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続折々の記 2019⑪
【心に浮かぶよしなしごと】
【 01 】11/28~ 【 02 】時事news 【 03 】時事news
【 04 】時事news 【 05 】12/20~ 【 06 】12/21~
【 07 】12/21~ 【 08 】12/26~ 【 09 】12/27~
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【 03 】12/01~
時事NEWS
国連のSDGs(持続可能な開発目標)へ積極的参加
目標達成へ、走りだそう
薬効かない大腸菌、拡散
学習到達度調査(PISAピザ)低落ショック
Something greatの願い<4> 命のすべて
6 種(=命)の残し方 ; 赤ちゃんの育て方
細胞の不思議な能力
・学業成績もあらゆる階層のいじめも業教育次第?
12 02 (月) 国連のSDGs(持続可能な開発目標)へ積極的参加を 国連への参加を進めよう
少しも知らずに過ごしていた。 こんな大事な動きがあるとは、初めて知りました。 この目標のために、できるだけ情報収集をしたいと思います。
▼9面(2030 SDGsで変える)2019年12月2日05時00分
目標達成へ、走りだそう 朝日SDGsフォーラム
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14278294.html?ref=pcviewer
貧困や差別をなくし、地球の環境を守るために私たちはどう行動すべきか。国連のSDGs(エスディージーズ)(持続可能な開発目標)は17分野の目標を掲げ、2030年までの達成をめざしています。11月11日、SDGsづくりに携わった米コロンビア大のジェフリー・サックス教授を招いて「第2回朝日SDGsフォーラム」(SDGs・プロミス・ジャパン、朝日新聞社共催、三井物産協賛)が東京の有楽町朝日ホールで開かれ、SDGsをどう進めていくかを話し合いました。
from <https://www.unic.or.jp/news_press/features_backgrounders/31737/>
目標1 あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つ
目標2 飢餓をゼロに
目標3 あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を推進する
目標4 すべての人々に包摂的かつ公平で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する
目標5 ジェンダーの平等を達成し、すべての女性と女児のエンパワーメントを図る
目標6 すべての人々に水と衛生へのアクセスを確保する
目標7 手ごろで信頼でき、持続可能かつ近代的なエネルギーへのアクセスを確保する
目標8 すべての人々のための包摂的かつ持続可能な経済成長、雇用およびディーセント・ワークを推進する
目標9 レジリエントなインフラを整備し、持続可能な産業化を推進するとともに、イノベーションの拡大を図る
目標10 国内および国家間の不平等を是正する
目標11 都市を包摂的、安全、レジリエントかつ持続可能にする
目標12 持続可能な消費と生産のパターンを確保する
目標13 気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急対策を取る
目標14 海洋と海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する
目標15 森林の持続可能な管理、砂漠化への対処、土地劣化の阻止および逆転、ならびに生物多様性損失の阻止を図る
目標16 公正、平和かつ包摂的な社会を推進する
目標17 持続可能な開発に向けてグローバル・パートナーシップを活性化する
■基調講演 世界の協力、日本がリードして 米コロンビア大教授、ジェフリー・サックスさん
2015年9月、世界中の政府がSDGsに合意しました。それは長く絶望的な道のりでした。
経済活動に問題があると世界が認識したのは、1972年、ストックホルムで開催された初の環境サミット「国連人間環境会議」でした。そして、20年後の92年、ブラジルのリオデジャネイロで「地球サミット」が開催され、三つの環境条約が合意されました。気候変動の阻止、生物多様性の保護、砂漠化の抑止。20年後の2012年、再びリオデジャネイロに集い、みなが自問しました。「我々は何をしてきたのか」と。
答えは「何もなし」です。何の結果も残さず、40年が過ぎたのです。しかし、参加国の一つ、コロンビアが提案しました。明確な目標を立てようと。これが15年のSDGsの採択につながったわけです。
あれから4年たち、方向転換の難しさを実感しています。(米国をはじめ)政治は短期的で内向きなのに、直面している問題は長期的で世界的です。SDGsの17分野にわたる目標は世界中の国が認識していますが、残念ながら私の国(米国)の大統領はまったく興味を持っていません。
私は世界的な大学のネットワークを使い、SDGsの解決策を考える手伝いをしています。そこで各国のSDGsの進捗(しんちょく)について毎年、報告書を作成するのですが、日本は162カ国中15位に位置していて、非常に成果を出しています。
日本の強みの一つは長寿です。医療制度、食生活の質が米国に比べて優れている。新生児の死亡率も低いですね。教育の質も世界最高水準で、日本の繁栄を支えています。治安もいい。これらのひけつを世界に教えていただきたい。
一方で、問題もあります。生活への満足度が低い。高齢者の孤独や多くのストレスが原因でしょうか。男女平等も点数が良くない。エネルギーも大きな課題です。原子力エネルギーは脱炭素ではありますが、不安視されています。
脱炭素化されたエネルギーに移行すべきです。風力、太陽光、水力、地熱、二酸化炭素の地下貯留……。様々な選択肢があります。電気自動車や燃料電池車に乗るべきだし、暖房は電気を利用すべきです。
革新的なアイデアはあります。豪州からの水素輸入はその一案ですし、世界中を電力網でつなぎ、アフリカの砂漠から送電するという案もある。
世界の国々による21世紀型の協力がなければ、問題は解決できません。日本はSDGs達成で世界をリードしてください。平和や繁栄、持続可能性への道筋を見つける大きな助力になると思います。
*
1954年、米デトロイト生まれ。開発経済学が専門。ハーバード大教授を経て、2002~16年にコロンビア大地球研究所長を務めた。国連事務総長の特別顧問として「ミレニアム開発目標」(MDGs)、その後のSDGsの策定にそれぞれ関わった。
■パネルディスカッション 温暖化ガスゼロへ、闘う姿勢を/遅れる政府対応、基本法は重要
パネルディスカッションでは、ジェフリー・サックスさんと、慶応大大学院政策・メディア研究科教授の蟹江憲史さん、住友化学理事・CSR推進部長の福田加奈子さんが「SDGsを行動におとしこむ」をテーマに話し合った。司会進行などのモデレーターは朝日新聞の北郷美由紀記者が務めた。
