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続折々の記 2019⑪
【心に浮かぶよしなしごと】
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【 04 】12/10~
時事NEWS
国会は桜の会をそのままにして終わる
・桜を見る会、説明従来通り
・説明責任避けた政権 「桜を見る会」実態なお不透明
・自衛隊派遣に注文次々 「期限明確に」「国会報告を」
・臨時国会閉幕 政権の専横を忘れまい
・桜を見る会、市民「すべて明らかに」
12 10 (火) 国会は桜の会をそのままにして終わる 虚言が罷りとおる国会
忖度という看板を外すこともなく、虚言をとがめる与党議員もなく、恥ずかしい日本の国会は幕をひいた。 嘘がまかり通る今の国会。 こんな言葉を言わなくてはならない91歳の戦前生まれの老人の心境。
自尊心をかなぐり捨て、ご都合主義になりを澄まして世界の国々とのやりくりをこそこそする総理大臣。 悲しいじゃないですか。
さすがマスコミの一翼を担う朝日は、新聞でこのことを書きたてている。 読んでみるがいい。
2019年12月10日05時00分
臨時国会閉会 首相会見、名簿「適正に廃棄」
桜を見る会、説明従来通り
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14288271.html?ref=pcviewer
臨時国会が9日、閉会した。安倍晋三首相は首相官邸で記者会見し、国の税金を使って首相が主催する「桜を見る会」について、「様々な批判があることは十分に承知している」と述べた。しかし、招待者名簿については「適正に廃棄をしている」と語るなど従来通りの説明を繰り返した。▼2面=説明責任は、4面=一問一答、16面=社説、38面=怒る市民
記者会見は約33分間行われた。首相は約13分間の冒頭発言で、今国会で承認された日米貿易協定などの成果を誇ったが、桜を見る会に自ら触れることはなかった。
質疑で記者から桜を見る会について問われた首相は、「公費を使う以上、これまでの運用を大いに反省し、今後、私自身の責任において全般的な見直しを行っていく」と語った。ただ、名簿データの復元は「不可能」との認識を示した。
また、オーナー商法で消費者庁から行政指導を受けたジャパンライフ元会長を招待していたとされる問題についても質問されたが、首相は元会長とは「個人的な関係は一切ない」とした。
一方、憲法改正については改めて意欲を示した。「来たる通常国会の憲法審査会で、与野党の枠を超えた活発な議論を通じて、令和の時代にふさわしい憲法改正原案の策定を加速させてまいりたい」と発言。さらに「憲法改正は、必ずや私の手で成し遂げていきたい」とも語った。
衆院解散・総選挙をめぐっては、「国民の信を問うべき時が来たと考えれば、解散・総選挙を断行することに躊躇(ちゅうちょ)はない」と述べた。
安倍政権にとって臨時国会は誤算が続いた。日米貿易協定の承認は取り付けたものの、菅原一秀・前経済産業相、河井克行・前法相が相次いで辞任に追い込まれた。大学入学共通テストで活用が予定されていた英語民間試験も萩生田光一・文部科学相による「身の丈」発言に非難が集中し、見送りを余儀なくされた。終盤には桜を見る会をめぐって問題が続出。政府の説明には厳しい視線が注がれている。
立憲民主党など野党は今国会での内閣不信任案の提出を見送った。来年1月の通常国会を見据えて桜を見る会の疑惑追及の継続性を重視したためで、今後、立憲など野党統一会派や共産党などでつくる「桜を見る会」追及本部を週数回のペースで開催。さらに説明を求める方針だ。
■<視点>「信なくば立たず」どこへ
「桜を見る会」で批判を浴びた安倍首相にとって、9日の記者会見は疑念を晴らす場になったはずだが、従来の答えを繰り返し、証拠も示さなかった。
かつての自らの発言を覚えているだろうか。「信なくば立たず。国民の信頼を得るためには、私が責任を持って全容を解明する」。加計(かけ)学園問題などを問われた2018年4月の国会答弁だ。あの言葉が1年半を経て、空疎に響く。
桜を見る会が今国会で初めて追及されたのは11月8日の参院予算委。首相の支持者へのサービスだったのでは――。こんな疑問が噴き出したのに、この1カ月に国会答弁に立ったのは、2回の参院本会議のみ。矛盾をただせる予算委開催を野党が求めても、数の力を頼み、応じなかった。
