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折々の記 2015 ①
【心に浮かぶよしなしごと】

【 01 】01/17~     【 02 】01/26~     【 03 】02/13~
【 04 】02/14~     【 05 】02/24~     【 06 】02/24~
【 07 】02/26~     【 08 】02/28~     【 09 】03/06~

【 03 】02/13

  02 13 隆文の死   
  02 13 安倍右傾化施政方針演説 官邸主導   混迷破滅へ直進濃厚

 02 13 (金) 隆文の死   

2015年2月11日 
松澤隆文死亡

電話にて知る。

去年9月28日、姉の墓参にて訪問 (28日 日野姉の墓参の予定)
    http://park6.wakwak.com/~y_shimo/momo.507.html

去年10月、脳溢血にて倒れ意識不明。 今日に至る。

通夜 2月13日 家族葬

葬儀 2月14日 家族葬

 02 13 (金) 安倍右傾化施政方針演説 官邸主導   混迷破滅へ直進濃厚

 朝日 2015/02/13
首相「戦後以来の大改革」 施政方針演説
  官邸主導の姿勢示す

     http://digital.asahi.com/articles/DA3S11598934.html

施政方針演説骨子 総選挙で示された国民の負託に応え、改革をひるまず進める 農政改革を断行する。  安倍晋三首相は12日午後に衆参両院で行った施政方針演説で、「経済再生、(震災)復興、社会保障改革、教育再生、地方創生、女性活躍、そして外交・安全保障の立て直し。いずれも困難な道のり。『戦後以来の大改革』だ」と位置づけたうえで、「ひるむことなく、改革を進めなければならない」と訴えた。▼3面=「安倍色」抑え、5面=演説の全文、16面=社説

 首相は「『安定した政治の下で、この道を更に力強く前進せよ』。これが総選挙で示された国民の意思だ」とも述べ、昨年末の衆院選の勝利で得た強い政権基盤を背景に、引き続き官邸主導の政権運営を進める姿勢を示した。

 また、日本人の「共通の目標」として東京五輪・パラリンピックが開催され、小惑星探査機「はやぶさ2」が地球に戻る2020年を挙げ、長期的な展望のもとに政権運営にあたる意欲をうかがわせた。

 とりわけ官邸主導を強く感じさせたのが、農協改革に言及した部分だ。農協改革をめぐっては、抵抗する全国農業協同組合中央会(全中)や与党議員を押し切り、首相が主導した改革案で決着したばかり。演説では具体的政策の筆頭に取りあげ、「農政の大改革は待ったなしだ。60年ぶりの農協改革を断行する」と述べた。

 成果を強調しつつ、首相が今後取り組む肝いりの政策課題にも言及した。

 集団的自衛権の行使などを認めた昨年7月の閣議決定を踏まえた安全保障関連法案については「あらゆる事態に切れ目のない対応を可能とする安全保障法制の整備を進める」と宣言。首相が戦後70年の今年中に出すとしている「安倍談話」についても、「本年は戦後70年の節目の年にあたる。我が国は先の大戦の深い反省とともに、ひたすら自由で民主的な国をつくりあげ、世界の平和と繁栄に貢献してきた。その強い意志を世界に向けて発信する」と述べた。

 首相がこれまで強い意欲を示してきた憲法改正についても、「憲法改正に向けた国民的な議論を深めていこう」と呼びかけた。

ロ 「安倍色」抑え改革連呼
安保・改憲、踏み込まず 施政方針演説
   http://digital.asahi.com/articles/DA3S11598828.html

写真・図版施政方針演説骨子

 安倍晋三首相は12日、昨年12月の衆院選で与党が大勝してから初の施政方針演説を行った。長期政権を視野に、「戦後以来の大改革」に取り組むと強調した。一方、「本丸」である安全保障政策の見直しや憲法改正は、安全運転で臨んで「安倍色」を抑えた。▼1面参照

 ■統一選を意識、安全運転

 「この国会に求められていることは、単なる批判の応酬ではない。行動であり改革の断行だ」

 「改革断行国会」と位置づける首相は衆院本会議場の壇上で声を張り上げた。「戦後以来の大改革」。首相は約45分の演説でこのフレーズを3度繰り返した。これを含め、「改革」という言葉を36回連呼。衆参で多数を占める与党勢力を背景に、さまざまな「改革」を断行する考えだ。

 この演説を見据え、首相が手がけたのが農協改革だった。首相は演説で「60年ぶりの農協改革を断行する」と宣言し、「目指すは世界のマーケット。林業、水産業にも大きな可能性がある」と訴えた。

 農協改革は、9日に与党と全国農業協同組合中央会(全中)との間で合意したばかり。全中との合意後、首相は「押し切れたよ」と周囲に笑みを見せ、首相官邸の高官も「決着は演説に間に合うよう意識した」と漏らした。演説で農協改革を「実績」として掲げることで、世論や市場などからの期待を引き付ける狙いがあったのだ。

 ただ、首相の「本丸」のはずの憲法や安全保障法制の整備については、安全運転を貫いた。演説では「あらゆる事態に切れ目のない対応を可能とする安全保障法制の整備を進める」と、従来の主張を強調するにとどめた。

 安保関連法案の国会提出は、新年度予算案の審議を終えた5月の連休明け以降とされ、そこから議論が本格化する。集団的自衛権の行使容認を含む法案をどのような形で組み立てるのか、与党間の協議は今月13日から始まる。

 だが、自衛隊が常時、海外で活動できるようにする恒久法をめぐり、自民、公明両党の溝は大きい。首相周辺は「安保部分は簡潔明瞭でよい」と解説。改革姿勢で支持を引き付け、水面下で公明党と協議を進める戦略だ。

 首相が宿願とする憲法改正について、自民党は今国会で国民投票にかける具体的な項目の絞り込み作業に入りたい意向だ。ただ、首相は今回の演説で「国民的な議論を深めていこう」と呼びかけただけで、具体論には踏み込まなかった。

