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続折々の記 2020②
【心に浮かぶよしなしごと】
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【 07 】02/14~
・ 首相ヤジ問題、予算委流会 「意味のない質問」17日に釈明
・ 野党、焦る首相に照準
・ 首相答弁、ホテルが否定 「桜」夕食会めぐり
・ 明細書、主催者に未発行「ない」 ホテル見解、答弁と矛盾
・ 衆院予算委員会 17日
・ 社説 首相と国会 その言動 胸を張れるか
・ 首相の改憲、離れる公明「まるで野党」 狭まるシナリオ
・ 18日 デジタルニュースの続き
ANAと首相の「食い違い」 回答求め野党が審議拒否
02 14 (火) 緊急ニュース(続) 雲行きの変化
12日の予算委員会で辻元清美さんの質問に対しての総理のヤジがもんだいになり、13日に新聞で報じられました。
このことについて次のように報道されました。 ことに最後の ■<視点>「言論の府」壊す首相と与党 については、最近の総理と与党議員の不条理に心構えに憤懣やるかたない気持ちを整理してあり、この大きな流れを国中の人たちは熟考しなければならないと思っています。 国会取材キャップ・蔵前勝久として記名してあり感謝しています。
3面記事 「意味のない質問」17日に釈明
2020年2月14日 5時00分
首相ヤジ問題、予算委流会
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14364597.html?ref=pcviewer
【画像】首相の国会での問題発言、これまでも
安倍晋三首相が野党議員に「意味のない質問だよ」とヤジを飛ばした問題で、13日午前に予定された衆院予算委員会は流会となった。野党は首相による謝罪と撤回を自民党に要求。与野党は17日の同委で、首相が釈明することで折り合った。いったんは正常化したものの、野党が納得する釈明となるかは不透明で、混乱が続く可能性がある。▼総合4面=焦る首相に照準
問題となったのは、12日の同委で立憲民主党の辻元清美氏に向けられたヤジ。自民の森山裕国会対策委員長と立憲の安住淳国対委員長は13日、断続的に協議を行い、17日に同委の集中審議を開き、首相が冒頭に発言することを確認した。
安住氏は記者団に「予算委で首相がおわびし、不規則発言は厳に慎むと言う」と説明。一方、森山氏は「首相の発言について私が申し上げる立場にない」と述べるにとどめており、野党が求める首相の謝罪が実現するかは、あいまいな状態となっている。
与野党の協議と並行し、立憲や国民民主党など野党4党の幹事長・書記局長も会談。首相に対する懲罰動議提出も視野に入れて対応する方針を確認していた。
■荒れる答弁、浮かぶ国会軽視
ヤジ問題の余波で30分遅れで始まった13日午後の衆院本会議でも、首相は強気だった。「恣意(しい)的人事を行ってきたとのご指摘は、まったく当たりません!」。野党が東京高検検事長の定年延長に疑念を呈すると、首相は野党席をにらみつけながら声色を強めた。
首相は12日の衆院予算委員会で、立憲の辻元氏に「意味のない質問だよ」とヤジを飛ばしたことを認めたが、「質問ではなく罵詈(ばり)雑言の連続。当然、そう思うじゃないですか」と言葉を重ねた。謝罪どころか、自らの発言の正当性を主張した。
首相の問題発言で委員会が混乱することは何度もあった。森友・加計(かけ)学園問題や桜を見る会など、自らが疑惑追及の矢面に立たされる場面で出ることが多い。
2017年6月の衆院決算行政監視委でも首相はヤジを乱発した。加計学園問題を追及した野党議員が自席に戻ると、「くだらない質問で終わっちゃったね」。森友学園側と妻・昭恵氏の関係をただす野党議員にも「いい加減なことばっかり言うんじゃないよ」と荒々しい言葉を浴びせた。
議事録に残る答弁を見ても、首相は野党批判を繰り返していることがわかる。今月4日の衆院予算委では、桜を見る会の問題を取り上げた野党議員の過去の言動を持ち出し、「真っ赤なウソだった」として謝罪を要求。この議員が首相に耳打ちする首相秘書官に声を荒らげると、「人間としてどうかと思う」となじった。17年4月の衆院厚労委で森友問題をただされた際には、「民進党の支持率はご承知の通りだ」と野党の低支持率を皮肉った。
国会軽視の姿勢も際立つ。17年5月の衆院予算委では、憲法記念日に首相自ら打ち出した憲法改正についての考え方を野党議員に問われたが、首相は「相当詳しく読売新聞に書いてある。ぜひ熟読して頂いてもいい」と答弁。説明を避け、自らのインタビュー記事を読むよう勧める首相の態度に、自民党の委員長も「この場では不適切」と注意した。
野党の質問に敵意をむき出しにする首相が17日にどんな釈明をするのか――。憲法が定める三権分立との関係からも、注目が集まる。自民の石破茂元幹事長は13日、自身の派閥会合で首相にこうクギを刺した。
「罵詈雑言を浴びせられようが平身低頭。(予算案や法案の)審議をお願いしているのはこちらだ」(三輪さち子)
■<視点>「言論の府」壊す首相と与党