◇
北郷美由紀記者―― 気候変動の問題では、2016年のパリ協定のときは産業革命からの気温上昇を1・5~2・0度に抑えようという話だったが、いまは新しい研究成果が出て1・5度に抑えないとダメだとなった。スウェーデンの環境活動家、グレタ・トゥンベリさんは「大人の世代は何もしていない」と思って行動を求めている。彼女も参加して9月、ニューヨークで国連の気候行動サミットと初のSDGsのサミットが開かれた。どう受け止めたか。
蟹江 やはり気候変動がクローズアップされていると強く感じた。温暖化でマラリアを媒介する蚊が北上しているという話などもあり、気候変動とSDGsはすごく関連がある。社会の関心は高く、SDGsをテーマにした大学の私のゼミもここ2~3年で学生数が3~4倍になった。SDGsと気候変動を結びつけて行動につなげるということが非常に大事だと感じる。
福田 温暖化ガスを排出する企業が、目標とする排出量を設定し、審査機関に申請して認定を受ける「サイエンス・ベースド・ターゲット」という制度がある。住友化学は昨年、総合化学会社としては世界で初めて認定された。正直言って、総合化学会社として排出量ゼロにはただちにコミットできない。だが(国連総会では)欧米企業のCEOが「コミットできないが、これから闘う」と堂々と話されていた。まず走り出す。こうした姿勢が必要ではないか。
サックス 15年にSDGsが始まる前には、貧困と戦う「ミレニアム開発目標」(MDGs)があった。住友化学はマラリア対策で、殺虫剤入りの蚊帳を開発した。私の意見も取り入れてくれ、生産量を増やした。今後も排出量ゼロのため環境負荷を低減する技術を見つけ出してくれるだろう。
―― 企業の取り組みをどう評価するか。
サックス 米国では大量の石油や石炭を生産している。それらの企業は地球を犠牲にしてまで企業の利益を増やそうとしている。太陽光、風力、水力発電が豊富にあり、石油、石炭の代替物はそろっている。いくつかの銀行も石油産業に資金提供している。政治は腐敗し、特に共和党の政治家は石油業界に自分たちを売り渡している。
蟹江 日本ではSDGsの前は経団連をはじめとして産業界は気候変動にコミットするのは嫌だと言っていた。SDGsが始まると、企業が先頭を切って走ろうと言い始めている。再生可能エネルギーを100%にする取り組みに賛同する企業も多い。以前との違いは経済も成長しながら環境も守って働き方とかもちゃんとしようと言っているので、そのバランスがうまくいっている気がする。
福田 住友の事業精神は「自利利他公私一如」という言葉で表され、企業としての利益とともに社会の利益を一緒に満たすというところにある。SDGsの考え方はこうした企業理念とまったく一緒なので、1月に「SDGsの達成」を企業理念の中に組み入れた。これは(従業員の意識改革として)ものすごく効果があった。また、SDGsの進捗をチェックする機関として社長をトップにしたサステナビリティ推進委員会も立ち上げた。
―― 一方で、政府には課題があると思うが。
蟹江 政府の取り組みは遅れているというのが正直なところ。今年はSDGsの実施指針の改定の年で、改定に向けて政府への提言をまとめる会議をやった。SDGsは法律に基づいた仕組みではないが、原理原則を決める法律は重要で、内閣の中でも議論の格を上げるために基本法みたいなものをつくるべきだというアイデアが出ている。
■開会あいさつ まさに人間の安全保障 外務大臣政務官、中谷真一さん
業務の中で、SDGsが話題になることが多い。SDGs推進が外交政策の中で大きなウェートを占め、社会への浸透が進んでいる証左であると考えている。
政府はSDGs推進本部の下、国際機関、企業、自治体、市民社会と連携してSDGsを推進してきた。企業、団体を表彰するジャパンSDGsアワード、積極的な自治体を認定するSDGs未来都市の取り組みもしている。
先日亡くなられた緒方貞子・元国連難民高等弁務官は人間の安全保障の力強い推進者だった。SDGsの「誰ひとり取り残さない」という考え方は人間の安全保障そのもの。日本がSDGs推進をリードしていく責任がある。
来年度から教育現場でも本格的にSDGsが教えられるようになる。推進の様々な動きを歓迎するとともに、必要な部分について全力で後押しをしていく。
■閉会あいさつ 貧困の削減、夢ではない SDGs・プロミス・ジャパン理事長、鈴木りえこさん
SDGs・プロミス・ジャパンはサハラ以南のアフリカ諸国の貧困削減の活動をしている認定NPOだ。サックス教授とは15年ほど前に私の夫、北岡伸一が国連日本政府代表部の次席大使に政治任命されたときから、親しくお付き合いをさせていただいていた。サックス氏の活動を通じて貧困削減は夢ではないということを知り、私たちも日本政府に働きかけてきた。
いまは、南スーダンの難民の子どものメンタルヘルスケア、最も貧しい国の一つであるマラウイでの農民の自立支援、ビル&メリンダ・ゲイツ財団の協力を得て顧みられない熱帯病の撲滅のためのキャンペーンもやっている。
「誰ひとり取り残さない」がモットーだが、難民の子どもや顧みられない熱帯病で苦しむ人は世界で取り残されている。SDGsの達成に向かって少しずつ努力を続けていく。
◆記事の構成は伊藤喜之、撮影は諫山卓弥が担当しました。
▼23面(科学の扉)世界規模での対策必要
薬効かない大腸菌、拡散 食肉・水・健康な人にも 朝日SDGsフォーラム
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14278297.html?ref=pcviewer
抗菌薬を壊す酵素「ESBL」が、人々の知らないうちに大腸にはびこり始めたという。 なぜこんなことになったのか説明はない。 地球の温暖化による生態系への影響かもしれない。 今日11月3日は、孫の誕生日であり、スペイン・マドリードで国連気候変動枠組条約第25回締約国会議(COP25)が行われる日でもあります。
グレタさんの糾弾を世界の指導者みんなが遅滞なく合意しなければならない。
【図版】グラフィック・米澤章憲
治療でよく使われる抗菌薬(抗生物質)が効かない大腸菌が、世界規模で広がっている。院内感染で問題になる医療機関にとどまらず、家畜やペット、河川からも見つかり、健康な人のおなかにも居着き始めている。
島根県出雲市の県立中央病院で2016年にある変化が起きた。重い尿路感染症で入院した子どもが急に増えた。
11年からの5年間は42人だったが、16年からの3年間は128人になった。大腸菌などが何らかの理由で尿路に入って起きる炎症が、腎臓にまで及んだ子どもたちだ。小児科の堀江昭好医師(現在は松江赤十字病院)らが調べると、急増した3年間の原因菌の6割超は、薬剤耐性を持つ大腸菌だとわかった。通常、この病気の治療で最初に使う「セファロスポリン系」という抗菌薬が効きにくくなっていた。
第一選択の薬を切り替えると、熱が下がるまでの期間が短くなったという。堀江さんは「尿路感染を起こしやすいタイプの大腸菌が耐性を獲得して、地域に広がっている」とみる。