 首相が「安倍色」の濃い政策への言及を控え、経済成長や農業、地方創生を前面に押し出すのは、ひとえに4月の統一地方選を意識してのことだ。

 昨年末の衆院選で勝利した与党だが、滋賀、沖縄、佐賀の県知事選で自民党の支援を受けた候補が相次いで敗れるなど地方での支持は盤石とは言えない。そのことは首相も意識しているようで、7日に自民党本部で開かれた全国幹事長会議では「自民党の強さは、まさに地方議員の皆さんの力だ。この統一地方選挙に勝ち抜いて、来年の参議院選挙につなげていきたい」とげきを飛ばした。

 その後も、論争を呼ぶテーマが待ち受ける。後半国会の安保関連法案に加え、首相は戦後70年の節目に首相談話を出す意向を示している。村山談話や小泉談話の表現をどこまで引き継ぐのかなど、その表現ぶりに国内外から注目が集まる。

 「日本人に、2020年という共通目標ができた。日本は変えられる。すべては私たちの意志と行動にかかっている」。演説の終盤、首相は東京五輪の開催を引き合いに力を込めた。

 改革のアピールと安全運転と――首相の視野には長期政権も入っている。

 ■「中身ない」 野党は批判

 安全保障や歴史認識などで「安倍色」を抑えた演説に、野党は肩すかしをくらった形だ。

 本会議終了後、民主党の岡田克也代表は「集団的自衛権という言葉がなく、安全保障法制の説明もない。中身があまりない演説だった」と振り返った。さらに来週の代表質問に向けて「批判ばかりでなく、しっかりした議論をしたい。真摯(しんし)に答えてもらいたい」と注文をつけた。

 他の野党からも「説明抜きの暴走というのが全体の特徴」(志位和夫・共産党委員長)、「さらっと流した感じで問題」(吉田忠智・社民党党首)などと同じ趣旨の批判が相次いだ。

 これを別の角度から指摘したのが、憲法改正などで首相と気脈を通じる次世代の党の平沼赳夫党首。「憲法が最後の1行しか出ていない。安倍首相は自主憲法制定が一貫した方針だから、演説で触れてもらいたかった」と物足りなさを口にした。

 論争を挑む立場の野党だが、政権への距離感もまちまちで、足並みがそろわない現状も垣間見えた。施政方針演説の終盤、首相が再び「批判だけを繰り返していても何も生まれない」とあおっても、野党席は水を打ったように静かで、官邸主導の自民党「1強体制」を印象づけた。

 演説が終わり、本会議場を出た自民党のベテラン議員は、こんな懸念を示した。「野党に元気がなさ過ぎる。むしろ、全体のバランスが崩れて緊張感が失われることが心配だ」

 (石松恒、冨名腰隆)

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ハ 格差争点、論戦再び
首相「誰にでもチャンス」 民主「税再配分で縮小を」
   http://digital.asahi.com/articles/DA3S11598830.html

写真・図版国会での主な格差論争

 今国会では「格差」が論点の一つになりそうだ。野党は冒頭から、アベノミクスで格差が拡大しつつあると指摘。これに対し、安倍晋三首相は12日の施政方針演説で「誰にでもチャンスに満ちあふれた日本」を掲げた。格差問題をどうとらえ、どのように解決するのか。政党の具体策が問われる国会になる。  ■ピケティ人気も意識

 「誰にでもチャンスがある。そうした社会をともに創り上げようではありませんか」

 首相は12日の施政方針演説で、「チャンス」という言葉を6回繰り返した。中でも時間を割いたのが教育問題。「子供の貧困は、頑張れば報われるという真っ当な社会の根幹にかかわる深刻な問題だ」と訴え、格差が固定しないようにする教育政策の重要性を強調した。派遣労働者の正社員化や中小・小規模事業者の支援でも「チャンスを広げる」と強調した。

 「格差」という言葉こそ使わなかったが、内容は「最近の格差論議を踏まえた」(世耕弘成官房副長官)という。野党が格差問題に照準を絞るのに加え、格差拡大に警鐘を鳴らし、著作が世界的なベストセラーになったフランスの経済学者トマ・ピケティ氏が1月末に来日。日本でも「格差論争」に注目が高まっていることを意識したものだ。

 世耕氏は、首相は「行き過ぎた再分配は社会の活力を奪うという考え方だ」と語り、演説については「首相自身がチャンスをつくり、誰もが頑張れば報われる社会をつくる決意だ」として「機会」を重視するとした。

 一方、野党第1党の民主党は格差問題を「一丁目一番地」(岡田克也代表)と位置づけ、税の再配分による格差の縮小を重視する。

 岡田氏は代表選を通じ、「税や社会保障によって格差を是正する機能が非常に弱くなっている。所得税、相続税の最高税率を上げることを考えるべきだ」と主張。1月29日の衆院予算委員会では、長妻昭代表代行が高所得者から税を厚く集め、低所得者へ振り分ける税の再配分を行うよう求めた。今月16日からの代表質問では、岡田氏が格差問題で首相の見解をただす。

 「格差の少ない日本社会という新しいモデルをつくる」(岡田氏)との狙いで、党内に「共生社会創造本部」を設置し、非正規雇用労働者の待遇や、経済的な理由で進学できない若者たちの問題などについても対案を出し、政府に改善を求める。

 OECD(経済協力開発機構)が昨年末にまとめた報告書は、所得格差の拡大は経済成長を低下させると指摘しており、こうしたデータをもとに「アベノミクスの恩恵に実感のない人々の支持を得たい」(党幹部)としている。

 民主党は2004年の参院選で小泉政権の経済政策を「弱者・地方切り捨て」と批判し、比例区で第1党となった。こうした成功体験もあり、今春の統一地方選や来年夏の参院選をにらんで政権と論争する構えだ。

 ■国会、論争の歴史 「所得倍増」や「構造改革」

 過去の国会でも「格差」論争は繰り返し、行われてきた。自民党幹部の一人は「格差論争は景気が上向く時に行われることが多い」と語る。不況時は、野党が政府の経済政策そのものを突くが、景気が上向く局面では、株高などで広がる資産や所得の差に注目が集まりやすいからだ。