国会を大きく混乱させた自身のヤジに、安倍晋三首相は悪びれる様子もない。こうした振る舞いの悪質さは憲政の歴史をひもとくと、より鮮明になる。
1938年、帝国議会の衆院で国家総動員法案を審議中、陸軍の佐藤賢了中佐がヤジに「黙れ」と、どなった事件があった。議場が騒然とする中、委員長から促された佐藤は撤回する。
53年の衆院予算委員会では吉田茂首相が、質問中の野党議員にぼそっと「バカヤロー」。質問者から撤回を求められた吉田は即座に「不穏当だった。はっきり取り消す」と応じた。
「ワンマン」と言われた吉田だが、戦後10年も経たない時期だけに、新憲法で国権の最高機関に生まれ変わった国会を侮辱してしまった重大さを受け止め、撤回したのだろう。
翻って現代。ワンマンならぬ「1強」と言われた安倍首相は撤回しないばかりか、開き直って「罵詈(ばり)雑言の連続」と自らがヤジを浴びせた野党議員をさらに攻撃した。棚橋泰文・予算委員長は撤回を促しもしない。議員の質問権をないがしろにするヤジは、立法府への冒涜(ぼうとく)に等しい。だが、与党から厳しい批判が噴き出すという状況にはない。
品位なき首相と自負なき与党。「言論の府」の土台を壊していることを強く自覚しなければならない。(国会取材キャップ・蔵前勝久)
▼総合4面=焦る首相に照準
野党、焦る首相に照準 「懲罰動議より審議が得策」 17日に集中審議
安倍晋三首相の「意味のない質問だよ」とのヤジを野党側は13日、「議会制民主主義への冒涜(ぼうとく)」と一斉に批判した。野党側は「桜を見る会」などの追及で首相に焦りやいらだちが出ていると判断。懲罰動議提出を見送る一方、首相に照準を合わせ「行政府の長」としての姿勢をただす考えだ。▼3面参照
与野党が開催で合意した17日の衆院予算委員会の集中審議で、立憲民主党など野党側は、最初の質問者に立憲の辻元清美氏を立てる方向で検討を始めた。
集中審議の冒頭には首相がヤジについて「釈明」する方向。首相がヤジを飛ばした辻元氏を立てることで「しっかり首相に謝罪してもらう」(立憲国対幹部)との狙いがある。
野党側は13日、首相のヤジについて、「議会制民主主義を破壊する発言」(共産党の志位和夫委員長)と批判を強めた。13日の衆院本会議では、立憲の高井崇志氏が冒頭、「立法府に対する質問権の侵害」と批判。だが、答弁に立った首相は自身のヤジについては一切言及しなかった。
「桜を見る会」問題や統合型リゾート(IR)事業の汚職事件などをめぐって追及を続けてきた野党は、今回の首相のヤジで、新たな追及材料を得た格好だ。
野党は13日午前、首相への懲罰動議の提出を一度は検討したが今回は見送った。首相のヤジについて「冷静さを失いつつある」(立憲幹部)と見るためで、懲罰動議を温存し、国会審議で首相の追及を続けるほうが得策と判断した。(今野忍)
■与党からも「ひどい」
安倍晋三首相が野党議員にヤジを飛ばした問題では、与党内からも首相の答弁姿勢を戒める声が出た。
伊吹文明元衆院議長は13日、所属する二階派の会合で、立憲民主党の辻元清美氏が「タイは頭から腐る」と首相を批判し、首相がヤジで応戦したことについて「お互いにみっともない」と指摘。その上で「安倍さんも一国の宰相なんだから、同じレベルに下りてあんまりムキにならない方がいい」と苦言を呈した。公明党からも首相の答弁姿勢を問題視する声が相次ぎ、山口那津男代表は「答弁する側も誠実に答弁を」と首相をいさめた。
自民党石破派の議員は「あんなやりとりは子どもに見せられない。これが自分たちの国の総理大臣かとあきれる」と批判。首相に近い党幹部からも「あれはひどい。かっかし過ぎだ」との声が漏れた。一方で首相を支える麻生太郎副総理兼財務相は麻生派の会合で、「国会を見ていると、桜が何とかという話ばっかりになっている」とし、疑惑追及を強める野党に批判の矛先を向けた。(河合達郎)
文藝春秋digital 石破茂、覚悟の直言。「安倍総理の『桜を見る会』答弁は不十分。支援者ではなく、国民と向き合え」 2020/02/08 08:00 https://bungeishunju.com/n/n00a44e544e85?gs=13c48da68a08 ポスト安倍「世論調査1位」の石破茂氏は、「このままでは日本が滅ぶ」と憂慮する。「桜を見る会」問題、IR疑惑、参院議員の政治資金疑惑……今、あらゆる問題が浮上している安倍政権。石破氏は、現在の状況は「国の根幹」を揺るがす危機だと語る。この国が再び誤った道に進まないために、何が必要なのか。/文・石破茂(自民党元幹事長)
※ 国家の中枢が劣化している
安倍晋三総理が多数の地元支援者を呼んでいた「桜を見る会」、現職国会議員が逮捕されたIR(カジノ)疑惑、昨夏当選した参院議員の選挙資金疑惑……今、政権はさまざまな問題に見舞われています。
これを「長期政権の驕り」「緩み」と批判する人々もいますが、私はそうは思わない。たとえば5年間続いた中曽根康弘政権は、最後までピリッとした緊張感を保持していました。小泉純一郎政権も特有の舞台回しにより、約5年間を通じて引き締まった雰囲気でした。長期政権だから腐敗するとは、必ずしも言えません。
ではなぜ、この期に及んで問題が頻発したのか?
