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続折々の記 2020②
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【 01 】01/25~
腰を上げない日本
・ダボス会議」閉幕 日本企業にも環境対応突きつける会議に
・独首相 温暖化めぐる対立に懸念表明 ダボス会議
・世界の富裕層 上位2100人 46億人分より多い資産持つ
・グレタさん、ダボス会議で演説 「今すぐに行動を」
・ベトナムの石炭火力発電所 建設支援に問題提起 小泉環境相
徳勝龍 “技術論では語れない” 初優勝をもたらしたもの
首都の空、手放さぬ米軍 五輪中の基地民間共用、難色
・米軍の特権、あやふやな根拠
・起源は日本に駐留した占領軍
01 25 (土) 異常気象対策反応が鈍い 政治家も起業家も国民も
朝5時のニュースに「ダボス会議24日閉幕」についてアナウンサーのやるせない表情でのコメントが放送された。 地球温暖化による被害が昨年は世界中で起きていることは誰しもその悲惨な様子に心を痛めた。
何とかはなければならない。 すぐ世界中で対策をしたにしても、数年でも収束せずますます被害は増大することが予測される。
去年、グレタさんの国連での演説は世界中の人々の心を揺さぶった。 そして人々の心に早急対策をしなくてはという火がついた。
けれども一向にその対策の兆しが見えいこない。
ただ今の現実に即対応してこそ、政界・財界のリーダーたり得る。 だが、期待していた小泉環境大臣にしても、今年の予算計画の目玉にするという積極性は全く見えてこない。
政治家と企業リーダーたるものの重大な職務の無責任であると言わざるを得ない。
NHK 24日閉幕
2020年1月25日 6時33分ダボス会議
ダボス会議」閉幕 日本企業にも環境対応突きつける会議に
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200125/k10012258591000.html?utm_int=news-international_contents_list-items_021
世界の政財界のリーダーらが集まる「ダボス会議」が24日、閉幕しました。環境への対応をおろそかにしている企業には融資や投資が集まらなくなる仕組みづくりの議論などが行われ、日本の企業にも対応を突きつける会議になりました。
「ダボス会議」として知られる世界経済フォーラムの年次総会には各国政府のトップや企業経営者など2800人を超えるリーダーたちが参加しました。
ことしは、50を超えるセッションで環境がテーマになり温暖化対策やプラスチックごみの問題などが議論され、環境への対応をおろそかにする企業には融資や投資をすべきではないといった意見が多く出されました。
また、イギリスの中央銀行・イングランド銀行のカーニー総裁は、今後、環境対策が不十分な企業への融資が増えないよう金融機関をチェックしていく方針を示し、金融当局でさえ環境志向になりつつあることを印象づけました。
環境保護団体や世界の若者たちが国や企業の環境問題への対応に厳しい目を向ける中、ヨーロッパを中心に規制やルールづくりの議論が加速しています。
日本企業ではペットボトルのリサイクルなどの取り組みが進んでいますが、より環境を意識した経営をするよう突きつける会議になりました。
日本企業の反応は
今回のダボス会議に参加した日本企業からは環境への対応が、企業経営に欠かせなくなったという声が聞かれました。
富士通の時田隆仁社長は「日本だけでなく世界中で去年たくさんの自然災害が起きた。そういうことにセンシティブに動かないといけないと感じた。環境への取り組みがどのように事業の成長に直結しているかきちんと追跡している企業が多く、富士通もきちんと取り組まなければならないと感じている」と述べました。
三菱UFJフィナンシャル・グループの亀澤宏規副社長は「(環境への対応が)一つの軸、基準となってきているのは確かだ。とくに若い世代の人たちが環境にかなり意識を高くもっている。今回のダボスでも、環境をかなり意識した議論があったと感じた」と述べました。
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2020年1月24日 6時23分環境
独首相 温暖化めぐる対立に懸念表明 ダボス会議