 1960年の高度成長期に「所得倍増計画」を掲げた池田政権は、野党から「大企業と零細企業の賃金格差は一向に縮小されていない」との批判を受けた。バブル経済の直前だった中曽根政権では87年の「売上税」導入をめぐり、「格差が拡大する」との批判が起こり、導入が見送られた経緯がある。小泉政権では「構造改革」路線のもと、労働規制の緩和などで非正規雇用者が増加。所得や資産の不平等を測る指標「ジニ係数」という用語が国会でさかんに飛び交った。

 萱野稔人・津田塾大教授(社会理論)は「格差の議論が再燃しているのは、『株価は上がって一部の人がもうかっている一方、給料が上がらずいい仕事につけない人もいる』という実感がかつてなく広がっているからだ。野党も単なる批判だけではなく、成長と格差縮小のための具体策が求められている」と話す。

 (岡村夏樹、奈良部健、鯨岡仁)

 ■今国会審議から

 民主・長妻昭氏 OECD(経済協力開発機構)なども格差が拡大すると経済成長の足を引っ張るというリポートを発表している。我々も格差の問題をかねてより重視している。格差をどうとらえるべきか。

 安倍晋三首相 格差が固定化されたものか、あるいは人々にとって許容範囲を超えているかが重要だ。まず、デフレ不況から脱却して、経済を成長させていく。経済的理由で教育を受けるチャンスを得ることができない社会にしてはならない。セーフティーネットはしっかりと張り、再び立ち上がるための支援も行うことが重要だ。

 長妻氏 低所得者層の家計が痛んでいる。格差是正が重要だ。我が国の税の再分配機能は弱くなっているというデータがあるが、どう考えるか。

 首相 ピケティ氏も日本は1945年以降、格差に顕著な拡大はないと述べている。高齢者の再雇用もあって非正規雇用者も増加しているが、非正規雇用者を取り巻く雇用環境は改善している。成長せずに分配だけを考えていけば、だんだんじり貧になっていく。(1月29日、衆院予算委で)

 民主・大塚耕平氏 (富裕層が富めば、そうでない層にも富が行き渡る)トリクルダウン的発想はやめるべきだ。

 首相 我々はトリクルダウンを期待する政策を行っているわけではない。第1次安倍政権時には企業は最高収益を上げたが、ほとんど内部留保になってしまい、賃金上昇につながらなかったのは事実だ。給与が上がる状況を作り、地方の経済力の底上げも行うのが私たちの政策だ。

(2月2日、参院予算委で)

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  脱デフレVS.格差拡大 アベノミクス、首相・民主論戦(10/4)

ニ 政府方針
自衛隊、米軍以外も防護 平時、豪州など念頭
   http://digital.asahi.com/articles/DA3S11598831.html

 政府は12日、新たな安全保障の法整備に関して、自衛隊とともに行動する他国軍の武器や艦船などの防護対象を、米国以外に広げる方針を与党に伝えた。オーストラリアなどが念頭にある。自民、公明両党は13日から安保法制の議論を始めるが、公明は昨年7月の閣議決定では防護対象を米軍に限定したとして、政府方針に難色を示している。

 13日からの与党協議では、日本への武力攻撃とは認められないが、警察や海上保安庁では対処できない「グレーゾーン事態」への対応から議論を始める。とりわけ、自衛隊と共同で活動する他国軍の防護のあり方が焦点だ。

 集団的自衛権の行使容認を含む昨夏の閣議決定では、有事になる前の弾道ミサイルへの対応を念頭に、自衛隊と連携して日本の防衛のために活動する米艦を防護できるよう法整備すると定めている。対象は「米軍部隊の武器等」としていたが、政府は実際の運用で共同で行動するのは米軍に限らないとして、対象を広げる考えだ。

 具体的には、平時に自衛隊の艦船や航空機などを守るため、必要最小限の武器使用を認めている自衛隊法95条を対象に、米軍を含む他国軍の武器などを加える法改正を検討している。

 これに対し、公明党は米軍以外の防護も含めることに「明らかに閣議決定の範囲を超えている」(幹部)と反発している。

 政府・与党は3月下旬までに安保法制の基本方針を決め、5月の大型連休明けにも法案を提出する方針だ。

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ホ (全文)
安倍首相の施政方針演説
   http://digital.asahi.com/articles/DA3S11598767.html

 まず冒頭、シリアにおける邦人殺害テロ事件について、一言、申し上げます。

 事件発生以来、政府はあらゆる手段を尽くしてまいりましたが、日本人がテロの犠牲となったことは、痛恨の極みであります。衷心より哀悼の誠を捧げるとともに、ご家族に心からお悔やみを申し上げます。

 非道かつ卑劣極まりないテロ行為を、断固非難します。

 日本がテロに屈することは決してありません。水際対策の強化など、国内外の日本人の安全確保に、万全を期してまいります。そして食料、医療などの人道支援。テロと戦う国際社会において、日本としての責任を、毅然(きぜん)として、果たしてまいります。

 【1】戦後以来の大改革

 「日本を取り戻す」

 そのためには、「この道しかない」

 こう訴え続け、私たちは、2年間、全力で走り続けてまいりました。

 先般の総選挙の結果、衆参両院の指名を得て、引き続き、内閣総理大臣の重責を担うこととなりました。

 「安定した政治の下で、この道を、更に力強く、前進せよ」

 これが総選挙で示された国民の意思であります。全身全霊を傾け、その負託に応えていくことを、この議場にいる自由民主党及び公明党の連立与党の諸君と共に、国民の皆様にお約束いたします。

 経済再生、復興、社会保障改革、教育再生、地方創生、女性活躍、そして外交・安全保障の立て直し。

 いずれも困難な道のり。「戦後以来の大改革」であります。しかし、私たちは、日本の将来をしっかりと見定めながら、ひるむことなく、改革を進めなければならない。逃れることはできません。

 明治国家の礎を築いた岩倉具視は、近代化が進んだ欧米列強の姿を目の当たりにした後、このように述べています。

 「日本は小さい国かもしれないが、国民みんなが心を一つにして、国力を盛んにするならば、世界で活躍する国になることも決して困難ではない」

 明治の日本人に出来て、今の日本人に出来ないわけはありません。今こそ、国民と共に、この道を、前に向かって、再び歩み出す時です。皆さん、「戦後以来の大改革」に、力強く踏み出そうではありませんか。