私はここに、国家の中枢を担うエリート、とりわけ官僚たちの劣化を見ます。今国会を見ても、なぜ総理をはじめ閣僚がこれほど杜撰な答弁をするのかと、首を捻りたくなるようなシーンが多々あります。その答弁を書いているのは、受験秀才の選りすぐりである官僚です。受験秀才はペーパーテストの成績は抜群でも、スペシャリストの集団として視野が狭くなりがちであり、ジェネラリストは少ない。答えのない問題や危機に対応する能力においては、大きな弱点を抱えています。
画像石破氏
約80年前、大日本帝国の運営を誤り、滅びの道筋を作ったのもいわば受験秀才でした。権力(陸軍)の中枢を占めていたのは、陸軍幼年学校からエリート教育を受けた人々。東条英機はその典型でした。今の状況を見るにつけ、私は当時の「失敗の本質」に通じるものがあるように思え、慄然とした思いを禁じ得ない。同じ轍を踏めば、日本は滅びの道に至ります。この国を再び誤らせないために何が必要なのか、考えてみたいと思います。
※ 一隅を照らす人こそ「桜を見る会」へ
「桜を見る会」が依然として尾を引いています。総理は「功績・功労のあった方々などを幅広く招待した」旨を国会で答弁されていますが、少し言葉が足りないかもしれません。そもそも「桜を見る会」の趣旨は、保護司や人権擁護委員、民生委員の方々のような、決して良い報酬や待遇ではないにも関わらず、一生懸命に地域社会の一隅を照らして下さっている方々に、総理が感謝の意を伝え、労う場とする、というものです。行政府の長たる総理が国民の税金を使って開くわけですから、たとえ野党の支持者でも、公平に招待するのが筋だと思います。
・「桜を見る会」
私も幹事長時代、「幹事長には推薦枠がある」と言われた記憶があります。私の地元でどうしても行きたいという方がいた場合、その方が地域のために尽くしてこられた場合に限って、推薦をしました。該当者がいない場合、若手議員に私の枠を回すように言ったこともあります。当然そういうものだと私は受け止めてきました。
また、国民の税金が投じられている以上、可能な限り、情報公開されなければなりません。招待者名簿について「ルールに基づき、廃棄した」と繰り返し、不可解な説明が二転三転してしまっては、政府への不信がますます高まってしまっても仕方がありません。
福田康夫総理のとき、公文書に対する政府の姿勢を徹底させるべく改革を断行されました。行政が公正、公平に執行されたか確認できるように、公文書の管理を徹底しておかなくてはならない――その使命感のもと、公文書管理担当の大臣を置き、公文書管理法も制定されました。今こそ、その精神を取り戻さねばなりません。
内閣官房と内閣府は今回、同一人物が連続して招待されないよう配慮を求める通達を各省庁に出していました。しかし名簿が廃棄されてしまえば、それも確認しようがありません。恣意的な管理と言われても仕方ない。政府には、公文書は政府のものではなく、国民のものであるという意識が決定的に重要です。
※ 「耳の痛いことを言ってくれる人」を大切に
「桜を見る会」の招待者が膨れ上がった理由は不明ですが、そこには安倍総理の優しさも垣間見えます。安倍総理は、自分を支えてくれた人を、この上なく大事にされます。2018年の総裁選の時もそうでした。森友・加計問題などをめぐる秘書官などの対応が野党から批判されると、「一生懸命やっている」と庇い、色をなして反論された。だからこそ、周囲の人は「総理のためなら」と意気に感じて惜しみなく力を尽くすのでしょう。それが安倍政権の強みの1つであると思います。
しかし、その美徳はプラスだけではない作用をもたらす懸念もあります。「力を尽くしてくれる人」ばかりが重用されると、「耳の痛いことを言ってくれる人」が遠ざけられることも往々にしてあるからです。私が防衛大臣や農水大臣を務めた際にも、私の意図を先読みするようにして尽くしてくれ、「さすが大臣」と持ち上げてくれる官僚もいました。が、そうした人とは長くは続きませんでした。逆に、「大臣、それは違います」ときちんと指摘してくれる人は、いざというときに本当に頼りになりました。立場ある者としては、「尽くしてくれる人」以上に「耳の痛いことを言ってくれる人」を大切にすべきだと私は思うのです。
これは、鳥取県知事だった父・石破二朗の信条でもありました。知事はある意味で県における最高権力者ですが、父はよく役人に「私が間違っていると思ったら必ず言え。それがお前たちの仕事だ」と言っていたそうです。私もその遺訓に倣ってきましたので、事務所の秘書も「それは違います」と平気で言いますし、政策集団「水月会」のメンバーも「会長、お言葉ですが」と有意な反論を多く投げかけてくれます。これが私のスタイルです。
今の安倍政権には、このような「耳の痛いことを言ってくれる人」が少ないように感じます。これはそれぞれの政治家によるスタイルの違いであり、一概にどちらがよいと言えるものではありません。しかし、歴史を顧みると、「耳の痛いこと」を言う人の存在は、やはり必要ではないかと思うこともあるのです。