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200124/k10012257111000.html?utm_int=detail_contents_news-related_002
ドイツのメルケル首相は各国の政財界のリーダーらが集まる「ダボス会議」で演説し、温暖化対策の推進を訴えるとともに、温暖化対策を求める人たちと懐疑的な見方をする人たちとの間で対立が生まれていることに懸念を示しました。
ドイツのメルケル首相は23日、各国の政財界のリーダーらが集まる世界経済フォーラムの年次総会「ダボス会議」で演説しました。
この中で世界で温暖化対策を求める若者の運動が広がっていることを念頭に、「時間は切迫している。若者たちの焦りを肯定的に、建設的に受け止めなければならない」と述べ、温暖化対策を推進する姿勢を改めて強調しました。
そのうえで温暖化対策を求める人たちと懐疑的な見方をする人たちとの間で対立が生まれていることに懸念を示し、対話の必要性を訴えました。
メルケル首相はこのほか、ことし9月にEU=ヨーロッパ連合の議長国としてEUの27の加盟国と中国の首脳が一堂に会する初めての会議をドイツで開催することから、温室効果ガスの世界最大の排出国である中国とともに温暖化対策を進めていくことに強い意欲を示しました。
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2020年1月22日 7時28分ダボス会議
世界の富裕層 上位2100人 46億人分より多い資産持つ
世界の富裕層の上位2100人余りの資産を足し上げると、世界の総人口のおよそ6割に当たる46億人の資産の合計を上回ることが、国際的なNGOがまとめた報告書で明らかになりました。
世界の貧困問題に取り組む国際的なNGOの「オックスファム」は20日、スイスで開催されている「ダボス会議」にあわせて経済格差に関する報告書を発表しました。
それによりますと、去年の時点で10億ドル以上の資産を持つ富裕層2100人余りの資産の合計は、世界の総人口のおよそ6割に当たる46億人の資産の合計を上回っていたということです。
そのうえで、上位1%の富裕層が今後10年間、税金を0.5%多く払えば、介護や教育などの分野で1億1700万人を新たに雇うことができる金額になるとしています。
報告書は男女の経済格差に関連して、主に女性が担っている介護や育児などの無報酬の労働の価値は、年間で少なくとも10兆8000億ドルに相当すると推計しています。
そして、政府が介護などの分野に投資し、女性に適切な賃金が支払われるしくみを作るべきだと提言しています。
NGOの代表は「女性の無報酬の労働が経済の隠れたけん引役であることを知ってほしい。女性は適切な賃金の支払いを必要としている」と述べ、各国に格差の解消に向けた取り組みを求めました。
CNN > World
2020.01.22 Wed posted at 17:00 JST
グレタさん、ダボス会議で演説 「今すぐに行動を」
https://www.cnn.co.jp/world/35148341.html
スイス・ダボス(CNN) 環境危機を訴えるスウェーデンの活動家グレタ・トゥーンベリさん(17)が21日、世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)で演説し、地球温暖化対策が何も進んでいないとして各国首脳らを叱責(しっせき)した。
演説では、国連の気象変動に関する政府間パネル(IPCC)が2018年に出した報告書を改めて引用した。それによると、世界が産業革命前からの気温上昇を1.5度以内に抑えるには、二酸化炭素(CO2)をあと420ギガトンしか排出できない。現状のままでは約8年半でその上限に達すると予想される。
グレタさんは、世界のメディアや指導者らが報告書の内容を全く伝えていないと主張。「この問題を報道したくない、語りたくないのは分かる。でも私は皆さんがそうするまで、同じ数字を何度でも繰り返す」と宣言した。
グレタさんは昨年のダボス会議にも招かれ、温暖化の危機を訴えて注目を集めた。世界中で名を知られるようになったが、それだけでは足りないと強調。「化石燃料への補助金や投資をすぐにやめて。2050年でも30年でも、21年でもなく、今すぐに」と訴えた。
数時間後に演説したトランプ米大統領は、50年までに1兆本の木を植える運動に米国も参加すると表明した。