細菌による感染症は、抗菌薬で治療できる。細菌には様々な種類があるが、抗菌薬も特徴にあわせて色々なタイプが開発されてきた。ただ、薬を使いすぎれば、菌はあの手この手で対抗手段を身につけ、これまでの薬が効かない耐性菌が出てくる。
耐性菌の問題では、ほとんどの薬が効かない「多剤耐性」のアシネトバクターや緑膿(りょくのう)菌による院内感染が注目されてきた。医療機関は使う薬の量も種類も多く、耐性菌が生き延びやすい環境にある。対策が不十分だと、医療者の手や器材を介して抵抗力の落ちた患者らに感染し、院内で拡大する。しかし、薬剤耐性を持つ大腸菌は様相が違う。抗菌薬を使っていないところでも広がっている。
*
今回の薬剤耐性の大腸菌は、世界的には2000年ごろから大流行している。抗菌薬を壊す酵素「ESBL」をつくるため、「ESBL産生菌」と呼ばれている。この酵素は、古くから使われてきたペニシリン系だけでなく、治療で非常によく使われるセファロスポリン系の薬まで無効化する。しかも、鶏肉などの食肉や河川の水、ペットからも見つかり、健康な人のおなかにいることもある。
日本も例外ではない。名古屋大などのグループが10~11年、食品を扱う2230人の糞(ふん)便を1回検査すると、3%でこの菌が見つかった。だが、複数回検査できた333人では、15%にのぼった。グループの荒川宜親教授(細菌学)は「複数回調べた数字が実態に近く、今はもっと増えているだろう」と話す。
ESBLを作る耐性遺伝子は、菌の染色体のDNAでなく、「プラスミド」という環状のDNAの中に存在する。プラスミドは「遺伝子の運び屋」とも言われる。菌の外に出てほかの菌に移動するため、耐性を広げる能力が高い。
今大流行しているESBL遺伝子はもともと、土壌などに多くいる、大腸菌とは別の種類の菌の染色体DNAにあったが、何らかの機会にプラスミドに移り、プラスミドごと大腸菌に広がったと考えられている。
プラスミドはほかの耐性遺伝子を取り込むこともある。このプラスミドを菌が受け取ると、一気に多剤耐性になってしまう恐れもある。
家畜などの大腸菌は、食品などについて口から入っても、通常は人のおなかに定着しにくいとみられる。だが、ESBL産生菌の場合、死に絶える前に、おなかにいる人の大腸菌にプラスミドを渡し、耐性化させてしまう可能性がある。
*
耐性菌を抑えるには、不必要な抗菌薬の使用をやめるのが最善の道だ。抗菌薬を使うと、耐性菌が生き残り、競争相手が弱るなかで増殖してしまう。
抗菌薬の使用量は、人の治療用より、農業や畜産、水産分野の方が多い。家畜の体を大きくする効果があるため、飼料添加物としても用いられる。国によっては、人の治療で重要な薬が、医療でも畜産などでも見境無く使われている。国内でも、効果のない風邪に抗菌薬がよく処方されている。
ESBL産生菌はすでに生態系を循環し始めている。健康な人の半数以上が保菌し、飲み水から検出される国や地域があることも報告されている。「もはや人の分野だけ、動物の分野だけでは解決しない問題になっている」と酪農学園大の田村豊教授(食品衛生学)は話す。世界保健機関(WHO)は世界各国に、人、動物、環境の一体で対策をとるよう求めている。
大腸菌は普段はおとなしいが、尿路に入れば、健康な成人でも膀胱(ぼうこう)炎になる。抵抗力の落ちた人では、肺炎や敗血症、赤ちゃんの髄膜炎の原因になる。このままESBL産生菌が増え続ければ、治療で重要なセファロスポリン系が使えず、抗菌薬の選択肢が限られてくる。「次の薬の耐性菌まで増えたら、最悪のシナリオだ」と、国立国際医療研究センターの大曲貴夫・国際感染症センター長は懸念する。(阿部彰芳)
12 04 (水) 学習到達度調査(PISAピザ)低落ショック なるべくしてなった
新聞トップに学力検査続落が報道されビックリ。 問題の根幹は我が国の家庭意識にねざしていると言わざるを得ない。 社会生活の意識の成りゆきからなめべくしてなった、と私は考えている。
▼1面新聞記事https://digital.asahi.com/articles/DA3S14281503.html?ref=pcviewer
「読解力」続落、日本15位 デジタル設問、情報精査に課題 15歳対象、国際調査
【図版】日本の成績の変化
世界の15歳を対象に3年ごとに3分野の力を調べる学習到達度調査(PISA〈ピザ〉)=キーワード=で、日本は2018年の「読解力」の平均点が落ち、順位も前回の8位から15位に下がった。コンピューターを使いネット上の多様な文章を読み解く力や、根拠を示して考えをまとめる自由記述形式が弱い。思考力や表現力が伸び悩んでいることを示す結果だ。経済協力開発機構(OECD)が3日、公表した。▼14面=社説、23面=調査の詳報
調査は、79の国・地域で約60万人が参加。日本からは統計手法に基づいて抽出した183校から高校1年生約6100人が参加した。文章や資料などから情報を理解・評価し、考える力を問う「読解力」は前回より12点低い504点(OECD平均487点)で、8位から15位に転落。OECDは、誤差の範囲ではなく、理由のある低下だと分析している。
設問は、多様な形式のデジタルテキスト(ウェブサイト、投稿文、電子メールなど)を活用。複数のネット上の情報を読み比べたり、事実か意見かを見定めたりする能力などを問うもので、コンピューター上で選択肢をクリックしたり、文章を打ち込んだりして解答する。
例えば、電子レンジの安全性を確かめる問題では、必要な情報が載っているウェブサイトを推測し、探し出す問いの正答率が56・1%(OECD平均59・2%)。製造企業の宣伝サイトとネット上の雑誌記事を比べて情報の質や信憑(しんぴょう)性を評価する問いでは、自分ならどうするか根拠を示して説明する自由記述形式の正答率が8・9%(同27・0%)と低迷した。
日本の読解力は09年、12年の調査で順位が上がったが、前回の15年に再び低下に転じた。文部科学省は「複合的な要因」としたうえで、日本の生徒がコンピューターを使った解答に不慣れな点や、SNSなどの普及で長文に触れる機会が減っている点などを挙げ、「言語環境が急速に変わってきている」としている。
一方、3分野のうち「科学的リテラシー(活用する力)」の平均点は529点(同489点)で、前回の2位から5位に。「数学的リテラシー」は527点(同489点)で、同5位から6位となった。いずれも順位は下がったが、トップレベルは維持した。(矢島大輔)
■<視点>教育のICT対応遅れ
読解力で日本の15歳の順位が続落したのは2000年→03年→06年の調査以来だ。今回の原因について、文部科学省は「様々な要因が重なり決め手がない」と言う。だが調査方法が前回、紙からコンピューターを使う形になり、測る力が今回、ブログや電子メールなどを対象とした本格的な「デジタル読解力」へと変わった影響は大きい。
日本の15歳はチャットやゲームで遊んでも、学習に利用する時間は少ない。授業でデジタル機器を使う時間も、OECD加盟国のなかで最下位だ。小中高校のパソコンは児童生徒5.4人に1台、教室の無線LAN整備率も4割しかない。