先に触れたように、かつてこの国を破滅の淵に追いやったのは、いわゆる受験秀才の軍務官僚でした。彼らは満州などにおいても結果的に自らの権益を優先させ、国全体の利益を考えることができませんでした。そして無謀な作戦に走り、戦局が厳しさを増す中でも都合のよい報告しかせず、ときには戦果を捏造さえしたのです。
現在の状況においても、「総理、それは違います」と進言しないといけない局面はあると思います。しかし、現代の受験秀才であるエリート官僚たちには、それができないのではないか。結果として、支離滅裂な答弁を総理にさせてしまっている。
※ 国民の約8割が首相の説明に「納得できない」
私見ですが、安倍総理が「桜を見る会」の人数が増えたことなどの不適切と思われる点について、率直に丁寧に謝られれば、ここまで批判は拡大しなかったのではないか、と思います。日本人には「水に流す」という感覚があります。それが海外にも通用するかはさておき、誠心誠意謝れば、日本の有権者は理解してくれるのではないでしょうか。周囲の人々が諫言できないのか、大した問題ではないとタカをくくっていたのかは分かりませんが、「本当に申し訳なかった」と誠実に国民の前でおっしゃれば状況は違ったのではないかと思います。
もちろん、官僚ばかりが責められるべきではありません。なぜなら、今の政権では「耳の痛いこと」を言ってしまったら厳しい立場に置かれかねない、という雰囲気があるように感じるからです。内閣人事局の発足以来、中央省庁幹部の人事権は官邸にあります。官邸の機嫌を損ねれば、職を失うことだってあり得る、と役人が思うのは自然なことでしょう。天下りは厳しく制限されている時代です。局長といっても年齢は50代半ばで、子どもがまだ学生だったり住宅ローンが残っていたりする。そうした現実を考えると、官邸の意向ばかり気にする官僚のことを、私は全面的に非難できないのです。また、官邸の顔色を窺うのは、自民党議員も同じです。
考えてみれば、我々は10年以上かけて官邸の強化のための施策を講じてきたのですから、これもある意味当然かもしれません。そうであれば今まで以上に、官邸は広く国民全体のことを考えなければならない。世論調査を見る限り、国民の多くは「桜を見る会」を巡る総理の答弁を「納得できない」と受け止めている。そうであれば、総理ご自身が、国民が納得いくまで、あらゆる機会で説明していくべきです。誠実な姿勢には、国民も必ず理解を示すと思います。
※ 選挙で負けないという安心感が蔓延して
私がいま痛切に感じているのは、現在の状況を生み出した「日本の民主主義」とは何なのか、その民主主義が崩壊に向かっているのではないか、ということです。
民主主義が正常に機能するには、幾つかの条件があります。1つ目は「健全な言論空間」。権力と言論が一体になってしまえば、国は方向性を誤ります。かつて日本が無謀な戦争に突入した背景にも、新聞が権力への監視機能を失ったことがありました。
2つ目は「政治に参加する権利を持った人ができるだけ多く参加すること」。投票率が低いと、組織票を持つ特定のグループの発言権が強くなってしまう。一方で、棄権は、現体制に対する消極的信任を意味します。
12年末に自民党が政権を奪還した際、私は幹事長でしたが、当選した議員たちに「投票率50%、得票率50%で当選できる。しかし、絶対得票率は25%に過ぎない。そのことを絶対に忘れては駄目だ」と口を酸っぱくして言い続けました。有権者全体の25%の支持があれば、選挙には勝ててしまう。しかし、そこに甘えてはいけないということです。
17年10月の総選挙では、森友・加計問題で批判を浴びながらも、「国難突破」を理由に解散を打ち、大きな勝利を収めました。このあたりから、自民党議員の意識が変わってしまったように思います。つまり「25%の支持」さえ得ていれば、選挙には負けないという安心感です。これが蔓延すると、国民全体に届くように丁寧に説明を重ねる努力を忘れてしまいます。
50%もの人が投票権を放棄している事実は、選挙で勝ったといっても、現体制に対する「消極的な支持」が大半だということの裏返しです。「自民党が素晴らしいから支持する」ではなく、「他にないから自民党」という状況は、向かい風で簡単に覆ります。それはつまり、「国政を任せてみたい」と思わせる野党が存在していない、ということにも繋がります。「安倍政権の最大支持勢力は野党」だという論評は、あながち的外れではありません。
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02 18 (火) 緊急ニュース(続) 雲行きの変化
こんな嘘つき総理は、私にはいらない。
今日の新聞を見て私は強くそう思う。 記事を載せる。
1面 「桜を見る会」
2020年2月18日 5時00分
首相答弁、ホテルが否定 「桜」夕食会めぐり
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14369217.html?ref=pcviewer