グレタさんはこれを受けてさらに、「木を植えるのは良いこと」だが、決して十分な対策ではないと指摘。「私たちの家は今も燃えている。皆さんの怠慢が1時間ごとに油を注いでいる」と警告した。
NHK 国内放送
2020年1月21日 17時21分
ベトナムの石炭火力発電所 建設支援に問題提起 小泉環境相
日本が融資を検討しているベトナムの石炭火力発電所について、小泉環境大臣は「日本がお金を出しているのに、結果的にプラントを作るのは中国やアメリカの企業だ。こういう実態はおかしい」と述べ、関係省庁に問題提起し議論していきたいという考えを示しました。
小泉環境大臣は21日の閣議後の会見で、通常国会に臨むにあたって思いを述べたいとして、ベトナムで建設が計画されている石炭火力発電所「ブンアン2」について、「日本がお金を出しているのに、結果的にプラントを作るのは中国やアメリカの企業だ。こういう実態はおかしい」と述べました。
環境省によりますと、「ブンアン2」は三菱商事が100%出資する子会社などがベトナムのハティン省に建設を計画しており、日本の政府系金融機関の国際協力銀行などが融資を検討しているということです。
小泉大臣は、海外での石炭火力発電所の建設支援については、石炭を選ばざるをえない国にかぎり、日本の高効率の発電設備を導入するといった、いわゆる4要件があると指摘したうえで、「これまで、日本のプラントメーカーがやることだから公的支援を行うのだと説明を受けてきたが、この一例に限って言えば違う。国民や国際社会から理解を得られない」と述べ、関係省庁に問題提起し議論していきたいという考えを示しました。
海外での石炭火力発電所の建設支援について、環境大臣が個別の事例をあげて見直しの必要性に言及するのは異例です。
「ブンアン2」とは
「ブンアン2」とは、ベトナムの中部ハティン省に建設が計画されている石炭火力発電所です。
関係者によりますと、このプロジェクトは、三菱商事や中国電力、それに香港の電力会社などが共同で進めていて、ことし中に建設を開始し、2024年に稼働する計画です。
三菱商事によりますと、「ブンアン2」では超々臨界圧と呼ばれる発電効率のよい技術が採用されているということです。
発電容量は、およそ120万キロワットになる見通しです。
総事業費は公表されていませんが、およそ22億ドル、日本円にしておよそ2400億円規模に上ると見込まれています。
発電所の建設工事を担う企業については公表されていません。
ベトナムは、経済成長に伴って電力消費量が増える中で火力発電所の建設を進めていて、今回のプロジェクトには、日本の国際協力銀行のほか、大手金融グループなどがプロジェクトへの融資を行うかどうか検討していますが、関係者によりますと、世界的に石炭火力発電所への批判が高まる中、イギリスの大手金融機関などは融資を行わない意向を示しているということです。
建設支援 “4要件”とは
海外での石炭火力発電所の建設支援については、政府が平成30年7月に策定した「エネルギー基本計画」の中で、4つの要件をあげています。
▽エネルギーの安全保障と経済性の観点から、石炭をエネルギー源として選択せざるを得ないような国に限り、▽相手国から日本の高効率石炭火力発電への要請があった場合に行うとしています。そのうえで、▽相手国のエネルギー政策や気候変動対策と整合的な形で、▽原則として熱効率が高く二酸化炭素の排出が従来よりも少ない発電設備について、導入を支援するとしています。
小泉環境大臣は、先月開かれた「COP25」で、このいわゆる4要件への問題意識を述べたうえで、「石炭火力発電の海外輸出に公的支援を行っていることについては前向きなアクションを起こせると考えている」として、海外への建設支援はなんらかの規制をすべきだという考えを明らかにしていました。
三菱商事「現時点では回答できない」
小泉環境大臣の発言について、三菱商事は「個別の案件について現時点では回答することはできないが、当社としてはすでに開発に着手した案件を除いて、新規の石炭火力発電事業には取り組まない方針だ」とコメントしています。
国際協力銀行「融資を決定した事実ない」
小泉環境大臣の発言について、国際協力銀行は「ベトナムのブンアン2の案件については、当社として融資を決定した事実はない。石炭火力発電事業に対する融資については、政府の方針にのっとって対応するのが大前提で、今後も政府の方針にのっとって対応していきたい」とコメントしています。