各社の世論調査では、首相の説明に納得していないとの回答が7割前後に達する。通算在職日数が憲政史上最長になった首相に向けられた「税金の私物化」との疑念は深まるばかりだ。
廃棄したとする招待者名簿のデータ復元について、首相は「不可能」との認識を示した。証拠を得るためのリーダーシップを示すことさえしない姿勢では、最長にふさわしい信頼は取り戻せない。(国会取材キャップ・蔵前勝久)
▼2面=(時時刻刻)説明責任は
臨時国会閉会
説明責任避けた政権 「桜を見る会」実態なお不透明
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14288122.html?ref=pcviewer
【画像】今国会で起きた問題と安倍晋三首相の対応
9日に閉会した臨時国会は、閣僚の連続辞任や、安倍晋三首相の公私混同が指摘された「桜を見る会」の問題など、2カ月余りの会期で不祥事や疑念が続発した。だが、与党は野党が求めた事実解明のための審議などに十分応じず、政権への打撃回避を優先した。▼1面参照
9日夜、首相官邸であった記者会見。臨時国会で浮上した疑念に対する首相の説明は、それまで述べてきた内容をなぞる素っ気ないものだった。
記者団が「桜を見る会は、後半国会の大きな焦点となった。野党は税金の私物化だと批判を強めている」と質問すると、首相は手元のメモに目を落としながら語った。「長年の慣行のなかで行われてきたところだが、招待者の基準があいまいであり、結果として招待者の数がふくれ上がってしまった」
約30分の会見のうち、桜を見る会についての説明は約2分。幹事社による質問に1回答えただけだった。朝日新聞の記者は手を上げ続けたが指名されなかった。
首相は会見で「国民の皆様から、様々なご批判があることは十分に承知をしております」とも述べた。だが、国会では最後まで、野党などが指摘した疑念に具体的に答えなかった。
同会をめぐっては、11月8日の参院予算委員会で共産党が、首相が地元有権者を多数招待しているなどと公私混同ぶりを追及した。さらに、会の前日に首相の後援会が都内で開いた夕食会をめぐる会計処理のあり方や、反社会的勢力とみられる人物の出席、オーナー商法で行政指導を受けていたジャパンライフの元会長が招待されたことなど、疑念が次々と噴出した。
野党は、首相の妻昭恵氏が招待者の推薦に関わっていたのではないかとも指摘。立憲民主党や共産党などは追及チームを結成して、政府に招待者名簿などを提出するよう求めた。だが、内閣府は紙の名簿はシュレッダーで廃棄し、電子データも削除済みだと説明。招待者がどのように選ばれたかなど、実態は不透明なまま推移した。
野党は首相に直接ただす必要があるとして、参院規則に基づき、首相出席の予算委員会の開会を求める要求書を金子原二郎・予算委員長(自民党)に提出したが、与党はこれを拒否。11月8日の参院予算委以降、首相は国会で一問一答形式の質疑に応じなかった。
この問題で連日、記者の追及を受けた菅義偉官房長官は12月9日の記者会見で、「納得されていない方がたくさんおり、私どもの説明の仕方が足りないのだろうとも思う」と口にした。一方、記者団から「一連の疑惑について調査はするのか」と問われると、「疑惑というのはよく分からないが、質問には丁寧にお答えさせていただく」と明確な回答を避けた。
官邸幹部は「桜を見る会の問題は、資料を出せば野党やマスコミに突っ込まれるだけだ」と漏らす。「総理は十分ご説明、ご答弁なさっておると思います」。自民党の二階俊博幹事長は9日の会見でそう語った。
政権内には、国会での追及をしのいだとして一服感が漂う。首相に近いベテランは「年が明けたら雰囲気は変わる」。首相は同日、国会内であった党役員会で党幹部を前にこう語った。「国会も閉じ、みなさんともしばらくお会いできないので名残惜しいです」。出席者によると、首相は上機嫌だったという。(安倍龍太郎)
■閣僚辞任・「身の丈」発言…型通り答弁
野党は、予算委開催も40日の会期延長も与党側に蹴られたが、会期末の提出が半ば慣例ともなっている内閣不信任案を見送った。代わりに与党側から引き出したのは、「桜を見る会」を議論するための内閣委員会理事会の年内開催だった。
