の敵を演じさせる必要があった。スンニ派は当時、米国の傀儡で敵になりたがらないので、イスラムとして異端なイランにやらせるしかなかった。米イスラエル諜報界は革命前のイランにかなり食い込んでおり、誘導策や意図的な政権破壊と転覆をやれた。


佐藤芳直著 「 なぜ世界は日本化するのか 」 について

著者の佐藤芳直さんは、はじめの中でこんなことを言っている。
私は、 「世界は日本化する」 ということを25年以上前から発信してきた。そのような大きな歴史的流れを、世界のビジネス現場で強く感じてきたからだ。

ただし、私の言っているのは、現在の世界的な「クール・ジャパン」ブームのことではない。

以前より、“メイド・イン・ジャパン” の工業製品は一種のブランドとして世界に広く知られていたが、近年は、寿司、ラーメン、日本酒、日本茶などの食品文化、漫画、アニメ、コスプレなどのポップカルチャーなども世界から注目されるようになった。だが、私の言いたいのは、そのような表層的な現象の奥に流れるもののことである。

なぜ、 「世界は日本化する」 のかというと、こういうことである。

世界はどの国も、先進国になれば量から質を追求するようになる。質的なモノづくりに特化している国の中では、断トツで日本が先頭を走っている。質的な生活を追求するようになると、どうしたって日本と巡り合う。また、どこの国の民族も豊かさを目指す。豊かになれば人間は、量より質を求めるようになる。どの民族も、質を追求していくと日本にぶつかる。だから「世界は日本化する」のである。

日本は 「より日本であり続ける」 という一点を追求すれば、世界の中で存在感のある国であり続けることができる。

自信をもって「日本らしさ」を追求すればいいと主張しているのです。

【追記】

7月3日、参院選挙前で党首討論をNHKは放送しました。  聞いていると現在時点の日本の政治に関する討論が多かった。  選挙前だから無理はないのだろう。  けれども、多くの日本人としては、将来の日本の目標に沿った立場を明確に打ち出したうえでの議論が欲しいと願っていたのではないかと思う。

トランプ大統領の日米安保の経費云々ということを見ていても、安保の改善を前提にした意識でいるようで仕方がない。

問題は、米国内においての議論は経費の分担金割振りを主にしたことが多いとしても、本質は、朝鮮戦争のような危惧を心配した米国の押付け安全保障だったことを忘却すべきではない。  このチャンスこそ「日米安全保障」を解消し、戦争への道のりを平和への道のりとすべき絶好の機会でしょう。  日本が戦争終焉の先頭にたって進むべき方向だということを、国会議員たるものの目標とした議論であってほしい。

戦争拒否をいくら願っても、日米安保がある限り沖縄問題は解決しないし国内平和の目標も達成しないのです。

トランプ大統領の「日米安保負担金にかかわる問題提起」は、日本の国にとって、これ程いい平和へ進む糸口はない。


この考え方を国民はみんな持つべきだろうと考えております。