「桜を見る会」の前日に開かれた夕食会をめぐり、17日の衆院予算委員会で、安倍晋三首相の国会答弁の整合性が厳しく問われた。野党は会場のホテルが示した見解と比較し、食い違いを指摘。首相はホテルへの照会結果を挙げ、口頭で反論したが、ホテル側はその後の取材に対し、答弁内容の一部を否定した。▼3面=反論は口頭のみ、4面=焦点採録、12面=社説
見解は、2013、14、16年に夕食会が開かれた「ANAインターコンチネンタルホテル東京」が示した。立憲民主党の辻元清美氏が13年以降に同ホテルで開かれたパーティー・宴席を対象として、書面で尋ね、17日午前にメールで回答があったという。
首相はこれまで、(1)ホテルは後援会に明細書を発行しなかった(2)ホテルは参加者個人に宛名のない領収書を発行した(3)ホテル側への支払いは主催である後援会ではなく、契約主体である参加者個人が行った――と説明してきた。
一方、辻元氏に示された見解には(1)見積書や明細書を主催者に発行しなかった事例は「ない」(2)「宛名を空欄のまま発行することはない」(3)「ホテル主催の宴席を除いて、代金は主催者からまとめてお支払い頂く」との回答が記されていた。政治家や政治家関連の団体で対応を変えることは「ない」とも答えている。
首相はその後の質疑で、事務所を通じてホテルに確かめた内容として、口頭で反論。ホテルから「辻元氏にはあくまで一般論で答えた。個別の案件については営業の秘密に関わるため、回答には含まれていない」と説明された、とした。
食い違いを解消するため、野党側はホテルから書面で回答を取り寄せるよう求めたが、首相は拒んだ。
ANAホテルの広報担当者は同日夜、朝日新聞の取材にメールで回答。首相側に「『一般論として答えた』と説明しましたが、例外があったとはお答えしておりません」とした。さらに「『個別の案件については営業の秘密にかかわるため、回答に含まれない』と申し上げた事実はございません」と首相答弁の一部を明確に否定した。
■首相がヤジ謝罪
首相はまた、12日に同委で発した「意味のない質問だよ」とのヤジについて、「不規則な発言をしたことをおわびします」と謝罪した。(三輪さち子、相原亮)
▼3面 「桜を見る会」
明細書、主催者に未発行「ない」 ホテル見解、答弁と矛盾
【図版】「桜を見る会」夕食会首相答弁とホテル見解の食い違い/書面か口頭か平行線が続く
「桜を見る会」前日の夕食会をめぐる首相答弁は信頼できるのか――。17日の衆院予算委員会で野党が行った追及に安倍晋三首相が繰り出した反論は、同日夜になって当事者から一部が否定される異例の展開に。野党の反発は必至だ。▼1面参照
質問に立ったのは、立憲民主党の辻元清美氏。首相の後援会が主催する夕食会が2013、14、16年に行われた「ANAインターコンチネンタルホテル東京」(ANAホテル)に対して問い合わせた内容と、メールでの回答を読み上げた。
「7年間に見積書や請求明細書を主催者側に発行しないケースがあったか。回答、『ございません』」
「領収書の話、ホテルの担当者が金額などを手書きし、宛名は空欄のまま発行したケースはあったか。回答、『ございません』」
首相はこれまでの国会答弁で、ホテルから明細書を受け取らず、領収書の宛名は空欄と答えてきたため、辻元氏は「総理の答弁と真っ向から違う」と迫った。首相は明細書には触れず、「ホテル側は宛名なしの領収書を発行したということで間違いない」と言い切った。
辻元氏は支払いについても食い違いをぶつけた。
「数百人規模のパーティー・宴会で代金を主催者ではなく参加者一人一人から会費形式でホテルが受け取ることはあったか。回答、『ございません』」
首相は事務所側が参加者から会費5千円を集め、その場でホテル側に渡す、という手順だったと説明。参加者それぞれがホテルに代金を払ったとの理論を展開していたからだ。首相側に収入があったとなれば、法律上、政治資金収支報告書への記載義務が生じる。その急所を突いた形だった。
確認を求められた首相が午後に示した「確認内容」は、さらに同委を紛糾させた。事務所が電話でホテル側から確認したのは「辻元議員には『一般論』でお答えしたもの」「個別の案件については、営業の秘密にかかわり回答には含まれていない」との内容だと説明。夕食会は見解の対象外だと言わんばかりだった。
野党はホテル側と書面でやりとりして提示するよう要求したが、首相は「私がウソをついているというのであれば、(ウソだと)説明するのはそちら側だ」などと拒否し続けた。
だが、強弁はすぐに、ほころびを見せた。朝日新聞の問い合わせにANAホテルが17日夜、メールで寄せた回答では、「(首相側と)直接話をした者が『一般論として答えた』と説明したが、例外があったとは答えていない」とし、対応に例外はないとの認識を示した。首相がホテル側の説明として紹介した「個別の案件については、営業の秘密にかかわり回答には含まれていない」との部分については、「申し上げた事実はない」と否定した。(永田大)
■首相、書面で反論が必要
元福岡高裁部総括判事の森野俊彦弁護士の話 ホテル側から辻元氏へ書面で回答が示された。首相であろうが自民党総裁であろうが、口頭で反論するだけでは、辻元氏の照会の信用性を覆せない。辻元氏とホテル側のやりとりについて、安倍首相が改めてホテル側に書面で回答をもらい反論する必要がある。それが一般的な法の世界での事実認定のルールだ。