01 27 (月) 徳勝龍の全勝日 奈良県快挙33才98年振り 幕尻20年振り
昨日の千秋楽で驚くべき記録が生まれた。
誰一人予期していなかった。
相撲界では横綱はじめ大関関脇小結、言わば上位の総崩れによる新時代が忽然として誕生したことを告げた最後の一番を誰しも驚きをもって感じたといえる。
5時を過ぎた。 NHKニュースに出ていると思って開いてみると、思った通り次の記事が出てきた。
驚きの快挙
2020年1月26日 23時11分大相撲
徳勝龍 “技術論では語れない” 初優勝をもたらしたもの
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200126/k10012259891000.html?utm_int=news_contents_news-main_004
誰もが予想しなかったであろう、幕尻の力士による20年ぶりの優勝。
多くの親方衆から「技術論では語れない」と指摘された徳勝龍の初優勝は、十両への陥落と返り入幕を繰り返す中で身につけた向上心に、突然の恩師の不幸なども重なってわき上がった高いモチベーションがもたらしたものでした。
同級生が看板力士に育つ中で
初土俵から順調に番付を上げた徳勝龍は、幕内で際立った成績を残すことができず、十両への陥落と返り入幕を繰り返すうちに、年齢も30代になりました。
同じ昭和61年度に生まれた元横綱・稀勢の里や大関・豪栄道など、いわゆる「花のロクイチ組」は、次々に看板力士に育ちました。
なかなかきっかけをつかめなかった徳勝龍の転機となったのが去年5月の夏場所。
3回目の返り入幕の場所で「幕内に上がって満足する部分があった」という徳勝龍は4勝11敗と大きく負け越し、再び十両に逆戻りしました。
この際「常にどの地位であっても向上心を持って上を目指さないとダメだ」と気持ちを入れ直したと言います。
「どこかで、見てくれている」
4回目の返り入幕となった今場所。
「幕尻」で臨んだ徳勝龍は、序盤から白星を伸ばしました。
さらに大きなモチベーションとなって体を突き動かしたのは、恩師の急死でした。
母校、近大相撲部の伊東勝人監督が場所中に亡くなったのです。
熱心に大学入学を誘ってもらっただけでなく、角界に入ってからも頻繁に電話で励まし支えとなってくれた恩師に対して「どこかで見てくれている。相撲で恩返しする」と強い思いで土俵に上がりました。
10日目からは5日連続で土俵際の「突き落とし」で白星を重ねる驚異的な粘り強さに、多くの親方は「技術論では語れない」「神がかっているとしか言いようがない」と解説しました。
涙のインタビューで語った思い
千秋楽の結びの一番では、大関・貴景勝をねじ伏せて初優勝した徳勝龍。
優勝インタビューで「亡くなった伊東監督が見てくれているのではなく、一緒に土俵で戦ってくれた、そんな気がする」と涙ながらに語り、見えない力とともにまさに気持ちでもぎとった初優勝でした。
徳勝龍の優勝は、両横綱が休場すれば優勝争いの行方が全く見えない、まさに群雄割拠の最近の大相撲を象徴する結果となりました。
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(日米安保の現在地 基地と負担)
2020年1月26日 5時00分
首都の空、手放さぬ米軍 五輪中の基地民間共用、難色
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14341509.html?ref=pcviewer
【画像】米軍が管制する横田空域と羽田飛行ルート
「五輪で東京に民間機が集中する。五輪期間中に、米軍横田基地を民間機も共同使用できないだろうか」
日本政府が米軍にこう打診したのは、昨年のことだった。米軍の運用などを協議する「日米合同委員会」の下部組織「民間航空分科委員会」でのことだ。
だが、米軍幹部は「そんな交渉はしない」と突っぱねた。
「東京五輪に米軍も真剣に協力しているイメージが出る」と促しても、米軍幹部は首を横に振り、「日本には何か、将来への下心があるのではないか」とも語った。
在日米軍司令部がある米軍横田基地(東京都)に民間機が乗り入れる「軍民共用化」は、2003年に当時の小泉純一郎首相がブッシュ米大統領に検討を要請。06年の日米の米軍再編合意でも「軍民共同使用の具体案を検討」と明記された。