さらに重なるのが活用力の弱さだ。選択肢から正解を選べても、大量の情報から必要なものを選び出したり、情報を疑ってみたり、自分の考えを表現したりする力が足りない。その結果、自由記述形式の正答率は前回より12ポイント下がっている。
直視すべきは格差だ。家庭の経済状況を4段階に分けると、最も厳しい層では、読解力の最下位水準の子が4人に1人以上いた。
ICT(情報通信技術)への対応の遅れ、活用力の弱さ、そして格差。重要なのは順位ではなく、指摘され続けてきた問題をどう解決するかだ。(編集委員・氏岡真弓)
◆キーワード
<PISA> OECDが2000年から3年ごとに15歳(日本は高1生)を対象に実施。参加国は00年の32カ国から18年に79カ国・地域に増加した。15年以降はコンピューターを使ったテストとなっている。日本は03年の調査で、読解力の順位が急落。「PISAショック」と呼ばれ、文科省が全国学力調査など「脱ゆとり」政策を進めるきっかけとなった。
▼14面=社説
国際学力調査 自分の考え育む授業を
順位よりも大事なことを適切にくみ取り、必要な手当てを考えるようにしたい。
経済協力開発機構(OECD)が3年ごとに世界の15歳の学力を測るPISA(ピザ)の結果が公表された。参加した79の国と地域の中で、日本は読解力が15位となり、前回(72の国・地域で8位)よりも下がった。
もっとも数学と科学はトップクラスにあり、読解力についてもOECDは「長期傾向としては変化なし」と分析している。前回からコンピューターテストに移行し、学校でパソコンを使う機会が少ない日本には厳しい方式になったとの見方もある。文部科学省は全国学力調査など他のデータともつきあわせて、日本の子どもの学習到達状況を的確に分析してほしい。
03年調査での成績下降が「脱ゆとり教育」への転換を後押しするなど、PISAは教育政策に与える影響が大きい。慎重な扱いが求められるゆえんだ。
注目点はいくつかある。
日本はかねて、「自分の考えを他人に伝わるように根拠を示して説明する」のが苦手といわれてきた。今回もそれは克服できていない。文科省によると、誤答の一つのパターンとして、問題文中の一節を写すだけで、自分の言葉で解答していない答案が見受けられたという。
また、文章に寄り添って「理解する」のは得意だが、書かれている内容や筆者の考えの妥当性を吟味するといった「評価・熟考」型の問いには手を焼く傾向が指摘される。今回、OECD加盟国の平均正答率を10ポイント超下回った設問は14題あったが、うち9題がこの類型だった。
学校教育の中で、他人の意見に流されずに自らの頭で考え、表現する。そんな習慣を身につけていないのではないかと思わせる結果だ。実際、テストとあわせて実施されたアンケートによると、「国語の授業で先生は生徒に対し、文章についての意見を言うように勧めている」と感じている生徒の割合は、平均を下回っていた。
国内では長らく、もっぱら共感をもって作品を読む教え方が主流だった。それが00年のPISA開始以降、書かれていることをうのみにせず、批評的に読む方法の研究が進み、教科書も変わりつつある。しかし学校現場はその変化に追いつけていないと、秋田大の阿部昇特別教授(国語科教育)はみる。
思考力を鍛える授業づくりには手間がかかる。教員の多忙化で、研修や教材研究の時間がとれなくなっていないか。大学の教員養成課程で新しい教え方を習得させているか――。しっかり検証して環境整備に努めるのが、文科省の使命だ。
▼23面=調査の詳報
情報「使いこなす力」を 国際学習到達度調査PISA
読解力の問題(一部)
3日に公表された、経済協力開発機構(OECD)の国際的な学習到達度調査「PISA(ピザ)」。日本は、数学的リテラシーと科学的リテラシーでは世界トップレベルを維持したが、読解力は平均得点、順位ともに下げた。根拠を示しながら自分の考えを他者に伝わるよう記述する問題に引き続き課題があるほか、テキストの中から情報を探し出したり、質と信憑性(しんぴょうせい)を評価したりする能力も低さが指摘された。
■PISA
義務教育修了段階にあたる15歳を対象に読解力と数学的リテラシー、科学的リテラシーの3分野を調べる。2000年から3年ごとに実施。前回(15年)から出題と解答にコンピューターを導入。18年調査では、読解力分野で既存の問題72問にコンピューター用の新規問題173問を加えた計245問が出題された。分野ごとに成績を習熟度レベルで分類し、評価する。レベル1が低く、レベル6が高い。学習環境や生徒の生活満足度、ICT(情報通信技術)利用状況などについても調べている。
■「読解力」15位 自由記述、正答率の低さ目立つ
読解力は15位(平均得点504点。OECD平均は487点)で、8位(同516点)だった前回調査(15年)から順位を落とした。
テキストから情報を探し出す問題や、テキストの質と信憑性を評価する問題、自分の考えを根拠を示しながら説明する自由記述形式の問題で正答率の低さが目立ち、正答率が8.9%(OECD平均は27.0%)の自由記述問題もあった。また、前回、前々回(12年)と比べ、習熟度の低い(408点未満)生徒の割合が増えた。
生徒への質問紙による調査では、読書(本、コミック、ウェブサイトなどを含む)を「大好きな趣味の一つ」と答えた生徒が45.2%で、09年より3.2ポイント増えた一方、「月に数回」「週に数回」読む生徒はノンフィクションが12.2%、新聞が21.5%。コミックが54.9%と最多だった。また、読書を肯定的にとらえる生徒や、読書の頻度が高い生徒のほうが、読解力の得点が高かった。
■「数学」6位・「科学」5位 順位後退、トップレベルは維持
数学的リテラシーは6位(平均得点527点。OECD平均489点)で、前回から一つ順位が落ちた。ただ、03~18年の平均得点は目立った上昇・下降がなく、トップレベルを維持。OECD平均と比べ、低得点層が少なく、高得点層が多い特徴が見られた。
男女で統計的に有意な得点差があるのは、46カ国。そのうち、男子が女子より高いのは、日本を含む32カ国だった。
科学的リテラシーは5位(平均得点529点。OECD平均489点)で、トップレベルを維持したが、前回の2位から後退。OECD平均と比べ、低得点層が少なく、高得点層が多い特徴が見られた。
男女で統計的に有意な得点差があるのは35カ国で、そのうち30カ国で女子が男子より高かった。日本は男子の平均得点が女子より3点高かったが、統計的な有意差はなかった。
■デジタル使う学習、圧倒的に不足 青山学院大特任教授(教育社会学)・耳塚寛明さん
日本の読解力の順位が連続して落ちた理由についてすぐには思いつかないが、推測は可能だと思う。
一つは、調査が前回からコンピューター使用型になったことだ。日本の子どもたちは、コンピューターを思考の道具として使う経験が圧倒的に不足している。学校の授業でデジタル機器を利用する時間は、今回の調査でもOECD加盟国のなかで最下位にとどまっている。