 【2】改革断行

 戦後1600万人を超えていた農業人口は、現在、200万人。この70年で8分の1まで減り、平均年齢は66歳を超えました。もはや、農政の大改革は、待ったなしであります。

 何のための改革なのか。強い農業をつくるための改革。農家の所得を増やすための改革を進めるのであります。

 60年ぶりの農協改革を断行します。農協法に基づく現行の中央会制度を廃止し、全国中央会は一般社団法人に移行します。農協にも会計士による監査を義務付けます。意欲ある担い手と地域農協とが力を合わせ、ブランド化や海外展開など農業の未来を切りひらく。そう。これからは、農家の皆さん、そして地域農協の皆さんが主役です。

 農業委員会制度の抜本改革にも、初めて、踏み込みます。地域で頑張る担い手がリードする制度へと改め、耕作放棄地の解消、農地の集積を一層加速いたします。

 農業生産法人の要件緩和を進め、多様な担い手による農業への参入を促します。いわゆる「減反」の廃止に向けた歩みを更に進め、需要ある作物を振興し、農地のフル活用を図ります。市場を意識した競争力ある農業へと、構造改革を進めてまいります。

 「変化こそ唯一の永遠である」

 明治時代、日本画の伝統に新風を持ち込み、改革に挑んだ岡倉天心の言葉です。

 伝統の名の下に、変化を恐れてはなりません。

 農業は、日本の美しい故郷を守ってきた、「国の基(もとい)」であります。だからこそ、今、「変化」を起こさねばならない。必ずや改革を成し遂げ、若者が自らの情熱で新たな地平を切りひらくことができる、新しい日本農業の姿を描いてまいります。

 目指すは世界のマーケット。林業、水産業にも、大きな可能性があります。昨年、農林水産物の輸出は6千億円を超え、過去最高を更新いたしました。しかし、まだまだ少ない。世界には340兆円規模の食市場が広がっています。内外一体の改革を進め、安全で、おいしい日本の農水産物を世界に展開してまいります。

 オープンな世界へと果敢に踏み出す。日本の国益を確保し、成長を確かなものとしてまいります。

 最終局面のTPP交渉は、いよいよ出口が見えてまいりました。米国と共に交渉をリードし、早期の交渉妥結を目指します。欧州とのEPAについても、本年中の大筋合意を目指し、交渉を更に加速してまいります。

 経済のグローバル化は一層進み、国際競争に打ち勝つことができなければ、企業は生き残ることはできない。政府もまた然(しか)り。オープンな世界を見据えた改革から逃れることはできません。

 全ての上場企業が、世界標準にのっとった新たな「コーポレートガバナンス・コード」に従うか、従わない場合はその理由を説明する。その義務を負うことになります。

 法人実効税率を2・5%引き下げます。35%近い現行税率を数年で20%台まで引き下げ、国際的に遜色のない水準へと法人税改革を進めてまいります。

 患者本位の新たな療養制度を創設します。世界最先端の医療を日本で受けられるようにする。困難な病気と闘う患者の皆さんの思いに応え、その申し出に基づいて、最先端医療と保険診療との併用を可能とします。更に、安全性、有効性が確立すれば、国民皆保険の下で保険適用としてまいります。

 医療法人制度の改革も実施します。外部監査を導入するなど、経営の透明化を進めます。更に、異なる機能を持つ複数の医療法人の連携を促す新たな仕組みを創設し、地域医療の充実に努めます。

 電力システム改革も、いよいよ最終段階に入ります。電力市場の基盤インフラである送配電ネットワークを、発電、小売りから分離し、誰もが公平にアクセスできるようにします。ガス事業でも小売りを全面自由化し、あらゆる参入障壁を取り除いてまいります。競争的で、ダイナミックなエネルギー市場をつくり上げてまいります。

 低廉で、安定した電力供給は、日本経済の生命線であります。責任あるエネルギー政策を進めます。

 燃料輸入の著しい増大による電気料金の上昇は、国民生活や中小・小規模事業の皆さんに大きな負担となっています。原子力規制委員会が新規制基準に適合すると認めた原発は、その科学的・技術的な判断を尊重し、再稼働を進めます。国が支援して、しっかりとした避難計画の整備を進めます。立地自治体を始め関係者の理解を得るよう、丁寧な説明を行ってまいります。

 長期的に原発依存度を低減させていくとの方針は変わりません。あらゆる施策を総動員して、徹底した省エネルギーと、再生可能エネルギーの最大限の導入を進めてまいります。

 安倍内閣の規制改革によって、昨年、夢の水素社会への幕が開きました。全国に水素ステーションを整備し、燃料電池自動車の普及を加速させます。大規模な建築物に省エネ基準への適合義務を課すなど、省エネ対策を抜本的に強化してまいります。

 安全性、安定供給、効率性、そして環境への適合。これらを十分に検証し、エネルギーのベストミックスをつくり上げます。そして世界の温暖化対策をリードする。COP21に向け、温室効果ガスの排出について、新しい削減目標と具体的な行動計画を、できるだけ早期に策定いたします。

 各般の改革を進めるため、行政改革を、併せ、断行いたします。

 歴代内閣で肥大化の一途を辿(たど)ってきた、内閣官房・内閣府の事務の一部を各省に移管し、重要政策における内閣の総合調整機能が機動的に発揮できるような体制を整えます。

 17の独立行政法人を7法人へと統合します。私たちが進める改革は、単なる数合わせではありません。攻めの農業を始め諸改革を強力に進めていくための統合であります。金融庁検査の導入など、法人ごとの業務の特性に応じたガバナンス体制を整備し、独立行政法人の政策実施機能を強化してまいります。

 4月から日本医療研究開発機構が始動します。革新的ながん治療薬の開発やiPS細胞の臨床応用などに取り組み、日本から、医療の世界にイノベーションを起こします。

 日本を「世界で最もイノベーションに適した国」にする。世界中から超一流の研究者を集めるため、世界最高の環境を備えた新たな研究開発法人制度をつくります。ITやロボット、海洋や宇宙、バイオなど、経済社会を一変させる挑戦的な研究を大胆に支援してまいります。