だが、航空自衛隊航空総隊司令部の横田基地への移転など「軍軍共用」は進む一方、「軍民共用」の日米協議は暗礁に乗り上げたままだ。
日本政府は、米側の警戒を解こうと「五輪期間限定」を強調して働きかけを続けている。米政府内の一部に軟化のきざしはあるが、なお合意への道筋は見えない。防衛省幹部は「米側はこれが『アリの一穴』となって恒久的な軍民共用や基地返還要求のきっかけになると極度に警戒している」と分析する。
日本政府が「横田基地の軍民共用化」と並び、米側に要求しているのが、「横田空域の返還」だ。
「首都圏の上空」を覆う巨大な空域は戦後、連合国軍総司令部(GHQ)が管制を掌握。今も日米地位協定を根拠に日米合意で米軍が管制を握り、日本の民間機は米軍の許可なしに進入できない。政府関係者は「同じ敗戦国のドイツやイタリアでさえ、首都上空は自国で管制しており、横田空域は異質な存在」と語る。
最高高度7千メートルの横田空域が壁となり、羽田空港を発着する民間機の飛行ルートは急上昇や旋回を強いられる。ある管制官は「返還されれば、着陸をやり直す時などの管制の引き継ぎの煩わしさはなくなる。メリットは少なくない」と話す。
06年の日米合意でも「横田空域全体のあり得べき返還に必要な条件を検討」と明記されたが、米軍幹部は「横田は西太平洋の軍事物資輸送のハブ基地で、空域管制も譲れない」と語る。
東京五輪を前に羽田空港発着の新ルートを設けることに伴い、日米両政府は昨年1月、横田空域の一部使用を日本側に許可した。だが、「返還」ではなく、1日3時間に限った「一時使用許可」に過ぎない。日本政府関係者も「全面返還どころか、一部でも『返還』を要求していたら、五輪に間に合わなかった」と苦渋の選択だったと振り返る。
東京の上空に存在する米軍の「特権」は横田空域だけではない。
繁華街・六本木には、米陸軍の大きなヘリポートがある。昨年5月のトランプ大統領来日の際も使われたが、米軍機は日米地位協定により、航空法が定める最低高度規制に従う義務がないため、低空を飛行。騒音などで東京都や港区は毎年、撤去を要請しているが、動きはない。
1964年、戦後初の日本でのオリンピック開催では、「米軍基地の返還」が大きく動いた。東京・渋谷の現在の代々木公園やNHKの広大な敷地には、「ワシントンハイツ」と呼ばれた米軍住宅が広がり、日本人の立ち入りが制限されていた。だが、五輪開催機運と、安保条約に絡む日本人の反米感情の高まりを受け、米側はワシントンハイツを全面返還。五輪中は「選手村」として使われ、その後は代々木公園などが建設された。
2回目となる東京五輪で、首都圏の「基地返還」が動き出す気配はない。
(編集委員・佐藤武嗣、贄川俊)
▼2面=あやふやな根拠
◇60年前に締結された改定日米安保条約は、米国に日本防衛の義務を課す一方で、日本に米軍基地を置くことを認めています。時代が変わっても残されている「特権」は少なくありません。日本のこれからの防衛力のあり方を考えるためにも、「日米安保の現在地」シリーズでは、「基地と負担」の現状を取り上げます。
>▼2面=(日米安保の現在地 基地と負担)
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14341419.html?ref=pcviewer
米軍の特権、あやふやな根拠
在日米軍の権限や基地運用の根拠となるのが、安保改定と同時に定められた日米地位協定だ。60年間、一度も改定されない中で、首都圏のみならず、基地面積の7割が集中する沖縄で、米軍の「特権」が重くのしかかる。▼1面参照
東京都港区六本木。繁華街にそびえ立つ「六本木ヒルズ」展望台から眺めると足元に広がる大きなヘリポートが目に入ってくる。
米陸軍の施設「ハーディー・バラックス(赤坂プレスセンター)」は、2・26事件で兵士が集結した旧日本陸軍第1師団歩兵第3連隊があった場所を占領軍が接収。今は米軍幹部の宿舎や米軍準機関紙「星条旗新聞」社屋が置かれ、施設内にヘリポートを抱える。
地域住民が「麻布米軍ヘリ基地」と呼ぶヘリポートは、横田基地(東京都)や厚木基地(神奈川県)から米軍幹部や米政府高官が、東京の中心部に移動する際に定期的に使っている。
かつて、ヘリポートに隣接していた東大生産技術研究所に勤務し、「麻布米軍ヘリ基地撤去実行委員会」共同代表を務める板倉博さんは、こう語る。
「米軍ヘリは日本の航空法に違反する低空飛行で飛来する。いまだ占領状態が続いていると実感する」