校外の利用状況も、コンピューターを使って宿題をする生徒がOECD平均だと22%なのに、日本は3%しかいない。ネット上でチャットをする生徒は87%に上り、OECD平均の67%を20ポイント上回っているにもかかわらず、である。
二つ目は経済的、文化的に苦しい家庭の子どもで、基礎的な読解力レベルに達していない生徒たちが回を追うごとに増え、3割近くになっていることだ。
そうした生徒たちは自宅にコンピューターもないことが多い。校外での利用経験が乏しくなり、デジタル化が、家が豊かな子どもとの格差を広げている可能性もある。
いま、紙と鉛筆の時代は変わりつつある。情報が主に存在する場所は電脳空間にある。そこから、信頼に足る情報を選び出し、思考する技法が欠かせない。知識の発信も電脳空間に向けてだ。日本の学校は、そんな流れに完全に乗り遅れている。
学校教育が時代に追いつき、格差も広げないためには、教室の通信環境を整え、教師へのデジタル研修の機会を増やし、機器を整備するために予算を投入することが急がれる。
■「生きた読解力」ずっと弱いまま 京都女子大教授(国語教育学)・水戸部修治さん
PISAの求める読解力は、単に文章を正確に読み取るだけではなく、社会で生きるのに通用する読解力である。良い例が今回のラパヌイ島の出題。未解明のテーマについて、異なる視点で論じられた複数の文章を読み比較した上で考えを述べることを求めている。
日本では、読解力が低かった2003年から「受け身的な読み取りではいけない」と叫ばれてきた。しかし、今回の経年比較を見ても、弱い部分は弱いままであることがわかる。目的に応じて情報を探して読む、複数の情報を比較して文章を評価する、読んだことを元に自分の考えを根拠を示して説明する力などは、以前から変わらぬ課題だ。
学校現場で努力はされている。ただ、まだ指導の力点が、一文一文の意味をより正確に読み取ることに集中し、バランスを欠いて総合的な読解力につながらないのではないか。学習指導要領の「読むこと」の言語活動は、読んで終わりではなく、読んだ上で発信する形だ。関連の様々な文章や作品を読んで情報を比較し、考えを持ち、発信、共有するという学習を意図的に繰り返すことが重要だ。
文学的な文章でも、実用的な文章でも、一方的な内容の読み取りを無目的にするだけでは力は伸びない。国語科以外の教科で使える読解力も意識してほしい。
必要な情報のサイトを探す経験も、他国と差が大きい。日本は大学生でもスマートフォンのSNSの使用が中心で、パソコンで長文を読み、長文でやりとりする経験が欧米各国と比べて非常に少ない。ICTを活用した学習指導が一層求められる。
◆この特集は、根岸拓朗、三島あずさ、宮坂麻子、山下知子、編集委員・氏岡真弓、グラフィック・米沢章憲が担当しました。
▼毎日新聞2019年12月3日 17時00分https://mainichi.jp/articles/20191203/k00/00m/040/132000c
日本の15歳、読解力が15位に急落
国際学習到達度調査
PISA の2018年の結果がNHKで報道され中国が断然トップの図表があったのに、朝日新聞では表示されなかった。 他紙を見るとその第一に毎日新聞があり、それには詳細なデータが掲示されていた。
掲載されたのは次のとおりである。
経済協力開発機構(OECD)は3日、加盟国などの15歳を対象に3年に1度実施する国際的な学習到達度調査(PISA、ピザ)の2018年の結果を公表した。日本は数学・科学分野は上位を維持したが、読解力は15位で前回(15年)の8位から急落した。
<ニュースで耳にする「PISA型学力」ってなに?> .
<PISAが問うのは「行間を読む力」> 有料記事 .
<「これほどとは」言葉失った有名私大教授> 有料記事 .
<そもそも問題文が理解できない>教育現場は試行錯誤 有料記事 .
<読解力は前回の調査でも4位から8位に低下> 有料記事 .
<前回調査では> 「和の国民性で」チーム解決力、日本2位 有料記事 .
<「ふざけるな」「マジで振り回されてる」受験生 英語民間試験延期に> 有料記事 .
今回の調査はOECD非加盟国・地域を加えた79カ国・地域の約60万人の生徒が参加した。日本は昨年6~8月、無作為に抽出された全国の国公私立高など(183校)の1年生約6100人が受けた。
日本の平均得点は数学的リテラシー(応用力)が527点で6位(前回532点・5位)、科学的リテラシーが529点で5位(前回538点・2位)だった。読解力は504点とOECD平均(487点)を上回ったものの前回の516点から大幅に下がった。
日本は03年調査で数学と読解力の順位が大きく下がり「PISAショック」と呼ばれた。学ぶ内容を減らした「ゆとり教育」の影響が指摘され、文部科学省は07年度から基礎的知識に加えPISA型の応用力もみる全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)を開始し、08、09年度に改定した小中学校の学習指導要領では「知識と思考力などのバランスのよい育成」を重視し、授業時間を増やした。その後“V字回復”したが、読解力は15年の調査で再び下降した。
専門家は原因として、スマートフォンやSNSの普及で子どもたちの読み書きやコミュニケーションが「短文中心」になっていることや、答えのない課題に対処する「課題解決型能力」を養う指導が学校で十分できていないことを指摘している。15年からPISAがコンピューターで解答する形式となったため学校の情報通信技術(ICT)整備が遅れている日本は操作の不慣れも低下の一因に挙げられている。
文科省は小中学校で20年度以降に順次実施される新学習指導要領で、課題解決型能力を育むため教科横断的な言語活動の充実を図り、国語では多様な文章を読ませ、話し合ったりまとめたりする授業を強化する。【水戸健一】
PISA(ピザ)
「読解力」「数学的リテラシー(応用力)」「科学的リテラシー」の3分野について、学校で身につけた知識や能力を実生活のさまざまな場面でどの程度活用できるかをみる。「満点」はなく、難易度によって設問の得点が調整され、全体の平均が500点、3分の2が400~600点になる設定のため過去の調査と比較できる。学習の意欲やインターネットの利用などに関する質問調査もしている。
(情報提供:GetNavi web)
<ニュースで耳にする「PISA型学力」ってなに?>
2017年 3月21日 一昨年のデータ
https://mainichi.jp/articles/20170321/gnw/00m/040/001000c?inb=ys
OECD(経済協力開発機構)が2015年に実施した国際学習到達度調査(PISA)の結果が公表され、日本は、科学的応用力は2006年調査以降で最高の2位、数学的応用力も7位から5位に上昇したことが話題になりました。そこで今回は、PISAで測られる学力とはどういうものなのかを解説します。
PISA型学力とは
OECD(経済協力開発機構)が測る学力のこと。学校で習ったことをどの程度理解しているかではなく、知識や経験を活用して、実生活のさまざまな場面で直面する課題について、自分で積極的に考える能力のことです。
日本は、世界的にみても学力は高い!?