 「知と行は二つにして一つ」

 何よりも実践を重んじ、明治維新の原動力となる志士たちを育てた、吉田松陰先生の言葉であります。

 成長戦略の実行。大胆な規制改革によって、生産性を押し上げ、国際競争力を高めていく。オープンな世界に踏み出し、世界の成長力を取り込んでいく。なすべきことは明らかです。要は、やるか、やらないか。

 この国会に求められていることは、単なる批判の応酬ではありません。「行動」です。「改革の断行」であります。日本の将来を見据えながら、大胆な改革を、皆さん、実行しようではありませんか。

 【3】経済再生と社会保障改革

 この2年間、全力で射込んできた「三本の矢」の経済政策は、確実に成果をあげています。

 中小・小規模事業者の倒産件数は、昨年、24年ぶりの低い水準となりました。就職内定を得て新年を迎えた新卒予定者は、8割を超えました。大卒で6年ぶり、高卒で21年ぶりに高い内定率です。有効求人倍率は、1年以上にわたって、1倍を超え、仕事を探す人よりも、人を求める仕事の数が多くなっています。正社員においても、10年前の調査開始以来、最高の水準となりました。

 この機をいかし、正規雇用を望む派遣労働者の皆さんに、そのチャンスを広げます。派遣先企業への直接雇用の依頼など正社員化への取り組みを派遣元に義務付けます。派遣先の労働者との均衡待遇の確保にも取り組み、一人ひとりの選択が実現できる環境を整えてまいります。

 昨年、過去15年間で最高の賃上げが実現しました。そしてこの春も、企業収益の拡大を賃金の上昇につなげる。更には、中小・小規模事業の皆さんが原材料コストを価格に転嫁しやすくし、経済の好循環を継続させていく。その認識で、政労使が一致いたしました。

 デフレ脱却を確かなものとするため、消費税率10%への引き上げを18カ月延期し、平成29年4月から実施します。そして賃上げの流れを来年の春、再来年の春と続け、景気回復の温かい風を全国津々浦々にまで届けていく。そのことによって、経済再生と財政再建、社会保障改革の三つを、同時に達成してまいります。

 来年度予算は、新規の国債発行額が6年ぶりに40兆円を下回り、基礎的財政収支の赤字半減目標を達成する予算としました。2020年度の財政健全化目標についても堅持し、夏までに、その達成に向けた具体的な計画を策定いたします。

 消費増税が延期された中にあっても、アベノミクスの果実もいかし、社会保障を充実してまいります。

 難病の皆さんへの医療費助成を大幅に広げます。先月から、小児慢性特定疾病について、新たに107疾病を助成対象としました。難病についても、この7月を目指し、300疾病へと広げてまいります。先月から高額療養費制度を見直しました。所得の低い方々の医療費負担を軽減いたします。

 認知症対策を推進します。早期の診断と対応に加え、認知症の皆さんが、できる限り住み慣れた地域で暮らしていけるよう、環境を整えてまいります。国民健康保険への財政支援を拡充することと併せ、その財政運営を市町村から都道府県に移行することにより、国民皆保険の基盤を強化してまいります。

 所得の低い高齢者世帯の皆さんの介護保険料を軽減いたします。介護職員の皆さんに月額1万2千円相当の処遇改善を行い、サービスの充実にも取り組みます。他方で、利用者の負担を軽減し、保険料の伸びを抑えるため、増え続ける介護費用全体を抑制します。社会福祉法人について、経営組織の見直しや内部留保の明確化を進め、地域に貢献する福祉サービスの担い手へと改革してまいります。

 子育て世帯の皆さんを応援します。子ども・子育て支援新制度は、予定通り、4月から実施いたします。引き続き「待機児童ゼロ」の実現に全力投球してまいります。幼児教育や保育に携わる皆さんに3%相当の処遇改善を行い、小学校の教室を利用した放課後児童クラブの拡大や、休日・夜間保育、病児保育の充実など、多様な保育ニーズにもしっかりと応えてまいります。

 【4】誰にでもチャンスに満ちあふれた日本

 その担い手として、これまで子育てに専念してきた女性の皆さんの力にも、大いに期待しています。「子育て支援員」制度がスタートします。子育ても一つのキャリア。そのかけがえのない、素晴らしい経験をいかしてほしいと思います。

 私は、女性の力を、強く信じます。家庭で、地域社会で、職場で、それぞれの場で活躍している全ての女性が、その生き方に自信と誇りを持ち、輝くことができる社会をつくり上げてまいります。

 「女性活躍推進法案」を再び提出し、早期の成立を目指します。国、地方、企業などが一体となって、女性が活躍しやすい環境を整える。社会全体の意識改革を進めてまいります。

 本年採用の国家公務員から、女性の比率が3割を超えます。2020年には、あらゆる分野で指導的地位の3割以上が女性となる社会を目指し、女性役員などの情報の開示、育児休業中の職業訓練支援など、女性登用に積極的な企業を応援してまいります。

 高齢者の皆さんに、多様な就業機会を提供する。シルバー人材センターには、更にその機能を発揮してもらいます。障害や難病、重い病気を抱える皆さんにも、きめ細かな支援を行い、就労のチャンスを拡大してまいります。

 あらゆる人が、生きがいを持って、社会で活躍できる。そうすれば、少子高齢社会においても、日本は力強く成長できるはずです。

 そのためには、労働時間に画一的な枠をはめる、従来の労働制度、社会の発想を、大きく改めていかなければなりません。子育て、介護など働く方々の事情に応じた、柔軟かつ多様な働き方が可能となるよう、選択肢の幅を広げてまいります。

 昼が長い夏は、朝早くから働き、夕方からは家族や友人との時間を楽しむ。夏の生活スタイルを変革する新たな国民運動を展開します。

 夏休みの前に働いた分、子どもに合わせて長い休みを取る。そんな働き方も、フレックスタイム制度を拡充して、可能とします。専門性の高い仕事では、時間ではなく成果で評価する新たな労働制度を選択できるようにします。

 時間外労働への割増賃金の引き上げなどにより、長時間労働を抑制します。更に、年次有給休暇を確実に取得できるようにする仕組みをつくり、働き過ぎを防ぎ、ワーク・ライフ・バランスが確保できる社会をつくってまいります。