首相は(事務所がホテル側から)電話で聞き取ったと答弁し、辻元氏への回答を「あくまで一般論」と退けたが、主張の仕方として不十分だ。裁判で事実認定を争う状況だったら、首相は負ける。うやむやにしようとする首相の姿勢は、森友・加計(かけ)学園問題でも同じだった。裁判で争って、政治的不利益を被ることもないので、今回も水掛け論に終始させよう、という態度がありありと見える。
▼4面 焦点採録
衆院予算委員会 17日
【写真】質問に対する安倍晋三首相の答弁内容に抗議して、立憲民主党、国民民主党などの野党議員が退室したため、衆院予算委の審議は止まった=17日午後3時21分、岩下毅撮影 ■ホテル側回答、提出を 無所属・小川氏/改めて書面化、考えはない 首相
【首相のヤジ】
安倍晋三首相 2月12日の質疑の中で辻元(清美)委員に質疑終了後、不規則な発言をしたことをおわびする。今後、閣僚席からの不規則発言は厳に慎むよう、総理大臣として身を処して参る。
立憲・辻元清美氏 ヤジを飛ばしまくる総理は初めてだ。厳しいことを言っても受け止めてほしい。みんながイエスマンになったら議会は大政翼賛会になる。
【桜を見る会の夕食会】
辻元氏 2013年以降の7年間に3回、総理が前夜祭(夕食会)を開いているANAインターコンチネンタルホテル東京(全日空ホテル)から文書で回答がきた。「貴ホテルが見積書や請求明細書を主催者側に発行しないケースがあったでしょうか」(と質問)。回答は「ございません」。総理の答弁と違う。
首相 明細書は頂いていないということだ。
辻元氏 「貴ホテルの担当者が、金額などを手書きし、宛名は空欄のまま領収書を発行したケースはあったか」(と質問)。回答は「ございません」。これも総理の答弁と真っ向から違う。
首相 全日空(ホテル)側は、宛名なしの領収書を発行したということで間違いはない。
辻元氏 「ホテル主催ではない数百人規模のパーティー、宴会で代金を主催者ではなく参加者一人一人から会費形式で貴ホテルが受け取ることはあるか」(と質問)。回答は「ございません」。一人一人と契約をして参加費をホテルに支払ったという(総理)答弁も、事実と違うんじゃないか。
首相 契約主体は個々の参加者で、この件も事務所側は全日空(ホテル)側とも話をしている。
辻元氏 「主催者が政治家及び政治家関連の団体であることから対応は変えたことはあるか」と質問をした。回答は「ございません」。総理の答弁が、全日空ホテルの回答では根底から覆る。午後までに調べて再度確認させてください。
首相 この後、先方に事務所から当たらせたい。
無所属・小川淳也氏 確認した結果はいかがか。
首相 私の事務所が全日空ホテルに確認したところ、辻元議員にはあくまで一般論で答え、個別案件は営業の秘密に関わるため回答には含まれていないとのことだ。明細書等の発行は受けていない。領収書は、一般的に宛名は「上様」として発行する場合があり、夕食会でも上様としていた可能性はあるとのことだ。
小川氏 書面でホテル側から回答をもらい、委員会に提出してください。
首相 改めて書面にする考えはない。
▼12面 社説
首相と国会 その言動 胸を張れるか
国会を軽んじ、野党を敵視する姿勢が本当に改まるのか。安倍首相の「反省」をうのみにはできない。
首相がきのうの衆院予算委員会の集中審議の冒頭、先週の委員会で立憲民主党の辻元清美衆院議員に「意味のない質問だ」とヤジを飛ばしたことをおわびし、「今後閣僚席からの不規則発言は厳に慎む」と述べた。
直後には、「罵詈(ばり)雑言」を浴びたので「当然そう思う」と開き直っていた。低姿勢に転じたのは、年度内成立をめざす予算案の審議への悪影響を避けたい思惑からなのか。
首相のヤジは、これまで何度も問題視されてきた。安全保障関連法案を審議していた5年前には、同じ辻元氏に「早く質問しろよ」。昨年の臨時国会では、加計問題で官邸幹部の関与がうかがわれる文書の作成者をただした野党議員に「あなたじゃないの」。いずれも陳謝したが、同じことが繰り返される以上、謝罪は口だけとみられても仕方あるまい。
国会審議にヤジはままあるとはいえ、立法府のチェックを受ける立場の閣僚側が質問者に放つのは筋違いだ。一国の指導者の振る舞いとして、首相は恥ずかしくないのだろうか。
きのうは、首相のこれまでの答弁が信用できるのか、疑問を抱かせる事実も辻元氏から突きつけられた。「桜を見る会」の前夜祭をめぐる問題である。
首相はこれまで、ホテル側から明細書の提示はなく、費用は参加者個人が会費形式で支払った、領収書の宛名は空欄だったなどと説明してきた。
ところが、過去3回、会場となったANAインターコンチネンタルホテル東京が、辻元氏の書面での問い合わせに対し、(1)明細書を発行しないことはない(2)宛名が空欄の領収書は発行しない(3)代金は主催者からまとめて受け取る――などと、メールで回答してきたというのだ。
事実なら、前夜祭を収支報告書に記載してこなかったことが政治資金規正法違反に問われかねない重大な指摘である。