立憲民主党の安住淳国会対策委員長は「様々な疑問が越年になる。反復・継続をしていかなければならない」と追及を続けることを宣言。理事会は原則非公開で、首相や官房長官も出席しないが、来年1月に開会する通常国会につなげる足がかりの意味合いがある。自民党幹部は「そのくらいやらせればいい」と余裕を見せるが、衆参で圧倒的数を持つ与党でも、世論の反発の中では強気一辺倒ではいられない立場がにじむ。
政府・自民は臨時国会を、首相が旗を振る憲法改正へ向けた動きを進めるための機会と位置づけ、1月1日の発効をめざす日米貿易協定の承認案など議案を絞り込み、「安全運転」で臨んだ。だが、直面したのは議案以外の問題だった。
「安定と挑戦の内閣」と宣言し、首相が9月11日の内閣改造で起用したのは菅原一秀前経済産業相と河井克行前法相。2人は10月下旬、公職選挙法違反などをめぐる疑惑を受けて、1週間の間に相次ぎ辞任した。
さらに、大学入学共通テストで活用される英語民間試験では、首相側近の萩生田光一文部科学相が「身の丈に合わせてがんばって」と発言。教育格差を容認するかのような言葉に批判が広がり、すぐに撤回に追い込まれた。発言を機に制度の不備にも注目が集まり、土壇場で導入延期を決断せざるを得なかった。
一連の問題は、疑惑解明や判断の説明に積極的に乗り出さない首相の姿勢も浮き彫りにした。首相は2閣僚が辞任した際、「自ら責任を果たしていくものと考えている」と語った。だが、2人は本会議を欠席し続け、国会の場で説明をすることはなかった。首相自身も衆参予算委で「任命した者として責任を痛感している」と答弁書を読むだけ。党総裁として説明実現へ動くこともなかった。
英語民間試験でも、首相は延期を「萩生田大臣の判断」と繰り返し、「身の丈」発言でも、萩生田氏は大臣として「適材」との立場を変えなかった。
ただ、報道各社の世論調査では内閣支持率が減少傾向で、党内には先行きへの不安も見え隠れする。
石破茂・元幹事長は9日、自身の派閥会合で、支持者の「怒り」に触れながら、こうあいさつした。
「第1次安倍政権や麻生政権の時と感じがやや似ている。世の中と永田町が乖離(かいり)したときが一番怖い」(永田大、清宮涼)
▼4面=一問一答
改憲「必ずや私の手で」 「信問うべき時、躊躇せず」
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14288299.html?ref=pcviewer
安倍晋三首相は9日、臨時国会の閉会を受け、記者会見した。主な質疑は次の通り。▼1面参照
【桜を見る会】
――野党は批判を強めているが反省点は。(招待者)名簿のデータなどを探し出すよう自ら内閣府に指示する考えは。ジャパンライフの山口隆祥元会長とは、政治活動の一環で食事や面会も一切ないのか。
「様々な批判があることは十分に承知している。大いに反省し、私自身の責任において全般的な見直しを行う。招待者名簿はデータの復元についても不可能であるとの報告を受けた。山口元会長については、一対一で会ったことや個人的な関係は一切ない」
【憲法改正】
――今国会の憲法論議をどう見たのか。自民党総裁任期中の憲法改正の目標は、引き続き掲げるのか。
「国民投票法の改正がなされなかったことは誠に残念だ。第1党の自民党が先頭に立って一歩一歩、着実に進めていきたい。通常国会の憲法審査会の場で、憲法改正原案の策定を加速させたい。決してたやすい道ではないが、必ずや私の手で成し遂げていきたい」
【解散総選挙】
――(来年4月の)「立皇嗣の礼」までに解散決断の時期が含まれるのか。解散の大義はどう考えるか。
「参院選で約束したことを実行しなければならず、頭がいっぱいだ。信を問うべき時が来たと考えれば、解散総選挙を断行することに躊躇(ちゅうちょ)はない」
【日中関係】
――習近平国家主席が来春、国賓として来日する。自民党内からも反対する声がある。どう受け止めるか。
「日中両国はアジアや世界の平和、安定、繁栄に共に大きな責任を有する。様々な声があることは承知している。この責任を果たすべきだとの認識を習主席と共有し、示していくことが、国際社会から求められている」
【自衛隊の中東派遣】
――派遣の目的や手続き、時期は。イランのロハニ大統領が来日の意向を示しているが、米国とイランの緊張緩和にどう取り組むのか。