PISA調査とは、OECD(経済協力開発機構)が、加盟国を中心に3年ごとに実施する学習到達度調査です。世界72カ国・地域の15歳男女約54万人を対象に、読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーの3分野について実施しています。
2015年の調査では、日本からは198校、約6600人が参加しました。
結果は、下のグラフにあるように、科学的リテラシーは前回の4位から2位、数学的リテラシーも7位から5位に上昇しています。一方で前回4位だった読解力は8位に落ちました。
順位の上下はともかく、世界の中でも高い学力を維持しているということですから、日本の子どもたちも頑張っているんですね。
グラフ出典:平均得点及び順位の推移
〔国立教育政策研究所OCED生徒の学習到達度調査(PISA2015)のポイントより〕
どれだけ覚えたかではなく、学んだことを実生活で活用できるか
この調査の目的は、義務教育修了段階の生徒が、学校のカリキュラムに関係なく、学んだ知識や技能を、実生活のさまざまな場面で直面する課題にどの程度活用できるかを評価することです。
つまりPISA型学力は、どれだけ知識を覚えたかではなく、覚えた知識を使って実生活の中で活用する能力といえるでしょう。これは、以前解説した21世紀型能力にも重なるものです。
データを読み取り、筋道立てて説明する力が測られる
PISAでは具体的には、図表・グラフ・地図などを含む文章を読んで、そこから課題をみつけて、答えをだすための方法や考え方を論理的に説明することが求められています。また、「自由記述形式」の出題が多いのも特徴です。
例えば暑い日のランニングについて、データをみて、気温の上昇が汗の量に与える影響について説明するという問題が出題されました(2015年)。
また、読解力を測る問題では、携帯電話の安全性についてといったテーマで、相反する意見を述べた問題文を読み、それに対する自分の「意見を表現する」ことが求められています(2009年)。
さらに今回から、出題形式が、筆記型からコンピュータ使用型調査に変わりました。これは、日常生活の中でICT(情報通信技術)が欠かせない現代社会で、その活用力をみるためです。
日本の子どもは自分で考え、表現するのが苦手?
今回、読解力の成績が下がったのは、コンピュータ使用型調査に不慣れだったためともいわれていますが、気になるのは、“従来から見られた「自分の考えを説明すること」などに課題がある”という文部科学省の報告です。
子どもたちは、文中から正解をさがす癖がついていて、自分で考えない傾向があるようです。
しかし、正解のない時代に必要なのは、予想外の事態にぶつかった時に、自分で判断し、行動し、よりよく問題を解決する力です。
学ぶ意欲を育てるのは楽しさ
そのような力を身につけるためには、日ごろから自分だったらどう思うかということを考える訓練をしておくことが必要です。同時に、社会のさまざまなことに関心を持ち、学び続ける意欲を育てる必要があります。
そのためには、学ぶことが楽しいと思えるかどうかがポイント。しかし、今回の調査では「科学の楽しさ」の指標は下がり、OECD平均を下回ったという結果が出ているのも気になるところ。
子どもたちの中に学ぶ意欲を育てることが、PISA 型学力を身につける最初の一歩かもしれません。
PISA型学力のポイント
OECD(経済協力開発機構)が測る学力で、どれだけ知識を覚えたかではなく、覚えた知識を使って実生活の中で活用する能力。
学校のカリキュラムに関係なく、学んだ知識や技能を、実生活のさまざまな場面で直面する課題にどの程度活用できるかが問われる。
中曽根陽子 教育ジャーナリスト
教育雑誌から経済誌、紙媒体からWeb連載まで幅広く執筆。子育て中のママたちの絶大な人気を誇るロングセラー『あそび場シリーズ』の仕掛人でもある。 “お母さんと子ども達の笑顔のために”をコンセプトに数多くの本をプロデュース。近著に『1歩先行く中学受験成功したいなら「失敗力」を育てなさい』『後悔しない中学受験』(共に晶文社)『子どもがバケる学校を探せ』(ダイヤモンド社)などがある。教育現場への豊富な取材や海外の教育視察を元に、講演活動やワークショップもおこなっており、母親自身が新しい時代をデザ インする力を育てる学びの場「Mother Quest 」も主宰している。
公式サイトhttp://www.waiwainet.com/
日本の子どもたちの読解力がここ数年低下し続けている実態が経済協力開発機構(OECD)の2018年の国際学習到達度調査(PISA)で浮き彫りになった。PISAで問われている読解力とは何なのか。
「誤解している教員が多い」と語るのは09年のPISAで読解力調査国内専門委員を務めた北川達夫・星槎大客員教授。11月下旬、首都圏で小中学校教員を対象に自治体が開いた研修会で「PISA型の読解力を伸ばす授業のイメージを聞かせてください」と教員らに尋ねると、返ってきたのは「意見を言わせる」「『あなたが物語の主人公だったらどのように考えるか』と問う」――など「誤解」した回答ばかりだった。
北川教授によると、PISAの読解力では自分の意見を言うことは求められていないという。最も重視される…
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経済協力開発機構(OECD)の2018年の国際学習到達度調査(PISA)で、日本の子どもたちの読解力がここ数年低下し続けている実態が浮き彫りになった。今回は、学習指導要領の見直しなどにつながった03年の「PISAショック」時とほぼ同水準にまで下がった。教育現場で何が起きているのか。【千脇康平、成田有佳、水戸健一、伊澤拓也】
「増えているとは感じていたが、これほど多いとは……」。首都圏の有名私立大の男性教授は昨年、学期試験の答案用紙を前に言葉を失った。講義で扱った雇用問題の背景を論述させたが、段落がなく文を羅列しただけの答案が300人超の2割にも上った。主語・述語や論旨が曖昧で、学歴を「学暦」、適したを「的した」といった誤字・脱字も散見された。「何が大事な情報か全く整理できていないんですよね」と嘆く。
読書経験が圧倒的に不足
異変の兆しは数年前からあった。学生に1年間に本を何冊読むかを聞くと…
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Something greatの願い<4> 命のすべて
2018/12/10 91歳を迎えて
6 命残し方 ; 赤ちゃんの育て方
学業成績も、あらゆる階層のいじめも、業教育 次第?