 日本の未来をつくるのは、若者です。若者たちには、社会で、その能力を思う存分発揮し、大いに活躍してもらいたいと願います。

 若者への雇用対策を抜本的に強化します。3割を超える若者が早期離職する現実を踏まえ、新卒者を募集する企業には、残業、研修、離職などの情報提供を求めます。若者の使い捨てが疑われる企業からは、ハローワークで新卒求人を受理しないようにいたします。

 非正規雇用の若者たちには、キャリアアップ助成金を活用して正規雇用化を応援します。魅力ある中小企業がたくさんある。そのことを若者たちに知ってもらうための仕組みを強化します。

 「娘は今、就職に向けて前向きに頑張っております」

 20歳の娘さんを持つお母さんから、手紙を頂きました。娘さんは、幼い頃から学習困難があり、友達と違う自分に悩んできたといいます。

 「娘はだんだん自己嫌悪がひどくなり『死んでしまいたい』と泣くこともありました……学校に行くたびに輝きが失せていく……しかし、娘は世の中に置いて行かれまいと、学校に通いました」

 中学1年生の時、不登校になりました。しかし、フリースクールとの出会いによって、自信を取り戻し、再び学ぶことができました。大きな勇気を得て、社会の偏見に悩みながらも、今は就職活動にもチャレンジしているそうです。その手紙は、こう結ばれていました。

 「子どもは大人の鏡です。大人の価値観が変わらない限りいじめは起こり、無くなることはないでしょう。……多様な人、多様な学び、多様な生き方を受け入れ、認め合う社会を目指す日本であってほしいと切に願っております。ちっぽけな母親の願いです」と。

 否(いや)、当然の願いであります。子どもたちの誰もが、自信を持って、学び、成長できる環境をつくる。これは、私たち大人の責任です。

 フリースクールなどでの多様な学びを、国として支援してまいります。義務教育における「6・3」の画一的な学制を改革します。小中一貫校の設立も含め、9年間の中で、学年の壁などにとらわれない、多様な教育を可能とします。

 「できないことへの諦め」ではなく「できることへの喜び」を与える。地域の人たちの協力を得ながら、中学校で放課後などを利用して無償の学習支援を行う取り組みを、全国2千カ所に拡大します。

 子どもたちの未来が、家庭の経済事情によって左右されるようなことがあってはなりません。子どもの貧困は、頑張れば報われるという真っ当な社会の根幹に関わる深刻な問題です。

 所得の低い世帯の幼児教育にかかる負担を軽減し、無償化の実現に向け、一歩一歩進んでまいります。希望すれば、高校にも、専修学校、大学にも進学できる環境を整えます。高校生に対する奨学給付金を拡充します。大学生への奨学金も、有利子から無利子への流れを加速し、将来的に、必要とする全ての学生が、無利子奨学金を受けられるようにしてまいります。

 誰にでもチャンスがある、そしてみんなが夢に向かって進んでいける。そうした社会を、皆さん、共につくり上げようではありませんか。

 【5】地方創生

 地方で就職する学生には、奨学金の返済を免除する新たな仕組みをつくります。東京に住む10代・20代の若者に尋ねると、その半分近くが、地方への移住を望んでいる。大変勇気づけられる数字です。

 地方にこそチャンスがある。

 若者たちの挑戦を力強く後押しします。一度失敗すると全てを失う、「個人保証」偏重の慣行を断ち切ります。全国の金融機関、中小・小規模事業の皆さんへの徹底を図ります。政府調達では、創業から10年未満の企業を優先するための枠組みをつくり、新たなビジネスに挑む中小・小規模事業の皆さんのチャンスを広げてまいります。

 地方にチャンスを見いだす企業も応援します。本社などの拠点を地方に移し、投資や雇用を拡大する企業を、税制により支援してまいります。地域ならではの資源をいかした、新たな「ふるさと名物」の商品化、販路開拓も応援し、地方の「しごとづくり」を進めてまいります。

 地方こそ成長の主役です。

 外国人観光客は、この2年間で500万人増加し、過去最高、1300万人を超えました。ビザ緩和などに戦略的に取り組み、更なる高みを目指します。

 日本を訪れる皆さんに、北から南まで、豊かな自然、文化や歴史、食など、地方の個性あふれる観光資源を満喫していただきたい。国内の税関や検疫、出入国管理の体制を拡充いたします。全国各地と結ぶ玄関口、羽田空港の機能強化を進めます。地元の理解を得て飛行経路を見直し、国際線の発着枠を2020年までに年4万回増やします。成田空港でも、管制機能を高度化し、同様に年4万回、発着枠を拡大します。アジアとのハブである沖縄では、那覇空港第2滑走路の建設を進めます。2021年度まで毎年3千億円台の予算を確保するとした沖縄との約束を重んじ、その実施に最大限努めてまいります。

 熱意ある地方の創意工夫を全力で応援する。それこそが、安倍内閣の地方創生であります。

 地方の努力が報われる、地方目線の行財政改革を進めます。それぞれの地方が、特色をいかしながら、全国にファンを増やし、財源を確保する。ふるさと納税を拡大してまいります。手続きも簡素化し、より多くの皆さんに、地方の応援団になってほしいと思います。

 地方分権でも、霞が関が主導する従来のスタイルを根本から改め、地方の発意による、地方のための改革を進めてまいります。地方からの積極的な提案を採用し、農地転用などの権限を移譲します。更に、国家戦略特区制度を進化させ、地方の情熱に応えて規制改革を進める「地方創生特区」を設けてまいります。

 伝統ある美しい日本を支えてきたのは、中山間地や離島にお住まいの皆さんです。医療や福祉、教育、買い物といった生活に必要なサービスを、一定のエリアに集め、周辺の集落と公共交通を使って結ぶことで、小さくても便利な「まちづくり」を進めてまいります。

 安全で安心な暮らしは、何よりも重要です。ストーカー、高齢者に対する詐欺など、弱い立場の人たちを狙った犯罪への対策を強化してまいります。児童虐待から子どもたちを守るため、SOSの声を「いち・はや・く」キャッチする。児童相談所への全国共通ダイヤル「189」を、この7月から運用開始いたします。