「ロハニ大統領の訪日は現在調整中だ。米国と同盟関係があり、同時にイランと長年良好な関係を維持してきた日本ならではのかじ取りが今求められている。情報収集態勢を強化するために自衛隊のアセットの活用に関する具体的な検討を行っている。自民党、公明党の議論も十分踏まえ、政府としての対応を決めていきたい」
※4面=一問一答
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14288293.html?ref=pcviewer
自衛隊派遣に注文次々 自公が党内協議「期限明確に」「国会報告を」
中東海域への自衛隊派遣をめぐり、自民、公明両党の党内協議が9日始まった。今月20日の閣議決定をめざす政府は、派遣の検討状況を説明。早期に両党から了承を得たい考えだ。ただ、両党の会合では派遣根拠や隊員の安全確保などをめぐって指摘や注文が相次ぎ、山積する課題も改めて浮かび上がった。
公明は9日、外交安全保障調査会を開催。これに先立ち、山口那津男代表は会見で「どうしたルール作りが可能かしっかり検討し、諸外国からも歓迎されるような道を、しっかり議論して作り上げていただきたい」と述べた。
政府側は調査会で、日本関係船舶の安全確保を目的として、防衛省設置法に基づく「調査・研究」を根拠に派遣する方針を説明。その上で、不測の事態では、日本関係船舶を防護できる海上警備行動への切り替えを想定しているとした。派遣地域についてはイランなどへの刺激を避けるため、ホルムズ海峡や、同海峡西側のペルシャ湾は加えないと説明した。
出席者によると、公明側から「どの時点で派遣をやめるかが重要だ」として、派遣期限を区切り、「出口戦略」を明確にすべきだとの指摘が出たという。さらに「民主的統制を確保するために、最低でも国会報告は必要だ」として国会が関与する方法を検討するべきだとの声も上がった。
調査会では派遣自体についての反対論はなかったものの、終了後、公明幹部は「閣議決定は当たり前。派遣する目的や必要性を詳しく書き込ませる。じゃないと安易な派遣の前例になる」と語った。
■派遣自体への反対はなし
また、自民党も同日、外交部会や国防部会などの合同会議を開催。衛藤征士郎・外交調査会長は冒頭、「非常に大事な案件だ。しっかりととりまとめ、瑕疵(かし)がないよう万全を期する必要がある」と強調した。
出席者によると、会議では日本関係以外の船舶から救援要請があった場合や、派遣中の隊員がけがを負った際の対応などについて指摘や注文が相次いだ。一方で、自民の会議でも派遣自体への反対はなかった。出席者によると、衛藤氏は「20日に閣議決定できるように、自公できっちりとまとめて決めていくべきだ」と発言したという。
自民、公明両党は、この日の会合での指摘に対する政府側からの回答を待ち、週内にも再び会合を開いて協議を続ける考えだ。(大久保貴裕、竹下由佳、山下龍一)
■中東派遣をめぐる自公の主な指摘
◆日本の自衛隊派遣が逆に中東の緊張を高めないか
◆何を基準に派遣をやめるのか
◆地理的制限もない「調査・研究」名目で安易に派遣していいのか
◆日本関係以外の船舶から救援要請があった場合、どういう法的根拠で対応するのか
◆派遣海域に含まれていないホルムズ海峡で事案が発生した場合、自衛隊は何もしなくていいのか
▼16面=社説
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14288219.html?ref=pcviewer
臨時国会閉幕 政権の専横を忘れまい
説明責任を顧みず、論戦から逃げ回る。安倍政権の立法府軽視も極まった観がある。
臨時国会が閉幕した。野党は「桜を見る会」をめぐる一連の問題を究明するため、会期を40日間延長する動議を提出したが、与党の反対で否決された。
政治の公平・公正に対する信頼は政策遂行の基礎である。税金で賄われる公的行事を、安倍首相が私物化していたのではないかという疑念を放置したまま、先に進むことはできない。
首相は本会議などで一方的に弁明することはあったが、一問一答で詰められる委員会質疑に応じることは最後までなかった。参院予算委員会で、自民党出身の委員長が提案した首相抜きでの質疑すら、与党の反対で実現しなかった。異様なまでの論戦回避である。
この問題の影に隠れた格好になっているが、初入閣から2カ月もたたないうちに辞任に追い込まれた菅原一秀経済産業相、河井克行法相の説明責任と首相の任命責任も、いまだ果たされていない。