首都圏には、ほかにも占領統治の名残が点在する。
東京の一等地・南麻布には「ニュー山王米軍センター」があり、日米合同委員会もここで開催される。同センターは、プール付きホテルが主要施設で、原則米軍関係者以外は立ち入りや宿泊が認められない。神奈川県の横浜駅にほど近い埠頭(ふとう)「横浜ノースドック」も米軍が管理。横浜市によれば、極東から中東まで米海軍関係の郵便業務を担うほか、米軍物資輸送に使われる。
これらの米軍施設は、1960年の日米安保条約改定と同時に締結された日米地位協定に基づき、日米合同委員会で施設利用が合意されたものだ。在日米軍撤退をちらつかせたこともあるトランプ大統領だが、既得権を享受する米軍が返還に応じる気配はない。
こうした施設使用の特権のほか、米軍には原則として日本の国内法が適用されないとの「特権」もある。その根拠について、日本政府は72年の沖縄返還ごろから、地位協定ではなく、「一般国際法上、日本の法令は米軍に適用されない」と強調してきた。
だが、最近、日本弁護士連合会や国際法学者は「そうした国際法はなく、日本の国内法適用が原則」と指摘し、野党も「一般法とは何を指すのか」と国会で追及。すると、昨年から政府は国会答弁やホームページで「一般国際法」という言葉を封印。外務省幹部は「外交の手の内だから言えない」と口をつぐむ。
米軍の特権と裁量をどこまで認めるのか。根拠にはあやふやさがつきまとう。
(佐藤武嗣、藤田直央)
■負担続く沖縄、遠い協定改定
「沖縄戦で20万人の命が失われた。本土では戦後から復興が起こるが、沖縄は置き去りにされた」
23日に那覇市であった「日米地位協定改定への始動」と題する勉強会。集まった全国の地方議員ら約60人を前に沖縄県の謝花喜一郎副知事はこう語ると、地位協定について「抜本的見直しを要請してきたが、政府は一顧だにしない。どう解決するか。日本全国民の問題として捉えていただかないといけない」と訴えた。
首都圏よりもはるかに重い基地負担がのしかかるのが、沖縄だ。沖縄が地位協定改定を強く求めるのは、基地の多さゆえに米軍が絡む事件・事故が頻発し、そのたびに米軍に特権を与える地位協定の壁が立ちはだかるからだ。
95年に起きた米兵による少女暴行事件の際、地位協定の規定により、米側は米兵の身柄引き渡しを拒否。沖縄から批判が噴き出したが、日米両政府は改定ではなく、「凶悪事件に限り米側が身柄の引き渡しに配慮する」との「運用改善」にとどめた。
2004年に普天間飛行場(宜野湾市)に隣接する沖縄国際大に米軍ヘリが墜落するなど、大きな事件・事故が起きるたびに地位協定が問題となったが、運用改善でやり過ごしてきた。
日本政府や米軍に訴えてもらちが明かないと、沖縄県が取り組んだのが、全国の世論に直接訴える手法だ。
日本と同じ敗戦国のドイツやイタリアを含む欧州4カ国のほか、豪州、フィリピンでも現地調査を実施。昨年4月に欧州について報告書を公表した。ドイツなどは協定を大幅改定し、米軍に国内法を原則適用できないのは日本だけだと指摘した。
だが当時の河野太郎外相は、地位協定は運用改善なども含めた体系だとし、「その中の何かを取り出して(他国と)比較することに意味はない」と主張した。
沖縄県はまた、米軍基地がある他の都道府県との連携も強化。18年には全国知事会も「地位協定の抜本的な見直し」を提言した。
昨年の参院選で主要野党は「協定改定」を公約に掲げ、与党の公明党は「あるべき姿を不断に追求する」、自民党も「あるべき姿を目指す」とはうたった。
だが、日米両政府が改定に踏み出す機運はない。防衛省幹部は「協定改定に踏み込めば、日本の要求をのむどころか、米軍にさらに厳しい条件を突きつけられ、『パンドラの箱』になる。日米首脳の政治的リーダーシップがないと無理だ」と語る。
変わらぬ地位協定の下、沖縄の過剰な基地負担は続く。
沖縄県の玉城デニー知事は16日の記者会見で、日米安保60年に触れ、「国土面積の0・6%にすぎない沖縄に、約70・3%の米軍専用施設が存在する状況は異常だ」と改めて訴えた。
戦後間もない50年代前半、米軍基地の面積比率は「本土9、沖縄1」だった。日本の主権回復で本土の米軍基地が次々返還され、今や基地面積の7割が沖縄に集中する。
普天間飛行場も96年に返還が合意されてから20年以上が過ぎたが、住宅街を米軍機が飛び交う状況は変わっていない。(藤原慎一、編集委員・土居貴輝)
◆キーワード