 御嶽山の噴火を教訓に、地元と一体となって、観光客や登山者の警戒避難体制を充実するなど、火山防災対策を強化してまいります。近年増加するゲリラ豪雨による水害や土砂災害などに対して、インフラの整備に加え、避難計画の策定や訓練の実施など、事前防災・減災対策に取り組み、国土強靱(きょうじん)化を進めてまいります。

 昨年は各地で自然災害が相次ぎました。その度に、自衛隊、警察、消防などの諸君が、昼夜を分かたず、また危険も顧みず、懸命の救助活動に当たってくれました。

 「たくさん雪が降っていて、とっても、こわかったです」

 昨年12月の大雪では、徳島県でいくつもの集落が孤立しました。災害派遣された自衛隊員に、地元の中学校の子どもたちが手紙をくれました。

 「そんなとき、自衛隊のみなさんが、来てくれて、助けてくれて、かんしゃの気持ちでいっぱいです。……わたしたちも、みなさんに何かしなくては!と思い、手紙を書きました」

 私たちもまた、彼らの高い使命感と責任感に対し、今この場から、改めて、感謝の意を表したいと思います。

 【6】外交・安全保障の立て直し

 昨年10月、海上自衛隊の練習艦隊が、5カ月間の遠洋航海から帰国しました。

 「国のために戦った方は、国籍を超えて、敬意を表さなければならない」

 ソロモン諸島リロ首相の心温まるご協力を頂き、今回の航海では、先の大戦の激戦地ガダルカナル島で収容された137柱のご遺骨に、祖国へとご帰還いただく任務にあたりました。

 今も異国の地に眠るたくさんのご遺骨に、一日も早く、祖国へとご帰還いただきたい。それは、今を生きる私たちの責務であります。硫黄島でも、1万2千柱ものご遺骨の早期帰還に向け、来年度中に滑走路下100カ所の掘削を完了し、取り組みを加速してまいります。

 祖国の行く末を案じ、家族の幸せを願いながら、お亡くなりになった、こうした尊い犠牲の上に、私たちの現在の平和があります。

 平和国家としての歩みは、これからも決して変わることはありません。国際情勢が激変する中で、その歩みを更に力強いものとする。国民の命と幸せな暮らしは、断固として守り抜く。そのために、あらゆる事態に切れ目のない対応を可能とする安全保障法制の整備を進めてまいります。

 本年は、戦後70年の節目の年にあたります。

 我が国は、先の大戦の深い反省と共に、ひたすらに自由で民主的な国をつくり上げ、世界の平和と繁栄に貢献してまいりました。その誇りを胸に、私たちは、これまで以上に世界の平和と安定に貢献する国とならなければなりません。次なる80年、90年、そして100年に向けて、その強い意志を世界に向けて発信してまいります。

 幾多の災害から得た教訓や経験を世界と共有する。3月、仙台で国連防災世界会議を開きます。「島国ならでは」の課題に共に立ち向かう。5月、いわきで太平洋・島サミットを開催します。21世紀こそ、女性への人権侵害が無い世紀とする。女性が輝く世界に向けて、昨年に引き続き、秋口には、世界中から活躍している女性の皆さんに、日本にお集まりいただきたいと考えています。

 本年はまた、被爆70年の節目でもあります。唯一の戦争被爆国として、日本が、世界の核軍縮、不拡散をリードしてまいります。

 国連創設から70年にあたる本年、日本は、安全保障理事会・非常任理事国に立候補いたします。そして、国連を21世紀にふさわしい姿へと改革する。その大きな役割を果たす決意であります。

 本年こそ、「積極的平和主義」の旗を一層高く掲げ、日本が世界から信頼される国となる。戦後70年にふさわしい一年としていきたい。そう考えております。

 今後も、豪州、ASEAN諸国、インド、欧州諸国など、自由や民主主義、基本的人権や法の支配といった基本的価値を共有する国々と連携しながら、地球儀を俯瞰(ふかん)する視点で、積極的な外交を展開してまいります。

 その基軸は日米同盟であります。この2年間で、日米同盟の絆は復活し、揺るぎないものとなりました。日米ガイドラインの見直しを進め、その抑止力を一層高めてまいります。

 現行の日米合意に従って、在日米軍再編を進めてまいります。3月末には、西普天間住宅地区の返還が実現いたします。学校や住宅に囲まれ、市街地の真ん中にある普天間飛行場の返還を、必ずや実現する。そのために、引き続き沖縄の方々の理解を得る努力を続けながら、名護市辺野古沖への移設を進めてまいります。今後も、日米両国の強固な信頼関係の下に、裏付けのない「言葉」ではなく実際の「行動」で、沖縄の基地負担の軽減に取り組んでまいります。

 日本と中国は、地域の平和と繁栄に大きな責任を持つ、切っても切れない関係です。昨年11月、習近平国家主席と首脳会談を行って、「戦略的互恵関係」の原則を確認し、関係改善に向けて大きな一歩を踏み出しました。今後、様々なレベルで対話を深めながら、大局的な観点から、安定的な友好関係を発展させ、国際社会の期待に応えてまいります。

 韓国は、最も重要な隣国です。日韓国交正常化50周年を迎え、関係改善に向けて話し合いを積み重ねてまいります。対話のドアは、常にオープンであります。

 ロシアとは、戦後70年経った現在も、いまだ平和条約が締結できていない現実があります。プーチン大統領とは、これまで10回にわたる首脳会談を行ってまいりました。大統領の訪日を、本年の適切な時期に実現したいと考えております。これまでの首脳会談の積み重ねを基礎に、経済、文化など幅広い分野で協力を深めながら、平和条約の締結に向けて、粘り強く交渉を続けてまいります。

 北朝鮮には、拉致、核、ミサイルの諸懸案の包括的な解決を求めます。最重要課題である拉致問題について、北朝鮮は、迅速な調査を行い、一刻も早く、全ての結果を正直に通報すべきであります。今後とも、「対話と圧力」、「行動対行動」の原則を貫き、拉致問題の解決に全力を尽くしてまいります。