菅原氏には地元の有権者に公職選挙法が禁じる寄付をした疑いが、河井氏には自民党参院議員でもある妻の陣営の選挙違反の疑いが指摘され、国会で野党の追及を受ける矢先に辞表を提出した。その際、両氏とも、「今後、説明責任を果たしていきたい」と述べたが、1カ月以上たった今も、空手形のままである。首相や自民党執行部が、両氏に対し説明責任を果たすよう求めた形跡もない。
政権にとって都合の悪いデータを国会に出し渋るのも、この政権の常套(じょうとう)手段だ。日米貿易協定の承認手続きは臨時国会最大の焦点だったが、野党が求めた経済効果の試算などは示されず、検討に必要な情報が十分にそろっていたとは言いがたい。成果を急ぐトランプ政権に配慮した来年1月1日発効ありきの審議だったというほかない。
年間を通してみても、国会をないがしろにする安倍政権の専横ぶりは際立っていた。
1月に始まった通常国会では、19年度予算が成立してしまうと、行政監視の主舞台でもある予算委の開催に応じず、国会の規則に基づく野党の要求も無視した。夏の参院選をにらんだ失点回避の思惑は明白だった。参院選後も、野党による臨時国会の早期召集要求は店晒(たなざら)しにされた。党首討論は今年は6月の1回きりだ。
国会を閉じ、年が改まれば、一連の問題も忘れられる――。首相はそう高をくくっているのかもしれない。しかし、政治権力が国民への説明を放棄した先に待っているのは、民主主義の土台の崩壊である。
▼38面=国会幕引き、怒る市民
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14288181.html?ref=pcviewer
桜を見る会、市民「すべて明らかに」
【画像】首相官邸前で「桜を見る会」の真相究明を訴える人たち=9日午後7時12分
東京都千代田区、田辺拓也撮影
「桜を見る会」の真相にベールがかぶせられたまま、臨時国会が9日閉会した。公私混同が疑われる問題について、公文書が捨てられ、にもかかわらず「今後とも丁寧な説明をさせていただきたい」(菅義偉官房長官)と開きなおる――。モリカケ問題から繰り返される光景に、市民から憤りの声があがった。▼1面参照
「すべてを明らかに」。東京・永田町の官邸前には9日夜、30人ほどが集まり、抗議活動をした。
川崎市の会社員伊藤真由美さん(42)は「税金の私物化が目に余る。首相の国会答弁を聞いても、説明責任を果たしているとは到底言えない」と語った。
東京都練馬区の放課後等デイサービス職員、守屋真実さん(61)は、野党議員から開示請求があった当日、内閣府の名簿が廃棄されていたことについて「政権のモラルの無さと、良心を失ってしまったかのような官僚の対応、それらを許してしまっている国民の無気力さが残念」と話した。
菅官房長官は当初「首相枠、政治枠という特別なものはありません」と、事実と異なる説明をしていた。11月中旬、安倍晋三首相は桜を見る会について「国会から求められれば、説明責任を果たすのは当然」と語った。しかし与党は予算委員会の開催要求に応じず、国会規則を無視した。
法学者や政治学者らで作る「立憲デモクラシーの会」は9日会見し、こうした姿勢が「社会に絶望とシニシズム(冷笑主義)をもたらしている」(西谷修・東京外語大名誉教授)と懸念した。「正論を積み重ねてもダメだと無感覚になっていく」
石川健治・東大教授(憲法)は「いつまで桜を見る会の問題を取り上げているのかという声が出てくるかもしれない。だがこれ以上本質的な問題はない」と話した。「公開性は統治システムの大前提。名簿廃棄などの隠蔽(いんぺい)で、統治システムが日々毀損(きそん)されている」と批判した。
国会の外では、国内外のメディアなどが加盟する日本記者クラブが10月以降、安倍首相に年内の会見開催を求めている。
1969年のクラブ発足以降、年1度ほど首相会見を求めてきた。福田赳夫、中曽根康弘両氏は最多で4回ずつ実施。先日、在任最長記録を更新した安倍首相は2007年と13年に会見したが、その後6年7カ月にわたって求めに応じないのは歴代最長だという。
官邸側からは「時間がとれない」と回答が保留されているという。同クラブの土生(はぶ)修一専務理事は「ぜひ応じてほしい」と話す。
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https://www.jcfa.gr.jp/about_kasen/katsuyaku/12.html