<日米地位協定と日米合同委員会> 米軍への施設・区域の提供義務を定めた日米安保条約第6条に基づき、在日米軍の権限や米軍兵士の法的地位などを定めたのが日米地位協定。具体的な運用などは日米合同委員会で協議する。日本側は外務省北米局長、米側は在日米軍副司令官をトップに組織され、テーマごとに「分科委員会」など30超の下部委員会・部会を設けている。議事内容は原則非公開。
>▼2面=(日米安保の現在地 基地と負担)
琉球大講師・山本章子
起源は日本に駐留した占領軍
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14341421.html?ref=pcviewer
米軍が絡む事件・事故が起きたり、米軍基地の周辺の住民生活に影響が出る訓練の実態が表面化したりするたびに、日米地位協定の不平等性や米軍の特権的な扱いが問題となる。日米地位協定とは何か。なぜ60年間、改定されないのか。山本章子・琉球大講師に聞いた。
――日米安保条約への支持が高い一方、日米地位協定への批判が高まっています。
「地位協定の起源は敗戦した日本に駐留した占領軍の特権だ。日本が独立を回復するときに、『占領米軍』は『同盟国軍』に衣替えしたが、占領軍の特権を日米行政協定としてどれだけ在日米軍に引き継ぐのかが問題となった。安保改定の際、行政協定の内容の多くは日米地位協定として引き継がれた。沖縄返還の際にも特権の多くは温存された。その結果が地位協定の不平等性だ」
――日米地位協定で規定されている米軍の特権の特徴は何ですか。
「一つは米軍の駐留に関する特権で、返還の問題は特に重要だ。占領期、米軍が接収すればどこでも好きに使えた。旧安保条約のときに、米側が了承しないと基地や施設は返還されないという趣旨の内容が『岡崎・ラスク交換公文』として結ばれた。これによって日本側が返還を求めても、米側が受け入れなければ使い続けられることになった」
「もう一つは行動の特権だ。訓練と裁判権が問題となる。訓練は基地周辺の住民の日常生活にかかわってくる」
――米軍の激しい訓練は、沖縄をはじめ全国各地で問題となっています。
「地位協定に米軍の訓練に関する規定がないことが最大の問題だ。ドイツやイタリアでは国内法を適用して訓練の際の高度、運用時間を決めている」
――米軍による事件、事故が起きるたびに、被疑者の米兵の身柄の所在や裁判権が問題となります。
「裁判権に関しては、程度の差はあるが世界中の米国の同盟国が不平等な内容を押しつけられている。米国の政策決定者も国民も、駐留先の国の法律に自国の兵士を服させることを強く拒絶している」
■3回の失敗で「あきらめ」に
――首都圏の空は、横田空域としていまだに米軍が管制業務を続けています。
「独立を回復して70年近くたつのに、自国の首都の管制圏を他国に握られていることは異常だ。占領時に米軍が管制業務をやっていて、独立直後、日本側は暫定的に米軍が管制を続けることを認めた。長期化したことで既得権になり、今に至っている」
――なぜ日本政府は協定の改定を米側に求めないのでしょうか。
「講和(52年)、安保改定(60年)、沖縄返還(72年)という3回の交渉の際、日本政府は米軍の特権を減らして対等な同盟関係にもっていこうとかなり努力したことが外交記録から読み取れるが、結果として失敗した。3回やってだめなものにもう一度取り組んでもうまくいくとは思えないという『あきらめ』がある」
――地位協定の問題を議論する日米合同委員会の実態が不透明だという指摘があります。
「日米合同委員会は本来、実務者、事務方の定期的な会合の場でしかないが、内容が非公開。何をやっているか分からないからブラックボックスと言われる」
――安保改定60年の節目に、地位協定の今後をどう考えますか。
「日米安保体制を支持することと、安保体制から派生している課題に甘んじることは別の問題。日本の国益にとって安保体制が有益だと考えるなら、今後も安保体制が維持されるよう、地位協定を改善していくという発想を持つべきだ。協定そのものの改定はハードルが高くても、基地が所在する自治体から運用改善の要望があれば、日本政府は米側と協議し受け入れさせる枠組みを早期につくるべきだ」(聞き手・土居貴輝)
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やまもと・あきこ 1979年生まれ。琉球大学人文社会学部講師。専門は日米関係史、安全保障論。近著に「日米地位協定」(中央公論新社)がある。