首相はその後、事務所がホテル側に口頭で確認したとして、辻元氏への回答は「あくまで一般論」であり、従来の説明と齟齬(そご)はないと繰り返した。
安倍後援会は特別扱いを受けたということか。しかし、ホテル側は政治家や政治団体を理由に扱いを変えたことはないとも答えている。これもまた、首相の主張をうのみにはできない。
野党は、ホテル側と文書でやりとりし、その結果を示すよう強く求めたが、首相は応じなかった。自らの言葉の信が問われているというのに、積極的に疑念を晴らさずにどうするのか。
18日 デジタルニュース
大久保貴裕 2020年2月18日 9時00分
首相の改憲、離れる公明「まるで野党」 狭まるシナリオ
https://digital.asahi.com/articles/ASN2K6CQ8N26UTFK00F.html?iref=comtop_8_02
自らの残り任期をにらみ、憲法改正の旗を振る安倍晋三首相(65)。そのかけ声とは裏腹に、与党内には不協和音がこだまする。
【フロントライン】政治の最前線を深掘り
首相は年初から、改憲への意気込みを威勢良く語った。
1月6日、伊勢神宮で臨んだ年頭の記者会見で「憲法改正を私自身の手で成し遂げていくという考えに、まったくゆらぎはない」と力を込めた。7日午前に自民党本部であった仕事始めでは、居並ぶ党幹部に「私たちに課せられた大きな責任でもある憲法改正に向けて、大きな歩みを進めていこう」と呼びかけた。
それから2時間後、党本部の記者会見場で、改憲機運を盛り上げるための2枚のポスターが発表された。「憲法改正の主役は、あなたです」。そんな文言が、男女のイラストや青空と草原の風景にあしらわれていた。
【写真】改憲機運を盛り上げるためのポスターを発表する平沢勝栄・自民党広報本部長(左)=1月7日午後、自民党本部、河合達郎撮影
平沢勝栄広報本部長(74)は、ポスター作成にあたって「首相から『主役は国民といった趣旨がよく出るように』という話があった」と説明。「色々な角度から憲法改正を進める働きかけをしている」とも語った。
首相が改憲へのアピールを強めるのは、今年を改憲を実現させる目標に位置づけてきたからだ。2017年5月3日の憲法記念日、首相は「2020年を新しい憲法が施行される年にしたい」と宣言し、自身の任期中に期限を区切って改憲をめざす考えを示した。自民党はその後、9条への自衛隊明記など4項目の改憲案をまとめ、他党に議論を呼びかけてきた。
【写真】「2020年を新しい憲法が施行される年に」。憲法改正を求める集会で、安倍晋三首相のビデオメッセージが流された=2017年5月3日午後1時49分、東京都千代田区平河町、山本裕之撮影
だが、いま国会の改憲論議はほとんど進まず、与党内の温度差もあらわになっている。
自衛隊明記案などにもともと慎重な公明ですが、最近の山口代表の姿勢は「まるで野党のようだ」とまで語られます。首相がなお意欲を見せる改憲は、どこに行き着くのか。
1月16日、公明党本部であった山口那津男代表(67)の記者会見。記者から「総理が改憲について『私自身の手で成し遂げたい』と繰り返している。党として意見集約する考えはあるか」と問われた山口氏は突如、声を荒らげた。「安倍総理大臣として憲法を決定する権限はない。『総理として』との言い方は誤解を招く」
記者が「安倍総理として憲法改正をめざしていく意欲に聞こえる」と続けて問うと、山口氏も「そう聞こえるはずがない。憲法のどこに総理が憲法改正の発議をすると書いてあるのか。発議権は国会にしかない」と重ねて反論した。
もともと自衛隊明記案などに慎重な公明党だが、山口氏のこだわりはとりわけ強いとされる。行政府の長である安倍首相が、発議権を持つ国会の頭越しに改憲の旗を激しく振り続ける。そうした振るまいが、山口氏の感情をさらに波立たせたのではないか。この会見後、公明党内ではそんな見方がささやかれた。
【写真】首相官邸の庭の桜を観賞する安倍晋三首相(左)と公明党の山口那津男代表=2019年3月28日午前11時59分、岩下毅撮影
その遠因ではないかと、とりざたされた会談が昨秋あった。
11月28日夜、東京・赤坂のふぐ料理店。山口氏は首相と2人で食事を共にした。12年に首相が政権に復帰してから、2人だけで夕食を取るのは初めてだった。
その席で、首相は山口氏に「20年の期限」が迫る改憲への協力を求めたが、山口氏は明確な返答を避けた――。会合後、関係者らの間にそんな情報が流れた。関係者のひとりは「その会食以来、山口代表の改憲への慎重姿勢が強まっていった」と語る。
実際、山口氏は12月下旬にミャンマーを訪問した際、改憲について記者団に「各種世論調査で、政治が取り組む優先課題として高くない。どんなテーマも、議論が成熟化する状況にない」と主張。首相がその2週間前の記者会見で「最近の世論調査でも『(憲法の)議論を行うべきだ』という回答が多数を占めている。国民的関心は高まりつつある」と述べたことへの反対論を語った。