 【7】2020年の日本

 昨年末、日本を飛び立った「はやぶさ2」。宇宙での挑戦を続けています。小惑星にクレーターを作ってサンプルを採取する。そのミッションを可能とした核心技術は、福島で生まれました。東日本大震災で一時は休業を強いられながらも、技術者の皆さんの熱意が、被災地から「世界初」の技術を生み出しました。

 福島を、世界最先端の研究、新産業が生まれる地へと再生する。原発事故によって被害を受けた浜通り地域に、ロボット関連産業などの集積を進めてまいります。

 中間貯蔵施設の建設を進め、除染を更に加速します。東京電力福島第一原発の廃炉・汚染水対策に、国も前面に立ち、全力で取り組みます。福島復興再生特別措置法を改正し、避難指示の解除に向けて、復興拠点が円滑に整備できるようにします。財政面での支援も拡充し、故郷に帰還する皆さんの生活再建を力強く後押ししてまいります。

 3月には、東北の被災地を貫く常磐自動車道が、いよいよ全線開通いたします。多くの観光客に東北を訪れていただきたい。被災地復興の起爆剤となることを期待しています。

 高台移転は9割、災害公営住宅は8割の事業がスタートしています。住まいの再建を続けると同時に、孤立しがちな被災者への見守りなどの「心」の復興、農林水産業や中小企業など「生業(なりわい)」の復興にも、全力を挙げてまいります。

 「はやぶさ2」は、福島生まれの技術がもたらした小惑星のサンプルと共に、2020年、日本に帰ってきます。その時には、東北の姿は一変しているに違いありません。いや、一変させなければなりません。「新たな可能性と創造」の地としての東北を、皆さん、共につくり上げようではありませんか。

 その同じ年に、私たちは、オリンピック・パラリンピックを開催いたします。

 必ずや成功させる。その決意で、専任の担当大臣の下、インフラ整備からテロ対策まで、多岐にわたる準備を本格化してまいります。

 スポーツ庁を新たに設置し、日本から世界へと、スポーツの価値を広げます。子どもも、お年寄りも、そして障害や難病のある方も、誰もがスポーツをもっと楽しむことができる環境を整えてまいります。

 私たち日本人に、「2020年」という共通の目標ができました。

 昨年、日本海では、世界に先駆けて、表層型メタンハイドレート、いわゆる「燃える氷」の本格的なサンプル採取に成功しました。「日本は資源に乏しい国である」。そんな「常識」は、2020年には、もはや「非常識」になっているかもしれません。

 「日本は変えられる」。全ては、私たちの意志と行動にかかっています。

 15年近く続いたデフレ。その最大の問題は、日本人から自信を奪い去ったことではないでしょうか。しかし、悲観して立ち止まっていても、何も変わらない。批判だけを繰り返していても、何も生まれません。

 「日本国民よ、自信を持て」

 戦後復興の礎を築いた吉田茂元総理の言葉であります。

 昭和の日本人に出来て、今の日本人に出来ないわけはありません。私は、この議場にいる全ての国会議員の皆さんに、再度、呼び掛けたいと思います。

 全ては国民のため、党派の違いを超えて、選挙制度改革、定数削減を実現させようではありませんか。憲法改正に向けた国民的な議論を深めていこうではありませんか。

 そして、日本の未来を切りひらく。そのために、「戦後以来の大改革」を、この国会で必ずや成し遂げようではありませんか。

 今や、日本は、私たちの努力で、再び成長することができる。世界の真ん中で輝くことができる。その「自信」を取り戻しつつあります。

 さあ皆さん、今ここから、新たなスタートを切って、芽生えた「自信」を「確信」へと変えていこうではありませんか。

 ご清聴ありがとうございました。

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ヘ 社説
施政方針演説 「戦後以来」の行き先は
   http://digital.asahi.com/articles/DA3S11598779.html

 安倍首相が国会で施政方針演説に臨んだ。昨年12月に第3次内閣を発足させてから初めての演説は、高揚感に満ちていた。

 安倍氏は2年間で2度の衆院選を戦い、3分の2の与党勢力を続けて確保した。この間、株価を上げて景気回復への一歩を進め、集団的自衛権の行使容認で日米同盟の一層の強化への道筋をつけた。

 長期政権への基盤を確保した首相は今回の演説で、「改革」を強調。経済再生、復興、社会保障改革、教育再生などを列挙し「戦後以来の大改革に踏みだそうではありませんか」と呼びかけた。敗戦後間もなくの改革に匹敵するものにしたいという意気込みなのだろう。

 かつて「戦後レジームからの脱却」と繰り返していた首相が唱え始めた「戦後以来の大改革」。きのうの演説を聴く限りでは、その最終的な狙いについては不透明なままだ。

 改革の各論の冒頭に掲げたのは農協改革だった。全国農協中央会や農協の支援を受ける議員の抵抗を押さえ込み、直前に改革案をまとめた。首相は演説で「変化こそ唯一の永遠である」との岡倉天心の言葉を引き、「新しい日本農業の姿を描いていく」と述べた。

 戦後社会で形づくられてきた様々な制度を、時代や環境の変化に応じて改めていくのは当然の姿勢だ。そのために、指導者には決断力や突破力といったある種の「力」が求められるのも理解できる。

 だとしても、改革には熟慮や合意形成への努力もまた欠かせない。きのうの演説で気になったのは、「国会に求められているのは、単なる批判の応酬ではなく行動だ」などと野党への牽制(けんせい)を繰り返したことだ。

 それ自体は間違っていないにせよ、圧倒的な数を誇る首相が強調すれば、異論を封じてもやりたいことをやるという宣言と受け取られても仕方あるまい。

 目先の改革への多弁さとは裏腹に、首相は集団的自衛権を含む安全保障法制や戦後70年を踏まえた「積極的平和主義」、そして憲法改正についてはあっさりと触れただけだった。公明党との調整が控えているからなのだろう。

 首相が最後にめざすところをただし、問題点を明らかにするのは野党の役割だ。

 昨年の衆院選をへて最大野党の民主党は執行部を一新、政権を批判する共産党も勢力を伸ばした。数の力に押されるばかりでなく、緊張感ある議論を通じて立法府としての存在感を発揮しなければならない。