カルマ(業 )とは?
<https://true-buddhism.com/teachings/karma/>
ここにカルマ(業)の解説が出ています。 しかし、業教育については記述がない。
お釈迦様はよくも考えたと思いますが、阿頼耶識という言葉で親子の伝承を
巧みに教えている(=輪廻転生)と私は考えております。
この考え方に間違いがあると思いますか? 私はよくも考えたとびっくりしました。
いじめについては、子供から少年、さらに学生、若者に至る若年層の人々への上司からの問題点、がマスコミに殺到して持ちこまれている。 解決法を論ずる機運はあまり見えない。 政治家も評論家も………。
私の今までの体験から見ると、ほとんどの因果から言えることは家庭の在り方が変貌してきたからであると見なければならない、と思います。
私はなが年、子どもたちに直(ジカ)に接してきた。 中学へ入学した時点において、人の性向、能力、品性、すべてにいい悪いは別としてバラツキがあるのです。 小学校入学時点においても、一人ひとりの性向、能力、品性、すべてにバラツキがあると担任教師は言います。 保育園の先生に聞いても、答えは、同じなのです。
これは一体なぜなのか?
そんなことは何時の世でも同じさ、という考え方もある。 何故なのか、その投げかけへの返答は千差万別となる。 それも当たり前のことである。
だが、ここで止まって考える。
もともと人の生涯を見れば、赤ちゃんの時から足腰が萎えた年寄りの道のりを貫いて一生を終える、このことには疑問の余地はないのです。 だがどの親にしても赤ちゃんを可愛がり、どんなことでも手助けしてきた。 このことも「その通りだ」ということには疑問の余地はない。 だが、親は自分の人生の体験から、何が大切かについては知っている筈である。 誰に聞いてもその答えは、千差万別であるにしてもできるのである。
自分の体験から大事なことをどう伝えるのか、そこからしてバラツキが始まってくる。 これも疑問の余地はないだろう。
今日の課題はすべて、赤ちゃんに対する親が接する考えからすべてが始まっているのです。 間違っているでしょうか?
「その通りだ」と了解できるとすれば、どんな課題があるというのか話し合わなければならない。 誰しもわが子が五体満足で生まれてにっこり微笑む顔(エンジェルスマイル)に接すると、自分の命を懸けてその子を護り通そうとするのです。 命を懸けて愛するというと、極端な言い過ぎかもしれません。 でも動物の親を見ていると、命を懸けてわが子を庇護していることがわかるではありませんか ?! 「いわんや人間においておや!」と言えるのです!
この本能的な子育ての姿は、いい加減でいい筈がありません。
一番大事なのは自分の子が一人前になって世間の人に喜ばれるように育ってほしいと思うことでしょう。 間違っていますか?
このことは、間違っていないと思います。
黄金律という言葉を聞いたことがありますか? 英語ではコールデンルール(Golden Rule)といいます。 金(キン)のように光り輝くきまりのことです。 世の中は一人では暮らしていけませんから、自分と他人の間の大事なきまりのことを言うのです。
これは仏教でも儒教でもキリスト教でも世界のどの宗教でも、この考えをもとにしていますから、間違いはないと思います。 この大事な心、を赤ちゃんを育てる親はだれでも持っているのです !!
ことは 国際的な学習到達度調査(PISA、ピザ)の結果が低いと言って、教育方針がどうのこうのという議論をするのは、人生を大樹だと仮定するならば枝葉末節の課題だととらえなければならないのです。
この枝葉が曲がり始めたとするなら、大樹自身の地中の大きい根っこから細かい根っこの養分の取り方に始まって、先端部分の芽の方向の矯正(キョウセイ=正常な状態に治すこと)まで考えなければならない筈です。
学習到達度調査結果だけでなく、いじめの問題にしても子どものいじめ問題だけでなく、子供に対する親の暴力、さらには企業内でも上司から部下への言葉による精神的いじめ、これら由々しき問題が今日的重大問題としてマスコミが取り上げることになりました。
元を正せば人の人間性がおかしくなっているのです。 人と人との関係がおかしくなってきているのです。
強者が弱者をいじめる。 独立した人間性と独立した人間性の関係がおかしくなっているのです。 黄金律の教えは忘れ去られ、自分の勝手な思い自分の優位性を表に出すことになり、大人も子どもも手を取り合う大事な心が薄れ去り、政治は忖度を正そうともしないし、人の良心がズタズタにされるようになってしまった。
なんだもんで、そんなようになってしまったのか?
親が安心して子育てできないような社会に変貌してきたからです。
私たちは、優しい文化に支えられ人を大事にする習性を身に着けるように育てられてきたのです。 温故知新といいます。 日本人としての歴史をさかのぼり、祖先の人たちは何を大事にして生きてきたのかを第一に知ることが必要なことです。 そのことを学び身につけてから、では自分はどういうことを大事にして生きていけばいいかを定めなくてはならないのです。 さらに心構えはどうあったらいいのかも、一人ひとりが心構えとして腹に据えることが大事なことになりましょう。
そう考えを進めることは間違いではないと思いますが、どうでしょうか?
モーゼの十戒を見ると、1~4までは SOMETHING GREAD について語り、5~10までは 人として生きる心がけについて語り伝えているのですが、その人としての心がけの第一に 「父母を敬うこと」 を掲げています。
何故親を敬うことといったのでしょう? これが十戒の中核の表現として語られているのです。 父母とは何の意味として考えているのでしょうか? 単なる父、母の言葉ではなく、モーゼはもっと壮大な考えがあって人の心がけの第一に取り上げたのでしょう。 それは何だったのか?
私は思うのです。 彼の考えでは自分は何なのかという思索を深めつづけ、その到達したことを SOMETHING GREAD であると表現したに違いないと。
SOMETHING GREAD とはなにか。 現在の科学的分子生物学が到達した人が生きていく根本は、得体も知れない不可思議な偉大なエネルギーだということだった。 その現象を SOMETHING GREAD という言葉で表しています。 この言葉が生きていく生命の源泉だと現代生物科学者が表現しているのです。
私は、モーゼという人の思考世界が現代に通ずる素晴らしいものだと驚嘆したのです。 究極の諸現象を最短言語で表現するとすれば、モーゼのいう十戒の1~4の塊のトップに 「主が唯一の神であること」 と言わざるを得なかったと思うのです。
主とは何か? 自分をこの世に有らしめたものと理解すべきである。 そう理解するとき、自分をこの世に有らしめたものそれは神である、と言わざるを得なかったのでしょう。
神とは万能であり最高のものとしての表現として使われたのだといえましょう。 こう考えるのは、間違いだろうか。
この考えをさらに推し進めるとすると、 SOMETHING GREAD とは細胞の能力すべてであり、その細胞の集合体が人体であり、さらに細胞が協力して保持していく命の司令塔となっているのが一人の人の意志であり心である、そう理解するのです。
こうした人を作り出しているのが父母である !!