関係者は最近の山口氏の姿勢について「これまでの『加憲』から『護憲』に回ってしまった。まるで野党のようだ」と話す。公明党幹部は「首相のレガシーづくりには付き合わない」と、首相主導の改憲から距離を置く考えを示す。
自民の策に「あほなことを言ってはいかん」
国会の憲法審査会の審議は停滞が続く。森友・加計学園や「桜を見る会」の問題など、政権の不祥事や疑念の解明が一向に進まない国会で与野党の対立が激化し、全会一致での開会が原則の憲法審の運営が難しくなっているからだ。
「あれ、憲法審査会でやるべきテーマなのか。倫選特(政治倫理・公選法特別委員会)でやればいいじゃないか」。2月に入り自民党の衆院憲法審査会のメンバーは、周辺にそう語った。改憲手続きを定める国民投票法改正案の審議が進まないため、憲法審以外の場で審議したいとの思惑を示したのだ。
【写真】 9月の欧州視察に関する自由討議が行われた衆院憲法審査会。多くの報道関係者や傍聴人が詰めかけた=2019年11月14日午前、岩下毅撮影
だが、この「奇策」を耳にした公明党幹部は、「何を考えているのか。あほなことを言ってはいかん」と一蹴した。自公両党は2月12日、憲法審査会の幹事懇談会を開催し、野党に憲法審の開会を呼びかけていくことで一致したが、与党幹事のひとりは「先行きはまったく分からない」と話す。
自民党からは最近も、野党や公明党の反発を招くような言動が出た。
【写真】二階派の例会で「講話」する伊吹文明氏(右から2人目)=2019年12月5日午後、東京都千代田区
「憲法改正の大きな一つの実験台と考えた方がいいかもしれない。個人の権利をどう制限していくかという緊急事態の一つの例」。新型コロナウイルスによる肺炎が国内各地で確認されていた1月末、伊吹文明元衆院議長(82)は二階派の会合で持論を展開した。改憲4項目に盛り込む緊急事態条項の検討を促すもので、党幹部らからも同調する発言が続いた。
これを野党や公明党は一斉に批判した。立憲民主党の枝野幸男代表(55)は「感染症の拡大防止に必要な措置はあらゆることが現行法制でできる。憲法とは全く関係ない。改憲に悪用する姿勢は許されない」。公明党の斉藤鉄夫幹事長(68)も「冷静に平時に議論すべきこと」とクギを刺した。公明党幹部は「なぜああいう発言をするのか。憲法論議の必死感を出すための、首相向けの演技なのか」と皮肉を込めて語る。
自民シナリオ、軌道に乗る兆しなく
衆院解散・総選挙が近づき与野党の対決ムードが増すほど、首相主導の改憲論議に野党が批判を強めるのは必至だ。一方で、21年9月の首相の任期満了は、ひたひたと近づく。首相周辺は「政権の終盤に向け、どうすれば憲法改正が前に進むか。首相にとってそれが大きな懸案だ」と話す。
首相の任期中に開ける国会は、慣例通りなら今の通常国会を含めてあと3回。今国会で、改憲原案をとりまとめて審議入りし、秋の臨時国会で衆院を通過させる。そして、来年の通常国会で発議できる環境に持ち込む――。自民党の一部ではそんなシナリオも語られているが、いまのところ軌道に乗る兆しはうかがえない。
首相は2月12日の衆院予算委員会で「憲法改正4項目は党として民主的な手続きで決めた。あとはこの国会において十分な審議がなされ、進んでいくことを期待をしている」と述べた。
首相がなお意欲を見せる改憲はどこに行き着くのか。6月中旬までの今国会の憲法議論のありようが、その行く末を左右する。(大久保貴裕)
18日 デジタルニュースの続き
2020年2月18日 10時27分
ANAと首相の「食い違い」 回答求め野党が審議拒否
https://digital.asahi.com/articles/ASN2L362YN2LUTFK004.html?iref=comtop_8_03
【写真】立憲民主党の安住淳・国会対策委員長
「桜を見る会」の前日に開かれた夕食会をめぐって安倍晋三首相の国会答弁と会場のホテルの説明が食い違った問題で、立憲民主党の安住淳国会対策委員長は18日午前、記者団に「首相側が言ってきた中身を立証しなければならない。書面で回答をもらうまでは、質疑は見送らせてもらう」と述べた。
衆院予算委員会は同日午前9時が開会予定時刻だったが、同委理事会で与野党の調整が難航、1時間近く開会が遅れた。与党側は主要野党が欠席した状態のまま、議事を進めた。
2013、14、16年に夕食会が開かれた「ANAインターコンチネンタル東京」(旧・全日空ホテル)は野党側に対し、同ホテルでのパーティー・宴席について「領収書を宛名を空欄のまま発行することはない」などと回答。野党側は首相のこれまでの答弁と矛盾するとして、17日の国会審議で追及した。首相は、ホテル側から同日昼に「個別の案件については営業の秘密に関わるため、回答に含まれていない」と説明されたと主張。しかし、ホテルの広報担当者は同日夜、朝日新聞の取材に「『個別の案件については営業の秘密にかかわるため、回答に含まれていない』と申し上げた事実はない」と返答した。
安住氏は18日午前、野党4党の国対委員長で対応を協議。首相に書面での回答を求めることを確認した後、「首相がこれまで延々とウソをついてきた可能性が高まった」と記者団に語った。