「母こそは命の泉」 そう聞いていることに異議は寸分の狂いはない筈です。 父母こそは神であり、父母こそは敬う対象である。 モーゼの十戒には寸分の誤りはないのです。
母こそは 命のいずみ
いとし子を 胸にいだきて
ほほ笑めり 若やかに
うるわしきかな 母の姿
母こそは 千年(ちとせ)の光
人の世の あらんかぎり
地にはゆる 天つ日なり
大いなるかな 母の姿
この歌は、昭和18年に作られたと歌だという。ちょうど戦争末期。 そして、その時代的背景により、陰に隠れたらしい。ネットで見たら、次の記述もある。
「母の歌」野上弥生子作詞、下総皖一作曲。1943(昭和18)年2月文部省から発行された国民学校芸術科音楽の第5学年用教科書「初等科音楽」3に掲載。 自分がこの歌をどこで聞いたかは覚えていない。 しかし1番の歌詞と、切ない心に滲みる女声の歌声が自分の頭にこびりついた。
《音の回想5》小学唱歌の思い出 このブログも開いて読んでほしい。 前に書いたように稚内の人も西表島の人も、昭和10年ころ以前に生まれた人なら誰でも斉唱できるのです。
秀吉と利休 野上弥生子を索引で調べていると、松岡正剛の千夜千冊のなかに彼女が書いた「秀吉と利休」が出てくる。 これを見ていると、野上弥生子がどんな人なのか驚くようなことが書かれている。 彼女が 「母こそは命の泉」 の詩を書いたと思うと、その意味する中身は何だったのか俄然知りたくなるのだ。 そんなことがあったので、一読をお勧めしたい。
話が一か所に止まっていましたが、話を元に戻しましょう。 モーゼの十戒は、彼がずば抜けた思索家であり人が守らなくてはならないことを端的に、そのものずばりに表現していた、ということでした。 けれどもモーゼに欠けたことが一つあった。 それは、大事であるべき人の教育に関しては、何も触れなかった<ことです。
わが子の教育はどうあったらいいのか? このことが今日の大きな課題なのです。
一つの事実をみんなで考えましょう。 この事実はみんなも異議がないと思うのです。 それは今でも昭和10年頃以前に生まれた人なら、稚内の人でも西表島の人でも文部省唱歌を一緒に歌えるといっても異議はないでしょう !!
この事実を子育てに活 かすこと、これが重要なポイントになるのです !!
この流儀を考えてみれば、入れに類することはいろいろとあります。
いまでも正月になると、小倉百人一首のカルタ遊びをするところがあるでしょう。 宮中では国民のだれでも参加できる歌会が開かれるでしょう。 県内の小中高の生徒が郡単位で習字の展覧会が開かれるでしょう。 同じように全国を含む小中高の生徒の音楽コンクールも開かれています。
こうして例を挙げていくと、日本文化の伝承もすべて実在していることに気がつくのです。
一人一人が意地悪をしなくなればいじめはなくなるのは当然のことです。 とすれば、子育ての中に、父母(チチハハ)は何を一番大事にして子供を育てればいいのかを、文部省唱歌のように、日本中の父母が学びそれを活かして子育てをすればいいのです。 しかもそれは、赤ちゃんがおなかに授かった時から生まれて満5才ころまでに重点をおいて生活すればいいのです。 この約6年間は仏教でいうところの業(=カルマ(業 とは?)を赤ちゃんが自分でもの凄い言葉では表せないほどの素晴らしい能力を持っていてすべてのことを取り入れるのです。 このことはげ歳の分子生命科学の研究によって実証されていることなのです。
この今日 2019/12/12 は、孫三人のうちの初めの女の子の誕生日です。 高野山金剛峰寺で安産祈願をした日でした。 けさ5時に起きた時、夜空には真ん丸の月が私を照らしていた。 幸運をお祈りします。
飛入りニュース 業 というのは赤ちゃんが想像できないほどのすごい吸収能力を持っている時期であり、今の学問の表で表しますと、才能逓減の法則といわれている現象をとっているのです。
脳と体の成長曲線
https://www.shichida.co.jp/about/personality/
才能逓減の法則
言うなれば、「3歳まで」に脳の基本性能は決まってしまうのです!
例えるならば3歳までは脳というコンピューターの、メモリ容量や処理速度といった基本スペックそのものを作りあげる時期。 3歳以降の学習は完成したコンピューターにソフトをインストールする作業、と言えるでしょう。
つまり脳のコンピューターそのものの性能に関与出来る時期は「今」しかないのです。
(ただし、大変優れた教師が思考力を格段に育てる特別なカリキュラムを実践すれば6~7歳頃まで脳の基本性能を育てるコトは不可能ではありません)
かつては公立小中学校で知能検査が実施されていたものですが、今はほとんど行われていません。 幾つかの理由がありますが、その一つに「8歳でIQを調べても14歳でIQを調べても、個人のIQには変化がないから知能検査を実施する必要はない」という事もありました。
それで「IQは生まれつき遺伝で決まっている」という説も有力になりました。
しかしそれは大きな間違いでした。
IQは3歳(広義では6~7歳)までにいかに多彩かつ良質の経験をしてより多くのシナプスを発達させ、脳の回路のネットワークを豊富に育てるか?にかかってくるのです。
知識の詰め込み・丸暗記だけならば6歳以降でも努力次第で出来ますが、考える力・創造する力・解決する力など本当の意味での「頭の良い子」に育てるには3歳までの環境で80%、6歳までの環境で90%が決まってしまうのです。
3~6歳までに望ましい生育環境になければその子の才能はほぼ凡庸の域に留まる可能性が高いでしょう。 その年齢までにしか習得出来ない能力もあります。
(一定の音域を聞き取る能力などは9歳が臨界期で、絶対音感や英語の正確なヒアリング能力はこの時期を逸すると二度と身につかないと言われます。英語のLとRの発音の母国語レベルでの聞き分けは0歳6ヶ月が臨界期とされています。)
しかし、
才能逓減の法則は逆に言えば3歳までの育て方次第で、生まれも遺伝も関係なく「どの子でも驚異的に才能を伸ばせる無限の可能性が開かれている」と言えるのです。
適期教育の与え方次第で、どの子でも大変優秀に育つ事が出来るのです。
山路を登りきて 2014/3/25 逍遥のはてに を開くと、参考になるものもあります。
また続折々の記 2018⑧を開くと、【01】 05/07~から【09】 09 05~の 「語部(カタリベ)の実証 アンダーウッドの「一万年の旅路」より」までいろいろと以前書き残した記事があり、参考になります。 ぜひ開いて読んでほしい。